JP3959716B2 - 能動制御型の流体封入式防振装置 - Google Patents

能動制御型の流体封入式防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3959716B2
JP3959716B2 JP2002229517A JP2002229517A JP3959716B2 JP 3959716 B2 JP3959716 B2 JP 3959716B2 JP 2002229517 A JP2002229517 A JP 2002229517A JP 2002229517 A JP2002229517 A JP 2002229517A JP 3959716 B2 JP3959716 B2 JP 3959716B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
chamber
orifice passage
elastic
fluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002229517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004068934A (ja
Inventor
浩幸 市川
彰治 赤佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2002229517A priority Critical patent/JP3959716B2/ja
Publication of JP2004068934A publication Critical patent/JP2004068934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3959716B2 publication Critical patent/JP3959716B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用や圧力作用に基づいて防振効果が発揮される流体封入式防振装置に係り、特に封入された非圧縮性流体の圧力変動を防振すべき振動に応じて外部から能動制御することにより防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
自動車のボデーや各種部材等のように振動(振動に起因する騒音等を含む)が問題とされる防振対象部材においては、その振動を低減するために、従来から、振動部材と防振対象部材の間に介装されて振動部材から防振対象部材への振動伝達を低減するエンジンマウント等の防振装置が、用いられている。
【0003】
そして、このような防振装置の一種として、振動が入力される本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が惹起される受圧室と、変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に水等の非圧縮性流体を封入すると共に、それら両室を相互に連通する第一のオリフィス通路を設けて、振動入力時に第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて受動的な防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。また、近年では、防振性能の更なる向上を目的として、壁部の一部が弾性加振板で構成されて非圧縮性流体が封入された加振室を形成すると共に、この加振室を受圧室に連通する第二のオリフィス通路を設ける一方、加振室に対して弾性加振板を挟んで反対側に作用空気室を形成し、この作用空気室に外部から空気圧変動を及ぼしめて弾性加振板に加振力を作用せしめるようにした流体封入式防振装置が提案されている。このような流体封入式防振装置では、弾性加振板の加振により加振室に生ぜしめられる圧力変動を、防振すべき振動に応じて能動的に制御せしめて、第二のオリフィス通路を通じて受圧室に及ぼすことにより、防振すべき振動を相殺的乃至は積極的に低減することが出来るのであり、例えば自動車用エンジンマウント等への適用が検討されている。
【0004】
ところで、自動車用エンジンマウント等においては、車両走行状況等に応じて入力される振動が変化することとなり、それら複数種類の振動に対して、それぞれ、防振効果が要求されることとなる。そこで、例えば従来技術では、第一のオリフィス通路をエンジンシェイク等に相当する低周波振動にチューニングして、エンジンシェイク等に対しては、第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用を利用した受動的な防振効果を得る一方、第二のオリフィス通路をアイドリング振動等に相当する中周波振動にチューニングして、アイドリング振動等に対しては、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用を利用した能動的な防振効果を得るようにすることが、提案されている。
【0005】
さらに、近年では、防振性能の一層の向上が要求されており、そのような要求に対処するための一つの方策として、例えば、走行時におけるこもり音やビビリ振動等の高周波振動に対しても、それら振動に対応した周波数域の空気圧変動を作用空気室に及ぼして加振室を圧力制御することにより、能動的な防振効果を得るようにすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、前述の如き従来構造の能動型の流体封入式防振装置では、加振室の圧力変動を受圧室に及ぼす第二のオリフィス通路がアイドリング振動等に相当する中周波数域にチューニングされていることから、これより高周波数域の圧力変動の伝達効率が第二のオリフィス通路の反共振的な作用で著しく低くなってしまい、そのために、たとえ加振室に高周波の圧力変動を惹起せしめても、その圧力変動が受圧室まで伝達され難く、目的とする能動的な防振効果を有効に得ることが難しいという問題があった。
【0007】
なお、かかる問題に対処するために、例えば、第二のオリフィス通路のチューニング周波数をこもり音等に相当する高周波数域とすることにより加振室に惹起される高周波数域の圧力変動の受圧室への伝達効率を改善することも考えられるが、そうすると、本来、第二のオリフィス通路を中周波数域にチューニングすることで、弾性加振板を中周波数域で空気圧加振するのに伴って加振室に生ぜしめられる圧力変動の高次成分が受圧室にまで伝達するのを抑えるフィルタ機能を果たしていた第二のオリフィス通路における当該機能が発揮されなくなるという問題がある。即ち、第二のオリフィス通路をこもり音等に相当する高周波数域にチューニングすると、確かに高周波数域で弾性加振板を空気圧加振することによって加振室に惹起される圧力変動を受圧室に伝達せしめて、高周波数域の振動に対して能動的な防振効果を得ることは可能となるものの、中周波数域の振動に対する防振効果が要求される際に、弾性加振板を中周波数域で空気圧加振すると、加振室に派生する圧力変動の高次成分が第二のオリフィス通路を通じて受圧室まで及ぼされてしまうことを抑えることが困難となり、その結果、防振すべき振動に対応していない高次の圧力変動が受圧室に生ぜしめられて、高次の周波数域での振動状態が逆に悪化してしまうおそれがあるのである。
【0008】
勿論、このような問題に対しては、受圧室と加振室を相互に連通する第二のオリフィス通路として、アイドリング振動等に相当する中周波数域にチューニングされたものと、走行こもり音等に相当する高周波数域にチューニングされたもの等を、互いに並列的に複数形成し、それら複数の第二のオリフィス通路をバルブ手段等で切り換えて、防振すべき振動に応じて選択的に作動せしめることにより対処することも考えられる。ところが、このような構造を採用すると、複数の第二のオリフィス通路を形成すると共に、それら複数の第二のオリフィス通路を切り換えるためのバルブ手段とアクチュエータが必要となり、構造の複雑化とサイズの大型化、更に製造コストの増大等が、大きな問題となることから、必ずしも有効な方策ではないのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、前述の如き外部から空気圧変動を及ぼすことにより能動的な防振効果を発揮せしめ得る能動制御型の流体封入式防振装置において、受圧室を圧力制御することにより発揮される能動的な防振効果を、中周波数域から高周波数域の複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、何れも有効に得ることの出来る、新規な構造の能動制御型の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
