JP3960666B2 - ホーニング加工用内歯型砥石 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車のホーニング加工に用いられるホーニング加工用内歯型砥石の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のトランスミッション等に用いられる歯車は、ギヤノイズを低減するために、焼き入れ処理した後にホーニング加工が施されて歯面の傷やばりが除去されると共に歯面の精度が向上させられている。このようなホーニング加工を行うために、近年、比較的高い加工能率が得られる内歯型砥石を用いることが提案されている。特開平8−290355号公報に記載されている砥石はその一例である。
【0003】
図1は、上記ホーニング加工用内歯型砥石を用いて歯車にホーニング加工を施すホーニング加工装置の一例を説明する図で、ホーニング加工すべき歯車10を芯出しして回転可能に支持するワーク保持台12と、そのワーク保持台12を歯車10の軸方向へ所定ストロークだけ往復移動させるワーク駆動装置14と、歯車10と噛み合わされたホーニング加工用内歯型砥石16(以下、単に砥石16という)と、その砥石16を軸心まわりに回転駆動する砥石駆動装置18とを備えている。砥石16は、図2に示すようにリング形状を成しているとともに内周部に多数の内周歯17を備えており、歯車10に対して傾斜した姿勢で配設されて内周歯17が歯車10と噛み合わされるようになっている。そして、砥石駆動装置18によって砥石16を軸心まわりに回転駆動することにより、その砥石16と歯車10とを噛合回転させながら、ワーク駆動装置14によって歯車10を軸方向へ移動させることにより、その歯車10の歯にホーニング加工が施される。図2の(a) は、(b) におけるa−a断面を示す図である。
【0004】
上記砥石16は、図3に示すようにホルダ20に保持されるようになっている。ホルダ20は、砥石16が嵌入される取付穴22を有する円筒形状を成しており、ベアリング24を介してハウジング26に軸心まわりの回転可能に保持されている。取付穴22の内径寸法は、砥石16の外径寸法よりも僅かに大きい寸法とされており、砥石16の挿入を許容しつつ所定の芯出し精度が得られるようになっている。ホルダ20の一番奥の部分には、内向きフランジ28が設けられて砥石16の軸方向位置を規定するようになっているとともに、ホルダ20の手前側(砥石16の挿入側)の端面には複数(例えば6〜8個)の押え駒30がボルト32によって固定されるようになっており、砥石16は内向きフランジ28に当接させられた状態で押え駒30により移動不能にホルダ20に一体的に固定される。前記砥石駆動装置18は、ホルダ20を軸心まわりに回転駆動するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の砥石取付方法においては、必ずしも高い芯出し精度が得られず、芯ずれにより初期ツルーイングに時間がかかったりホーニング加工の精度が損なわれたりする問題があった。すなわち、取付穴内に砥石を挿入するために、それ等の間には必ず所定のはめあい公差が必要で、それに伴う芯ずれが避けられないとともに、芯出し精度を高くするためにはめあい公差を小さくすると、取付穴内へ砥石を嵌入する際にこじり等が生じて取付(嵌入)作業が困難になるのである。ホーニング加工に使用する内歯型砥石は、例えば外径が300mm〜400mm程度で厚さ(軸方向寸法)が20mm〜60mm程度と比較的大型であるため、着脱のために比較的大きなはめあい公差を必要とする。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、取付穴への砥石の取付作業性を損なうことなく砥石を高い芯出し精度でホルダに取り付けることができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段によりそのホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、(a) 前記外周面の全周に設けられた円環形状の配設溝と、(b) 一部が前記配設溝から外周側へ突き出すようにその配設溝に配設され、前記取付穴の内周面に係合させられることにより前記砥石をその内周面に対して略同心に芯出しするリング状の弾性変形可能な弾性部材とを有することを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明のホーニング加工用内歯型砥石において、前記弾性部材は、コイルの外径が前記配設溝の溝深さよりも大きいコイルスプリングで、その配設溝に沿ってリング状に湾曲して配設されていることを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第1発明または第2発明のホーニング加工用内歯型砥石において、(a) 前記弾性部材は、前記砥石の軸心を含む断面状態での形状が略円形を成すものであり、(b) 前記配設溝は、前記砥石の軸方向において前記弾性部材の直径寸法よりも十分に長い寸法を有するとともに、溝底面は、前記取付穴への取付状態においてその取付穴の開口側程溝深さが浅くなるテーパ面とされていることを特徴とする。
