JP3960590B2 - 液体急結剤用組成物、液体急結剤、吹付け材、及びこれを用いた吹付け工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネル、並びに法面において、露出した地山面に急結性のセメントコンクリートを吹付ける際に使用する液体急結剤用組成物、液体急結剤、吹付け材、及びこれを用いた吹付け工法に関する。
【0002】
また、本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートの総称である。なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0003】
【従来の技術とその課題】
従来、トンネルの掘削作業等において露出した地山の崩落を防止するために、粉体の急結剤をコンクリートに混合した急結性コンクリートを吹付ける工法が用いられている(特公昭60−4149号公報、特開平9−19910号公報、及び特開平10−87358号公報等)。
【0004】
これらの吹付け工法で使用する粉体の急結剤としては、カルシウムアルミネートを主成分とし、1A族元素のアルミン酸塩又は硫酸アルミニウム等を混合したものが使用されていた。
【0005】
しかしながら、安全性の面で、アルミン酸の1A元素塩、アルミン酸カルシウム、及び1A族元素の炭酸塩等を主成分とした粉体の急結剤よりも低pH値のもので、弱アルカリ性〜酸性、好ましくは中性又は弱酸性の急結剤が求められていた。
【0006】
粉体の急結剤は、一部がセメントコンクリートに充分に混合されず、そのまま粉塵として吐出されるため、施工現場付近の粉塵量が増し、作業環境上好ましくない場合があった。また、粉体の急結剤は、現場にて粉体圧送装置に急結剤を解袋する時にも粉塵の問題が発生することがある。
【0007】
粉体の急結剤は、粉体圧送装置からセメントコンクリート圧入の場所までの距離が長距離になる場合、粉体とエアーの混合によって圧送するために材料の定量精度が液体急結剤と比較すると劣り、均一な吹付け材とする場合には圧送距離を短くしなければならず、また、圧送ホースの直径を最適化する必要がある等、施工システムの制約を受ける場合があった。
【0008】
また、液体急結剤として硫酸アルミニウム等を主成分とするものが知られている(特開2000-219553号公報等)。しかしながら、凝結性状に問題があるため、岩盤の脆いトンネル坑内で厚吹きした場合には剥落の危険性が高かった。
【0009】
本発明者らは、以上の状況を鑑み、前記課題を解消すべく種々検討した結果、特定の吹付け材が▲1▼吹付時の粉塵量を低減し、▲2▼リバウンド率を低減することができる、▲3▼アルカリによる人体への害がなく、▲4▼定量性が良く、▲5▼凝結性状が良い、▲6▼圧送性が良い、という長所を有するという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、アルミニウム、イオウ、フッ素、及び1A族元素の4元素成分、並びにアミノアルコール化合物を成分として含有し、かつ、SO3換算のイオウ100部に対して、アルミニウムをAl2O3換算で25〜110部、元素換算のフッ素を2.5〜50部、1A族元素を酸化物換算で2.5〜50部、及びアミノアルコール化合物を1〜50部含有することを特徴とするpH6以下の液体急結剤(但し、「液体急結剤に含有される全成分の合計量に対してアルカリが Na 2 O 換算で 1 %以下であるもの」を除く)であり、Al2O3換算のアルミニウムの含有量、SO3換算のイオウの含有量、元素換算のフッ素の含有量、及びアミノアルコール化合物の含有量の合計が液体急結剤中25〜40%であることを特徴とする該液体急結剤であり、該液体急結剤及びセメントコンクリートを含有する吹付け材であり、該吹付け材を用いることを特徴とする吹付け工法である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本液体急結剤用組成物はアルミニウム(Al)、イオウ(S)、フッ素(F)の3元素成分、及びアミノアルコール化合物(N)を化合物成分として含有することを特徴とする組成物である。たとえば、水酸化アルミニウム(Al)、イオウ華(S)、フッ化カルシウム(F)、及び2-ジエチルアミノエタノール(N)を含有する組成物のように上記3元素及びアミノアルコール化合物を含むことを特徴とするものである。
【0012】
また、本液体急結剤用組成物において、アルミニウム、イオウ、及びフッ素の3元素成分、並びにアミノアルコール化合物の各成分を、2種類以上含む化合物を用いても良い。たとえば、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン(F,N)及び硫酸アルミニウム(Al,S)を含む組成物であってもよい。
【0013】
本発明におけるアルミニウムの供給原料は特に限定されるものではないが、アルミニウムの硫酸塩、アルミン酸塩、及びその他の無機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、並びにアルミニウム錯体が挙げられる。
【0014】
