図1は、本発明の実施の一形態の食品製造装置1の主要な一部を示す断面図である。食品製造装置1は、食品材料2を液体3を利用して調理加工して、製品としての食品を製造する装置である。本実施の形態では、液体3は、食用油であり、食品材料2を食用油で揚げて食品を製造する装置である。以下、液体3を食用油3という場合がある。さらに具体的には、食品製造装置1は、じゃがいもを切断してほぼ直方体状の細長く形成したブロック状の食品材料2を、たとえば180℃の高温度の食用油3に浸漬し、加熱調理加工して製品としての食品であるフライドポテトを製造する装置である。
食品製造装置1は、食品材料2を調理加工する液体として食用油3を貯留する貯留槽4と、液体の液面である食用油3の油面3aよりも上方の上限位置5と、油面3aよりも下方の下限位置6とにわたって変位可能に設けられる掻揚げ部材7と、掻揚げ部材5を、上限位置と下限位置とにわたって変位駆動する掻揚げ駆動手段8とを含んで構成される。掻揚げ部材7は、上限位置5にある状態では、食品材料2を油面3aよりも上方へ引揚げ、下限位置6にある状態では、食品材料2を油面3aよりも下方へ沈めて浸漬させる。
図2は、図1の切断面線S2−S2から見て示す断面図である。図3は、貯留槽4の一部などを切り欠いて示す斜視図である。貯留槽4は、大略的に直方体形状に形成され、上方へ開放している。貯留槽4は、第1〜第4側壁11〜14と、底壁15とを有している。底壁15は、長方形平板状であり、略水平に配置されている。第1および第2側壁11,12は、略鉛直な平面に沿う平板状であり、底壁15の互いに略平行な2つの縁辺部から上方へ立ち上がり、互いに対向して略平行に配置されている。第3および第4側壁13,14は、底壁15の残余の2つの縁辺部から上方に立ち上がり、互いに対向して設けられ、第1および第2側壁11,12の両側部間にわたって設けられる。また第3および第4側壁13,14は、上部が互いに離反する方向へ凸に湾曲して円筒面状に形成され、かつ互いに近接する方向へ傾斜している。
第1および第2側壁11,12には、第1および第2側壁11,12に対して略垂直であり、油面3a付近に配置される略水平な支持軸線L1沿って延び、貯留槽4の内方側で開口する支持孔17,18がそれぞれ形成されている。これら各支持孔17,18に嵌まり込んで、軸体19,20がそれぞれ支持軸線L1まわりに回転可能に支持されている。各支持体15,16は、貯留槽4内に設けられ、基端部15a,16aで、各軸体19,20にそれぞれ連結され、支持軸線L1まわりに回転可能に設けられる。各支持体15,16は、基端部15a,16aから、それぞれ同一の方向へ延びている。各支持体15,16の遊端部15b,16bに、掻揚げ部材7が連結されている。
掻揚げ部材7は、長方形板状の部材であり、食品材料2より小さい透孔22が形成されている。食品材料2は、透孔22を通過不可能であるが、食用油3は、透孔22を通過可能である。掻揚げ部材7は、2つの縁辺部が支持軸線L1に対して略平行に配置され、支持軸線L1に対して垂直に配置される残余の2つの縁辺部の中央部分で、各支持体15,16の遊端部にそれぞれ連結される。掻揚げ部材7は、各支持体15,16の基端部15a,16aから遊端部15b,16bに向かう方向と、掻揚げ部材7の厚み方向とが同一となるように設けられている。
このようにして貯留槽4内に設けられる掻揚げ部材7は、各支持体15,16が、支持軸線L1から略鉛直に上方へ延びる状態で上限位置5に配置され、油面3aよりも上方で、略水平に配置されている。また掻揚げ部材7は、各支持体15,16が、支持軸線L1から略鉛直に下方へ延びる状態で下限位置6に配置され、油面3aよりも下方で、略水平に配置されている。掻揚げ部材7は、このような上限位置5と下限位置6とにわたる角変位を含むように1回転(360度)以上回転可能である。掻揚げ部材7は、重心位置が最も上方にある状態の位置が上限位置5であり、重心位置が最も下方にある状態の位置が下限位置6である。
