JP3952183B2 - タイヤホイール組立体及びランフラット用支持体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット走行を可能にするタイヤホイール組立体及びそれに用いるランフラット用支持体に関し、さらに詳しくは、ランフラット走行時の耐久性を向上するようにしたタイヤホイール組立体及びランフラット用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、ある程度の緊急走行を可能にするための技術が市場の要請から多数提案されている。これら多数の提案のうち、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部においてリム上に中子を装着し、パンクしたタイヤを中子によって支持することによりランフラット走行を可能にしたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
上記ランフラット用中子は、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ開脚構造の環状シェルを有し、これら両脚部に弾性リングを取り付けた構成からなり、その弾性リングを介してリム上に支持されるようになっている。このランフラット用中子によれば、既存のホイールやリムに何ら特別の改造を加えることなく、そのまま使用できるため、市場に混乱をもたらすことなく受入れ可能であるという利点を有している。
【0004】
上記ランフラット用中子においては、弾性リングがリム組み時にリムハンプを乗り越してリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合し、ランフラット走行時においても嵌合状態を維持しながら荷重を支持する。そのため、弾性リングのリムへの嵌合状態が不安定であると、ランフラット走行時の耐久性が不十分になるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−297226号公報
【特許文献2】
特表2001−519279号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ランフラット走行時の耐久性を向上することを可能にしたタイヤホイール組立体及びランフラット用支持体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のタイヤホイール組立体は、空気入りタイヤをホイールのリムに嵌合すると共に、前記空気入りタイヤの空洞部に、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体を挿入したタイヤホイール組立体において、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のランフラット用支持体は、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなり、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、ランフラット用支持体は空気入りタイヤとの間に一定距離を保つように外径が空気入りタイヤのトレッド部の内径よりも小さく形成され、かつ内径が空気入りタイヤのビード部の内径と略同一寸法に形成される。このランフラット用支持体は、空気入りタイヤの空洞部に挿入された状態で空気入りタイヤと共にホイールのリムに組み付けられ、タイヤホイール組立体を構成する。タイヤホイール組立体が車両に装着されて走行中に空気入りタイヤがパンクすると、そのパンクして潰れたタイヤがランフラット用支持体の環状シェルの支持面によって支持された状態になるので、ランフラット走行が可能になる。
【0010】
本発明によれば、弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことにより、弾性リングのリムへの嵌合状態が安定化する。これにより、ランフラット走行時の耐久性を向上することができる。
【0011】
本発明において、補強体は金属から構成することが好ましいが、弾性リング本体よりもJIS-A 硬さが5ポイント以上高いものであれば良い。これにより、弾性リングの嵌合状態を安定化し、耐久性の改善効果を得ることができる。
【0012】
補強体はシェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上であることが好ましい。これにより、リム組み性を低下させることなく、弾性リングの嵌合状態を安定化することができる。
【0013】
補強体のシェル軸方向内側には、弾性リング本体よりJIS-A 硬さが5ポイント以上低い柔軟体を配置することが好ましい。つまり、上記補強体は弾性リングの嵌合状態を安定化する上で有効であるが、その補強体の剛性に起因して、弾性リングがリム組み時にリムハンプを乗り越えられず、リムに嵌合しなくなる可能性がある。そこで、補強体のシェル軸方向内側に柔軟体を設けることにより、リム組み時に補強体が変形し易くなるので、弾性リングをリムに対して確実に嵌合させることができる。
【0014】