アルミニウムの硫酸塩としては、アンモニウム明礬、ヒドロキシ硫酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム等が挙げられる。
【0015】
アルミン酸塩としてはアルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウム、及びアルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0016】
その他の無機アルミニウム化合物としては、ボーキサイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、炭酸水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、及びメタケイ酸アルミニウム等がある。
【0017】
有機アルミニウム化合物としては、ステアリン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びギ酸アルミニウム等が挙げられる。
【0018】
アルミニウム錯体としては、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム等がある。
【0019】
これらのアルミニウム化合物のうちの1種又は2種以上が使用可能である。本発明では、イオウの供給原料となるアルミニウムの硫酸塩が好ましい。
【0020】
また、イオウの供給原料は特に限定されるものではないが、イオウ及びイオウ華等の元素状態のイオウの他に、硫化物、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、チオ硫酸、チオ硫酸塩、及び有機イオウ化合物等が挙げられる。
【0021】
硫化物としては、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化鉄、及び五硫化リン等が挙げられる。
【0022】
硫酸塩としては、硫酸アニリン、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ナトリウム明礬、カリウム明礬、アンモニウム明礬、並びに硫酸ヒドロキシルアミン等が挙げられる。
【0023】
亜硫酸塩としては、亜硫酸水素アンモニウム及び亜硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0024】
チオ硫酸塩としては、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸バリウム等が挙げられる。
【0025】
有機イオウ化合物としては、スルホン酸誘導体、スルホン酸誘導体の塩、メルカプタン、チオフェン、チオフェン誘導体、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、及びポリフェニレンサルファイド等の樹脂が挙げられる。
【0026】
本発明では、これらのイオウ化合物の1種又は2種以上が使用可能である。上記イオウ化合物の中では水への溶解性が高く、製造コストが安く、かつ凝結性状が優れる点から硫酸又は硫酸塩がより好ましく、硫酸塩のうちアンモニウム明礬が最も好ましい。
【0027】
また、フッ素の供給原料は特に限定されないが、液体急結剤に含まれる溶剤に溶解又は分散されるものが好ましい。すなわち、有機フッ素化合物、フッ化塩、ケイフッ化塩、フッ化ホウ素塩、及びヘキサフルオロリン酸塩等が挙げられる。
【0028】
有機フッ素化合物として、フロリナート、及びフロン類等の有機フッ素化合物等が挙げられる。
【0029】
フッ化塩として、フッ化アルミニウム、フッ化アンモニウム、及びフッ化カルシウム等が挙げられる。
【0030】
ケイフッ化塩として、ケイフッ化アンモニウム及びケイフッ化マグネシウム等が挙げられる。
【0031】
フッ化ホウ素塩として、フッ化ホウ素酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミンコンプレックス、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックス、ホウフッ化第一鉄、及びホウフッ化アンモニウム等が挙げられる。
【0032】
ヘキサフルオロリン酸塩として、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロリン酸の塩、及びヘキサフルオロリン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0033】
これらフッ素化合物のうちの1種又は2種以上が使用可能である。本発明では、安全性が高く、製造コストが安く、かつ凝結性状が優れる点から、フッ化塩、ケイフッ化塩、及びホウフッ化塩が好ましい。
【0034】
また、本発明のアミノアルコール化合物は、特に限定されないが、液体急結剤に含まれる溶剤に溶解可能又は分散可能であれば良い。
【0035】
