JP3953919B2 - 感熱性粘着シートの熱活性化装置およびその熱活性化装置を用いたプリンタ装置 - Google Patents

感熱性粘着シートの熱活性化装置およびその熱活性化装置を用いたプリンタ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常時には非粘着性を示し、加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着剤層をシート状基体の片面に形成した感熱性粘着シートの熱活性化装置およびその熱活性化装置を用いたプリンタ装置に係り、特にプラテンローラへ付着した感熱性粘着剤を効果的に除去する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、商品に貼付されるシートの一つに熱活性シート(例えば感熱性粘着シートのような表面に熱活性成分を含むコート層が形成された印刷メディア)があり、例えば食品のPOSシート、物流・配送シート、医療用シート、バゲッジタグ、ビン・缶類の表示シートの貼付など幅広い分野で使用されている。
この感熱性粘着シートRは、シート状のシート基体(例えばベースペーパー)の裏面側に通常時には非粘着性を示し加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着剤層を、表面側に印刷可能面をそれぞれ形成して構成されている。
【0003】
具体的には、例えば図7に示すように、シート基体としてのベースペーパー500の一方側(図7では表面側)に、印刷可能面を形成する感熱性発色層としてのサーマルコート層501が設けられ、その上に例えば値札の枠や単位等の文字や模様等が印刷された有色印刷層502が形成されている。また、ベースペーパー500の他方側(図7では裏面側)には、熱可塑性樹脂、固体可塑剤等を主成分とする感熱性粘着剤を塗布した感熱性粘着剤層Kが形成されている。
【0004】
前記感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂、固体可塑剤等を主成分とするもので、常温では非粘着性であるが、熱活性化装置によって加熱すると活性化されて粘着性が発現する性質を有している。通常、活性化温度は50〜150℃であり、この温度領域で感熱性粘着剤中の固体可塑剤が溶融し、熱可塑性樹脂に粘着性が付与される。そして、溶融した固体可塑剤は過冷却状態を経て徐々に結晶化するため粘着性は所定時間持続され、この粘着性を有している間にガラス瓶等の対象物の表面に貼着して使用される。
【0005】
なお、感熱性粘着シートRの印刷可能面には、サーマルヘッドを備えたサーマルプリンタ装置によって所望の文字や画像等が印刷され、その印刷後に、前記熱活性化装置によって感熱性粘着剤層Kが活性化されるようになっている。
【0006】
また、前記サーマルプリンタ装置内に前記熱活性化装置を搭載し、感熱性粘着シートへの感熱印刷と感熱性粘着剤層の活性化を連続して行うことができるようにしたプリンタ装置も開発されつつある。
【0007】
このようなプリンタ装置は、例えば図6に示すような構成となっていた。
【0008】
図6において、符号Pはサーマルプリンタユニット、符号Cはカッターユニット、符号A2は熱活性化ユニット、符号Rはロール状に巻回された感熱性粘着シートを示す。
【0009】
サーマルプリンタユニットPは、印刷用サーマルヘッド100と、該印刷用サーマルヘッド100に圧接されるプラテンローラ101と、プラテンローラ101を回転させる図示しない駆動系(例えば電動モータとギア列等)を備えている。
【0010】
そして、プラテンローラ101を図ではD1方向(時計回り)に回転させることにより、感熱性粘着シートRを引き出し、引き出された感熱性粘着シートRに感熱方式の印刷を行ってから、D2方向(右側方向)へ搬出するようになっている。また、プラテンローラ101は、図示しない加圧手段(例えば、コイルバネや板バネ等)を備え、その弾撥力によりプラテンローラ101の表面がサーマルヘッド100に圧接されるようになっている。
【0011】
そして、図示しない印刷制御装置からの印刷信号に基づいて、印刷用サーマルヘッド100およびプラテンローラ101が稼働することにより感熱性粘着シートRのサーマルコート層501に対して所望の印刷を行うことができる。
【0012】
カッターユニットCは、サーマルプリンタユニットPによって感熱印刷が行われた感熱性粘着シートRを適当な長さで切断するためのものであり、電動モータ等の駆動源(図示省略)によって作動される可動刃200、固定刃201等から構成されている。なお、可動刃200は図示しない制御装置の制御により所定のタイミングで作動される。
