JP3960484B2 - 被覆ダイヤモンド焼結体及びその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ダイヤモンドの微粒子からなる、芯粒子粉体の粒子又は主に同粒子からなる芯粒子粉体の粒子を含有する、均一で、緻密で且つ高硬度な微組織が制御された高性能な被覆ダイヤモンド焼結体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは、強い共有結合性に基づき、多くの非常に優れた性質を有するが、反面、その共有結合性に起因して、自己拡散係数が非常に小さいために極めて難焼結性であり、しかもダイヤモンドは熱力学的には超高圧力下でのみ安定で、高温下では圧力が不十分な場合には黒鉛に相移転する。
ダイヤモンドを含有する緻密で高硬度なダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンドのグラファイト相への相転移を防止し、且つこのダイヤモンド焼結体を緻密に焼結するために、ダイヤモンドが熱力学的に安定な2000MPaを越える超高圧力及び高温度下で製造していた。例えば、T. NOMAらの報告(J. Mater. Scie. 19 (1984) 2319−2322)によれば、ダイヤモンドは、6000MPa(60kb)、1300℃以上で焼結される。これらの焼結条件は、極限状態として大変厳しいもので、例えばガードル型或はベルト型等の超高圧力装置を使用しなければ発生し得なかった。
それが為、2000MPaを越える超高圧力を発生させる、ガードル型或はベルト型等の超高圧力装置を使用する制約により、ダイヤモンド焼結体は多量生産が困難で製造コストが高く、また大型形状品を製造できなかった。
【0003】
しかしHallは、ダイヤモンドについて、超高圧力下での実験により、ダイヤモンドが熱力学的には安定な状態でなくとも、熱力学的に準安定である場合、相転移に要する時間が極めて長いために事実上安定に存在し、その事実上安定に存在する上限として図1の線▲2▼を示して報告している(H.T. Hall, Science, 169 (1970) 868−869)。従って、これによれば、図1の熱力学的平衡線▲1▼に対して安定ではない低圧力・高温度下の条件でも、図1の線▲2▼を越えない温度、例えば圧力が約35kbまでの場合、約1400K(約1100℃)までであれば、ダイヤモンドが事実上安定に存在する。
この事実に基づき、この条件下で、ダイヤモンド焼結体の製造が可能であれば、2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を発生可能の超高圧力装置、例えばピストン・シリンダー(PC)型超高圧力装置、又は公知の技術として1000MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或は超高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧(HIP:Hot Isostatic Press)装置、若しくはホットプレス(HP:Hot Press)装置を使用して製造することが可能となる。
これにより、前記ガードル型やベルト型等の、2000MPaを越える超高圧力を発生させる超高圧力装置の場合と異なり、多量生産が容易で、且つ大型形状の焼結体が製造可能となる。
【0004】
近年、このような2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を作用可能の超高圧力装置、例えばピストン・シリンダー(PC)型超高圧力装置、又は1000MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或はこの超高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧(HIP:Hot Isostatic Press)装置、若しくはホットプレス(HP:Hot Press)装置を使用した、ダイヤモンドの微粒子からなり、これを比較的多く含有する緻密で高性能なダイヤモンド焼結体の多量生産や大型形状品の製造が強く求められている。
【0005】
しかし、このように制限された圧力下でダイヤモンドを比較的多く含有するダイヤモンド焼結体を効果的に緻密化せしめるのは容易ではない。
すなわちダイヤモンド焼結体を焼結するときに、結合材の原料粉体の形態で加えられる結合材物質が変形乃至移動してダイヤモンド粒子間間隙を充填し、結合材物質及びダイヤモンド粒子によって囲まれる空隙や気孔の排除及び消滅に対して効果的に圧力が作用して初めて緻密化は可能となる。そのためには結合材、及び/又はダイヤモンドと反応して結合材を生成する結合材の原料粉体が、ダイヤモンド粉体粒子に接してその周りに存在しなければならない。
特に、圧力が2000MPa未満で、ダイヤモンドが熱力学的には安定ではないが、準安定な圧力・温度の焼結条件においては、ダイヤモンドは直接の結合は殆ど期待できないので、得られるダイヤモンド焼結体中の結合材の原料粉体の存在しないダイヤモンド粒子部分は未焼結となり、これが原因でダイヤモンド焼結体の性能は著しく低下する。そして結合材物質の原料粉体だけでの添加では、この結合材物質の原料粉体が微細であっても理想的な均一な添加、即ち個々のダイヤモンド粒子の周りにむらなく均一に分布させることは極めて困難である。仮にこの均一な分布が実現したとしても結合材物質の原料粉体を粒子単位で添加するために均一の意味にも限界がある。従って、ダイヤモンドを多く含有するダイヤモンド焼結体の製造に大変な問題となる。
【0006】
それがため、微粒子からなるダイヤモンド粉体粒子に結合材の原料粉体を混合するだけでは不十分であるので、用いる微粒子からなるダイヤモンド粉体粒子として、これに結合材の原料粉体と同種及び/又は異種の結合材となる物質を被覆形成物質としてその表面に被覆した、被覆ダイヤモンド粉体粒子を用いることによりこの結合材の分布をむらなく均一にすることができることになるので、この被覆されたダイヤモンド粉体粒子を作製する被覆法が重要な技術となる。
【0007】
つまり、別に添加する結合材の他に、結合材及び/又はダイヤモンドと反応して結合材となる物質を微粒子のダイヤモンド粒子の表面に被覆させて存在させることにより、2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を作用可能の超高圧力装置、例えばピストン・シリンダー(PC)型超高圧力装置、又は1000MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或は超高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧(HIP:Hot Isostatic Press)装置、若しくはホットプレス(HP:Hot Press)装置を使用して、ダイヤモンドの微粒子からなりこれを比較的多くの含有する緻密で高性能なダイヤモンド焼結体の多量生産や大型形状品の製造が初めて可能となるのである。
【0008】
このダイヤモンド粉体粒子への被覆形成物質の被覆法としては気相法、湿式メッキ法など種々の方法があるが、中でも気相法は、原理的に、(1)雰囲気の制御が容易である、(2)基本的に結合材及び/又は焼結助剤としての物質の選択に制限がなく、活性金属を始めとする金属単体物質、窒化物、炭化物、硼化物、酸化物など、いろいろな種類の物質を被覆出来る、(3)結合材及び/又は焼結助剤として目的物質を高純度に被覆できる、(4)結合材となる物質及び/又は焼結助剤となる物質の被覆量を任意に制御できるなど、他の被覆法では成し得ない大きな利点がある。
【0009】
しかし気相法による結合材となる物質及び/又は焼結助剤となる物質の、ダイヤモンド粉体粒子への被覆は、ダイヤモンド粉体粒子が微粒子である場合又は主に微粒子からなる粒子である場合に個々のダイヤモンド粉体粒子への被覆は、以下の理由により不可能であった。
即ち、被覆されるべきダイヤモンド粉体粒子が、微粒子である場合の、この被覆されるべき芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子は、粉体粒子同士の付着力が強いため凝集性が高く、殆どの単一粒子が凝集体を形成している。そしてこの凝集体は、その凝集力を上回る特別な作用を加えない限り崩し壊すことができないために凝集体をそのままで被覆しても、一個一個の粒子表面への結合材及び/又は焼結助剤による被覆は不可能で、結局この凝集体の表面が結合材及び/又は焼結助剤で被覆された被覆凝集体が生成することになる。
これにより凝集体を形成する個々のダイヤモンド粒子は、凝集体表面に位置する粒子ではその粒子表面は被覆量は多いものの、被覆むらが生じたり凝集体内部に位置する粒子では全く被覆されないという問題があった。
【0010】
上記の問題を解決しようとして、被覆されるべきダイヤモンド芯粒子粉体粒子が微粒子である場合のこの被覆されるべき芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の個々の粒子を被覆する目的でこの粒子を分散させて被覆する試みは既にあった。
例えば、特開昭58−31076号公報に開示されている装置・方法によれば、PVD装置内に設置された容器の中に芯粒子粉体の粒子を入れ、容器を電磁気的な方法により振動させ、前記容器内の芯粒子を転動させながらPVD法により被覆する。又、特開昭61−30663号公報に開示されている装置によれば、PVD装置内に設置された容器の中に芯粒子粉体の粒子を入れ、容器を機械的な方法により振動させ、前記容器内の芯粒子をは転動させながらPVD法により被覆するとされている。しかし、これらの容器の振動により芯粒子粉体の粒子を転動させながら被覆する装置或いは方法では、実際には、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子の凝集体を崩すのに要する凝集力を上回る作用を加えることができないため、この凝集体を崩すことができずむしろ造粒作用が働き、容器内に導入する前以上に、より多く、或いはより大きな凝集体を形成するだけであった。
特開平3−153864号公報に開示されている装置及び方法は、内面に障壁及び/又は凹凸を備えた回転容器内に粒子を入れ、この回転容器を回転させながら蒸着法により芯粒子表面に被覆を行うことを目的とするものであるが、このような装置或いは方法においては、微粒子の芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子の凝集体を崩すのに要する凝集力を上回る作用を加えることができないため、この凝集体を壊すことができないばかりか、より多く、或いはより大きな凝集体を形成するだけであった。
【0011】
特開昭58−141375号公報には、反応ガス雰囲気中に置かれた粉体を反応ガスの流れと重力の作用とによって浮遊させて、反応ガスの化学反応により生成される析出物質によって粉体の表面を被覆する装置が開示されている。又、特開平2−43377号公報には、微粒子を減圧下において流動化させながら、熱化学反応処理を行い被覆を行う方法が開示されている。これらの気流による流動層を利用する装置或いは方法では、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子の一個一個を流動化させることが事実上不可能で、このダイヤモンド粉体粒子の凝集体を崩せなかった。
特開昭54−153789号公報には、金属の蒸気を発生させた真空容器内を粉末材料を落下させ金属を被覆する装置が開示されている。又、特開昭60−47004号公報には真空槽中の高周波プラズマ領域にモノマーガスと粉体粒子を導入し、プラズマ重合により有機物の被覆膜を形成させる方法が開示されている。これらの装置或いは方法の如く、単に導入するだけでは微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子の凝集体を壊せなかった。
【0012】
特開昭64−80437号公報には、低・高周波合成音波により芯粒子粉体の凝集体を崩して流動化させ被覆する方法が開示されている。しかし、流動層に振動を与えるこの方法では、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子の凝集体を崩せなかった。
特開昭62−250172号公報には、前処理として、ジェットミル処理した粉体を、減圧加熱処理室に滞留させ、ここで加熱処理を施した後、粉体フィーダーでスパッタリング室に自然落下で導入し、ターゲットを垂直に設けた円筒状のスパッタリング室に自然落下させて被覆する装置及び方法が開示されている。又特開平2−153068号公報には、前処理としてジェットミル処理した粉体を、減圧加熱処理室で滞留させ、ここで加熱処理を施した後、粉体フィーダーでスパッタリング室のスパッタリング源を納めた回転容器に粉体状で導入し、容器を回転さた状態でスパッタリングする装置及び方法が開示されている。これらの装置では、ジェットミル処理によりその時だけ粉体は一時的に分散されるが、被覆前の加熱工程で、この粉体を滞留させる構造であり、そのような方法のため、仮にジェットミル処理で一時的に一次粒子状態に分散してもこの加熱工程でのこの粉体の滞留のため再凝集し、結局、被覆工程に導入される時には凝集したままである。
【0013】
以上のように、これまでのものでは、いずれも微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粉体粒子に被覆する装置或いは方法としての問題解決はなされておらず、そのため、ダイヤモンド粉体粒子一個一個に結合材となる物質及び/又は焼結助剤となる物質を被覆法により均一に被覆を施した被覆されたダイヤモンド粉体粒子が作製できなかった。そのために、前記ダイヤモンドの微粒子からなり、これを比較的多く含有する緻密で高性能なダイヤモンド焼結体の多量生産や大型形状の製造ができなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、現実に、被覆されるべきダイヤモンド粉体粒子であって、例えば10μm以下の平均粒子径の粒子である、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を単一粒子単位で、結合材となる物質及び/又は焼結助剤となる物質を被覆形成物質として被覆を施した被覆されたダイヤモンド粉体粒子と、別に添加される結合材との混合物からの、ダイヤモンドが熱力学的には安定ではないが準安定な圧力、温度における焼結による高性能なダイヤモンド焼結体及びその製造方法の解明が強く求められている。
【0015】
本発明は、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体粒子がダイヤモンド粉体粒子である単一粒子単位に、結合材及び/又は焼結助剤となる物質にとどまらず、粒界制御が可能な可能な表面改質剤となる物質を被覆形成物質としてを被覆を施した被覆されたダイヤモンド粒子と、結合材との混合物を2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において、ダイヤモンドが熱力学的に準安定な圧力・温度で焼結することからなる、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、微組織が制御された高性能な微粒子からなるダイヤモンド粒子を比較的多く含有するダイヤモンド焼結体及びその製造法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体がダイヤモンド粉体粒子であるダイヤモンド粉体粒子の単一粒子単位に結合材及び/又は焼結助剤を被覆するためには、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上である高い分散状態の被覆空間の被覆開始領域で、被覆を開始しなければならないことを見い出した。