第2壁体12に形成される支持孔18は、貫通して形成されており、第2壁体12によって支持される軸体20は、貯留槽4の外方へ突出している。貯留槽4の外方には、掻揚げ駆動手段8が設けられている。掻揚げ駆動手段8は、駆動源である電動モータ117と、その電動モータ117の出力軸24と第2壁体12によって支持される軸体20とを動力伝達可能に連結する歯車列25とを有している。電動モータ117は、正逆両方向に回転するモータであり、その回転駆動力を、歯車列25を介して軸体20に伝達する。このような構成によって、掻揚げ駆動手段8は、掻揚げ部材7が回転駆動される。
掻揚げ駆動手段8は、掻揚げ部材7を、支持軸線L1まわりに1回転(360度)以上回転駆動することが可能である。この掻揚げ部材8は、上限位置5にある掻揚げ部材7を、正面側から見て時計回りとなる一方向B1へ回転駆動して下限位置6に変位させることができるし、かつ上限位置5にある掻揚げ部材7を、正面側から見て反時計回りとなる他方向B2へ回転駆動して下限位置6に変位させることができる。また掻揚げ駆動手段8は、下限位置6にある掻揚げ部材7を、正面側から見て時計回りとなる一方向B1へ回転駆動して上限位置5に変位させることができるし、かつ下限位置6にある掻揚げ部材7を、正面側から見て反時計回りとなる他方向B2へ回転駆動して上限位置5に変位させることができる。したがって掻揚げ駆動手段8は、このような駆動を組合せることによって、掻揚げ部材7を上限位置5と下限位置6との間で角変位させることができる。
貯留槽4内には、食品材料2より小さい透孔28が形成される多孔仕切部材27が設けられ、貯留槽4内が上下に仕切られている。食品材料2は、透孔28を通過不可能であるが、食用油3は、透孔28を通過可能である。多孔仕切部材27は、半円筒状に形成されており、その半円筒の軸線を支持軸線L1と略一致させて下方に凸となるように設けられる。
多孔仕切部材27は、軸線方向両端部と、貯留槽4の第1および第2側壁11,12との間に食品材料2が通過可能な隙間が形成されないように設けられ、周方向両端部と、貯留槽4の第3および第4側壁13,14との間に食品材料2が通過可能な隙間が形成されないように設けられている。この多孔仕切部材27は、金網などによって実現されてもよい。
貯留槽4には、多孔仕切部材27に仕切られて、多孔仕切部材27よりも上方に、略円柱状の調理空間30が形成され、この調理空間30に掻揚げ部材7が設けられている。調理空間30は、その軸線が支持軸線L1と略一致しており、多孔仕切部材27と第3および第4側壁13,14によって形成される調理空間30に臨む内周面は、略円筒状である。この調理空間30は、掻揚げ部材の位置に関わらず、掻揚げ部材7の支持軸線L1に略垂直な縁辺部と第1および第2側壁11,12との間に、食品材料2が通過可能な隙間が形成されず、かつ掻揚げ部材7の支持軸線L1に略平行な縁辺部が、調理空間30に臨む内周面に対向しているとき、掻揚げ部材7の支持軸線L1に略平行な縁辺部と調理空間30に臨む内周面との間に、食品材料2が通過可能な隙間が形成されない空間に形成されている。
貯留槽4の下部には、電気ヒータなどによって実現される加熱手段9が設けられている。この加熱手段9によって、食用油3を加熱して、たとえば前述の180℃に昇温することができる。この食用油3に食品材料2を浸漬することによって、食品材料2を加熱調理加工、具体的には油で揚げることができる。
また掻揚げ駆動手段8は、掻揚げ部材7を、下限位置6付近で揺動駆動することができるように構成されている。具体的には、掻揚げ部材7は、図4に仮想線で示すように、下限位置6から一方向へ約5度から15度程度角変位した第1揺動端位置31と、下限位置6から他方向へ約5度から15度程度角変位した第2揺動端位置32とにわたって、下限位置6を通過して往復するように、揺動駆動される。
