JP3953255B2 - 印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切り離し可能なカード部を有する印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
切り離し可能なカード部を有する印刷物として、例えば、特開平11−11492号に開示された封筒がある。上記封筒には、図8に示すように、封筒の宛先記載部位に、切断予定線37で囲まれたカード部35を形成し、上記カード部35の裏面に、肉厚のあるカード36を接合したものである。上記封筒では、肉厚のあるカード36を郵送することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記封筒のカード36は、表面に封筒の宛先記載部位が露出したままであるため、使用を続けると、紙である宛先記載部位が破れたり汚れたりして、カードとしての耐久性に劣るという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、切り離し可能なカード部を切り離し後にラミネート加工して、カードの耐久性を向上させることができる印刷物の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の印刷物は、第1樹脂シートと、上記第1樹脂シートに接着層を介して剥離可能に積層された第2樹脂シートと、上記第2樹脂シートに積層された印刷媒体とを含み、上記第1および第2樹脂シートと印刷媒体との積層部に対し、上縁が第1樹脂シートの厚みと同じ寸法だけギザギザに形成された切刃により印刷媒体の裏面側から略長方形の切れ込みを入れることにより、上記積層部に、切り取り線で囲まれた切り離し可能なカード部が設けられ、上記第2樹脂シートの第1樹脂シートに対する面が易剥離面に形成されて上記カード部のうち第2樹脂シートと印刷媒体とが第1樹脂シートと接着層を残して剥離しうるようになっており、上記第1樹脂シートに形成された切り取り線が断続的な切れ込みからなるものであるとともに、上記印刷媒体から第2樹脂シートにわたる切り取り線が実質的に連続する切れ込みからなるものであることを要旨とする。
【0006】
すなわち、本発明の印刷物は、第1樹脂シートと、上記第1樹脂シートに接着層を介して剥離可能に積層された第2樹脂シートと、上記第2樹脂シートに積層された印刷媒体とを含み、上記第1および第2樹脂シートと印刷媒体との積層部に、切り取り線で囲まれた切り離し可能なカード部が設けられている。そして、上記カード部のうち第2樹脂シートと印刷媒体とが第1樹脂シートと接着層を残して剥離しうるようになっている。
【0007】
このため、剥離された印刷媒体の表面が第2樹脂シートによってラミネートされたカードを容易に得ることができる。このカードの第2樹脂シートがラミネートされていない裏面には、手書き,ゴム版,捺印,印刷などの自由な書き込みを行うこともできる。その後、印刷物に残された上記第1樹脂シートのカード部に、上記カードのラミネートされていない裏面を対面させ、第1樹脂シートに残った接着層によって接着させる。そして、上記第1および第2樹脂シートと印刷媒体の積層体を、第1樹脂シートのカード部周辺に設けられた切り取り線から切り離し、印刷媒体の両面に第1および第2樹脂シートがラミネートされたカードを得ることができる。
【0008】
このように、印刷媒体の両面に樹脂シートがラミネートされたカードを容易に形成することができるため、定期入れ等に入れて携帯しても、しわになったり傷んだりし難く、非常に耐久性に優れる。また、印刷媒体のカード部に書き込みをした後に書き込みの上を樹脂シートでラミネートすることができるため、書き込みが消えたり汚損することがほとんどなくなる。
【0009】
本発明において、上記第1樹脂シートの切り取り線が、断続的な切れ込みからなるものである場合には、カード部を切り離す前は、カード部が印刷物から容易に切り離されないように保持するとともに、第1樹脂シートの切り離しが必要になったときには、上記切れ込みから上記第1樹脂シートのカード部を容易に切り離すことができる。
【0010】
本発明において、上記印刷媒体から第2樹脂シートにわたる切り取り線が、実質的に連続する切れ込みからなるものである場合には、カード部のうち第2樹脂シートと印刷媒体を第1樹脂シートから容易に剥離することができる。
【0011】
本発明において、上記第2樹脂シートの第1樹脂シートと密着する面が易剥離面に形成されている場合には、接着層に剥離跡をほとんど残さず、かつ、接着力もそれほど低下させずに第2樹脂シートと印刷媒体を第1樹脂シートから剥離することができる。
