JP3954091B2 - リラキシンの製造方法 - Google Patents

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Description

産業分野
本発明は非天然形のプロリラキシン、およびそのような非天然形のプロリラキシンからのリラキシンの製造方法に関する。
発明の背景
成熟ヒトリラキシンは、出産前に産道の形を直し、出産過程を容易にするのに関与することが知られている、約6000ダルトンの分子量を有する卵巣ホルモンペプチドである。該ペプチドは標的器官の結合組織の再構築を調節し、妊娠および出産の間、器官構造の必要な変化を与えるようである。妊娠ホルモンとしてのリラキシンの重要な役割の幾つかには、早産の防止、出産時の頸部成熟、および乳腺の発達がある[Reddy等、Arch. Biochem. Biophy., 294, 579(1992)]。リラキシンは主に妊娠ホルモンであるが、非妊娠の女性、および男性(精液)においても検出されている。
リラキシンのアミノ酸配列は、豚、ラット[Hudson等、Nature, 291, 127(1981)]、サメ、ツノザメ、ケイト、鯨、サルおよびヒト[Hudson等、EMBO J., 3, 2333(1984)]を含む多数の種について、直接的なタンパク質の配列決定により測定され、またはDNAのヌクレオチド配列から推論された。
組換え技術が最初にラットおよび豚のリラキシンについてのcDNAクローンの単離に適用された[Hudson等、Nature, 291, 544(1981);Haley等、DNA, 1, 155(1982)]。2つのヒト遺伝子形がブタのリラキシン遺伝子からのプローブを用いる遺伝子クローニングにより同定されている[Hudson等、Nature, 301, 628(1983)];Hudson等、EMBO J., 3, 2333(1984);米国特許第4,758,516号(1988年7月19日発行)および同第4,871,670号(1989年10月3日発行)]。しかしながらこれらの遺伝子形のうち一つのみ(H2と呼ばれる)が、黄体のう胞で転写されることが見出されている。他の遺伝子が他の組織部位で発現されるかどうか、またはそれが偽遺子であるかどうかは不明である。H2リラキシンが卵巣で合成され発現されるという事実は、これが妊娠の生理学に直接関与する配列であることを示唆する。
天然のリラキシンは、シグナルペプチド、B−鎖、結合用C−ペプチドおよびA−鎖の全体構造を有する一本鎖の23kDaプレプロリラキシンとして合成される。リラキシンの生合成の間、発生期の鎖が小胞体を横切って移動する時に、シグナルペプチドは除去されて19kDaのプロリラキシンを生ずる(Reddy等、上書)。プロリラキシンのリラキシンへの更なるプロセシングは、インシュリンと類似の方法でB−およびA−鎖の間のジサルファイド架橋の生成後に、B/C−鎖およびA−/C−鎖結合部に位置する特異的な対の塩基性アミノ酸残基におけるC−ペプチドのエンドプロテオリチック解裂によりインビボで起る[Marriott等、Mol. Endo, 6, No.9(1992)]。リラキシンのジサルファイド架橋は、A8およびA13間のA鎖内部の鎖内ジサルファイド架橋と共に、A9−B10およびA22−B2のシステイン間で起る(米国特許第4,656,249号、1987年4月7日発行)。
1988年現在のリラキシンについての知識の簡潔な総説は、Sherwood,D.、The physiology of Reproduction, 16章、「リラキシン」、Knobil,EおよびNeil,J編、Raren Press社、ニューヨーク、585〜673ページ(1988)により、提供された。リラキシンは妊娠状態と首尾一貫して関連し、その知られた有用性の大部分はこの状態に関連する。
H2リラキシンは産道の形を直し、頸部の成熟、妊娠子宮内膜の肥厚、およびこの領域への血管新生の増加、およびコラーゲン合成を含む、出産過程を容易にすると記載されている。H2リラキシンは泌乳にも関連し、いくつかの報告はリラキシンが乳組織に生長促進効果を有することを示す[Wright,L.C.およびAnderson,R.R. Adv. Exp. Med. Biol., 341(1982)]。結合組織への影響が示されたので、リラキシンは皮膚の弾性を改良することが示唆された。1992年2月21日に発行された米国特許第5,166,191号は、リラキシンの心臓血管治療における使用を記載する。
米国特許第5,023,321号(1991年6月11日発行)は、ヒトのプレプロリラキシンおよびそのサブユニットの製造を開示する。米国特許第4,871,670号(1989年10月3日発行)は、ヒトプレプロリラキシンおよびそのサブユニットの発現用の遺伝子およびDNAトランスファーベクターを開示する。
欧州特許公開第101,309号(1984年2月22日公開)および同第112,149号(1984年6月27日公開)は、ヒトリラキシンおよびヒトH2−リラキシンおよびそのアナログについてコードする遺伝子配列の分子クローニングおよびキャラクタリゼーションを開示する。
米国特許第4,565,249号(1987年4月7日発行)は豚のリラキシンまたはその改変した形またはアナログの合成方法を開示する。
オーストラリア特許第561,670号(1987年8月26日発行)およびHaley等、DNA, 1, 155ー162(1982)は、豚リラキシンの製造方法を開示し、Stewart等、NAR, 11, No.19, 6597ー6609(1983)はE.coli中での豚リラキシンの発現を開示する。Reddy等(上書)は、E.coli中で発現された組換え豚プロリラキシンの精製方法を開示する。
Gold等(Abstr. Pap. Chem. Soc. 203 Meet., Pt.3, BTEC55(1992))は、A鎖B鎖結合反応に基づくリラキシンの製造方法を開示する。そのA鎖はリフラクタイルボディ中の改変されたプロリラキシンとしてE.coli中で発現された。そのA鎖はその改変されたプロリラキシンから化学的な解裂により精製された。B鎖は第2のE.coli発酵で製造され、該発酵においてB鎖は分泌され、次に精製された。次にその2つの精製された鎖を酸化的な結合およびフォールディング反応で結合された。反応の間、1つの鎖内ジサルファイド結合および2つの鎖間ジサルファイド結合が形成された。2つの鎖結合工程は多くの工程および2つの鎖の製造のための2つの発酵の使用を必要とする。
Marriott等[Molecular Endocrinology, 6, 1441(1992)]は、A−/C−鎖およびB−/C−鎖結合部において非天然の解裂部位を有するプロリラキシン変異体の哺乳類発現を開示する。
組換え発現
2つの鎖の結合方法に用いられるような、2回の発酵および多くの工程の使用を必要としない、プロリラキシンからのリラキシンの製造方法についての必要が存在する。商業的に実行可能な生物学的に活性なリラキシンの十分高い収量を提供するであろうプロリラキシン生成物の回収方法についての必要性が存在する。原核生物系で発現され、宿主で生成する物質または生物学的活性を減少させる組換えの副生物が混入していない、生物学的に活性なリラキシンに次にプロセシングされる単離されたプロリラキシンの必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、商業的に有効な量および純度の生物学的に活性なリラキシンが、非天然プロリラキシン形を介して製造できるという、予期されない実験上の発見に基づく。本発明は、非天然のプロリラキシン形が首尾よくフォールドされ(folded)、天然のプロリラキシンを用いて実現されるよりも高い収量で組換え系において生物学的に活性なリラキシンにプロセシングされるという、予期されない実験上の発見に基づく。
本発明は、リーダー配列、B−鎖、非天然C−ペプチド、およびA−鎖を有する、非天然プロリラキシン形の設計および構築に基づく。リーダー配列はプロリラキシンB−鎖に隣接する解裂部位を含み、非天然のC−ペプチドは、B−鎖/C−鎖結合およびA−鎖/C−鎖結合における解裂部位を含む。本発明は非天然のプロリラキシンからの、生物学的に活性なリラキシン製造の生成物回収方法の設計にも基づく。
本発明は、
