JP3959569B2 - 樹脂組成物、その製造方法および成形物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物を加熱処理および光照射処理の少なくとも1つの処理に供することにより得られる樹脂組成物、その製造方法、樹脂組成物により形成される成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子材料、電気絶縁材料、一般産業機器、自動車、エネルギー変換機器、宇宙航空用機器などの分野において、高温での耐熱性を有する耐熱樹脂が求められており、活発な研究開発が行われている。
【0003】
高温耐熱樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォンなどの耐熱性高分子が用いられている。
【0004】
しかしながら、これらの耐熱性高分子は、一般的に、空気中或いは酸化性雰囲気中での高温条件下では、熱変形し易くかつ酸化され易いために、耐久性が十分でなく、特に耐ヒートサイクル性に劣るという欠点を有している。また、これらの耐熱性高分子を用いて塗膜を形成する場合には、一般に基材と塗膜との密着性が十分でないという問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、空気中乃至酸化性雰囲気での高温条件下においても、耐食性、耐久性、塗膜としての基材との密着性などに優れ、特に耐ヒートサイクル性に優れた成形体を形成しうる樹脂組成物、その製造方法、この樹脂組成物から得られる成形体およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の様な技術の現状を考慮しつつ研究を進めた結果、シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する樹脂組成物が、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に示す樹脂組成物、その製造方法、成形物およびその製造方法を提供するものである。
【0008】
1.Si-Si結合含有シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物に対し、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、(1)光照射する処理、および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことにより得られる樹脂組成物。
【0009】
2.シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物を不活性ガス雰囲気中で光照射および/または加熱することにより得られ、シラン化合物成分とエポキシ化合物成分とがそれぞれ変性した部分が、Si-C結合および/またはSi-O結合を介して結合している上記項1に記載の樹脂組成物。
【0010】
3.シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物を酸素含有ガス雰囲気中で光照射および/または加熱することにより得られ、シラン化合物成分の主鎖のSi-Si結合の少なくとも一部が雰囲気中の酸素が挿入されたSi-O-Si結合を有し、且つシラン化合物成分ととエポキシ化合物成分とがそれぞれ変性した部分が、Si-C結合および/またはSi-O結合および/または雰囲気中の酸素が挿入されたSi-O-C結合を介して結合している上記項1に記載の樹脂組成物。
【0011】
4.シラン化合物がポリシランである上記項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0012】
5.ポリシランがネットワーク構造を有するポリシランである上記4に記載の樹脂組成物。
【0013】
6.加熱処理を150〜200℃で行うことにより得られる上記項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0014】
7.エポキシ化合物とSi-Si結合含有シラン化合物とを混合し、得られた混合物に対し、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、(1)光照射する処理および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【0015】
8.上記項1〜6のいずれかに記載のエポキシ化合物とSi-Si結合含有シラン化合物とからなる樹脂組成物の成形体。
【0016】
9.成形体の形態が、塗膜である上記項8に記載の成形体。
【0017】
10.エポキシ化合物とSi-Si結合含有シラン化合物とからなる混合物を基材表面に塗布して塗膜を形成した後、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、塗膜に対し、(1)光照射する処理および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする硬化塗膜を有する製品乃至物品の製造方法。
【0018】
11.シラン化合物が、ネットワーク構造を有するポリシランである上記項10に記載の製品乃至物品の製造方法。
【0019】
12.上記項10または11に記載の方法により得られた硬化塗膜を有する製品乃至物品。
【0020】
13.硬化塗膜が、耐熱性、耐食性および難燃性表面保護膜である上記項12に記載の製品乃至物品。
【0021】
【発明の実施の形態】
本明細書において使用する「アルキル基」、「アルケニル基」、「アリール基」および「組成物」は、以下に定義する意味を有する。
【0022】
「アルキル基」とは、1価の直鎖状、環状または分岐状の炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基をいう。
【0023】
「アルケニル基」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する1価の直鎖状、環状または分岐状の炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基をいう。
【0024】
「アリール基」とは、少なくとも1つの置換基を有するか或いは置換基を有しない芳香族炭化水素基をいう。
【0025】
「組成物」とは、2以上の化合物間の一部または全部に化学的結合が存在する物質または材料をいう。
【0026】