すなわち、本発明の第一の態様の特徴とするところは、(a)相互に離隔配置されて、防振連結すべき部材にそれぞれ取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、(b)それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、(c)該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、(d)可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、(e)前記受圧室と前記平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、(f)壁部の一部が弾性加振板で構成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、(g)該加振室に対して前記弾性加振板を挟んで反対側に形成された、外部から空気圧変動を及ぼすことにより該弾性加振板に加振力を作用せしめて該加振室に圧力変動を生ぜしめる作用空気室と、(h)前記第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされて前記受圧室と前記加振室を相互に連通する第二のオリフィス通路と、(i)該第二のオリフィス通路を狭窄乃至は閉塞して、該第二のオリフィス通路に及ぼされる流体圧の作用に基づいて弾性変形することにより、該第二のオリフィス通路の実質的な通路断面積を変化せしめ得る弾性調節板とを、有しており、且つ、前記第一のオリフィス通路の長さ方向の中間部分に、該第一のオリフィス通路を前記加振室に連通せしめる連通孔が形成されていることにより、該第一のオリフィス通路の一部を利用して前記第二のオリフィス通路が形成されていると共に、該連通孔による該第二のオリフィス通路の該加振室への開口部付近に前記弾性調節板が配設されている能動制御型の流体封入式防振装置にある。
【0012】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、低周波数域の振動に対して、振動入力に伴って受圧室と平衡室の間に惹起される相対的な圧力変動により第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく受動的な防振効果が有効に発揮される一方、第一のオリフィス通路の流動抵抗が著しく大きくなる中乃至高周波数域の振動入力時には、作用空気室に圧力変動を及ぼして弾性加振板を加振することで加振室に生ぜしめられる圧力変動を第二のオリフィス通路を通じて受圧室に伝達せしめて、該受圧室の圧力変動を防振すべき振動に応じて能動的に制御することにより、相殺的乃至は積極的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0013】
そこにおいて、第二のオリフィス通路に配設された弾性調節板は、加振室に生ぜしめられる圧力変動の大きさ(振幅)に応じて弾性変形量が異なることとなり、そして、この弾性加振板の弾性変形の大きさによって第二のオリフィス通路の通路断面積が実質的に変化せしめられることとなる。また一方、中周波数域の入力振動は、高周波数域の入力振動に比して振幅が大きいことが多く、特に自動車においては、中周波数域で問題となり易いアイドリング振動の振幅が、高周波数域で問題となり易い走行こもり音やビビリ音等の振動の振幅に比して十分に大きい。従って、中周波数域の振動入力時には、弾性加振板の空気圧加振によって加振室に生ぜしめられる圧力変動が、防振すべき振動が大振幅であることに応じて大きくされることにより、弾性調節板の弾性変形量も大きくなって第二のオリフィス通路の有効通路断面積が実質的に大きく確保されることとなる。一方、高周波数域の振動入力時には、弾性加振板の空気圧加振によって加振室に生ぜしめられる圧力変動が、防振すべき振動が小振幅であることに応じて小さくされることにより、弾性調節板の弾性変形量も小さくなって第二のオリフィス通路の有効通路断面積が実質的に小さくされることとなる。要するに、加振室に生ぜしめられる圧力変動の振幅が防振すべき振動周波数に応じて制御されることに伴い、オリフィス通路の通路断面積、ひいてはオリフィス通路のチューニングが、特別な操作を必要とすることなく実質的に変化せしめられることとなるのである。
【0014】
従って、本態様の流体封入式防振装置においては、第一のオリフィス通路による受動的な防振効果が十分に発揮され難い中乃至高周波数域の振動に対しては、防振すべき振動に応じて弾性加振板の空気圧加振によって加振室に生ぜしめられる圧力変動の周波数や振幅を調節することにより、それに伴って、第二のオリフィス通路のチューニング周波数が自動的に変化せしめられるのであり、それ故、防振すべき振動が複数の乃至は広い周波数域に亘る場合でも、弾性加振板の空気圧加振によって加振室に生ぜしめられる圧力変動を、高次成分による防振性能の大幅な低下を回避せしめつつ、第二のオリフィス通路を通じて受圧室に対して伝達せしめて受圧室の圧力を制御することが出来るのであり、何れの周波数域の振動に対しても能動的な防振効果が有効に発揮され得るのである。また、本態様においては、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を、少ないスペースでコンパクトに形成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第二の態様の特徴とするところは、(a)相互に離隔配置されて、防振連結すべき部材にそれぞれ取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、(b)それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、(c)該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、(d)可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、(e)前記受圧室と前記平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、(f)壁部の一部が弾性加振板で構成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、(g)該加振室に対して前記弾性加振板を挟んで反対側に形成された、外部から空気圧変動を及ぼすことにより該弾性加振板に加振力を作用せしめて該加振室に圧力変動を生ぜしめる作用空気室と、(h)前記第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされて前記受圧室と前記加振室を相互に連通する第二のオリフィス通路と、(i)該第二のオリフィス通路を狭窄乃至は閉塞して、該第二のオリフィス通路に及ぼされる流体圧の作用に基づいて弾性変形することにより、該第二のオリフィス通路の実質的な通路断面積を変化せしめ得る弾性調節板とを、有しており、且つ、前記弾性調節板が、前記受圧室側に向かって弾性変形せしめられる場合と、前記平衡室側に向かって弾性変形せしめられる場合とで、互いに異なる変形特性を有するようにされている能動制御型の流体封入式防振装置にある。このような本態様においては、第二のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動方向によって弾性調節板の弾性変形量等の変形特性が異ならせられることから、第二のオリフィス通路のチューニング、即ち第二のオリフィス通路を通じての流体流動の周波数特性関して、顕著なピークを抑えて広い周波数域で比較的になだらかな特性を付与することが可能となるのであり、それによって、第二のオリフィス通路を利用した受圧室の圧力制御に基づく能動的な防振効果を、中乃至高周波数域の一層広い周波数領域に亘る振動に対して有利に得ることが可能となるのである。
更にまた、本発明の第の態様は、前記第一又は第二の態様に係る能動制御型の流体封入式防振装置において、前記弾性調節板が、前記弾性加振板と一体的に形成されて、前記第二のオリフィス通路における前記加振室への開口部付近に配設されていることを、特徴とする。このような本態様においては、弾性調節板を、簡単な構造と少ない部品点数で容易に形成することが出来ると共に、弾性調節板の配設スペースも容易に確保することが可能となる。
【0018】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に係る能動制御型の流体封入式防振装置において、前記弾性調節板の弾性変形に基づいて前記第二のオリフィス通路の通路断面積が実質的に変化せしめられて、該第二のオリフィス通路の通路断面積が最大となることにより、該第二のオリフィス通路のチューニング周波数が、防振すべき振動の周波数に対応して前記作用空気室に及ぼされる空気圧変動の制御周波数領域よりも更に高周波数域となるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、弾性調節板が大きく弾性変形せしめられた際の第二のオリフィス通路のチューニング周波数を十分に高周波数域に設定することが出来るのであり、それによって、例えば、中周波数域の振動に対して能動的な防振効果を得るために加振室に中周波数域の圧力変動を生ぜしめた際、加振室に惹起される高次成分のうちで特に問題となり易い2次や3次の高次成分の受圧室への伝達効率が、第二のオリフィス通路を通じての流体流動作用によって大きくなって振動状態が悪化してしまう等という不具合が、より有効に防止され得て、中周波数域の振動に対する能動的な防振効果の更なる向上が図られ得る。
