JP3957582B2 - スポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度pc鋼棒およびその製造方法 - Google Patents

スポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度pc鋼棒およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はPCポール、PCパイル等のプレストレストコンクリート構造物の補強用鋼材として用いられるPC鋼棒に関わるものであり、特にスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた引張強さが1420MPa以上を有する高強度PC鋼棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PC鋼棒はコンクリートパイル、ポールおよび橋梁、建築等のプレストレストコンクリート構造物の補強用鋼材として広く使用されている。このようなPC鋼棒はJIS G 3109「PC鋼棒」およびJIS G 3137「細径異形PC鋼棒」にて引張強さ、耐力、伸び、リラクセーション値が規格化されており、高強度PC鋼棒としては、引張強さが1420MPa以上のD種規格製品まで製造されている。
【0003】
一般にPC鋼棒は焼入、焼戻による熱処理を行うことにより製造され、特に細径異形PC鋼棒はC含有量が0.2%〜0.4%の中炭素鋼を素材としているために溶接が可能であるという特徴がある。
【0004】
PC鋼棒はコンクリート製品にプレストレスト力を与えるために常に引張応力が作用しており、プレストレストコンクリート構造物中の高強度PC鋼棒は長期間の使用中に、コンクリートのひび割れ部等から水分が侵入し、局部的な腐食の発生に伴い、鋼中に水素が侵入し、遅れ破壊を引き起こすことがある。このために高強度化と伴に、耐遅れ破壊特性が要求される。
【0005】
PC鋼棒は、コンクリート打設前に所定の形状に溶接固定され、所定の形状の鉄筋かごを形成する。コンクリートポールやパイルの場合は、緊張力を負荷する主筋のPC鋼棒の周りに鉄線をらせん状にスポット溶接により固定される。このスポット溶接部は加熱後直ちに急冷されるために強度の高いマルテンサイト組織となり、遅れ破壊感受性が著しく高くなる。このためにPC鋼棒は鋼材そのものの遅れ破壊特性改善と共にスポット溶接部での遅れ破壊特性にも優れていることが求められている。
【0006】
PC鋼棒の遅れ破壊特性改善に関しては従来から種々の提案がなされてはいるものの製造コストと特性を十分に満足すべき技術は確立されていないのが実情である。
【0007】
従来の遅れ破壊特性改善技術としては、例えば特公平5−59967号公報に記載されているように結晶粒界に偏析し易いP、Sの不純物元素を低減する提案がある。しかし、P、Sの不純物元素低減のためには精錬工程で、処理プロセスを追加する必要があり、コストの増加を招く問題がある。
【0008】
また、特開平6−212346号公報にはNiを0.25〜0.8%添加し、PC鋼棒のスポット溶接部の遅れ破壊特性を改善する技術が提案されている。しかし、合金元素として高価なNiを添加するためにコストが増加する課題があり必ずしも満足できるものではない。
【0009】
さらに、特開平5−7963号公報にはPC鋼棒と鉄線のスポット溶接部周辺を樹脂の被覆層で被覆し、腐食環境と鋼材の接触を防止し、遅れ破壊の発生を防止する方法が提案されている。しかし、この樹脂による被覆を行っても樹脂部分が損傷を受け、鉄部分が露出した場合には鋼材の腐食を防止することはできず、樹脂被覆工程の追加によるコスト増加を招くのみであり、製造コストに見合う効果が得られないという問題がある。
【0010】
このように従来の技術では高強度PC鋼棒の母材およびスポット溶接部の遅れ破壊をコスト増加を伴わないで抜本的に改善するには限界があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記実状に鑑み、大幅なコストアップを抑制しつつ、表層近傍の組織形態を適正に制御すると伴に熱影響部の靱性を高める適正成分とすることでスポット溶接部の遅れ破壊特性を大幅に改善した引張強さ1420MPa以上の高強度PC鋼棒を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