本発明の樹脂組成物の製造において用いられるシラン化合物としては、Si-Si結合を有する直鎖状、環状および分岐状の化合物であれば、特に限定されない。また、シラン化合物は、さらに分子内にSi-C結合、Si-O結合、Si-N結合、Si-O-M結合(M=Ti、Zr)およびSi-B結合の少なくとも1種を有していても良い。このようなシラン化合物としては、例えば、ポリシランを挙げることができる。
【0027】
ここで、ポリシランとは、化学構造において主となる骨格構造が、
一般式 (R2Si)m (1)
(式中、Rは、同一或いは相異なって、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアミノ基を表す。mは、2〜10000である。)で示される直鎖状ポリシランおよび環状ポリシラン、
一般式 (RSi)n (2)
(式中、Rは、同一或いは相異なって、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアミノ基を表す。nは、4〜10000である。)で示されるシリコンネットワークポリマー、ならびに
一般式 (R2Si)x(RSi)ySiz (3)
(式中、Rは、同一或いは相異なって、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアミノ基を表す。Rは、全てが同一でも或いは2つ以上が異なっていてもよい。x、yおよびzの和は、5〜10000である。)で示されるSi-Si結合を骨格とするネットワークポリシラン(網目状ポリシラン)
からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーである。
【0028】
これらのポリマー中では、ネットワーク構造を有するポリシラン(2)および(3)がより好ましい。
【0029】
これらのポリマーは、それぞれの構造単位を有するモノマーを原料として以下の方法により製造することができる。すなわち、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「キッピング法」J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990))、電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,897(1992))、金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4-33455号公報)、ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990))、環状シラン類の開環重合による方法などにより、製造することができる。
【0030】
また、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下または空気中で、上記ポリシランを300℃以上に熱処理して得られるSi-Si結合を含むケイ素系高分子を用いることもできる。
【0031】
本発明による樹脂組成物の製造において用いられるエポキシ化合物は、化学構造内に少なくとも1つのエポキシ基を有する直鎖状、環状または分岐状の化合物であれば、特に限定されない。このような化合物としては、例えば、1,2,3,4-ジエポキシブタン、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、および以下に挙げるようなエポキシ化合物などを挙げることができる。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
本発明による樹脂組成物の製造に際し、シラン化合物とエポキシ化合物とからなる混合物(以下単に「混合物」ということがある)中での両者の配合割合は、エポキシ化合物1重量部に対してシラン化合物0.01〜100重量部程度であり、好ましくは0.05〜20重量部程度であり、より好ましくは0.1〜10重量部程度である。
【0038】
本発明の樹脂組成物の製造における上記混合物の加熱処理温度としては、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満であって、シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基(R)が脱離する温度以上であれば、特に限定されない。加熱処理温度は、通常100〜220℃程度、好ましくは150〜220℃程度、より好ましくは150〜200℃程度である。加熱処理時間は、1分間〜48時間程度、好ましくは3分間〜24時間程度、より好ましくは、5分間〜18時間程度である。上記温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、0.1〜10℃/分程度が好ましい。
【0039】
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中あるいは空気などの酸素含有ガス雰囲気中で行い得る。
【0040】
或いは、本発明においては、上記加熱処理に代えて、あるいは加熱処理とともに、あるいは加熱処理の前または後に、混合物に対し光照射を行うことができる。混合物に対する光照射の光源としては、蛍光灯、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水素ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、窒素レーザー、ヘリウム-カドミウムレーザー、色素レーザーなどが用いられる。光照射波長は、通常220〜700nm程度の範囲にあり、より好ましくは220〜400nm程度の範囲にある。光照射時間は、通常5秒〜120分程度であり、より好ましくは20秒〜30分程度である。光照射も、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中あるいは空気などの酸素含有ガス雰囲気中で行う。
【0041】
また、混合物の加熱および/または光照射に先立って、100℃未満の温度で予備的に加熱を行い、揮発分を留去し或いは硬化反応を一部進行させておいても良い。
【0042】
シラン化合物とエポキシ化合物との混合物を加熱処理および/または光照射処理することにより、不活性ガス雰囲気下においては、シラン化合物成分中のSi-Si結合の一部または全部が解裂して、下記反応式に示す様に、シラン化合物の少なくとも1つのケイ素と、エポキシ化合物の開環により変性したエポキシ基の少なくとも1つの炭素との間での結合(Si-C結合)および/または少なくとも1つの酸素との間での結合(Si-O結合)を形成する。
【0043】
【化6】
【0044】