【0019】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に係る能動制御型の流体封入式防振装置において、前記第一の取付部材の前記第二の取付部材の一方をパワーユニット側部材に取り付けると共に、他方をボデー側部材に取り付けることにより、車両のパワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントを構成せしめて、前記第一のオリフィス通路をエンジンシェイクに相当する周波数域にチューニングすると共に、前記第二のオリフィス通路のチューニング周波数を、前記弾性調節板の弾性変形により実質的に該第二のオリフィス通路の通路断面積が最大とされた場合に、アイドリング振動に相当する周波数の3倍以上の周波数となるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、車両走行時に問題となり易いエンジンシェイクに対して第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等によって受動的な防振効果が有効に発揮されると共に、同様に問題となり易い走行こもり音やビビリ音に対しては、弾性加振板の空気圧加振で加振室に生ぜしめられた圧力変動を第二のオリフィス通路を通じて受圧室に伝達せしめて受圧室の圧力変動を制御することにより、能動的な防振効果が有効に発揮され得る。また、車両停車時に問題となり易いアイドリング振動に対しては、走行時のこもり音等に対するのと同様に、加振室の圧力変動を第二のオリフィス通路を通じて受圧室に伝達せしめて圧力制御することにより能動的な防振効果が発揮されることとなり、そこにおいて、加振室にこもり音等に相当する高周波数域の圧力変動が生ぜしめられる場合に比して、アイドリング振動等に相当する中周波数域の圧力変動が生ぜしめられた場合には、圧力変動量(振幅)が大きく弾性調節板の弾性変形量が大きくなって第二のオリフィス通路のチューニングが自動的に調節されることにより、高次の圧力変動の加振室から受圧室への伝達が低く抑えられることから、そのような高次成分による振動状態の悪化も効果的に回避され得るのである。
【0020】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に係る能動制御型の流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材を筒体形状とし、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することにより該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の軸方向で互いに重ね合わせた第一の仕切部材と第二の仕切部材を該第二の取付部材によって固定的に支持せしめて、該第一の仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該第二の仕切部材と該可撓性膜の間に前記平衡室を形成し、更に該第二の仕切部材の該第一の仕切部材に対する重ね合わせ面側に設けた凹所を前記弾性加振板で流体密に覆蓋することにより前記作用空気室を形成すると共に、該弾性加振板と該第一の仕切部材の間に前記加振室を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、それぞれ非圧縮性流体が封入された受圧室,平衡室及び加振室と、外部から空気圧変動が及ぼされる作用空気室を、効率的な配設スペースをもって形成することが出来るのであり、それによって、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置が、コンパクトに実現可能となる。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1〜2には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が離隔配置されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を有しており、第一の取付金具12が自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデー側に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
【0023】
より詳細には、第一の取付金具12は、略逆円錐台形状を有しており、その大径側端部には、軸方向上方に向かって突出するナット部18が一体形成されている。そして、ナット部18のねじ穴20に螺着される図示しないボルトにより、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0024】
一方、第二の取付金具14は、全体として大径の段付円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部22を挟んで軸方向上側が大径部24とされていると共に、軸方向下側が小径部26とされている。また、第二の取付金具14における小径部26側の開口端縁部には、径方向内方に向かって屈曲されて僅かに突出する係止突部28が、周方向に連続した円環形状で一体形成されている。そして、第二の取付金具14は、図示しない筒状のブラケット金具に圧入固定されて、該ブラケット金具を介して、ボデー側に取り付けられるようになっている。
【0025】
また、このような第二の取付金具14の大径部24側に離隔して、第一の取付金具12が略同一中心軸上で対向配置されており、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0026】
本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、大径側端面には、中央部分に開口する略すり鉢状の凹所30が形成されている。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部に対して第一の取付金具12が軸方向に差し込まれた状態で加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面に対して第二の取付金具14の大径部24の内周面が加硫接着されており、第二の取付金具14の大径部24側の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14の小径部26の内周面には、全体に亘って、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールゴム層32が被着されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第一及び第二の取付金具12,14を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0027】
また、第二の取付金具14の小径部26側の開口部には、仕切ブロック36が組み付けられている。この仕切ブロック36は、図2〜3にも示されているように、硬質の合成樹脂材や金属材等の硬質材によって形成されており、全体として円形ブロック形状を呈している。また、仕切ブロック36の外周面には、第一の周溝40と第二の周溝42が、仕切ブロック36の外周面に開口して略一定の幅寸法で互いに平行に延びるようにして形成されている。
【0028】
更にまた、仕切ブロック36の軸方向上端面の中央には、上方に向かって開口する略すり鉢状の上側凹所46が形成されており、後述する作用空気室78の容積がこの上側凹所46で有利に確保されるようになっている。また、上側凹所46の開口周縁部は、上方に向かって突出せしめられており、それによって、仕切ブロック36の上端面には、支持突部としての環状突部44が、上方に向かって突出する円環形状をもって形成されている。更に、この環状突部44には、その基端部において外周面に開口して略一定の幅寸法で全周に亘って延びる係合溝48が形成されている。また一方、仕切ブロック36の軸方向下端面には、中央部分に開口する下側凹所50が形成されており、後述する平衡室124の容積がこの下側凹所50で有利に確保されるようになっている。
【0029】
また、仕切ブロック36には、第二の周溝42よりも軸方向下方に位置する部分において、外周面に開口して周方向に所定長さで延びる外周凹溝58が形成されていると共に、この外周凹溝58の周方向一方の端部が、軸方向に延びる通孔60を通じて、仕切ブロック36の上端面に開口せしめられている。また一方、外周凹溝58の周方向他方の端部は、径方向内方に延びる通孔62を通じて、仕切ブロック36の下側凹所50に開口せしめられている。
【0030】
さらに、仕切ブロック36には、弾性加振板64と、仕切金具66が組み付けられている。弾性加振板64は、図4にも示されているように、所定厚さの略円板形状を有しており、その外周面には、金属スリーブ68が加硫接着されている。この金属スリーブ68は、仕切ブロック36に突設された環状突部44よりも僅かに大径の薄肉円筒形状を有していると共に、その軸方向長さは、環状突部44の突出高さよりも大きくされている。また、金属スリーブ68の軸方向両側の開口端縁部は、それぞれ径方向内方に向かって僅かに屈曲されており、円環形状を有する上下の内方突起74,76が一体形成されている。更にまた、金属スリーブ68は、その軸方向上側部分の内周面が弾性加振板64の外周面に加硫接着されていると共に、その軸方向下側部分には、弾性加振板64と一体形成された薄肉のシールゴム層72が、内周面の略全体に亘って被着されている。
【0031】