【0017】
より詳しくは、(I)ダイヤモンド芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の状態に分散させたこの芯粒子粉体の粒子は、滞留させなくとも、時間の経過と共にブラウン凝集、乱流凝集、音波凝集等により再凝集する傾向にあり、一旦再凝集すると、特別に高い分散性能を有する分散処理手段により分散させなければ、再凝集の状態を崩して再分散させることが困難であり、このため、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中のこの芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上である高い分散状態で被覆空間の被覆開始領域に導く必要があること、またそのためには、(II)この芯粒子粉体の粒子からなる凝集体を崩し、且つ主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子を高い分散状態に分散させる、一以上からなる特別に高い分散性能を有する分散処理手段群が必要であることを見い出したのである。
【0018】
そしてこのようにして得られた被覆されたダイヤモンド粉体粒子を、2000MPa未満の圧力及び1850℃を越えない温度において密度が85%以上に焼結できる結合材とともにダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定である2000MPa未満の圧力および1850℃を越えない温度において焼結することにより、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、微組織が制御された高性能なダイヤモンド焼結体が得られたのである。
【0019】
すなわち、本発明によれば2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を発生可能なPC型超高圧力装置、又は1000MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或は上記の超高圧HIP装置以外のHIP装置、若しくはHP装置を使用して、各々の焼結環境下において、ダイヤモンドをグラファイト相に相転移させることなく緻密で、且つ強固に焼結された焼結体となしうるのである。
更にまた、この被覆されたダイヤモンド粉体粒子が、恰も前記被覆物質そのものの粒子の如き焼結挙動を示すことを見い出し、これにより、被覆ダイヤモンド焼結体の強化が可能な、短径が500μm以下で、この短径に対する長径との比が2以上の形状の金属又は化合物の一種類以上からなる繊維状物質を添加して焼結可能であることも、見い出し、本発明に至った。
【0020】
即ち、本発明は、ダイヤモンドの微粒子からなる芯粒子粉体の粒子、又は主に同微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であって、その表面が被覆形成物質で被覆されたものと、結合材との混合物を焼結してダイヤモンド焼結体を製造するに当り、
この被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子は、芯粒子粉体を被覆空間に投入し、気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体を、芯粒子粉体の粒子に接触及び/又は衝突させて、芯粒子粉体の粒子の表面を被覆形成物質で被覆したものであって、
(A) 微粒子高分散処理手段群の最終処理手段が、
(a) この芯粒子粉体の粒子を気中に分散させる分散手段、および
(b) 芯粒子粉体の粒子を気中に分散させた芯粒子粉体の粒子と気体との混合物において低分散芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段とこの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段により選択分離された低分散芯粒子粉体部分を微粒子高分散処理手段群中の分散手段の内の最終分散手段及び/又は最終分散手段以前の処理手段に搬送するフィードバック手段とを備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段、
から選ばれる微粒子高分散処理手段群により、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とする分散工程、
(B) この分散工程で分散させた芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程、
からなる被覆手段によって調製されたものとし、
また結合材は2000MPa未満で1850℃を越えないダイヤモンド粒子が熱力学的に準安定な条件で密度85%以上に焼結されるものとし、
そして、この被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との体積で1〜90:99〜10の割合の混合物を2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えないダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが、準安定な圧力及び温度の焼結条件において焼結することを特徴とする被覆ダイヤモンド焼結体の製造法を提供するものである。
【0021】
更に本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子が、
被覆されたダイヤモンド粒子の被覆形成物質を介して接触状態で集合塊を形成した被覆されたダイヤモンド粒子の集合塊を、解砕及び/又は破砕する被覆されたダイヤモンド粒子集合塊の解砕・破砕工程、及び/又は
この被覆ダイヤモンド粒子集合塊と一次粒子単位の被覆されたダイヤモンド粒子とを選択分離する選択分離工程
を更に経て調製されたものであり、そしてこの被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との混合物を、ダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0022】
更に本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、その表面を被覆形成物質で被覆するべきダイヤモンドの微粒子からなる芯粒子粉体の粒子又は主に同粒子からなる芯粒子粉体の粒子が、溶融塩浴を用いる浸漬法により、浸漬法に由来する被覆物質で一層以上被覆された微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であり、これを被覆形成物質で被覆して得られた被覆されたダイヤモンド粒子と結合材と共にダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0023】
更にまた本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子が、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする分散性能を有する微粒子高分散処理手段群による分散工程を設け、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を被覆工程に直接放出するか、又は分散工程と被覆工程の間に、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する放出部から、搬送に不可避の、中空部材、中空を形成せしめる部材からなる中間部材、及びパイプから選択される一種類またはそれ以上の部材を介して搬送するか,及び/又は前記分散性能で気中に分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の粒子の気中分散状態を維持する気中分散維持手段、前記分散性能で気中に分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の粒子の気中分散状態を高める気中分散促進手段、芯粒子粉体の粒子と気体との混合物の内の、低分散芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の一種またはそれ以上を介して搬送して調製されたものであり、そして、この被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との混合物を、ダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0024】
更にまた本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子が、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする分散性能を有する微粒子高分散処理手段群による分散工程の一部以上と前記被覆工程の一部以上とを、空間を一部以上共有して行うことにより調製されたものであり、そして、この被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との混合物を、ダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0025】
更にまた本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子が、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空間領域の内の、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子のすべての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せしめるか、又は体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空間領域の内の、回収手段の回収部に回収する全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せしめることにより調製されたものであり、そしてこの被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との混合物を、ダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0026】
更にまた本発明は、上記したダイヤモンド焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子が、粒度分布が、平均粒子径をDMとしたとき、体積基準頻度分布で(〔DM/5,5DM〕,≧90%)である芯粒子粉体に被覆形成物質を被覆して調製されたものであり、そして、この被覆されたダイヤモンド粒子と結合材との混合物を、ダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼結する、上記焼結体の製造法にも関する。
そして本発明は、上記した製造法によって製造される被覆ダイヤモンド焼結体にも関するものである。
【0027】
而して、本発明によれば、ダイヤモンドの微粒子からなる芯粒子粉体の粒子又は主に同微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であって、その表面が被覆形成物質で被覆されたものと結合材とを、2000MPa未満の圧力及び1850℃を越えない温度において焼結してダイヤモンド粒子の焼結体を製造するに際して、上記した表面が被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子として、気相法により気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体と、微粒子高分散処理手段群の最終処理手段により気中に分散させた平均粒子径が10μm以下の微粒子からなる高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とを、被覆空間の被覆開始領域で、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子の分散度がβ≧70%である分散状態で合流させ、接触及び/又は衝突させてダイヤモンド粒子の表面を被覆形成物質で被覆したものを用いることにより、これまでに得られなかったダイヤモンドの粒子表面の未焼結部のない、均一で、緻密で且つ強固に焼結された制御された微組織を有する高性能なダイヤモンド焼結体を2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を発生可能な圧力装置を用いて得ることができた。そして、上記した被覆芯粒子の調製に際して、被覆形成物質前駆体は、原子、分子、イオン、クラスター、原子クラスター、分子クラスター、クラスターイオン等からなる気相状態の、或いは気相を経て生成したばかりのもので、高分散状態のダイヤモンド芯粒子と接触及び/又は衝突を始めることにより、一次粒子状態の個々の芯粒子の表面に被覆形成物質は強固に結合し、その結果、この芯粒子の表面を被覆形成物質により単一粒子単位で被覆を施した被覆されたダイヤモンド粒子が製造できるのである。
以下に本発明を詳細に説明する前に、本明細書中に使用する用語をはじめに定義することにし、そして必要によってその用語の具体的内容を説明し、次いで被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子の調製がどのような技術的手段によって行なわれるものであるのかの説明を行うことにする。
【0028】
被覆されたダイヤモンド粒子
被覆されたダイヤモンド粒子とは、被覆が施された下記するダイヤモンド粒子をいう。例えば、具体的には、被覆形成物質が超微粒子状、島状、連続質状、一様な膜状、突起物状等の内の一種以上の形態で芯粒子としてダイヤモンド粒子に被覆を施した被覆された粒子をいう。
【0029】
ダイヤモンド原料粉体粒子
本発明に係る、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であるダイヤモンド粒子の表面に、被覆形成物質を被覆した被覆ダイヤモンド粒子を製造するためのダイヤモンド粒子の原料粒子には、天然及び/又は人工のダイヤモンド粉体粒子がある。
天然品の場合は、超高純度のものを選択できるので好適である。合成品の場合は、合成時に触媒として使用された物質を可能な限り取り除いたものが好ましい。合成品で特に好適な例として、例えば物理蒸着法(PVD法)或いは化学蒸着法(CVD法)による、気相を介して合成されて触媒物質を含まない超高純度なダイヤモンドが選択可能である。薄膜状に合成される場合は、不純物の混入に注意しながら粉砕して使用する。粒状或いは粉体状に合成される場合は、そのまま使用することができる。これ以外の高純度な例として単結晶からなるものが選択可能である。或いは、積極的に不純物を除去したものが選択できる。
【0030】