(a)非天然プロリラキシンをコードする核酸を提供し(該プロリラキシンはリーダー配列、B−鎖、非天然のC−鎖、およびA−鎖を含んでなり、該リーダー配列はB−鎖配列に隣接する第1の解裂部位を含み、該非天然のC−鎖はB−鎖およびA−鎖にそれぞれ隣接する第2および第3の解裂部位を含んでなる);
(b)該非天然のプロリラキシンをコードする該核酸を含む原核細胞を培養し、該培養は該原核生物細胞中で該核酸を発現して非天然のプロリラキシンを製造し;
(c)該培養方法により製造された該プロリラキシンを単離し、可溶化させ;
(d)該可溶化させたプロリラキシンを再生させ;
(e)該プロリラキシンから該リーダー配列および該非天然のC−ペプチドを切除し、切除は該解裂部位に特異的な解裂剤の使用により行い;そして
(f)リラキシンを回収する、
ことを含んでなる、非天然プロリラキシンの発酵からのリラキシンの製造方法を提供することにより成し遂げられる。その方法はA−鎖N末端のグルタミンを環化することを更に含み得る。
本発明の好ましい態様においては、リラキシンはH2形のヒトリラキシンである。
本発明の1態様では、リーダー配列および非天然のC−ペプチドの切除は酵素的解裂による。
本発明の1態様では、リーダー配列および非天然のC−ペプチドの切削はトリプシンおよびカルボキシペプチダーゼB(CPB)の使用により行われ、他の態様ではArg CおよびCPBの使用により行われる。リーダー配列の切除はエンドプロテイナーゼAsp Nおよびトリプシンを使用することにより好ましくは行われる。非天然のC−ペプチドの切除は、カルボキシペプチダーゼBと共にArg C、トリプシンまたはLys Cの使用により、またはトリプシンおよびArg Cにより好ましくは行われる。図2A〜2Dを参照。
本発明の1発明の1態様においては、可溶化したプロリラキシンは希薄なタンパク質濃度の条件下に再生(refold)される。本発明の他の態様では可溶化したプロリラキシンはコントロールされた酸化条件下に再生され得る。
他の態様において本発明は、リーダー配列、B−鎖、非天然のC−ペプチドおよびA−鎖を含んでなる単離されたプロリラキシンを提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、非天然のリーダー(「STII」)およびC−ペプチド(「mini C」)を含み、リーダーの後、並びにC−ペプチドおよびB鎖およびA鎖の間に解裂部位を有するプロリラキシンをコードするDNAの構成を示す。
図2および2A〜2Dは、本発明の4つの構成物についての、リーダー配列、非天然のC−ペプチド、および酵素的な解裂部位を示す。(配列番号5〜8)。
図3は、プラスミドpRB250CTscについての核酸およびアミノ酸配列を示す。図1も参照。(配列番号9)。
図4は、図3に示した非天然のプロリラキシンをコードする遺伝子を含んでなるプラスミドpRB250CTscの系統を示す。
図5は、pRB250CTsc構築の中間プラスミドであるプラスミドpRB250Cの構築を説明する。
図6は、pRB250CTsc構築の中間プラスミドであるプラスミドpRB250の構築を説明する。
図7は、pRB250構築の中間体であるプラスミドpRB192の構築を説明する。
図8は、pRB192構築の中間体であるプラスミドpRB151の構築を説明する。
図9は、pRB192構築の中間体であるプラスミドpRB51の構築を説明する。
図9Aは、pTR21からのNot I-Bam HI断片を説明する。
図10は、プラスミドpRB11の部分配列を提供する。(配列番号10)
図10Aは、pRB11の構築を説明する。
図11は、pRB151構築の中間体であるプラスミドpRB61の構築を説明する。
図12は、pRB61構築の中間体であるプラスミドpRA1の構築を説明する。
図12Aは、pTF161の構築を説明する。
図13は、プラスミドpRA1構築の中間体であるプラスミドpTR591の構築を説明する。
図14は、pTR591構築の中間体であるpTR561の構築を説明する。
図15は、pRB61構築の中間体であるpLS331amBの構築を説明する。
図16は、pRB61構築の中間体であるpTF271の部分配列を提供する。(配列番号11)
図16Aは、pTF271の構築を説明する。
図17は、pRB250C構築の中間体であるpRB192Cの構築を説明する。
図18は、pLS331amB構築の中間体であるpLS32の構築を説明する。
図18Aは、pLS8からの291bpのHind III−BamHI断片の配列を説明する。
図19は、pLS331amB構築の中間体であるpAP1amBの構築を説明する。
発明の詳細な記述
本明細書で用いる「リラキシン」は、Hudson等(EMBO J., 3, 2333(1984))に記載されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびリラキシンの定性的な生物学的活性を保持する、その天然のアレル等の天然のアミノ酸配列変異体として定義する。
組換えDNA技術を用いて導入されたもののような非天然のリラキシンアミノ酸置換、挿入または削除物、並びに例えばグリコシル化改変物のような、共有結合または非共有結合改変物も本発明の範囲内にある。但し最終のリラキシンが天然のリラキシンの定性的な生物学的活性を有するものとする。
「リラキシン」の語は、恥骨結合インビトロバイオアッセイ[Steinetz等、Endocrinology, 67, 102(1960)]。ラットの子宮平滑筋インビトロアッセイ[St. Louis, J. Can. J. Physiol. Pharmacol., 59, 507(1981)]、およびホルモン刺激後のcAMPレベルの測定[Braddon, S. A., Endocrinology, 102, 1292(1978)およびJudson等、J. Endocrinology, 87, 153(1980)]等の承認されたリラキシン分析において生物学的に活性であることが知られた、様々な形のヒトおよび非ヒトの動物リラキシンをも同様に指す。
本明細書で用いる「プロリラキシン」はB−、A−、およびC−鎖を含んでなるリラキシンの前駆体を指し、「リラキシン」は上に定義した通りである。プロリラキシンの特徴は、それらが下に定義する非天然のC−鎖を含むことである。
本発明のプロリラキシン前駆体は天然源から得られ、化学的に合成され、または組換えDNA技術により製造されたプロリラキシンを含むことを意図する。本発明の非天然プロリラキシンのいくつかは、天然のA−およびB−鎖を結合した非天然のC−鎖を有する。本発明の非天然のプロリラキシンのいくつかは、天然の酵素解裂部位を含む非天然のC−鎖を有し、一方他の非天然のプロリラキシンは非天然の酵素解裂部分を含む。
本明細書中で用いる「C−鎖」の語は、プロリラキシンのAおよびB鎖を結合するペプチドを指す。本発明の焦点は、天然には存在しない、プロリラキシンのAおよびB鎖を結合するペプチドとここに定義した「非天然のC鎖」の使用である。本発明の好ましい非天然のC−鎖は、プロリラキシンのAおよびB鎖を結合し、B−/C−鎖結合、およびA−/C−鎖結合部で解裂部位をコードするアミノ酸を含むペプチドである。約8〜15のアミノ酸を有するC−鎖が好ましい。
本明細書で用いるプロリラキシン「リーダー」、「リーダーペプチド」、「リーダー配列」、または「シグナル配列」の語は、プロリラキシンのN−末端に見出される短いアミノ酸配列を指す。好ましいリーダー配列は宿主の原核生物細胞のペリプラズムにプロリラキシンを向けるのに非または半機能的である。本発明の宿主細胞により製造されたプロリラキシンは、いわゆるリフラクタイルボディ中に典型的に見出され、それから精製される。本発明の特に好ましいリーダー配列は、宿主細胞のペリプラズムへのプロリラキシンの分泌を達成するよりも、プロリラキシンの高発現を駆動させるのに用いるトランケートされたSTIIリーダー配列である。典型的にはLysおよびArgを本発明の「リーダー配列」中に含ませ、リラキシンからのリーダー配列の解裂を可能にする。
モデルとして説明する典型的なリーダーは、MKKNIAFLLKRとし定義される。その均等物はMKKNIAFLLRK、MKKNIAFLLRRおよびMKKNIAFLLKKを含む。有用なリーダーの付随的な特徴は、それがB−鎖からの解裂についてのタンパク質分解酵素解裂部位を有するということである。