そして、金属スリーブ68の下側開口部分を仕切ブロック36の環状突部44に外挿せしめ、仕切ブロック36の上面に当接させて位置合わせした状態で、金属スリーブ68を八方絞り等で縮径加工することにより、金属スリーブ68の下側開口部分が環状突部44に外嵌固定されていると共に、下側の内方突起76が環状突部44の基端周縁部に形成された係合溝48に嵌着固定されている。なお、弾性加振板64は、その装着状態下、上下両面が拘束されることなく、他部材から離隔して位置せしめられており、板厚方向(上下方向)への弾性変形が許容されるようになっている。また、特に本実施形態では、弾性加振板64が、全体として皿を伏せた形状とされており、外周部分が僅かな傾斜の逆テーパ状とされて、中央の平坦な円板状の上底部が外周部分から上方に僅かに持ち上がった形状とされている。
【0032】
これによって、仕切ブロック36の上側凹所46の開口部が弾性加振板64で流体密に覆蓋されており、そこに弾性加振板64で壁部の一部が構成された密閉状の作用空気室78が形成されている。また、仕切ブロック36には、空気通路80が形成されており、この空気通路80の一方の開口端部が作用空気室78に開口連通せしめられている一方、空気通路80の他方の開口端部が、仕切ブロック36の外周面に突設されたポート部81に開口せしめられている。そして、マウント装着状態下では、このポート部81に外部の空気管路が接続されることにより、図示しない圧力制御手段から及ぼされる空気圧変動が、かかる空気管路から空気通路80を通じて作用空気室78に及ぼされるようになっている。なお、ポート部81は、仕切ブロック36の外周面に開口して形成された収容凹部83内に収容状態で形成されている。
【0033】
一方、仕切金具66は、図3〜4に示されているように、全体として略ハット形状を有しており、中央に形成された浅底の逆カップ状部82の開口端縁部から径方向外方に広がるようにして鍔状部84が一体形成されている。逆カップ状部82は、円筒形状を有する周壁部85の内径寸法が、弾性加振板64に加硫接着された金属スリーブ68の外径寸法よりも僅かに大きくされている。また、鍔状部84は、円環板形状を有しており、その外径寸法が、仕切ブロック36の外径寸法と略同じとされている。
【0034】
また、仕切金具66の周壁部85は、径方向一方向で対向位置する部分で、それぞれ、周方向に所定幅に亘って大径化されており、以て、周方向所定幅で径方向外方に向かって突出する一対の径方向突部86,86が一体形成されている。なお、これら径方向突部86,86は、鍔状部84の外周縁部にまで略達する径方向寸法をもって形成されている。更に、仕切金具66の鍔状部84には,一対の径方向突部86,86の対向方向と略直交する径方向で対向位置する部分において、受圧室側連通孔としての一対の切欠窓98,98が形成されている。
【0035】
そして、図2〜3に示されているように、仕切金具66における逆カップ状部82の開口部分を、仕切ブロック36に組み付けた金属スリーブ68に対して、軸方向上方から圧入して外嵌固定する。このように仕切金具66が金属スリーブ68に組み付けられることによって、仕切ブロック36と、金属スリーブ68を備えた弾性加振板64、および仕切金具66によって一体的な組付体96が形成されている。
【0036】
かかる組付体96においては、仕切金具66の鍔状部84が金属スリーブ68の軸方向中間部分に位置決めされており、以て、金属スリーブ68の外周面上において、仕切ブロック36の上端面と鍔状部84の軸方向対向面間を周方向に連続して延びる環状溝104が形成されている。また、仕切金具66は、仕切ブロック36に対して周方向で相対的に位置合わせされており、その鍔状部84に形成された一方の切欠窓98が、仕切ブロック36に形成された通孔60上に位置合わせされており、それによって、通孔60が仕切金具66の切欠窓98を通じて上方に開口せしめられている。
【0037】
また、仕切金具66における逆カップ状部82の開口部が弾性加振板64で流体密に覆蓋されており、それら逆カップ状部82と弾性加振板64の対向面間に、後述する加振室112を形成するための空所106が形成されている。更に、仕切金具66は、一対の径方向突部86,86において金属スリーブ68から離隔されており、それら径方向突部86,86と金属スリーブ68の離隔部間において、環状溝104を空所98に連通せしめる一対の加振室側連通孔100,100が形成されている。
【0038】
要するに、金属スリーブ68の外周面上に形成された環状溝104は、周上の二箇所で、切欠窓98,98を通じて仕切金具66の上面に開口せしめられており、それら各切欠窓98を通じての開口部から周方向両側に分岐して周方向にそれぞれ略1/4周の長さで延びた位置で、それぞれ加振室側連通孔100,100を通じて空所106に連通せしめられている。
【0039】
そして、このような構造とされた組付体96には、軸方向上方から本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品が組み付けられている。かかる組付けは、仕切ブロック36の軸方向上方から第二の取付金具14を外挿せしめ、第二の取付金具14を八方絞り等で縮径加工することにより、第二の取付金具14の小径部26の開口部分を仕切ブロック36の上端部分に対して外嵌固定すると共に、第二の取付金具14の小径部26に設けられた係止突部28を、第一の周溝40に嵌着固定することによって、行なうことが出来る。
【0040】
これによって、第二の取付金具14における小径部26側の開口が仕切ブロック36で流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14の縮径加工により、仕切金具66の鍔状部84の外周縁部が、第二の取付金具14の小径部26に対して、シールゴム層32を介して径方向で流体密に当接されている。これによって、組付体96に形成された環状溝104が小径部26で覆蓋されて、環状通路108が形成されている。
【0041】
また、第二の取付金具14に組付体96が組み付けられることにより、本体ゴム弾性体16と弾性加振板64の対向面間を仕切るようにして仕切金具66が配設されている。そして、仕切金具66と本体ゴム弾性体16の対向面間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室110が形成されている。また、仕切金具66と弾性加振板64の対向面間には、壁部の一部が弾性加振板64で構成されて、作用空気室78の圧力制御により弾性加振板64のばね剛性を調節したり、弾性加振板64を加振変形させることによって圧力制御することの出来る加振室112が構成されている。
【0042】
さらに、仕切ブロック36の下方には、可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム116が配設されている。このダイヤフラム116は、薄肉のゴム膜によって形成されており、全体として弛みをもった薄肉円板形状を有していると共に、その外周縁部には筒金具118が加硫接着されている。筒金具118は、全体として大径の円筒形状を呈しており、筒金具118の軸方向上側の開口端縁部には、径方向内方に向かって屈曲されて僅かに突出する係止突部120が、周方向に連続した円環形状で一体形成されている。そして、筒金具118における下側の開口端部内周面に対して、ダイヤフラム116の外周縁部が加硫接着されており、筒金具118の軸方向下側の開口部が流体密に閉塞されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、ダイヤフラム116は、筒金具118を備えた一体加硫成形品として形成されている。また、筒金具118の内周面には、その全体に亘って、ダイヤフラム116と一体形成されたシールゴム層122が被着されている。
【0043】
そして、仕切ブロック36の軸方向下方から筒金具118を外挿せしめて位置合わせした状態で、筒金具118を八方絞り等で縮径加工することにより、筒金具118に設けられた係止突部120が第二の周溝42に嵌着固定されている。これによって、仕切ブロック36の下側凹所50の開口部がダイヤフラム116で流体密に閉塞されている。なお、第二の取付金具14の縮径加工と筒金具118の縮径加工は、同時に行うことが可能である。
【0044】
而して、仕切ブロック36にダイヤフラム116が組み付けられて下側凹所50が流体密に覆蓋されることにより、仕切ブロック36とダイヤフラム116の間には、壁部の一部がダイヤフラム116で構成されて、該ダイヤフラム116の変形に基づいて容易に容積変化が許容され、圧力変化が速やかに解消され得る平衡室124が形成されている。また、仕切ブロック36に形成された外周凹溝58も、筒金具118によって流体密に覆蓋されており、以て周方向に所定長さで延びる外周通路130が形成されている。
【0045】
また、上述の如くして形成された受圧室110と加振室112および平衡室124には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されている。なお、かかる封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に後述するオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。更にまた、受圧室110や加振室112,平衡室124に対する非圧縮性流体の充填と封入は、例えば、組付体96に対する第二の取付金具14と筒金具118の組付けを非圧縮性流体中で行なうことによって有利に為され得る。