高性能な被覆ダイヤモンド焼結体を製造するためのダイヤモンド原料粉体としては、その平均粒子径が10μm以下のダイヤモンド粒子が用いられる。具体的は、ダイヤモンドは平均粒径DMが10μm以下で体積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)のダイヤモンド粉体粒子が一般に流通しているのでこれを適用できる。用途に応じて、比較的分布の幅の狭い平均粒径DMが10μm以下で体積基準頻度分布が(〔DM/3,3DM〕,≧90%)のダイヤモンド粉体粒子、或いは分級等によりダイヤモンド粒子の粒径が管理され更に分布の幅の狭い平均粒径DMが10μm以下で体積基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,≧90%)のダイヤモンド粉体粒子を選択できる。
このような分布のダイヤモンド粒子を原料粉体粒子として適用すると、被覆ダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子表面の未焼結部分のない、均一で、緻密で且つ強固に焼結された高度に制御された微組織を有する高性能な被覆ダイヤモンド焼結体が製造できる。
【0031】
気相被覆法
気相被覆法とは、被覆形成物質の原料が、分子流、イオン流、プラズマ、ガス、蒸気、エアロゾルの一種以上からなる気相状態を少なくとも一度は経て被覆する方法、又は気相状態の被覆形成物質の原料により被覆する方法をいう。
【0032】
芯粒子
芯粒子とは、被覆を施す対象物となる粒子をいう。これはまた、母材粒子、種粒子或は被覆される粒子ともいう。
この芯粒子は、ダイヤモンドからなる。
【0033】
芯粒子粉体
芯粒子粉体とは、芯粒子からなる粉体をいう。芯粒子粉体の粒子とは、芯粒子粉体を構成する粒子をいう。本発明で用いる被覆に供する微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子は、平均粒子径が体積基準頻度分布で10μm以下である。
好ましくは、平均粒子径をDMとしたとき、DMが10μm以下で、粒度分布が体積基準頻度分布で(〔DM/5,5DM〕,≧90%)である。このような比較的分布の幅の狭い粉体では、平均粒子径で粉体の分散特性又は凝集特性が特徴付けられ、DMの値に適した条件で微粒子高分散処理手段群を作動させれば分散できる。
平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体の粒子の粒度分布が、幅広い分布又は互いに離れた複数のピークを持つ分布の粉体では、好適には適当な選択分離処理、例えば分級処理を行ってそれぞれ分級された粉体ごとに、被覆処理を施す。これにより、それぞれ分級された粉体ごとに上記条件の下で、被覆空間の被覆開始領域で分散度が分散度βが70%以上の状態で被覆が開始され、芯粒子粉体の粒子一つ一つの粒子に被覆が可能となる。
【0034】
被覆形成物質
被覆形成物質とは、被覆を施す対象物に被覆を形成する物質をいう。例えば、具体的には、超微粒子状、島状、連続質状、一様な膜状、突起物状等の一種以上からなる形態で芯粒子粉体の粒子に被覆を形成する物質をいう。
特に、被覆形成物質の形態が超微粒子状の場合、超微粒子の粒子径は、例えば0.005μm〜0.5μmの範囲のものをいう。
この被覆形成物質は、被覆形成物質自体がそのままで被覆を形成するか、又は被覆形成物質と芯粒子のダイヤモンドとが反応して及び/又はダイヤモンド粒子に固溶して及び/又は二種類以上の被覆形成物質同志が反応して及び/又は合金化して及び/又は固溶して被覆を形成するための目的とする無機化合物、合金、金属間化合物等の一種類又はそれ以上を生成し、被覆されたダイヤモンド粒子の焼結を促進する焼結助剤及び/又は結合材となる単体物質及び/又は化合物及び/又はダイヤモンド粒子の表面改質剤となる単体物質及び/又は化合物から選択される。
【0035】
直接ダイヤモンド粒子に被覆する被覆形成物質は、ダイヤモンドをグラファイト相に相転移を促進しない被覆形成物質が選択される。このダイヤモンド粒子の粒界を制御する表面改質剤としても被覆形成物質が選択可能である。必要に応じて、例えば、ダイヤモンド粒子と焼結助剤及び/又は結合材との化学結合性を高めたり、又は個々のダイヤモンド粒子を任意の物質から隔離し、これにより、ダイヤモンドのグラファイト相への相転移を抑止したり或いはダイヤモンドと任意の物質との反応を抑止したりすることができる。これにより、焼結助剤及び/又は結合材としての被覆形成物質の選択の幅が飛躍的に大きく広がり好適である。
【0036】
これらの被覆形成物質は、周期律表1a、2a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3b、4b、5b、6b、7b、8族の金属、半導体、半金属、希土類金属、非金属及びその酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、酸炭化物、炭窒化物、酸炭窒化物、硼化物、珪化物の一種類又はそれ以上、例えばAl、B、Si、Fe、Ni、Co、Ti、Nb、V、Zr、Hf、Ta、W、Re、Cr、Cu、Mo、Y、La、TiAl、Ti3Al、TiAl3、TiNi、NiAl、Ni3Al、SiC、TiC、ZrC、B4C、WC、W2C、HfC、VC、TaC、Ta2C、NbC、Mo2C、Cr3C2、Si3N4、TiN、ZrN、Si2N2O、AlN、HfN、VxN(x=1〜3)、NbN、TaN、Ta2N、TiB、TiB2、ZrB2、VB、V3B2、VB2、NbB、NbB2、TaB、TaB2、MoB、MoB2、MoB4、Mo2B、WB、W2B、W2B5、LaB6、B13P2、MoSi2、BP、Al2O3、ZrO2、MgAl2O4(スピネル)、Al2SiO5(ムライト)の一種類又はそれ以上を含む物質であることができる。
この被覆されたダイヤモンド粒子表面を被覆する被覆形成物質の被覆による添加量は、特に制限はないが、好適には被覆ダイヤモンド焼結体を緻密化可能な程度の任意の量が選択される。
【0037】
被覆空間に投入の定義
被覆空間に投入とは、例えば、自由落下等の落下によって芯粒子粉体を被覆空間に導入することをいう。搬送ガスにより投入する場合には、芯粒子粉体を芯粒子粉体の粒子・気体混合物の流れの方向に乗せて導入したり、気体に乗せて流れの方向へ、或いは気体に乗り方向が変えられて導入することをもいう。または、搬送ガスの作用を受けて導入することをもいう。例えば、搬送ガスの波動現象、具体的には非線系波動によって導入することをもいう。或いは、ガス中の音波、超音波、磁場、電子線等によって被覆空間に導入することをもいう。また、外場、例えば電場、磁場、電子線等により導入することをもいう。具体的には、電場、磁場、電子線等により粉体粒子を帯電させ、または帯磁させ、引力又は斥力により被覆空間に導入することをもいう。また、ガスの背圧や減圧によって吸い込まれ、導入することも含む。
【0038】
被覆空間
被覆空間とは、被覆形成物質の原料から気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体と芯粒子粉体の粒子が接触及び/又は衝突する空間をいう。あるいは、芯粒子粉体の粒子の表面を被覆形成物質で被覆する空間領域をいう。
【0039】
被覆室
被覆室とは、被覆空間を一部以上有する室をいう。より具体的には、被覆室とは、被覆空間を含む仕切られた、又は略仕切られた(略閉じた、半閉じた)室であって、被覆空間を一部以上含む室である。
【0040】
気中
気中とは、真空又は気相状態の空間内をいう。ここで、本発明において、気相状態とは、分子流、イオン流、プラズマ、ガス、蒸気、エアロゾルなどの状態をいう。真空とは、技術的には、減圧状態をさす。どんな減圧下でも、厳密にはガス、分子、原子、イオン等が含まれる。
【0041】
被覆形成物質前駆体
被覆形成物質前駆体とは、被覆形成物質の前駆体である。より詳しくは、気相状態の被覆形成物質の原料がそのまま、又は被覆形成物質の原料から気相を経て形成及び/又は合成され、被覆を施す対象物となる粒子である芯粒子に被覆を形成する直前までの物質をいう。被覆形成物質前駆体は、被覆形成物質の原料から、気相を経て形成及び/又は合成する限り、状態の制限はない。被覆形成物質の原料が気相の場合、この原料が被覆形成物質前駆体にもなりうる。被覆形成物質前駆体そのものが気相であってもよい。また、被覆形成物質前駆体が反応性物質の場合は、反応前でも良く、反応中でもよく、反応後でもよい。被覆形成物質前駆体の具体例としては、イオン、原子、分子、クラスター、原子クラスター、分子クラスター、クラスターイオン、超微粒子、ガス、蒸気、エアロゾル等が挙げられる。
【0042】
被覆形成物質の原料
被覆形成物質の原料とは、気相を経て被覆を形成する物質となる原料物質をいう。被覆形成物質の原料の形態の具体例として、塊状の固体、粉体粒子、気体、液体等が挙げられる。
【0043】
分散度β
分散度βとは、粉体分散装置の分散性能を評価する指数として増田、後藤氏らが提案(化学工学、第22回、秋季大会研究発表講演要旨集、P349(1989)参照)したように、全粒子の重量に対する、見かけの一次粒子の重量の割合と定義する。ここで、見かけの一次粒子状態の粒子とは、任意の分散状態の粉体粒子の質量基準の頻度分布fm2と完全分散されている粉体粒子の質量基準の頻度分布fm1のオーバーラップしている部分の割合を示し、次の式のβで表される。
【0044】
【数1】
上式において、粒子径の単位(μm)は規定されるものではない。
上式は質量基準で表した粒度分布を基にして分散度を評価しているが、本来分散度は体積基準で表した粒度分布を基にして評価されるべきものである。しかし粉体粒子密度が同じである場合には質量基準で表した粒度分布と体積基準で表した粒度分布は同じになる。そこで実用上測定が容易な質量基準の粒度分布を測定し、それを体積基準の粒度分布として用いている。従って本来の分散度βは次の式及び図2(a)の斜線部分の面積で表される。
【0045】
【数2】
上式において、粒子径の単位(μm)は規定されるものではない。
そして芯粒子粉体の分布及び平均粒子径は、特に断らない限り基本的には体積基準を用いることとする。
【0046】
体積基準頻度分布
体積基準頻度分布とは、粒子径の分布をある粒子径に含まれる体積割合をもって表したものをいう。
【0047】
(〔D1,D2〕,≧90%)の定義
(〔D1,D2〕,≧90%)分布とは、D1、D2を粒子径、但しD1<D2とするとき、D1以上でD2以下の粒子が体積で90%以上含まれる分布を表し、図2(b)のように斜線の部分の割合が90%以上である粒子からなる粉体を表す。
【0048】
体積基準頻度分布(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の定義
粒度分布が、体積基準頻度分布で(〔DM/5,5DM〕,≧90%)分布とは、DMを体積基準の平均粒子径とするとき、DMの1/5倍の粒子径以上、DMの5倍の粒子径以下の粒子を体積で90%以上含む分布を表す。例えば、平均粒子径DMが5μmで体積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)とは、体積基準の平均粒子径が5μmで、1μm以上且つ25μm以下の粒子径の粒子が体積で90%以上含まれるような分布を表す。ここで、体積基準の平均粒子径DMは、
【数3】
又は技術的には、ある粒子径間隔をDi±△Di/2(△Diは区分の幅)内にある粒子群の体積をViとすると、
DM=Σ(viDi)/Σvi
と表される。
【0049】
被覆開始領域
微粒子高分散処理手段群の最終処理後、初めて被覆が開始される領域を被覆開始領域という。従って、微粒子高分散処理手段群の最終処理以前では、初めて被覆が開始される領域でも、ここでいう被覆開始領域ではない。
【0050】
被覆開始領域での分散度β
本発明では、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とした領域に被覆空間の被覆開始領域を位置せしめる被覆室を設ける。この被覆空間の被覆開始領域における分散度であれば、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、実質的に粒子一個一個の単位に気中に分散して被覆に供することができ、被覆空間の被覆開始領域を通過する全ての芯粒子粉体の粒子の表面の少なくとも一部と、被覆形成物質前駆体とは接触及び/又は衝突するため、必ず粒子一個一個一個の単位に被覆形成物質を付けることができる。
【0051】
好適には、被覆空間の被覆開始領域において、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終の分散処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを80%以上とする。この被覆空間の被覆開始領域での分散度であれば、芯粒子粉体の粒子が体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子に対して事実上芯粒子同士による閉ざされた部分がなく、一個一個の粒子の表面のいたるところに被覆形成物質前駆体を接触及び/又は衝突させることが可能であり、一個一個の粒子表面にほぼ一様に被覆できる。
【0052】
より好適には、被覆空間の被覆開始領域において、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終の分散処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを90%以上とする。この被覆空間の被覆開始領域の分散度であれば、芯粒子粉体の粒子が体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子の芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であっても事実上凝集しておらず、一個一個の粒子の表面全てに事実上一様に被覆できる。
特に、処理能率が低くてもよいから、高品位な被覆を行いたいときは、分散度は、95%以上がより好ましい。この場合、微量の芯粒子粉体の粒子を処理して、完全分散の芯粒子粉体の粒子の気中個数濃度を低くすることにより可能となる。これにより完全に一個一個の粒子の全表面に一様に被覆できる。
【0053】
微粒子高分散処理手段群
微粒子高分散処理手段群とは、
(A) 少なくとも分散手段を1以上有し、
(B) 最終の処理手段として、
(a) 芯粒子粉体の粒子を気中に分散させる分散手段、又は
(b) 芯粒子粉体の粒子を気中に分散させた芯粒子粉体の粒子と気体との混合物において低分散芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段とこの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段により分離された低分散芯粒子粉体部分をこの微粒子高分散処理手段群中の分散手段の内の最終分散手段及び/又は最終分散手段以前の処理手段に搬送するフィードバック手段とを備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段、
を有するものである。
【0054】
好適には、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする分散性能を有するものである。