【0013】
熱活性化ユニットA2は、例えば図示しない駆動源によって回転され、切断された感熱性粘着シートRの挿入、排出を行う挿入用ローラ300と排出用ローラ301を備え、その挿入用ローラ300と排出用ローラ301の間に、熱活性用サーマルヘッド400と、この熱活性用サーマルヘッド400に圧接されるプラテンローラ401が配設されている。プラテンローラ401は図示しない駆動系(例えば電動モータとギア列等)を備えており、プラテンローラ401をD4方向(図6では反時計回り)に回転させ、D3方向およびD5方向に回転する挿入用ローラ300および排出用ローラ301によって感熱性粘着シートRをD6方向(図6では右側方向)へ搬送するようになっている。また、プラテンローラ401は、図示しない加圧手段(例えば、コイルバネや板バネ等)を備え、その弾撥力によりプラテンローラ401の表面が熱活性用サーマルヘッド400に圧接されるようになっている。
【0014】
なお、図6において、符号Sで示されるのは、感熱性粘着シートRの排出を検出する排出検出センサである。この排出検出センサSによる感熱性粘着シートRの排出の検出に基づいて、次の感熱性粘着シートRの印刷、搬送および熱活性が行われる。
熱活性用サーマルヘッド400およびプラテンローラ401は、図示しない制御装置によって所定のタイミングで稼働され、熱活性用サーマルヘッド400から付与される熱により感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kが活性化されて粘着力を発現するようになる。
【0015】
このような構成の熱活性化ユニットA2により感熱性粘着シートRの粘着力が発現された後、酒類、薬品瓶などのガラス瓶やプラスチック容器等への表示シートの貼付作業、あるいは値札や広告シートの貼付作業を行うことにより、従来の一般的な粘着ラベルシートのように剥離シート(ライナー)が不要となるためコストを低減することができるという利点があり、使用後に廃棄物となる剥離シートを必要としないので省資源および環境問題の観点からもメリットがある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の感熱性粘着シートRの熱活性化ユニットA2においては、感熱性粘着シートRの搬送手段(特にプラテンローラ401)に、感熱性粘着剤が付着するという問題があった。
【0017】
即ち、前記カッターユニットC2によって所定の長さに切断された感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kが熱活性用サーマルヘッド400の発熱素子Hによって加熱され活性化された後、感熱性粘着シートRがプラテンローラ401から離脱する際に、図8(a)に示すように、感熱性粘着剤層Kの感熱性粘着剤は、加熱による軟化(液化)によってプラテンローラ401と熱活性用サーマルヘッド400との間に一部がしごき出されて感熱性粘着シートRのベースペーパー500から剥離した状態となる。
【0018】
さらに、感熱性粘着シートRが排出され、一旦空転状態となるプラテンローラ401に対して、図8(a)のように分離した状態の感熱性粘着剤G1は、図8(b)に示すように、活性化により発生した粘着力によってプラテンローラ401の周面に付着した状態となる。
【0019】
そして、図8(a),(b)のような状態が複数回繰り返されることにより、図8(c)に示すように、プラテンローラ401の周面に塊状の感熱性粘着剤G1が多数付着した状態となる。
【0020】
さらに、プラテンローラ401の周面に付着した感熱性粘着剤G1は、熱活性用サーマルヘッド400による複数回の加熱により溶融して強い粘着力を有するため、搬送されて来る感熱性粘着シートRの表面側に一部が付着して印刷面を汚損する虞があった。
【0021】
また、付着した多数の感熱性粘着剤G1によってプラテンローラ401の周面の平滑性が損なわれ、搬送されて来る感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kを均一に加熱できなくなり、十分な粘着力を発揮できない事態を生じるという問題を抱えていた。
【0022】
このような不具合を解消するために、使用者は、プラテンローラの周面に付着した付着物をクリーニング用の溶剤等を用いて定期的に拭き取る作業を行うか、あるいはプラテンローラ自体を交換する作業を行う必要があり、手間がかかると共にメンテナンスのコストも嵩むという問題があった。
【0023】
