JP3955141B2 - 積雪および落石用防護ネット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、請求項1の上位概念による積雪および落石用防護ネットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤロープ製のネットを有するシステムと共に、雪崩の誘発を防止するために、大量の積雪を雪崩の発生地域において静力学的に受け止める、雪崩を阻止するための多数の実施形態が、すでに公知になっている。それ故、例えば山腹に支柱で支えられ、且つこれに取り付けられた水平または垂直の格子状の角材およびいわゆるスノーレーキまたはスノーブリッジで形成される、トラスを備えたレーキ状の遮断施設は公知である。これらの方式は、すべて静的な機能と共に、雪の滑降や落石の場合の動的な力も受容しなければならない。
【0003】
スノーブリッジおよびスノーレーキの場合には、格子の内部の角材間の距離、それ故内法は、およそ30ー50cmである。他方において、ワイヤロープ製防護ネットの網目寸法は、ほぼ20ー30cmである。これらの相対的に大きな寸法は、雪がこれらの中間的空間を通過して降ることが出来るために必要なものである。スノーブリッジや、スノーレーキおよび大きな網目を備えたワイヤロープの防護ネットは、動的な負荷を受ける場合には、多くの場合、不十分な積雪保持能力しか持っていない。
【0004】
格子やネットの構造は、雪が滑り落ちる場合や滑降する場合に雪が保持平面にのし上がる際に、運動の過程にある大量の積雪の運動の減衰およびエネルギーの減衰を行う使命を持っている。
【0005】
防護ネットの場合には、乾燥雪或いは湿潤雪のような、さまざまな種類の雪の通過性が、運動、エネルギーおよび容積との関連で、捕捉ネットの網目寸法に大いに依存することは明らかである。網目寸法が減少するに連れて、雪を保持する能力は、たいていの種類の雪については上昇する。しかし、網目の細かいワイヤロープ製のネットの製造は、一方においては製造技術的な理由から、従来の大きな網目のワイヤロープ製のネットに関してもそうであるように、同一のワイヤロープ直径の選定をするに際して制約があり、加えて小さな網目のワイヤロープ製のネットは更に可成りに重いものとなり、且つまたワイヤロープの消費が大きいために、同じく高価になる。山岳地帯で使用する場合には、輸送および設置の理由から、この種の捕捉ネットの重量には、著しい重要性がある。何故ならば、このような捕捉用ネットは、車の通らない地域の接近するのが困難な場所で、何回もヘリコプターを投入して据え付けなければならないからである。他方において、このような捕捉用ネットの、否応なしに要求される強度と荷重受容能力に対する直径の小さなワイヤロープの使用は、いずれも失敗に終わっている。
【0006】
小さな網目のワイヤネットによる大きな網目のネットの全面的な被覆は、不利である。何故ならば、これによって、雪の通過が阻害されるからである。遮断施設の下部における雪の不足は、遮断施設の潜在的な亀裂線を誘発することがあり得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によって解決すべき課題は、在来の大きな網目の捕捉用ネットと比較して、作用メートル当たりの重量をわずかに高めるだけで、且つまた降雪の際の十分な通過性を持たせることによって、改善された積雪保持能力を有する積雪および落石用の捕捉ネットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題は、請求項1の特徴部によって解決される。
【0009】
大きな網目のワイヤロープ製ネットの個々の区画に、これを覆い隠す小さな網目のワイヤネットを取り付けることによって、本質的に改善された積雪保持能力が達成されることは明らかである。その場合、大きな網目のワイヤロープ製ネットは、強度機能を担当するので、その結果として、幾つかの網目区画に亘って張られる小さな網目のワイヤネットについては、比較的わずかな直径で十分である。縦および横に延ばされた小さな網目のワイヤネットは、部分的に重なり合うので、雪の通過状態の異なる段階を有する複数の網目区画が生じる。実際に、縦と横に延ばされた小さな網目のワイヤネットの帯が重複して重なり合う網目区画部分に、まず雪が堆積することが確認されている。この場合、通過速度は低下し、その結果として、これに次ぐ雪の縁部の係合の結果として、一重の小さな網目のワイヤネット層を有する網目区画も閉塞し、次いで覆いのない網目区画も雪で覆われることになる。従って、比較的簡単な処置を講ずることによって、捕捉用ネットの強度を維持しながら、改善された積雪の保持能力を達成することが可能である。同時に保持面を通過する「通過降雪」が生ずることも確保される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面には、本発明による防護ネットの実施例が記載されており、これを詳細に説明すれば、次の通りである。
