JP2003246659A - 液体急結剤用組成物、液体急結剤、吹付け材、及びこれを用いた吹付け工法 - Google Patents

液体急結剤用組成物、液体急結剤、吹付け材、及びこれを用いた吹付け工法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】吹付け作業時に発生する粉塵発生量が少なく、
材料の定量精度やセメントコンクリートへの混合性が良
好であり、凝結性状に優れた液体急結剤用組成物、液体
急結剤、吹付け材及びその工法を提供する。 【解決手段】アルミニウム、イオウ、及びフッ素の3元
素を元素成分として、更にアミノアルコール化合物を化
合物成分として含み、かつ、これらの3元素及びアミノ
アルコール化合物を所定の配合で含有する液体急結剤用
組成物、液体急結剤、吹付け材、及び該吹付け材を用い
た吹付け工法。該吹付け材は従来品に比べ、吹付時の
粉塵量を低減し、リバウンド率を低減することができ
る、アルカリによる人体への害がなく、定量性が良
く、凝結性状が良い、圧送性が良いという特徴を有
するため、該吹付け材を道路、鉄道、及び導水路等のト
ンネル壁面、並びに法面等に吹き付ける工事方法に適す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路、鉄道、及び
導水路等のトンネル、並びに法面において、露出した地
山面に急結性のセメントコンクリートを吹付ける際に使
用する液体急結剤用組成物、液体急結剤、吹付け材、及
びこれを用いた吹付け工法に関する。
【0002】また、本発明でいうセメントコンクリート
とは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリート
の総称である。なお、本発明における部や%は特に規定
しない限り質量基準で示す。
【0003】
【従来の技術とその課題】従来、トンネルの掘削作業等
において露出した地山の崩落を防止するために、粉体の
急結剤をコンクリートに混合した急結性コンクリートを
吹付ける工法が用いられている(特公昭60−4149号公
報、特開平9−19910号公報、及び特開平10−87358号公
報等)。
【0004】これらの吹付け工法で使用する粉体の急結
剤としては、カルシウムアルミネートを主成分とし、1
A族元素のアルミン酸塩又は硫酸アルミニウム等を混合
したものが使用されていた。
【0005】しかしながら、安全性の面で、アルミン酸
の1A元素塩、アルミン酸カルシウム、及び1A族元素
の炭酸塩等を主成分とした粉体の急結剤よりも低pH値の
もので、弱アルカリ性〜酸性、好ましくは中性又は弱酸
性の急結剤が求められていた。
【0006】粉体の急結剤は、一部がセメントコンクリ
ートに充分に混合されず、そのまま粉塵として吐出され
るため、施工現場付近の粉塵量が増し、作業環境上好ま
しくない場合があった。また、粉体の急結剤は、現場に
て粉体圧送装置に急結剤を解袋する時にも粉塵の問題が
発生することがある。
【0007】粉体の急結剤は、粉体圧送装置からセメン
トコンクリート圧入の場所までの距離が長距離になる場
合、粉体とエアーの混合によって圧送するために材料の
定量精度が液体急結剤と比較すると劣り、均一な吹付け
材とする場合には圧送距離を短くしなければならず、ま
た、圧送ホースの直径を最適化する必要がある等、施工
システムの制約を受ける場合があった。
【0008】また、液体急結剤として硫酸アルミニウム
等を主成分とするものが知られている(特開2000-21955
3号公報等)。しかしながら、凝結性状に問題があるた
め、岩盤の脆いトンネル坑内で厚吹きした場合には剥落
の危険性が高かった。
【0009】本発明者らは、以上の状況を鑑み、前記課
題を解消すべく種々検討した結果、特定の吹付け材が
吹付時の粉塵量を低減し、リバウンド率を低減するこ
とができる、アルカリによる人体への害がなく、定
量性が良く、凝結性状が良い、圧送性が良い、とい
う長所を有するという知見を得て本発明を完成するに至
った。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルミ
ニウム、イオウ、及びフッ素の3元素成分、並びにアミ
ノアルコール化合物を成分として含有し、かつ、SO3
算のイオウ100部に対して、アルミニウムをAl2O3換算で
25〜110部、元素換算のフッ素を2.5〜50部、及びアミノ
アルコール化合物を1〜50部含有することを特徴とする
液体急結剤用組成物であり、SO3換算のイオウ100部に対
して1A族元素を酸化物換算で2.5〜50部含有すること
を特徴とする該液体急結剤用組成物であり、該液体急結
剤用組成物を含有することを特徴とする液体急結剤であ
り、Al2O3換算のアルミニウムの含有量、SO3換算のイオ
ウの含有量、元素換算のフッ素の含有量、及びアミノア