一般に、遅れ破壊は鋼材の存在する外部環境等により鋼材中に水素が侵入し、旧オーステナイト(以下γと記す)結晶粒界に集積することにより粒界を脆化することが原因の一つと考えられている。特に、鋼材中を自由に拡散しうる水素が遅れ破壊を引き起こすと推定されている。この結果、遅れ破壊はγ粒界から破壊する特徴があり、γ粒界強化や、細粒化が遅れ破壊対策として採用されている。
【0013】
鋼材中の水素量は鋼材を一定の昇温速度で加熱した時に放出される水素の量を測定することにより同定できる。測定の一例を図1に示す。図1のように100℃前後に水素放出ピークを有し、300℃以下の温度範囲のハッチング部分の面積から拡散性水素量を求めることができる。
【0014】
本発明者らはスポット溶接されたPC鋼棒の遅れ破壊による亀裂の発生と進展状況について詳細に解析した結果、オーステナイト温度域まで加熱され、急冷された熱影響部(以下HAZと記す)のマルテンサイト組織部分はビッカース硬度で600以上と高く、遅れ破壊感受性が非常に高い組織、強度レベルであるためにわずかの水素侵入により容易にγ粒の結晶粒界に沿って亀裂が発生する。しかし、この亀裂はHAZと母材境界で一旦停留し、さらに時間の経過に伴いより多くの水素が鋼材中に侵入すると、HAZと母材境界を越えて母材内に亀裂が進展し、ついには破断に至ることがわかった。
【0015】
しかし、遅れ破壊破断に至らない場合でも、HAZマルテンサイト部分には多数の亀裂が発生し、母材との境界で停止していことから、スポット溶接材の遅れ破壊で破断に至るか否かはHAZ境界での亀裂進展を抑制可能かどうかが重要なポイントであることもわかった。このHAZから母材までの硬度分布を測定した結果の一例を図2に示す。この硬度分布から明らかなようにHAZと母材境界の亀裂先端部分に相当する位置で著しく低い、軟化層が存在する。この軟化層部分の靱性を改善することにより亀裂の進展を抑制することが可能となることからスポット溶接部の遅れ破壊特性の改善には軟化層硬度の低減が重要であるとの結論に達した。
【0016】
一方、わずかの侵入水素によりHAZマルテンサイト部分に発生した亀裂は必ずしも鋼材の長手方向に垂直な亀裂のみではなく、半円弧状のHAZ部では鋼材の長手方向と平行方向へも亀裂が発生する。この結果、HAZ軟化層を越えて母材まで亀裂先端が達した場合は、γ粒を伸張化していてもγ粒界に沿って亀裂が進展するために必ずしもγ粒を長手方向に伸張化させたのみではスポット溶接部に発生した亀裂の進展を抑制するには十分ではないことも明らかとなった。
【0017】
これらの亀裂の発生、進展状況の解析結果から鋼材の成分、特にSiとMnを適正化し、HAZマルテンサイト部分に発生した亀裂の母材への進展を抑制するためのHAZと母材間に存在する軟化層の靱性改善と、スポット溶接部に発生した亀裂の母材内での進展を抑制するためのオーステナイト粒の伸張化を組み合わせることにより大幅にPC鋼棒のスポット溶接部の遅れ破壊特性を改善できることを知見した。
【0018】
伸張度の大きいγ粒を得る方法としては一般には未再結晶域温度での加工を行うが、実製造ラインでは加工によって形成された伸張粒がそのままの形態で存在せず、再結晶により伸張粒が等軸粒化する現象がおきる。このためにγ粒伸張度が低下する。そこで本発明では加工により形成されたγ粒の伸張度とγ粒度の関係を解析した結果から、伸張γの再結晶を抑制し、最も伸張度の大きいγ粒が得られる条件を明らかにした。さらに、γ粒の粗大化により焼入後のマルテンサイト組織は粗くなり、マルテンサイトラス、ブロック、パケットも粗大化するために結晶粒界が少なくなり、水素の集積する水素のトラップサイトが減少する結果、鋼中に侵入する水素量が少なくなり遅れ破壊特性を改善できることも知見し、最適な組織、形態を明らかにし、その組織に制御することにより本発明を完成させるに至ったものである。
【0019】
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであって、その要旨とするところは、次の通りである。
【0020】
質量%で、
C:0.2〜0.4%、
Si:0.1〜0.3%、