【0011】
図1および図2は、とりわけ雪崩に対する防護として、しかしまた砕石または落石の際の捕捉用ネットとしても使用される防護ネット10を示す。この防護ネット10は、この実施例においては互いに相接して並べられた5枚の個別の捕捉用ネット1から構成されており、この三角形の捕捉用ネット1は、互いに鏡像的に配置されており、その結果、つながりのある隙間のない防護ネット10が得られる。当然のことながら、必要に応じて5枚以上の枚数の捕捉用ネット1を備え付けることも出来る。
【0012】
このような個々の三角形の捕捉ネット1は、ワイヤロープから成る大きな網目の編みネット5を備えており、且つその周囲において、編みネット5を外側で結合するワイヤロープ4によって包囲されている。捕捉用ネット1は、三隅において固定点1’、1”を形成し、それぞれその三角頂点1’によるか、または双方の底辺末端1”によって、それぞれ地面に固定された支柱2の上部末端に掛けられており、且つまた捕捉用ネット1の吊りひも3の中に輪のように掛けられている引き綱21によって張られている。捕捉用ネット1の大きな網目の編みネット5は、その網目状に編まれたワイヤロープにより、20cmから30cm、とりわけほぼ25cmの側面長さを有する四角形の網目区画7を形成する。このワイヤロープは、例えば直径が7から8mmの電気亜鉛メッキ鋼線のような、錆びない材料から成る。このワイヤロープは、とりわけ水平に対して45°の角度で配列されている。このような大きな網目のワイヤロープネット1によって、設定された目的に十分な、発生する静的または動的負荷を出来るだけ受容するための強度が達成される。
【0013】
図2は、山腹25などへの防護ネット10の懸架状態を示すものである。防護ネット10は、ネット上に荷重をかける大量の積雪の最適な保持を達成するために、山腹25に対してほぼ水平な延びを持って配置されている。この場合、この防護ネット10は、山腹25に対して50から80°の角度で谷の方向に配列されており、下方では吊りひも状の引き綱21を介してアンカー23に、そして上方では支柱2に固定されており、アンカー23は、その前部で基礎24の中のコンクリート中に埋設されている。支柱2そのものは、それぞれ継ぎ手27を介して同じくコンクリート基礎28に支えられて、保持されている。また上部で支柱に、そして下方で今一つの基礎26に固定されている、山の下方に延びる逆方向引き綱6を使用して、所定の方向におけるネット10の緊張が達成される。この緊張された状態で、支柱2はほぼ垂直の位置を得る。これによって、この防護ネット10によって耐久性のある、数十年に亘って存続する保持補強が可能になるのである。
【0014】
図3によれば、この大きな網目の編みネット5上に、各3枚の互いに横に延びる小さな網目の帯状ワイヤネット8、9が載せられており、特に山側で編みネット5上に載せられている。この帯状ネット8、9は、その長手方向の延長において、それぞれ複数の区分を覆い、且つその交差する配置を通じて重複位置12を形成する。大きな網目の編みネット5も、防護ネット10のこの小さな網目の帯状ネット8、9も、通常はほぼ水平の防護ネット10の延びに対して、約45°の角度で斜めに配列されており、これによって、帯状ネット8、9は互いに直角に配置されることになる。この帯状ネットは、水平に対して、上記とは別の角度でも、すなわちそれが垂直になるまで、そして交差する帯状ネットが水平の配列になるまで、その配置をすることが出来る。
【0015】
編みネット5への小さな網目の帯状ネット8、9の取り付けは、在来型のクリップによって、または約2mmの直径を有するワイヤまたはワイヤロープで縫合することによって行われる。双方の小さな網目の帯状ネット8、9は、それぞれ20から30ミリメートル、とりわけ約25ミリメートルの網目寸法と、とりわけ約2mmのワイヤ太さを持っている。互いに平行に延びる小さな網目の帯状ネット8、9は、相互にほぼその帯幅に相当する間隔を持っており、その結果、一種のチェックの模様を構成している。とりわけ帯幅は、大きな網目の編みネット5の二つの網目区画の幅に相当するように選定されている。互いに横方向に延ばされている小さな網目の帯状ワイヤネット8、9によって、三種の網目区画が生み出される。すなわち、何もない網目区画13と、一重に覆われた網目区画11と、二重に覆われた網目区画12である。これらの小さな網目の帯状ネット8、9は、個々の捕捉ネット1によって形成される平面の約40%から70%、とりわけほぼ50%を覆っている。このようにして形成された捕捉ネット1は、在来のワイヤロープネットに比較して、改善された積雪保持能力を持っている。