この発明は、上記問題点を解決すべく案出されたものであり、感熱性粘着シートのプラテンローラに対する感熱性粘着剤の付着物を手間およびコストをかけずに、効果的に除去することのできる感熱性粘着シートの熱活性化装置およびその熱活性化装置を用いたプリンタ装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、シート状基材の一方の面に印刷可能面が、他方の面に感熱性粘着剤層がそれぞれ形成してなる感熱性粘着シートの前記感熱性粘着剤層を加熱して活性化させるための活性化用サーマルヘッドと、該感熱性粘着シートを所定の方向に搬送するプラテンローラ(41)とを少なくとも備える感熱性粘着シートの熱活性化装置(熱活性化ユニットA1)であって、前記プラテンローラは、該プラテンローラの周面に対して付着する前記感熱性粘着剤から成る付着物(G2)を除去する付着物除去手段を備え、該付着物除去手段は、前記プラテンローラの周面と、前記感熱性粘着シートの排出側近傍で摺接して、プラテンローラの周面に付着した付着物を転写させる転写用ローラ(42)と、該転写用ローラと前記プラテンローラとの間に挿通されて、前記転写用ローラの周面に付着した前記付着物をさらに転写させて除去するクリーニング用シート(感熱性粘着シートR)とから構成されるようにした。
【0025】
これにより、プラテンローラの表面に付着した付着物は、転写用ローラに転写され、さらに転写用ローラの周面に転写された付着物は、クリーニング用シートに転写されて除去される。したがって、転写用ローラに転写された付着物がプラテンローラに再付着する事態を防止してプラテンローラの周面を効果的に清浄化することができる。
【0026】
また、前記クリーニング用シートは、前記感熱性粘着シートで構成されるようにしてもよい。これにより、熱活性化装置による感熱性粘着シートの活性化を継続して行うだけで、感熱性粘着シートによって自動的にプラテンローラおよび転写用ローラの清掃が実行されるので、いわゆるセルフクリーニングを実現することができ、手間やコストをかけることなくプラテンローラの周面を常に清浄な状態に保つことができる。なお、本発明者等の実験により、感熱性粘着シートの裏面(感熱性粘着剤層が形成された面)に転写用ローラからの付着物が転写された状態においても、対象物への貼着には支障がないことが確認されている。
【0027】
また、前記活性化用サーマルヘッドの表面の表面エネルギーをU1、前記プラテンローラの周面の表面エネルギーをU2、前記転写用ローラの周面の表面エネルギーをU3、前記クリーニング用シートの前記転写用ローラとの接触面の表面エネルギーをU4とした場合に、U4>U3>U2>U1の関係が成り立つように構成してもよい。これにより、サーマルヘッドの表面に堆積した感熱性粘着剤は、より表面エネルギーの高いプラテンローラの周面に付着し、プラテンローラに付着した付着物は、より表面エネルギーの高い転写用ローラの周面に付着し、さらに転写用ローラに付着した付着物は、より表面エネルギーの高いクリーニング用シートの接触面に付着するので、プラテンローラの周面の清浄化を効果的に行うことができる。なお、表面エネルギーU1〜U4は、各部材の材質の化学的性質および表面荒さなどの物理的な性質によって調節可能である。
【0028】
また、前記転写用ローラの直径は、前記プラテンローラの直径よりも小径であるように構成するとよい。これにより、クリーニング用シートと転写用ローラの周面との接触面積を比較的小さくすることができ、クリーニング用シートの転写用ローラへの巻き込み防止と、クリーニング用シートの接触面への付着物の確実な転写とを両立させることができる。
【0029】
また、前記転写用ローラは、周面を冷却する冷却手段を備えるようにしてもよい。これにより、プラテンローラの周面において軟化した液状に近い状態にある付着物は、冷却手段で冷却された転写用ローラの周面と接触することにより、冷却されて粘性が高まって転写用ローラに付着し易くなり、プラテンローラから転写用ローラへの付着物の転写を促進させることができる。
【0030】
なお、前記冷却手段は、前記転写用ローラと同軸に取り付けられて転写用ローラ側に送風する送風ファンで構成したり、前記転写用ローラの胴部の長手方向に穿設される複数の中空部と、該各中空部の一方側の端部に設けられる空気取り込み用フィンとで構成したり、あるいは、前記転写用ローラの回転軸あるいは該回転軸の軸受部材に接触させて設けられる吸熱素子で構成されるようにできる。
【0031】
また、他の発明に係るプリンタ装置は、上述の感熱性粘着シートの熱活性化装置を備えるようにしたものである。これにより、プラテンローラの周面を清浄化して感熱性粘着シートの印刷可能面を汚損することがなく、また、感熱性粘着剤層を十分に活性化して均一な粘着力を発揮させることのできる感熱性粘着シート用のプリンタ装置を実現することができる。