前記被覆開始領域における種々の分散度、例えばβ≧70%、80%、90%に対応してそれらと同等以上の分散性能の微粒子高分散処理手段群を設けることにより、被覆開始領域において、各分散度に応じた高品位な被覆を施すことができる。
【0055】
最終処理手段
微粒子高分散処理手段群の最終の処理手段が分散手段の場合、この分散処理手段を微粒子高分散処理手段群の最終処理手段という。又、微粒子高分散処理手段群の最終の処理手段が、微粒子高分散処理手段の最終の分散手段へ、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択処理工程時に於いて低分散状態であったために選択分離された部分を搬送するフィードバック手段を備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段、又は最終の分散手段より前の処理手段に、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択処理工程時に於いて低分散状態であったために選択分離された部分を搬送するフィードバック手段を備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の場合、この高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段を微粒子高分散処理手段群の最終処理手段という。
尚、この、微粒子高分散処理手段群の最終処理手段であるフィードバック手段を備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段より前に設ける(例えば、このフィードバック手段を備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段と最終分散手段の間、或いは最終分散手段より前)高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段は、フィードバック手段の有無にかかわらず微粒子高分散処理手段群の構成要素である。
【0056】
分散手段
微粒子を分散するために用いる手段を分散手段という。この分散手段は少しでも或いは僅かでも分散効果を有するものは分散手段として使用可能であり、これを分散手段とする。例えば、一般に供給手段として用いる空気輸送用のロータリーフィーダーやインジェクションフィーダー(粉体工学会編:“粉体工学便覧”、日刊工業新聞社(1986)P568、P571)は、分散効果も有するので、分散目的の手段として使用する場合は分散手段である。後述の分散維持・促進手段も分散目的で(βを高める目的で)使用する場合は分散手段となる。そしてこの分散手段は単一の装置、機器である場合も、複合された装置、機器である場合もあり、これらを総称して微粒子高分散処理手段群と呼ぶ。
この微粒子高分散処理手段群は、芯粒子粉体の粒子の加速及び/又は速度勾配に置く気流による分散、この芯粒子粉体の粒子の静止障害物及び/又は回転体でなる障害物への衝突による分散、芯粒子粉体の粒子の流動層及び/又は脈流及び/又は回転ドラム及び/又は振動及び/又は掻取りからなる機械的解砕による分散等の内の選択された一種類以上の分散の機構を備えたものをいう。
【0057】
具体的には、微粒子高分散処理手段群は、エジェクタ型分散機、ベンチュリ型分散機、細管、撹拌機、気流中の障害物を利用した分散機、ジェットの吹付けを利用した分散機、螺旋管、回転羽根を利用した分散機、回転するピンを利用した分散機(ケージミル)、流動層型分散機、脈流を利用した分散機、回転ドラムを利用した分散機、振動を利用した分散機、振動ふるい、スクレーパによる掻き取りを利用した分散機、SAEI、Gonell式分散機、中条式分散機、Roller式分散機、オリフィス型分散機、B.M式分散機、Timbrell式分散機、Wright式分散機等の選択された一種以上からなる分散手段を備えたものである(粉体工学会編:“粉体工学便覧”、日刊工業新聞社(1986)P430)。
【0058】
また、特開昭56−1336号に記載の撹拌羽根を利用した分散機、特開昭58−163454号に記載の高速気流と分散ノズルを利用した分散機、特開昭59−199027号に記載の回転羽根による分散作用とプラズマイオンによる分散作用を利用した分散機、特開昭59−207319号に記載のプラズマイオンによる分散作用を利用した分散機、特開昭59−216616号に記載のエジェクタとプラズマイオンによる分散作用を利用した分散機、特開昭59−225728号に記載のエジェクタとイオン流の分散作用を利用した分散機、特開昭59−183845号に記載のプラズマイオンの分散作用を利用した分散機、特開昭63−166421号に記載の分散羽根と圧力気体による分散作用を利用した分散機、特開昭62−176527号に記載のライン状又はリング状スリット型噴出口を用いた分散機、特開昭63−221829号に記載の網状羽根を利用した分散機、特開昭63−1629号に記載の噴射ノズルからの高速気流による分散作用を利用した分散機、実開昭63−9218号に記載の多数の細孔を利用した分散機、実開昭62−156854号に記載のエジェクタ型分散機、実開昭63−6034号に記載の細孔とオリフィスを利用した分散機等の公報に記載のものも使用可能である。
微粒子高分散処理手段群に好適な分散手段として、特願昭63−311358号、特願平1−71071号、特願平2−218537号等に記載の装置が挙げられる。
【0059】
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段とは、芯粒子粉体の粒子・気体混合物から、低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を分離し、主に単一粒子状態の粒子を含む高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する手段をいう。一次粒子の集合体である凝集粒子は、見かけの粒子径が一次粒子の粒子径に比べ大きくなることから、例えば乾式分級手段により分離が可能である。この高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の例としては、重力を利用した分級手段、慣性力を利用した分級手段、遠心力を利用した分級手段、静電気を利用した分級手段、流動層を利用した分級手段等から一種以上選択された乾式分級手段が挙げられる。
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の例としては、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機、サイクロン、エアセパレータ、ミクロンセパレータ、ミクロプレックス、ムルチプレックス、ジグザグ分級機、アキュカット、コニカルセパレータ、ターボクラシファイア、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ、エルボジェット、流動層分級機、バーチュアルインパクタ、O-Sepa、ふるい、バイブレーティングスクリーン、シフタ(粉体工学会編:“粉体工学便覧”日刊工業新聞社、P514(1986))等が挙げられる。
【0060】
芯粒子粉体の粒子・気体混合物
芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、(a)芯粒子粉体の粒子が気中に一様に浮遊した均質流れ(一様な浮遊流れ)、(b)芯粒子粉体の粒子が気中のある領域で非一様な分布を示す不均質流れ(非均質浮遊流れ)、(c)芯粒子粉体の粒子の摺動層を伴う流れ(摺動流れ)、又は(d)芯粒子粉体の粒子の静止層を伴う流れをいう。
【0061】
低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物
低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、芯粒子粉体の粒子・気体混合物の内、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態以外の状態で気中に存在する芯粒子粉体の粒子・気体混合物をいう。
【0062】
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する芯粒子粉体の粒子・気体混合物をいう。高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物は、極めて高分散であっても、実際には凝集粒子を含む。低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物は、実際には、凝集していない単粒子を含み、選択分離して低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物と高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物に分けられる。低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物は、凝集粒子の選択分離及び/又は再分散により、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物となる。
【0063】
回収手段
被覆空間で被覆した被覆粒子を取り出す手段を回収手段という。回収手段の内で回収処理の行われる部分を回収部という。被覆空間の被覆開始領域を通過して被覆した被覆粒子は、気中から直接取り出して回収するか、又は気中から取り出して一時的に蓄えてから回収するか、又は、気体と共に回収される。
回収手段の回収部としては、隔壁(障害物)を利用した回収手段の回収部、重力を利用した回収手段の回収部、慣性力を利用した回収手段の回収部、遠心力を利用した回収手段の回収部、帯電による引力を利用した回収手段の回収部、熱泳動力を利用した回収手段の回収部、ブラウン拡散を利用した回収手段の回収部、ガスの背圧や減圧等による吸引力を利用した回収手段の回収部等が利用可能である。
回収手段の回収部の好適な例として、重力集塵機、慣性集塵機、遠心力集塵機、濾過集塵機、電気集塵機、洗浄集塵機、粒子充填層、サイクロン、バグフィルター、セラミックスフィルター、スクラバー等が挙げられる。
【0064】
結合材
本発明のダイヤモンド焼結体の製造に用いる結合材としては、圧力が2000MPa未満で、1850℃を越えない温度で焼結することにより、密度85%以上に緻密に焼結される結合材が選択される。好適には、更に、ダイヤモンドをグラファイト相に相転移するのを促進しない結合材が選択される。或いは、圧力が2000MPa未満で、1850℃を越えない温度で焼結することにより、ダイヤモンドと反応して生成する反応生成物の密度が85%以上である緻密な結合材となるものが選択される。より好ましくは、圧力が2000MPa未満で、1850℃を越えない温度で焼結して、密度が90%以上の緻密で、及び/又はビッカース硬度が600以上の高硬度の結合材となるものが選択される。圧力が2000MPa未満で、1850℃を越えない温度で焼結することにより、密度85%以上の緻密な結合材となる原料粉体は、周期律表第1a、2a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3b、4b、5b、6b、7b、8族金属、半導体、半金属、希土類金属の内の一種類以上及び/又はこれらの内の一種類以上を含む化合物の少なくとも一種類を含む粉体又は粒子から選択される。より具体的には、この粉体又は粒子が、B、Ti、Zr、Hf、Ta、Nb、V、SiC、TiC、ZrC、B4C、WC、HfC、TaC、NbC、Si3N4、TiN、ZrN、AlN、HfN、TaN、TiB、TiB2、ZrB2、HfB、HfB2、LaB6、MoSi2、BP、Al2O3、Al2SiO5(ムライト)、ZrO2(Y2O3、MgO又はCaO安定剤を添加したジルコニア:PSZ又は正方晶ジルコニア多結晶体:TZP)、MgAl2O4(スピネル)の内の少なくとも一種類から選ばれる粉体又は粒子でありうる。好適な例として、例えばアルミナでは、高純度で易焼結性の微細な原料、例えば、特開昭63−151616号公報に記載のアンモニウム・アルミニウム炭酸塩熱分解法によるアルミナであれば、常圧の普通焼結でも1400℃程度の温度で緻密化するので好適である。更に、アルミナの焼結を促進する効果のあるマグネシア(MgO)及び/又はチタニア(TiOx、x=1〜2)を体積で10%まで含有する微細で高純度なアルミナ粉体であれば、前記特開昭63−151616号公報に記載のアルミナ以外の高純度アルミナ、例えばバイヤー法、有機アルミニウム加水分解法、及びアルミニウムミョウバン熱分解法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法等による、1μm以下の微細な粒子からなる純度99%以上の高純度・易焼結性アルミナでも差し支えない。
【0065】
前記アルミナ以外ではジルコニウムの酸化物、好適には、共沈法によって製造される易焼結性のイットリア添加部分安定化ジルコニア(2−4mol%Y2O3−ZrO2)粉体、或いはアルミナ−ジルコニア系粉体(FCレポート、1〔5〕(1983) 13−17)や、チタン酸化物であるチタニア粉体(TiO2:第15回高圧討論会講演要旨集、(1973)P174)が選択される。
また、チタンの窒化物として、窒化チタン(TiN:山田外、窯業協会誌、89、(1981)621〜625)も選択可能である。
【0066】
次に、本発明で用いる被覆されたダイヤモンド粒子を調製する場合に採用される微粒子高分散処理手段群を添付の図面に基づいて説明することにする。
【0067】
微粒子高分散処理手段群の図の説明
図3(a)は被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の基本的な構成の一例を表すブロック図である。芯粒子粉体の粒子を分散させる最終の分散手段A、最終の分散手段以前の分散処理手段群の構成要素dで構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。構成要素dとしては、分散手段、供給手段、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素dは、必ずしも設けなくとも良い。微粒子高分散処理手段群は、好適には最終の処理手段である分散手段Aの処理後、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体に対し、分散度が分散度βで70%以上を実現できる構成のものである。
【0068】
図3(b)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の基本的な構成の第2の他の一例を表すブロック図である。芯粒子粉体の粒子を分散させる最終の分散手段A、最終の分散手段Aへ芯粒子粉体の粒子が、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηをフィードバックさせるフィードバック手段Cを備えた最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段B、最終の分散手段以前の分散処理手段群の構成要素d、最終分散手段と最終選択手段の間の微粒子高分散処理手段群の構成要素eで構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。構成要素dとしては、分散手段、供給手段、選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素eとしては、分散手段以外の処理手段、例えば供給手段、選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素d及びeは、必ずしも設けなくとも良い。微粒子高分散処理手段群は好適には、最終の処理手段である選択手段Bによる処理後、前記分布の芯粒子粉体に対し分散度が分散度βで70%以上を実現できる構成である。