また、上記に規定した温度条件下に、酸素含有ガス雰囲気中で混合物を加熱処理および/または光照射処理する場合には、上記の不活性ガス雰囲気中における場合と同様にして形成されるケイ素−炭素間の結合(Si-C結合)およびケイ素−酸素間の結合(Si-O結合)に加え、例えば、下記反応式に示す様に、シラン化合物の変性した成分とエポキシ成分の変性した成分の間でさらに雰囲気中の酸素を取り込んだSi-O-C結合を介して、変性シラン化合物成分と変性エポキシ化合物成分とが結合(Si-O-C結合)する場合もある。さらに、図示はしないが、シラン化合物のSi-Si結合の一部或いは全部に雰囲気中の酸素を取り込んだSi-O-C結合が形成される場合もある。
【0045】
【化7】
【0046】
本発明においては、混合物の硬化剤を添加することもできる。硬化促進剤としては、1,2-ジシリルエタン、エチルシリケートおよびメチルシリケートなどのポリアルコキシシラン類などのケイ素化合物;テトラアルコキシチタンなどのチタン化合物;フェニルジクロロボランなどのホウ素化合物;ベンゾイルパーオキサイド、tert--ブチルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリルなどのラジカルを発生する化合物;トリスメトキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;トリエチルアミン、ピリジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのアミン化合物;ダイマー酸ポリアミドなどのアミド化合物;無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸などの酸無水物;フェノールノボラックなどのフェノール類;ポリサルファイドなどのメルカプタン化合物;3フッ化ホウ素・エチルアミン錯体などのルイス酸錯体化合物;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどのハロゲン化物;ナトリウムエトキシドなどの塩基性化合物などを挙げることができる。
【0047】
硬化剤の使用量は、シラン化合物100重量部に対して、0.01〜50重量部程度、好ましくは0.1〜20重量部程度である。
【0048】
光照射を行う場合には、光酸発生剤を配合することができる。光酸発生剤としては、例えば、ピリジニウム塩(N-エトキシ-2-メチルピリジニウム−ヘキサフルオロフォスフェート、N-エトキシ-4-フェニルピリジニウム−ヘキサフルオロフォスフェートなど)、スルホニム塩(例えば、“サンエイドSI-60L”、“サンエイドSI-80L”、“サンエイドSI-100L”などの商標名により、三新化学工業(株)から市販されている)、フェロセン系(例えば、“イルガキュア261”の商標名により、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されている)、トリアジン系(例えば、“トリアジンA”、“トリアジンB”などの商標名により、日本シイベルヘグナー社から市販されている)、ヨードニウム塩(例えば、“BBI-101”、“BBI-102”などの商標名により、みどり化学(株)から市販されている)などを用いることができる。さらに、ベンゾフェノンおよびその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステルおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインエーテルおよびその誘導体、キサントンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ジスルフィド化合物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素基含有化合物、アミン類並びに色素などの光増感剤を添加しても良い。
【0049】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、1種または2種以上の無機系の充填剤を配合することができる。無機系充填剤の具体例としては、ケイ砂、石英、ノバキュライト、ケイ藻土、合成無定形シリカなどのシリカ系;カオリナイト、雲母、滑石、ウォラストナイト、アスベスト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;ガラス粉末、ガラス球、中空ガラス球、ガラスフレーク、泡ガラス球などのガラス体;窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ化チタン、窒化チタン、炭化チタンなどの非酸化物系無機物;炭酸カルシウム;酸化亜鉛、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化チタン、酸化ベリリウムなどの金属酸化物;硫酸バリウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、フッ化炭素など無機物;アルミニウム、ブロンズ、鉛、ステンレススチール、亜鉛などの金属粉末;カーボンブラック、コークス、黒鉛、熱分解炭素、中空カーボン球などのカーボン体などが挙げられる。
【0050】
これら充填剤は、繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粒状、鱗片状など種々の形状のものを単独または2種以上混合して用いることができる。
【0051】
さらに、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、三酸化アンチモンなどの難燃助剤;天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸およびその金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類などの離型剤;カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料;エステル類、ポリオール、ポリサルファイド、ウレタンプレポリマーなどの可塑剤;カルボキシル基末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの液状ゴム;シランカップリング剤、チタン系カップリング剤などの表面改質剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末、ABS樹脂粉末、MBS樹脂粉末などの低応力化剤などを添加することができる。
【0052】
さらにまた、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、分散剤などの公知の樹脂添加剤を加えることができる。