【0032】
また、感熱発色層が形成された印刷可能面を有する感熱性粘着シートの前記感熱発色層に当接して印刷を行うサーマルヘッドを備えるようにしてもよい。これにより、感熱性粘着シートへの印刷をサーマルヘッドを用いた感熱方式で行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は本発明に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す概略図である。
図1において、符号P1はサーマルプリンタユニット、符号C1はカッターユニット、符号A1は熱活性化装置としての熱活性化ユニット、符号Rはロール状に巻回された感熱性粘着シートを示す。
【0035】
感熱性粘着シートRは、例えば前出の図6に示すような構成となっている。なお、必要に応じて、ベースペーパー500上に断熱層を設けるようにしてもよい。サーマルプリンタユニットP1は、印刷用サーマルヘッド10と、該印刷用サーマルヘッド10に圧接されるプラテンローラ11と、プラテンローラ11を回転させる図示しない駆動系(例えば電動モータとギア列等)を備えている。
【0036】
図1ではプラテンローラ11をD1方向(時計回り)に回転させることにより、感熱性粘着シートRを引き出し、引き出された感熱性粘着シートRに感熱方式の印刷を行ってから、D2方向(右側方向)へ搬出するようになっている。また、プラテンローラ11は、図示しない加圧手段(例えば、コイルバネや板バネ等)を備え、その弾撥力によりプラテンローラ11の表面が印刷用サーマルヘッド10に圧接されるようになっている。そして、図示しない印刷制御装置からの印刷信号に基づいて、印刷用サーマルヘッド10および印刷用プラテンローラ11が稼働することにより感熱性粘着シートRのサーマルコート層501に対して所望の印刷を行うことができる。
【0037】
印刷用サーマルヘッド10の発熱素子は、ドット印字が可能なようにヘッドの幅方向に並設された複数の比較的小さな抵抗体で構成されている。一方、後述する熱活性用サーマルヘッド40の発熱素子Hは、印刷用のようにドット単位で分割されている必要はなく、連続した抵抗体としてもよい。なお、印刷用サーマルヘッド10と熱活性用サーマルヘッド40とに同じ構成の抵抗体を用いることにより部品を共通化してコストの低廉化を図ることもできる。
【0038】
カッターユニットC1は、サーマルプリンタユニットP1によって感熱印刷が行われた感熱性粘着シートRを適当な長さで切断するためのものであり、電動モータ等の駆動源(図示省略)によって作動される可動刃20、固定刃21等から構成されている。なお、可動刃20は図示しない制御装置の制御により所定のタイミングで作動される。
【0039】
熱活性化ユニットA1は、例えば図示しない駆動源によって回転され、切断された感熱性粘着シートRの挿入を行う挿入用ローラ30、排出を行う排出用ローラ43を備え、その挿入用ローラ30と排出用ローラ43の間に、熱活性用サーマルヘッド40と、この熱活性用サーマルヘッド40に圧接される熱活性用プラテンローラ41と、転写用ローラ42が配設されている。
【0040】
熱活性用プラテンローラ41は図示しない駆動系(例えば電動モータとギア列等)を備えており、熱活性用プラテンローラ41をD4方向(図1では反時計回り)に回転させ、D3方向およびD8方向に回転する挿入用ローラ30および排出用ローラ43によって感熱性粘着シートRを図1で右側方向へ搬送するようになっている。
【0041】
また、熱活性用プラテンローラ41は、図示しない加圧手段(例えば、コイルバネや板バネ等)を備え、その弾撥力により熱活性用プラテンローラ41の表面が熱活性用サーマルヘッド40に圧接されるようになっている。また、熱活性用プラテンローラ41は、例えば硬質ゴム等で構成されている。
【0042】