【0010】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかのホーニング加工用内歯型砥石において、前記弾性部材は、前記砥石の軸心まわりに略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所だけで、一部が前記配設溝から外周側へ突き出して前記取付穴の内周面に係合させられることを特徴とする。
第5発明は、円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段によりそのホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、軸心まわりにおいて略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所に配設され、それぞれ前記取付穴の内周面に弾性的に係合させられることにより前記砥石をその内周面に対して略同心に芯出しする弾性係合手段を有することを特徴とする。
【0011】
発明は、円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段によりそのホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、摩擦係数が小さくて滑り易いカーボン、ナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティング、またはそれ等と同程度の摩擦係数を有するものから成る滑り層が外周部の全周に設けられ、その滑り層によって前記外周面が構成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
第1発明では、外周面の全周に配設溝が設けられ、その配設溝に配設されたリング状の弾性部材が取付穴の内周面と係合させられることにより、砥石が取付穴に対して略同心に芯出しされる。これにより、砥石の芯ずれが抑制され、初期ツルーイング時間が短縮されるとともにホーニング加工の加工精度が向上するなどの効果が得られる。
【0013】
また、このように弾性部材によって芯出しされることから、所定の芯出し精度を維持しつつ外周面と取付穴とのはめあい公差を大きくすることが可能で、取付穴に対する砥石の着脱作業を容易且つ迅速に行うことができるようになる。砥石のこじりが抑制されることから、取付穴の摩耗も軽減される。
【0014】
また、配設溝のみを内周歯(或いは内周歯を加工する前の砥石内径)に対して所定の寸法精度で同心に加工すれば良く、それ以外の外周面については必ずしも高い寸法精度が要求されないため、外周面全体を高い寸法精度で加工する場合に比較して加工時間や加工コストを低減することも可能である。
【0015】
上記弾性部材としてコイルスプリングを用いる第2発明では、Oリング等のゴム製弾性部材に比較して摩擦が小さいとともに寸法精度が高いため、取付穴に対する砥石の着脱作業が一層容易であるとともに、製品毎のばらつきが少なくて高い信頼性が得られる。コイルエキスパンダー付オイルリングなど略全周に亘って線接触となる弾性部材に比較しても、コイルスプリングの場合は点接触になるため摺動抵抗が小さくて着脱作業が容易である。
【0016】
第3発明では、取付穴内へ砥石が嵌入されて弾性部材が取付穴の内周面に接触するようになると、その弾性部材は摩擦により砥石の軸方向へ転動させられるため、取付穴に対する砥石の取付作業が容易になる。また、弾性部材が配設された配設溝の溝底面は、取付穴への取付状態において取付穴の開口側、すなわち砥石挿入側程溝深さが浅くなるテーパ面とされているため、砥石嵌入時には、弾性部材は溝深さが浅くなる方へ転動させられ、次第に外周側へ押し出されて取付穴の内周面に強く押圧され、高い芯出し精度が得られる。
【0017】
発明では、軸心まわりにおいて略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所に配設された弾性係合手段がそれぞれ取付穴の内周面に弾性的に係合させられることにより、砥石が取付穴に対して略同心に芯出しされるため、砥石の芯ずれが抑制されて初期ツルーイング時間が短縮されるとともに、所定の芯出し精度を維持しつつ外周面と取付穴とのはめあい公差を大きくすることが可能で、取付穴に対する砥石の着脱作業を容易且つ迅速に行うことができるようになるなど、第1発明と同様の効果が得られる。
【0018】
発明では、摩擦係数が小さくて滑り易いカーボン、ナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティング、またはそれ等と同程度の摩擦係数を有するものから成る滑り層が外周部の全周に設けられ、その滑り層によって外周面が構成されているため、芯出し精度を高くするためにはめあい公差を小さくしても、こじりを生じることなく比較的容易に砥石をホルダに対して着脱できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
