JP3958633B2 - 加熱機能付き携帯食品用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱機能付き携帯食品用容器に関し、特に、特定の粒度分布を有する粉体アルミニウムと粉体生石灰とから成る発熱剤パックを組込み、容器内で発生する余剰の水素随伴水蒸気と加熱臭を除去することを特徴とする加熱機能付き携帯食品用容器に関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、非常食若しくは日本酒等、液状食品或いは調理済み食品を加熱機能付き容器に封入し、場所や、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる簡便な携帯食品の需要が増えてきている。
【0003】
その加熱装置の一つとして、化学物質の発熱反応を利用したものが各種提案されている。それらは、酸化物に対する水の添加反応を利用するタイプ、金属と酸との反応を利用するタイプ、無水塩に対する水の添加反応を利用するタイプに大別される。
【0004】
我が国では、食品衛生法により、営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならないとされ(第8条)、また有毒、有害な物質が含まれていたり、食品に接触して、人の健康を損なうおそれがある器具または容器包装を使用してはならない(第9条)とされている。そのため、外国で開発された金属と酸との反応を利用するタイプ、或いはマグネシュウム−鉄合金に対する水の添加反応を利用するタイプは、独特の悪臭を発生するので、好ましくないとされている。
【0005】
さらに、加温食品類には、前述した食品衛生法上の規制以外に、携帯食品としての欠かせない要件がある。即ち、軽量かつコンパクトでなければならない。そのため、加熱装置を組み込んだために、加熱機能付き容器の重量が極端に増加したり、嵩張ったりしてはならない。また、いかなる場所においても、希望する時に、簡単な操作で、短時間で発熱するものでなくてはならない。
【0006】
上述した理由、即ち、食品衛生法上の規制、軽量・コンパクト、操作の容易性、効率等の理由により、加熱調理容器用加熱装置に使用される発熱剤としては、酸化カルシウム(以下、粉生石灰という場合がある)に対する水の添加反応による反応熱を利用するタイプが主流を占めてきている。
【0007】
ところで、加熱調理容器には、各種の形状、容量のものがあるが、小さいものでは、日本酒の燗、大きなものでは駅弁がある。前者は、約200cm3、後者は、約2000cm3である。本発明者は、容量が小さい日本酒と、容量が大きな駅弁に関して、それらを利用する頻度が高い年齢層100人について、開封から飲食の終了までの最大必要時間を無作為に聞き取り調査したところ、約20分かかることが分かった。
【0008】
また、加温食品の内容にもよるが、たとえば、駅弁の場合、御飯とおかずの両方を適度に加熱するには、90℃近傍、好ましくは、90℃以上、100℃以下に加熱しなければならないことも分かった。
【0009】
さらに、加熱調理容器自体の材料の熱容量は小さいので、加熱調理容器に保温効果を期待することはできない。従って、加熱装置に使用する発熱剤自体に、発熱反応を起こして最高温度に到達し、少なくとも室温にまで降下するまでの時間、即ち温度保持時間を最大限にする機能を持たせることが必要である。
【0010】
以上のことを総合的に勘案すると、加温調理容器用加熱装置に使用される発熱剤は、食品衛生法上の規制を満たすことはもとより、軽量かつコンパクトに成形できること、反応後、速やかに90℃以上、100℃以下まで昇温し、この温度が、摂取に好ましい最低温度である約60℃に降下するまでに、少なくとも20分間維持させることが必要である。
【0011】
従来、発熱剤として、粉体生石灰に対する水の添加反応を利用するものが、主流を占めていることは前述したとおりである。粉体生石灰に対する水の添加反応を利用する発熱剤は、食品衛生法上の規制は満たす。しかし、粉体生石灰の水との反応による発熱量は小さいので、反応後、速やかに90℃以上100℃以下に昇温し、60℃に降下するまでに少なくとも20分間維持させるためには、粉体生石灰と水を大量に使用することが必要となる。
【0012】
因みに、粉体生石灰200g、水300mlを使用した場合、発熱開始時から60℃に降下するまでの維持時間は15分間である。そのため、加熱調理容器の重量と容量は増加することとなる。
【0013】
そこで、本発明者は、粉体生石灰と粉体アルミニウムを、特定の比率で含み水と反応させると、短時間で約90℃〜約100℃に到達させ、60℃に降下するまでの持続時間が、少なくとも20分間となる発熱剤を発明し、既に特許出願している(特願2002−151218)。
【0014】
本発明者が発明したこの発熱剤は、CaO+H2O=Ca(OH)2+15.2 Kcalで表される第1段階発熱反応と、1例として、2Al+3Ca(OH)2=3CaO・Al2O3+ 3H2+47 k/calで表される第2段階発熱反応を、連続して利用することを特徴とするものである。
【0015】
本発明者は、この発熱剤を携帯食品用容器に組み込んで、各種の実用化試験を行った。その結果、加熱機能付き携帯食品用容器の発熱装置として、最も理想的な総発熱量、粉体生石灰及び粉体アルミニウムの最低必要量、全重量を確定した。
【0016】