【0069】
図3(c)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の基本的な構成の第3の例を表すブロック図である。芯粒子粉体の粒子を分散させる最終の分散手段A、最終の分散手段Aより前の処理手段へ芯粒子粉体の粒子が、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηをフィードバックさせるフィードバック手段Cを備えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段B、最終の分散手段以前の微粒子高分散処理手段群の構成要素d、最終の分散手段と最後の選択手段の間の微粒子高分散処理手段群の構成要素eで構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。構成要素dとしては、分散手段、供給手段、選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素dとしては、分散手段以外の処理手段、例えば供給手段、選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素d及びeは、必ずしも設けなくとも良い。微粒子高分散処理手段群は、好適には、最終の処理手段である選択手段Bによる処理後、前記分布の芯粒子粉体に対し分散度が分散度βで70%以上を実現できる構成である。
【0070】
なお、以上のような構成であるから、供給槽、芯粒子生成手段等の粉体の供給源も本微粒子高分散処理手段群の構成に含めてもよい。例えば図3(c)の場合、フィードバック手段Cのフィードバック先を供給槽とする構成も高分散処理手段群の構成として良いことは言うまでもない。又、微粒子高分散処理手段群の分散工程の前に、芯粒子粉体の粒子を解砕及び/又は粉砕する解砕工程を入れても良いことは言うまでもない。
【0071】
上記した微粒子高分散処理手段群の基本的な構成の具体的な代表例をより詳細にしたブロック図に基づいて更に詳しく説明することにする。
構成1
図4(a)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第1の構成を説明するブロック図であって図3(a)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段Aから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0072】
構成2
図4(b)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第2の構成を説明するブロック図であって図3(a)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段Aから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0073】
構成3
図4(c)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第3の構成を説明するブロック図であって図3(a)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、分散手段aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段aへフィードバックさせるフィードバック手段C、主に高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を最終の分散手段Aへ導入する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段b、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、から構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0074】
構成4
図4(d)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第4の構成を説明するブロック図であって図3(b)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバックするフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0075】
構成5
図4(e)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第5の構成を説明するブロック図であって図3(b)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバックするフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0076】
構成6
図4(f)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第6の構成を説明するブロック図であって図3(b)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を取り除き、主に高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を分散手段Aへ導入する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段b、選択分離された芯粒子粉体の粒子を分散させる最終分散手段A、最終分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバックさせるフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0077】
構成7
図4(g)は、被覆されたダイヤモンド粒子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の第7の構成を説明するブロック図であって図3(c)に対応するものである。本例は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段aへフィードバックするフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0078】
このようにして達成された微粒子の高分散状態を維持するために、気中分散維持手段を微粒子高分散処理手段群と被覆室の間に付加することもできる。ここでいう気中分散維持手段とは、気中に分散担持された芯粒子粉体の粒子の再凝集を防止して分散度βを維持する手段をいう。又、このようにして達成された芯粒子の高分散状態を促進するために、気中分散促進手段を微粒子高分散処理手段群と被覆室の間に付加することもできる。ここでいう気中分散促進手段とは、気中に分散担持された芯粒子粉体の粒子のうち主に再凝集した粒子の再分散を促進し、分散状態の低下を鈍らせたり、一旦低下した分散状態を元の高分散の状態まで回復するように再分散を促す手段をいう。
【0079】
この気中分散維持手段又は気中分散促進手段の好適な例としては、パイプ振動装置、パイプ加熱装置、プラズマ発生装置、荷電装置等が挙げられる。
パイプ振動装置は、発振器を設置したパイプの振動により、気中に分散している粒子に分散機とは言えない振動を与えることで、再凝集を抑制し高分散状態を維持する手段又は再凝集した粒子の分散を促進する手段である。
パイプ加熱装置は、加熱したパイプにより搬送気体の外側から熱を加えて搬送気体を膨張させ、分散機とは言えないほどに流速を加速して再凝集を抑制し、再凝集した粒子の分散を促進する手段である。
プラズマ発生装置は、芯粒子粉体を分散担持している気中にプラズマを発生させ、そのプラズマイオンと芯粒子との衝突により、再凝集を抑制し高分散状態を維持する手段又は再凝集した粒子の分散を促進する手段である。
荷電装置は、芯粒子粉体を分散担持している気中に、コロナ放電、電子ビーム、放射線等の方法で単極イオンを発生させ、単極イオン雰囲気中を通過させることで粒子を単極に帯電させ、静電気の斥力により再凝集を抑制し高分散状態を維持する手段又は再凝集した粒子の分散を促進する手段である。
【0080】
このようにして形成された微粒子の高分散状態の芯粒子粉体は粒子の表面を被覆形成物質で被覆するために被覆室に送られる。この被覆室には被覆開始領域を含む被覆空間が設けられている。
微粒子高分散処理手段群と被覆室とは直結することが望ましいが、搬送に不可避の中空部材及び/又はパイプを使って接続しても良い。この場合にも、被覆開始領域でのβ≧70%を実現することが不可欠である。
微粒子高分散処理手段群と被覆室を別々に置いてその間を連結する場合は、芯粒子粉体をその分散状態のまま被覆室へ導入してやれば良い。そのためには、この間に芯粒子粉体の分散状態を維持するための装置である気中分散維持手段及び/又は分散状態を高めるための装置である気中分散促進手段及び/又は芯粒子粉体の粒子・気体混合物から、低分散芯粒子粉体部分を分離し、主に単一粒子状態の粒子を含む高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段を設けることもできる。
【0081】
又、被覆されたダイヤモンド粒子を調製するに際して、微粒子高分散処理手段群が、(1)被覆室、又は(2)被覆空間、又は(3)被覆開始領域と一部以上空間を共有することもできる。
例えば、微粒子高分散手段群中の分散空間と被覆室とを、又は微粒子高分散手段群中の分散空間と被覆開始領域を有する被覆空間とを、又は微粒子高分散手段群中の分散空間と被覆開始領域とを、空間的に共有することもできる。
ここで被覆開始領域とは、β≧70%の分散状態で搬送された高分散状態の芯粒子粉体に気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体が接触及び/又は衝突し、被覆を開始する領域を指し、次の図5(a)〜(e)で示される態様が考慮される。
すなわち、図5(a)〜(e)において被覆開始領域は2で示される領域である。
【0082】
図5(a)において粉体に対してβ≧70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を微粒子高分散処理手段群又は微粒子高分散処理手段群の放出部1を覆って設ける。
図5(b)において微粒子高分散処理手段群又は微粒子高分散処理手段群の放出部1から放出される芯粒子粉体の粒子4が全て通る前記β≧70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を設ける。
上記の構成により、全ての芯粒子粉体の粒子はβ≧70%の分散状態で被覆が始められる。
図5(c)において微粒子高分散処理手段群又は微粒子高分散処理手段群の放出部1から放出される芯粒子粉体の粒子4の内、回収部5に入る粒子が必ず通過する前記β≧70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を設ける。
【0083】
図5(d)において回収部5を囲む前記β≧70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を設ける。
図5(e)において高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の粒子のみが到達可能な位置に回収部5を設ける。従って、ここでの領域6は重力を利用した選択手段となる。回収部に入る高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の粒子が、必ず通過する前記β≧70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を図の斜線部のように設ける。
β≧70%の分散状態で被覆始めた芯粒子のみ回収でき、被覆開始領域を通っていない芯粒子と被覆開始領域を通過した被覆粒子とは混ざることはない。
上記したところから、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための装置は、微粒子高分散処理手段群と被覆室又は微粒子高分散処理手段群と被覆室と回収手段から構成されるものであるが、これらの装置の構成要素は、種々の組み合わせ方をすることが可能で、これらの装置の構成例を図面にもとづいて説明するとつぎのとおりである。
【0084】
装置の構成1
図6(a)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第一の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1に直結してある。
【0085】
装置の構成2
図6(b)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第二の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、不可避の中空部材2−C2、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1に不可避の中空部材2−C2を介して接続してある。
【0086】
装置の構成3
図6(c)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第三の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、気中分散維持手段2−C3、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1に気中分散維持手段2−C3を介して接続してある。
【0087】
装置の構成4
図6(d)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第四の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1と空間を共有している。
【0088】
装置の構成5
図6(e)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第五の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1中に設けている。
【0089】
装置の構成6
図6(f)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第六の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−Dから構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1の分散空間中に、被覆室2−B1を設けている。
【0090】
装置の構成7