ここで、砥石が嵌入されるホルダは、例えば砥石の両端面に当接させられて挟圧することにより一体的に固定する固定手段(図3のホルダ20における内向きフランジ28および押え駒30など)を有して構成される。第発明の砥石については、滑り層よりも内周側の剛性が高い部分(砥石或いは金属など)で固定手段によりホルダに固定されるようにすることが望ましい。
【0020】
本発明の砥石は、全体が砥石層で構成されていても良いが、前記特開平8−290355号公報に記載の砥石のように、内周歯が設けられた内周部のみを砥石層にて構成し、外周部は炭素鋼等の剛性の高い金属材料などで構成することも可能である。外周部が金属材料にて構成されている場合は、その金属材料に配設溝を形成するなどして弾性部材や弾性係合手段を配設すれば良い。第発明の砥石については、外周部に金属材料などが設けられている場合、その外周側に滑り層を設ければ良い。
【0021】
第1発明の弾性部材としては、Oリング等のゴム製リング、コイルスプリング、コイルエキスパンダー付オイルリングなどが好適に用いられる。第2発明のコイルスプリングとしては、ばね鋼などから成る金属製のものが好適に用いられるが、合成樹脂製のコイルスプリングを使用することも可能である。第3発明の断面が略円形の弾性部材としては、上記Oリング等のゴム製のリングや、コイルスプリングなどが好適に用いられる。
【0022】
上記弾性部材は、全周に亘って配設溝から一部が外周側へ突き出すものでも良いが、弾性部材に部分的に突部(大径部などを含む)を設けたり配設溝の溝深さを部分的に浅くしたりすることにより、略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所だけで、弾性部材が配設溝から突き出して取付穴と係合するようにしても良い。
【0023】
第3発明では、配設溝の溝底面がテーパ面とされているが、第1発明の実施に際しては軸心と平行な円筒面であっても良い。その場合でも、断面が略円形の弾性部材は転がり接触させられるため、ホルダに対する脱着作業が容易になる。
【0024】
発明の弾性係合手段としては、例えば敷居の溝に貼り付けて使用される表面が滑らかな敷居すべりなどの合成樹脂シートを、クッション機能を有する両面接着テープなどで砥石の外周面に貼り付けたものが用いられるが、外周面のうち、軸心まわりにおいて略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所に配設溝を形成し、その配設溝内に、一部が外周側へ突き出すようにゴム製のボールやローラ、或いはコイルスプリングなどの弾性部材を弾性係合手段として配設するようにしても良い。弾性係合手段としては更に、配設溝内に弾性体製のホルダを配設し、通常は一部が配設溝から突き出す剛性の高いボールやローラなどの係合部材を、弾性体製ホルダによって配設溝内への押込み可能に保持するようにしたものでも良い。更に、第3発明のように溝底面が傾斜した所定長さの配設溝を形成し、断面が略円形の弾性部材、或いは係合部材を転動可能且つリテーナなどにより脱落不能に配設するようにしても良い。
【0025】
第1発明〜第発明における配設溝や弾性部材、弾性係合手段の砥石軸方向における配設位置は、軸方向の中央部、或いは取付穴の奥側、開口側など適宜設定される。砥石の軸方向に離間して複数配設すれば、着脱時における砥石の姿勢が安定する。
【0026】
発明の滑り層としては、カーボンやナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティングなどが好適に用いられる。滑り層は、必ずしも一定の厚さで設けられる必要はなく、軸心まわりにおいて略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所を外周側へ突出させ、その突出部のみが取付穴の内周面に係合させられるようにしても良い。第1発明〜第発明においても、前記弾性部材や弾性係合手段の弾性変形で砥石外周面と取付穴内周面とが接触する場合があるため、砥石外周面のうち配設溝や弾性係合手段の配設位置以外の部分に摩擦係数が低い滑り層を設けることが望ましく、それも第発明の一実施形態である。
【0027】
また、本発明は、歯が軸心に対して傾斜したはすば歯車や歯が軸心と平行な平歯車など、種々の歯車のホーニング加工用内歯型砥石に適用される。
【0028】
なお、本発明では砥石側に弾性部材や弾性係合手段、或いは滑り層が設けられるが、それ等をホルダ側に配設する(本発明には含まれない)ことも可能である。