本明細書で用いる「プロリラキシンからリラキシンを製造する方法」または「リラキシン製造のための生成物回収方法」という語句は、非天然プロリラキシンの設計と構築、プロリラキシンを作るための発酵法、およびリラキシンを精製するためのいずれかのその後の工程を言う。宿主細胞中に発現したプロリラキシンからリラキシンを精製する工程は、遠心による等のプロリラキシンリフラクタイルボディを単離し、プロリラキシンを可溶化し、可溶化したプロリラキシンを再生し、プロリラキシンリーダー配列およびC−ペプチドを解裂させ、リラキシンから不純物を除去し、リラキシンを最終製剤のための形で提供することを含むが、これに限定されない。これらの精製工程は限定というより説明的なものである。
「商業的に実行可能な、または有効な収量または量」の語は、プロリラキシンの原核細胞発酵からの最終リラキシン収量を言い、少なくとも約10〜100mg/L、好ましくは約100mg/L以上であると定義される。
「生物学的活性」の語、および文法上の均等物は野生型ヒトリラキシンにより示されるいずれの生物学的活性をも指す。リラキシンの生物学的活性は、例えば恥骨結合インビトロアッセイ[Steinetz等, Endocrinology, 67, 102(1960)]、ラット子宮平滑筋インビトロアッセイ[St. Louis, J. Can. J. Physiol. Pharmacol., 59, 507(1981)]、およびホルモン刺激後のcAMPレベルの測定[Braddon, S. A., Endocrinology, 102, 1292(1978)およびJudson等, J. Endocrinology, 87, 153(1980)]等の認められたリラキシンアッセイで測定される。
本明細書で用いる「解裂剤」の語は、プロリラキシンを特異的に解裂し、所望に応じリーダー配列またはC−ペプチド等の或る成分を脱離させ、または切除するのに用いる試薬を言う。適当な解裂剤には、エンドプロテイナーゼ、例えばエンドプロテイナーゼLysC、エンドプロテイナーゼArgC、エンドプロテイナーゼAspN;トリプシン;カルボキシペプチダーゼB;プロホルモンコンベルターゼ(PC)、例えばフリン、PC1、PC2、KEX2;サブチリシンまたはその変異体;および有機または無機酸、ヒドロキシルアミン、N−ブロモスクシンイミドおよび臭化シアン等の化学試薬を含む。
様々なタンパク質分解酵素により触媒されるペプチド結合の加水分解は、The Enzymes, 3版、Boyer編, Academic Press, III巻(1971);Meth. Enzymol., XIX巻, PerlmanおよびLorand編, ニューヨーク, Academic Press, (1970);Enzymol., XLV巻, Lorand編, ニューヨーク, Academic Press, (1976);Drapeau, J. Biol. Chem., 253, 5899(1978), およびDrapeau, Meth. Enzymol., 47,89(1977)に教示される。化学試薬の広範なリストについては、226ページの表IIIを含め、Witcop, Advances in Protein Chemistry, Anfinsen等編, 16巻, 221〜321ページ, Academic Press, ニューヨーク(1961)を参照。
本発明に適した他の解裂剤は、解裂のための所望の結合、およびその試薬がプロリラキシンの還元型に作用するか酸化型に作用するのか心に止めて、当業者により理解されると考えられる。非天然のプロリラキシンの解裂に用いる条件は用いる解裂剤に依存し、その条件は用いる解裂剤を与えられた当業者には明らかであろう。
本発明において、所望の解裂剤により、所望の位置、すなわちリーダー配列の後で解裂を達成し、またはC−ペプチドを切除するのに必要なコドンを含むよう、非天然のプロリラキシンはデザインされ、構築される。所望のポリペプチド成分、この場合にはリラキシンB−鎖またはA−鎖をコードする配列の5'末端コドンの上流に、好ましくは隣接して、若しくはポリペプチドの所望の成分のカルボキシ末端コドンの下流に、好ましくは隣接して、または単離されるべき所望の成分が、予期される翻訳生成物の内部アミノ酸配列であるなら両方に、適当なコドンを挿入することが必要であろう。
本発明においては、プロリラキシンリーダー配列およびC−ペプチドを同じ解裂方法により切除するするのが有効である。所望のホルモンであるリラキシンが生成する限り、リーダー配列/B−鎖結合、B−/C−鎖結合、およびA−/C−鎖結合で利用できる解裂部位を解裂できるいかなる酵素または化学試薬も使用できる。
オリゴヌクレオチドは、Crea等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 5765(1978)、またはKunkel等、Methods in Enzymol., 154, 367(1987)に記載の技術等の当該技術分野で周知の技術を用いて容易に合成される。
1以上のアミノ酸で置換された変異体はいくつかの方法の1つで作ることができる。アミノ酸がポリペプチド鎖中において接近して位置するなら、それらは所望のアミノ酸置換物のすべてについてコードする1つのオリゴヌクレオチドを用いて同時にミューテートさせ得る。しかしながらアミノ酸が互いからいくらかの距離に離れて位置するなら(例えば10以上アミノ酸により分離されている)、所望の変化のすべてをコードする単一のオリゴヌクレオチドを作るのはより困難である。その代わりとして、2つの別の方法の1つを用い得る。第1の方法では別のオリゴヌクレオチドを置換すべき各アミノ酸について作る。そのオリゴヌクレオチドを1本鎖の鋳型DNAに同時にアニールする。鋳型から合成されるDNAの第2の鎖は所望のアミノ酸置換物のすべてをコードするであろう。その別法は、所望の変異体を製造するために2ラウンド以上の突然変異誘発を必要とする。
野生型のプロリラキシンまたは当該技術分野で知られた突然変異体分子をコードする核酸配列の突然変異体を作る他の方法は、出発プロリラキシン分子をコードする核酸配列を制限酵素を用いる消化により適当な位置で解裂し、適当に解裂した核酸を回収し、所望のアミノ酸配列およびブラント末端を有するポリリンカー等のフランキング領域をコードする。オリゴヌクレオチドを合成し(または、ポリリンカーの代わりに、プロリラキシンをコードする核酸を解裂するのにも用いる制限酵素でその合成オリゴヌクレオチドを消化し、それによって付着末端を作り)、その合成核酸をプロリラキシンをコードする構造遺伝子の残りにライゲートすることを含む。
例えば米国特許第4,683,195号(1987年7月28日発行)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel等編、Green Publishing Associates and Wiley-Interscience,2巻、15章、1991年に記載されたように、PCR突然変異誘発も本発明のプロリラキシン変異体を作るのに適している。以下の議論はDNAについてであるが、その技術はRNAについても利用できることが理解される。変異体第2プライマーを用いるか、または異なった変異体プライマーで第2のPCRを行い、2つの生成したPCRフラグメントをベクターフラグメントへ3(または以上)部分ライゲーションにより同時にライゲートすることにより、別の位置での変異を同時に導入できる。
RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはDNAの結合に由来するリラキシンの核酸を、更なるクローニング(核酸の増幅)用、または発現用の複製可能なベクターに挿入する。所望のコーディングおよびコントロール配列を含む適当なベクターの構築には標準的な組換え技術を用いる。単離されたプラスミドまたは核酸フラグメントを解裂し、仕立て、再ライゲートして所望のプラスミドを形成する。
多くのベクターが利用可能であり、適当なベクターの選択は、1)それが核酸の増幅に用いるのか核酸発現に用いるのか、2)ベクターに挿入されるべき核酸の大きさ、および3)ベクターで形質転換される宿主細胞による。それぞれのベクターは、その機能(核酸の増幅または核酸の発現)およびそれが両立できる宿主細胞に依存して、様々な成分を含む。ベクター成分は次の1以上を含むがそれらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。