転写用ローラ42は、熱活性用プラテンローラ41よりも小径のローラで構成され、熱活性用プラテンローラ41の周面に摺接されて、つれ回りする従動ローラとして設けられている。したがって、転写用ローラ42は、熱活性用プラテンローラ41がD4方向に回転されると、それに従ってD7方向に回転され、感熱性粘着シートRが搬送されて来ると、熱活性用プラテンローラ41と転写用ローラ42とで挟むようにして搬出ローラ43側へ搬出する。また、感熱性粘着シートRが到来していない状態において、転写用ローラ42は熱活性用プラテンローラ41の周面に直接接触することにより、熱活性用サーマルヘッド40から熱活性用プラテンローラ41の周面に付着された感熱性粘着剤から成る付着物は、転写用ローラ42の周面に転写される。これにより、熱活性用プラテンローラ41の周面を常に清浄な状態とすることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、感熱性粘着シートR自体が転写用ローラ42の周面の清掃を行うクリーニング用シートの役目を果たしており、次々に到来する感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面が転写用ローラ42の周面と接触することにより、転写用ローラ42の周面に付着した付着物を除去するようになっている。これにより、感熱性粘着シートRの発行作業を継続して行うだけで、感熱性粘着シートRによって自動的に転写用ローラ42の清掃が実行されるので、いわゆるセルフクリーニングを実現することができ、手間やコストをかけることなく熱活性用プラテンローラ41の周面を常に清浄な状態に保つことができる。なお、本発明者等の実験により、感熱性粘着シートRの裏面(感熱性粘着剤層Kの表面)に転写用ローラ42からの付着物が転写された状態においても、対象物への貼着には支障がないことが確認されている。
【0044】
ここで、熱活性用サーマルヘッド40の表面の表面エネルギーをU1、熱活性用プラテンローラ41の周面の表面エネルギーをU2、転写用ローラ42の周面の表面エネルギーをU3、クリーニング用シートとしての感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面エネルギーをU4とした場合に、U4>U3>U2>U1の関係が成り立つように構成することが望ましい。表面エネルギーU1〜U4は、各部材の材質の化学的性質および表面荒さなどの物理的な性質によって調節可能である。
【0045】
例えば、熱活性用サーマルヘッド40の表面、熱活性用プラテンローラ41および転写用ローラ42の周面に、フッ素樹脂等をコーティングして表面エネルギーの強さを化学的な性質によって調節するようにしてもよい。
【0046】
また、例えば転写用ローラ42においては、表面エネルギーの強さを熱活性用プラテンローラ41の周面よりも大きくするために、表面を荒らして微小な凹凸を形成するようにしてもよい。
【0047】
これにより、熱活性用サーマルヘッド40の表面に堆積した感熱性粘着剤は、より表面エネルギーの高い熱活性用プラテンローラ41の周面に付着し、活性用プラテンローラ41に付着した付着物は、より表面エネルギーの高い転写用ローラ42の周面に付着し、さらに転写用ローラ42に付着した付着物は、より表面エネルギーの高い感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面に付着して除去されるので、熱活性用プラテンローラ41の周面への付着物の再付着等を防止して清浄化を効果的に行うことができる。
【0048】
図1において、符号Sは、感熱性粘着シートRの排出を検出する排出検出センサであり、この排出検出センサSによる感熱性粘着シートRの排出の検出に基づいて、次の感熱性粘着シートRの印刷、搬送および熱活性が行われる。
【0049】
次に、図1および図2を参照して本実施形態に係るサーマルプリンタ装置の動作について説明する。図2は、熱活性用プラテンローラに付着した付着物を除去する状況を示す説明図である。
【0050】
まず、サーマルプリンタ装置が稼働を開始すると、サーマルプリンタユニットP1によって感熱性粘着シートRの印刷可能面(サーマルコート層501)に感熱印刷が行われる。次いで、印刷用プラテンローラ11の回転によってカッターユニットC1に搬送された感熱性粘着シートRは、所定タイミングで稼働する可動刃20によって所定の長さに切断される。
【0051】
続いて、切断後の感熱性粘着シートRは、熱活性化ユニットA1の挿入用ローラ30によって熱活性化ユニットA1内に取り込まれ、図示しない制御装置によって所定のタイミングで稼働される熱活性用サーマルヘッド40(発熱素子H)および熱活性用プラテンローラ41によって熱エネルギーが付与される。これにより、感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kは、活性化されて粘着力を発揮するようになる。
【0052】
次いで、感熱性粘着シートRは、熱活性用プラテンローラ41と転写用ローラ42との間に挟持されて排出ローラ43側へ搬送され、サーマルプリンタ装置の外部へ排出される。
【0053】