また、弾性リングの表面には、補強体を覆って弾性リング本体まで延在する保護層を設けることが好ましい。これにより、弾性リング本体と補強体とを一体に接合してなる弾性リングにおいて、リム組み時に剥離や破損が生じるのを防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態からなるタイヤホイール組立体(車輪)の要部を示す子午線断面図であり、1はホイールのリム、2は空気入りタイヤ、3はランフラット用支持体である。これらリム1、空気入りタイヤ2、ランフラット用支持体3は、図示しないホイール回転軸を中心として環状に形成されている。
【0017】
ランフラット用支持体3は、環状シェル4と弾性リング5とを主要部として構成されている。このランフラット用支持体3は、通常走行時には空気入りタイヤ2の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ2を内側から支持するものである。
【0018】
環状シェル4は、パンクしたタイヤを支えるための連続した支持面4aを外周側(径方向外側)に張り出すと共に、該支持面4aの両側に沿って脚部4b,4bを備えた開脚構造になっている。環状シェル4の支持面4aは、その周方向に直交する断面での形状が外周側に凸曲面になるように形成されている。この凸曲面は少なくとも1つ存在すれば良いが、タイヤ軸方向に2つ以上が並ぶようにすることが好ましい。このように環状シェル4の支持面4aを2つ以上の凸曲面が並ぶように形成することにより、タイヤ内壁面に対する支持面4aの接触箇所を2つ以上に分散させ、タイヤ内壁面に与える局部摩耗を低減するため、ランフラット走行の持続距離を延長することができる。
【0019】
上記環状シェル4は、パンクした空気入りタイヤ2を介して車両重量を支える必要があるため剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属や樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれでも良い。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ABSなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用しても良いが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用しても良い。
【0020】
弾性リング5は、環状シェル4の脚部4b,4bにそれぞれ取り付けられ、左右のリムシート上に当接しつつ環状シェル4を支持するようになっている。この弾性リング5は、パンクした空気入りタイヤ2から環状シェル4が受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑りを防止して環状シェル4を安定的に支持するものである。
【0021】
図2は、弾性リング5を拡大して示すものである。図2に示すように、弾性リング5のリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位には、弾性リング本体5aよりも弾性率が高い補強体5bが配置されている。これら弾性リング本体5aと補強体5bとは一体に接合されている。
【0022】
弾性リング5の主要部である弾性リング本体5aの構成材料としては、ゴム又は樹脂を使用することができ、特にゴムが好ましい。ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、水素化NBR、水素化SBR、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。勿論、これらゴムには、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、老化防止剤などの添加剤を適宜配合することができる。そして、ゴム組成物の配合に基づいて所望の弾性率を得ることができる。
【0023】
このように構成されるタイヤホイール組立体では、走行中に空気入りタイヤ2がパンクすると、潰れた空気入りタイヤ2がランフラット用支持体3の環状シェル4の支持面4aによって支持された状態になるので、ランフラット走行が可能になる。しかも、弾性リング5のリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位には、弾性リング本体5aよりも弾性率が高い補強体5bを配置しているので、弾性リング5のリムへの嵌合状態が安定化し、ランフラット走行時に優れた耐久性を発揮することができる。
【0024】
補強体5bの構成材料としては、スチール、アルミニウムなどの金属を使用することができる。また、補強体5bは弾性リング本体5aに比べてJIS-A 硬さが5ポイント以上、好ましくは10ポイント以上高いゴムや樹脂などの材料から構成しても良い。但し、補強体5bの硬さが低過ぎると、耐久性の改善効果が不十分になる。
【0025】
補強体5bは、図3に示すように、シェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上になっている。このように高弾性率の補強体5bをシェル周方向に不連続に配置することにより、リム組み性を低下させることなく、弾性リング5の嵌合状態を安定化することができる。但し、補強体5bのシェル周方向の総長さが周長の20%未満であると、耐久性の改善効果が不十分になる。
【0026】