その過程で、2Al+3Ca(OH)2=3CaO・Al2O3+ 3H2+47 k/calで表される第2段階発熱反応で必然的に発生する水素の取扱い方法を検討した。水素は可燃性であるので、一般には、一種の危険物であると言えるが、その危険度は、あくまでも、水素の発生量と水素が発生する空間容積との関係によって決定されるものである。
【0017】
上記の式から、粉体アルミニウムを26.98グラム、粉体生石灰を85.62グラム使用した場合に、水素は3/2モル発生する。これを、アボガドロ数(Avogadoro number)(N)に換算すると、N=9.01±0.0001×1023個である。しかし、実際の携帯食品用容器の発熱装置に使用される粉体アルミニウムの量は、約8.33〜15グラム、即ち、0.30〜0.59モル、一方、粉体生石灰は、約8.33〜15グラム、即ち、0.14〜0.28モルである。
【0018】
従って、粉体生石灰と粉体アルミニウムを特定の比率で含み水と反応させる発熱剤を組み込んだ携帯食品用容器で発生する水素の量は、約1/2モル以下である。これを、アボガドロ数(Avogadoro number)(N)に換算すると、N=3.01±0.0001×1023個である。加熱機能付き携帯食品用容器の容量は、通常2000cm3であるので、2000cm3の空間容積の中に、3.01±0.0001×1023個の水素分子が拡散していることになる。この量は、通常の使用状況下においては全く危険がないことは、当業者のよく理解するところである。
【0019】
しかし、全く想定できない行為、たとえば、加熱機能付き携帯食品用容器にピンホールをあけ、その個所にライター等の火気を近づけた場合には、水素が燃焼する場合がないとは言えない。
【0020】
そこで、本発明者は、あらゆる場合を想定して、粉体生石灰と粉体アルミニウムを、特定の比率で含み水と反応させる発熱剤を組み込んだ携帯食品用容器で発生する水素を、完全に除去することを検討した。
【0021】
粉体生石灰と粉体アルミニウムを、特定の比率で含み水と反応させるようにした発熱剤を組み込んだ携帯食品用容器の場合、発生する熱水蒸気が、調理済み食品を加熱・加温する構成になっているが、この場合、余剰の水蒸気が水滴となり、調理済み食品の呈味成分、香気成分に悪影響を与えたり、加熱した場合に発生する「加熱臭」、或いは「容器臭」という異臭が発生したりする場合がある。従って、発熱剤パックを組み込んだ携帯食品用容器の場合、これらを解決することも重要な課題である。
【発明が解決すべき課題】
【0022】
従って、本発明が解決すべき主たる課題は、粉体生石灰と粉体アルミニウムを特定の比率で含み、水と反応させる発熱剤パックを組み込んだ携帯食品用容器で発生する余剰の水素を除去する方法と、その容器を提供することである。
【0023】
さらに、本発明が解決すべき別の課題は、粉体生石灰と粉体アルミニウムを特定の比率で含み、水と反応する発熱剤パックを組み込んだ携帯食品用容器で発生する熱水蒸気に起因する「加熱臭」或いは「容器臭」を除去する方法と、その容器を提供することである。
【0024】
さらに、本発明が解決すべき別の課題は、発熱剤パックと、水を充填した水パックとを一緒に収容した自己完結型の加熱ユニットを提供し、加熱ユニットの用途の拡大に資することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
粉体生石灰と粉体アルミニウムを特定の比率で含む発熱剤パックを、水と反応させた場合の反応機構について、詳細に説明する。
【0026】
粉体生石灰と粉体アルミニウムを特定の比率で含む発熱剤を水と反応させた場合、CaO+H2O=Ca(OH)2+15.2 Kcalで表される第1段階発熱反応が起こる。この場合に発生する熱により、熱水蒸気が発生する。
【0027】
1atmにおける空気に対する比重dと温度(t℃)との関係は、次式により与えられる。
d=0.4552−0.0004757(t−160)−0.000000685(t−160)2 ,
この式により、第1段階発熱反応における温度範囲は90〜100℃であるので、その飽和圧力(atm)は、0.6918〜1.000の範囲であることが分かる。
【0028】
次に、2Al+3Ca(OH)2=3CaO・Al2O3+ 3H2+47 k/calで表される第2段階発熱反応で、熱水蒸気と水素が発生する。第2段階発熱反応における温度範囲は、約100℃〜約60℃であるので、その飽和圧力(atm)は、1.000〜0.1966の範囲である。
【0029】
このような環境下では、水素ガスが発生しても、H−Hとして独立して存在する量は極く僅かであり、その大部分は、発生している水蒸気ミストに取り込まれた状態で存在している。即ち、水蒸気は「水素随伴水蒸気」として存在している。
【0030】
従って、理論的には、水蒸気を除去すれば、発生する水素も同時に除去されることになる。
【0031】
また、加熱機能付き携帯食品用容器には、色々な種類の調理済み食品が入れられるが、これらは、加熱により、多様で特有な香りを発生し、呈味成分、香気成分に悪影響を与える場合がある。これらは、いわゆる「加熱臭」として嫌われることがあるが、この「加熱臭」も、水蒸気に包摂された状態であるので、水蒸気を除去すれば、「加熱臭」も完全に除去されることになる。
【0032】
本発明者は、水素、及び加熱臭を包摂した水蒸気を除去するために、水素、及び臭い成分を包摂した水蒸気を、各種の吸湿材と接触させ、その効果を確認した。
【0033】
従って、上記課題は、下記の各項に記載した手段により解決される。