【0029】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図4および図5は、第1、第2発明の実施例であるホーニング加工用内歯型砥石(以下、単に砥石という)40を説明する図で、図4の(a) は正面図、(b) は側面図、図5は図4(a) のV−V断面を示す図である。砥石40は、円筒形状の外周面42と多数の内周歯44とを有するリング形状を成しており、例えば外径がφ300mm程度、内径がφ250mm程度、幅(軸方向の長さ)が40mm程度の寸法とされている。内周歯44は、軸心に対して傾斜しているはすばであり、この砥石40は、自動車のトランスミッション等に用いられるはすば歯車をホーニング加工するためのもので、前記図1〜図3のホーニング加工装置のホルダ20に前記砥石16の代わりに取り付けられて使用される。なお、砥石40の内径は、内周歯44の歯先を通る円筒面の直径である。
【0030】
砥石40は、例えば♯180程度の溶融アルミナ系砥粒がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂により結合されて成るものであり、弾性率は200Pa程度、熱膨張係数は25×10-6/℃程度の特性を有するものである。この弾性率すなわち結合剤の種類は、歯車をホーニング加工した際にその歯車の歯面が形状を損なわれず且つ可及的に滑らかになるように定められている。
【0031】
一方、この砥石40の外周面42には、その軸方向の略中央に断面が矩形の配設溝46が全周に亘って設けられており、その配設溝46内には金属製のコイルスプリング48がリング状に湾曲して配設されている。コイルスプリング48は弾性変形可能な弾性部材に相当するもので、自然状態における外径は配設溝46の溝深さよりも大きくて一部が配設溝46から外周側へ突き出し、前記ホルダ20に対する着脱時にその取付穴22の内周面に弾性的に係合させられることにより、砥石40を取付穴22に対して略同心に芯出しする。コイルスプリング48の突出量は、その弾性の大きさや取付穴22の内径と砥石40の外径との寸法公差などによっても異なるが、例えば0.2mm程度とされている。コイルスプリング48は、所定長さの1本のコイルスプリングにて構成しても良いが、複数のコイルスプリングの端部を繋いで配設することも可能である。
【0032】
このような砥石40の製造方法の一例を説明すると、先ず、例えば図6に示されているように外型50および内型52を回転テーブル54上に同心に載置して、その回転テーブル54を回転させながら砥石材料を流し込み、成形して加熱、焼成した後、脱型することにより砥石粗材56を製造する。その後、軸心回りに回転させながら外周研削および溝加工を行って、前記外周面42および配設溝46を形成した後、その配設溝46内にコイルスプリング48を配設して前記ホーニング加工装置のホルダ20に取り付け、前記歯車10の代わりにドレッサを取り付けて内周歯44のツルーイングを行う。配設溝46の加工には、ダイヤモンド焼結体バイトやダイヤモンド砥石が好適に用いられる。なお、砥石粗材56の段階では内周歯44を備えておらず、外周面42および配設溝46を加工した後に、その外周面42や配設溝46を基準として内周研削するとともに、内周歯44を加工するようにしても良い。また、実際に歯車10にホーニング加工を行う図1のホーニング加工装置とは別の装置を用いて内周歯44のツルーイングを行うことも可能である。
【0033】
このような本実施例の砥石40においては、配設溝46に配設されたリング状のコイルスプリング48が取付穴22の内周面と係合させられることにより、砥石40が取付穴22に対して略同心に芯出しされる。これにより、砥石40の芯ずれが抑制され、初期ツルーイング時間が短縮されるとともにホーニング加工の加工精度が向上するなどの効果が得られる。初期ツルーイング時間が短縮されることから、ドレッサ(ツルーイング工具)の使用量や砥石40のツルーイング量が減少し、それ等の寿命が長くなる。
【0034】
また、このようにコイルスプリング48によって芯出しされることから、所定の芯出し精度を維持しつつ外周面42と取付穴22とのはめあい公差を大きくすることが可能で、取付穴22に対する砥石40の着脱作業を容易且つ迅速に行うことができるようになる。砥石40のこじりが抑制されることから、取付穴22の摩耗も軽減される。
【0035】
また、配設溝46のみを内周歯44或いは内周歯44を加工する前の砥石内径に対して所定の寸法精度で同心に加工すれば良く、それ以外の外周面42については必ずしも高い寸法精度が要求されないため、外周面42全体を高い寸法精度で加工する場合に比較して加工時間や加工コストを低減することも可能である。
【0036】
更に、本実施例では弾性部材としてコイルスプリング48が用いられているため、Oリング等のゴム製弾性部材に比較して摩擦が小さいとともに寸法精度が高いため、取付穴22に対する砥石40の着脱作業が一層容易であるとともに、製品毎のばらつきが少なくて高い信頼性が得られる。コイルエキスパンダー付オイルリングなど略全周に亘って線接触となる弾性部材に比較しても、コイルスプリング48の場合は点接触になるため摺動抵抗が小さくて着脱作業が容易である。
【0037】