図5は、食品製造装置1の全体を正面側から見て示す断面図である。図6は、食品製造装置1の全体を右側面側から見て示す断面図である。図7は、食品製造装置1の全体を左側面側から見て示す断面図である。図8は、食品製造装置1の全体を平面側から見て示す断面図である。図9は、食品製造装置1の全体を背面側から見て示す断面図である。図10は、食品製造装置1の全体を底面側から見て示す断面図である。食品製造装置1では、ハウジング40の下部に貯留槽4が設けられている。貯留槽4は、支持軸線L1が前後方向に配置され、第1側壁11が前側(正面側)に配置され、第2側壁12が後側(背面側)に配置されている。したがって掻揚げ駆動手段8は、貯留槽4の後側に配置されている。
ハウジング40の上部には、貯留槽4の上方に配置されて、ホッパ41が設けられている。ホッパ41は、上部41aおよび下部41bが開放している。ハウジング40の天板部には、ホッパ41に臨む部分に開口が形成されており、この開口を開閉する蓋体42が設けられている。この蓋体42は、ハウジング40の開口を開閉すると同時に、ホッパ41の上部41aを開閉することができる。
またホッパ41の下部41b付近には、シャッタ部材200設けられている。このシャッタ部材200は、電動モータ201を備えるシャッタ駆動手段によって変位駆動可能であり、ホッパ41の下部41b付近を開閉することができる。シャッタ部材は、たとえば略水平な板部材であり、前後方向となるシャッタ移動方向C1,C2へスライド変位可能であり、たとえばシャッタ駆動手段が備えるピニオンおよびラックなどの伝達機構を介して電動モータ201から動力が与えられ、変位駆動される。シャッタ駆動手段は、調理加工1回分の食品材料2が下方へ落下されるように、シャッタ部材20を駆動させる。
作業者によって、ホッパ41に食品材料2が供給されると、その食品材料2は、シャッタ部材200上に保持され、シャッタ部材200が変位されて開かれることによって、ホッパ41から貯留槽4内の加熱昇温されて貯留されている食用油3内に、カバー体44を介して投入される。食品材料2は、掻揚げ部材7によって食用油3に下降されて浸漬され、また加熱調理加工後の食品材料、すなわち食品は、掻揚げ部材7によって上昇される。こうして製品となった食品は、払出し部材45によって掻揚げ部材7から前方となる払出し方向A1(図6の左方)へ払出されて搬送され、シュート46から排出される。このシュート46から食品が取出されて、製品として販売提供される。
また食品製造装置1には、ホッパ41に隣接して、ホッパ41内の食品材料2にマイクロ波(マイクロウエーブ)を照射する照射手段210が設けられている。この照射手段210は、ホッパ41内に食品材料2が供給された後蓋体42が閉じられた状態で、シャッタ部材200上に保持されている食品材料2にマイクロ波を照射して食品材料2を加熱することができる。ホッパ41に供給される食品材料2は、ホッパ41内にセンサ部が設けられる温度センサ211によって温度が検出され、その温度センサ211によって検出される温度が予め定める値となるか、または予め定める任意の時間が経過するまで、処理手段131によって制御される照射手段210によって加熱される。前記温度は、食品材料2が変質しない温度であれば、特に限定されるものではない。本実施の形態では、温度センサ211によって検出される温度が、たとえば常温程度の設定温度未満であれば、マイクロ波を照射し、設定温度以上であればマイクロ波の照射を停止するように構成される。設定温度は、たとえば25℃であってもよい。
これによって冷凍された食品材料2がホッパ41に供給されても常温程度に昇温してから貯留槽4内の食用油3に投下することができる。これによってホッパ41に供給される食品材料2が、冷凍されたものであるか冷蔵されたものであるか常温のものであるかなど、異なる温度のものであっても、ほぼ一定の温度にしてから食用油3に投下することができる。したがって投下されたときの食用油3の温度の変化を一定に保ち、調理加工条件を一定にすることができ、仕上がり状態を良好にすることができる。また冷凍された食品材料2が食用油3に投下され、急激な温度低下を生じることを防止し、調理加工時間を短縮することが可能である。