Mn:0.2〜0.5%、
Al:0.01〜0.06%、
かつSi+Mn:0.4〜0.7%
を基本成分とし、残部が鉄および不可避的不純物からなり、スポット溶接熱影響部の最大深さをhとした時、表面から1.5×hまでの深さ領域の溶接熱影響部以外の部分の旧オーステナイト粒度番号が7以上9未満で、かつ旧オーステナイト粒の鋼材長手方向の長さとそれに直交する厚さの比率(アスペクト比)が2.5以上の伸張粒からなり、溶接熱影響部のマルテンサイト組織部分と母材との境界部の軟化層の最低硬度値がビッカース硬度で250以上350未満で、引張強さが1420MPa以上であることを特徴とする焼入焼戻し処理されたスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒である。
好ましくは、さらに質量%で
Ti:0.01〜0.10%
Mo:0.05〜1.0%
B:0.0007〜0.005%
の1種以上を含み残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とするスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒である。
【0021】
また、本発明のPC鋼棒は焼入焼戻し処理においてAc3変態温度+50〜200℃の範囲に加熱後、未再結晶温度域で減面率25%以上75%以下の熱間加工を行い、最終加工後0.5秒以内に臨界冷却速度以上の冷却速度でMf点以下の温度まで冷却し、引き続き加熱速度100℃/秒以上の加熱速度でAr1変態温度未満の温度に焼戻し、引張強さを1420MPa以上に調質することにより製造することができる。
【0022】
本発明のPC鋼棒製造時の焼入加熱方法は特に限定はされず高周波誘導加熱、直接通電、バーナーあるいは電気ヒーター等による炉加熱のいずれの手段も適用可能であるがインラインで連続かつ高生産性で製造するためには短時間加熱が可能な高周波あるいは直接通電加熱の適用が好ましい。
【0023】
焼戻加熱は加熱速度を100℃/s以上の急速加熱とすることから高周波誘導加熱が最も好ましい加熱方法である。
【0024】
旧γ粒伸長化のための熱間での加工は2ロール、3ロール、4ロール等による圧延、あるいはローラーダイス等も適用可能で、本発明の組織形態が得られれば加工の手段は特に限定されない。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。まず、HAZ硬度の限定理由について述べる。なお遅れ破壊特性は濃度20%のNH4SCN水溶液を温度50℃に保持した溶液中に試験材を浸漬し、一定荷重を負荷して破断するまでの時間で評価した(以下FIP試験と記す)。
【0026】
HAZ〜母材軟化層硬度:
スポット溶接部HAZと母材境界のHAZ軟化層硬度の異なる素材のFIP遅れ破壊試験を行った結果を図3に示す。この図から明らかなようにHAZ軟化層硬度の低下に伴い遅れ破壊破断時間は長くなり、遅れ破壊特性の改善が認められる。軟化層硬度の低下はHAZ靱性を改善し、HAZマルテンサイト部分に発生した亀裂が母材へ進展することを抑制したためと推定される。軟化層硬度はスポット溶接条件一定のもとでは鋼材成分により制御でき、C、Si、Mnを低減することにより低くできる。しかし、これらの成分を低減し、軟化層硬度を低くすると遅れ破壊による亀裂の進展は抑制できるが鋼材強度が低下化し、1420MPa以上の引張強さが確保できないことから軟化層のビッカース硬度として本発明では250を下限とした。一方、軟化層のビッカース硬度が350以上では遅れ破壊でHAZマルテンサイト部分に発生した亀裂を抑制する効果が無くなることから軟化層のビッカース硬度を350未満とした。
【0027】
γ伸張度:
HAZ軟化層硬度をビッカース硬度で250以上、350未満に制御したとしても時間の経過と伴に鋼中へ水素が侵入するためにHAZマルテンサイト部分に発生した亀裂は軟化層部分を進展し、母材まで達する。このとき、母材での旧γ粒界での破壊を抑制し、亀裂の進展を抑制するためにγ粒を伸張化させ亀裂の進展をγ粒界から粒内に移行させることが遅れ破壊特性改善手段として有効である。γ伸張度とスポット溶接部のFIP遅れ破壊破断時間との関係を調査した結果を解析した結果を図4に示す。この結果から、γ粒アスペクト比(鋼材長手方向の長さとこれに直交する厚さの比)が2.5以上で大幅な遅れ破壊破断時間の改善となることから本発明ではγ粒のアスペクト比を2.5以上とした。γ伸張度の上限は特に制限はされないが加工コストを考慮すると4程度が実用的な範囲である。
