JP3960913B2 - 避難用梯子装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は避難用梯子装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、収納位置と使用位置との間を移動する梯子部を備える避難用梯子装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例において避難用梯子装置は、建物壁面に固定される固定主杆に垂直回転自在な横桟を介して可動主杆を連結して建物壁面に垂直方向に展開される折畳主梯子と、前記可動主杆に垂直回転自在な補助横桟を介して可動補助縦杆を連結して折畳主梯子の直交方向に展開される折畳補助梯子とを有する。折畳主梯子は、折り畳みあるいは展開する際に横桟の回転を伴う可動主杆の移動によって収納位置と使用位置との間を移動し、同様に折畳補助梯子は、補助横桟の回転を伴う可動補助縦杆の移動によって収納位置と使用位置との間を移動する。
【0003】
【特許文献1】
実開昭51-115795号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例は、可動主杆を移動可能に形成しているために折畳主梯子の収納効率を向上させることができる反面、可動主杆を建物壁面に固定しないことから使用位置の折畳主梯子が不安定な状態におかれ、避難時にぐらつきが発生しやすいという欠点を有する。
【0005】
さらに、この不安定な折畳主梯子を介して建物壁面に連結されるために折畳補助梯子には更にぐらつきが生じやすい。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、移動可能に形成される梯子部の使用位置におけるぐらつきを防止して安全かつ迅速な避難を可能とする避難用梯子装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、
長尺状の拘束側梯子縦桟1Aと該拘束側梯子縦桟1Aに対して相対移動自在な長尺状の可動側梯子縦桟1Bとに複数の横桟2、2・・の両端部を垂直回転自在に連結して形成され、可動側梯子縦桟1Bが拘束側梯子縦桟1Aに沿う収納位置から斜め下方に移動した使用位置において横桟2を水平姿勢に移行させる梯子部3と、
前記拘束側梯子縦桟1Aに対して横桟2の直交方向で垂直回転自在に連結されて拘束側梯子縦桟1Aを建物壁面4に連結させ、回転に伴って拘束側梯子縦桟1Aを建物壁面4に対して退避位置と突出位置との間で移動させるリンク体8と、
突出位置をとる前記拘束側梯子縦桟1Aに沿う可動側梯子縦桟1Bの使用位置への移動に伴って該可動側梯子縦桟1Bを建物壁面4に連結する連結体5とを有し、
前記横桟2は、使用状態において建物壁面4に対して避難者が降下可能な間隔を隔てて正対し、
前記連結体5は、可動側梯子縦桟1Bに長手方向が沿うように収納される垂直姿勢から建物壁面4に固定されたフック受け16に係止する水平姿勢まで可動側梯子縦桟1Bに垂直回転自在に設けられ、
梯子部3の両側方をリンク体8と連結体5とにより建物壁面4に連結して使用状態において平面視コ字形状に展開する避難用梯子装置を提供することにより達成される。
【0008】
本発明によれば、避難用梯子装置は、梯子部3の使用位置への移動に伴って該梯子部3を連結体5で建物壁面4に連結して構成される。移動可能な梯子部3を使用位置において連結体5で建物壁面に連結することにより、高い収納効率を確保しつつ使用時の安定感を高めることができる。また、梯子部3の建物壁面4との連結は、梯子部3の使用位置への移動に伴ってなされるため、手間を要しない。
【0009】
梯子部3の移動は、例えば梯子部3全体をそのまま回転させ、あるいは折り畳んで変形させるなど種々の方法によることが可能である。この場合において、建物壁面4に対して拘束された長尺状の拘束側梯子縦桟1Aと、この拘束側梯子縦桟1Aに対して相対移動可能な長尺状の可動側梯子縦桟1Bとで梯子縦桟1を構成するとともに、拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bに複数の横桟2、2・・の両端部を垂直回転自在に連結して梯子部3を形成すると、梯子部3は、可動側梯子縦桟1Bが拘束側梯子縦桟1Aに沿う収納位置から拘束側梯子縦桟1Aに対して可動側梯子縦桟1Bが斜め下方に相対移動して横桟2が水平姿勢となる使用位置まで移動することが可能となる。そして、この梯子部3の使用位置への移動に伴って連結体5が可動側梯子縦桟1Bを建物壁面4に連結することにより、拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bを建物壁面4に対して拘束して梯子部3のぐらつきを防止することができ、避難用梯子装置を構造的に強固なものとすることができる。