さらにシャッタ部材200は、食品材料2を保持する面、したがって上面が凹凸状に形成されている。さらに具体的にはシャッタ移動方向C1,C2に平行な断面における形状が波形になるように波面状に形成されている。これによってシャッタ部材200が変位駆動されると、保持される食品材料2はシャッタ部材200上で転がり、シャッタ部材200上に保持されている食品材料2は、均等にならされるとともに、姿勢が変化する。これによって照射手段211による照射むらを無くし、保持される食品材料2を均一に加熱することができる。
図11は、貯留槽4の上部付近の構成を、一部切欠いて示す斜視図である。図12は、貯留槽4付近の構成を簡略し、分解して示す斜視図である。図13は、貯留槽4付近の構成を簡略し、一部切欠いて右側面側から見て示す斜視図である。図14は、貯留槽4付近の構成を簡略し、一部切欠いて正面側から見て示す斜視図である。貯留槽4は上方に開放した直方体状に形成され、食用油3は、温度センサ61によって検出される温度が予め定める値、たとえば180℃に一定に保たれるように、処理手段131によって制御される加熱手段9によって温度調節される。
カバー体44は、貯留槽4の上端部に設けられ、貯留槽4の食用油3の油面3aの上方の空間を覆う。このカバー体44の上部63には、払出し方向Aに延びる投入口64が細長く形成される。投入口64は、貯留槽4の直上方に開放し、ホッパ41の下部41bから落下する食品材料2が、この投入口64を通過して、図11に示される上限位置5にある掻揚げ部材7の厚み方向一方側の乗載面72に乗載される。乗載面72は、掻揚げ部材7が上限位置5にあるときに上方に臨む面である。投入口64は、払出し方向A1(図11および図12の右方)に開放している。この投入口64に、前後方向となる払出し方向A1およびその逆の復帰方向A2(以下総称するとき、「前後方向」という場合がある)へ往復移動可能に案内される払出し部材45が設けられる。
払出し部材45は、下方に開放した中空の有底帽状に形成される。払出し部材45は、図11〜図13には、簡略化して直方体状に示すが、図14に示すように、貯留槽4の上部の形状に合わせて、下方になるにつれて、前後方向に垂直である水平な左右方向に拡開する形状に形成されている。この払出し部材45は、復帰方向A2側(後側)に設けられる払出し片66と、払出し片66に対して払出し方向A1に間隔をあけて、前側に配置される閉塞片67と、これらの払出し片66の上部と閉塞片67の上部とを連結して投入口64を開閉するカバー片68とを含む。カバー片68の払出し方向Aに沿う両側部には、凹溝69が形成される。凹溝69に、カバー体44の上部63の投入口64を規定する相互に対向する一対の各鍔部71が嵌まり込む。これによって払出し部材45は円滑に投入口64の前後方向A1,A2へ往復移動可能である。カバー体44は、貯留槽4から前記払出し方向A1にさらに延在し、払出し部材45を鍔部71によって案内する。
払出し部材45は、少なくとも下側の部分が貯留槽4の上部に嵌まり込んで、貯留槽4を塞ぐように配置される待機位置と、待機位置から払出し方向A1へ変位した払出し位置とにわたって前後方向A1,A2へ変位可能である。払出し部材45は、前述のように下方に開放するとともに、下方が拡開して形成されており、待機位置に配置される状態では、掻揚げ部材7を上方から覆っている。この状態で、掻揚げ部材7は、払出し部材45内の空間を利用して、払出し部材45が干渉することなく、上限位置5と下限位置6との間で支持軸線L1まわりに回転できるように構成されている。
また掻揚げ部材7が上限位置5にある状態で、払出し部材45は、貯留槽4、掻揚げ部材7およびホッパ41が干渉することなく、待機位置と払出し位置とにわたって払出し方向Aに沿って変位することができる。貯留槽4は、第1および第2側壁11,12の上端部が、第3および第4側壁13,14の上端部よりも下方に配置されるように形成されて、前記干渉が防止されている。払出し部材45は、ホッパ41の下部41bよりも下方に配置されて干渉が防がれている。