本発明の好ましい複製可能なベクターは、非天然のプロリラキシンの発現とプロリラキシンB−鎖の正しいN−末端プロセシングを可能にするリーダー配列、トリプトファン(trp)プロモーター、ラムダto終結配列、pBR322複製起点、抗生物質抵抗性遺伝子、および非天然のC−ペプチドにより連結されたリラキシンAおよびB鎖(CペプチドはB−/C−鎖およびA−/C−鎖結合で酵素解裂部位を含む)を含むものである。
原核生物はプロリラキシンの最初のクローニング工程のための好ましい宿主細胞である。それらは、大量の核酸の急速な製造に、部位特異的突然変異誘発に用いる1本鎖核酸鋳型の製造に、多数の変異体の同時スクリーニングに、および生じた変異体の核酸配列決定に特に有用である。プロリラキシンの製造における使用に適した原核生物、例えばE.coli、および発現ベクターの例は、例えば国際出願WO90/02798号(1990年3月22日公開)に開示されたものである。プロリラキシンDNA配列のクローニングに用いる原核生物は、例えば、E.coli K12株294(ATCC No.31446)、E.coli B、およびE.coli X1776(ATCC No.31537)を含む。
原核生物は発現にも用いられる。クローニングまたはベクター発現に適した宿主細胞はE.coli細胞である。E.coli株W3110(F-、I-、原栄養菌、ATCC No.27325)は特に好ましい宿主である。何故ならそれは組換えDNA製品発酵用の一般的な宿主株であるからである。好ましくは宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。菌株W3110を改変してタンパク質をコードする遺伝子中の遺伝的変異を行ってもよい。そのような宿主の例には、完全な遺伝子型tonAΔを有するE.coli W3110株1A2;完全な遺伝子型tonAΔptr3を有するW3110株9E4;完全な遺伝子型tonAΔptr3 phoAΔE15Δ(argF-lac)169ompTΔdegP41kanrを有するE.coli W3110株27CA(ATCC No.55244);完全な遺伝子型tonAΔptr3 phoAΔE15 4(argF-lac)169ompTΔdegP41kanrrbs7ΔilvGを有するE.coliW3110株37D6;非カナマイシン抵抗性のdegP削除突然変異を有する株37D6であるE.coli株W3110株40B4m、および米国特許第4,946,783号(1−990年8月7日発行)に開示された変異体ペリプラズムプロテイナーゼを有するE.coli株を含む。
クローニングおよび発現の方法論は当該技術分野でよく知られており、例えば前述の公開されたPCT特許出願(WO90/02798号)に開示されている。
プロリラキシンの発酵は、当該技術分野でよく知られた方法論により行われ、例えばElander, Genetic Engineering Technology in Industrial Pharmacy, John M. Tabor編、Mercel Dekker, 115-129(1989)に開示されている。しかし各発酵方法を至適化するのに多くの発酵の変法が存在する。発酵の進歩の主な目標は細胞マスを至適化し、生成物の蓄積を最大にすることである。大規模発酵とは、体積的な能力、すなわちヘッドスペースのための適当な空間をのこした残した作業用空間が少なくとも約1000Lであるファーメンター中での発酵を言う。小規模発酵とは容積的な能力で約100L以下、好ましくは10L以下のファーメンター中での発酵を言う。
発酵ブロスからの粗生成物の単離は、濾過、遠心分離および/または沈降、沈殿および傾斜または技術の組合せの使用により行い得る。リフラクタイルボディの形の粗生成物の単離には、細胞からリフラクタイルボディを遊離させるために、細胞を崩壊させるという第1の工程を必要とする。細胞崩壊の方法にはソニケーション、ホモジナイザーを通すこと、およびリゾチーム、洗剤、または他の薬剤の使用による細胞溶解がある。
リフラクタイルボディが細胞から遊離すると、そのリフラクタイルボディは、大きさおよび溶解性等の物理的および化学的性質の差異に基づいて残りの発酵溶液から分離し得る。沈殿とは単純な重力場における沈降をいい、一方遠心分離は遠心力による高められた沈降速度の創出を必要とする。本発明においては発酵ブロスから粗プロリラキシンを単離する好ましい方法は、細胞からプロリラキシンのリフラクタイルボディを遊離するためのある種の細胞崩壊、およびその後のリフラクタイルボディを軽い固体廃棄物および液体から分離するのを可能にするいずれかの遠心技術を含む。本発明において、好ましい形の機械的な細胞崩壊はホモジナイゼーションであり、好ましい遠心分離技術は大容量の連続流動の、ソリッドボウル遠心分離である。
タンパク質が、細胞内リフラクタイルボディの形で発現される場合には、生成物回収方法には、リフラクタイルボディを可溶化し、可溶化したタンパク質を再生し(renature)、適当な場合には調節された酸化を行う工程を含み、有用な生成物を得る。発酵ブロスから粗プロリラキシンリフラクタイルボディを単離した後に、そのプロリラキシンリフラクタイルボディを可溶化し、再生させる(refold)。
リフラクタイルボディ中のタンパク質を可溶化するのに用いる溶媒には、グアニジン−HCl(GuHCl)(8Mまで)、尿素(8Mまで)、SDS、アルカリ性のpH(>8.0)、酸のpH(<3.0)、およびアセトニトリル/プロパノールを含むが、これ等に限定されない。本発明のプロリラキシンリフラクタイルボディのための好ましい可溶化緩衝液は、GuHCl、3.5〜4.0M、または尿素、2〜8Mである。本発明において、PE1(ポリエチンイミン)を汚染物を沈殿させながらプロリラキシンを可溶形に保持するのに用いる。
可溶化されたタンパク質の再生は、ジサルファイド架橋を含むタンパク質の再生前または同時の還元されたタンパク質の酸化と共に、可溶化剤を少なくし、または除去する(例えば透析または希釈により)ことにより行うことができる。本発明においては再生工程をレドックス緩衝液を用いる酸化的な環境で行うのが好ましい。本発明においては、実行可能な希薄濃度で再生を行うのが好ましく、溶液の作業可能な体積および次の精製工程のための高希釈による起こりうるロスを考慮に入れる。グラムで表してリフラクタイルボディ重量の60〜100倍の範囲の希釈物を用いるのが最も好ましい。可溶化および再生工程の間、プロリラキシンアミノ酸側鎖の誘導体化をもたらす条件にさらす(例えば9.0以上のpH値に長時間さらす)ことを最小限にすることも好ましい。システイン残基を含み、天然型でジサルファイド結合を含むプロリラキシン等のタンパク質を再生するためには、可溶化および再生工程に存在する還元/酸化条件は重要であり、タンパク質特異的である。本発明においては可溶化および再生工程は2〜8℃で行うのが好ましい。
再生の後、他のタンパク質、混在している封入小体中に存在する混入核酸および再生中間体を除去し、プロリラキシンを単離し、濃縮するため精製工程が必要である。次例は適当な精製工程の例示である:イムノアフィニティカラムまたはイオン交換カラムによる分別、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカカラムによるクロマトグラフィー、電気泳動、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル濾過、限外濾過/ダイアフィルトレーション、金属キレートクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー。
混入物から所望の生成物を精製するのに用いるクロマトグラフマトリックスは商業的に入手できる。クロマトグラフマトリックスの総説は、Marston等の上書、およびGuide to Protein Purification, Deutscher編、Academic Press, Inc., 309頁(1990)に与えられている。
本発明においては、プロリラキシンのリラキシンへの解裂は、プロリラキシンの再生およびその後の可溶化剤の除去の後に行うのが好ましい。解裂方法は議論した化学的解裂または酵素的解裂を含む。