図4は上記ランフラット用支持体の変形例を示すものである。図4に示すように、補強体5bのシェル軸方向内側には柔軟体5cが配置されている。この柔軟体5cは、弾性リング本体5aに比べてJIS-A 硬さが5ポイント以上、好ましくは10ポイント以上低いゴムや樹脂などの材料から構成されている。
【0027】
このように補強体5bのシェル軸方向内側に柔軟体5cを設けた場合、リム組み時において、補強体5bがリムハンプを乗り越える際に柔軟体5c側へ変形(回転)し易くなるので、弾性リング5をリムに対してより確実に嵌合させることができる。但し、柔軟体5cの硬さが高過ぎると、リムへの嵌合を促進する効果が得られなくなる。なお、本実施形態では、柔軟体5cが弾性リング本体5aと補強体5bとの間にも介在しているが、この部分には必ずしも柔軟体5cが存在していなくても良い。
【0028】
図5は上記ランフラット用支持体の他の変形例を示すものである。図5に示すように、弾性リング5の表面には、補強体5bを覆って弾性リング本体5aまで延在する保護層6が設けられている。
【0029】
このように弾性リング5の表面に保護層6を設けた場合、リム組み時に弾性リング5に対して大きな力が負荷されても、弾性リング本体5aと補強体5bとが剥離したり、破損するなどの不都合を回避することができる。
【0030】
保護層6は、簾織り又は平織りの有機繊維コード層から構成することができる。その有機繊維コードとしては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、アラミド等を用いることができる。
【0031】
【実施例】
タイヤサイズが205/55R16 89Vの空気入りタイヤと、リムサイズが16×6 1/2JJのホイールとのタイヤホイール組立体において、厚さ1.0mmのスチール板から環状シェルを加工し、その環状シェルの脚部に硬質ゴムからなる弾性リングを取り付け、かつ弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位にスチール製の補強体を配置したランフラット用支持体を製作し、そのランフラット用支持体を空気入りタイヤの空洞部に挿入してタイヤホイール組立体(実施例)とした。但し、補強体はシェル周方向に不連続で等間隔に配置し、そのシェル周方向の総長さを周長の20%とした。
【0032】
また、比較のため、弾性リングに補強体を付加していないランフラット用支持体を製作し、そのランフラット用支持体を用いたこと以外は、実施例と同一構造のタイヤホイール組立体(従来例)を得た。
【0033】
上記2種類のタイヤホイール組立体について、下記の測定方法により、ランフラット走行時の耐久性を評価し、その結果を表1に示した。
【0034】
〔ランフラット走行時の耐久性〕
試験すべきタイヤホイール組立体を排気量2.5リットルのFR車の前右輪に装着し、そのタイヤ内圧を0kPa(前右輪以外は200kPa)とし、時速90km/hで周回路を左廻りに走行し、走行不能になるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどランフラット走行時の耐久性が優れていることを意味する。
【0035】
【表1】
この表1に示すように、実施例のタイヤホイール組立体はランフラット走行時の耐久性を従来例に比べて向上していた。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体において、弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したから、弾性リングのリムへの嵌合状態を安定化し、ランフラット走行時の耐久性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるタイヤホイール組立体の要部を示す子午線断面図である。
【図2】本発明のランフラット用支持体の弾性リングを示す断面図である。
【図3】本発明のランフラット用支持体の弾性リングを抽出して示す側面図である。
【図4】本発明のランフラット用支持体の弾性リングの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明のランフラット用支持体の弾性リングの他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1(ホイールの)リム
2 空気入りタイヤ
3 ランフラット用支持体
4 環状シェル
4a 支持面
4b 脚部
5 弾性リング
5a 弾性リング本体
5b 補強体
5c 柔軟体
6 補強層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット走行を可能にするタイヤホイール組立体及びそれに用いるランフラット用支持体に関し、さらに詳しくは、ランフラット走行時の耐久性を向上するようにしたタイヤホイール組立体及びランフラット用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、ある程度の緊急走行を可能にするための技術が市場の要請から多数提案されている。これら多数の提案のうち、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部においてリム上に中子を装着し、パンクしたタイヤを中子によって支持することによりランフラット走行を可能にしたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