さらに払出し部材45の払出し片66が上限位置5に配置される掻揚げ部材7に対向する位置に配置される状態では、掻揚げ部材7との間、具体的は乗載面72との間に、食品材料2を加熱調理加工して製造される食品が通過可能なすき間が形成されないように構成されている。また払出し部材45は、ホッパ41の下部41bがカバー片68の上面に対向する状態で、その間に食品材料2が通過可能なすき間が形成されないように形成されている。
払出し部材45を往復駆動するための払出し駆動手段111は、カバー体44の一側方に配置され、かつモータを備えるシリンダ112と、その駆動棒113の端部に固定される取付け片114とを含む。取付け片114は、払出し部材11のカバー片68の上部で、払出し方向A1の端部に固定される。シリンダ112および駆動棒113の軸線は、水平であって前後方向A1,A2と平行である。シリンダ112の復帰方向A2の端部は、ハウジング2のハウジング本体25にピン結合される。
食用油3の油面3aの上方でカバー体44、さらに払出し部材45によって覆われた空間内における油滴を含む空気は、カバー体44の上部において、払出し方向A上流側に形成された排出孔83から、ダクト84を経て、フィルタ装置85に導かれる。フィルタ装置85のフィルタ用ケーシングの下部には、ダクト84の上端部が連結される。ダクト84から上昇する空気は、フィルタ用ケーシング内で、フィルタを通過する。フィルタの空気通過方向下流側には、遠心誘引ファン92が連結される。フィルタで油滴が除去された清浄な空気は、ファン92から、ハウジングの上部に設けられるダクト94を経て外部に放散される。このフィルタ装置85の働きによって、食用油による臭気もまた除去されることになる。
図15は、図1〜図14に示される食品製造装置1の電気的な構成を示すブロック図である。作業者によって操作される操作スイッチ129の出力、および食用油3の温度を検出する温度センサの出力は、マイクロコンピュータなどによって実現される処理手段(以下「処理回路」という場合がある)131に与えられる。処理回路131は、操作スイッチ129の出力、したがって操作者による操作スイッチ29の操作に基づいて、掻揚げ駆動手段8の電動モータ117と、払出し駆動手段111のシリンダ112と、シャッタ駆動手段の電動モータ201との動作を制御する。また処理回路131は、温度センサ61の出力に応答するか、または時間制御により、食用油3が予め定める一定の温度に保たれるように、加熱手段9を制御する。
図16は、処理回路131の動作を説明するためのフローチャートである。図17は、食品製造装置1の動作を簡略化して示す図である。図18は、ホッパ41への食品材料2の供給動作を示す断面図である。図19は、払出し部材45の動作を示す斜視図である。図17(1)に、食品製造装置1の初期状態を示す。初期状態では、掻揚げ部材7は、掻揚げ駆動手段8の電動モータ117によって上限位置5にある。カバー体44の投入口64は、払出し部材45がシリンダ111によって待機位置に配置されて閉塞され、貯留槽4の上部空間が閉塞されている。シャッタ部材201は、シャッタ駆動手段の電動モータ201によって、ホッパ41の下部41b付近を閉塞している。また蓋体42によってホッパ41の上部41aが閉塞されている。
図17(2)、図18(1)および図19(1)に示すように、作業者によって蓋体42が操作されてホッパ41の上部41aが開放され、ホッパ41内に食品材料2が投入された後、ステップs0で操作スイッチ29が操作されることによって、処理回路113が動作を開始する。ホッパ41に供給された食品材料2は、図17(2)に示すように、シャッタ部材201上に保持される。ステップs1では、処理回路131は、シャッタ駆動手段の電動モータ201を回転駆動する。これによってシャッタ部材201が開方向へ変位されてホッパ41の下部41b付近を開放し、シャッタ部材201上に保持されている食品材料2は、落下して払出し部材45のカバー片68上に乗載される。