【0012】
なお、本発明において「易剥離面」とは、第2樹脂シートを接着層から容易に剥離しうる表面をいい、例えばシリコーン被覆面,フッ素樹脂被覆面,エンボス加工面,ブラスト加工面等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明において、上記カード部に、磁気記録層を存在させている場合には、切り離したカードを、情報が記録できる磁気記録カード等として利用でき、各種の用途に用いることができ、便利である。
【0014】
本発明において、上記カード部に、バーコードが設けられている場合には、切り離したカードを、各種の情報が記録できる情報記録カードとして利用でき、各種の用途に用いることができ、便利である。
【0015】
また、上記バーコードとして2次元コードを用いた場合には、記録できる情報量が極めて多くなり、極めて低コストで、音声や画像等のデータを記録できるようになる。
【0016】
本発明において、上記カード部にICチップを存在させている場合には、切り離したカードを、例えば、高密度情報が記録できるICカードやメモリカード等として利用でき、各種の用途に用いることができ、便利である。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0018】
図1および図2は、本発明の印刷物の一実施の形態を示す。このものは、第1樹脂シート1と、上記第1樹脂シート1に接着層6を介して剥離可能に積層された第2樹脂シート2と、上記第2樹脂シート2に積層された印刷媒体3とを備えている。上記第1および第2樹脂シート1,2と印刷媒体3との積層体4には、切れ込み(切り取り線)13,14で囲まれた切り離し可能なカード部7が設けられ、上記カード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3とが、第1樹脂シート1と接着層6を残して剥離しうるようになっている。
【0019】
より詳しく説明すると、上記第1樹脂シート1の裏面には、接着層6が形成されており、上記接着層6を介して、第2樹脂シート2が剥離可能に積層されている。
【0020】
上記第2樹脂シート2の表面には、シリコーン被覆層5が形成され、その表面が易剥離面9に形成されている。また、上記第2樹脂シート2の裏面には、上記印刷媒体3に一体的に積層するための接着層(図示せず)が形成されている。第2樹脂シート2の、第1樹脂シート1と密着する表面が易剥離面9に形成されているため、接着層6に剥離跡をほとんど残さず、かつ、接着力もそれほど低下させずに上記第2樹脂シート2を第1樹脂シート1から容易に剥離することができる。
【0021】
上記第1および第2樹脂シート1,2は、同一の大きさの略長方形に形成されており、印刷媒体3に積層してもはみ出さない程度の大きさに形成されている。そして、上記カード部7は、上記積層体4のうち上記切れ込み13,14で囲まれた切り離し可能な略長方形の部分であり、上記カード部7の第2樹脂シート2と印刷媒体3との間には、磁気テープ20が挟まれている。
【0022】
上記第1および第2樹脂シート1,2としては、特に限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリエステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂等からなる単層のプラスチックフィルムや、複数のプラスチックフィルムのラミネートフィルム等があげられる。これらの中でも、ポリエステル、特にPETは、透明性,強靭性,電気絶縁性,寸法安定性に優れているため、好適に用いることができる。
【0023】
上記第1および第2樹脂シート1,2の厚みとしては、特に限定するものではないが、25μm以上100μm以下程度が好ましい。25μm未満であると強度が低く、100μmを超えると、上記切れ込み13から第1樹脂シート1を切り離し難くなるためである。
【0024】
上記第1および第2樹脂シート1,2と印刷媒体3との積層体4には、略長方形の切れ込み13,14が形成され、上記切れ込み13,14で囲まれた部分が、切り離し可能なカード部7に形成されている。上記第1樹脂シートの切れ込み13は、図3に示すように、断続的な切れ込み13からなり、印刷媒体3から第2樹脂シート2にわたる切れ込み14は、実質的に連続する切れ込み14からなっている。上記第1樹脂シート1の切れ込み13が、断続的な切れ込み13であるため、カード部7を剥離する前は、カード部7が印刷物から容易に切り離されないように保持するとともに、第1樹脂シート1の切り離しが必要になったときは、上記切れ込み13から上記第1樹脂シート1を切断してカード部7を容易に切り離すことができる。また、印刷媒体3から第2樹脂シート2にわたっては実質的に連続する切れ込み14が形成されているため、カード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3を第1樹脂シート1から容易に剥離することができる。