この際に、感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kが熱活性用サーマルヘッド40の発熱素子Hによって加熱され活性化された後、感熱性粘着シートRが熱活性用プラテンローラ41から離脱する際に、感熱性粘着剤層Kの感熱性粘着剤は、加熱による軟化によって熱活性用プラテンローラ41と熱活性用サーマルヘッド40との間に一部がしごき出されて感熱性粘着シートRのベースペーパー500から剥離して付着物G1が付着した状態となる(図2(a)参照)。
【0054】
さらに、感熱性粘着シートRが排出され、一旦空転状態となる熱活性用プラテンローラ41に対して、付着物G1は、活性化により発生した粘着力によって熱活性用プラテンローラ41の周面に付着物G2として転写された状態となる(図2(a)参照)。この際に、熱活性用サーマルヘッド40の表面の表面エネルギーU1は、熱活性用プラテンローラ41の周面の表面エネルギーU2よりも低くなるように構成してあるので、熱活性用サーマルヘッド40の表面上の付着物G1が、熱活性用プラテンローラ41の周面に転写され易い状態になっている。したがって、熱活性用サーマルヘッド40の表面に付着した付着物G1を効果的に除去することができ、付着物G1の焦げつきや、熱活性用サーマルヘッド40への付着物G1の堆積により熱活性力が低下する事態を未然に防止することができる。
【0055】
次いで、次の感熱性粘着シートRが来るまでの一定時間、熱活性用プラテンローラ41と転写用ローラ42の周面が直接接触した状態で回転される。この状態において、熱活性用プラテンローラ41の周面に付着した付着物G2は、転写用ローラ42の周面に付着物G3として転写される(図2(b)参照)。この際に、熱活性用プラテンローラ41の周面の表面エネルギーU2が、転写用ローラ42の周面の表面エネルギーU3よりも低くなるように構成されているので、熱活性用プラテンローラ41の周面上の付着物G2が、転写用ローラ42の周面に転写され易い状態となっている。したがって、熱活性用プラテンローラ41の周面上の付着物G2を効果的に除去することができ、これにより、熱活性化ユニットA1によって次に搬送されて来る感熱性粘着シートRの熱活性を行う際に、印刷可能面(有色印刷層502の表面)を汚損したり、熱活性用プラテンローラ41の周面に付着物G2が堆積して熱活性用サーマルヘッド40との接触が不均一となり熱活性が不十分となる事態を未然に回避することが可能となる。
【0056】
続いて、次の感熱性粘着シートRが到来すると、熱活性化ユニットA1の挿入用ローラ30によって熱活性化ユニットA1内に取り込まれ、上述の手順で熱活性が行われた後、熱活性用プラテンローラ41と転写用ローラ42との間に挟持されて排出ローラ43側へ搬送される。この際に、転写用ローラ42の周面に付着した付着物G3は、感熱性粘着シートRは熱活性により粘着力を発現した感熱性粘着剤層Kに付着物G4として転写される(図2(c)参照)。
【0057】
なお、転写用ローラ42の周面の表面エネルギーUは、クリーニング用シートとしての感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面エネルギーU4よりも低くなるように構成されているので、転写用ローラ42の周面上の付着物Gが、感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面に転写され易い状態となっている。また、転写用ローラ42の直径は、熱活性用プラテンローラ41の直径よりも小径に構成されているので、感熱性粘着シートRと転写用ローラ42の周面との接触面積を比較的小さくすることができ、感熱性粘着シートRの転写用ローラ42への巻き込み防止と、感熱性粘着シートRの接触面への付着物の確実な転写とを両立させることができる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、熱活性用プラテンローラ41に付着した感熱性粘着剤G2を、手間をかけずに確実に除去することができる。したがって、熱活性化ユニットA1により次に搬送されて来る感熱性粘着シートRの熱活性を行う際に、印刷可能面(有色印刷層502の表面)を汚損したり、熱活性用プラテンローラ41の周面に付着物G2が堆積して熱活性用サーマルヘッド40との接触が不均一となり熱活性が不十分となる事態を未然に回避することが可能となると共に、セルフクリーニングを実現してメンテナンス性を向上させることができる。
【0059】
また、上述の転写用ローラ42に冷却手段を設けて、転写用ローラ42の周面を冷却するようにしてもよい。これにより、熱活性用プラテンローラ41の周面において軟化した液状に近い状態にある付着物G2は、冷却手段で冷却された転写用ローラ42の周面と接触することにより、冷却されて粘性が高まって転写用ローラ42に付着し易くなり、熱活性用プラテンローラ41から転写用ローラ42への付着物G3の転写を促進させることができる。