図13の(a) は、コイルスプリング48として外径が8.0mm、線径が0.6mmのSSS(昌和発条製作所)製の右巻きサンエス(SSS)標準ばねを用いて、図14のように変位センサ58によりフレ測定を行った結果で、点線はコイルスプリング48が無い場合で、実線はコイルスプリング48が有る場合である。図14のワークWは、内外周面が何れも円筒形状で、外径がφ299.90mm、内径がφ250mm、幅(軸方向の長さ)が40mmのリング状の砥石で、その組成は前記実施例の砥石40と同じであり、コイルスプリング48を配設する配設溝46の溝深さは8mmである。また、ホルダ20の取付穴22の内径はφ300.05mmである。そして、ワークWをホルダ20の取付穴22内に嵌入して押え駒30により一体的に固定し、ホルダ20をその軸心まわりに回転させながら、内周面Winの内周側への変位(フレ)を+、外周側への変位(フレ)を−として測定したもので、コイルスプリング48を配設することにより最大変位(芯ずれ)が約1/2になる。
【0038】
なお、測定位置0°(360°)の場所は、ホルダ20への取り付け時において鉛直方向の真下に位置する部分で、特にコイルスプリング無しの場合はワークW自身の重量によりワークWは下方へ変位した位置でホルダ20に固定されるため、ホルダ20の回転に伴って全体として+側、すなわち内周側へ変位する。このことは、他の測定結果(b) 、(c) についても同じである。
【0039】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0040】
図7の(a) 〜(d) は何れも前記実施例の図5に相当する図で、弾性部材としてコイルスプリング48が用いられている別の実施例である。図7の(a) に示す砥石60は第3発明の実施例で、外周面42に形成された配設溝62が、砥石60の軸方向において前記コイルスプリング48の直径寸法よりも十分に長い寸法を有するとともに、その配設溝62の溝底面64は、前記取付穴22への取付状態において取付穴22の開口側、すなわち砥石挿入側で図7における右側程溝深さが浅くなるテーパ面とされている。コイルスプリング48は、砥石60の軸心を含む断面状態、すなわち図7に示す状態での形状が円形で、実線で示すように配設溝62の最も深い位置でも外周部が配設溝62から僅かに突き出すようになっている。その突出寸法は、実線で示すように最も深い位置で例えば0.05mm程度、一点鎖線で示すように最も浅い位置で例えば0.25mm程度である。
【0041】
このような砥石60においては、図7の左方向へ砥石60を移動させてホルダ20の取付穴22内へ嵌め入れる際に、コイルスプリング48が取付穴22の内周面に接触するようになると、そのコイルスプリング48は摩擦により砥石60の軸方向、具体的には図7の右方向へ相対的に転動させられるため、取付穴22に対する砥石60の取付作業が容易になる。また、配設溝62の溝底面64は、取付穴22への取付状態において取付穴22の開口側、すなわち砥石挿入側程溝深さが浅くなるテーパ面とされているため、砥石嵌入時には、コイルスプリング48は溝深さが浅くなる方へ転動させられ、次第に外周側へ押し出されて取付穴22の内周面に強く押圧され、高い芯出し精度が得られる。
【0042】
図7の(b) に示す砥石66は、前記特開平8−290355号公報に記載されているように、内周歯44が設けられた内周部のみが砥石層68にて構成され、外周部はS45C調質鋼等の炭素鋼から成る外側リング部材70にて構成されており、前記配設溝46は外側リング部材70の外周面に形成されている。砥石層68は前記砥石40と同じ材質で、エポキシ樹脂等の接着剤により外側リング部材70に一体的に固定されている。外側リング部材70は、例えば弾性率が2000Pa程度、熱膨張係数が10×10-6程度で、その外周面は寸法公差が±0.01mm程度で平滑な表面に仕上げられている。
【0043】
上記外側リング部材70は、砥石に比べて高い寸法精度が得られるため、寸法誤差に基づくはめあい公差を小さくすることが可能で、それだけホルダ20に対する砥石66の芯出し精度を高くすることができる。また、外側リング部材70によって砥石層68の変形が抑制されるため、内周歯44のツルーイングやドレッシングを高い精度で効率良く行うことができる。
【0044】
図7の(c) に示す砥石72は、前記砥石40の外径寸法を多少小さくして、その外周面にカーボンやナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティングなどから成る摩擦係数が小さい滑り層74を設けた場合で、その滑り層74によって砥石72の外周面76が構成されている。このようにすれば、コイルスプリング48の弾性変形で外周面76が取付穴22の内周面に接触しても、摩擦係数が小さいためこじりを生じることなく砥石72が取付穴22内に嵌め入れられる。この砥石72は、第1発明、第2発明、第発明の実施例である。
【0045】
図7の(d) に示す砥石78は、軸方向に離間して略平行に2本の配設溝48を設けて、それぞれにコイルスプリング48を配設した場合である。このようにすれば、砥石78を取付穴22内に嵌め入れる際の砥石78の姿勢が安定するため、砥石78をホルダ20に対して一層容易に着脱できるようになる。
【0046】
なお、詳しい説明は省略するが、図7の(a) 、(b) 、(c) 、(d) の技術を組み合わせて実施することも可能である。