図6(g)は、被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための第七の装置の構成を説明するブロック図である。本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−D、再被覆供給手段2−Eから構成されている。回収手段2−Dから被覆後の被覆粒子を高分散処理手段群2−C1に再被覆供給手段2−Eにより搬送して、繰り返して被覆処理が行える。
かかる構成の装置のいずれかにより、被覆されたダイヤモンド粒子が製造されるものである。
【0091】
上記のようにしてダイヤモンド粒子である芯粒子粉体を被覆形成物質で被覆した被覆粒子について、再び被覆形成物質で被覆すること、またはこの再被覆を反復することもできる。この場合、被覆粒子は再被覆供給手段に送られる。ここで、再被覆供給手段とは、再被覆を行うために被覆後の被覆粒子を微粒子高分散処理手段群へ搬送する手段をいう。具体的には、(a)被覆粒子を回収する回収手段、及び(b)この回収手段から微粒子高分散処理手段群に被覆粒子を搬送する被覆粒子搬送手段を備えた手段である。または、(a)被覆粒子を回収する回収手段、(b)この回収手段から微粒子高分散処理手段群に被覆粒子を搬送する被覆粒子搬送手段、(c)及び被覆後の被覆粒子を分級する被覆粒子分級手段を備えた手段である。被覆量が多い場合、被覆前の芯粒子粉体の粒子の粒度分布と被覆後の被覆粒子の粒度分布は変わってしまう。そこで、被覆後の被覆粒子の粒度分布を被覆粒子分級手段により調整し、再被覆処理を行えば効果的である。
この再被覆処理は、必要によって繰り返すことができ、そして被覆形成物質の被覆量を所望のものに設定することができる。更に、この被覆形成物質の種類を変えてこの被覆処理を繰り返すことができ、このようにして複数成分の物質を被覆形成物質として多重被覆することもできる。
【0092】
本発明で用いる被覆粒子の製造装置は、被覆形成物質が、気相を経る気相法によって、芯粒子粉体の粒子表面に被覆される被覆粒子の製造装置であれば制限はない。例えば、化学蒸着(CVD)装置としては、熱CVD装置、プラズマCVD装置、電磁波を利用したCVD(可視光線CVD、レーザCVD、紫外線CVD、赤外線CVD、遠赤外線CVD)装置、MOCVD装置等、或いは、物理蒸着(PVD)装置としては、真空蒸着装置、イオンスパッタリング装置、イオンプレーティング装置等が適用可能である。より具体的には、例えば、特開平3−75302号公報の超微粒子で表面が被覆された粒子およびその製造方法に記載の被覆粒子製造装置が好適である。
【0093】
以上述べた通り、本発明ではダイヤモンド粒子である微粒子芯粒子粉体、又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を被覆空間に投入し気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体をこの芯粒子粉体の粒子に接触及び/又は衝突させてこの芯粒子粉体の粒子の表面を被覆形成物質で被覆する被覆ダイヤモンド粒子が製造されるが、本発明の基本的な工程を要約すると次の通りである。
【0094】
I
(A) 微粒子高分散処理手段群により、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とする分散工程、
(B) この分散工程で分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程
を設けた被覆法。
【0095】
II
(A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・気体混合物とする分散混工程、
(B) この分散工程で分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程
を設けた被覆法。
【0096】
III
(A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・気体混合物とする分散混工程、
(B) この分散工程で分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、被覆工程に直接搬送する搬送工程、
(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程
を設けた被覆法。
【0097】
IV
(A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・気体混合物とする分散混工程、
(B) この分散工程で分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、搬送に不可避の、中空部材、中空を形成する部材からなる中間部材、及びパイプから選択される1種類又はそれ以上の部材を介して搬送する搬送工程、
(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程
を設けた被覆法。
【0098】
V
(A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・気体混合物とする分散混工程、
(B) この分散工程で分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、この分散性能で気中に分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の気中分散状態を維持する気中分散維持手段、この高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の気中分散状態を高める気中分散促進手段、芯粒子粉体の粒子と気体との混合物において低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の1種類又はそれ以上を介して搬送する搬送工程、
(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程
を設けた被覆法。
【0099】
以上、I〜Vの全てにおいて、好適には、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する空間領域の内の、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子の全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置させるか、又は、
体積基準被覆分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する空間領域の内の、回収手段の回収部に回収する全てに粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置させるか、
又は、前記I及びIIにおいて、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とする分散工程の一部以上と前記被覆工程の一部以上とを、空間を一部以上共有して行うものである。
【0100】
上記、被覆されたダイヤモンド粒子は、被覆された粒子の被覆形成物質を介して、接触状態で集合塊を形成する場合がある。この被覆されたダイヤモンド粒子からなる粉体は、単一粒子状態の被覆された粒子と、この単一粒子状態の被覆された粒子が数個から数十個接触した集合塊、更に多数個の単一粒子状態の被覆された粒子が接触した集合塊から構成され、その形状及び大きさが不均一で不規則になる。この単一粒子状態の被覆された粒子からなる集合塊は、解砕及び/又は破砕してから成形又は焼結処理に供するのが好ましい。この被覆されたダイヤモンド粒子の集合塊の解砕及び/又は破砕には、種々の解砕手段、例えば、ボールミル、振動ボールミル、乳鉢、ジェットミル等が利用可能である。また、単一粒子状態の被覆された粒子と、この単一粒子状態の被覆された粒子の集合塊とを選択分離して、単一粒子状態の被覆された粒子のみを成形又は焼結処理に供してもよい。
【0101】
本発明によれば、上記のようにして得られた被覆されたダイヤモンド粉体粒子を、2000MPa未満の圧力及び1850℃を越えない温度において密度が85%以上に焼結できる結合材とともにダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定である2000MPa未満の圧力及び1850℃を越えない温度において焼結されてダイヤモンドの焼結体とされる。
【0102】
ダイヤモンドに、例えば被覆形成物質として結合材を被覆すると、あたかも結合材だけの粒子からなるものと同様の粒子分布となり、これにより形状に基づく難焼結性繊維状物質を混合しても緻密に強固に焼結が可能となり、焼結体の高強度化、高靭化が図れる。この被覆ダイヤモンド粉体粒子に混合する、繊維状物質は短径が500μm以下で、短径に対する長径との比が2以上である形状の、金属又は化合物の少なくとも一種類からなる物質で、短径が500μm以下で、短径に対する長径との比が2以上である形状の棒状物質及び/又は融解紡糸して繊維形状にした連続繊維である長繊維及び/又は結晶自体が繊維形状をとる自形繊維である短繊維及び/又は一方向に結晶成長させて繊維形状にしたウィスカー(wisker)からなる。このウィスカー(ヒゲ結晶)には、その形成においては、相変化や体積全体に及ぼす化学反応という現象は起こらないものと定義されている真性のウィスカー及び/又は相変化とか体積全体に及ぶ化学変化によって生成する結晶の一つの結晶面のみを成長させることにより、長い針状晶となった単結晶を指す広義のウィスカー及び/又は断面積が8×10−5in2以下で、長さが平均直径の10倍以上の単結晶であるウィスカーがある。
【0103】
繊維状物質として、周期律表第1a、2a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3b、4b、5b、6b、7b、8族の金属、半導体、半金属、希土類金属、非金属の内の一種類以上を含む化合物の少なくとも一種類を含む。短径が500μm以下で、短径に対する長径との比が2以上である形状の繊維状物質が用いられる。具体的には、周期律表第1a、2a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3b、4b、8族の金属、半導体、半金属、希土類金属、及びその炭化物、酸化物、窒化物、酸炭化物、酸窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物、硼化物、珪化物の少なくとも一種類からなる、短径が500μm以下で、短径に対する長径との比が2以上である形状の繊維状物質が使用される。好適には、例えば、Al、B、Si、Fe、Ni、Co、Ti、Nb、V、Zr、Hf、Ta、W、Re、Cr、Cu、Mo、TiAl、Ti3Al、TiAl3、TiNi、NiAl、Ni3Al、SiC、B4C、Cr3C2、TiC、ZrC、WC、W2C、HfC、TaC、Ta2C、NbC、VC、Mo2C、Si3N4、TiN、ZrN、Si2N2O、AlN、HfN、VxN(x=1〜3)、NbN、TaN、Ta2N、TiB、TiB2、ZrB2、VB、V3B2、VB2、NbB、NbB2、TaB、TaB2、MoB、MoB2、MoB4、Mo2B、WB、W2B、W2B5、LaB6、BP、B13P2、MoSi2、Al2O3、ZrO2(Y2O3、MgO又はCaO安定剤を添加した部分安定化ジルコニア:PSZ、又は正方晶ジルコニア多結晶体:TZP)、MgAl2O4(スピネル)、Al2SiO5(ムライト)の少なくとも一種類からなる、短径が500μm以下で、短径に対する長径との比が2以上の形状の繊維状物質が選択されうる。
【0104】
本発明で用いる被覆されたダイヤモンド粒子は、上記したように気相法によりその表面を被覆するので基本的に被覆形成物質に制限はない。被覆ダイヤモンド焼結体を、用途に応じて任意に材料設計する上で必要に応じて、被覆を施す前に、ダイヤモンド粉体粒子表面に事前に、同種及び/又は異種の被覆形成物質を同種及び/又は異種の被覆方法により被覆を施してもよい。
例えば、ダイヤモンド粒子表面に、目的とする金属の炭化物からなる被覆を形成する場合、事前に炭素を被覆した被覆ダイヤモンド粒子を使用すればよい。事前に物質を被覆する方法は、特に制限するものではないが、例えば、特開平2−252660号公報に記載の溶融塩浸漬法、特開平1−207380号公報に記載の溶融塩不均化反応法を始め、電気メッキ法、無電解メッキ法、クラッド法、物理蒸着法(スパッタリング法、イオンプレーティング法等)や化学蒸着法等が好適である。目的とする金属化合物の金属の種類は、本発明の結合材及び/又は焼結助剤として適用可能の範囲であれば特に制限されない。
【0105】
上記溶融塩を用いる浸漬法により形成される被覆膜は、緻密な高硬度高融点物質であり、ダイヤモンド粒子を他の物質から隔離する作用を有し、結合材の選択の幅が飛躍的に広がる。この溶融塩を用いる浸漬法により被覆膜を設けた、ダイヤモンド粉体粒子のみでは、緻密に焼結することが困難であるが、この溶融塩を用いる浸漬法により形成された高硬度高融点物質の被覆膜で被覆されたダイヤモンド粉体粒子に、更に一層以上の本発明の気相法による被覆法により、十分緻密で高硬度に焼結可能な結合材として適用可能な物質を適量被覆すると焼結促進により好適である。
【0106】
本発明によればダイヤモンド粒子表面に、気相法により、被覆形成物質を被覆させた被覆ダイヤモンド粒子を結合材と混合して、残部が前記粉体、粒子等及び/又は前記繊維状物質を混合した混合物を、粉体状で、若しくは成形後焼結する。
【0107】
特に高純度のダイヤモンド、例えば高品位の天然品やPVD法或はCVD法による気相を介して合成される超高純度のダイヤモンド、或は長時間かけて超高圧合成した超高純度のダイヤモンドを用いれば、圧力を伝達可能なカプセルに脱気封入して超高圧HIP焼結又はHIP焼結を行うか或は真空若しくは不活性ガス中でPCによる焼結又はHP焼結を行うことにより、熱力学的に安定な状態ではなくとも、前記Hallらの報告の1100℃よりも遥かに高い1850℃までダイヤモンドが現実上安定に存在する。しかし、1850℃を越えると短時間でグラファイト相に相転移する。一般には、合成ダイヤモンドの場合に合成用の触媒等が不純物として残留することがある。しかし積極的に不純物を除去した高純度なダイヤモンドであれば合成品であっても天然品と同じく、同様の焼結方法により1700℃までダイヤモンドが存在する。或いは、公知のダイヤモンドで1μm未満の微粒子を含まない、好適には3μm以上で本発明の範疇のサイズのダイヤモンドであれば、天然品、合成品の何れも1600℃までダイヤモンドが存在する。若しくは、公知の比較的高純度のダイヤモンドの場合は、天然品、合成品の何れも1500℃まで存在する。しかし、公知の一般的な合成ダイヤモンドの場合は1400℃までが好適である。従って、焼結温度の上限は1850℃である。
尚、前記の通り、ダイヤモンドが熱力学的に安定な状態ではなくて、事実上安定に存在する温度は、使用するダイヤモンドの品質により異なるので、この品質に応じた温度に近い焼結温度を設定する必要がある場合は、綿密に焼結温度を制御する必要がある。
【0108】
本発明は前記のように、2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を作用可能のPC型超高圧力装置、又は超高圧HIP装置、或はHIP装置、若しくはHP装置を使用した被覆ダイヤモンド焼結体の製造に関して、焼結温度の上限が1850℃であることと、この焼結温度範囲で、前記結合材の適用条件を明らかにし、且つ、ダイヤモンドが熱力学的に安定な状態となるための圧力を作用させることを必要としていないということを明示するものである。