1.加熱機能付き携帯食品用容器であって、容器本体と、容器本体を覆う蓋とから成り、容器本体に、粉体生石灰と粉体アルミニウムとを含む発熱剤パックと、発熱剤パックの上方に位置する食品トレーとを収容し、ティアーテープを容器本体を貫通して外側に延出さえ、その上部に食品トレーを収容し、かつ食品トレーの開口部又は容器本体の開口部を、水素随伴水蒸気と加熱臭を除去する吸湿材としての高吸水性樹脂、鉱物質多孔質構造体、およびこれらの任意の2種以上の混合物から成る群から選択されたものを他の母材に配合した複合材、または抗菌性フィルムで密閉してなることを特徴とする加熱機能付き携帯食品用容器。
【0034】
2.上記1項において、吸湿材を、熱可塑性合成樹脂に高吸水性樹脂を混合して、発泡シート或いは発泡フィルムに成形したものとする。
【0035】
3.上記1項において、吸湿材としての鉱物質多孔質構造体を、ゼオライトとする。
【0036】
4.上記1項において、抗菌性フィルムを、銀、銅等金属イオン、有機抗菌剤、酸化物、光触媒系抗菌剤等各種抗菌剤を熱可塑性合成樹脂に練り込んで成形したもの、もしくはゼオライトに活性成分として銀を担持させた銀・亜鉛置換ゼオライトを熱可塑性合成樹脂に 練り込んで成形したものとする。
【0037】
本発明で使用する用語「吸湿材」は、水蒸気を、完全に吸着して、その界面と内部とで、水蒸気濃度又は密度を異にして平衡状態にする材料と定義する。
【0038】
本発明で使用する吸湿材は、多孔質構造体が好ましい。多孔質構造体とは、内部に径4〜40Åの球状、楕円、棒状、不規則複雑な形状の細孔(気泡)を有する固体である。多孔質構造体には、連続気泡構造体と独立気泡構造体がある。吸湿量が多いという点からは、連続気泡構造体が好ましいが、独立気泡構造体のものも、連続気泡構造体とは異なった吸湿メカニズムで吸湿する。
【0039】
本発明で使用される吸湿材として、高吸水性樹脂、或いは鉱物質多孔質構造体がある。これらは単独で、或るいは2種以上の混合物として、若しくは他の母材に配合して使用される。
【0040】
高吸水性樹脂は、自重の数百倍の水を吸収ことができる全体が多孔質の球状高分子で、ポリアクリル酸塩系、イソブチレンーマレイン酸共重合体系、デンプンーアクリル酸グラフト重合体系、酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体けん化物、ポリアクリル酸塩系、カルボキシメチルセルロース等が例示される。高吸水性樹脂は、粒子、或いは粉体を単品として、或いはフィルム、シート等任意の形状に成形して使用することができる。
【0041】
鉱物質多孔質構造体としては、ゼオライト等がある。
【0042】
そのほかに、熱可塑性合成樹脂で製造した発泡シート或いは発泡フィルムも吸湿剤として使用される。
【0043】
上述した各種の吸湿材は、単品、或いは2種以上の材料との複合材として使用することができる。複合材しては、たとえば、高吸水性樹脂、ゼオライト等鉱物系吸湿材、及びこれらの混合物から成る群から選択された一種を混合して透湿性フィルムの袋に充填した形態、或いは熱可塑性合成樹脂に高吸水性樹脂を混合して、発泡シート或いは発泡フィルムに成形した形態等がある。
【0044】
さらに、本発明で使用さる吸湿材として抗菌性フィルムがある。本発明で吸湿材として使用される抗菌性フィルムは、銀、銅等金属イオン、有機抗菌剤、酸化物、光触媒系抗菌剤等各種抗菌剤を熱可塑性合成樹脂に練り込んで発泡シート或いは発泡フィルムに成形したものが好ましい。たとえば、ゼオライトに活性成分として銀を担持させた銀・亜鉛置換ゼオライトを熱可塑性合成樹脂に練り込んで成形した発泡シート或いは発泡フィルムが好ましい。
【0045】
本発明の方法で使用する吸湿材は、使用前は、調理済み食品を入れた食品トレー、或いは容器本体の開口部を覆う形状保持機能があり、使用後、即ち、余剰の水素随伴水蒸気を除去した後では、簡単に破棄できるものがよい。
【0046】
さらに吸湿材に、高吸水性ポリマーを練りこんでおけば、ドリップ吸収、湯気・結露水の吸収、容器内の調湿等に一層効果がある。また、殺菌作用があるという点からは、抗菌性フィルム、たとえば、銀ゼオライトを練り込んだ、連続発泡フィルムも好ましい。
【0047】
また、本発明によると、水素随伴水蒸気と加熱臭を除去することができる加熱機能付き携帯食品用容器が提供される。
【0048】
本発明による水素随伴水蒸気と加熱臭を除去することができる加熱機能付き携帯食品用容器は、加熱機能付き携帯食品用容器であって、容器本体と、容器本体を覆う蓋とから成り、容器本体に、粉体生石灰と粉体アルミニウムとを含む発熱剤パックと、発熱剤パックの上方に位置する食品トレーとを収容し、かつ食品トレーの開口部又は容器本体の開口部を、水素随伴水蒸気と加熱臭を除去する吸湿材で密閉してなることを特徴としている。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の縦断面図である。容器 ( ) は、容器本体 ( ) と蓋 ( ) とを備えている。
【0050】
容器本体 ( ) には、下方から、発熱剤パック ( ) と、食品トレー ( ) と、吸湿材トレー ( ) が収容されている。
【0051】
容器本体 ( ) の断面形状は、食品の種類によって異なる。たとえば、赤飯、白飯、五目飯、ちらし寿司等のご飯類、各種調理済み食品、総菜類、カレー、ビーフシチュー、グラタン、ピラフ等、ご飯及び各種総菜類が詰め合わされた駅弁、仕出し弁当などの場合は、トレー型が好ましい。うどん、ラーメン、おでん、スープ類、酒等液状食品には、カップ型が適している。