【0010】
連結体5は、予め建物壁面4あるいは可動側梯子縦桟1Bの一方に設けられ、他方に形成される被連結部に対して梯子部3の移動方向を利用して係止等することにより梯子部3の移動に伴って連結状態となることが可能である。また、連結体5は、予め被連結部に連結可能な状態のまま形成してもよいが、収納効率を考慮して、例えば収納姿勢など被連結部との連結が不可能な非連結位置と、連結が可能な連結位置との間で移動自在に形成することが望ましい。この場合、連結体5の非連結位置から連結位置への移動のタイミングは、前述した可動側梯子縦桟1Bの下方への移動を利用することができる。
【0011】
すなわち、可動側梯子縦桟1Bの下方への移動ストロークを規制し、該可動側梯子縦桟1Bを吊下して使用位置に保持する吊り架台6を建物壁面4側に固定するとともに、可動側梯子縦桟1Bの吊り架台6への衝接に伴って連結体5を非連結位置から連結位置に駆動させる駆動手段7を設けることにより、可動側梯子縦桟1Bの下方への移動の際、すなわち梯子部3の収納位置から使用位置への移動に伴って連結体5を連結位置に移動させることができる。
【0012】
また、可動側梯子縦桟1Bの長さや剛性、重量等に応じて連結体5の設置個数や設置範囲などは適宜決定可能であるが、連結体5を複数個設ける場合には、全ての連結体5、5・・の非連結位置から連結位置への移動を連動させることにより取り扱いを容易にすることができる。加えて、施工を考慮すると連結体5は梯子部3側に設けることが望ましい。したがってこの場合、上記駆動手段7が、上下動により連結位置と非連結位置とに全ての連結体5、5・・を回転駆動可能な駆動伝達部7aと、可動側梯子縦桟1Bに上下動自在に設けられ、下方に移動する可動側梯子縦桟1Bに対して吊り架台6との衝接によって上方に相対移動して駆動伝達部7aを上昇させるトリガ部7bとを有することにより、可動側梯子縦桟1Bの使用位置への移動に伴って操作を要することなく全ての連結体5を確実に連結位置にすることができる。
【0013】
以上の梯子部3において、拘束側梯子縦桟1Aを垂直回転自在なリンク体8によって建物壁面4に対して連結して拘束した場合には、収納効率を更に高めることができる。この場合において、リンク体8の配置を横桟2の直交方向にすることにより、可動側梯子縦桟1Bの移動時における拘束側梯子縦桟1Aの拘束状態を確保することができる。
【0014】
また、リンク体8によって梯子部3は建物壁面4から離れた領域を使用位置とすることになるが、例えば、建物壁面4に開設された窓15に対して降下可能な間隔だけ離れた位置に横桟2を正対させた場合には、正面方向であるために避難者の乗り移り時の恐怖心を軽減させることができるとともに、降下の際に避難者の背中に建物壁面4を感じさせることで安心感を与えることもできる。さらに、この場合、梯子部3には、避難者の降下動作によって避難者の正対する方向、すなわち建物壁面4から離隔する方向への力が働くことになるが、前記連結体5によって梯子部3の建物壁面4からの離隔方向へのぐらつきを防止することができる。なお、前述した横桟2と建物壁面4との間隔は、これらの間の乗り移りが容易な程度、あるいは横桟2に乗り移った避難者の背中が建物壁面4に押し付けられる程度であり、具体的には40〜60cm位が望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1ないし図10に本発明の実施の形態を示す。図1は三階建ての建物に設置された本発明の避難用梯子装置の使用状態である。建物壁面4には各階に避難口となる引き違い戸が装着された窓15が設けられ、各階の窓の下部にはフック受け16が固定される。図1に示すように、避難用梯子装置は、拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bとの間に所定ピッチで横桟2を連結した梯子部3と、使用状態において梯子部3の上端を支持する吊り架台6とを備える。
【0016】
拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bは、建物の高さよりやや短い程度の長尺体であり、例えばアルミニウム材に押し出し加工を施して製せられる。拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bとに両端部が連結される横桟2は、避難者が両手両足を掛けて降下しやすい長さ、例えば50cm程度の直杆体であり、図4(a)に示すように、一端部を可動側梯子縦桟1Bに、他端部を拘束側梯子縦桟1Aに各々連結ピン17周りに垂直回転自在に連結されて上記建物壁面4に対して平行面内に回転自在に形成される。したがって梯子部3は、図6(a)に示すように横桟2が縦姿勢を取るときに可動側梯子縦桟1Bを拘束側梯子縦桟1Aに沿うようにして収納する収納位置をとり、図6(b)に示すように横桟2が水平姿勢を取るときに使用位置をとる。また、可動側梯子縦桟1Bと拘束側梯子縦桟1Aの上部には、避難用梯子装置の使用状態において吊り架台6に係止して使用位置の梯子部3を吊り架台6から吊り下げるための係止片18a、18bが各々外周方向に突出して形成される。なお、図1において横桟2の下方に配置される19は補助梯子桟であり、一端部を可動側梯子縦桟1Bに垂直回転自在に連結され、他端部を吊下ワイヤ20で最下端の横桟2’から吊り下げられることにより横桟2’の回転に伴って垂直・水平姿勢をとる。
【0017】
前述した拘束側梯子縦桟1Aには、横桟2の直交方向に複数のリンク体8、8・・の一端部が所定ピッチで垂直回転自在に連結される。このリンク体8の他端部は建物壁面4に固定される固定縦桟21に垂直回転自在、すなわち上記横桟2の回転面に対して直交面内に回転自在に連結され、拘束側梯子縦桟1Aは、リンク体8によって建物壁面に対して垂直方向に相対移動可能に形成されるとともに、平行方向に移動不能に拘束される。拘束側梯子縦桟1Aは、図5(b)に示すようにリンク体8が縦姿勢を取るときに固定縦桟21上に重ね合わせるようにして収納される退避位置をとり、図6(a)に示すようにリンク体8が水平姿勢を取るときに建物壁面4から飛び出して突出位置をとる。このリンク体8は避難者が手足を掛けれる程度の長さを有するが、梯子部3の長手方向におけるピッチを大きくすることで、本来の降下手段である横桟2による避難が促される。なお、図4(a)において17’はリンク体8と拘束側梯子縦桟1Aとの連結ピン、17”はリンク体8と固定縦桟21との連結ピンを表す。
【0018】
一方、吊り架台6は、建物の屋上に固定される倒コ字形状の一対の固定片22、22と、該固定片22、22間に垂直回転自在に連結される可動架台23とを有する。可動架台23は、枠内部に前述した可動側梯子縦桟1Bと拘束側梯子縦桟1Aの上部が挿通するガイド開口24を形成した枠状部材であり、図5(b)に示す建物壁面4からほぼ直角に突出する水平姿勢と、図5(a)に示す建物壁面4に沿う垂直姿勢との間で回転することができる。ガイド開口24は、図5(b)に示すように、水平姿勢において固定片22への連結基端から垂直方向に延びる飛び出し方向ガイド部24aと、飛び出し方向ガイド部24aの終端から直角方向に折れ曲がる水平方向ガイド部24bとを有して平面視L字形状に形成される。
【0019】
この可動架台23の垂直姿勢での維持は、各階の窓15近傍に配置される図外の操作部により解除可能な図外のストッパによりなされ、さらに、後述するように、使用状態における荷重負担を軽減するために、可動架台23と固定片22との間には補強リンク25が装着される。
【0020】
したがってこの実施の形態において、避難用梯子装置が収納状態の場合には、図4(a)に示すように、可動側梯子縦桟1Bが拘束側梯子縦桟1Aの側方から重なって梯子部3は収納位置となり、また、拘束側梯子縦桟1Aは、固定縦桟21に対して建物壁面4正面側から重なった退避位置となる。さらに、収納位置の梯子部3が建物壁面4に沿う姿勢は、図2に示すように、梯子部3の上部が垂直姿勢の吊り架台6によって建物正面側から抱えられることにより維持される。このように建物壁面4に沿って収納された姿勢では、避難用梯子装置は、建物壁面4からの突出寸法も小さく、邪魔になることはない。また、避難用梯子装置の収納位置は窓15の一側方であるため、窓15等を使用する際の障害とはならない。
【0021】
この状態から、火災等が発生した場合には、各階から上記操作部を操作してストッパを解除すると、先ず、図5(b)に示すように、吊り架台6の可動架台23が水平姿勢側に垂直回転する。次に、図6(a)に示すように、可動架台23の回転に伴って、該可動架台23により突出位置側への移動を規制されていた拘束側梯子縦桟1Aは支えを失って自重により突出位置側に移動する。拘束側梯子縦桟1Aは、リンク体8の水平姿勢側への回転を伴って退避位置から斜め下方に移動し、この後、図6(a)に示すように、リンク体8が水平姿勢となる下方への移動ストローク終端位置において、拘束側梯子縦桟1Aに設けられる係止片18aが可動架台23に係止して吊り架台6に吊り下げられた状態で保持される。これにより、以後の拘束側梯子縦桟1Aへの負荷は、可動架台23が負担する。