【0109】
従って、PC型超高圧力装置を使用する場合は、圧力は2000MPa未満を適用しても差し支えないが、このPC型超高圧力装置の耐久性を考慮すると1500MPaを越えないことが好ましい。圧力発生に関する従来公知の技術としては、超高圧HIP装置の場合1000MPaまでHIP圧力を作用可能であり、この超高圧HIP装置を除くHIP装置及びHP装置の場合は、200MPaまでそれぞれ作動可能である。
【0110】
以上の方法により焼結させた被覆ダイヤモンド焼結体は、高度に微組織が制御された高性能な焼結体である。用途として最も一般的な機械部材用に、被覆ダイヤモンド焼結体でそのビッカース硬度が好適には600以上の高硬度で、その密度が85%以上の緻密な被覆ダイヤモンド焼結体が製造出来る。好適には、被覆ダイヤモンド焼結体でそのビッカース硬度が好適には800以上の高硬度で、及び/又は、その密度が90%以上の緻密な被覆ダイヤモンド焼結体が製造出来る。より好ましくは、例えば、耐摩耗性の高い機械部材への適用を考慮すると、相対的にダイヤモンドの含有量を増し、且つ緻密に焼結することにより、ビッカース硬度は1000以上の高硬度の被覆ダイヤモンド焼結体が製造出来る。より一層耐摩耗性を要求される工具用等には、更にダイヤモンドの含有量を増し、且つ緻密に焼結することにより、ビッカース硬度2000以上の被覆ダイヤモンド焼結体が製造出来る。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の被覆ダイヤモンド焼結体及びその製造法を実施例により説明する。
実施例1
平均粒子径が1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,≧90%)のダイヤモンド粒子を炭化チタンで被覆した。
使用した装置は、図7及びその部分拡大図である図8に示したものであり、図6(a)に示した構成の具体例である。本例の被覆形成物質前駆体を生成する装置の構成は実施例1と同一である。微粒子高分散処理手段群αは、供給槽を備えた供給機313、分散手段である撹拌式分散機6−F1、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段であるサイクロン6−Iで構成されており、図3(b)に示したものであり、図4(d)に示した構成の具体例である。サイクロン6−Iの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の放出部は、搬送に不可避のパイプ307で狭義の被覆室6−cへ接続してあり、低分散芯粒子粉体部分の放出部は、ホッパー6−J、ロータリーバルブ6−Kを介して搬送管310で撹拌式分散機6−F1へ接続してある。本装置の微粒子高分散処理手段群によれば、体積基準の粒度分布として、平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の芯粒子粉体の粒子を、最終の処理手段であるサイクロン6−Iの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の放出部で、分散度β≧75%に分散できる。狭義の被覆室6−cに図のごとく被覆空間6−L2及び被覆空間の被覆開始領域6−L1が設けてある。6−Cと6−Dを結合するフランジ部の制約による搬送に不可避のパイプ307による分散度βの低下は少なくとどめられる。したがって、被覆開始領域において、分散度β≧70%で被覆が開始される。
【0112】
プラズマトーチ6−Aの上部に設けられたガス噴出口301に供給源302からアルゴンガスを20リットル/分で供給する。このアルゴンガスは印加された高周波によってプラズマ化され、プラズマトーチ6−A内プラズマ室6−aでプラズマ焔を形成する。
被覆形成物質の原料の供給槽を備えた供給機314から0.4g/分で供給した被覆形成物質の原料である炭化チタンは、5リットル/分のキャリアガス303に担持されて、プラズマトーチ6−Aの下部に設けられた被覆形成物質の原料の投入口304からプラズマ焔中に導入され、プラズマ焔の熱により蒸発して気相を経て、被覆形成物質前駆体生成室6−bで被覆形成物質前駆体となる。
芯粒子粉体の供給槽を備えた供給機313から2.0g/分で供給されるダイヤモンドの芯粒子は、撹拌式分散機6−F1により分散させ、15リットル/分のキャリアガス305により担持されパイプ306を介してサイクロン6−Iに搬送される。サイクロン6−Iは、微粉側の最大粒子径が1.5μmとなるように調節されており、主に単一粒子からなるβ=85%の分散状態の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を、搬送に不可避のパイプ307を介し放出口308から狭義の被覆室6−cに放出させる。一方、サイクロン6−Iにより選択分離した低分散芯粒子粉体部分は、ホッパー6−J、ロータリーバルブ6−Kを経て、10リットル/分のキャリアガス309によりパイプ310中を搬送され、撹拌式分散機6−F1へフィードバックする。
高分散状態のダイヤモンドの芯粒子は、被覆空間6−L2の被覆開始領域6−L1において被覆形成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又は衝突し始める。
【0113】
このようにして生成した、被覆形成物質で表面に被覆を施された被覆されたダイヤモンド粒子は、気体と共に被覆粒子冷却室6−dを降下し、被覆粒子回収部6−Gに至る。この被覆されたダイヤモンド粒子からなる製品は、フィルター312により気体と分離し、集められ取り出される。このようにしてダイヤモンド粒子に体積で10%の炭化チタンが被覆された被覆されたダイヤモンド粒子が得られた。
得られた被覆された粒子である、炭化チタンで表面を被覆したダイヤモンド微粒子を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、図9に示すとおり、個々の粒子は、いずれも、一様に0.005μm程度の炭化チタンが超微粒子状に被覆したものであった。
この被覆されたダイヤモンド粒子と、結合材として、高純度で易焼結性のアルミナ(特開昭63−151616号公報に記載のアルミナ粉体)を用いたダイヤモンド焼結体を製造した。すなわち、この被覆されたダイヤモンド粒子を体積で55%、結合材粉体として、平均粒径が0.2μmの高純度・易焼結性アルミナ粉体を体積で43.4%、及びこのアルミナ粉体の焼結助剤としてマグネシア(MgO)及びチタニア(TiOx、x=1〜2)を体積でそれぞれ0.6%及び1.0%添加した。これらをアルミナ製ボールミルを用い、アセトン中湿式で2時間混合した。その後、10-6torr,200℃でこの混合粉体を真空乾燥した。次いで、直径10mm、厚さ8mmの円盤状に型押し形成し、外側にh−BN成形体を配置したパイロフィライト圧力媒体に埋め込み、これをピストン・シリンダー(PC)型超高圧装置にセットし、焼結温度1300℃、焼結圧力1500MPaで3時間保持し、焼結した。しかる後に、降温、降圧して焼結体を取り出した。
【0114】
粉末X線回折により焼結体に、ダイヤモンド、炭化チタン及びα型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が96.0%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)4110と大変高硬度であった。
得られた焼結体の表面をダイヤモンドペーストで研磨し、研磨面に観察のための通常の金蒸着を施した研摩面の電子顕微鏡写真(×5000)を図10に示す。この図から未焼結部や気孔、欠陥等は全くなく、ダイヤモンド粒子の周りに結合材のアルミナ及び炭化チタンが均一に分布した制御された微組織からなることが分かる。
【0115】
実施例2
平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,≧90%)のダイヤモンド粒子を炭化チタンで被覆した。
使用した装置は、図11及びその部分拡大図である図12に示したものであり、図6(d)に示した構成の具体例である。本例の被覆形成物質前駆体を生成する装置の構成は実施例1と同一である。微粒子高分散処理手段群αは、供給槽を備えた供給機214、撹拌式分散機5−F1、細管分散機211及び衝突板を利用した分散機5−H2で構成されており、図3(a)に示したものであり、図4(b)に示した構成に属する微粒子高分散処理手段群の具体例である。細管分散機211は、内径4mmのステンレス製である。微粒子高分散処理手段群αの最終分散手段である衝突板を利用した分散機5−H2は、SiC製の衝突板213がステンレス製のホルダー212により設置された構成である。この衝突板を利用した分散機5−H2は狭義の被覆室5−cの中に設けられており、微粒子高分散処理手段群αと狭義の被覆室5−cは共有の空間を有している。また、被覆空間5−L1及び被覆空間の被覆開始領域5−L2は、狭義の被覆室5−c内に設けてある。本装置の微粒子高分散処理手段群は、平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の芯粒子粉体の粒子を、最終の分散処理である衝突板を利用した分散機5−H2の衝突板213を衝突直後、分散度β≧70%に分散できる。したがって、分散度β≧70%の状態で被覆が開始される。
【0116】
プラズマトーチ5−Aの上部に設けられたガス噴出口201に供給源202から20リットル/分のアルゴンガスを供給する。このアルゴンガスは印加された高周波によってプラズマ化され、プラズマトーチ5−A内プラズマ室5−aでプラズマ焔を形成する。
被覆形成物質の原料の供給槽を備えた供給機215から0.4g/分で供給した被覆形成物質の原料である平均粒子径2μmの炭化チタンの粉末は、5リットル/分のキャリアガス203に担持されて、プラズマトーチ5−Aの下部に設けられた被覆形成物質の原料の投入口204から、プラズマ焔中に導入され、プラズマ焔の熱により蒸発して気相を経て、被覆形成物質前駆体生成室5−bで被覆形成物質前駆体となる。
芯粒子粉体の供給槽を備えた供給機214から2.0g/分で供給されるダイヤモンドの芯粒子は、撹拌式分散機5−F1により分散させ、20リットル/分の割合で供給されるキャリアガス205により担持され、細管分散機211を経て、被覆室中に設けた衝突板を利用した分散機5−H2によって、分散度β=82%に気中に分散させる。
高分散状態のダイヤモンドの芯粒子は、被覆空間5−L2の被覆開始領域5−L1において被覆形成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又は衝突し始める。
【0117】
このようにして生成した、被覆形成物質で表面に被覆を施された被覆されたダイヤモンド粒子は、気体と共に被覆粒子冷却室5−dを降下し、被覆粒子回収部5−Gに至る。この被覆されたダイヤモンド粒子からなる製品は、フィルター210により気体と分離し、集められ取り出される。このようにしてダイヤモンド粒子に体積で10%の炭化チタンが被覆された被覆粒子が得られた。
得られた被覆粒子である、炭化チタンで表面を被覆したダイヤモンド微粒子を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、個々の粒子は、いずれも、一様に0.005μm程度の炭化チタンが超微粒子状に被覆したものであった。
このようにして得た炭化チタンを体積で10%被覆を施した被覆されたダイヤモンド粒子を、下記の表1に示した割合のアルミナ粉体、マグネシア粉体及びチタニア粉体と湿式混合し、乾燥し、直径16mm、厚さ5mmの円盤状に型押し成形し、これを、h−BN粉体を充填したパイレックスガラス製のカプセルに配置し、10-6Torr、400℃、12時間加熱脱気後、封入した。
このカプセルを、アルゴンガスを圧力媒体とするHIP装置に配置し、焼結温度1300℃、焼結圧力150MPaで3時間保持して焼結した。
【0118】
粉末X線回折により実施例2の焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンド、炭化チタンおよびα型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が98.8%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度はHv(0.5/10)3150と大変高硬度であった。
また実施例1と同様、ダイヤモンドの周りを結合材のアルミナ及び炭化チタンが均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0119】
実施例3
実施例2で得られた炭化チタンで表面を被覆したダイヤモンド微粒子を下記の表1に示した割合のアルミナ粉体、マグネシア粉体およびチタニア粉体と湿式混合し、実施例2と同様に円盤状に型押し成形し、カプセルに封入した。
その後、超高圧HIP装置を使用して、焼結温度1300℃、焼結圧力1000MPaで3時間保持して焼結した。
粉末X線回折により実施例3の焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンド、炭化チタン及びα型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が98.8%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)3580と大変高硬度であった。
また、実施例1と同様、ダイヤモンドの周りを結合材のアルミナ及び炭化チタンが均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0120】
実施例4
ダイヤモンド粉体粒子として、平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,≧90%)のダイヤモンド粒子をチタン金属の炭化物である炭化チタンを被覆した。
使用した装置は、図13及びその部分拡大図である図14に示したものであり、図6(b)に示した構成の具体例である。本例の被覆形成物質前駆体を生成する装置の構成は実施例1と同一である。微粒子高分散処理手段群αは、供給槽を備えた供給機313、分散手段である撹拌式分散機6−F1、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段であるサイクロン6−Iで構成されており、図3(b)に示したものであり、図4(d)に示した構成の具体例である。サイクロン6−Iの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の放出部は、搬送に不可避のパイプ307で狭義の被覆室6−cへ接続してあり、低分散芯粒子粉体部分の放出部は、ホッパー6−J、ロータリーバルブ6−Kを介して搬送管310で撹拌式分散機6−F1へ接続してある。本装置の微粒子高分散処理手段群によれば、体積基準の粒度分布として、平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の芯粒子粉体の粒子を、最終の処理手段であるサイクロン6−Iの高分散芯粒子粉体流の放出部で、分散度β≧75%に分散できる。狭義の被覆室6−cに図13及び図14のごとく被覆空間6−L2及び被覆空間の被覆開始領域6−L1が設けてある。6−Cと6−Dを結合するフランジ部の制約による搬送に不可避のパイプ307による分散度βの低下は少なくとどめられる。したがって、被覆開始領域において、分散度β≧70%で被覆が開始される。
【0121】
プラズマトーチ6−Aの上部に設けられたガス噴出口301に供給源302からアルゴンガスを20リットル/分で供給する。このアルゴンガスは印加された高周波によってプラズマ化され、プラズマトーチ6−A内プラズマ室6−aでプラズマ焔を形成する。
被覆形成物質の原料の供給槽を備えた供給機314から0.4g/分で供給した被覆形成物質の原料である炭化チタンは、5リットル/分のキャリアガス303に担持されて、プラズマトーチ6−Aの下部に設けられた被覆形成物質の原料の投入口304からプラズマ焔中に導入され、プラズマ焔の熱により蒸発して気相を経て、被覆形成物質前駆体生成室6−bで被覆形成物質前駆体となる。
【0122】
芯粒子粉体の供給槽を備えた供給機313から2.0g/分で供給されるダイヤモンドの芯粒子は、撹拌式分散機6−F1により分散させ、15リットル/分のキャリアガス305により担持されパイプ306を介してサイクロン6−Iに搬送される。サイクロン6−Iは、微粉側の最大粒子径が1.5μmとなるように調節されており、主に単一粒子からなるβ=85%の分散状態の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を、搬送に不可避のパイプ307を介し放出口308から狭義の被覆室6−cに放出させる。一方、サイクロン6−Iにより選択分離した低分散芯粒子粉体部分は、ホッパー6−J、ロータリーバルブ6−Kを経て、10リットル/分のキャリアガス309によりパイプ310中を搬送され、撹拌式分散機6−F1へフィードバックする。
高分散状態のダイヤモンド粒子は、被覆空間の6−L2の被覆開始領域6−L1において被覆形成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又は衝突し始める。
【0123】
このようにして生成した、被覆形成物質で表面に被覆が施された被覆されたダイヤモンド粒子は、気体と共に被覆粒子冷却室6−dを降下し、被覆粒子回収部6−Gに至る。この被覆粒子からなる製品は、フィルター312により気体と分離し、集められ取り出される。このようにしてダイヤモンド粒子に体積で10%の炭化チタンが被覆された被覆粒子が得られた。
得られた被覆されたダイヤモンド粒子である、炭化チタンで表面に被覆を施したダイヤモンド微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、個々の粒子は、いずれも、一様に0.005μm程度の炭化チタンが超微粒子状に被覆したものであった。これを実施例2と同様に焼結した。但し結合材と焼結助剤の割合、焼結条件は表1に示すとおりとした。
【0124】
粉末X線回折により焼結体に、ダイヤモンド、炭化チタン及びα型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が97.8%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、HV(0.5/10)2930と大変高硬度であった。
焼結体は、未焼結部や気孔、欠陥等は全くなく、ダイヤモンド粒子の周りに結合材のアルミナ及び炭化チタンが均一に分布した制御された微組織からなることが分かる。
【0125】
実施例5〜実施例6
実施例1の装置により、実施例1と略同様の条件で被覆を行って得た、炭化チタンを体積で10%を被覆した被覆ダイヤモンド粉体粒子を実施例2と同様に、下記の表1に示した割合のPSZと湿式混合し、乾燥し、直径16mm、厚さ5mmの円盤状に型押し成形し、外側にh−BN成形体を配置したパイレックスガラス製のカプセルに配置し、HIP装置で焼結温度1300℃、焼結圧力150MPaで3時間保持し、焼結した。しかる後に降温、降圧して焼結体を取り出した。
粉末X線回折によりいずれの焼結体も、ダイヤモンド、炭化チタン及びPSZを構成する単斜晶酸化ジルコニウム及び正方晶酸化ジルコニウム以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、いずれも密度が98.0%〜98.5%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)1810〜1990と大変高硬度であった。
また、実施例1と同様、ダイヤモンドの周りを結合材のPSZ及び炭化チタンが均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0126】
実施例7〜実施例8
実施例1の装置により、実施例1と略同様の条件で被覆を行い、金属チタンを体積で10%を被覆した被覆ダイヤモンド粉体粒子を得た。その後、実施例1と同様に、但し結合材として窒化チタンを用いて焼結した。結合材の割合、焼結条件は下記の表1に示すとおりである。
粉末X線回折により、焼結体の結晶相を調べたところ、被覆した金属チタンはダイヤモンドと反応してTiCを生成し、ダイヤモンドとTiCとTiNの回折ピークが認められたのみで、その外の回折ピークが認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が、97.8〜99.1%で、大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)2860〜3430と大変高硬度であった。
また、実施例1と同様、ダイヤモンドの周りを結合材の炭化チタン、窒化チタンが均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0127】
実施例9
実施例1の装置により、実施例1と略同様の条件で被覆を行い、窒化チタンを体積で20%被覆した被覆ダイヤモンド粉体粒子を得た。これを実施例3と同様に、但し結合材として窒化チタン粉体を用い焼結した。結合材の割合、焼結条件は下記の表1に示すとおりである。
粉末X線回折により、焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンドと窒化チタンの回折ピークが認められたのみで、その外の回折ピークが認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が、99.0%で、大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)2840と大変高硬度であった。
また、実施例1と同様、ダイヤモンドの周りを結合材の窒化チタンが均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0128】
実施例10
実施例1と略同様に窒化チタンを被覆して得られた窒化チタンの被覆量が体積で20%の被覆されたダイヤモンド粉体粒子を得た。これを実施例1と同様に、但し結合材として窒化チタンを用いて焼結した。結合材の割合、焼結条件は下記の表1に示すとおりである。
X線回折により実施例10の焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンド及び窒化チタン以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が99.7%で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)3400と大変高硬度であった。
【0129】
実施例11
実施例2の構成の混合物を90%、SiCウィスカーを10%で混合し、これを実施例2と同様に焼結した。焼結条件は表1に示すとおりとした。
粉末X線回折により、焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンド、TiC、アルミナ、SiCが検出され、それ以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、密度が、99.4%で、大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)2880と大変高硬度であった。
焼結体は、結合材のアルミナ及び炭化チタンに更にSiCウィスカーがダイヤモンド粒子の周りに均一に分布した制御された微組織の焼結体が得られた。
【0130】
実施例12
実施例1の装置により実施例1と略同様の条件で被覆を行い、炭化チタンを体積で10%被覆した被覆ダイヤモンド粉体粒子を得た。これを実施例2と同様に焼結した。但し結合材と焼結助剤の割合、焼結条件は表1に示すとおりとした。
X線回折により、焼結体の結晶相を調べたところ、ダイヤモンド、PSZを構成する単斜晶酸化ジルコニウム、正方晶酸化ジルコニウム、炭化チタン、炭化ケイ素以外の回折ピークは認められなかった。
焼結体は、表1に示すように、相対密度が、99.8%で、大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度、Hv(0.5/10)1880と大変高硬度であった。
焼結体は、結合材のPSZ、炭化チタン、炭化ケイ素ウィスカーがダイヤモンドの回りに均一に分布した高度に制御された微組織の焼結体であった。
【0131】
【表1】
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下のダイヤモンドの微粒子からなる芯粒子粉体を気中に分散させ、この分散した芯粒子粉体の粒子を分散度βが70%以上である分散状態で被覆形成物質前駆体と接触又は衝突させることによって、単一粒子状態でその表面を被覆形成物質で被覆した被覆ダイヤモンドを結合材と共に、2000MPa未満の圧力及び1850℃を越えないダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な圧力、温度の焼結条件で焼結することにより、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、高度に制御された微組織を有する高性能な被覆ダイヤモンド焼結体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドの安定な領域を示す圧力・温度線図である。
【図2】粉体粒子の分布図であり、(a)は本来の分散度βを表わし、(b)は粒径D1〜D2の範囲の粒子が体積で90%を占める粉体の粒径対体積基準頻度を表わす。
【図3】 (a)〜(c)は微粒子高分散処理手段群の基本構成を示すブロック図。
【図4】 (a)〜(g)は微粒子高分散処理手段群の構成をより詳細に説明するブロック図。
【図5】 (a)〜(e)は芯粒子粉体に被覆が開始される態様を示す図。
【図6】 (a)〜(g)は被覆されたダイヤモンド粒子を製造するための装置の構成を説明するブロック図。
【図7】実施例1で用いる装置を示す図。
【図8】実施例1で用いる装置の部分拡大図。
【図9】実施例1で得られた被覆されたダイヤモンド粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【図10】実施例1の焼結体の研磨面の電子顕微鏡写真。
【図11】実施例2で用いる装置を示す図。
【図12】実施例2で用いる装置の部分拡大図。
【図13】実施例4で用いる装置を示す図。
【図14】実施例4で用いる装置の部分拡大図。
Claims (6)
- ダイヤモンドの微粒子からなる、芯粒子粉体の粒子又は主に同微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であってその表面が被覆形成物質で被覆されたものと、結合材との混合物を焼結してダイヤモンド焼結体を製造する方法において、
この被覆形成物質で被覆されたダイヤモンド粒子は、芯粒子粉体を被覆空間に投入し、気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体を、この芯粒子粉体の粒子に接触及び/又は衝突させて、芯粒子粉体の粒子の表面を被覆形成物質で被覆され、
(A)分散手段として、この芯粒子粉体の粒子を気中に分散させる、撹拌式分散機、細管分散機及び被覆空間に設けられた衝突板よりなる分散手段を有する微粒子高分散処理手段群により、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とする分散工程、
(B)この分散工程で分散させた芯粒子粉体の粒子を、被覆空間の被覆開始領域に、全粒子の重量に対する見かけの一次粒子状態の粒子の重量の割合である分散度βが70%以上の分散状態で、被覆工程に直接放出し、被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させる被覆工程、及び
(C)この被覆ダイヤモンド粒子と結合材との体積で1〜90:99〜10の割合の混合物を2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えないダイヤモンドが熱力学的に安定ではないが準安定な圧力、温度の焼結条件において焼結する焼結工程を備え、
前記結合材は、2000MPa未満で1850℃を越えないダイヤモンド粒子が熱力学的に準安定な条件で、密度85%以上に焼結されることを特徴とする被覆ダイヤモンド焼結体の製造法。 - 前記被覆ダイヤモンド粒子が、被覆ダイヤモンド粒子の集合塊を解砕及び/又は破砕する工程及び/又はこの被覆ダイヤモンド粒子集合塊と一次粒子単位の被覆ダイヤモンド粒子とを選択分離する選択分離工程を更に経て調製されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の被覆ダイヤモンド焼結体の製造法。
- 前記芯粒子粉体の粒子が、溶融塩浴を用いる浸漬法により、浸漬法に由来する被覆物質で一層以上被覆された微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の被覆ダイヤモンド焼結体の製造法。
- 被覆ダイヤモンド粒子が、平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により、気中に分散させて、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空間領域の内の、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子の全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せしめるか、又は平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空間領域の内の、回収手段の回収部に回収する全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せしめることにより調製されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の被覆ダイヤモンド焼結体の製造法。
- 使用する芯粒子粉体の粒子の粒度分布が、平均粒子径をDMとしたとき、体積基準頻度分布で(〔DM/5,5DM〕,≧90%)であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の被覆ダイヤモンド焼結体の製造法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の被覆ダイヤモンド焼結体の製造法により製造した被覆ダイヤモンド焼結体。
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