【0016】
本発明は、上述の実施例によって十分に実証されている。当然のことながら、この防護ネット10は、他の形態にも形成することが出来る。二等辺三角形として個々の捕捉ネット1を形成することにより、この三点支持によって最適な力の分散が達成される。原則として、これらの個々の捕捉ネット1は、四角形にも、或いは台形にすることが出来る。また小さな網目の帯状ワイヤネット8、9も、例えばこれらの帯が一対の網目区画7の上だけを延びる、実施例に記載されているものとは異なる形で配置することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の三角形の捕捉ネットを備えた本発明による防護ネットの平面図である。
【図2】図1による防護ネットの図式的な側面図である。
【図3】図1による防護ネットの個々の三角形の捕捉ネットの平面図である。
【符号の説明】
1…捕捉ネット
1’…固定点、三角頂点
1”…固定点、底辺末端
2…支柱
3…吊りひも
4…ワイヤロープ
5…編みネット
6…逆方向引き綱
7…網目区画
8…帯状ネット
9…帯状ネット
10…防護ネット
11…一重に覆われた網目区画
12…二重に覆われた網目区画、重複位置
13…覆われてない網目区画
21…引き綱
23…アンカー
24…基礎
25…山腹
26…基礎
27…継ぎ手
28…コンクリート基礎
Claims (8)
- 大きな網目の網目区画を形成する、山腹などに設置される大きな網目の編みネットを具備した積雪および落石用防護ネットにおいて、
前記大きな網目の編みネット(5)の一部の網目区画(7)が、小さな網目の網によって覆われており、
前記小さな網目の網が、前記大きな網目の編みネット(5)上で帯状ネット(8、9)として複数の網目区画(7)に亘って延びており、且つ当該帯状ネット(8、9)が交差して部分的に重なり合っている
ことを特徴とする積雪および落石用防護ネット。 - 前記小さな網目の帯状ネット(8、9)が、20から30mm、とりわけほぼ25mmの網目寸法を有し、該帯状ネットを形成するワイヤの太さが1.5から2.5mm、とりわけほぼ2mmであることを特徴とする請求項1に記載の積雪および落石用防護ネット。
- 前記大きな網目の編みネット(5)が、20から30cm、とりわけほぼ25cmの網目寸法を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積雪および落石用防護ネット。
- 前記小さな網目の帯状ネット(8、9)の重ねられた平面が、前記防護ネット(10)の面積の40から70%、とりわけほぼ50%であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の積雪および落石用防護ネット。
- それぞれ大きな網目の編みネット(5)を有し、且つ三隅に固定点(1'、1”)が存在する、相接して並べられた複数の三角形の捕捉ネット(1)から、前記防護ネット(10)が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積雪および落石用防護ネット。
- 前記小さな網目の帯状ネット(8、9)の幅が前記大きな網目の編みネット(5)の互いに隣接する二つの区画に相当することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積雪および落石用防護ネット。
- 前記小さな網目の帯状ネット(8、9)が、前記防護ネット(10)のほぼ水平の延長に対して斜めに配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積雪および落石用防護ネット。
- 前記小さな網目の帯状ネット(8、9)が、前記防護ネット(10)のほぼ水平の延長に対してほぼ45゜の角度で配列されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積雪および落石用防護ネット。
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