【0022】
以上のように、拘束側梯子縦桟1Aが飛び出し方向ガイド部24aに沿って移動している際には、可動側梯子縦桟1Bは、飛び出し方向ガイド部24aの側壁面により側方、すなわち、建物壁面4に対する平行方向への移動が規制されるために、拘束側梯子縦桟1Aとの接触状態をほぼ維持し、梯子部3は収納状態に保たれる。拘束側梯子縦桟1Aに追随して飛び出し方向ガイド部24a内を移動する可動側梯子縦桟1Bへの移動規制は、図6(a)に示すように、拘束側梯子縦桟1Aが突出位置に完全に移動し、可動側梯子縦桟1Bが水平方向ガイド部24bに面することにより解除され、この後、拘束側梯子縦桟1Aに対して相対移動する可動側梯子縦桟1Bは、図6(b)に示すように、水平方向ガイド部24b内を側方に移動し、梯子部3は使用位置に移動する。
【0023】
可動側梯子縦桟1Bの使用位置側への移動にも、可動側梯子縦桟1Bの自重が利用され、可動側梯子縦桟1Bに設けられた係止片18bが可動架台23に係止する下方への移動ストローク終端位置において、横桟2は水平姿勢となる。これにより、前述した拘束側梯子縦桟1Aと同様に、以後の可動側梯子縦桟1Bへの負荷は、可動架台23により負担される。
【0024】
この状態で、梯子部3は、図3に示すように、窓15に対して退避可能な所定間隔を隔てて正対し、窓15を開放した避難者は、そのまま正面の横桟2に乗り移り、背中を建物壁面4に向けた状態で梯子部3を降下することができる。
【0025】
また、横桟2に避難者が乗ったときの梯子部3への負荷は吊り架台6が負担し、建物壁面4は、不使用時における避難用梯子装置の支持荷重のみを負担できればよいために、建物壁面4の強度が高くなくても避難用梯子装置を設置することができる。
【0026】
さらに、横桟2は、両端部を支持する拘束側梯子縦桟1Aと可動側梯子縦桟1Bが上方の吊り架台6から吊り下げられて保持され、かつ、一端部を支持する拘束側梯子縦桟1Aが連結体5を介して建物壁面4に連結されているために、ぐらつきが少ない。加えて、可動側梯子縦桟1Bおよび拘束側梯子縦桟1Aは、建物壁面4より縦方向にやや短い長さであるため、下端が地面より上方に位置することから、地面にゴミ等が放置されていても、避難用梯子装置を収納状態から使用状態に展開することが可能である。
【0027】
また、この実施の形態において、避難用梯子装置はふれ止め部材(連結体5)を備える。ふれ止め部材5は、図1に示すように、上記フック受け16の設置ピッチと同一ピッチで可動側梯子縦桟1Bに取り付けられ、避難用梯子装置の使用状態においてフック受け16に係止して使用位置の可動側梯子縦桟1Bを建物壁面4に連結する。
【0028】
図7に示すように、ふれ止め部材5は、先端部にフック部5aを備えてリンク体8とほぼ同寸の直杆状に形成され、後部に設けられる軸部5bにより取付具26に垂直回転自在に保持されて該取付具26を介して可動側梯子縦桟1Bに取り付けられる。取付具26には回転規制部26aが設けられるため、ふれ止め部材5は、回転規制部26aに規制されて図8(a)に示す垂直姿勢から図8(b)に示す水平姿勢まで回転可能で、垂直姿勢において可動側梯子縦桟1B内に該可動側梯子縦桟1Aに長手方向が沿うように収納されてフック受け16と連結不能な非連結位置をとる。このふれ止め部材5の回転は、駆動手段7により駆動操作される。
【0029】
駆動手段7は、図8および図9に示すように、ブロック体27および線条体28からなる駆動伝達部7aとトリガ部7bとを有して可動側梯子縦桟1Bに設けられる。ブロック体27は、縦方向に長い長方体形状で、ふれ止め部材5に回転ピン30を介して該ふれ止め部材5を垂直回転可能にして連結される。回転ピン30は軸部5bより後方で長手方向に斜め上方、すなわちふれ止め部材5の連結・非連結位置のいずれにおいても軸部5bの回転軸より可動側梯子縦桟1B側となる位置でふれ止め部材5に挿通され、ブロック体27は、上下動によりふれ止め部材5を軸部5bを中心に回転駆動させる。このブロック体27は、図9に示すように、線条体28に止着子31で固定され、線条体28の上下動に従って可動側梯子縦桟1B内を上下動する。
【0030】