冷却手段としては、図3および図4に示す構成が考えられる。
【0060】
図3(a)は、転写用ローラ42の回転軸42aの端部に取り付けられて、転写用ローラ42側に送風する送風ファン42bによって冷却手段を構成した場合を示す。これにより、転写用ローラ42の周面を空冷することができる。
【0061】
図3(b)は、図3(a)の例において、転写用ローラ42の胴部の長手方向に複数の中空部600を穿設した場合を示す。これにより、送風ファン42bから送風された空気は、転写用ローラ42の周面および中空部600を流通して冷却するので、より効率的に転写用ローラ42を冷却することができる。
【0062】
図3(c)は、転写用ローラ42の胴部の長手方向に複数の中空部700を穿設し、その中空部700の一方側の端部に、空気取り込み用フィンFを設けた場合を示す。これにより、転写用ローラ42の回転に伴って、空気取り込み用フィンFより取り込まれた空気が中空部700を流通して他端から排出されることにより転写用ローラ42を冷却することができる。
【0063】
一方、図4に示す冷却手段の例は、転写用ローラ42の回転軸42aの軸受部材800の底部に吸熱素子(例えば、ペルチェ素子)900を設けたものである。これにより、吸熱素子900に通電して軸受部材800の熱を吸熱することにより、この軸受部材800と接触する転写用ローラ42を放熱部材910を介して冷却することができる。なお、吸熱素子900に代えて、水冷ジャケットや吸熱シートを設けることも考えられる。
【0064】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
例えば、本実施形態では、転写用ローラ42の周面に付着した付着物G3の除去を、次回に到来する感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面によって行う場合を示したが、これに限らず、所定の表面加工を施したクリーニング専用のシートを準備して用いるようにしてもよい。
【0066】
また、図5(a)に示すように熱活性用プラテンローラ41に付着物G2が付着した状態において、図5(b)に示すように転写用ローラ42を一旦停止させ、さらに熱活性用プラテンローラ41のみを逆回転させて付着物G3を掻き集めた後に、再び熱活性用プラテンローラ41および転写用ローラ42を正回転させて集めた付着物G3をまとめて転写用ローラ42に転写させ(図5(c)参照)、次いで到来する感熱性粘着シートRの感熱性粘着剤層Kの表面に付着物G4を転写させて除去(図5(d)参照)するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、プリンタユニットとして感熱方式を用いる場合について述べたが、これに限定されるものではなく、インクジェット方式、レーザープリント方式等を用いることも可能である。その場合には、感熱性粘着シートの印刷可能面に、サーマルコート層に代えて各印刷方式に適した表面加工を施すこととなる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る感熱性粘着シートの熱活性化装置は、シート状基材の一方の面に印刷可能面が、他方の面に感熱性粘着剤層がそれぞれ形成してなる感熱性粘着シートの前記感熱性粘着剤層を加熱して活性化させるための活性化用サーマルヘッドと、該感熱性粘着シートを所定の方向に搬送するプラテンローラとを少なくとも備える感熱性粘着シートの熱活性化装置であって、前記プラテンローラは、該プラテンローラの周面に対して付着する前記感熱性粘着剤から成る付着物を除去する付着物除去手段を備え、該付着物除去手段は、前記プラテンローラの周面と、前記感熱性粘着シートの排出側近傍で摺接して、プラテンローラの周面に付着した付着物を転写させる転写用ローラと、該転写用ローラと前記プラテンローラとの間に挿通されて、前記転写用ローラの周面に付着した前記付着物をさらに転写させて除去するクリーニング用シートとから構成されるようにしので、プラテンローラの表面に付着した付着物は、転写用ローラに転写され、さらに転写用ローラの周面に転写された付着物は、クリーニング用シートに転写されて除去され、転写用ローラに転写された付着物がプラテンローラに再付着する事態を防止してプラテンローラの周面を効果的に清浄化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す概略図である。