【0028】
γ粒度:
熱間加工によるγ粒の伸張化加工を行った場合、加工から焼入までは一定の時間がかかるために、この間に部分的には再結晶によるγ粒の伸張度低下は避けられない。γ粒の再結晶は細粒ほど、また高温ほど進行しやすいことから本発明ではγ粒度とγ粒伸張度の関係を解析し、図5に示すようにある一定のγ粒度で最も伸張度が大きくなり、γ粒は細粒でも、粗粒でもγ伸張度が低下することを知見した。この結果、本発明では細粒によるγ粒成長抑制の観点から細粒限界のγ粒度番号を9未満とし、高温加熱によるγ粒の再結晶限界から粗粒γ粒度番号を7以上とした。
【0029】
しかし、伸張γ組織は必ずしも鋼材中心部まで完全に形成する必要はなく、スポット溶接部先端の亀裂の進展を抑制できれば遅れ破壊特性改善効果は十分に得られる。図6にスポット溶接部の断面を模式的に示す。スポット溶接部の最大HAZ深さhとした場合、1.5×hの深さ領域までのγ粒アスペクト比が2.5以上であれば亀裂がγ粒界を進展する粒界破壊を抑制でき、遅れ破壊特性を改善できることから本発明ではスポット溶接部のHAZの深さの1.5倍までの領域のγ粒組織形態のみを限定するものである。
【0030】
一方、図7のTEM写真に示すように粗粒γから焼入れた本発明の組織は比較例に比べマルテンサイトブロックの幅が広く、マルテンサイトラスも大きくなっている。この結果、γ粒界以外の水素集積サイトと考えられるマルテンサイトブロックおよびマルテンサイトラス境界が減少するためにFIP環境で鋼中へ侵入する水素量も減少する。図8に本発明の粗粒γと低温急速加熱による比較例の細粒γ組織でのFIP環境での鋼中拡散性水素侵入特性を示す。この結果から、明らかに粗粒γでは水素侵入速度、侵入水素量とも減少し、本発明のγ粒度範囲に制御することで水素侵入抑制効果が得られ、遅れ破壊特性の改善が達成されるものである。
【0031】
次に成分の限定理由について述べる。
【0032】
C:
Cは著しく焼入性を高める元素であり、焼入焼戻により強度調整が行われる。本発明のPC鋼棒の目標強度である1420MPaを得るために焼入強度を高める必要があり、C量が0.2%未満では目標の強度が得られないことから0.2%を下限とした。一方、0.4%を越えて添加するとスポット溶接性が低下し、HAZ軟化層のビッカース硬度が350以上となり、遅れ破壊特性が悪化することから0.4%を上限とした。
【0033】
Si:
Siは脱酸元素として添加されるがPC鋼棒の特性に対してはリラクセーション特性を改善するとともに固溶強化による強度改善効果がある。Si量が0.1%未満ではリラクセーション特性が悪化すると共に本発明の高強度を確保することが困難となることから0.1%を下限とした。一方、0.3%を越えて添加するとスポット溶接性部のHAZ軟化層のビッカース硬度が350を以上と硬くなり、HAZ靱性を著しく低下させ、遅れ破壊特性を悪化させることから0.3%を上限とした。
【0034】
Mn:
Mnも脱酸、脱硫元素として添加され、必須の元素であり、PC鋼棒の焼入れ性を高める作用がある。しかし、Mn量が0.2%未満では焼入性改善効果が得られず、目標強度を確保できないために0.2%を下限とした。一方、0.5%を越えて添加するとスポット溶接性部のHAZ軟化層のビッカース硬度が350以上となり、HAZ靱性を著しく低下させ、遅れ破壊特性を悪化させることから0.5%を上限とした。
【0035】
特に本発明のスポット溶接部のHAZ軟化層硬度を制御するためにはSi+Mnの総量を限定することが重要である。焼入特性を確保し、1420MPa以上の高強度を得るためには0.4%以上が必要であり、0.7%を越えて添加するとHAZ軟化層硬度がビッカース硬度で350以上となり、スポット溶接部の遅れ破壊特性を悪化させるために本発明ではSi+Mn量を0.4〜0.7%に限定した。
【0036】
Ti:Tiも脱酸成分であると共にTiの炭窒化物を形成しγ粒の粒成長および再結晶を抑制すると共にNを固定する効果を有している。また、スポット溶接性を改善する効果もあるが、0.005%未満ではこれらの効果が得られず一方、0.05%を越えて添加しても効果が飽和することから0.005〜0.05%とした。