上記ランフラット用中子は、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ開脚構造の環状シェルを有し、これら両脚部に弾性リングを取り付けた構成からなり、その弾性リングを介してリム上に支持されるようになっている。このランフラット用中子によれば、既存のホイールやリムに何ら特別の改造を加えることなく、そのまま使用できるため、市場に混乱をもたらすことなく受入れ可能であるという利点を有している。
【0004】
上記ランフラット用中子においては、弾性リングがリム組み時にリムハンプを乗り越してリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合し、ランフラット走行時においても嵌合状態を維持しながら荷重を支持する。そのため、弾性リングのリムへの嵌合状態が不安定であると、ランフラット走行時の耐久性が不十分になるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−297226号公報
【特許文献2】
特表2001−519279号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ランフラット走行時の耐久性を向上することを可能にしたタイヤホイール組立体及びランフラット用支持体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のタイヤホイール組立体は、空気入りタイヤをホイールのリムに嵌合すると共に、前記空気入りタイヤの空洞部に、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体を挿入したタイヤホイール組立体において、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のランフラット用支持体は、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなり、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、ランフラット用支持体は空気入りタイヤとの間に一定距離を保つように外径が空気入りタイヤのトレッド部の内径よりも小さく形成され、かつ内径が空気入りタイヤのビード部の内径と略同一寸法に形成される。このランフラット用支持体は、空気入りタイヤの空洞部に挿入された状態で空気入りタイヤと共にホイールのリムに組み付けられ、タイヤホイール組立体を構成する。タイヤホイール組立体が車両に装着されて走行中に空気入りタイヤがパンクすると、そのパンクして潰れたタイヤがランフラット用支持体の環状シェルの支持面によって支持された状態になるので、ランフラット走行が可能になる。
【0010】
本発明によれば、弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したことにより、弾性リングのリムへの嵌合状態が安定化する。これにより、ランフラット走行時の耐久性を向上することができる。
【0011】
本発明において、補強体は金属から構成することが好ましいが、弾性リング本体よりもJIS-A 硬さが5ポイント以上高いものであれば良い。これにより、弾性リングの嵌合状態を安定化し、耐久性の改善効果を得ることができる。
【0012】
補強体はシェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上であることが好ましい。これにより、リム組み性を低下させることなく、弾性リングの嵌合状態を安定化することができる。
【0013】
補強体のシェル軸方向内側には、弾性リング本体よりJIS-A 硬さが5ポイント以上低い柔軟体を配置することが好ましい。つまり、上記補強体は弾性リングの嵌合状態を安定化する上で有効であるが、その補強体の剛性に起因して、弾性リングがリム組み時にリムハンプを乗り越えられず、リムに嵌合しなくなる可能性がある。そこで、補強体のシェル軸方向内側に柔軟体を設けることにより、リム組み時に補強体が変形し易くなるので、弾性リングをリムに対して確実に嵌合させることができる。
【0014】
また、弾性リングの表面には、補強体を覆って弾性リング本体まで延在する保護層を設けることが好ましい。これにより、弾性リング本体と補強体とを一体に接合してなる弾性リングにおいて、リム組み時に剥離や破損が生じるのを防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態からなるタイヤホイール組立体(車輪)の要部を示す子午線断面図であり、1はホイールのリム、2は空気入りタイヤ、3はランフラット用支持体である。これらリム1、空気入りタイヤ2、ランフラット用支持体3は、図示しないホイール回転軸を中心として環状に形成されている。
【0017】
ランフラット用支持体3は、環状シェル4と弾性リング5とを主要部として構成されている。このランフラット用支持体3は、通常走行時には空気入りタイヤ2の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ2を内側から支持するものである。
【0018】