本発明においては、好ましい方法はリラキシンA鎖N−末端グルタミンの環化工程を含む。A鎖N−末端グルタミンの環化のためのどのような方法も用いることができる。そのような方法の例は、好ましくは僅かに酸性条件下の熱処理、イミダゾール等の親核試薬による中性pHでの処理である。N−末端A鎖を環化するのに用いるどのような方法も、環化工程自体により生じる混入物を除去するための更なる精製工程を必要とするかも知れず、遠心分離、カラムクロマトグラフィーまたは沈殿技術を含む。
リラキシンを最終の製剤の形で提供する最終生成品の精製は、クロマトグラフィー、有機溶媒除去。限外濾過/ダイアフィルトレーションの工程を含む。
典型的には、本発明の方法で用いるリラキシンは、それを、周囲温度で、適当なpHで、所望の純度で、薬学的に許容し得る担体、すなわち用いる用量および濃度でレシピエントに非毒性の担体と混合することにより製剤化する。適当な担体およびその製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences,16版、1980、Mack Publishing Co., Oslo等編に記載されている。これらの組成物は有効量のリラキシンを、例えば約0.003mg/mL以上、約8mg/mL以上のオーダーで適当な量の担体と共に含み、患者への有効な投与に適した薬学的に許容し得る組成物を作る。
製剤のpHは好ましくは約3〜約8の任意の範囲である。pH5の酢酸塩緩衝液中の製剤は適当な実施態様である。リラキシン用の好ましい製剤は、緩衝化され、または緩衝化されない溶液であり、好ましくは20mM酢酸ナトリウム、pH5.0である。
リラキシンの臨床的投与に特に適した組成物は無菌の水溶液、または凍結乾燥したタンパク質等の無菌の水和可能な(Hydratable)粉末を含む。典型的には、適当な量の薬学的に許容し得る塩も製剤に用い、製剤を等張性にする。
無菌は(0.2ミクロン)膜を通す無菌濾過により容易に達成できる。再構成のための凍結乾燥した製剤も許容し得るが、リラキシンは通常水溶液として貯蔵するであろう。
リラキシン組成物は良好な医学的プラクティスと一致した方法で製剤化し、投薬し、投与する。これに関して考慮する要素は、治療する個々の疾患、治療する個々の哺乳動物、各患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の運搬部位、投与方法、投与のスケジュール、および医療関係者に知られた他の要素を含む。投与すべきリラキシンの「治療的に有効な量」はそのような考慮により支配され、疾患を予防し、改善し、治療するのに必要な最小量である。
一般的な案として、用量あたり投与するリラキシンの薬学的に有効な量は、1日当り、患者の体重1kgにつき約0.001〜100mgの範囲であり、リラキシンの典型的な範囲は0.005〜50mg/kg/日である。
本発明は次の実施例を参照してさらに完全に理解されるであろう。しかし実施例は本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでない。すべて引用した文献は本明細書の一部を構成する。
実施例1
天然には存在しないプロリラキシンモデルに対する発現ビヒクルの構築
プラスミドpRB250CTscは、プロリラキシン(第1図および第3図で示す通り、トリプシン並びにトリプシン/カルボキシペプチダーゼ酵素的開裂部位をA/C鎖ジャンクションおよびB/C鎖ジャンクションに有する、天然には存在しないリーダー配列および天然には存在しないC−ペプチドを含有するハドソン(Hudson)ら, [ヨーロピアン・モレキュラー・バイオロジー・オーガニゼーション・ジャーナルEMBO J., 2333(1984)]で開示された配列から誘導されるリラキシンAおよびB鎖)を含む。大腸菌E.Coli)においてプロリラキシン遺伝子を発現するのに必要とされる転写および翻訳配列は、pHCH207−1から誘導されるトリプトファン(Trp)プロモーターにより与えられる[デボーア(deBoer)ら、[プロモーターズ:ストラクチャー・アンド・ファンクションPromoters:Structure and Function), ロドリゲツ(Rodriguez)およびチェンバーリン(Chamberlain)版, M.J.ペガー(Paeger)出版社, ニューヨーク 462(1982)]から]。ラムダt0転写ターミネーター[スカルティシーズ(Scholtisses)ら, NAR 15, 3185(1987)]は、プロリラキシン終止コドンに隣接した位置にある。プラスミドpRB250CTscは、形質転換宿主にテトラサイクリン耐性を与える。プラスミドpRB250CTscは、pBR322ベクターを起源とする複製起点を有する[ストクリフ(Sutcliff), コールド・スプリング・ハーバー・シンポジウム・オン・クオンティタティブ・バイオロジーCold Spring Harbor symposium on Quantitative Biology43, 77(1978)]。
プラスミドpRB250CTscはまた、アミノ酸リジン(Lys)およびアルギニン(Arg)が3'に続く、大腸菌E.Coli)の熱安定エンテロトキシンII(ST II)遺伝子を起源とする9つのアミノ酸も有する[ピッケン(Picken)ら, インフェクション・アンド・イムニティInfect. Immun.42, 269(1983)]。
LysおよびArgを加えたST IIの9つのアミノ酸は、Trpプロモーターの3'に位置して、与えられた簡便な開裂部位を有する、天然には存在しないプロリラキシンを高いレベルで発現させることから、酵素的開裂によるプロリラキシンB鎖の正しいN−末端プロセシングを発生させる。ST IIの9つのアミノ酸は、機能リーダー配列をコードしない。
プラスミドpRB250CTsc:プラスミドpRB250CTscは、第4図で示す通り、Trpプロモーターを含むプラスミドpRB250、天然には存在しないプロリラキシンコード配列を250塩基対のXba IからHind IIIのフラグメント上に含むpRB250C、およびラムダt0転写ターミネーターを412塩基対のStu IからBam HIのフラグメント上に含むpdh108を中間体として用いる、幾つかの工程を経て構築された。
プラスミドpRB250:プラスミドpRB250は、LysおよびArgに関するコドンを加えた、ピッケンら, [インフェクション・アンド・イムニティ 42, 269(1983)]で記載されている熱安定エンテロトキシンII(ST II)リーダー配列(MKKNIAFLL)の9つのアミノ酸にTrpプロモーター/オペレーターを連結させる結果得られる。pRB250は、第6図で示す通り、3つのDNAフラグメントを一緒に連結することにより製造された。これらのうち第1フラグメントは、Bss HIIからXba Iまでの小さなフラグメントが除去された、第7図で示すベクターpRB192であった。第2フラグメントは、LysおよびArgを加えたST IIの9つのアミノ酸をコードする、合成二本鎖のRel 60である。
Figure 0003954091
第3フラグメントは、プラスミドpRB51を起源とするHinf IからBss HIIのフラグメントであり、この構築を第9図に記載する。
プラスミドpRB250C:プラスミドpRB250Cは、アミノ酸のLysおよびArgを加えたST IIリーダーの9つのアミノ酸にTrpプロモーターを連結させる結果得られて、天然には存在しないプロリラキシン、さらにはまた天然に存在するテトラサイクリン耐性遺伝子プロモーターに欠けたテトラサイクリン耐性遺伝子も含む。
pRB250Cは、第5図で示す通り、3つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。これらのうち第1フラグメントは、Xba IからBam HIまでの小さなフラグメントが除去されたベクターpRB192であった。第2フラグメントは、pRB192Cを起源とするNot IからBam HIのフラグメントであり、これは天然には存在しないプロリラキシンを起源とするC−ペプチドを含んでなる。第3フラグメントは、pRB250を起源とする約75塩基対のNot IからXba Iのフラグメントである。
プラスミドpdh108:プラスミドpdh108は、スカルティシーズら, 上記で記載されているようなラムダ転写ターミネーターを含む。