【0052】
容器本体 ( ) を、透明単層タイプにしたい場合には、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、ポリプロピレンで、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンで製造することが好ましい。
【0053】
( ) は、容器本体 ( ) の開口部全体を覆って、内容物を保護するとともに、発生する熱水蒸気が外部に漏出するのを防止するためのものである。駅弁或いは仕出し弁当のような形態食品の場合には、容器本体 ( ) と蓋 ( ) を、包装した上で、紐或いは輪ゴムで縛るだけでも十分である。
【0054】
一方、カレー、シチュー、液状食品、ラーメン、うどん等麺類は、加熱が完了するまでは完全密閉が要求され、加熱終了後は、簡単に蓋がはずせる、いわゆるイージーオープン(イージーピール性)が要求される。このような場合には、 EVA をベースとし、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂或いはジペンテン重合体、或いはアルミ箔などの基材に押し出しコーティングしたものが好ましい。
【0055】
発熱剤パック ( ) は、例えば粉体生石灰と粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合した発熱剤 (4a) を、透水性の紙または布の袋に充填した扁平のもので、容器本体 ( ) の底壁 (2a) 上に載置されている。
【0056】
食品トレー ( ) は、発熱剤パック ( ) の上面に密着させて重合されている。そのことにより、発熱剤パック ( ) から発生する熱が伝導及び対流の両方で食品トレー ( ) に伝達されるので熱効率がよくなる。食品トレー ( ) の側壁 (5a) には、複数の縦方向の内向凹溝 ( ) が形成され、かつ内向凹溝 ( ) の上端には、凹入孔 ( ) が設けられている。
【0057】
吸湿材トレー ( ) は、底壁 (6a) に多数の透孔 (6b) が穿設された浅皿状のもので、側壁 (6c) の上端に設けた外向フランジ ( ) を、容器本体 ( ) の側壁 (2b) の上端に係止してある。
【0058】
吸湿材トレー ( ) の底壁 (6a) は、食品トレー ( ) の上縁に近接している。
吸湿材トレー ( ) 内には、後に例示するような適宜の吸湿材 (10) が、ほぼ一定厚さで、 全面に亘って収容され、食品トレー ( ) の上面開口全体を覆っている。
【0059】
吸湿材 (10) は、連続気泡のものが望ましく、その目的は、水素随伴水蒸気と、加熱に起因して発生する複雑な加熱臭を除去することである。水素随伴水蒸気を除去する機構も、加熱に起因して発生する複雑な加熱臭を除去する機構も、全く同じである。即ち、イオン結合や共有結合等化学結合ではなく、吸着作用が大きく寄与している。次に、吸着効果を上げるための要件を検討する。
【0060】
吸湿材 (10) は、一般に、厚さが厚いほど、吸着効果は上がるが、厚さを一定にして密度を変えた場合は、密度が小さいほど、吸着効果は上がる。ただし、実際の吸湿材 (10) の吸着特性は、密度よりも、単位面積流れ抵抗が本質的に重要である。
【0061】
発熱材パック ( ) における、粉体生石灰と粉体アルミニウムを、所定配合量で均一混合した発熱剤 (4a) の発熱反応は、先ず粉体生石灰と水との反応によって開始される。粉体生石灰と水を反応させるには、食品トレー ( ) 、吸湿材トレー ( ) 、及び蓋 ( ) を一旦取り外して、所定量の水を外部から注水する。
【0062】
図示を省略したが、容器本体 ( ) の下部適所に、注入口を設けておいてもよい。
【0063】
食品トレー ( ) 内の食品 (11) が加熱されるに伴って発生した水素随伴熱水蒸気や加熱臭は、吸湿材 (10) により吸着され、外部に逃散することはない。
【0064】
従来の加熱機能付き携帯食品用容器では、容器の下方から上昇してくる熱水蒸気が、食品を加熱・加温する役目を終えた後には、余剰の水蒸気となり、水滴となって、加熱・加温された食品の中に落下し、食品の風味、香味等を損ねていた。
【0065】
しかし、本発明によると、食品トレー ( ) の上面は吸湿材 (10) で密閉されているので、食品トレー ( ) の下部から上昇してくる水素随伴熱水蒸気が、一旦食品 (11) を加熱して、余剰の水素随伴熱水蒸気となっても、この水蒸気は吸湿材 (10) に完全に吸着され、加熱・加温された食品 (11) の風味、香味等が損われることがない。
【0066】
図2は、本発明の別の実施の形態を示す縦断面図である。図2において、図1と同じ符号を付した部材の機能は、図1のものと同じであるので、それらに関する説明を割愛する。
【0067】
容器本体 ( ) の底壁 (2a) と発熱剤パック ( ) の間に、発熱剤 (4a) における、生石灰に所定の発熱反応を起こさせる量の水を充填した水パック (12) が設けられている。この、水パック (12) は、容器本体 ( ) の外部から適当な力を加えることにより、開裂して、中の水が速やかに流出するような構成、いわゆるイージーオープン性或いはイージーピール性にすることが好ましい。
【0068】