【0053】
上記の硬化剤、光酸発生剤、光増感剤、充填剤などの添加物はを使用する場合には、混合前のシラン化合物および/またはエポキシ化合物或いは加熱処理前の両者の混合物に添加すればよい。
【0054】
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、特に限定されず、シート状、フィルム状、ペレット状、塗膜、塊状、粉状などの任意の形状乃至形態とすることができる。
【0055】
本発明によれば、シラン化合物とエポキシ化合物とを含む混合物を基材表面にスプレーコート法、バーコート法、フローコート法、浸漬法、キャスティング法などの公知の手法により塗布するか、或いは圧縮成形、注型成形、トランスファー成形、多孔質基材(セラミック繊維体、ガラス繊維体、炭素繊維体など)への含浸などを行った後、加熱処理することにより、所望の成形体を得ることができる。
【0056】
混合物の基材表面への塗布は、有機溶剤溶液の形態で行うことができる。この様な有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、キシレン、トルエン、ベンゼン、エタノール、ブタノール、ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、フェノール類などが例示される。溶液中の混合物濃度も特に限定されないが、通常1〜60w/v%程度であり、より好ましくは10〜40w/v%程度である。
【0057】
基材としては、所定の加熱処理および/光照射処理に耐える材料であれば特に限定されず、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックなどを用いることができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明による樹脂組成物および成形体は、耐熱性、耐ヒートサイクル性、耐酸性、耐アルカリ性、耐有機溶剤性、耐水性、耐湿性、難燃性、撥水性、絶縁性、成膜性、塗膜状態での基材との密着性、加工性、成形性などに優れている。
【0059】
また、基材に本発明樹脂組成物をコーティングされた物品乃至製品は、樹脂組成物自体の優れた物性が付与される。この様な物品乃至製品は、種々の過酷な環境条件においても、耐熱性、耐ヒートサイクル性、耐酸性、耐アルカリ性、耐有機溶剤性、耐水性、耐湿性、難燃性、撥水性、絶縁性、塗膜密着性などの優れた特性を発揮する。
【0060】
本発明の樹脂組成物および成形体は、塗料、電気機器の絶縁材、電線被覆材、電子機器の封止材、プリント配線基板用の絶縁膜、配線絶縁膜、保護膜、液晶配向膜、摺動部材、自動車部品材料、航空・宇宙用材料、インキ、接着材、粘着材などの形態において、耐熱用途、耐食用途、難燃用途などに特に適している。
【0061】
本発明樹脂組成物は、エポキシ樹脂のみを硬化させた材料に比して、耐熱性、耐ヒートサイクル性、耐酸性、耐水性、耐湿性、難燃性、撥水性などに優れている。また、シラン化合物のみを硬化させた材料に比して、加工性、成形性、成膜性などに優れている。
【0062】
特に、シラン化合物としてネットワーク構造を有するポリシランを使用する場合には、耐熱性、耐酸性、耐有機溶剤性、耐水性、耐湿性、撥水性、難燃性などが著しく向上するので、各種の基材表面保護用の耐熱コーティング材料、耐食コーティング材料、難燃コーティング材料などとして極めて優れた性質を発揮する。
【0063】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0064】
実施例1
シラン化合物として電極反応により合成したメチルフェニルポリシラン(平均重合度40)0.2g、エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;アラルダイトAER260)0.8gおよび光酸発生剤としてN-エトキシ-2-メチルピリジニウム-ヘキサフルオロフォスフェート(NEMH)0.035gをテトラヒドロフラン10ml中に室温下で溶解・混合させた。得られた混合物を予めサンドペーパー(#500)にて研磨したステンレス鋼板(SUS-304)にフローコーティングした。
【0065】
得られた塗膜形成ステンレス鋼板を50℃に保持しつつ、アルゴン雰囲気下100Wの高圧水銀ランプを塗膜から15cmの位置に配置し、5分間光照射することにより、試料を得た。得られた硬化塗膜の膜厚は、20μmであった。
【0066】
得られた試料の硬化塗膜の構造について、NMR分析を行った。29Si-NMR分析の結果から、-40ppmおよび-20ppmにピークがみられた。また、13C-NMR分析の結果から、0ppmに新たなピークがみられた。
【0067】
さらに、得られた試料を用いて、硬化塗膜の耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験、耐ヒートサイクル性試験および燃焼性試験を行った。
【0068】
耐熱性試験は、350℃の電気炉中において空気雰囲気下に試料を1時間放置することにより、行った。塗膜の表面状態を目視と電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、クラックの発生は認められず、耐熱性は良好であった。
【0069】
耐酸性試験においては、5%硝酸水溶液に試料を2時間浸漬した後、その塗膜の表面状態を目視観察した。この場合にも、クラックの発生は認められず、耐酸性は良好であった。
【0070】
耐アルカリ性試験においては、5%NaOH水溶液に試料を2時間浸漬した後、その塗膜の表面状態を目視観察した。この場合にも、クラックは認められず、耐アルカリ性は良好であった。
【0071】
耐ヒートサイクル性試験においては、「試料を設定温度(250℃)で2時間保持した後、室温で2時間保持する」サイクルを10回繰り返して、塗膜に熱衝撃を与えた。試験後、塗膜の表面状態を目視観察したところ、クラックの発生は認められず、耐ヒートサイクル性性は良好であった。
【0072】
燃焼性試験においては、ペレットをブンゼンバーナーの火炎中に1分間放置し、ペレットの燃焼の有無を目視観察した。その結果、燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が高度の難燃性材料であることが確認された。
【0073】
実施例2
シラン化合物として電極反応により合成したメチルフェニルポリシラン(平均重合度40)0.2gとエポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;アラルダイトAER260)0.8gとをテトラヒドロフラン10ml中に室温下で溶解・混合させた。得られた混合物を予めサンドペーパー(#500)にて研磨したステンレス鋼板(SUS-304)にフローコーティングした。