プラスミドpRB192:プラスミドpRB192は、LysおよびArgを加えたブタ成長ホルモンの9つのアミノ酸が後に続く、アミノ酸のメチオニンに連結したTrpプロモーターを含み、また天然に存在するプロリラキシンも含む。pRB192は、第7図で示す通り、3つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。これらのフラグメントのうち第1フラグメントは、Xba IからBss HIIの小さなフラグメントが除去されたベクターpRB151であった。第2フラグメントは、LysおよびArgを加えたブタ成長ホルモンの9つのアミノ酸にメチオニンが加えられた配列を有する、合成二本鎖のRel 52であった。
Figure 0003954091
第3フラグメントは、pRB51を起源とする46塩基対のHinf IからBssHIIのフラグメントであった。
プラスミドpRB192C:プラスミドpRB192Cは、LysおよびArgを加えたブタ成長ホルモンの9つのアミノ酸が後に続くメチオニンにTrpプロモーターを連結させる結果得られて、天然には存在しないプロリラキシンをさらに含む。プラスミドpRB192Cは、プロモーターに欠けたテトラサイクリン耐性遺伝子を含む。pRB192Cは、第18図で示す通り、3つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。第1フラグメントは、プラスミドpRB192を起源とするBss HIIからEco RVまでの大きなベクターフラグメントであった。第2フラグメントは、天然には存在しないプロリラキシンの配列:
Figure 0003954091
を含む、合成二本鎖のRel 58であった。
第3フラグメントは、リラキシンA鎖およびテトラサイクリン耐性遺伝子の5'末端を含むpRB192の、200塩基対のTaq IからEco RVのフラグメントであった。
プラスミドpRB151:プラスミドpRB151は、プロリラキシンコード配列にTrpプロモーターを連結させる結果得られて、第8図で示す通り、2つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。これらのうち第1フラグメントは、プラスミドpRB61を起源とするPst IからXba Iのベクターフラグメントである。第2フラグメントは、[デボーアら、[プロモーターズ:ストラクチャー・アンド・ファンクション, ロドリゲツおよびチェンバーリン版, M.J.ペガー出版社, ニューヨーク462(1982)]から]で記載されている通り、プラスミドpHGH207−1を起源とするPst IからXba Iのフラグメント上にTrpプロモーターを含む。
プラスミドpRB51:プラスミドpRB51は、完全なST IIリーダー配列にアルカリホスファターゼプロモーターを連結させる結果得られて、また天然に存在するプロリラキシン配列も含む。pRB51は、第9図で示す通り、2つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。第1フラグメントは、プラスミドpRB11を起源とするNot IからBam HIまでの大きなベクターフラグメントであった。第2フラグメントは、プロリラキシンのアミノ酸配列12〜161をコードするpTR21を起源とする、Not IからBam HIの小さなフラグメントであって、その配列を第9A図に示す。pRB11は、ST IIシグナル配列の助けを借り、大腸菌E.Coli)においてリラキシンB鎖が発現するよう設計した発現プラスミドである。発現するのに必要とされる転写および翻訳配列は、APプロモーター、並びにトリプトファン(Trp)およびST IIシャイン・ダルガーノ配列により与えられる。pRB11のプラスミド起点およびテトラサイクリン耐性遺伝子は、AvaIおよびPvuIIのエンドヌクレアーゼ制限部位の間のヌクレオチド配列を欠失させることから、1細胞につきより多数のプラスミドコピーが結果的に得られるよう変化したpBR322プラスミドから誘導される。リラキシンB鎖に関するコード配列は、プロリラキシンH2のcDNAクローンから得られた[ハドソンら, ヨーロピアン・モレキュラー・バイオロジー・オーガニゼーション・ジャーナル , 2333(1984)]。アルカリホスファターゼ(AP)プロモーターおよび熱安定エンテロトキシンII(ST II)シグナル配列は、チャング(Chang)ら, ジーンGene55, 189(1987)で記載されている。pRB11の配列を第10図に示す。
プラスミドpRB61:プラスミドpRB61は、天然に存在するプロリラキシンコード配列にアルカリホスファターゼプロモーターを連結させる結果得られる。pRB61は、第11図で示す通り、4つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。第1フラグメントは、第15図で示すようなベクターpLS33lamBを起源とするEco RIからHind IIIのベクターフラグメントであった。第2フラグメントは、第16図で示すようなプラスミドpTF271を起源とする412塩基対のEco RIからXba Iのフラグメントであった。プラスミドpTF271は、ST IIシグナル配列の助けを借り、大腸菌E.Coli)のペリプラズム中へ成熟したヒト組織因子の最初の243のアミノ酸が発現するよう設計されている。発現するのに必要とされる転写および翻訳配列は、アルカリホスファターゼプロモーター、並びにTrpおよびST IIシャイン・ダルガーノ配列により与えられる。ヒト組織因子に関するコード配列は、フィッシャー(Fisher)ら, トロンボシス・リサーチThrom.Res.48, 89(1987)により記載されている。アルカリホスファターゼプロモーター、トリプトファン(Trp)および熱安定エンテロトキシンII(ST II)シャイン・ダルガーノ配列、並びにST IIシグナル配列は、phGH−1から誘導された[チャングら, ジーン 55, 189(1987)]。プラスミド起点およびテトラサイクリン耐性遺伝子は、pBR322から誘導された[ストクリフ, コールド・スプリング・ハーバー・シンポウジア・オン・クオンティタティブ・バイオロジー, 第43巻, 77(1978)]。
第3フラグメントは、プラスミドpPreProRelH2Trp207を起源とするXba IからBgl IIの小さなフラグメントである。pPreProRelH2Trp207は、HGHコード配列がプロリラキシンの配列で置換されたpHGH207の誘導体である[1987年5月5日に発行された米国特許第4,663,283号で記載されている通り]。第4フラグメントは、ベクターpRA1を起源とする24塩基対のBgl IIからHind IIIのフラグメントである。
プラスミドpLS33lamB:pLS33lamBは、第15図で示す通り、3つのDNAフラグメントを一緒に連結することにより構築された。これらのうち第1フラグメントは、Xba I−BstEIIIの小さなフラグメントが除去された、以下に記載するベクターpLS32であった。第2フラグメントは、lamBシグナル配列をコードする、以下に記載するpAPlamBを起源とする75塩基対のXba I−EaeIのフラグメントであった。第3フラグメントは、以下の配列を有する46塩基対の合成DNA二本鎖であった。
Figure 0003954091
上記配列は、成熟したIGF−Iのアミノ酸4〜18をコードする。
PL32は、IGF−Iコード配列が熱安定エンテロトキシン II(ST II)シグナル配列のコード配列に融合する結果得られて、第18図で示す通り、4つのDNAフラグメントを一緒に連結することにより製造された。これらのうち第1フラグメントは、組織因子遺伝子を含むNsiI−Bam HIの小さなフラグメントが除去された、ベクターpTF2A12であった[パボルスキー(Paborsky)ら, バイオケミストリーBiochemistry28, 8072(1989)]。ST IIシグナル配列は、ピッケンら, インフェクション・アンド・イムニティ 42, 269(1983)]により記載されている。第2フラグメントは、成熟したIGF−Iの最初の18のアミノ酸をコードする55塩基対の合成二本鎖であった。
この二本鎖は、以下の配列を有する。
Figure 0003954091