発熱剤パック ( ) に充填されている粉体生石灰は空気中の湿度を吸収しただけで直ちに反応する性質を有しているので、水パック (12) の材料は非透湿性でなければならない。
【0069】
以下、本発明の水パック (12) に適した材料に関して説明する。
厚さL、表面積 A のフィルムの両側の水蒸気(湿度)の分圧がそれぞれP1,P2の場合、定常状態で時間tに透過する湿度の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・ A ・t}/L (1)
Q={P・ΔP・ A ・t}/L (2)
(2)式を変形して、
Q/{ A ・t}={P・ΔP}/L=q (3)
ある特定条件下におけるフィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを透湿度 (WVTR) といい、その単位は、g・m -2 ・24h -1 である。即ち、表面積1m 2 のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
【0070】
本発明の水パック (12) に適した材料の透湿度は、15以下、好ましくは0.3〜15の範囲より好ましくは0.3〜7の範囲、最も好ましくは0.3〜3の範囲である。
【0071】
本発明の水パック (12) に適したフィルムは、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(高密度=0.960)、ポリエチレン(中密度=0.93)、ポリプロピレン(密度=0.907)、ポリエチレン(低密度=0.922)、ポリビニルクロライド、ポリ(ビニルクロライドービニルアセテト)、ポリ(スチレンーブタジエン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ブタジエンーアクリロニトリル)等が例示される。
【0072】
本発明の水パック (12) に適したラミネートフィルムは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレンン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレンービニルアセテート、 2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリプロピレン、ポリカーボネート/ポリプロピレン、スチール箔/ポリプロピレン等が例示される。
【0073】
また開裂メカニズムの面からは、界面剥離タイプを利用したもの、層間剥離タイプを利用したもの、凝集剥離タイプを利用したもの等任意に選択できる。ただし、シールの安定性の点からは、凝集剥離タイプが、線シール性の点からは、界面剥離タイプが、剥離面の状態からは、界面剥離タイプが優れている。
また、ティアーテープ等のオープニングテープを利用したもの、V−ノッチなどの切り込みを入れて、ある一定方向に開封させるようにしたもの等、任意に選択できる。
なお、本発明において「ティアーテープ」、「オープニングテープ」に使用する用語「テープ」は、凧糸状のストリング、モノフィラメント等いわゆる紐、或いは糸状のものも含むものとする。
【0074】
図2においては、水パック (12) を、底面図である図3に示すように、上片 (12a) と下片 (12b) とからなるものとし、水 (13) を封入して周辺同士をヒートシール (14) するとともに、一側部のヒートシール (14) 部を延長させて、ここに側方に並ぶ2個の係止孔 (15)(15) を穿設し、かつ両係止孔 (15)(15) の間に、内方を向く2本の切込み線 (16)(16) を設け、両切込み線 (16)(16) の間の可撓片 (17) を底面側(図3では上面側)へ反転折曲させ、その先端に引張りひも (18) の基端 (18a) を止着するとともに、引張りひも (18) の先端 (18b) を、容器本体 ( ) の側壁 (2b) の下部に穿設した通孔 (19) より導出してある。
【0075】
なお、図示においては、通孔 (19) は、水密保持のための頭付きゴム栓 (20) に設けられ、このゴム栓 (20) を、側壁 (2b) に設けた保持孔 (21) に、内方より水密的に挿入してある。
【0076】
なお、頭付きゴム栓 (20) を、頭を容器本体 ( ) の内方として、それに引張りひも (18) を通すために、頭付きゴム栓 (20) は、図4に示すように、一側面に軸線方向の切割線 (20a) を有するものとしてある。
【0077】
前記係止孔 (15)(15) を、前記保持孔 (21) と対向する個所において、容器本体 ( ) の側壁 (2b) の内側に設けた上向きの係止ピン (22) に係止することにより、水パック (12) は一定位 置に保持される。
【0078】
引張りひも (18) を外部より引張ると、可撓片 (17) を介して、水パック (12) の下片 (12b) は裂断され、水 (13) は流出する。
【0079】
図5、および図6は、ティアーテープ等のオープニングテープを利用して、水パック (12) を開放するようにした簡単化された異なる例を示す底面図であり、図3におけると同様の個所には同じ符号を付してある。
【0080】
図5においては、水パック (12) の下片 (12b) の中央部に長手方向の切割線 (23) を設け、これを、下片 (12b) に接着した帯状シール片 (24) をもって覆うとともに、シール片 (24) の先端の非接着部 (24a) に、引張りひも (18) の先端 (18b) を止着してある。