【0047】
図8の(a) および(b) は何れも前記図5に相当する図で、(a) の砥石80は弾性部材としてコイルエキスパンダー付オイルリング82が用いられた場合、(b) の砥石84は弾性部材としてOリング86が用いられた場合であり、何れも自然状態において外周部が外周面42から所定寸法だけ外周側へ突き出している。配設溝は、それ等の弾性部材の外周部が縮径可能で、且つ脱落しないように設けられており、これ等の場合においても、それ等の弾性部材82、86の芯出し作用により砥石80、84の芯ずれが抑制され、初期ツルーイング時間が短縮されるとともに、所定の芯出し精度を維持しつつ外周面42と取付穴22とのはめあい公差を大きくすることが可能で、取付穴22に対する砥石80、84の着脱作業を容易且つ迅速に行うことができるなどの効果が得られる。これ等の砥石80、84は、何れも第1発明の実施例である。
【0048】
図13の(c) は、上記Oリング86としてNKN(日近)のG280、硬度70°、太さφ5.6mm、ニトリルゴム製を配設したものを、図14のようにホルダ20に取り付けて変位センサ58によりフレ測定を行った結果で、点線はOリング86が無い場合で、実線はOリング86が有る場合である。この場合のワークWの寸法や組成は図13の(a) の試験時と同じで、Oリング86を配設する配設溝の溝深さは5.5mmである。図13の(c) の測定結果から明らかなように、Oリング86を配設することにより最大変位(芯ずれ)が小さくなる。
【0049】
なお、図8の砥石80、84についても、図7の(b) 〜(d) の技術を適用できるし、砥石84については、図7の(a) の技術を適用することも可能である。
【0050】
図9のOリング90は、図8(b) のOリング86の別の態様で、略120°間隔で位置する3箇所に大径部92が設けられ、自然状態においてその大径部92のみが外周面42よりも外周側へ突き出して取付穴22の内周面と係合させられるようになっている。この場合には、全周で取付穴22の内周面に接触するOリング86に比べて接触長さが短くなるため、摺動抵抗が小さくなって着脱が容易になる。このようなOリング90を用いた砥石、第発明の実施例である。
【0051】
なお、弾性部材としてコイルスプリングを用いる場合も、部分的にコイル径を大きくすることにより、同様の作用効果が得られる。コイルエキスパンダー付オイルリングの場合は、部分的に外周側へ突き出す突出部などを設ければ良い。また、弾性部材の太さを部分的に変える代わりに、配設溝の溝深さを部分的に変えたり、配設溝にスペーサを部分的に設けたりすることにより、同じ太さの弾性部材(コイルスプリング48やOリング86)であっても、部分的に配設溝から外周側へ突き出すようにすることが可能である。
【0052】
図10の砥石94は第発明の実施例で、外周面42の全周に亘って比較的浅い環状溝98が設けられているとともに、その環状溝98内のうち軸心まわりにおいて略120°間隔で位置する3箇所に弾性係合手段100が設けられている。弾性係合手段100は、表面が滑らかな合成樹脂シート102を、クッション機能を有する両面接着テープ104によって環状溝98の溝底に貼り付けたもので、合成樹脂シート102の上面は環状溝98から僅かに外周側へ突き出し、ホルダ20に対する着脱時に取付穴22の内周面と係合させられるようになっている。合成樹脂シート102は、敷居の溝に貼り付けて使用される敷居すべりで、表面にはすべり方向と平行に凹凸が形成されており、その凹凸が砥石94の軸心と平行、言い換えればホルダ20に対して砥石94を着脱する際の相対移動方向と平行になる姿勢で貼り付けられている。なお、図10の(a) は砥石94の軸心と直角な断面の一部を示す図で、(b) は(a) の左側から見た側面図である。
【0053】
このような砥石94においては、等角度間隔で位置する3箇所に配設された弾性係合手段100の合成樹脂シート102がそれぞれ取付穴22の内周面に弾性的に係合させられることにより、砥石94が取付穴22に対して略同心に芯出しされるため、砥石94の芯ずれが抑制されて初期ツルーイング時間が短縮されるとともに、所定の芯出し精度を維持しつつ外周面42と取付穴22とのはめあい公差を大きくすることが可能で、取付穴22に対する砥石94の着脱作業を容易且つ迅速に行うことができるようになるなど、前記実施例と同様の効果が得られる。
【0054】
なお、図7(b) の砥石66のように砥石層68および外側リング部材70を有する砥石に適用することもできるし、外周面42に図7(c) の滑り層74などを設けることも可能である。
【0055】
図13の(b) は、上記弾性係合手段100として川口技研の敷居すべりS型(ポリエチレン製)を厚さ1mmの両面接着テープで接着したものを、図14のようにホルダ20に取り付けて変位センサ58によりフレ測定を行った結果で、点線は弾性係合手段100が無い場合で、実線は弾性係合手段100が有る場合である。この場合のワークWの寸法や組成は図13の(a) の試験時と同じで、弾性係合手段100が貼り付けられる環状溝98の溝深さは0.9mmである。図13の(b) の測定結果から明らかなように、弾性係合手段100を設けることにより最大変位(芯ずれ)が小さくなる。なお、弾性係合手段100の配設位置は、測定位置の60°、180°、300°の3箇所である。