【0074】
コーティングしたステンレス鋼板をアルゴン雰囲気下室温から200℃まで5℃/分の速度で昇温させ、200℃に達した時点で室温中へ取り出して、硬化塗膜付試料を得た。得られた硬化塗膜の膜厚は、20μmであった。
【0075】
得られた試料の硬化塗膜の構造について、NMR分析を行った。29Si-NMR分析の結果から、-40ppmおよび-20ppmにピークがみられた。また、13C-NMR分析の結果から、加熱処理後に0ppmに新たなピークがみられた。
【0076】
この試料を用いて、塗膜の耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験、耐ヒートサイクル性試験および燃焼性試験を行った。
【0077】
耐熱性試験は、350℃の電気炉中において空気雰囲気下に塗膜形成試料を1時間放置することにより、行った。塗膜の表面状態を目視と電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、クラックなどの発生は認められず、耐熱性は良好であった。
【0078】
耐酸性試験においては、5%硝酸水溶液に硬化塗膜形成試料を2時間浸漬した後、塗膜の表面状態を目視観察した。この場合にも、塗膜にクラックなどの発生は認められず、耐酸性は良好であった。
【0079】
耐アルカリ性試験においては、5%NaOH水溶液に硬化塗膜形性試料を2時間浸漬した後、塗膜の表面状態を目視観察した。この場合にも、クラックなどの発生は認められず、耐アルカリ性は良好であった。
【0080】
耐ヒートサイクル性試験においては、実施例1と同様のヒートサイクル(但し、高温側温度を300℃とした)を10回繰り返して、塗膜に熱衝撃を与えた。試験後、塗膜の表面状態を目視観察したところ、クラックなどの発生は認められず、耐ヒートサイクル性は良好であった。
【0081】
燃焼性試験においては、得られた試料の塗膜部分をブンゼンバーナーの火炎中に1分間放置し、塗膜の燃焼の有無を目視観察した。その結果、燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が、難燃性に極めて優れた材料であることが確認された。
【0082】
実施例3
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.5gとエポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製:アラルダイトAER260)0.5gとの混合物を使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0083】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0084】
実施例4
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.8gとエポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製:アラルダイトAER260)0.2gとの混合物を使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0085】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0086】
実施例5
熱処理温度を175℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0087】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が高度の難燃性を備えた材料であることが確認された。
【0088】
実施例6
混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加し、熱処理温度を150℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0089】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0090】
実施例7
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.2gを使用し、シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシランを0.8g使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0091】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0092】
実施例8
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.5gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.5gとを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0093】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0094】
実施例9
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.2gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gとを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0095】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0096】
実施例10
シラン化合物として平均重合度200のメチルフェニルポリシラン0.2gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0097】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0098】
実施例11
シラン化合物として平均重合度5のメチルフェニルポリシラン0.2gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0099】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0100】