【0037】
Mo:Moは焼戻し軟化抵抗を高め、熱処理材の強度を高めるために有効な元素であるとともにリラクセーション特性の改善効果も有している。しかし、0.05%未満ではその改善効果は少なく一方、1.0%を越える添加量では効果が飽和し、添加量に見合う効果が得られないことから0.05〜1.0%とした。
【0038】
Al:Alは脱酸成分として添加されるが、AlNとして窒化物としても析出し、γ粒の粒成長を抑制する効果がある。0.01%以下の添加量では上記脱酸効果が無く、0.1%を越えて添加すると介在物あるいは粗大析出物として析出し、清浄度を悪化させ、鋼材を脆化するとともにγ粒の粒成長抑制効果が得られないために0.01〜0.1%とした。
【0039】
B:Bはγ粒界に偏析することにより焼入性を著しく高める効果があると共に未再結晶温度域を高温側に移行させる効果も有しており、伸張γ粒を得やすくする効果がある。しかし、添加量が0.0005%未満では前記効果が得られず一方、0.005%を越えて添加しても効果が飽和することから0.0005〜0.005%に制限した。
【0040】
P,Sについては特に限定はしないがPC鋼棒の遅れ破壊特性を改善する観点からそれぞれ0.015%以下、好ましくは0.01%以下が好適な成分範囲である。なお、本発明のPC鋼棒の成分は強度、溶接性を阻害しない限り、他の合金元素の添加を排除するものではないが、コスト増加につながる合金成分の添加は不必要である。
【0041】
次に本発明のPC鋼棒の製造方法の限定理由について説明する。
【0042】
加熱温度:
加熱温度はγ粒の形態制御に大きく影響し、加熱温度が低い場合は細粒γが得られ易く、変態が促進され容易に粒界フェライトが生成し、強度低下となるとともに熱間加工時に容易に粒成長し、伸張γ粒から等軸γ粒となり易い。このために十分な遅れ破壊特性改善効果が得られないことから加熱温度の下限をAc3+50℃とした。一方、高温加熱した場合はγ粒は粗粒となるものの加工温度も高くなるために容易にγ粒が再結晶し、伸張γが得難いことからAc3+200℃を上限加熱温度とした。この加熱温度の制御により本発明のγ粒度番号の7〜9番のγ粒とするものである。
【0043】
加工度:
加熱温度をAc3+50〜200℃の加熱温度のγ粒度番号7〜9として加工によりγ粒のアスペクト比を2.5以上とするためには少なくとも25%以上の減面率で加工する必要があることから加工減面率の下限を25%とした。加工減面率の上限は特に限定はしないものの75%程度が実用的な上限である。
【0044】
加工後焼入までの時間:
加工時の動的再結晶は防ぐことができないが加工後の静的再結晶によるγ伸張度の低下を抑制するためにMf点までの時間を極力短時間で行うことでγ粒の再結晶を抑制する。最終加工後0.5秒を過ぎるとγ粒の再結晶によりγ粒アスペクト比を2.5以上とすることができなくなるために最終の仕上げ圧延後0.5秒以内に臨界冷却速度以上で冷却し、マルテンサイト変態を終了させるものである。
【0045】
焼戻し加熱速度:
焼戻し加熱速度は速いほど粒界炭化物を微細かつ均一に生成し、γ粒界への析出を抑制し、粒界の脆化を防止可能である。加熱速度が100℃/秒未満では粒界炭化物を微細かつ均一に析出することができず、遅れ破壊特性が悪化するために焼戻し加熱速度を100℃/秒以上に限定した。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果を更に具体的に説明する。
【0047】
表1に示した本発明成分範囲鋼A〜F、比較鋼H〜Nを供試鋼として本発明の組織を得るためにAc3点〜Ac3+250℃の温度範囲に加熱した後、総減面率20%〜70%の加工度で熱間圧延を行ない、γ域から水冷により急冷してマルテンサイト単相組織とし、γ粒度、γ粒伸張度の異なる組織とし、引き続き300〜600℃の温度範囲に加熱して焼戻し、引張強さを1450MPa前後に調整した。加熱は焼入、焼戻しとも高周波誘導加熱で行い、圧延は3ロール圧延を行ったが本発明の組織形態が得られる方法であれば焼入加熱および加工手段は特に限定されるものではないことは明らかである。
【0048】