ステップs2では、処理回路131は、シリンダ112を伸長させる。これによって図17(3)、図18(3)および図19(2)に示すように、払出し部材45は、払出し方向A1へ払出し位置までスライド変位される。これによってカバー体44の投入口64が開かれる。このとき払出し部材45のカバー片68上の食品材料2は、ホッパ41の下部41bによって払出し方向A1への変位が阻止されており、開かれた投入口64から落下し、掻揚げ部材7上に供給されて乗載面72に乗載される。
される。ステップs3では、処理回路131は、シャッタ駆動手段の電動モータ201を回転駆動する。これによってシャッタ部材201が閉方向へ変位されてホッパ41の下部41b付近を閉塞する。
ステップs4では、処理回路131は、電動モータ117を回転駆動させる。これによって掻揚げ部材7が一方向B1および他方向B2のいずれかへ、下限位置6まで回転変位させる。ステップs5では、処理回路131は、シリンダ112を縮退させる。これによって払出し部材45は、復帰方向A2へ待機位置までスライド変位される。これによって図17(4)および図19(3)に示す状態となり、掻揚げ部材7の乗載面72上に乗載されていた食品材料2は、乗載面72よりも下方側に配置された状態で、油面3aよりも下方に強制的に沈めされる状態で、高温度の食用油3に浸漬される。
ステップs6では、処理回路131は、このように食品材料2が食用油3に浸漬される状態を、予め定める時間、たとえば約1分間、保持される。また処理回路131は、食品材料2が食用油3に浸漬される前記時間、電動モータ117を揺動回転させる。これによって図4に示すように掻揚げ部材7を下限位置6を含む範囲で揺動変位させる。揺動変位の角度範囲および角速度などは、食品材料2の種類などによって適宜選択される。このように掻揚げ部材7を揺動変位させることによって、食用油3を食品材料2に対して流動させることができる。こうして食品材料2の加熱調理加工が行われる。
ステップs7では、処理回路131は、電動モータ117を回転駆動させる。これによって図17(5)に示すように、掻揚げ部材7が一方向B1および他方向B2のいずれかへ、上限位置5まで回転変位させる。食品材料2が高温度の食用油3に浸漬されるとき、多量の油滴が飛散するけれども、そのような油滴を含む空気は、フィルタ装置85によって誘引され、フィルタによって油滴が除去されて回収される。誘引ファン92に代えて、押込みファンを用い、食用油3の上方の空間に、外部から空気を供給してフィルタに導く構成としてもよい。
食品材料2が食用油3に浸漬されて出来上がった食品(理解を助けるため食品材料と同一の符号を付す)2は、上限位置5に配置される掻揚げ部材7の乗載面72上に乗載されている。この状態、電動モータ117の微小な揺動回転による掻揚げ部材7の振動によって、食用油3の油面3aの上方で、食品2に付着している余分な食用油3が除去され、除去される食用油3は、透孔22から貯留槽4内に回収される。
その後、ステップs8では、処理回路131は、シリンダ112を伸長させる。これによって図17(6)および図19(3)に示すように、払出し部材45が払出し位置まで、払出し方向Aへ変位される。払出し部材45の払出し片66は、水平な上限位置5にある掻揚げ部材7の乗載面72上の油揚げ後の食品2を、払出し方向A1へ移動させる。こうして食品2は、シュート46を経て、容器47に投入されて収納される。