【0081】
引張りひも (18) を引張ると、非接着部 (24a) を介して帯状シール片 (24) は剥離され、切割線 (23) は露出する。
【0082】
図6においては、引張りひも (18) の先端 (18b) を基端 (18a) の方向へ反転屈曲させるとともに、水パック (12) の下片 (12b) の中央部に、長手方向に沿って接着 (18c) してある。
【0083】
接着部 (18c) を、薄肉もしくは裂断容易なものとしておくのがよい。
【0084】
引張りひも (18) を引張ると、その接着部 (18c) は水パック (12) の下片 (12b) から引き剥がされ、下片 (12b) には長手方向の切割線が設けられる。
【0085】
なお、図2、図3、図5、図6に示す水パック (12) の先端のヒートシール部 (14) には、容器本体 ( ) に設けた係止ピン (22) に係合させるための係止孔 (15) を穿設してあるが、係止ピン (22) や係止孔 (15) を設けず、水パック (12) の先端のヒートシール部を、接着剤もしくは加熱押圧により、容器本体 ( ) の一端に止着するようにしてもよい。
【0086】
図7は、本発明の加熱ユニット (27) の斜視図である。図8は、加熱ユニット (27) を組み込んだ携帯食品用容器の断面図である。図7及び8において、図1〜図5におけるのと同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
本発明の加熱ユニット (27) は、発熱剤パック ( ) と、その上面に重合されている水パック (12) を、上面開口する発熱トレー (25) 内に収容し、発熱トレー (25) の上面開口部を、アルミ箔等の保護シート (26) で密封してあることを除けば、図2に示すものと同様である。
【0088】
引張りひも (18) の先端部は、保護シート (26) の上面を通ってその先端に至った後、下向きに反転折曲して水パック (12) の上側を通り、ついで、水パック (12) の基端部側において下方へ反転屈曲した後、その先端 (18b) に至るまでの部分は、水パック (12) の下面に接着 (18c) されている。
【0089】
引張りひも (18) の基端を引張ると、保護シート (26) は破られ、ついで水パック (12) の底面の引張りひも (18) との接着部 (18c) も引き裂かれる。
【0090】
なお、水パック (12) の底面の開裂を容易とするために、接着部 (18c) を、薄肉もしくは裂断容易なものとしておくのがよい。
【0091】
引張りひも (18) の基端を引いて、発熱トレー (25) の上面開口部を覆う保護シート (26) を速やかに開裂させるには、発熱トレー (25) に、保護シート (26) がヒートシールでき、かつ 容易に剥離できるフィルムを適切に組み合わせることが重要である。
【0092】
以下、本発明において適切な発熱トレー (25) の材料と、保護シート (26) との材料の組み合わせを例示する。
発熱トレー (25) PP 使用した場合は、保護シート (26) は、 PET/DL/VM/PET/PE/CMPS 007 , PET/DL/VM/PET/DL/CMPS 008C , PET/DL/VM/PET/PE/DL/CMPS 011C , PET/DL/VM-PET/PE/CMPS017C, ONY/DL/CMPS017C, PET/PE/CMPS006, PET/PE/CMPS006 等が好ましい。 発熱トレー (25) PVC を使用した場合は、保護シート (26) は、 PET/DL/VM-PET/PE/CMPS006, PETPE/CMPS009, PET/DL/ONY/PE/CMPS009 等が好ましい。発熱トレー (25) PP/EVOH/PP を使用した場合は、保護シート (26) は、 ONY/DL/EVOH/DL/CMPS013C, PET/PE/AL/PE/CMPS009 等が好ましい。発熱トレー (25) A-PET を使用した場合は、保護シート (26) は、 ONY/DL/ONY/DL/ABF65C, PET/DL/ABF65C 等が好ましい。発熱トレー (25) PS を使用した場合は、保護シート (26) は、 PET/DL/VM-PET/PE/CMPS009, PET/PE/CMPS009 等が好ましい。
ここに、 PET は、ポリエチレンテレフタレート、 DL は、ドライラミネーション、 VM は、アルミ蒸着、 PE は、ポリエチレン、 CMPS は、カルボキシメチル化ポリスチレン、 ONY , 延伸ナイロン、 EVOH は、エチレンビニルアルコール、 PP は、ポリプロピレン、 ABS は、アクリルーブタジエン樹脂、 AL は、アルミ箔、 A-PET は、非晶質ポリエステルを表している。
【0093】
図6及び7で示したように、発熱剤パックを、上面開口する発熱トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱トレーの上面開口縁部を、非透湿性フィルムで、水パックと非透湿性フィルムを同時に開裂するティアーテープと一緒に、ヒートシールした加熱ユニットとすることによって、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。
【0094】