比較例のPC鋼棒は表2に示す減面率0%で、加工を全く行わずQT処理のみで引張強さを1450MPa程度に調整したものである。
【0049】
PC鋼棒の各種特性の評価は全て7.1mmの線径で行った。
【0050】
スポット溶接は3.2mmのSWRM8の鉄線をPC鋼棒に直交させ、電流3000A、通電時間0.04s、加圧力410Nで行った。
【0051】
遅れ破壊試験は濃度20%の50℃に加熱したNH4SCN溶液に鉄線を取り除いた後のスポット溶接部がFIP溶液に浸漬するようにセットし、引張強さの70%の定荷重を負荷して破断までの時間を求めた。
【0052】
リラクセーション試験はコンクリート打設後の蒸気養生条件を想定し、1420MPaの規格引張強さの70%の荷重を負荷し、常温から2hで75℃に昇温し、75℃で5h保持した後、炉冷を行い、23h後の荷重変化量を初期負荷荷重に対する減少%で示した。
【0053】
γ粒度NO.およびγ粒伸張度はL断面のγ粒組織写真から長手方向とそれに直角な線分を引き、JIS G 0552に示す切断法から粒度番号を求めるとともに、長手方向に引いた線分で切断した粒数から平均長さと厚さ方向の線分で切断した平均厚さとの比からアスペクト比を求めた。
【0054】
HAZ軟化層硬度はHAZと母材境界層部分をミクロビッカース硬度計で荷重300gの条件で15秒保持して測定した。HAZ境界部分を数点硬度測定して最も低い値をHAZ軟化層硬度とした。
【0055】
評価結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003957582
【0057】
【表2】
Figure 0003957582
【0058】
No.1〜9のPC鋼棒は本発明の成分範囲の供試鋼A〜Fを用いてγ粒度番号を7〜9の範囲に調整し、減面率25%以上の加工を行いγ粒のアスペクト比を2.5以上としたものである。また、スポット溶接部のHAZ軟化層硬度はビッカース硬度で350未満であり、引張強さも1420MPa以上に調整した。このPC鋼棒のスポット溶接部の遅れ破壊破断時間はほぼ全てが40時間以上であり、比較例10の鋼種Aで加工を行わないQT材でγ粒が細粒でアスペクト比がほぼ1のものに比べ著しい破断時間の改善が認められる。また、Niを0.7%添加した鋼種Nを用い、加工を行わないNo.21のQT材に比べても同等以上の遅れ破壊破断時間を示した。さらに、本発明のPC鋼棒の蒸気養生条件でのリラクセーション値は比較例10および21のQT材と同等以上の特性を有している。
【0059】
これに対してNo.11〜12は本発明の範囲のA鋼で、HAZ軟化層硬度は350以下であるがNo.11は加熱温度が低いためにγ粒が成長せず微細となり、粒成長し易い。一方、No.12は逆に加熱温度が高く、粗粒γとなっているものの加工温度も高温であるために加工後に容易に粒成長した。このように加工条件が不適切なNo.11および12はγ粒度番号が本発明の範囲外となり、γ粒アスペクト比が小さいためにスポット溶接部の遅れ破壊特性の改善が認められない例である。No.13は加工減面率が小さいためにγ粒のアスペクト比が小さく、この場合もスポット溶接部の遅れ破壊特性の改善は認められない。
【0060】
No.14はCが本発明の範囲の下限を切る成分のG鋼であり、加工条件を制御しても目標強度である1420MPaまでには到達せす、強度の低下により大幅にリラクセーション値が悪化し、遅れ破壊特性の改善も認められなかった例である。No.15は逆にC量が本発明の上限を越えたH鋼であり、スポット溶接部HAZ軟化層硬度がビッカース硬度で350以上となり、γ粒は伸長化しているもののスポット溶接部の遅れ破壊試験の結果は著しく短時間で破断した例である。
【0061】
No.16はSiが本発明の下限未満のI鋼であり、硬度が1420MPaに達していないとともに、Si量が少ないためにリラクセーション値が悪化した例である。No.17は逆にSi量が本発明の上限を越えたJ鋼であり、スポット溶接部HAZ軟化層硬度がビッカース硬度で350以上となり、遅れ破壊破断時間が著しく短時間となった例である。
【0062】