本発明におけるアミノアルコール化合物とは、構造式においてN−R−OH構造を有する有機化合物である。ここで、Rは通常アルキル基又はアリル基と呼ばれる原子団であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基等の直鎖型のアルキル基、イソプロピル基等の枝分かれ構造を有するアルキル基、並びに、フェニル基及びベンジル基等の芳香族環を有するアリル基等が挙げられる。Rは窒素原子と2箇所以上で結合していてもよく、Rの一部または全部が環状構造であってもよい。Rは複数の水酸基と結合していてもよい。Rはアルキル基の一部に炭素及び水素以外の元素、例えばイオウ、フッ素、塩素、及び酸素等が含まれていてもよい。また、Rには複数の水酸基が結合していてもよい。
【0036】
このようなアミノアルコール化合物の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、並びにこれらの誘導体等が挙げられる。
【0037】
本発明では上記アミノアルコール化合物のうちの1種又は2種以上を使用することができる。また、本発明におけるアミノアルコール化合物としては、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、及びそれらの混合物が好ましく、ジエタノールアミン及びN,N-ジメチルエタノールアミンの混合物がより好ましい。
【0038】
本液体急結剤用組成物の配合は、凝結性状、懸濁性、及びポンプ圧送性等から、SO3換算のイオウ100部に対して、アルミニウムがAl2O3換算で25〜110部、フッ素が元素換算で2.5〜50部、及びアミノアルコール化合物が1〜50部である必要がある。アミノアルコール化合物中にイオウ、アルミニウム、及びフッ素の各元素が含まれる場合は、アミノアルコールの配合量から、SO3換算のイオウ、Al2O3換算のアルミニウム、及び元素換算のフッ素を減じた量とする。
【0039】
上記配合において、イオウを含まない場合は液体急結剤のpHが高くアルカリ性になることがあり、アルミニウム、フッ素、及びアミノアルコール化合物の含有量が上記の配合量未満では十分な凝結性状が得られない場合があり、アルミニウム、フッ素、又はアミノアルコール化合物の含有量が上記の配合量を超えると流動性が低下し、ポンプ圧送性が低下する場合がある。
【0040】
また、本液体急結剤用組成物は通常、溶剤と混合して液体急結剤として使用される。溶剤としてはメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド類、水、並びにプロピレンカーバイド等の各種溶剤を1種又は2種以上使用できる。
【0041】
また、本発明では、イオウ、フッ素、及びアルミニウムの3元素のうち1種又は2種以上を元素成分としてを含有する溶剤を用いても良く、また、液体のアミノアルコール化合物を溶剤として用いても良い。
【0042】
すなわち、イオウを含む溶剤としてはジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。フッ素を含む溶剤としてはフロリナート等が挙げられる。
【0043】
これら溶剤のうち、アルコール類、アミノアルコール化合物、グリコール類、1,4-ジオキサン、テトロヒドロフラン、ケトン類、アミド化合物、ニトリル化合物、及びジメチルスルホキシド(DMSO)等の水溶性の溶剤又は水を1種又は2種以上用いることが好ましく、アミノアルコール化合物及びアミド化合物がより好ましい。
【0044】
本液体急結剤用組成物を溶剤中に溶解又は分散し、本液体急結剤とする方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を同時に混合しても良いし、予めその一部、或いは全部を混合しておいても差し支えない。混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、ナウターミキサー、及びボールミル等が挙げられる。また、上記の溶解又は分散処理後、更に超音波ホモジナイザー等を用いて分散処理を行ってもよい。
【0045】
本液体急結剤は、溶液状態のものだけでなく、有効成分が液体中に分散した状態で存在している懸濁液も含む。懸濁液中の懸濁粒子のサイズは特に限定されるものではないが、懸濁粒子の分散性から、平均粒子サイズが20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0046】
本液体急結剤中、Al2O3換算のアルミニウム成分、SO3換算のイオウ、元素換算のフッ素の3元素、並びに、アミノアルコール化合物の含有量の合計が液体急結剤全体の10〜60%であることが好ましく、25〜40%であることがより好ましい。上記合計が10%未満では優れた凝結性状が得られない場合があり、60%を超えるものでは、液の粘性が高くポンプでの圧送性が悪くなる場合がある。
【0047】
また、本液体急結剤用組成物は粉末状態でセメントコンクリートに添加しても良いが、上記の方法で本液体急結剤用組成物を溶剤等に溶解又は分散させて本液体急結剤とし、現場にてセメントコンクリートと混合して用いる方が好ましい。
【0048】
本発明の1A族元素とは、周期律表上の1A族に属する元素であればよい。すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムを指す。放射性元素のフランシウムは除外される。これらの元素の供給原料となる化合物の形態は特に限定されるものではない。