ルコール化合物の含有量の合計が液体急結剤中10〜60%
であることを特徴とする該液体急結剤であり、該液体急
結剤及びセメントコンクリートを含有する吹付け材であ
り、該吹付け材を用いることを特徴とする吹付け工法で
ある。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本液体急
結剤用組成物はアルミニウム(Al)、イオウ(S)、フッ素
(F)の3元素成分、及びアミノアルコール化合物(N)を化
合物成分として含有することを特徴とする組成物であ
る。たとえば、水酸化アルミニウム(Al)、イオウ華
(S)、フッ化カルシウム(F)、及び2-ジエチルアミノエタ
ノール(N)を含有する組成物のように上記3元素及びア
ミノアルコール化合物を含むことを特徴とするものであ
る。
【0012】また、本液体急結剤用組成物において、ア
ルミニウム、イオウ、及びフッ素の3元素成分、並びに
アミノアルコール化合物の各成分を、2種類以上含む化
合物を用いても良い。たとえば、三フッ化ホウ素トリエ
タノールアミン(F,N)及び硫酸アルミニウム(Al,S)を含
む組成物であってもよい。
【0013】本発明におけるアルミニウムの供給原料は
特に限定されるものではないが、アルミニウムの硫酸
塩、アルミン酸塩、及びその他の無機アルミニウム化合
物、有機アルミニウム化合物、並びにアルミニウム錯体
が挙げられる。
【0014】アルミニウムの硫酸塩としては、アンモニ
ウム明礬、ヒドロキシ硫酸アルミニウム、及び硫酸アル
ミニウム等が挙げられる。
【0015】アルミン酸塩としてはアルミン酸リチウ
ム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アル
ミン酸カルシウム、及びアルミン酸マグネシウム等が挙
げられる。
【0016】その他の無機アルミニウム化合物として
は、ボーキサイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニ
ウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム、フッ化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウ
ム、炭酸水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、
及びメタケイ酸アルミニウム等がある。
【0017】有機アルミニウム化合物としては、ステア
リン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アルミニ
ウムイソプロポキシド、及びギ酸アルミニウム等が挙げ
られる。
【0018】アルミニウム錯体としては、トリス(8-ヒ
ドロキシキノリナト)アルミニウム等がある。
【0019】これらのアルミニウム化合物のうちの1種
又は2種以上が使用可能である。本発明では、イオウの
供給原料となるアルミニウムの硫酸塩が好ましい。
【0020】また、イオウの供給原料は特に限定される
ものではないが、イオウ及びイオウ華等の元素状態のイ
オウの他に、硫化物、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸
塩、チオ硫酸、チオ硫酸塩、及び有機イオウ化合物等が
挙げられる。
【0021】硫化物としては、硫化マグネシウム、硫化
カルシウム、硫化鉄、及び五硫化リン等が挙げられる。
【0022】硫酸塩としては、硫酸アニリン、硫酸アル
ミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸
マンガン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ナトリウム
明礬、カリウム明礬、アンモニウム明礬、並びに硫酸ヒ
ドロキシルアミン等が挙げられる。
【0023】亜硫酸塩としては、亜硫酸水素アンモニウ
ム及び亜硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0024】チオ硫酸塩としては、チオ硫酸アンモニウ
ム及びチオ硫酸バリウム等が挙げられる。
【0025】有機イオウ化合物としては、スルホン酸誘
導体、スルホン酸誘導体の塩、メルカプタン、チオフェ
ン、チオフェン誘導体、ポリサルホン、ポリエーテルサ
ルホン、及びポリフェニレンサルファイド等の樹脂が挙
げられる。
【0026】本発明では、これらのイオウ化合物の1種
又は2種以上が使用可能である。上記イオウ化合物の中
では水への溶解性が高く、製造コストが安く、かつ凝結
性状が優れる点から硫酸又は硫酸塩がより好ましく、硫
酸塩のうちアンモニウム明礬が最も好ましい。
【0027】また、フッ素の供給原料は特に限定されな
いが、液体急結剤に含まれる溶剤に溶解又は分散される
ものが好ましい。すなわち、有機フッ素化合物、フッ化