線条体28は、可動側梯子縦桟1B内に縦方向に挿通されるワイヤで、引っ張り部材29(図9においては引っ張りバネ)により下方に付勢されるとともに、上端にはトリガ部7bが連結される。
【0031】
トリガ部7bは、可動側梯子縦桟1Bの可動架台23との衝接面側から可動側梯子縦桟1Bの外方に突出する突出部34を有し、係止部18bの近傍である可動側梯子縦桟1Bの上端部に固定される保持具32に保持される。保時具32によるトリガ部7bの保持は、保持具32に設けられる縦長のガイド凹部32aにトリガ部7bのガイド片33を嵌合させることによりなされるため、トリガ部7bはガイド凹部32aに沿って上下に摺動可能で、可動側梯子縦桟1Bに対して上下に相対移動可能である。このトリガ部7bは、梯子部3の収納位置において、図8(a)および図9(a)に示すように、自重および引っ張り部材29による線条体28の下方への付勢によってガイド片33がガイド凹部32aの下端となる下方に位置する。このとき、トリガ部7bの突出部の下端34aは係止片18bよりも下方に位置し(図9(a)参照)、また、前記ブロック体27は引っ張り部材29により下方に引っ張られ、ふれ止め部材5は非連結姿勢を維持する。
【0032】
この状態から可動側梯子縦桟1Bの斜め下方への移動に伴ってトリガ部7bの突出部34が吊り架台6に衝接すると、以後の可動側梯子縦桟1Bの吊り架台6に対する下方への相対移動を利用してトリガ部7bはガイド凹部32aに案内されて上方に相対移動し、線条体28を引き上げる(図8(b)および図9(b)参照)。線条体28が上方に引っ張られることでブロック体27も上昇し、これによりふれ止め部材5は、連結位置まで強制的に下方に回転して開口部を建物壁面4側に配置した平面視コ字形状のフック受け16に上方からフック部5aを係止させる(図5(b)参照)。この状態において、ふれ止め部材5は、可動側梯子縦桟1Bに対し、建物壁面4に対する平行方向や離隔方向への移動規制をするほか、連結状態において水平姿勢をとるため、近接方向への移動も規制する。またこのとき、梯子部3は図4(b)に示すように、両端が建物壁面4に連結され、避難用梯子装置は平面視コ字形状となるために建物壁面4に対するぐらつきが完全に防止される。
【0033】
したがって、梯子部3は、建物壁面4に背を向けて降下する避難者が正対する方向への移動を含む水平方向へのぐらつきがふれ止め部材5により防止されるため、避難者は横桟2に容易に足を掛けて避難することができる。
【0034】
なお、この実施の形態においては、ふれ止め部材5を梯子部3の収納位置で非連結位置に維持するための引っ張り部材29として引っ張りバネが使用されるが、重り等を代用することも可能である。
【0035】
また、この使用状態の避難用梯子装置を収納状態に移行させる場合には、手動あるいはクレーン等によって可動側梯子縦桟1Bを斜め上方の収納位置側に引き上げると、トリガ部7bが吊り架台6との係止解除によって下降するため、引っ張り部材29によって常時非連結位置側の回転力が与えられている全てのふれ止め部材5、5・・は、連結位置から非連結位置に復帰する。なお、以降は上記手順と逆の手順によって梯子部3を収納状態に戻すことができる。
【0036】
図11および図12に本発明の他の実施の形態を示す。なお、この実施の形態において上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この実施の形態において、避難用梯子装置は、吊り架台6を有さず、可動側梯子縦桟1B、拘束側梯子縦桟1Aおよび固定縦桟21には横桟2やリンク体8の回転を縦姿勢から水平姿勢までに規制する図示しない規制部が形成される。したがって、可動側梯子縦桟1Bは横桟2の回転を伴って収納位置から使用位置までの範囲内で、拘束側梯子縦桟1Aはリンク体8の回転を伴って退避位置から突出位置までの範囲内で移動可能であり、図示しない操作部の解除によって梯子部3は建物壁面4に沿う収納位置から図12に示す使用位置まで自重を利用して移動する。
【0037】
また、ふれ止め部材5を上下動により回転駆動させる線条体28の上端は、図11に示すように、可動側梯子縦桟1B内に設けられる折り返しピン35によって下方に折り返され、横桟2に対して連結ピン17より端部2a側で連結される。したがって、この実施の形態において、可動側梯子縦桟1Bの使用位置への移動に伴って連結ピン17を中心として横桟2の端部2aが下方に回転すると、横桟2の端部2aの外周方向に沿って下方に引っ張られる線条体28は折り返しピン35で折り返されて実質的に上方に引き上げられ、これによりふれ止め部材5は非連結位置から連結位置まで強制的に回転する。この結果、避難用梯子装置は建物壁面4に対してコ字形状となり、避難時にぐらつきが生じることはない。