【0025】
上記印刷物は、例えば、つぎのようにしてつくることができる。まず、印刷媒体3にオフセット,スクリーン等の所望の手法で印刷を行う。一方、図4に示すように、第1樹脂シート1の接着層6と第2樹脂シート2の易剥離面9を密着して積層する。ついで、第1および第2樹脂シート1,2の積層体と印刷媒体3とを、それらの間に磁気テープ20(図4には示していない)を挟みながら積層して接着し、積層体4を形成する。
【0026】
つぎに、上記積層体4に、マイクロミシン用の切刃12により、印刷媒体3の裏面側から略長方形の切れ込みを入れ、切れ込み13,14を形成する。このとき、上記切刃12の上縁が第1樹脂シート1の厚みと同じ寸法Lだけギザギザに形成されていることから、印刷媒体3から第2樹脂シート2にわたっては実質的に連続する切れ込み14が形成され、上記第1樹脂シート1には断続的な切れ込み13が形成される。このようにして、切り離し可能なカード部7を形成させ、本発明の印刷物を得る。
【0027】
上記印刷物は、例えば、つぎのようにして使用される。すなわち利用者は、上記印刷媒体3のカード部7の裏面に手書き等で自由に書き込みをした後、図5に示すように、積層体4のカード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3とを、連続する切れ込み14の部分を境に、第1樹脂シート1と接着層6を残して剥離する。このとき、第2樹脂シート2と印刷媒体3のカード部7が実質的に連続する切れ込み14で囲まれているため、第2樹脂シート2と印刷媒体3を容易に剥離することができる。また、第1樹脂シート1のカード部7が断続的な切れ込み13で囲まれているため、第1樹脂シート1のカード部7が不用意に切り離されてしまわない。
【0028】
そののち、上記カード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3とを剥離して得られたカード10をひっくり返し、その裏面を印刷物に残された第1樹脂シート1のカード部7に、接着層6を介して接着する。このようにしてできたカード部7の積層体を第1樹脂シート1に設けられた切れ込み13から切り離すことにより、印刷媒体3の両面が第1および第2樹脂シート1,2でラミネートされたカード11を得ることができる。そして、カード11は、第2樹脂シート2と印刷媒体3の間に磁気テープ20が挟まれているため、会員証等だけでなく、情報が記録できる磁気記録カード等として銀行カードや住民カード,クレジットカード,プリペイドカード等、各種の用途に用いることができ、便利である。
【0029】
このように、上記印刷物によれば、印刷媒体3の両面に第1および第2樹脂シート1,2がラミネートされたカード11を容易に形成することができるため、定期入れ等に入れて携帯しても、しわになったり傷んだりし難く、非常に耐久性に優れる。また、印刷媒体3のカード部7に書き込みをした後に書き込みの上を第1樹脂シート1でラミネートすることができるため、書き込みが消えたり汚損することがほとんどなくなる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、磁気テープ20をカード部7の第2樹脂シート2と印刷媒体3との間に挟んだものを例示したが、これに限定するものではなく、例えば、第1および第2樹脂シート1,2のうちいずれかを磁気フィルムとすることにより磁気記録が行えるようにしてもよい。また、上記実施の形態では、カード11を磁気テープ20を存在させた磁気記録カードとして使用するものを例示したが、これに限定するものではなく、磁気テープ20を存在させない会員証や名刺などに使用するようにしてもよい。
【0031】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示す。このものは、カード部7に磁気テープ20を存在させているのではなく、2次元バーコード21を印刷したものを示す。このものでは、比較的容量の大きな情報を、低コストで記録することができる。そして、例えば、個人情報や音声情報等の識別情報が記録できるIDカードとして利用でき、会員カードや入退室IDカード等各種の用途に用いることができ、便利である。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の作用効果を示す。