塩、ケイフッ化塩、フッ化ホウ素塩、及びヘキサフルオ
ロリン酸塩等が挙げられる。
【0028】有機フッ素化合物として、フロリナート、
及びフロン類等の有機フッ素化合物等が挙げられる。
【0029】フッ化塩として、フッ化アルミニウム、フ
ッ化アンモニウム、及びフッ化カルシウム等が挙げられ
る。
【0030】ケイフッ化塩として、ケイフッ化アンモニ
ウム及びケイフッ化マグネシウム等が挙げられる。
【0031】フッ化ホウ素塩として、フッ化ホウ素酸、
三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミンコン
プレックス、三フッ化ホウ素酢酸コンプレックス、ホウ
フッ化第一鉄、及びホウフッ化アンモニウム等が挙げら
れる。
【0032】ヘキサフルオロリン酸塩として、ヘキサフ
ルオロリン酸、ヘキサフルオロリン酸の塩、及びヘキサ
フルオロリン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0033】これらフッ素化合物のうちの1種又は2種
以上が使用可能である。本発明では、安全性が高く、製
造コストが安く、かつ凝結性状が優れる点から、フッ化
塩、ケイフッ化塩、及びホウフッ化塩が好ましい。
【0034】また、本発明のアミノアルコール化合物
は、特に限定されないが、液体急結剤に含まれる溶剤に
溶解可能又は分散可能であれば良い。
【0035】本発明におけるアミノアルコール化合物と
は、構造式においてN−R−OH構造を有する有機化合
物である。ここで、Rは通常アルキル基又はアリル基と
呼ばれる原子団であり、たとえば、メチレン基、エチレ
ン基、n−プロピレン基等の直鎖型のアルキル基、イソ
プロピル基等の枝分かれ構造を有するアルキル基、並び
に、フェニル基及びベンジル基等の芳香族環を有するア
リル基等が挙げられる。Rは窒素原子と2箇所以上で結
合していてもよく、Rの一部または全部が環状構造であ
ってもよい。Rは複数の水酸基と結合していてもよい。R
はアルキル基の一部に炭素及び水素以外の元素、例えば
イオウ、フッ素、塩素、及び酸素等が含まれていてもよ
い。また、Rには複数の水酸基が結合していてもよい。
【0036】このようなアミノアルコール化合物の例と
しては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-
ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールア
ミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、三フッ
化ホウ素トリエタノールアミン、並びにこれらの誘導体
等が挙げられる。
【0037】本発明では上記アミノアルコール化合物の
うちの1種又は2種以上を使用することができる。ま
た、本発明におけるアミノアルコール化合物としては、
ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、
及びそれらの混合物が好ましく、ジエタノールアミン及
びN,N-ジメチルエタノールアミンの混合物がより好まし
い。
【0038】本液体急結剤用組成物の配合は、凝結性
状、懸濁性、及びポンプ圧送性等から、SO3換算のイオ
ウ100部に対して、アルミニウムがAl2O3換算で25〜110
部、フッ素が元素換算で2.5〜50部、及びアミノアルコ
ール化合物が1〜50部である必要がある。アミノアルコ
ール化合物中にイオウ、アルミニウム、及びフッ素の各
元素が含まれる場合は、アミノアルコールの配合量か
ら、SO3換算のイオウ、Al2O3換算のアルミニウム、及び
元素換算のフッ素を減じた量とする。
【0039】上記配合において、イオウを含まない場合
は液体急結剤のpHが高くアルカリ性になることがあり、
アルミニウム、フッ素、及びアミノアルコール化合物の
含有量が上記の配合量未満では十分な凝結性状が得られ
ない場合があり、アルミニウム、フッ素、又はアミノア
ルコール化合物の含有量が上記の配合量を超えると流動
性が低下し、ポンプ圧送性が低下する場合がある。
【0040】また、本液体急結剤用組成物は通常、溶剤
と混合して液体急結剤として使用される。溶剤としては
メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール
等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、1,4-
ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トル
エン、キシレン等の芳香族、ホルムアミド、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、及びジメチルアセトアミド(DMA