【0038】
なお、ふれ止め部材5の連結位置への回転は梯子部3の使用位置への移動に伴ってなされるため、この実施の形態においても前述した実施の形態と同様に、特段の操作を要することなく、同じタイミングで連結体5をフック受け16に係止させることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、移動可能に形成される梯子部の使用位置におけるぐらつきを防止することができ、避難時の二次災害の発生等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図2】収納状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図3】使用状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】図2、3の断面図で、(a)は図2の4A-4A線断面図、(b)は図3の4B-4B線断面図である。
【図5】吊り架台の動作を示す図で、(a)は可動架台が垂直姿勢にある状態を示す斜視図、(b)は可動架台が水平姿勢まで回転した状態を示す斜視図である。
【図6】梯子部の展開動作を示す図で、(a)はリンク体の展開動作を示す斜視図、(b)は横桟の展開動作を示す斜視図である。
【図7】連結体およびトリガ部の組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図8】連結体の回転機構を説明する斜視図である。
【図9】連結体の回転機構を説明する側面図である。
【図10】連結体の回転動作を説明する側面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を示す図で、連結体の回転機構を説明する要部斜視図である。
【図12】他の実施の形態の全体斜視図である。
【符号の説明】
1 梯子縦桟
1A 拘束側梯子縦桟
1B 可動側梯子縦桟
2 横桟
3 梯子部
4 建物壁面
5 連結体
6 吊り架台
7 駆動手段
7a 駆動伝達部
7b トリガ部
8 リンク体
Claims (3)
- 長尺状の拘束側梯子縦桟と該拘束側梯子縦桟に対して相対移動自在な長尺状の可動側梯子縦桟とに複数の横桟の両端部を垂直回転自在に連結して形成され、可動側梯子縦桟が拘束側梯子縦桟に沿う収納位置から斜め下方に移動した使用位置において横桟を水平姿勢に移行させる梯子部と、
前記拘束側梯子縦桟に対して横桟の直交方向で垂直回転自在に連結されて拘束側梯子縦桟を建物壁面に連結させ、回転に伴って拘束側梯子縦桟を建物壁面に対して退避位置と突出位置との間で移動させるリンク体と、
突出位置をとる前記拘束側梯子縦桟に沿う可動側梯子縦桟の使用位置への移動に伴って該可動側梯子縦桟を建物壁面に連結する連結体とを有し、
前記横桟は、使用状態において建物壁面に対して避難者が降下可能な間隔を隔てて正対し、
前記連結体は、可動側梯子縦桟に長手方向が沿うように収納される垂直姿勢から建物壁面に固定されたフック受けに係止する水平姿勢まで可動側梯子縦桟に垂直回転自在に設けられ、
梯子部の両側方をリンク体と連結体とにより建物壁面に連結して使用状態において平面視コ字形状に展開する避難用梯子装置。 - 前記可動側梯子縦桟の下方への移動ストロークを規制し、該可動側梯子縦桟を吊下して使用位置に保持する吊り架台と、
可動側梯子縦桟の吊り架台への衝接に伴って前記連結体を垂直姿勢から水平姿勢に駆動する駆動手段とを有する請求項1記載の避難用梯子装置。 - 前記可動側梯子縦桟には連結体が複数設けられるとともに、
前記駆動手段は、上下動により水平姿勢と垂直姿勢とに全ての連結体を回転駆動可能な駆動伝達部と、
可動側梯子縦桟に上下動自在に設けられ、下方に移動する可動側梯子縦桟に対して吊り架台との衝接によって上方に相対移動して駆動伝達部を上昇させるトリガ部とを有する請求項2記載の避難用梯子装置。
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WO2018131040A1 (en) * | 2017-01-11 | 2018-07-19 | Highnovate | Portable anchoring apparatus for buildings |
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