連結反応における第3部分は、IGF−Iの残留アミノ酸19〜70をコードする、pK1ZZ IGF−Iを起源とする154塩基対のBstEIIからHind IIIのフラグメントであった。pK1ZZ IGF−Iは、プロテインAシグナルに結合するプロテインAプロモーターに取り付けた、IgGsおよび分泌タンパクを結合するプロテインAを起源とする2つの共通z領域に結合した、Asn−Gly界面をコードする2つのコドンを用いて合成IGF−I遺伝子に融合したlacプロモーターを含み、また5つ多いコピー数までF領域も含むカナマイシン耐性プラスミドである。このプラスミドは、1987年8月5日に公開された欧州特許公開第230,869号で記載されているpZZ−IGF−Iに類似しており、そこでは、アンピシリン遺伝子がカナマイシン遺伝子で置換されている。pLS32の構築において第18B図に示された最後のフラグメントは、プラスミドpLS8を起源とする291塩基対のHind III−Bam HIのフラグメントであった。この最後のフラグメントは単に、Hind III制限部位がメチオニン開始コドンのすぐ上流になるよう工夫された、pBR322のテトラサイクリン遺伝子の開始点に関するコード配列というだけである[ストクリフ, コールド・スプリング・ハーバー・シンポウジア・オン・クオンティタティブ・バイオロジー 43, 77(1978)]。
プラスミドpAPlamB:プラスミドpAPlamBは、第19図で示す通り、2つのDNAフラグメントを一緒に連結することにより構築され、APプロモーターおよびTrpシャイン・ダルガーノ配列の下流にlamBシグナルコード配列を置く結果得られる。連結反応には、Xba I−Bgl IIの小さなフラグメントが除去されたベクターpRA1が伴われた。このプラスミドは、pHGH1の誘導体であり[チャングら, ジーン 55, 189(1987)]、この後者のプラスミドは、APプロモーター、ST IIシグナルおよびHGHをコードするDNAを含む。pRA1は、hGHではなくリラキシンA鎖をコードするDNA[この配列は、米国特許第4,758,516号で記載されている]を含み、またプロモーターおよびリボソーム結合部位の下流に簡便なBgl II制限部位を含むという点でpHGH1とは異なる。連結反応における第2部分は、lamBシグナル配列をコードする、以下の配列を有する80塩基対の合成DNA二本鎖であり、これは、クレメント(Clement)およびホフヌング(Hofnung), セルCell27, 507(1981)により記載されている。
Figure 0003954091
プラスミドpRA1:プラスミドpRA1は、アルカリホスファターゼプロモーターをST IIリーダー配列に融合させる結果得られ、リラキシンA鎖のコード配列をさらに含む。pRA1は、第12図で示す通り、3つのDNAフラグメントを一緒に連結することにより製造された。第1フラグメントは、第12A図で記載されている通り、pGH1[チャングら, ジーン 55, 189(1987)]およびpTF111[パボルスキーら, バイオケミストリー 28, 807(1989)]の誘導体であるプラスミドpTF161を起源とする、Nsi IからNhe Iの大きなベクターフラグメントであった。第2フラグメントは、以下の配列を有する合成二本鎖のRel 36である。
Figure 0003954091
第3フラグメントは、プラスミドpTR591を起源とする224塩基対のBgl IIからNhe Iのフラグメントであった。
プラスミドpTR591:プラスミドpTR591は、ヒトプロリラキシンにTrpプロモーターを連結させる結果得られる。pTR591は、第13図で示す通り、3つのフラグメントを一緒に連結することにより製造された。第1フラグメントは、第14図で示し、また国際特許公開WO 90/13659で記載されているようなプラスミドpTR561を起源とするBgl IIからBam HIのフラグメントであった。第2フラグメントが、pTR561を起源とする26塩基対のAlu IからBgl IIのフラグメントである一方、第3フラグメントは、RBR322を起源とする344塩基対のAlu IからBam HIのフラグメントである。
プラスミドpRB250CTscの他に、天然には存在しないリーダーおよびC−ペプチドを有するプロリラキシンを含んでなる他のプラスミドは、第2図で示す通り、構築された。
実施例2〜4
酵素的開裂部位を有する、天然には存在しないリーダー−C−ペプチドを含んでなる、プロリラキシン発現ベクターのpRELCIII、pRELCAspN、およびpRELCLysC[第2図を参照]は、pRB250CTscに関する上記の通り、合成C−ペプチドコード配列の適当な置換を伴って構築される。
実施例5
トリプシンおよびCPBを用いて、天然には存在しないプロリラキシンからリラキシンを製造する方法
発酵およびリフラクタイルボディの最初の単離:
pRB250CTscでトランスフェクトしたW3110tonAを発酵に使用する。37℃で約8時間増殖したLB振盪フラスコを60Lのシード発酵で接種するのに使用する。OD550が45+/−5となるまで60Lの培養を37℃で増殖した(約8〜9時間)後、1000Lの製造発酵を接種するのに使用する。1000Lの培養を37℃で増殖し、インドール酢酸(IAA)を加えて8時間後、通常は接種してから12〜16時間後に収穫する。使用する培地は、LBフラスコ−ルリアブイヨン+テトラサイクリン5μg/mlである。
次いで、収穫した細胞を以下に概要を述べるプロセス工程で処理する。
ブイヨンを熱−殺傷装置に通すことにより、細胞を収穫時間のうちに殺す。その混合物を2〜8℃まで冷却し、最終濃度が5mMとなるまでEDTAを加えて、pHを5.5に調節する。細胞を破壊(例えば、ガウリン(Gaulin)のホモジナイザー中で)して、リフラクタイルボディを遠心分離(例えば、アルファ・ラバル(Alfa Laval)AX213)により集める。ペレット化したリフラクタイルボディを凍結して、約−70℃で保存する。
ミニ−C プロリラキシンの抽出、ホールディング(folding)および精製:
リフラクタイルボディ1kgにつき14Lから20Lの抽出緩衝液(3.5M 塩酸グアニジン/50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5)中に、凍結したリフラクタイルボディを溶解する。
最終体積がリフラクタイルボディ1kgにつき60Lとなるまで、上記抽出物を50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5で希釈することにより、プロリラキシンを再生(refold)する。シスタミン(0.113g/L)およびシステイン(0.606g/L)を加え、プロリラキシンがホールディングされるまで、その混合物を約1時間撹拌する。再生が完了した後、最終濃度が約0.05〜0.1%となるまで、ポリエチレンイミンを加える。その結果得られる懸濁液を穏やかに約1時間撹拌する。50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5で120Lまでさらに希釈した後、その懸濁液をさらに1時間穏やかに撹拌する。
固体を遠心分離(例えば、CEPA Z101またはアルファ・ラバル AX213)により除去して、その結果得られる上澄みをデプス(depth)フィルター(例えば、CUNO)に通して濾過する。3.5M 尿素/50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5中で平衡としたシリカカラム上に、その透明な溶液を負荷する。そのカラムを5M 尿素/50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5で洗浄した後、ホールドしたプロリラキシンを5M 尿素/50mM トリス/0.2% EDTA/0.5M TMAMC, pH 8.5で溶離する。
その結果得られるプールを陽イオン交換クロマトグラフィー(例えば、S−セファロース・ファースト・フロー(S−Sepharose Fast Flow))によりさらに精製する。3.5M 尿素/50mM トリス/0.2% EDTA, pH 8.5中で平衡としたシリカカラムに、その溶液を直接加える。そのカラムを同じ緩衝液で洗浄する。0.5M NaClを含む同じ緩衝液でプロリラキシンを溶離する。
ミニ−C プロリラキシンの酵素的開裂:
イオン交換カラムから得られるプールを約5〜10mg/mlまで濃縮し、5Kのカットオフ(cutoff)膜(例えば、フィルトロン(Filtron)PES オメガ(Omega))上で、50mM トリス/5mM CaCl2, pH 8.5中へ濾過(diafiltered)する。