No.18はMnが本発明の下限未満のK鋼で、引張強さは1420MPa以上に調整できたものの、Mn低減に伴い変態温度が高温にシフトするために焼入温度を高温としたことにより高温での圧延時に再結晶によりγ粒が細粒となり、十分な伸張γ粒が得られなかった。この結果、スポット溶接部の遅れ破壊破断時間が短くなった例である。No.19は逆にMn量が本発明の上限を越えたL鋼で、低温加熱により細粒γとなり、本発明のγ伸張度が得られていないばかりかHAZ軟化層硬度も350を越えているために遅れ破壊破断時間が著しく短い例である。No.20はC,Si、Mn単独成分では本発明の範囲内であるが、Si+Mnが本発明の下限未満のM鋼で、引張強さが1420MPaに到達せず、γ伸張度も小さいために遅れ破壊破断時間の改善が認められない例である。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、C、Si、Mn量を適正範囲に制御することによりHAZ軟化層硬度をビッカース硬度で250以上、350未満とし、さらにγ粒度を7〜9番に制御することによりγ粒アスペクト比を2.5以上の伸張粒とした本発明のPC鋼棒のスポット溶接部の遅れ破壊特性は、1420MPa以上の引張強さを有する高強度でありながら従来の熱処理材に比べ著しく改善されると伴に合金元素を添加した成分鋼種と同等以上の性能を有する。このように本発明のスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れたPC鋼棒は高価な合金添加や、複雑な処理を行うことなく、低コストで高性能なPC鋼棒を提供できることからコンクリート構造物の補強筋として使用することにより補強筋の遅れ破壊に伴うコンクリート構造物の破壊を防止することが可能となるため、産業上の効果は極めて顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中水素の水素放出特性の例
【図2】スポット溶接HAZ〜母材の硬度分布の例
【図3】HAZ軟化層硬度とスポット溶接部のFIP遅れ破壊破断時間の関係
【図4】γ粒アスペクト比とスポット溶接部のFIP遅れ破壊破断時間の関係
【図5】γ粒度番号とγ伸張度の関係
【図6】スポット溶接部のHAZ深さと伸張γ粒領域の模式図
【図7】本発明と比較例のTEM写真
【図8】FIP試験環境での鋼中への侵入水素特性の図

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.2〜0.4%、
    Si:0.1〜0.3%、
    Mn:0.2〜0.5%、
    Al:0.01〜0.06%、
    かつSi+Mn:0.4〜0.7%
    を基本成分とし、残部が鉄および不可避的不純物からなり、鋼材表面のスポット溶接熱影響部最大深さをhとした時、表面から1.5×hまでの深さ領域の溶接熱影響部以外の旧オーステナイト粒度番号が7以上9未満で、かつ旧オーステナイト粒の鋼材長手方向長さとそれに直交する厚さの比率(アスペクト比)が2.5以上の伸張粒からなり、溶接熱影響部のマルテンサイト組織部分と母材との境界部の軟化層の最低硬度値がビッカース硬度で250以上350未満で、引張強さ1420MPa以上であることを特徴とする焼入焼戻し処理されたスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒。
  2. 請求項1の基本成分に加えて質量%で
    Ti:0.01〜0.10%、
    Mo:0.05〜1.0%、
    B:0.0005〜0.01%
    の1種以上を含み残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒。
  3. 請求項1または2に記載のPC鋼棒の焼入焼戻し処理においてAc3変態温度+50〜200℃の範囲に加熱後、未再結晶温度域で減面率25%以上75%以下の熱間加工を行い、最終加工後0.5秒以内に臨界冷却速度以上の冷却速度でMf点以下の温度まで冷却し、引き続き加熱速度100℃/秒以上の加熱速度でAr1変態温度未満の温度に焼戻し、引張強さを1420MPa以上に調質することを特徴とするスポット溶接部の遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒の製造方法。
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