実施例12
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシランに代えて平均重合度6の環状メチルフェニルポリシラン0.2gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0101】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0102】
実施例13
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシランに代えて平均重合度40のメチル-n-ヘキシルポリシラン0.2gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0103】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0104】
実施例14
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシランに代えて、メチルフェニルシランとジメチルシランの共重合体(平均重合度40、重合比6/4)0.2gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0105】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0106】
実施例15
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシランに代えて平均重合度40のフェニルネットワークポリシラン0.2gを使用するとともに、耐熱性試験温度を500℃とする以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0107】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0108】
実施例16
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.5gに代えて平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.1gと平均重合度40のフェニルネットワークポリシラン0.1gとを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0109】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0110】
実施例17
エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂に代えてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;ECN1299)0.2gを使用するとともに、シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.8gを使用する以外は実施例1と同様にして、テンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0111】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0112】
実施例18
エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂に代えてエポキシ変性シリコーン樹脂(東芝シリコーン(株)製;XF42-B2249)0.5gを使用するとともに、シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.5gを使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0113】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0114】
実施例19
混合物光照射時の雰囲気をアルゴンに代えて空気とする以外は実施例1と同様にしてステンレス鋼板上に硬化塗膜を有する試料を得た。
【0115】
得られた試料の硬化塗膜の構造について、IR分析およびNMR分析を行った。
【0116】
IR分析によれば、加熱処理に帰属される1100cm-1の大きな吸収が観測された。
【0117】
29Si-NMR分析の結果から、-40ppmおよび-20ppmにピークがみられた。また、13C-NMR分析の結果から、熱処理後に0ppmに新たなピークがみられた。
【0118】
得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0119】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0120】
実施例20
混合物加熱処理時の雰囲気をアルゴンに代えて空気とする以外は実施例2と同様にしてステンレス鋼板上に硬化塗膜を有する試料を得た。
【0121】
得られた試料の硬化塗膜の構造について、IR分析およびNMR分析を行った。
【0122】
IR分析によれば、加熱処理に帰属される1100cm-1の大きな吸収が観測された。
【0123】
29Si-NMR分析の結果から、-40ppmおよび-20ppmにピークがみられた。また、13C-NMR分析の結果から、熱処理後に0ppmに新たなピークがみられた。
【0124】
得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0125】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0126】
実施例21
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.5gを使用するとともに、ポリシラン化合物として平均重合度40のフェニルネットワークポリシラン0.5gを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0127】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0128】
実施例22
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.5gとポリシラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.5gとを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0129】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0130】