c)等のアミド類、水、並びにプロピレンカーバイド等
の各種溶剤を1種又は2種以上使用できる。
【0041】また、本発明では、イオウ、フッ素、及び
アルミニウムの3元素のうち1種又は2種以上を元素成
分としてを含有する溶剤を用いても良く、また、液体の
アミノアルコール化合物を溶剤として用いても良い。
【0042】すなわち、イオウを含む溶剤としてはジメ
チルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。フッ素を含む
溶剤としてはフロリナート等が挙げられる。
【0043】これら溶剤のうち、アルコール類、アミノ
アルコール化合物、グリコール類、1,4-ジオキサン、テ
トロヒドロフラン、ケトン類、アミド化合物、ニトリル
化合物、及びジメチルスルホキシド(DMSO)等の水溶性の
溶剤又は水を1種又は2種以上用いることが好ましく、
アミノアルコール化合物及びアミド化合物がより好まし
い。
【0044】本液体急結剤用組成物を溶剤中に溶解又は
分散し、本液体急結剤とする方法は特に限定されるもの
ではなく、それぞれの材料を同時に混合しても良いし、
予めその一部、或いは全部を混合しておいても差し支え
ない。混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可
能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキサー、ヘ
ンシェルミキサー、V型ミキサー、ナウターミキサー、
及びボールミル等が挙げられる。また、上記の溶解又は
分散処理後、更に超音波ホモジナイザー等を用いて分散
処理を行ってもよい。
【0045】本液体急結剤は、溶液状態のものだけでな
く、有効成分が液体中に分散した状態で存在している懸
濁液も含む。懸濁液中の懸濁粒子のサイズは特に限定さ
れるものではないが、懸濁粒子の分散性から、平均粒子
サイズが20μm以下であることが好ましく、5μm以下
であることがより好ましい。
【0046】本液体急結剤中、Al2O3換算のアルミニウ
ム成分、SO3換算のイオウ、元素換算のフッ素の3元
素、並びに、アミノアルコール化合物の含有量の合計が
液体急結剤全体の10〜60%であることが好ましく、25〜4
0%であることがより好ましい。上記合計が10%未満では
優れた凝結性状が得られない場合があり、60%を超える
ものでは、液の粘性が高くポンプでの圧送性が悪くなる
場合がある。
【0047】また、本液体急結剤用組成物は粉末状態で
セメントコンクリートに添加しても良いが、上記の方法
で本液体急結剤用組成物を溶剤等に溶解又は分散させて
本液体急結剤とし、現場にてセメントコンクリートと混
合して用いる方が好ましい。
【0048】本発明の1A族元素とは、周期律表上の1
A族に属する元素であればよい。すなわち、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムを指
す。放射性元素のフランシウムは除外される。これらの
元素の供給原料となる化合物の形態は特に限定されるも
のではない。
【0049】1A族化合物の供給原料としては、1A族
元素のフッ化物、ケイ酸塩、ケイフッ化塩、明礬類、酸
化物、塩化物、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸
塩、リン酸1水素塩、リン酸2水素塩、ケイ酸塩、アル
ミン酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫化塩、炭酸塩、重炭
酸塩、シュウ酸塩、及びホウ酸塩等が使用可能であり、
これら化合物のうちの1種又は2種以上が使用可能であ
る。
【0050】これらの塩のうち、コンクリートに通常使
用される鉄筋及び鉄骨への影響が少ない水酸化物、亜硝
酸塩、リン酸塩、リン酸1水素塩、リン酸2水素塩、ケ
イ酸塩、アルミン酸塩、チオ硫酸塩、硫化塩、炭酸塩、
重炭酸塩、シュウ酸塩、及びホウ酸塩等が好ましい。
【0051】1A族元素のうち、入手が容易であるリチ
ウム、ナトリウム、及び/又はカリウムを含有する化合
物が好ましく、経済性の面からナトリウム及び/又はカ
リウムを含む化合物がより好ましい。
【0052】1A族元素の配合量は特に限定されない
が、SO3換算のイオウ100部に対して1A族元素の含有量
が酸化物換算(1A族元素をRとしたときのR2O換算値)で
2.5〜50部であることが好ましい。1A族元素の配合量
が2.5部未満では、1A族元素による凝結性状及び強度
発現性の向上が認められず、1A族元素の配合量が50部
を超えると、懸濁性及びポンプ圧送性が低下し、液体急
結剤又は吹付け材として使用できない場合がある。
【0053】本液体急結剤は、人体への影響が少ない弱
アルカリ性〜酸性であることが好ましい。
【0054】本発明では、pH調整剤、分散剤、安定化
剤、防凍剤、水溶性促進剤、AE剤、減水剤、AE減水