【0049】
1A族化合物の供給原料としては、1A族元素のフッ化物、ケイ酸塩、ケイフッ化塩、明礬類、酸化物、塩化物、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、リン酸1水素塩、リン酸2水素塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫化塩、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、及びホウ酸塩等が使用可能であり、これら化合物のうちの1種又は2種以上が使用可能である。
【0050】
これらの塩のうち、コンクリートに通常使用される鉄筋及び鉄骨への影響が少ない水酸化物、亜硝酸塩、リン酸塩、リン酸1水素塩、リン酸2水素塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、チオ硫酸塩、硫化塩、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、及びホウ酸塩等が好ましい。
【0051】
1A族元素のうち、入手が容易であるリチウム、ナトリウム、及び/又はカリウムを含有する化合物が好ましく、経済性の面からナトリウム及び/又はカリウムを含む化合物がより好ましい。
【0052】
1A族元素の配合量は特に限定されないが、SO3換算のイオウ100部に対して1A族元素の含有量が酸化物換算(1A族元素をRとしたときのR2O換算値)で2.5〜50部であることが好ましい。1A族元素の配合量が2.5部未満では、1A族元素による凝結性状及び強度発現性の向上が認められず、1A族元素の配合量が50部を超えると、懸濁性及びポンプ圧送性が低下し、液体急結剤又は吹付け材として使用できない場合がある。
【0053】
本液体急結剤は、人体への影響が少ない弱アルカリ性〜酸性であることが好ましい。
【0054】
本発明では、pH調整剤、分散剤、安定化剤、防凍剤、水溶性促進剤、AE剤、減水剤、AE減水剤、凝結遅延剤、増粘剤、繊維、及び微粉等の添加剤を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0055】
本液体急結剤の使用量は、固形分換算でセメント100部に対して2〜15部が好ましい。本液体急結剤の使用量が2部未満では優れた凝結性状が発揮されない場合があり、15部を超えると長期強度発現性が悪くなる場合がある。
【0056】
本液体急結剤を用いる場合、セメント100部に対して水を25〜70部使用するのが好ましい。水が25部未満では水分が不足して混練できず、70部を超えるといわゆる「シャブコン」となり、十分な強度を発現しないからである。なお、配合検討時は、骨材、各種添加剤、及び本液体急結剤に含まれる水分量も考慮すべきである。
【0057】
本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、中庸熱、及び低熱等の各種ポルトランドセメントの他に、ポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、及び/又は石灰石微粉末等を混合した各種混合セメントのいずれも使用可能であり、入手の容易さからポルトランドセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントが最も好ましい。
【0058】
本吹付け工法としては、一般的に行われている湿式の吹付け工法及び乾式の吹付け工法が使用可能である。湿式工法としては、セメントコンクリートに本急結剤を混合する方法等が挙げられ、乾式の吹付け工法としては、セメント、砂、及び砂利の組成物に水及び本液体急結剤を混合する方法が挙げられる。
【0059】
本液体急結剤をセメントコンクリートに混合し、本吹付け材とする方法としては、Y字管等を用いて吹付け直前に混合することが好ましい。具体的には、圧送されてきたセメントコンクリートに液体急結剤を添加し、本吹付け材が吐出されるまでの時間を10秒以内にすることが好ましく、2秒以内がより好ましい。
【0060】
また、本吹付け材を地山の法面に直接、又はフレーム骨格を配置した個所に吹付けることも可能である。ここで、フレーム骨格とは、金網、鉄筋、及び鉄骨等を組み合わせて壁面に固定したものであり、該フレーム骨格に本吹付け材を吹付け、鉄筋類含有セメントコンクリートフレームとする。
【0061】
【実施例】
以下、実験例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0062】
実験例1
C/S(セメント/砂比)=1/2.5、W/C(水/セメント比)=45%のモルタルをポリカルボン酸系の減水剤を使用してSL(スランプ値)=18cm程度に調整し、モルタル中のセメント100部に対して、表1に示した組成の液体急結剤10部を混合して型枠内へ詰め込み、プロクター貫入抵抗を測定して凝結性状を確認した。試験環境温度は20℃である。結果を表1に併記する。
【0063】
<使用材料>
使用した材料は、断りのない限り和光純薬工業(株)1級試薬を用いた。
〔アルミニウムの供給原料〕A:水酸化アルミニウム、B:硫酸アルミニウム8水塩