トリプシンを1:100w/wの比率(例えば、プロリラキシン100mgにつきトリプシン1MG)で溶液に加える。30分後、カルボキシペプチダーゼ Bをその混合物に加える(プロリラキシン1mgにつきCPB 0.2rEU)。開裂反応の進行をC4またはC18カラム上での分析用逆相クロマトグラフィーにより追跡する。完了した後、氷酢酸を加える(反応混合物1Lにつき30ml)ことにより、反応を停止する。
A鎖のN−末端グルタミンの環化:
酸性とした溶液を約85℃に加熱し、その状態で約1時間保った後、約10℃まで冷却する。その結果得られる懸濁液を、0.5M 酢酸を等容量加えることにより希釈して、遠心分離する。そのペレットを0.5M 酢酸で洗浄して、再び遠心分離してもよい。その結果得られる上澄みを合わせて、濾過する。
リラキシンの精製:
0.5M 酢酸/50mM トリス/5mM CaCl2, pH 3.5中で平衡とした陽イオン交換カラム(例えば、S−セファロース高性能)上に、その透明な上澄みを負荷する。ローディングが完了した後、そのカラムを最初に平衡緩衝液で洗浄した後、50mM MES, pH 7.0および50mM MES/125mM NaCl, pH 7.0で洗浄する。50mM MES, pH7.0中、125mMから140mMまでのNaClのグラジエントを用いて、リラキシンを溶離する。
0.1% リン酸中で平衡としたC4またはC18シリカカラム上での逆相クロマトグラフィーを行う。平衡緩衝液のグラジエントおよび0.1% リン酸/80% アセトニトリルを用いて、リラキシンを溶離する。
20mM MES/5% エタノール, pH 6.0中で平衡とした高性能陽イオン交換カラム(例えば、MONO S)上に、その結果得られるプールを直接負荷する。20mM MES/5% エタノール, pH6.0中、10mMから32mMまでのNaClのグラジエントを用いて、リラキシンを溶離する。
次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、セファデックス(Sephadex)G−15)にかけることより、または10mM クエン酸塩/等張生理食塩水, pH5.0、もしくは20mM 酢酸ナトリウム, pH 5.0を用い、5Kのカットオフ膜(例えば、アミコン(Amicon)YM−5, フィルトロン・オメガ)上で、限外濾過およびダイフィルトレーション(difiltration)することにより、リラキシンを製剤化する。
最終的注意
前述の記載では、本発明を行うのに利用することのできる具体的方法を詳述している。本願の特定化合物を特性決定し、製造して、使用するのに、初めに利用する具体的方法、またさらには利用する具体的モデルシステムに関する開示を詳述したことで、同じ知識に達するための、またこの知識を他の化合物およびシステムにまで拡張するための、他に代わる確実な方法をどのようにして考え出したらよいかということが、当業者には十分理解されるであろう。従って、本明細書中で前述のものをどんなに詳述して公にしても、本願の全体範囲を制限するものとして解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は、付記する請求の範囲の法的構成によってのみ支配されるべきである。

Claims (23)

  1. ヒトリラキシンを製造する方法であって、その方法は以下の工程:
    (a)アミノ末端からカルボキシ末端へ、リーダーペプチド、B鎖、非天然のC鎖、およびA鎖の順で含む非天然のプロリラキシンをフォールディングし(該リーダーペプチドはB鎖に隣接する第1の解裂部位を含み、該非天然のC鎖はB鎖に隣接する第2の解裂部位およびA鎖に隣接する第3の解裂部位を含み、非天然のC鎖はKRKPTGYGSRKKR、DKKRTGYGSRRRK、DKKRTGYGSRKKR、およびKRKPTGYGSRRRKよりなる群から選択されるアミノ酸配列よりなる);
    (b)フォールディングされたプロリラキシンを、該第1、第2および第3解裂部位に特異的な1以上の解裂剤と接触させ、それによって該リーダーペプチドおよび該非天然のC鎖を特異的に除去し;および
    (c)製造された生物学的に活性なヒトリラキシンを回収する;
    を含む方法。
  2. リラキシンがH2ヒトリラキシンである請求項1に記載の方法。
  3. 解裂剤が1以上の酵素である請求項1に記載の方法。
  4. 酵素をエンドプロテイナーゼAspN、トリプシン、エンドプロテイナーゼLysC、エンドプロテイナーゼArgC、およびカルボキシペプチダーゼBよりなる群から選択される請求項3に記載の方法。
  5. 酵素がカルボキシペプチダーゼBと組み合わせたトリプシンまたはエンドプロテイナーゼArgCである請求項4に記載の方法。
  6. 酵素がカルボキシペプチダーゼBと組み合わせたLysCである請求項4に記載の方法。
  7. 酵素がLysCと組み合わせたAspNである請求項4に記載の方法。
  8. プロリラキシンをコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトする作動可能な発現ベクター内に提供し、そのトランスフェクトされた細胞を培養し、プロリラキシンを単離することによりプロリラキシンを組換え的に製造する請求項1に記載の方法。
  9. 単離がプロリラキシンの可溶化を含む請求項8に記載の方法。
  10. プロリラキシンをグアニジン塩酸塩を含む溶液で可溶化する請求項9に記載の方法。
  11. プロリラキシンのフォールディングがレドックス緩衝液の存在下に起こる請求項9に記載の方法。
  12. 宿主細胞がE.coliである請求項8に記載の方法。
  13. A−鎖N−末端グルタミンを環化することをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
  14. リラキシンA−鎖N−末端グルタミンを熱工程により環化する請求項13に記載の方法。
  15. リラキシンを、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよび限外濾過より選択される方法の使用を含んでなる方法により回収する請求項1に記載の方法。
  16. リラキシンを製剤緩衝液中で製剤化することを場合により含んでなる請求項1に記載の方法。
  17. リーダーペプチド、B−鎖、非天然のC−鎖、およびA−鎖を含んでなる非天然のヒトプロリラキシンであって、該リーダー配列はB−鎖に隣接する解裂部位を含み、該非天然のC−鎖は、B−鎖およびA−鎖に隣接する解裂部位を含み、非天然型のC−鎖は、KRKPTGYGSRKKR、DKKRTGYGSRRRK、DKKRTGYGSRKKR、およびKRKPTGYGSRRRKよりなる群から選択されるアミノ酸配列よりなるプロリラキシン。
  18. 解裂部位が酵素的に解裂可能である請求項17に記載のプロリラキシン。
  19. 請求項17に記載のプロリラキシンをコードする単離されたDNA。
  20. 請求項19に記載のDNAを作動可能に含む発現ベクター。
  21. 請求項20に記載のベクターでトランスフェクトされた宿主細胞。
  22. 該酵素がカルボキシペプチダーゼと組み合わせたトリプシンである請求項5に記載の方法。
  23. 非天然のプロリラキシンからヒトリラキシンを製造する方法であって、該プロリラキシンはアミノ末端からカルボキシ末端に、順にリーダーペプチド、ヒトリラキシンB鎖、非天然のC鎖、ヒトリラキシンA鎖を含み、該リーダー配列はB鎖に隣接して第1解裂部位を含み、該非天然のC鎖はB鎖に隣接して第2解裂部位およびA鎖に隣接して第3解裂部位を含み、非天然のC鎖は、KRKPTGYGSRKKR、DKKRTGYGSRRRK、DKKRTGYGSRKKR、およびKRKPTGYGSRRRKよりなる群から選択されるアミノ酸配列よりなり、該方法は、
    (a)該プロリラキシンフォールディングし、
    (b)該フォールディングされたプロリラキシンを該第1、第2および第3解裂部位に特異的な1以上の解裂剤と接触させ、それによって該リーダー配列および該非天然のCペプチドを特異的に除去し、そして
    (c)このようにして作った生物学的に活性なヒトリラキシンを回収する、
    ことを含む方法。
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