剤、凝結遅延剤、増粘剤、繊維、及び微粉等の添加剤を
本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用すること
が可能である。
【0055】本液体急結剤の使用量は、固形分換算でセ
メント100部に対して2〜15部が好ましい。本液体急結剤
の使用量が2部未満では優れた凝結性状が発揮されない
場合があり、15部を超えると長期強度発現性が悪くなる
場合がある。
【0056】本液体急結剤を用いる場合、セメント100
部に対して水を25〜70部使用するのが好ましい。水が25
部未満では水分が不足して混練できず、70部を超えると
いわゆる「シャブコン」となり、十分な強度を発現しな
いからである。なお、配合検討時は、骨材、各種添加
剤、及び本液体急結剤に含まれる水分量も考慮すべきで
ある。
【0057】本発明で使用するセメントは特に限定され
るものではなく、普通、早強、超早強、中庸熱、及び低
熱等の各種ポルトランドセメントの他に、ポルトランド
セメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、及び
/又は石灰石微粉末等を混合した各種混合セメントのい
ずれも使用可能であり、入手の容易さからポルトランド
セメントが好ましく、普通ポルトランドセメントが最も
好ましい。
【0058】本吹付け工法としては、一般的に行われて
いる湿式の吹付け工法及び乾式の吹付け工法が使用可能
である。湿式工法としては、セメントコンクリートに本
急結剤を混合する方法等が挙げられ、乾式の吹付け工法
としては、セメント、砂、及び砂利の組成物に水及び本
液体急結剤を混合する方法が挙げられる。
【0059】本液体急結剤をセメントコンクリートに混
合し、本吹付け材とする方法としては、Y字管等を用い
て吹付け直前に混合することが好ましい。具体的には、
圧送されてきたセメントコンクリートに液体急結剤を添
加し、本吹付け材が吐出されるまでの時間を10秒以内に
することが好ましく、2秒以内がより好ましい。
【0060】また、本吹付け材を地山の法面に直接、又
はフレーム骨格を配置した個所に吹付けることも可能で
ある。ここで、フレーム骨格とは、金網、鉄筋、及び鉄
骨等を組み合わせて壁面に固定したものであり、該フレ
ーム骨格に本吹付け材を吹付け、鉄筋類含有セメントコ
ンクリートフレームとする。
【0061】
【実施例】以下、実験例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。
【0062】実験例1 C/S(セメント/砂比)=1/2.5、W/C(水/セメント比)=45%
のモルタルをポリカルボン酸系の減水剤を使用してSL
(スランプ値)=18cm程度に調整し、モルタル中のセメン
ト100部に対して、表1に示した組成の液体急結剤10部
を混合して型枠内へ詰め込み、プロクター貫入抵抗を測
定して凝結性状を確認した。試験環境温度は20℃であ
る。結果を表1に併記する。
【0063】<使用材料>使用した材料は、断りのない
限り和光純薬工業(株)1級試薬を用いた。 〔アルミニウムの供給原料〕A:水酸化アルミニウム、
B:硫酸アルミニウム8水塩 〔イオウの供給原料〕B:硫酸アルミニウム8水塩、
C:硫酸(95%以上品、和光純薬)、H:硫酸グアナゾ
ール 〔フッ素の供給原料〕D:フッ化カルシウム、E:ケイ
フッ化マグネシウム 〔アミノアルコール化合物〕F:ジエタノールアミン、
G:N,N-ジメチルエタノールアミン 〔1A族元素の供給原料〕H:水酸化カリウム、I:炭
酸リチウム、J:炭酸ナトリウム、K:炭酸カリウム 水 :水道水 液体急結剤 :上記化合物を表1記載の元素組成になる
よう計算して混合した。混合して得られた液体急結剤用
組成物及び水を質量比1:1でボールミル混合し、混合物
を80℃で3時間攪拌して得られた液体を試験に供した。 セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工
業(株)製、比重3.16 砂 :新潟県姫川産川砂、比重2.62 減水剤 :ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
【0064】<測定方法> プロクター貫入抵抗(凝結性状):ASTM C 403「貫入抵
抗によるコンクリートの凝結時間試験方法」に準拠。モ
ルタル及び急結剤を混合後1分、3分、10分の凝結性状を
評価した。 ポンプ圧送性:液体急結剤を混合して20℃で72時間静置
後、直径4cm、長さ5mのホース中に液体急結剤を満たし
て圧送圧力0.5MPaにて圧送がスムーズにできたものを
○、圧送可能であったが脈流発生等により不安定であっ
たものを△、圧送が困難な場合を×とした。
【0065】
【表1】 注:pH欄の記号は、A:pH2未満、B:pH2〜6、C:pH6を越え