【0046】
なお、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、仕切金具66によって第一の仕切部材が構成されていると共に、仕切ブロック36によって第二の仕切部材が構成されており、仕切ブロック36の仕切金具66への重ね合わせ面側に開口形成された上側凹所46を弾性加振板64で流体密に覆蓋することにより作用空気室78が形成されている。
【0047】
また、受圧室110は、平衡室124および加振室112に対して、それぞれ、環状通路108を利用して構成された第一のオリフィス通路126および一対の第二のオリフィス通路128,128によって連通せしめられている。
【0048】
ここにおいて、第一のオリフィス通路126は、受圧室110に開口する切欠窓98から通孔60を通じて外周通路130に至り、通孔62から平衡室124に達する流体流路によって構成されている。また、各第二のオリフィス通路128は、受圧室110に開口する切欠窓98から環状通路108内で周方向に分岐してそれぞれ周方向両側に向かって略四半周の長さで延び、加振室側連通孔100,100を通じて加振室112に至る並列的な二つの流体流路によって構成されている。
【0049】
第二のオリフィス通路128は、第一のオリフィス通路126よりも通路長さが十分に小さくされて高周波数域にチューニングされており、特に本実施形態では、第一のオリフィス通路126が、自動車の走行時に問題となり易いエンジンシェイクに相当する10Hz前後の低周波数域にチューニングされている一方、第二のオリフィス通路128が、後述する弾性調節板が大きく弾性変形せしめられた状況下で発揮される第二のオリフィス通路128の特性として、自動車の走行時に問題となり易い走行こもり音やビビリ音に相当する60〜120Hzに亘る高周波数域を超えて、より一層高い超高周波数域、例えばアイドリング振動に相当する30〜50Hzの中周波数域に対して、その3倍より大、好ましくは5倍より大となる周波数域にチューニングされている。なお、これらオリフィス通路126,128のチューニングは、例えば、受圧室110や平衡室124,加振室112の壁ばね剛性(単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する特性値)等を考慮しつつ、通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路126,128を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路126,128のチューニング周波数として把握することが出来る。
【0050】
さらに、第二のオリフィス通路128,128には、それぞれの加振室112への開口部分に位置して、弾性調節板132,132が配設されている。これらの弾性調節板132,132は、図3に示されているように、弾性加振板64の外周縁部において、径方向一方向で対向位置する部分に一体形成されており、略薄肉先細の突起状断面をもって、軸方向上方(仕切金具66側)に突出し、略一定の高さをもって周方向に所定長さで延びる、全体として湾曲板形状とされている。そして、各弾性調節板132は、空所106内において、仕切金具66の径方向突部86で形成された加振室側連通孔100の開口部に位置決めされており、該加振室側連通孔100の開口部を蓋するように配設されている。特に本実施形態では、各弾性調節板132の突出高さが、加振室側連通孔100の開口高さよりも大きくされて、弾性調節板132の突出先端部が仕切金具66の径方向突部86に当接せしめられている。また、各弾性調節板132の周方向長さは、加振室側連通孔100の周方向開口幅よりも所定量だけ小さくされており、弾性調節板132の周方向両側において、加振室側連通孔100が加振室112に対して常時、僅かに開口せしめられている。
【0051】
そして、かかる弾性調節板132は、内外周面が拘束されておらず、弾性変形が許容されるようになっており、例えば弾性加振板64を空気圧加振して加振室112に圧力変動を生ぜしめることにより、弾性調節板132の内周面に及ぼされる加振室112の圧力と、弾性調節板132の外周面に第二のオリフィス通路128を通じて及ぼされる受圧室110の圧力との差に基づいて、内周側または外周側に向かう弾性変形が生ぜしめられるようになっている。これにより、第二のオリフィス通路128,128は、何れも、加振室112への開口部に配設された弾性調節板132の弾性変形量に応じて、通路断面積が変更調節可能となっており、入力振動によって受圧室110に及ぼされる圧力変動や外部から及ぼされる空気圧変動によって加振室112に生ぜしめられる圧力変動の各大きさ(振幅)等に応じて弾性調節板132の弾性変形量が変化することにより、オリフィス通路128のチューニング周波数が追従するようにして変更調節されるようになっている。
【0052】
また、特に本実施形態では、弾性調節板132の突出先端部が当接しめられた仕切金具66の径方向凸部86の内面が、径方向外方に向かって下傾した傾斜面とされていることにより、弾性調節板132における径方向内方への弾性変形特性と径方向外方への弾性変形特性が相互に異ならせられている。即ち、弾性調節板132は、径方向外方よりも径方向内方に向かう方が弾性変形に際してのばね定数が小さくされて弾性変形し易くされているのであり、これによって、第二のオリフィス通路128を流動せしめられる流体の流動特性が、受圧室110から加振室112に向かう方向とその反対方向とで異ならせられて、流体の共振作用等による流動特性のピークが抑えられ、以て、後述する如き第二のオリフィス通路128を通じての流体流動作用が広い周波数域に亘って発揮されるようになっている。
【0053】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント10においては、例えば、第一のオリフィス通路126がチューニングされたエンジンシェイク等の低周波数域の振動入力時には、受圧室110と平衡室124の間に受動的に生ぜしめられる相対的な圧力変動に基づいて第一のオリフィス通路126を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用に基づく高減衰作用により、有効な防振効果が発揮される。
【0054】
一方、アイドリング振動等の中周波数域の振動入力時や、走行こもり音やビビリ音等の高周波数域の振動入力時には、第一のオリフィス通路126における流体の流動抵抗が反共振的に著しく増大することとなる。それ故、そのような中乃至高周波数域の振動入力時には、外部から作用空気室78に防振すべき振動に対応した周期の空気圧変動を及ぼして弾性加振板64を加振駆動することによって加振室112に内圧変動を生ぜしめ、この加振室112の内圧変動を、第二のオリフィス通路128を通じて受圧室110に及ぼすことにより、受圧室110の圧力変動を能動的乃至は積極的に制御することが可能であり、それによって、相殺的乃至は積極的な防振効果が発揮されることとなる。なお、作用空気室78に対して空気圧変動を及ぼすための外部の空気圧制御手段は、周知技術であることからここでは詳述しないが、例えば、バキュームタンク等の負圧源と大気を作用空気室78に接続すると共に、その接続管路上において作用空気室78を負圧源と大気に択一的に連通せしめる電磁切換弁を配設し、かかる電磁切換弁を、防振すべき振動に対応した制御信号で切換作動せしめることによって、有利に実現され得る。また、そこにおいて、電磁切換弁の制御信号の生成は、例えば、エンジン回転数やアクセル開度,走行速度等を各種センサで検出し、エンジンの点火信号を参照信号として、適応制御やマップ制御等で、防振すべき振動に対応した周期や位相,振幅を有する空気圧変動が作用空気室78に及ぼされるように考慮して行われる。
【0055】
ここにおいて、かかるエンジンマウント10にあっては、第二のオリフィス通路128のチューニング特性が、弾性調節板132の弾性変形量に応じて通路断面積が変化することによって調節される。具体的には、20〜40Hz程度のアイドリング振動等の中周波数域の振動は、60〜120Hz程度の走行こもり音等の高周波数域の振動に比して、振幅が大きい。それ故、アイドリング振動等の中周波数域で能動制御した場合は、走行こもり音等の高周波数域で能動制御した場合に比して、弾性調節板132が大きく弾性変形せしめられて、第二のオリフィス通路128のチューニング周波数が超高周波域に移行せしめられることとなる。これに対して、走行こもり音等の高周波数域で能動制御した場合には、中周波数域で能動制御した場合に比して、弾性調節板132の弾性変形量が小さく、第二のオリフィス通路128のチューニング周波数が、防振すべき振動周波数に略対応した高周波数域に調節され得るのである。
【0056】
その結果、走行こもり音等の高周波数域の振動入力時には、かかる振動に対応した高周波数域で弾性加振板64を空気圧加振せしめて能動制御することにより、加振室112に生ぜしめられる圧力変動を、第二のオリフィス通路128を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用を利用して、受圧室110に効率的に伝達することが可能となり、目的とする能動的な防振効果が有効に発揮され得る。