〔イオウの供給原料〕B:硫酸アルミニウム8水塩、C:硫酸(95%以上品、和光純薬)、H:硫酸グアナゾール
〔フッ素の供給原料〕D:フッ化カルシウム、E:ケイフッ化マグネシウム
〔アミノアルコール化合物〕F:ジエタノールアミン、G:N,N-ジメチルエタノールアミン
〔1A族元素の供給原料〕H:水酸化カリウム、I:炭酸リチウム、J:炭酸ナトリウム、K:炭酸カリウム
水 :水道水
液体急結剤 :上記化合物を表1記載の元素組成になるよう計算して混合した。混合して得られた液体急結剤用組成物及び水を質量比1:1でボールミル混合し、混合物を80℃で3時間攪拌して得られた液体を試験に供した。
セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業(株)製、比重3.16
砂 :新潟県姫川産川砂、比重2.62
減水剤 :ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
【0064】
<測定方法>
プロクター貫入抵抗(凝結性状):ASTM C 403「貫入抵抗によるコンクリートの凝結時間試験方法」に準拠。モルタル及び急結剤を混合後1分、3分、10分の凝結性状を評価した。
ポンプ圧送性:液体急結剤を混合して20℃で72時間静置後、直径4cm、長さ5mのホース中に液体急結剤を満たして圧送圧力0.5MPaにて圧送がスムーズにできたものを○、圧送可能であったが脈流発生等により不安定であったものを△、圧送が困難な場合を×とした。
【0065】
【表1】
【0066】
実験例2
実験No.1-25で用いた液体急結剤を使用し、表2に示す液体急結剤量としたこと以外は、実験例1と同様に試験した。結果を表2に示す。なお、液体急結剤の固形分含有量は約40%であった。
【0067】
【表2】
【0068】
実験例3
単位セメント量430kg/m3、石灰石含有量50kg/m3、W/C(水/セメント比)=48%、及びs/a(細骨材率)=70%のコンクリートを調製し、コンクリート100容量部中、1容量部のスチール繊維(30mm、比重7.85)を外割添加し、更に減水剤を添加してSL(スランプ)=20cm程度になるように調整した。このコンクリートをコンクリート圧送機アリバー280型(アリバー社製)により4m3/hrの圧送速度、0.4MPaの圧送圧力で空気圧送した。試験環境温度は20℃である。
【0069】
その後、セメント100部に対して、表3に示す組成の液体急結剤10部となるようにポンプで圧送し、吐出口より手前1mに取付けたY字管から圧送空気とともにコンクリートに圧入、混合し、吹付け材として高さ3m、幅3m、奥行き10mの模擬トンネルの壁面に吹付けた。
【0070】
得られた吹付け材を観察し、リバウンド率及び吹付け後の変形の有無を調べた結果を表3に併記した。
【0071】
<使用材料>
減水剤 :ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
【0072】
<測定方法>
変形の有無:模擬トンネルの壁面に吹付け施工後、目視で変形の有無を確認した。吹付け後変形が見られないものを○、若干ダレがあるが実用上問題ないものを△、明らかにダレが発生し、吹付け材として使用不能とされるものを×とした。リバウンド率:吹付けたコンクリート重量と跳ね返ったコンクリート重量を計測して算出した。
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】
本液体急結剤、本急結性セメントコンクリート、及びこれを用いた吹付け工法は、粉体の急結剤に比べ、▲1▼吹付け時の粉塵量を低減し、▲2▼リバウンド率を低減することができる、▲3▼アルカリによる人体への害が少ない、という長所があり、また、従来の液体急結剤に比べ、▲4▼定量性が良く、▲5▼凝結性状が良い、▲6▼圧送性が良いという特徴を有する。本発明の液体急結剤、吹付け材、及びこれを用いた吹付け工法は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネル、並びに法面において、露出した地山面にセメントコンクリートを吹付ける工法に有効である。
Claims (4)
- アルミニウム、イオウ、フッ素、及び1A族元素の4元素成分、並びにアミノアルコール化合物を成分として含有し、かつ、SO3換算のイオウ100部に対して、アルミニウムをAl2O3換算で25〜110部、元素換算のフッ素を2.5〜50部、1A族元素を酸化物換算で2.5〜50部、及びアミノアルコール化合物を1〜50部含有することを特徴とするpH6以下の液体急結剤(但し、「液体急結剤に含有される全成分の合計量に対してアルカリが Na 2 O 換算で 1 %以下であるもの」を除く)。
- Al2O3換算のアルミニウムの含有量、SO3換算のイオウの含有量、元素換算のフッ素の含有量、及びアミノアルコール化合物の含有量の合計が液体急結剤中25〜40%であることを特徴とする請求項1記載の液体急結剤。
- 請求項1又は請求項2記載の液体急結剤及びセメントコンクリートを含有する吹付け材。
- 請求項3記載の吹付け材を用いることを特徴とする吹付け工法。
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