る。
【0066】実験例2 実験No.1-25で用いた液体急結剤を使用し、表2に示す
液体急結剤量としたこと以外は、実験例1と同様に試験
した。結果を表2に示す。なお、液体急結剤の固形分含
有量は約40%であった。
【0067】
【表2】
【0068】実験例3 単位セメント量430kg/m3、石灰石含有量50kg/m3、W/C
(水/セメント比)=48%、及びs/a(細骨材率)=70%のコ
ンクリートを調製し、コンクリート100容量部中、1容量
部のスチール繊維(30mm、比重7.85)を外割添加し、更
に減水剤を添加してSL(スランプ)=20cm程度になるよう
に調整した。このコンクリートをコンクリート圧送機ア
リバー280型(アリバー社製)により4m3/hrの圧送速
度、0.4MPaの圧送圧力で空気圧送した。試験環境温度は
20℃である。
【0069】その後、セメント100部に対して、表3に
示す組成の液体急結剤10部となるようにポンプで圧送
し、吐出口より手前1mに取付けたY字管から圧送空気と
ともにコンクリートに圧入、混合し、吹付け材として高
さ3m、幅3m、奥行き10mの模擬トンネルの壁面に吹付け
た。
【0070】得られた吹付け材を観察し、リバウンド率
及び吹付け後の変形の有無を調べた結果を表3に併記し
た。
【0071】<使用材料> 減水剤 :ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
【0072】<測定方法> 変形の有無:模擬トンネルの壁面に吹付け施工後、目視
で変形の有無を確認した。吹付け後変形が見られないも
のを○、若干ダレがあるが実用上問題ないものを△、明
らかにダレが発生し、吹付け材として使用不能とされる
ものを×とした。 リバウンド率:吹付けたコンクリート重量と跳ね返った
コンクリート重量を計測して算出した。
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】本液体急結剤、本急結性セメントコンク
リート、及びこれを用いた吹付け工法は、粉体の急結剤
に比べ、吹付け時の粉塵量を低減し、リバウンド率
を低減することができる、アルカリによる人体への害
が少ない、という長所があり、また、従来の液体急結剤
に比べ、定量性が良く、凝結性状が良い、圧送性
が良いという特徴を有する。本発明の液体急結剤、吹付
け材、及びこれを用いた吹付け工法は、道路、鉄道、及
び導水路等のトンネル、並びに法面において、露出した
地山面にセメントコンクリートを吹付ける工法に有効で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 103:12 C04B 103:12 (72)発明者 岩崎 昌浩 新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 (72)発明者 石田 積 新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 Fターム(参考) 4G012 MA00 MB08 MB11 PB03 PB09 PB10 PB20 PC06 PE04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム、イオウ、及びフッ素の3
    元素成分、並びにアミノアルコール化合物を成分として
    含有し、かつ、SO3換算のイオウ100部に対して、アルミ
    ニウムをAl2O3換算で25〜110部、元素換算のフッ素を2.
    5〜50部、及びアミノアルコール化合物を1〜50部含有
    することを特徴とする液体急結剤用組成物。
  2. 【請求項2】 SO3換算ののイオウ100部に対して1A族
    元素を酸化物換算で2.5〜50部含有することを特徴とす
    る請求項1記載の液体急結剤用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の液体急結剤
    用組成物を含有することを特徴とする液体急結剤。
  4. 【請求項4】 Al2O3換算のアルミニウムの含有量、SO3
    換算のイオウの含有量、元素換算のフッ素の含有量、及
    びアミノアルコール化合物の含有量の合計が液体急結剤
    中10〜60%であることを特徴とする請求項3記載の液体
    急結剤。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4記載の液体急結剤
    及びセメントコンクリートを含有する吹付け材。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の吹付け材を用いることを
    特徴とする吹付け工法。
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