【0057】
また、アイドリング振動等の中周波数域の振動入力時には、対応した中周波数域で弾性加振板64を空気圧加振せしめて能動制御することにより、加振室112に生ぜしめられる圧力変動が第二のオリフィス通路128を通じて受圧室110に伝達せしめられて有効な防振効果が発揮されることに加えて、特に、第二のオリフィス通路128が超高周波数域にチューニングされた状態下にあることから、加振室112から受圧室110への第二のオリフィス通路128通じての高次成分の伝達が抑えられて、高次成分による振動状態の大幅な悪化が回避され得るのである。
【0058】
因みに、第二のオリフィス通路128の加振室112への開口部付近に弾性調節板132を配設した本実施形態に従う構造のエンジンマウント10について、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にマウント中心軸134に沿った方向の加振力を及ぼした際の受動的な防振特性として、絶対ばね定数の周波数特性を測定した。その結果を、図5に示す。また、同様な構造のエンジンマウントであって弾性調節板132を設けていないものについても、同様な測定を実施し、その結果を、図5中に比較例として併せ示す。なお、かかる比較例については、第二のオリフィス通路128のチューニング周波数を実施例のものと略合わせるために、第二のオリフィス通路128の通路長さを調節した。
【0059】
さらに、それら実施例と比較例のそれぞれのエンジンマウントについて、作用空気室78を所定の負圧源と大気中とに交互に接続せしめて、その切換周期を電磁弁で制御することにより、作用空気室78に空気圧変動を及ぼした場合に第一の取付金具12と第二の取付金具14の間で生ぜしめられる加振力を測定した。それらの結果を実施例および比較例として、図6に示す。なお、かかる発生加振力の測定に際しては、作用空気室78に及ぼす空気圧変動の周期を、アイドリング振動に相当する周波数域と走行こもり音等に相当する周波数域を含む広い周波数領域に亘って変化させることにより、能動的に生ぜしめられる防振性能としての加振力の大きさの周波数特性を測定した。
【0060】
更にまた、能動的な防振効果を得るために作用空気室78を負圧源と大気に対して交互に切換接続する周期を一次周波数とし、その高次の周波数となる二次および三次の周波数域での発生加振力を、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間で測定した。その結果を、上述の実施例と比較例の各マウントについて、図7及び図8に併せ示す。なお、図7及び図8中の横軸周波数は、一次周波数であって、実際にはその二倍乃至は三倍の周波数の振動成分を測定した結果を表すグラフである。
【0061】
なお、上述の如き能動的防振特性の測定を行うに際しては、比較例と同様に弾性調節板132を備えないマウントであって、第二のオリフィス通路128をアイドリング振動に対応した中周波数域にチューニングせしめたマウントを準備して、実施例および比較例と同様に能動的防振特性を測定した。その結果を、図6に従来例として併せ示す。
【0062】
そして、先ず、図5に示された受動的な特性の測定データから明らかなように、実施例のマウントにおいては、位相の変化と絶対ばね定数の変化が、ともになだらかで広い周波数範囲に亘っていることが認められる。これに対して、比較例のマウントは、位相の変化と絶対ばね定数の変化が、ともに狭い周波数域で急激に発生しており、変化幅も大きくピーキーな特性を有していることが、明らかに認められる。なお、比較例において位相や絶対ばね定数の値が、特定周波数域で大きく突出しているのは、第二のオリフィス通路128を流動せしめられる流体の共振作用等に基づくものであろうと考えられる。
【0063】
また一方、図6に示された能動的な特性の測定データから明らかなように、本実施例のマウントにおいては、アイドリング振動に相当する中周波数域から走行こもり音等に相当する高周波数域に亘る広い周波数領域で、略安定した特性が発揮されている。しかも、二次や三次の高次成分も、有効に抑えられていることが認められる。
【0064】
これに対して、従来例のマウントにおいては、第二のオリフィス通路128がチューニングされた50Hz以下の中周波数域では良好な特性が発揮されるものの、60Hz前後の周波数域で急激に特性が変化し、90Hz以上では能動的な防振効果が殆ど期待できない特性となっている。また、比較例のマウントにおいては、図6に示されているように90Hz前後で特性ピークがあるものの全体として略安定した特性が発揮し得るが、高次の振動成分、特に三次成分の受圧室110への伝達が著しく、それ故、例えば30Hz前後の周波数域で能動防振効果を得ようとすると、90Hz前後の周波数での振動状態が大幅に低下してしまうことが予測される。
【0065】
従って、かかる実施例と比較例及び従来例に関する測定結果から、前述の如き本実施形態のエンジンマウント10においては、アイドリング振動に相当する中周波数域から走行こもり音等に相当する高周波数域に至る広い周波数域で、能動的な防振効果が有効に且つ安定して発揮され得ると共に、能動制御される圧力変動の高次成分による振動状態の悪化も有利に回避され得ることが理解されるところである。
【0066】
なお、実施例のエンジンマウント10において、加振室の圧力変動の高次成分の受圧室への伝達が抑えられることの技術的根拠は、第二のオリフィス通路128が、弾性調節板132が弾性変形せしめられることによって極めて高い周波数域にチューニングされた状態となることから、第二のオリフィス通路128と加振室112が、あたかも受圧室110の一部であるように作動せしめられることによるものであろうと考えられる。
【0067】
さらに、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、前述の如く、位相や絶対ばね定数といった特性のピークが小さく、且つ全体にブロード的で、広い周波数領域に亘って特性変化率が小さくされていることから、製造上の寸法誤差や走行条件などによる影響を小さく抑えて、目的とする防振効果をより安定して得ることが可能となるのである。
【0068】
すなわち、図9及び図10に示されているように、防振性能がなだらかな周波数特性を備えた本発明品においては、部品寸法誤差や経時的な部材特性変化等に起因して、位相や絶対ばね定数の周波数特性が、例えば2Hzだけ変化した場合を考えて見ると、防振性能の周波数変化が比較的なだらかであるが故に、位相や絶対ばね定数の変化代:δ1,|K* |1の値が小さく抑えられるのであり、それ故、たとえマップ制御等のオープンループ的な制御を行う場合でも、有効な防振性能を安定して得ることが可能となるのである。これに対して、弾性調節板を備えずにチューニングが固定された第二のオリフィス通路128を備えた比較例のマウントにおいては、位相や絶対ばね定数の周波数特性の変化率が大きいことから、同様に2Hzだけチューニング周波数(ピーク値の周波数)がずれた場合でも、位相や絶対ばね定数の変化代:δ2,|K* |2の値が大きくなってしまうという問題が明らかである。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0070】
例えば、前記実施形態のエンジンマウント10において、第二のオリフィス通路128の加振室112側への開口部付近に配設された弾性調節板132の大きさや形状は、要求される防振特性等を考慮して適宜に設定され得、第二のオリフィス通路128の開口部を弾性的に略完全に閉塞し得る弾性調節板を採用したり、突出先端部が仕切金具66まで達しない突出高さの弾性調節板を採用しても良いし、実質的に独立した複数の弾性調節板を設けても良い。
【0071】
また、かかる弾性調節板は、第二のオリフィス通路128を弾性的に狭窄乃至は覆蓋し得る位置に形成されていれば良く、前記実施形態の如く第二のオリフィス通路128における平衡室124側への開口部付近に設けた弾性調節板132に代えて或いは加えて、受圧室110側への開口部付近に弾性調節板を配設したり、第二のオリフィス通路128の流路方向の中間部分に弾性調節板を配設することも可能である。なお、第二のオリフィス通路128の受圧室110側への開口部付近に弾性調節板を配設する場合には、第一のオリフィス通路126による防振特性への悪影響を回避するために、例えば、弾性調節板による狭窄の影響を考慮して第一のオリフィス通路126をチューニングしたり、第一のオリフィス通路126と受圧室110側への開口部を第二のオリフィス通路128の受圧室110側への開口部を独立形成したりすること等が望ましい。
【0072】
更にまた、かかる弾性調節板は、弾性加振板64と別体形成しても良く、例えば、図11に示されているように、第二のオリフィス通路128の加振室112側への開口部付近において、仕切金具66の内面に固着されて該仕切金具66から弾性加振板64側に向かって突出する形態の弾性調節板136を採用しても良い。なお、かかる弾性加振板136は、第一の実施形態の弾性加振板132と同様に第二のオリフィス通路128を狭窄乃至は覆蓋せしめて同様な作用効果を発揮し得るものであることから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