【0056】
図11の砥石106は第発明の実施例で、前記図7(b) の砥石66のように砥石層68および外側リング部材70を有する場合であり、その外側リング部材70の外周面108には、軸心まわりにおいて略120°間隔で位置する3箇所に配設溝(穴)110が設けられ、それぞれに弾性係合手段112が配設されている。弾性係合手段112は、ポリエチレン等の弾性変形可能な弾性体製のホルダ114と、その弾性体製ホルダ114に保持された2個の剛球116とから成り、弾性体製ホルダ114は接着剤などにより配設溝110内に離脱不能に取り付けられている。剛球116は係合部材に相当し、その一部が配設溝110から突き出し、ホルダ20に対する着脱時に取付穴22の内周面と係合させられるとともに、弾性体体ホルダ114の弾性変形で配設溝110内へ押込み可能とされている。なお、図11の(a) は砥石106の軸心と直角な断面の一部を示す図で、(b) は(a) の左側から見た側面図である。
【0057】
このような砥石106においても、等角度間隔で位置する3箇所に配設された弾性係合手段112の剛球116がそれぞれ取付穴22の内周面に弾性的に係合させられることにより、砥石106が取付穴22に対して略同心に芯出しされるため、前記実施例と同様の効果が得られる。
【0058】
なお、外側リング部材70を備えていない砥石に適用することもできるし、外周面108に図7(c) の滑り層74などを設けることも可能である。
【0059】
図12の(a) は前記図5に相当する図で、この砥石120は第発明の実施例であり、外周部にカーボンやナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティングなどから成る摩擦係数が小さい滑り層122が全周に亘って設けられ、その滑り層122によって砥石120の外周面124が構成されている。砥石部分は前記砥石40と略同じで、滑り層122の厚さと略同じ寸法だけ外径寸法が小さくされている。
【0060】
このような砥石120においては、摩擦係数が小さくて滑り易い滑り層122が外周部の全周に設けられ、その滑り層122によって外周面124が構成されているため、芯出し精度を高くするためにはめあい公差を小さくしても、こじりを生じることなく比較的容易に砥石120をホルダ20に対して着脱できる。
【0061】
図12の(b) 、(c) の砥石126、130は、上記砥石120に比較して、滑り層122の肉厚を薄くして部分的に外周側へ突き出す突出部128、132を設けたもので、それ等の突出部128、132の先端外径寸法を基準にしてはめあい公差が定められている。(b) の突出部128は、軸方向の中央部分に周方向へ全周に亘って設けられており、(c) の突出部132は、軸心まわりに略等角度間隔で位置する3箇所に軸心と略平行に設けられている。
【0062】
以上、本発明の幾つかの実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され得る。
【0063】
例えば、前記実施例では、溶融アルミナ系砥粒が熱硬化性樹脂により結合された砥石について説明したが、共溶融アルミナ・ジルコニア砥粒や、微結晶性焼結アルミナ砥粒、焼結アルミナ砥粒、炭化ケイ素砥粒、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒等の種々の砥粒が用いられ得るし、結合剤としては、実施例で示したエポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂や、ポリエステル樹脂など種々のものが用いられ得る。
【0064】
また、前述の実施例においては、外側リング部材70としてS45C調質鋼等の炭素鋼が用いられていたが、砥石よりも高い弾性率を有する種々の材料が好適に用いられ得る。例えば、ステンレス、工具鋼、軸受鋼等の特殊鋼や、アルミニウム合金等の他の金属材料、或いは、FRP等も用いられ得る。但し、使用時の外径の変化を防止するためには、熱膨張係数が砥石よりも小さい材料であることが好ましく、実施例で用いた炭素鋼や特殊鋼等が好ましい。
【0065】
また、前記図1〜図3に示すホーニング加工装置や加工方法はあくまでも一例で、少なくともホーニング加工用内歯型砥石をホルダの取付穴内に嵌入して一体的に固定した状態で、歯車にホーニング加工を行うものであれば良い。
【0066】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホーニング加工装置の一例の全体構成を説明する概略図である。
【図2】図1のホーニング加工装置でホーニング加工を行う際のホーニング加工用内歯型砥石と被加工物である歯車との位置関係を示す図である。
【図3】図1のホーニング加工装置のホーニング加工用内歯型砥石付近を示す断面図である。
【図4】第1発明の一実施例であるホーニング加工用内歯型砥石を示す図で、(a) は軸方向から見た正面図、(b) は外周側から見た側面図である。
【図5】図4の(a) におけるV−V断面を示す図である。
【図6】図4のホーニング加工用内歯型砥石の製造方法の一例を説明する図である。
【図7】弾性部材としてコイルスプリングが用いられているホーニング加工用内歯型砥石の別の実施例を説明する断面図である。
【図8】弾性部材としてコイルエキスパンダー付オイルリング、Oリングが用いられているホーニング加工用内歯型砥石の実施例を説明する断面図である。
【図9】Oリングの一部を部分的に大径とした例を示す図である。
【図10】 第発明の実施例を説明する図で、(a) は軸心と直角な部分断面図で、(b) は(a) を左側から見た側面図である。
【図11】 第発明の別の実施例を説明する図で、(a) は軸心と直角な部分断面図で、(b) は(a) を左側から見た側面図である。
【図12】 第発明の3つの実施例を説明する図で、(a) 、(b) は軸心と平行な部分断面図、(c) は軸心と直角な部分断面図である。
【図13】本発明の効果を具体的に説明する試験結果を示す図である。
【図14】図13の試験方法を説明する図である。
【符号の説明】
20:ホルダ
22:取付穴
40、60、66、72、78、80、84、94、106、120、126、130:ホーニング加工用内歯型砥石
42、76、108、124:外周面
44:内周歯
46、62:配設溝
48:コイルスプリング(弾性部材)
64:溝底面
74、122:滑り層
82:コイルエキスパンダー付オイルリング(弾性部材)
86、90:Oリング
100、112:弾性係合手段

Claims (6)

  1. 円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段により該ホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、
    前記外周面の全周に設けられた円環形状の配設溝と、
    一部が前記配設溝から外周側へ突き出すように該配設溝に配設され、前記取付穴の内周面に係合させられることにより前記砥石を該内周面に対して略同心に芯出しするリング状の弾性変形可能な弾性部材と
    を有することを特徴とするホーニング加工用内歯型砥石。
  2. 前記弾性部材は、コイルの外径が前記配設溝の溝深さよりも大きいコイルスプリングで、該配設溝に沿ってリング状に湾曲して配設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のホーニング加工用内歯型砥石。
  3. 前記弾性部材は、前記砥石の軸心を含む断面状態での形状が略円形を成すものであり、
    前記配設溝は、前記砥石の軸方向において前記弾性部材の直径寸法よりも十分に長い寸法を有するとともに、溝底面は、前記取付穴への取付状態において該取付穴の開口側程溝深さが浅くなるテーパ面とされている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のホーニング加工用内歯型砥石。
  4. 前記弾性部材は、前記砥石の軸心まわりに略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所だけで、一部が前記配設溝から外周側へ突き出して前記取付穴の内周面に係合させられる
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のホーニング加工用内歯型砥石。
  5. 円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段により該ホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、
    軸心まわりにおいて略等角度間隔で位置する3箇所以上の複数箇所に配設され、それぞれ前記取付穴の内周面に弾性的に係合させられることにより前記砥石を該内周面に対して略同心に芯出しする弾性係合手段を有する
    ことを特徴とするホーニング加工用内歯型砥石。
  6. 円筒形状の外周面と多数の内周歯とを有するリング形状を成し、ホーニング加工装置のホルダの取付穴内に嵌入された状態で、固定手段により該ホルダに対して移動不能に一体的に固定されるとともに、前記内周歯がホーニング加工すべき歯車と噛み合わされて噛合回転させられることによりホーニング加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、
    摩擦係数が小さくて滑り易いカーボン、ナイロン樹脂、テフロン(米国デュポン社の商品名)、モリブデンコーティング、またはそれ等と同程度の摩擦係数を有するものから成る滑り層が外周部の全周に設けられ、該滑り層によって前記外周面が構成されている
    ことを特徴とするホーニング加工用内歯型砥石。
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