【0032】
図7は、本発明の第3の実施の形態を示す。このものは、カード部7に磁気テープ20を存在させているのではなく、ICチップ22を存在させたものを示す。このものでは、例えば、高密度情報が記録できるICカードやメモリカード等として利用でき、プリペイドカードやゲームカード等各種の用途に用いることができる。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の作用効果を示す。
【0033】
なお、上記各実施の形態の印刷物を、カード部7を剥離等する前に印刷を行う印刷用記録紙として使用してもよい。また、上記各実施の形態では、易剥離面9はシリコーン被覆層5によって加工したものを例示したが、これに限定するものではなく、フッ素樹脂皮膜による加工,エンボス加工,ブラスト加工等密着する接着層6から容易に剥離できるものであれば特に限定するものではない。
【0034】
上記各実施の形態では、印刷媒体3のカード部7に書き込みをした後に、カード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3を剥離する例を示したが、これに限定するものではなく、カード部7のうち第2樹脂シート2と印刷媒体3を剥離した後に書き込みをするようにしてもよい。
【0035】
上記各実施の形態では、切り離し可能なカード部7が略長方形であるものを例示したが、これに限定するものではなく、ハート型や星型等各種の形状にすることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、剥離された印刷媒体の表面が第2樹脂シートによってラミネートされたカードを容易に得ることができる。このカードの第2樹脂シートがラミネートされていない裏面には、手書き,ゴム版,捺印,印刷などの自由な書き込みを行うこともできる。その後、印刷物に残された上記第1樹脂シートのカード部に、上記カードのラミネートされていない裏面を対面させ、第1樹脂シートに残った接着層によって接着させる。そして、上記第1および第2樹脂シートと印刷媒体の積層体を、第1樹脂シートのカード部周辺に設けられた切り取り線から切り離し、印刷媒体の両面に第1および第2樹脂シートがラミネートされたカードを得ることができる。このように、印刷媒体の両面に樹脂シートがラミネートされたカードを容易に形成することができるため、定期入れ等に入れて携帯しても、しわになったり傷んだりし難く、非常に耐久性に優れる。また、印刷媒体のカード部に書き込みをした後に書き込みの上を樹脂シートでラミネートすることができるため、書き込みが消えたり汚損することがほとんどなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷物を示す斜視図である。
【図2】上記印刷物の断面図である。
【図3】切り取り線を示す平面図であり、(a)は第1樹脂シート、(b)は第2樹脂シート、(c)は印刷媒体である。
【図4】上記印刷物の製造工程を示す断面図である。
【図5】上記印刷物よりカード部を切り離してカードを作成する状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の印刷物を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の印刷物を示す平面図である。
【図8】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 第1樹脂シート
2 第2樹脂シート
3 印刷媒体
4 積層体
6 接着層
7 カード部
13 切れ込み
Claims (1)
- 第1樹脂シートと、上記第1樹脂シートに接着層を介して剥離可能に積層された第2樹脂シートと、上記第2樹脂シートに積層された印刷媒体とを含み、上記第1および第2樹脂シートと印刷媒体との積層部に対し、上縁が第1樹脂シートの厚みと同じ寸法だけギザギザに形成された切刃により印刷媒体の裏面側から略長方形の切れ込みを入れることにより、上記積層部に、切り取り線で囲まれた切り離し可能なカード部が設けられ、上記第2樹脂シートの第1樹脂シートに対する面が易剥離面に形成されて上記カード部のうち第2樹脂シートと印刷媒体とが第1樹脂シートと接着層を残して剥離しうるようになっており、上記第1樹脂シートに形成された切り取り線が断続的な切れ込みからなるものであるとともに、上記印刷媒体から第2樹脂シートにわたる切り取り線が実質的に連続する切れ込みからなるものであることを特徴とする印刷物。
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