さらに、前記実施形態では、第一のオリフィス通路126と一対の第二のオリフィス通路128,128が、それぞれの受圧室110側への開口部を、切欠窓98で共通に形成された構造とされているものの、第一のオリフィス通路126と第二のオリフィス通路128が互いに独立して形成されていたが、それら第一のオリフィス通路126と第二のオリフィス通路128を、通路の一部を共通化して形成することも可能である。
【0074】
より具体的には、例えば、図12に示されているように、第一の仕切部材としての仕切金具66を上下の仕切板金具140,142で構成して、それら上下仕切板金具140,142の重ね合わせ面間に、弾性加振板64の外周を取り囲むようにして周方向に延びる環状通路144を形成する。そして、該環状通路144における径方向一方向で対向位置する部位に第一の連通孔146と第二の連通孔148を形成し、第一の連通孔146を通じて環状通路144を受圧室110に連通せしめると共に、第二の連通孔148を通じて環状通路144を加振室112に連通せしめることによって第二のオリフィス通路128を形成する。一方、第二の仕切部材としての仕切ブロック36の外周面には、周方向で所定長さに亘る領域を蛇行して葛折れ状に延びる蛇行溝150を形成し、この蛇行溝150を第二の取付金具14で覆蓋することにより流体通路151を形成する。そして、この流体通路151の一方の端部を、下側の仕切板金具142において第二の連通孔148と略同じ周上の位置に形成された接続孔152を通じて、環状通路144に接続せしめると共に、流体通路151の他方の端部を、連通孔154を通じて平衡室124に連通せしめる。これにより、環状通路144と流体通路151が、接続孔152を通じて直列的に接続されることとなり、全体として、受圧室110と平衡室124を相互に連通せしめる第一のオリフィス通路126が形成されている。
【0075】
従って、このような構造のエンジンマウントにおいては、第一のオリフィス通路126の一部を利用して第二のオリフィス通路128が形成されることから、第一及び第二のオリフィス通路126,128の全体としてのオリフィス形成用スペースを小さく抑えることが可能となる。なお、かかる構造のエンジンマウントにおいても、前記実施形態と同様に、第二のオリフィス通路128の加振室112側への開口部付近には、弾性調節板132が形成されており、この弾性調節板132の弾性変形に基づいて第二のオリフィス通路128のチューニングが入力振動に応じて調節変更されて、前記実施形態と同様な効果が何れも有効に発揮され得ることは、言うまでもない。また、かかるエンジンマウントにおいても、弾性調節板132の具体的形状や構造,配設位置等は、特に限定されるものでないことは言うまでもなく、例えば、図13に示されているように、第二の連通孔148の開口付近に位置して該第二の連通孔148を狭窄乃至は閉塞せしめる形態をもって、仕切金具66を構成する上側の仕切板金具140に固着されて該上側の仕切板金具140から弾性加振板64側に向かって突出する弾性調節板156を採用したり、或いは図14に示されているように、下側の仕切板金具142に固着されて該下側の仕切板金具142から弾性加振板64側に向かって突出する弾性調節板158を採用したりすることも、可能である。
【0076】
なお、図12〜14においては、その理解を容易とするために、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、それぞれ、図中に、前記実施形態と同一の符号を付しておく。
【0077】
また、第一及び第二のオリフィス通路126,128の具体的な構造やそのチューニング周波数は、要求されるマウントサイズや形状および要求される防振性能等に応じて適宜に設定,変更され得るものであり、何等、限定されるものでない。
【0078】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、特に複数の乃至は広い周波数域に亘る振動に対して防振効果が要求される各種振動部材における防振装置に対して、何れも、有効に適用され得る。
【0079】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた能動制御型の流体封入式防振装置においては、低周波数域の振動に対して第一のオリフィス通路による受動的な防振効果が有効に発揮され得る一方、中乃至高周波数域の振動に対しては、防振すべき振動に対応する周期で作用空気室に空気圧変動を及ぼして加振室および受圧室の圧力を制御することにより能動的な防振効果が発揮されるのであり、そこにおいて、防振すべき振動に応じて空気圧変動の振幅を調節することに伴って弾性調節板の弾性変形量が調節されて、第二のオリフィス通路のチューニング周波数が自動的に変化せしめられることから、防振すべき振動が複数の乃至は広い周波数域に亘る場合でも、加振室に生ぜしめられる圧力変動を第二のオリフィス通路を通じて受圧室まで有利に伝達せしめて目的とする能動的な防振効果を効率的に得ることが出来るのであり、また、加振室から受圧室への高次成分の伝達に起因する防振性能の大幅な低下も回避することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材と弾性加振板の組付体を示す縦断面図であって、図3におけるII−II断面に相当する図である。
【図3】図2に示された組付体の平面図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントを構成する弾性加振板の加硫成形品を示す斜視図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントに従う構造とされた実施例について、受動的な特性を測定した結果を、比較例と併せて示すグラフである。
【図6】図1に示されたエンジンマウントに従う構造とされた実施例について、能動的な特性を測定した結果を、比較例および従来例と併せて示すグラフである。
【図7】図1に示されたエンジンマウントに従う構造とされた実施例について、能動的な作動に際して発生する二次の高次成分を測定した結果を、比較例および従来例と併せて示すグラフである。
【図8】図1に示されたエンジンマウントに従う構造とされた実施例について、能動的な作動に際して発生する三次の高次成分を測定した結果を、比較例および従来例と併せて示すグラフである。
【図9】図1に示されたエンジンマウントにおいてチューニング周波数の変化に伴う位相の変化を説明するためのグラフである。
【図10】図1に示されたエンジンマウントにおいてチューニング周波数の変化に伴う絶対ばね定数の変化を説明するためのグラフである。
【図11】図1に示されたエンジンマウントにおいて採用され得る弾性調節板の別の態様を示す要部説明図である。
【図12】図1に示されたエンジンマウントにおいて採用され得るオリフィス構造の別の態様を示す縦断面説明図である。
【図13】図12に示されたエンジンマウントにおいて採用され得る弾性調節板の別の態様を示す要部説明図である。
【図14】図12に示されたエンジンマウントにおいて採用され得る弾性調節板の更に別の態様を示す要部説明図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
36 仕切ブロック
64 弾性加振板
78 作用空気室
96 組付体
110 受圧室
112 加振室
116 ダイヤフラム
124 平衡室
126 第一のオリフィス通路
128 第二のオリフィス通路
132 弾性調節板

Claims (6)

  1. 相互に離隔配置されて、防振連結すべき部材にそれぞれ取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、
    それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、
    可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、
    前記受圧室と前記平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、
    壁部の一部が弾性加振板で構成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、
    該加振室に対して前記弾性加振板を挟んで反対側に形成された、外部から空気圧変動を及ぼすことにより該弾性加振板に加振力を作用せしめて該加振室に圧力変動を生ぜしめる作用空気室と、
    前記第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされて前記受圧室と前記加振室を相互に連通する第二のオリフィス通路と、
    該第二のオリフィス通路を狭窄乃至は閉塞して、該第二のオリフィス通路に及ぼされる流体圧の作用に基づいて弾性変形することにより、該第二のオリフィス通路の実質的な通路断面積を変化せしめ得る弾性調節板とを、
    しており、且つ、
    前記第一のオリフィス通路の長さ方向の中間部分に、該第一のオリフィス通路を前記加振室に連通せしめる連通孔が形成されていることにより、該第一のオリフィス通路の一部を利用して前記第二のオリフィス通路が形成されていると共に、該連通孔による該第二のオリフィス通路の該加振室への開口部付近に前記弾性調節板が配設されていることを特徴とする能動制御型の流体封入式防振装置。
  2. 相互に離隔配置されて、防振連結すべき部材にそれぞれ取り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、
    それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する本体ゴム弾性体と、
    該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる、非圧縮性流体が封入された受圧室と、
    可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される、非圧縮性流体が封入された平衡室と、
    前記受圧室と前記平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、
    壁部の一部が弾性加振板で構成されて非圧縮性流体が封入された加振室と、
    該加振室に対して前記弾性加振板を挟んで反対側に形成された、外部から空気圧変動を及ぼすことにより該弾性加振板に加振力を作用せしめて該加振室に圧力変動を生ぜしめる作用空気室と、
    前記第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされて前記受圧室と前記加振室を相互に連通する第二のオリフィス通路と、
    該第二のオリフィス通路を狭窄乃至は閉塞して、該第二のオリフィス通路に及ぼされる流体圧の作用に基づいて弾性変形することにより、該第二のオリフィス通路の実質的な通路断面積を変化せしめ得る弾性調節板とを、
    有しており、且つ、
    前記弾性調節板が、前記受圧室側に向かって弾性変形せしめられる場合と、前記平衡室側に向かって弾性変形せしめられる場合とで、互いに異なる変形特性を有するようにされていることを特徴とする能動制御型の流体封入式防振装置。
  3. 前記弾性調節板が、前記弾性加振板と一体形成されて、前記第二のオリフィス通路における前記加振室への開口部付近に配設されている請求項1又は2に記載の能動制御型の流体封入式防振装置。
  4. 前記弾性調節板の弾性変形に基づいて前記第二のオリフィス通路の通路断面積が実質的に変化せしめられて、該第二のオリフィス通路の通路断面積が最大となることにより、該第二のオリフィス通路のチューニング周波数が、防振すべき振動の周波数に対応して前記作用空気室に及ぼされる空気圧変動の制御周波数領域よりも更に高周波数域となるようにした請求項1乃至の何れかに記載の能動制御型の流体封入式防振装置。
  5. 前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の一方をパワーユニット側部材に取り付けると共に、他方をボデー側部材に取り付けることにより、車両のパワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントを構成せしめて、前記第一のオリフィス通路をエンジンシェイクに相当する周波数域にチューニングすると共に、前記第二のオリフィス通路のチューニング周波数を、前記弾性調節板の弾性変形により実質的に該第二のオリフィス通路の通路断面積が最大とされた場合に、アイドリング振動に相当する周波数の3倍以上の周波数となるようにした請求項1乃至の何れかに記載の能動制御型の流体封入式防振装置。
  6. 前記第二の取付部材を筒体形状とし、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結することにより該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋する一方、該第二の取付部材の軸方向で互いに重ね合わせた第一の仕切部材と第二の仕切部材を該第二の取付部材によって固定的に支持せしめて、該第一の仕切部材と該本体ゴム弾性体の間に前記受圧室を形成すると共に、該第二の仕切部材と該可撓性膜の間に前記平衡室を形成し、更に該第二の仕切部材の該第一の仕切部材に対する重ね合わせ面側に設けた凹所を前記弾性加振板で流体密に覆蓋することにより前記作用空気室を形成すると共に、該弾性加振板と該第一の仕切部材の間に前記加振室を形成した請求項1乃至の何れかに記載の能動制御型の流体封入式防振装置。
JP2002229517A 2002-08-07 2002-08-07 能動制御型の流体封入式防振装置 Expired - Fee Related JP3959716B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002229517A JP3959716B2 (ja) 2002-08-07 2002-08-07 能動制御型の流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002229517A JP3959716B2 (ja) 2002-08-07 2002-08-07 能動制御型の流体封入式防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004068934A JP2004068934A (ja) 2004-03-04
JP3959716B2 true JP3959716B2 (ja) 2007-08-15

Family

ID=32015864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002229517A Expired - Fee Related JP3959716B2 (ja) 2002-08-07 2002-08-07 能動制御型の流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3959716B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4751740B2 (ja) * 2006-03-07 2011-08-17 東海ゴム工業株式会社 流体封入式防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004068934A (ja) 2004-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2924317B2 (ja) 流体封入式マウント装置
US6491290B2 (en) Fluid-filled vibration damping device having pressure receiving chamber whose spring stiffness is controllable
JP4075054B2 (ja) 車両用流体封入式エンジンマウント
US6902156B2 (en) Pneumatically operated active vibration damping device
US20080054152A1 (en) Series-type engine mount and method of manufacturing series-type engine mount
JP5977141B2 (ja) 流体封入式防振装置
US7494115B2 (en) Fluid-filled vibration damping device
JP2010031989A (ja) 流体封入式防振装置
JP3715230B2 (ja) 能動型流体封入式防振装置
US6598865B1 (en) Fluid-filled vibration damping device
JPH10184770A (ja) 流体封入式防振装置
JP2006064033A (ja) 流体封入式防振装置
JP2003074619A (ja) 能動型流体封入式防振装置
JP2004301221A (ja) 流体封入式エンジンマウント
JPH0540638U (ja) 流体封入式マウント装置
JP4158110B2 (ja) 空気圧切換型の流体封入式エンジンマウント
JP2004069005A (ja) 流体封入式防振装置
JP3959716B2 (ja) 能動制御型の流体封入式防振装置
JPH05272575A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3716602B2 (ja) 空気圧加振式の能動型防振装置
JP4158108B2 (ja) 空気圧切換型の流体封入式エンジンマウント
JP4623428B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4269952B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002295571A (ja) 空気圧制御型の流体封入式能動型防振装置
JPH0389043A (ja) 流体封入式防振マウント

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060725

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060922

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070206

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070503

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees