JP3958142B2 - 床寄せ材及びその床寄せ材を用いた床材の敷設方法 - Google Patents

床寄せ材及びその床寄せ材を用いた床材の敷設方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等に畳やフローリング材等の床材を敷設するにあたって、床材と壁面との間に形成される隙間を閉塞するための床寄せ材及びその床寄せ材を用いた床材の敷設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅において、例えば床材として畳を敷設するにあたっては、建物の施工誤差等により畳の敷設領域の寸法が規格通りとならないのが通常であるため、個々の部屋毎に採寸してその寸法に合わせて畳を製作する現場合わせが必要となり、作業が煩雑となってコストアップの要因になっているばかりでなく、納期に対する対応も非常に困難であった。
【0003】
また、近年、畳の芯材として発泡樹脂ボード等の樹脂材が主に使用されているが、そのような畳は温度や湿度の変化等によって寸法変化を起こしやすく、しかも、部屋の構造材としての木材自体も、経年変化や温度及び湿度の変化等によって伸縮するため、例え畳の敷設領域を正確に採寸して畳を製作したとしても、壁面と畳との間に隙間が生じてしまうことがあるという問題点があった。
そしてこれらの問題点は、畳ばかりでなく、フローリング材など他の床材を敷設する場合においても同様にいえることである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、様々な要因によって生じる床材と壁面との間の隙間を容易に塞いで隠蔽することができると共に、床材を低コストにて敷設することが可能となる床寄せ材及びその床寄せ材を用いた床材の敷設方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る床寄せ材は、下地材上に敷設された床材の端面と壁面との間に形成される隙間を隠蔽するための床寄せ材であって、上記下地材上に立脚させるための脚部材と、該脚部材に対して結合させて上記隙間を閉塞するための閉塞部材とから構成され、上記脚部材は、上記隙間内において床材の端面に沿わせて配置するための胴部と、該胴部の上端部に、該胴部における上記床材の端面と対向させる一方の側面側に傾斜させ斜め上方に向けて設けられた第1係合部とを含み、その傾斜した第1係合部の下端部が、上記胴部における壁面と対向させる他方の側面側から突出し、該壁面に当接させるための凸部を形成しており、上記閉塞部材は、上記壁面に当接させるための可撓性を有する巾木片及び上記床材の上面に当接させるための鍔片からなる蓋部と、該蓋部の裏面から上記巾木片の先端側に傾斜させ斜め下方に向けて設けられた第2係合部とを含んでおり、上記脚部材の第1係合部に上記閉塞部材の第2係合部を係合させることにより、上記閉塞部材が上記脚部材に対して結合されることを特徴とするものである。
【0006】
このような本発明に係る床寄せ材によれば、縦横の寸法を一定の規格に統一して量産された床材を敷設して、建物の施工誤差等によって壁面との間に隙間が生じたとしても、壁際の下地材上に立脚された脚部材の第1係合部に対して、閉塞部材の第2係合部を床材側斜め上方から係合させることにより、容易に脚部材と閉塞部材とを結合させて上記隙間を塞いで隠蔽することができるため、床材の敷設施工が容易となり、床材を低コストにて敷設することが可能となる。そして、床材の敷設後に、経年変化や温度及び湿度の変化等によって建物の構造材や床材が伸縮し、上記隙間の幅が変化したとしても、該隙間を閉塞する蓋部が床材の上面に当接させるための鍔片と壁面に当接させるための可撓性の巾木片とを有しているため、上記隙間の変化を吸収することができ、しかも、壁際に埃等が集積するのを防止することもできる。更に、上記脚部材において、傾斜した上記第1係合部の下端部が、上記胴部における壁面と対向させる他方の側面側から突出し、該壁面に当接させるための凸部を形成しており、上記脚部材を下地材と壁面との2面で支持させて安定した状態で設置することができるため、閉塞部材の結合操作も容易となる。
【0007】
なお、上記床寄せ材において、上記脚部材及び上記閉塞部材が、それぞれ樹脂による一体成形によって形成されていると共に、脚部材と閉塞部材における鍔片及び第2係合部とが、上記巾木片よりも硬質の樹脂から形成され、該第2係合部が鍔片の裏面に設けられているとより好適である
【0008】
また、上記巾木片に、該巾木片を屈曲させるための凹溝が、巾木片の長さ方向に沿って延設されていると、床寄せ材を設置した際に、巾木片を略直角に屈曲させて壁面に当接させることができ、見栄えをより良くすることができる。
また、上記第1係合部及び第2係合部は、係合溝と、該係合溝に挿嵌して係合させるための係合片との組とすることも可能である
【0009】
更に、本発明に係る床寄せ材を用いた床材の敷設方法は、壁際の下地材上に脚部材を立脚させると共に、該下地材上に床材を敷設して、該脚部材の胴部を床材の端面と壁面との間に形成された隙間内に配置させ、脚部材の第1係合部に対して閉塞部材の第2係合部を床板側斜め上方から係合させて、脚部材と閉塞部材とを結合させることにより、閉塞部材の鍔片を床材の上面に当接させると同時に、可撓性の巾木片を壁面に沿わせて上方に曲がった状態で当接させて、上記隙間を閉塞することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図1から図3を用いて説明する。
本発明の実施例に係る床寄せ材1は、図1に示す脚部材10と、図2に示す閉塞部材30とから構成されており、図3に示すように、例えば畳やフローリング床等からなる床材50と壁面60との間に形成された隙間70に沿って上記脚部材10を設置すると共に、該脚部材10に対して上記閉塞部材30を結合させることにより、該隙間70を塞いで隠蔽できるようになっている。
【0011】
まず、上記脚部材10は、硬質樹脂(硬質塩化ビニル樹脂)によって一体成形されたもので、上記隙間70において床材50の端面52に沿って配置される胴部11と、該胴部11の上端部において、上記床材50の端面52と対向させる上記胴部11の一方の側面側に傾斜させ、斜め上方に向けて開口された係合溝12と、同じく胴部11の下端に設けられ、上記床材50が敷設される下地材80上に載置して該胴部11を立脚させるための平板状の脚部24とから構成されている。
【0012】
具体的に説明すると、上記胴部11は、間隔を置いて平行に配置された一対の細長い側板15,16を、その中間部において連結片17によって一体に連結して形成された中空材からなっている。
また、上記係合溝12は、内面側に複数の第1の係合爪18が奥方向に向かって並設された一対の側壁19,20と、その底面を形成する底壁21とからなっており、上記第1の係合爪18は、奥方向に向かって徐々に溝幅を縮小する傾斜面と急激に溝幅を拡大する垂直面とから形成され、係合溝12内において、該第1の係合爪18同士が互いに対向するように凸設されている。
更に、上記脚部24は、下地材80に固定すると共に、下地材80と床材50の下面53との間に挟持させるための固定片13と、脚片14とから構成されており、上記固定片13の上面には、タッカー等でステープルや釘等の固定部材90を打ち込むための目印として、その長さ方向に沿ってV字状の溝23が延設されている。
【0013】
そして、上記胴部11を形成する側板15,16のうち、床材50側に配置される側面を形成する一方の側板16の下端から、上記固定片13が略直角に突設されており、該側板16の上端には、上記係合溝12における一方の側壁20の開口縁が接続されている。一方、壁面60側に配置される側面を形成する他方の側板15は、上記一方の側板16よりも短く形成されており、その下端からは、上記脚片14が上記固定片13とは反対の方向に略直角に突設されており、その上端には、上記係合溝12における上記側壁20の底壁21側の端部が接続されている。
【0014】
そうすることにより、上記係合溝12は、上記胴部11の上端部において床材50側の斜め上方に向けて開口するように、上記側板15,16によって傾斜した状態に支持され、また同時に、傾斜した上記係合溝12の下端部、すなわち係合溝12の他方の側壁19及び底壁21によって形成された角部が、上記胴部11の他方の側板15から突出して凸部22を形成し、その先端が壁面70に当接するようになっている。その際、該凸部22が確実に壁面70に当接するように、該凸部22の突出高さを上記脚片14の突出高さ以上とするのが好ましい。このように、脚部材10は、脚部24及び凸部22が下地材80及び壁面60によってそれぞれ支持される構成を有していることから、隙間70内に安定的に設置することが可能となる。
【0015】
一方、閉塞部材30は、上記床材50の上面51に当接させるための鍔片31及び上記壁面60に当接させるための可撓性の巾木片32からなる蓋部33と、該蓋部33の裏面から突設された係合片34とから構成されており、上記脚部材10の係合溝12に上記係合片34を挿嵌して係合させることにより、上記閉塞部材30が脚部材10に対して結合されるようになっている。なお、上記鍔片31と巾木片32と係合片34とは、樹脂によって一体に成形されて上記閉塞部材30を形成している。
上記鍔片31は、脚部材10と同じ硬質樹脂からなる板状体で、その一端側が裏面側に湾曲しており、隙間70内に設置された脚部材10に結合させた際に、その先端部が床材50の上面51に当接するようになっている。
【0016】
また、上記巾木片32は、軟質樹脂(軟質塩化ビニル樹脂)からなる板状体で、上記鍔片31の他端に一体かつ面一に連設されている。そして、上記巾木片32の上記壁面60に当接させる裏面側であって、上記脚部材10と結合させた際に上記凸部22の先端のほぼ直上に位置する箇所には、凹溝35が長さ方向に沿って延設されており、巾木片32を該凹溝35で表面側に略直角に屈曲させて、該凹溝35よりも先端側に位置する部分の裏面を壁面60に当接させるようになっている。なお、該凹溝35は必ずしも設ける必要性はなく、単に上記巾木片32をその表面側に湾曲させて、その裏面を壁面60に対して当接させても良い。
【0017】
さらに、上記係合片34は、上記脚部材10及び鍔片31と同じ硬質樹脂からなっており、鍔片31の裏面側における上記巾木片32が連設された他端近傍から、上記巾木片32の先端側に傾斜させ斜め下方に向けて突設されている。そして、該係合片34の両面には、その先端に向かって上記第1の係合爪18に係合する複数の第2の係合爪36が並設されており、該第2の係合爪36は、係合片34の表面から急激に立ち上がって板厚を厚くする垂直面と、該係合片34の先端に向かって徐々に板厚を薄くする傾斜面とから形成され、係合片34の両面に、互いに背向するように凸設されている。
【0018】
そこで、このような構成を有する床寄せ材1を用いて床材50を敷設する方法について説明する。
まず、上記脚部材10を、床材50の敷設領域の壁際において、その脚部24を下地材80上に載置すると共に凸部22を壁面60に当接させて設置し、上記脚部24の脚板13の上面に設けられたV溝に沿って釘やステープル等の固定部材90を打ち込むことにより、下地材80上に固定する。
次に、床材50を下地材80上に敷設して、上記脚部材10の胴部11を、該床材50の端部52と壁面60との間に形成された隙間70内に配置させると共に、上記脚板13を、下地材80と床材50の下面53との間に挟持させる。
【0019】
そして、上記胴部11の上端部において、床材50側の斜め上方に向かって開口するように、傾斜させて設けられた係合溝12に対して、上記閉塞部材30の係合片34を位置決めし、その蓋部33の表面側を床材50側の斜め上方から押圧して、上記鍔片31が床材50の上面51に当接するまで係合片34を係合溝12に挿嵌する。そうすると、該係合溝12に凸設された第1の係合爪18と上記係合片に凸設された第2の係合爪36とが係合し、上記脚部材10に閉塞部材30が結合されて、該閉塞部材30によって上記隙間70が閉塞される。この時、上記可撓性の巾木片32は、上記凹溝35によって表面側すなわち壁面60に沿って上方に略直角に屈曲されて、その裏面が壁面60に当接している。なお、上記第1の係合爪18と第2の係合爪36とを係合させるにあたっては、床材50の厚さに応じて、係合させる爪の数を適宜変更すればよい。
【0020】
このように、本実施例に係る床寄せ材1及びその床寄せ材1を用いた床材50の敷設方法によれば、縦横の寸法を一定の規格に統一して量産された床材50を敷設した際に、建物の施工誤差等によって壁面60との間に隙間70が生じたとしても、その隙間70に脚部材10を下地材80及び壁面60の2面で支持させて固定設置すると共に、該脚部材10に床材50側の斜め上方から閉塞部材30を結合することにより、該閉塞部材30の蓋部33で容易に上記隙間70を塞いで隠蔽することができるため、床材50の敷設施工が容易となるばかりでなく、床材50を低コストにて敷設することが可能となる。
【0021】
そして、床材50の敷設後に、経年変化や温度及び湿度の変化等によって建物の構造材や床材50が伸縮し、上記隙間70の幅が変化したとしても、該隙間70を閉塞する蓋部33が、床材50の上面51に当接させる鍔片31と、壁面60に沿って上方に屈曲または湾曲させた状態で該壁面60に対して当接させる可撓性の巾木片32とを有しているため、上記隙間幅の変化を吸収することができ、しかも、壁際の埃等も容易に除去することができ、埃が壁際に集積するのを防止することもできる。
【0022】
なお、本実施例においては、脚部材10側に係合溝12を設け、閉塞部材30側にその係合溝12に挿嵌するための係合片34を設けたが、逆に、脚部材10に係合片34を、設け、閉塞部材30に係合溝12を設けても良いのは勿論である。
【0023】
【発明の効果】
以上において詳述した本発明によれば、縦横の寸法を一定の規格に統一して量産された床材を敷設して、建物の施工誤差等によって壁面との間に隙間が生じたとしても、壁際の下地材上に立脚された脚部材の第1係合部に対して、閉塞部材の第2係合部を床材側斜め上方から係合させることにより、容易に脚部材と閉塞部材とを結合させて上記隙間を塞いで隠蔽することができるため、床材の敷設施工が容易となり、床材を低コストにて敷設することが可能となる。そして、床材の敷設後に、経年変化や温度及び湿度の変化等によって建物の構造材や床材が伸縮し、上記隙間の幅が変化したとしても、該隙間を閉塞する蓋部が床材の上面に当接させるための鍔片と壁面に当接させるための可撓性の巾木片とを有しているため、上記隙間の変化を吸収することができ、しかも、壁際に埃等が集積するのを防止することもできる。更に、上記脚部材において、傾斜した上記第1係合部の下端部が、上記胴部における壁面と対向させる他方の側面側から突出し、該壁面に当接させるための凸部を形成しており、上記脚部材を下地材と壁面との2面で支持させて安定した状態で設置することができるため、閉塞部材の結合操作も容易となるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る床寄せ材を構成する脚部材の側面図である。
【図2】本発明に係る床寄せ材を構成する閉塞部材の側面図である。
【図3】本発明に係る床寄せ材を施工した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・・・・床寄せ材
10 ・・・・・・・脚部材
11 ・・・・・・・胴部
12 ・・・・・・・係合溝(第1係合部)
18 ・・・・・・・第1の係合爪
22 ・・・・・・・凸部
24 ・・・・・・・脚部
30 ・・・・・・・閉塞部材
31 ・・・・・・・鍔片
32 ・・・・・・・巾木片
33 ・・・・・・・蓋部
34 ・・・・・・・係合片(第2係合部)
35 ・・・・・・・凹溝
36 ・・・・・・・第2の係合爪
50 ・・・・・・・床材
51 ・・・・・・・床材の上面
52 ・・・・・・・床材の端面
53 ・・・・・・・床材の下面
60 ・・・・・・・壁面
70 ・・・・・・・隙間
80 ・・・・・・・下地材

Claims (5)

  1. 下地材上に敷設された床材の端面と壁面との間に形成される隙間を隠蔽するための床寄せ材であって、
    上記下地材上に立脚させるための脚部材と、該脚部材に対して結合させて上記隙間を閉塞するための閉塞部材とから構成され、
    上記脚部材は、上記隙間内において床材の端面に沿わせて配置するための胴部と、該胴部の上端部に、該胴部における上記床材の端面と対向させる一方の側面側に傾斜させ斜め上方に向けて設けられた第1係合部とを含み、
    その傾斜した第1係合部の下端部が、上記胴部における壁面と対向させる他方の側面側から突出し、該壁面に当接させるための凸部を形成しており、
    上記閉塞部材は、上記壁面に当接させるための可撓性を有する巾木片及び上記床材の上面に当接させるための鍔片からなる蓋部と、該蓋部の裏面から上記巾木片の先端側に傾斜させ斜め下方に向けて設けられた第2係合部とを含んでおり、
    上記脚部材の第1係合部に上記閉塞部材の第2係合部を係合させることにより、上記閉塞部材が上記脚部材に対して結合されることを特徴とする床寄せ材。
  2. 請求項1に記載された床寄せ材において、上記脚部材及び上記閉塞部材は、それぞれ樹脂による一体成形によって形成されていると共に、該脚部材と該閉塞部材における鍔片及び第2係合部とは、上記巾木片よりも硬質の樹脂から形成されており、該第2係合部が該鍔片の裏面に設けられていることを特徴とする床寄せ材。
  3. 請求項1及び請求項2の何れかに記載された床寄せ材において、上記巾木片には、該巾木片を屈曲させるための凹溝が、巾木片の長さ方向に沿って延設されていることを特徴とする床寄せ材。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載された床寄せ材において、上記第1係合部及び第2係合部は、係合溝と、該係合溝に挿嵌して係合させるための係合片との組であることを特徴とする床寄せ材。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載された床寄せ材を用いた床材の敷設方法であって、
    壁際の下地材上に脚部材を立脚させると共に、該下地材上に床材を敷設して、該脚部材の胴部を床材の端面と壁面との間に形成された隙間内に配置させ、
    脚部材の第1係合部に対して閉塞部材の第2係合部を床板側斜め上方から係合させて、脚部材と閉塞部材とを結合させることにより、
    閉塞部材の鍔片を床材の上面に当接させると同時に、可撓性の巾木片を壁面に沿わせて上方に曲がった状態で当接させて、上記隙間を閉塞することを特徴とする床材の敷設方法。
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