【図2】熱活性用プラテンローラに付着した付着物を除去する状況を示す説明図である。
【図3】転写用ローラの冷却手段の例を示す説明図である。
【図4】転写用ローラの冷却手段の他の例を示す説明図である。
【図5】付着物の除去手法を説明する説明図である。
【図6】従来のサーマルプリンタ装置の構成を示す概略図である。
【図7】感熱性粘着シートの構成例を示す断面図である。
【図8】従来の熱活性化装置における感熱性粘着剤等の付着状況を示す説明図である。
【符号の説明】
P1 サーマルプリンタ装置
10 印刷用サーマルヘッド
11 印刷用プラテンローラ
C1 カッター装置
20 可動刃
21 固定刃
A1 熱活性化装置
30 挿入用ローラ
40 熱活性用サーマルヘッド
H 発熱素子
41 熱活性用プラテンローラ
42 転写用ローラ
42a 回転軸
42b 送風ファン
600,700 中空部
F 空気取り込み用フィン
G1〜G4 付着物
R 感熱性粘着シート(クリーニング用シート)
500 ベースペーパー
501 サーマルコート層
502 有色印刷層
K 感熱性粘着剤層
800 軸受部材
900 吸熱素子
910 放熱部材

Claims (10)

  1. シート状基材の一方の面に印刷可能面が、他方の面に感熱性粘着剤層がそれぞれ形成してなる感熱性粘着シートの前記感熱性粘着剤層を加熱して活性化させるための活性化用サーマルヘッドと、該感熱性粘着シートを所定の方向に搬送するプラテンローラとを少なくとも備える感熱性粘着シートの熱活性化装置であって、
    前記プラテンローラは、該プラテンローラの周面に対して付着する前記感熱性粘着剤から成る付着物を除去する付着物除去手段を備え、
    該付着物除去手段は、
    前記プラテンローラの周面と、前記感熱性粘着シートの排出側近傍で摺接して、プラテンローラの周面に付着した付着物を転写させる転写用ローラと、
    該転写用ローラと前記プラテンローラとの間に挿通されて、前記転写用ローラの周面に付着した前記付着物をさらに転写させて除去するクリーニング用シートと、
    から構成されたことを特徴とする感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  2. 前記クリーニング用シートは、前記感熱性粘着シートで構成されることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  3. 前記活性化用サーマルヘッドの表面の表面エネルギーをU1、前記プラテンローラの周面の表面エネルギーをU2、前記転写用ローラの周面の表面エネルギーをU3、前記クリーニング用シートの前記転写用ローラとの接触面の表面エネルギーをU4とした場合に、
    U4>U3>U2>U1
    の関係が成り立つように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  4. 前記転写用ローラの直径は、前記プラテンローラの直径よりも小径であるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  5. 前記転写用ローラは、周面を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  6. 前記冷却手段は、前記転写用ローラと同軸に取り付けられて転写用ローラ側に送風する送風ファンで構成されることを特徴とする請求項5に記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  7. 前記冷却手段は、前記転写用ローラの胴部の長手方向に穿設される複数の中空部と、該各中空部の一方側の端部に設けられる空気取り込み用フィンとで構成されることを特徴とする請求項5に記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  8. 前記冷却手段は、前記転写用ローラの回転軸あるいは該回転軸の軸受部材に接触させて設けられる吸熱素子で構成されることを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置。
  9. 前記請求項1から請求項8の何れかに記載の感熱性粘着シートの熱活性化装置を備えることを特徴とするプリンタ装置。
  10. 感熱発色層が形成された印刷可能面を有する感熱性粘着シートの前記感熱発色層に当接して印刷を行うサーマルヘッドを備えることを特徴とする請求項9に記載のプリンタ装置。
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