容器47は、食品が収納された後、ハウジング40の正面部に形成される取出口から外部に取出され、販売、提供される。払出し部材45の払出し片66によって掻揚げ部材7上の食品2が払出された後、ステップs9において、処理回路131は、シリンダ112を縮退させる。これによって払出し部材45は、待機位置まで、復帰方向A2へ変位される。こうして初期状態に戻され、カバー体44の投入口64が再び閉塞され、食用油3の油滴を含む空気が、外部に漏洩することなく、フィルタ装置85に導かれることになる。そしてステップs10で、処理回路131の動作が終了する。
本実施の形態によれば、掻揚げ部材7は、下限位置6にある状態で、食品材料2を油面3aよりも下方へ強制的に沈めて浸漬させることができる。このような掻揚げ部材7を設けることによって、食品材料2の一部が食用油3の油面3aから上方へ露出する状態で浮遊することを防止して、食品材料2の全体に食用油3が接触している状態にすることができる。食品材料2の一部だけが調理加工されてしまうことを防止して、食品材料2の全体をむら無く調理加工することができる。つまり食品材料2の片面だけが油揚げされ、いわゆる片面焼けの状態になることを防止することができる。したがって全体が好適に調理加工、油揚げされた仕上がり状態の良好な食品2を製造することができる。このように作業者が途中で食品材料2をひっくり返すなどの作業をしなくても良好な食品2を製造することができ、利便性の高い食品製造装置1を実現することができる。
また掻揚げ部材7は、基端部15a,16aで回転可能に支持される支持体15,16に連結されている。この支持体15,16の少なくともいずれか一方を掻揚げ駆動手段8よって回転駆動することによって、掻揚げ部材7を、上限位置5と下限位置6とにわたって各変位させることができる。このようにして前述のように上限位置5と下限位置6とにわたって変位する掻揚げ部材7を実現することができる。
また長方形板状の掻揚げ部材7は、支持軸線L1に対して略垂直な縁辺部の中央部分で、支持体15,16の遊端部15b,16bに連結されている。このように設けられる掻揚げ部材7は、支持体15,16の少なくともいずれか一方が回転駆動されて、上限位置5と下限位置6とにわたって変位されるとき、上限位置5にある状態では、厚み方向一方側の乗載面72を上方に向けて配置され、下限位置6にある状態では、厚み方向一方側の乗載面72を下方に向けて配置される。したがって掻揚げ部材7の厚み方向一方側に食品材料2を配置して、上限位置5と下限位置6とにわたって変位することによって、掻揚げ部材7が上限位置5にある状態で、食品材料2が油面3aよりも上方へ引揚げされ、掻揚げ部材7が下限位置6にある状態で、食品材料2が油面3aよりも下方へ強制的に沈められる構成を実現することができる。
また掻揚げ部材7が、下限位置6付近で揺動駆動される。これによって食品材料2を食用油3に沈めた状態で、食品材料2と食用油3とを相対的に流動させることができる。したがって食品材料2が、食用油3に対して相対的に変位しない状態で調理加工される場合に比べて、むら無く調理加工される。したがってより仕上がり状態の好適な食品2を製造することができる。
さらにホッパ41が設けられており、ホッパ41に食品材料2を投入することによって、その食品材料2が貯留槽4に導かれ、前述のようにして調理加工される。調理加工しないときには、ホッパ41を蓋体42によって閉塞しておくことができる。したがって食品材料2の調理加工が必要なときだけ、作業者が、ホッパ41に食品材料2を投入して、食品材料2を調理加工して食品2を得ることができる、利便性の高い食品製造装置1を得ることができる。
図20は、本発明の実施の他の形態の食品製造装置1の上部を示す断面図である。図21は、図20に示す実施の形態でのホッパ41と払出し部材45とを簡略化して示す斜視図である。図20および図21に示す本実施の形態において、図1〜図19に示す実施の形態と対応する構成には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。本実施の形態では、ホッパ41は、シャッタ部材20およびシャッタ駆動手段が設けられない構成である。その他の構成は、図1〜図19と同様である。