従って、本発明の加熱ユニットを、あらかじめ加熱機能付き携帯食品用容器に収容しておくことにより、携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生面等が向上し、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
【0095】
本発明で使用するプラスチックスの全部或いは一部を、加水分解性基を主鎖中に有する易加水分解性プラスチックス、高光感受性基を主鎖中に有する易光分解性プラスチックス等を使用すると、使用廃棄後、自然環境中で生分解、光分解、加水分解するので、省資源化、環境汚染の防止に資する。
【0096】
本発明での使用に適した易分解性プラスチックスを例示すると、脂肪族ポリエステル、ポリオキシ酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリアンハイドライド、ポリ(アミドーエナミン)、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアジピン酸エステル、ポリエチレンデカメチレン、ポリアジピン酸テトラメチレン、ポリプロラクトン、ポリオルトエステルポ、ポリシアノアクリル酸エステル、ポリカプロラクタン等である。
【0097】
【実施例1】
次に、図に示した容器の各部の実際の製造要領について、例をあげて具体的に説明する。
〔容器本体の製造〕
ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレンの3層ラミネートフィルムを使用して、深さ12cm、開口部の直径が15cm、底部の直径が10cmのカップ状容器本体 ( ) を、深絞り真空成形機で成形した。
【0098】
〔蓋の製造〕
ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示す形状の蓋 ( ) を、真空成形機で成形した。
【0100】
〔食品トレーの製造〕
未延伸ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示すように、容器本体 ( ) の内向段部 ( ) に乗り、容器本体 ( ) の内壁に密着する形状の食品トレー ( ) を真空成形機で成形した。この食品トレー ( ) に、食品 (11) として、調理済み魚、野菜、コンブ、卵焼き、ハンバーグ、ご飯を入れた。
【0101】
〔発熱剤パックの製造〕
使用した粉体アルミニウム:山石金属株式会社製、商品名「アトマイズアルミ VA-200 」)
使用した粉体生石灰:秩父石灰工業株式会社製(200メッシュ、 JIS 特号品)
使用した不織布:目付量 60 g/m 2 , 厚さ 0.14mm 、通気量 20cc/cm 2 ,sec 、ヒートシール強度 6.0kg
粉体アルミニウム15グラム、粉体生石灰5グラムを秤量して均一に混合し、長さ8cm、幅6cm、厚さ4mmの不織布製の袋に充填して、発熱剤パック ( ) を製造した。
【0102】
〔水パックの製造〕
アルミ箔に一軸延伸したポリプロピレンフィルムを積層したラミネートフィルムで、上端縁中央部にV字ノッチを入れた、幅9cm、長さ14cm、厚さ4mmの袋を製造した。その袋に水40mlを充填して、上端をティアーテープ ( ) と一緒にヒートシールをして密封し、水パック (12) を製造した。
【0103】
〔吸湿材の製造〕
高吸水性樹脂にゼオライトを混合して透湿性フィルムの袋に充填した厚さ1mmの吸湿材 (10) を製造した。
【0104】
〔加熱機能付携帯食品容器の製造〕
容器本体 ( ) の側壁 (2b) の下部に、ゴム栓 (20) を通すための通孔 (19) を空け、上述したようにして製造した発熱剤パック ( ) 、水パック (12) 、調理済み食品を入れた食品トレー ( ) を順次容器本体 ( ) にセットし、先端を水パック (12) の下片 (12b) に止着した引張りひも (18) を容器本体 ( ) から引出し、かつ容器本体 ( ) の開口部を、吸湿材 (10) を入れた吸湿材トレー ( ) で密封し、蓋 ( ) で容器本体 ( ) を覆った。
【0105】
〔水素ガス発生量の測定〕
実施例で製造した加熱機能付き携帯食品容器 ( ) 全体をポリエチレンフィルムで真空包装した。引張りひも (18) を引いたところ、直ちに発熱反応が始まり、容器内温度が約100℃にまで上昇し、60℃にまで降下するのに20分間以上要した。発熱反応終了後直ちに、発生したガスを採取して、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、水素の存在は確認されなかった。
【0106】
〔比較例〕
比較のため、上述したようにして製造した発熱剤パックを、実施例で製造した加熱機能付き携帯食品用容器と同じ容積の密閉容器に、水40mlと一緒に入れ発熱反応を行わせて、発生した水素ガスを、炭水素定量装置に導入し、酸素で燃焼させて水として追い出し、この水を吸収管に吸収させて定量した結果14.9リッターであった。
【0107】
【実施例2】
〔加熱ユニットの製造〕
以下、図6に示した加熱ユニット (27) の製造例を説明する。