実施例23
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.2gを使用するとともに、シラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.8gを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0131】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0132】
実施例24
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gを使用するとともに、シラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.2gを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0133】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0134】
実施例25
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gを使用するとともに、シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.1gと平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.1gとを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0135】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0136】
実施例26
エポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gを使用するとともに、シラン化合物としてメチルフェニルポリシランとフェニルネットワークポリシランとの共重合体(平均重合度40、重合比1/1)0.2gを使用する以外は実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0137】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0138】
実施例27
シラン化合物として平均重合度40のフェニルネットワークポリシラン0.2gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gとの混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加する以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い(但し、塗膜の熱処理は150℃で行った)、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0139】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0140】
実施例28
シラン化合物として平均重合度40のフェニルネットワークポリシラン0.5gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.5gとの混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加する以外は実施例2と同様にして(但し、塗膜の熱処理は150℃で行った)、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0141】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0142】
実施例29
シラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン使用する以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0143】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0144】
実施例30
シラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.2gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.8gとの混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加するとともに、熱処理温度を150℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0145】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0146】
実施例31
シラン化合物として平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.5gとエポキシ化合物としてノボラック型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;EPN1180)0.5gとの混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加するとともに、熱処理温度を150℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0147】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0148】
実施例32
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.1gと平均重合度10のフェニルネットワークポリシラン0.1gとを使用し、さらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加するとともに、熱処理温度150℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0149】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0150】