本実施の形態では、ホッパ41に供給された食品材料2は、図21(1)に示すように直接払出し部材45上に直接供給されて乗載される。したがって図21(2)に示すように払出し部材45を払出し方向A1へ変位させて、食品材料2を貯留槽4に投入することができる。このような食品製造装置1は、図16のステップs1,s3を除く他の工程を同様に実行して、食品を同様に加工することができる。したがって本実施の形態においても同様の効果を達成することができる。
図22は、本発明の実施の他の形態の食品製造装置1の調理加工動作を示す断面図である。図1〜図21に示す各実施の形態と対応する構成には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。図1〜図21に示す実施の形態では、食品材料2は一度だけ食用油3に浸漬されたけれども、図22に示す本実施の形態では、食品製造装置1は、食品材料2を二度食用油2に浸漬し、いわゆる2度揚げする装置である。具体的には、図22(1)に示すように、食品材料2を一旦食用油3に浸漬した後、図22(2)に示すように食用油3から引揚げる。ここまでの動作は、図16〜図19を参照して説明した動作のうち、図17(5)に示す状態まで、したがってステップs7までの動作と同様である。
この後、図17(6)に示すようにステップs8で払出し部材45を変位させる前に、食品材料2の種類に応じて任意に設定される時間のインターバルをおき、図22(3)に示すように、再び電動モータ117を駆動して掻揚げ部材7を下限位置6まで下降させる。そして予め設定される時間だけ食用油3に浸漬した後、図22(4)に示すように電動モータ117を駆動して掻揚げ部材7を上限位置5まで上昇させる。この後、図17(6)に示す様にステップs8で払出し部材45を変位させる。このように動作も、処理回路131によって同様に制御される。
また本実施の他の形態として、2回目の浸漬終了後に、図22(3)および図22(4)と同様の手順で、3回目の浸漬を実行するなど、3度以上の回数、食品材料2を食用油に浸漬するようにしてもよい。このように複数回の浸漬を実行する場合、各回数目の浸漬時間は、同一時間に設定されてもよいし、異なる時間に設定されてもよい。また全ての回数目の浸漬時に、掻揚げ部材7を図4に示すように揺動させてもよいし、選択的に一部の回数目の浸漬時だけ揺動させてもよいし、全ての回数目の浸漬時において、掻揚げ部材7を揺動させない構成であってもよい。
このように2度揚げ、3度揚げなど、食品材料2を複数回食用油に浸漬させる構成とすることによって、食品材料2を1回だけ食用油に浸漬する構成と比べて、加熱の仕方の種類を増やし、自由度を高くして、調理の幅を広くすることができる。したがって食品材料2の種類、大きさなどに合わせて、より好適な加熱調理加工をし、美味しい食品2を得ることができる。たとえば食品として若鶏のから揚げを作る場合など、肉類を油揚げする場合、1回目の揚げ(食品材料2の食用油3への浸漬)の後、3〜5分間休ませて、余熱で食品材料2に火を通す(加熱す)ことによって、旨みを閉じ込め、ジューシー感が増し、2回目の揚げ(食品材料2の食用油3への浸漬)で美しい揚げ色をつけるとともに、表面をからっとさせて食感を良好にすることができる。
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば掻揚げ部材7は、下限位置6付近にあるときに、揺動させない構成であってもよい。また食品材料2を貯留槽4に投入する構成として、ホッパ41に代えて、食品材料2を冷凍または冷蔵保存する手段を設け、この保存手段から機械操作によって供給する構成にしてもよい。またフライドポテト以外の食品、たとえば揚げパン、コロッケ、かき揚げ、フライドチキンなどを製造する装置として実施してもよい。また油揚げ以外の調理をする装置として実施してもよい。たとえば食用油の代わりに水を使用することにより、ラーメン、そば、うどん、枝豆など茹でて調理する食材を製造できる。