ポリプロピレンを使用して、深さ18mm、縦140mm、横140mmの発熱トレー (25) を真空成形法で製造した。この発熱トレー (25) の中に、発熱剤パック ( ) と、その上面に水パック (12) を載置した。水パック (12 )には、予め引張りひも (18) をヒートシールした。次いで、保護シート (26) として PET/DL/VM/PET/PE/CMPS 007で、発熱トレー (25) の開口縁部を、引張りひも (18) と一緒にヒ−トシールした。その際、保護シート (26) の開裂を容易にするために、引張りひも (18) と一緒にヒートシールされる箇所をV字形に切り込みを入れて、加熱ユニット (27) を製造した。
【0108】
引張りひも (18) の先端部は、保護シート (26) の上面を通ってその先端に至った後、下向きに反転折曲して水パック (12) の上側を通り、ついで、水パック (12) の基端部側において下方へ反転屈曲した後、その先端 (18b) に至るまでの部分は、水パック (12) の下面に接着 (18c) されている。引張りひも (18) の基端を引張ると、保護シート (26) は破られ、ついで水パック (12) の底面の引張りひも (18) との接着部 (18c) も引き裂かれるようになっている。
【0109】
【実施例3】
図7は、実施例2で製造した加熱ユニット (27) を、実施例1で製造したと同じ容器に収容した状態を示す断面図である。実施例3で製造した加熱ユニット (27) を収容した携帯食品容器を用いて、実施例1と同じ試験を行い、同じ結果を得た。
【0110】
なお、加熱ユニット (27) を使用することにより、加熱機能付き携帯食品容器をセットする作業効率が格段に向上し、かつ工程数が少なくなるので、衛生面でも一層改善される。また、加熱ユニット (27) は、自己完結型の独立した製品であるので、それ自体の用途が拡大される。
【0111】
【発明の効果】
本発明は、加熱機能付き携帯食品用容器であって、容器本体と、容器本体を覆う蓋とから成り、容器本体に、粉体生石灰と粉体アルミニウムとを含む発熱剤パックと、発熱剤パックの上方に位置する食品トレーとを収容し、ティアーテープを容器本体を貫通して外側に延出さえ、その上部に食品トレーを収容し、かつ食品トレーの開口部又は容器本体の開口部を、水素随伴水蒸気と加熱臭を除去する吸湿材としての高吸水性樹脂、鉱物質多孔質構造体、およびこれらの任意の2種以上の混合物から成る群から選択されたものを他の母材に配合した複合材、または抗菌性フィルムで密閉してなることを特徴とする加熱機能付き携帯食品用容器なので、粉体生石灰と粉体アルミニウムとを水と反応させたとき、必然的に発生する水素を、それを随伴した余剰の水蒸気と一緒に吸着し、除去することができるので、駅弁、戦闘糧食、釣り、キャンプ等アウトドアースポーツ、大規模災害に備えた備蓄品としても安全に使用することができ、かつ、高熱の水蒸気によって食品が加熱された際に発生する臭気も吸着されるので、単に食欲を満たすだけではなく、嗜好的にも満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図3】 図2における水パックの底面図である。
【図4】 ゴム栓の斜視図である。
【図5】 水パックの異なる例を示す底面図である。
【図6】 水パックのさらに異なる例を示す底面図である。
【図7】 本発明の加熱ユニットを示す斜視図である。
【図8】 加熱ユニットを収容した本発明の加熱機能付き携帯食品容器の断面図である。
【符号の説明】
(1)加熱機能付き携帯食品容器
(2)容器本体
(2a)底壁
(2b)側壁
(3)蓋
(4)発熱剤パック
(4a)発熱剤
(5)食品トレー
(5a)側壁
(6)吸湿材トレー
(6a)底壁
(6b)透孔
(6c)側壁
(7)内向凹溝
(8)凹入孔
(9)外向フランジ
(10)吸湿材
(11)食品
(12)水パック
(12a)上片
(12b)下片
(13)水
(14)ヒートシール
(15)係止孔
(16)切込み線
(17)可撓片
(18)引張りひも
(18a)基端
(18b)先端
(18c)接着部
(19)通孔
(20)ゴム栓
(20a)切割線
(21)保持孔
(22)係止ピン
(23)切割線
(24)シール片
(24a)非接着部
(25)発熱トレー
(26)保護シート
(27)加熱ユニット

Claims (4)

  1. 加熱機能付き携帯食品用容器であって、容器本体と、容器本体を覆う蓋とから成り、
    容器本体に、粉体生石灰と粉体アルミニウムとを含む発熱剤パックと、発熱剤パックの上方に位置する食品トレーとを収容し、ティアーテープを容器本体を貫通して外側に延出さえ、その上部に食品トレーを収容し、かつ食品トレーの開口部又は容器本体の開口部を、水素随伴水蒸気と加熱臭を除去する吸湿材としての高吸水性樹脂、鉱物質多孔質構造体、およびこれらの任意の2種以上の混合物から成る群から選択されたものを他の母材に配合した複合材、または抗菌性フィルムで密閉してなることを特徴とする加熱機能付き携帯食品用容器。
  2. 吸湿材が、熱可塑性合成樹脂に高吸水性樹脂を混合して、発泡シート或いは発泡フィルムに成形したものである請求項1に記載の加熱機能付き携帯食品用容器。
  3. 吸湿材としての鉱物質多孔質構造体が、ゼオライトである請求項1に記載の加熱機能付き携帯食品用容器。
  4. 抗菌性フィルムが、銀、銅等金属イオン、有機抗菌剤、酸化物、光触媒系抗菌剤等各種抗菌剤を熱可塑性合成樹脂に練り込んで成形したもの、もしくはゼオライトに活性成分として銀を担持させた銀・亜鉛置換ゼオライトを熱可塑性合成樹脂に練り込んで成形したものである請求項1に記載の加熱機能付き携帯食品用容器。
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