実施例33
シラン化合物としてメチルフェニルポリシランとフェニルネットワークポリシランの共重合体(平均重合度40、重合比1/1)0.2gを使用し、混合物にさらにベンゾイルパーオキサイド0.02gを添加するとともに、熱処理温度150℃とする以外は実施例2と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験(但し、試験温度は500℃とした)、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0151】
また、実施例2と同様にして行った燃焼性試験においては、試料塗膜の燃焼は認められず、本発明による樹脂組成物が難燃性材料であることが確認された。
【0152】
実施例34
シラン化合物として平均重合度40のメチルフェニルポリシラン0.3g、エポキシ化合物として脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製;セロキサイド2021p)0.7gおよび溶媒としてジメトキシエタン10mlを使用する以外は、実施例19と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0153】
実施例35
光酸発生剤としてフェロセン系光酸発生剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製;イルガキュア261)を使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0154】
実施例36
光酸発生剤としてスルホニウム系光酸発生剤(三新化学工業(株)製;サンエイドSI-60L)を使用する以外は実施例1と同様にして、ステンレス鋼板上に硬化塗膜の形成を行い、得られた試料を用いて耐熱性試験、耐酸性試験、耐アルカリ性試験および耐ヒートサイクル性試験を行った後、塗膜を目視観察した。いずれの試験においても、塗膜の表面状態には、クラック、ボイド、剥離などの発生は認められず、良好な結果が得られた。
【0155】
比較例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;アラルダイトAER260)0.2gとNEMH0.035gとのみをテトラヒドロフラン5ml中に室温下で溶解させた後、得られた溶液を予めサンドペーパー(#500)にて研磨したステンレス鋼板(SUS-304)にフローコーティングした。
【0156】
得られた塗膜形成ステンレス鋼板を50℃に保持しつつ、アルゴン雰囲気下100Wの高圧水銀ランプを塗膜から15cmの位置に配置し、5分間光照射することにより、試料を得た。得られた硬化塗膜の膜厚は、20μmであった。
【0157】
得られた試料を350℃の電気炉中において空気雰囲気下に1時間放置したところ、塗膜表面にクラックの発生が認められた。
【0158】
比較例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭チバ(株)製;アラルダイトAER260)0.5gおよびジエチレントリアミン0.14gをテトラヒドロフラン5ml中に室温下で溶解させた後、得られた溶液を予めサンドペーパー(#500)にて研磨したステンレス鋼板(SUS-304)にフローコーティングした。
【0159】
次いで、コーティングされたステンレス鋼板を空気中100℃で30分間熱処理して、厚さ20μmの硬化塗膜を形成させた。
【0160】
得られた試料を350℃の電気炉中において、空気雰囲気下に1時間放置したところ、塗膜にはクラックが発生しており、また塗膜とステンレス鋼板との間に剥離が生じていた。
Claims (10)
- ネットワーク構造を有するポリシランであるSi-Si結合含有シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物に対し、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、(1)光照射する処理、および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことにより得られる樹脂組成物。
- シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物を不活性ガス雰囲気中で光照射および/または加熱することにより得られ、シラン化合物成分とエポキシ化合物成分とがそれぞれ変性した部分が、Si-C結合および/またはSi-O結合を介して結合している請求項1に記載の樹脂組成物。
- シラン化合物とエポキシ化合物とを含有する混合物を酸素含有ガス雰囲気中で光照射および/または加熱することにより得られ、シラン化合物成分の主鎖のSi-Si結合の少なくとも一部が雰囲気中の酸素が挿入されたSi-O-Si結合を有し、且つシラン化合物成分とエポキシ化合物成分とがそれぞれ変性した部分が、Si-C結合および/またはSi-O結合および/または雰囲気中の酸素が挿入されたSi-O-C結合を介して結合している請求項1に記載の樹脂組成物。
- 加熱処理を150〜200℃で行うことにより得られる請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- エポキシ化合物とネットワーク構造を有するポリシランであるSi-Si結合含有シラン化合物とを混合し、得られた混合物に対し、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、(1)光照射する処理および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化合物とSi-Si結合含有シラン化合物とからなる樹脂組成物の成形体。
- 成形体の形態が、塗膜である請求項6に記載の成形体。
- エポキシ化合物とネットワーク構造を有するポリシランであるSi-Si結合含有シラン化合物とからなる混合物を基材表面に塗布して塗膜を形成した後、シラン化合物のSi-Si結合の側鎖の炭素が主鎖のSi-Si結合に挿入してSi-C結合を形成する温度未満において、塗膜に対し、(1)光照射する処理および(2)シラン化合物のSi-Si結合が解裂するかまたは側鎖置換基が脱離する温度以上で加熱する処理の少なくとも一方の処理を行うことを特徴とする硬化塗膜を有する製品乃至物品の製造方法。
- 請求項8に記載の方法により得られた硬化塗膜を有する製品乃至物品。
- 硬化塗膜が、耐熱性、耐食性および難燃性表面保護膜である請求項9に記載の製品乃至物品。
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