環状シェル4は、パンクしたタイヤを支えるための連続した支持面4aを外周側(径方向外側)に張り出すと共に、該支持面4aの両側に沿って脚部4b,4bを備えた開脚構造になっている。環状シェル4の支持面4aは、その周方向に直交する断面での形状が外周側に凸曲面になるように形成されている。この凸曲面は少なくとも1つ存在すれば良いが、タイヤ軸方向に2つ以上が並ぶようにすることが好ましい。このように環状シェル4の支持面4aを2つ以上の凸曲面が並ぶように形成することにより、タイヤ内壁面に対する支持面4aの接触箇所を2つ以上に分散させ、タイヤ内壁面に与える局部摩耗を低減するため、ランフラット走行の持続距離を延長することができる。
【0019】
上記環状シェル4は、パンクした空気入りタイヤ2を介して車両重量を支える必要があるため剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属や樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれでも良い。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ABSなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用しても良いが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用しても良い。
【0020】
弾性リング5は、環状シェル4の脚部4b,4bにそれぞれ取り付けられ、左右のリムシート上に当接しつつ環状シェル4を支持するようになっている。この弾性リング5は、パンクした空気入りタイヤ2から環状シェル4が受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑りを防止して環状シェル4を安定的に支持するものである。
【0021】
図2は、弾性リング5を拡大して示すものである。図2に示すように、弾性リング5のリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位には、弾性リング本体5aよりも弾性率が高い補強体5bが配置されている。これら弾性リング本体5aと補強体5bとは一体に接合されている。
【0022】
弾性リング5の主要部である弾性リング本体5aの構成材料としては、ゴム又は樹脂を使用することができ、特にゴムが好ましい。ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、水素化NBR、水素化SBR、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。勿論、これらゴムには、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、老化防止剤などの添加剤を適宜配合することができる。そして、ゴム組成物の配合に基づいて所望の弾性率を得ることができる。
【0023】
このように構成されるタイヤホイール組立体では、走行中に空気入りタイヤ2がパンクすると、潰れた空気入りタイヤ2がランフラット用支持体3の環状シェル4の支持面4aによって支持された状態になるので、ランフラット走行が可能になる。しかも、弾性リング5のリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位には、弾性リング本体5aよりも弾性率が高い補強体5bを配置しているので、弾性リング5のリムへの嵌合状態が安定化し、ランフラット走行時に優れた耐久性を発揮することができる。
【0024】
補強体5bの構成材料としては、スチール、アルミニウムなどの金属を使用することができる。また、補強体5bは弾性リング本体5aに比べてJIS-A 硬さが5ポイント以上、好ましくは10ポイント以上高いゴムや樹脂などの材料から構成しても良い。但し、補強体5bの硬さが低過ぎると、耐久性の改善効果が不十分になる。
【0025】
補強体5bは、図3に示すように、シェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上になっている。このように高弾性率の補強体5bをシェル周方向に不連続に配置することにより、リム組み性を低下させることなく、弾性リング5の嵌合状態を安定化することができる。但し、補強体5bのシェル周方向の総長さが周長の20%未満であると、耐久性の改善効果が不十分になる。
【0026】
図4は上記ランフラット用支持体の変形例を示すものである。図4に示すように、補強体5bのシェル軸方向内側には柔軟体5cが配置されている。この柔軟体5cは、弾性リング本体5aに比べてJIS-A 硬さが5ポイント以上、好ましくは10ポイント以上低いゴムや樹脂などの材料から構成されている。
【0027】
このように補強体5bのシェル軸方向内側に柔軟体5cを設けた場合、リム組み時において、補強体5bがリムハンプを乗り越える際に柔軟体5c側へ変形(回転)し易くなるので、弾性リング5をリムに対してより確実に嵌合させることができる。但し、柔軟体5cの硬さが高過ぎると、リムへの嵌合を促進する効果が得られなくなる。なお、本実施形態では、柔軟体5cが弾性リング本体5aと補強体5bとの間にも介在しているが、この部分には必ずしも柔軟体5cが存在していなくても良い。
【0028】
図5は上記ランフラット用支持体の他の変形例を示すものである。図5に示すように、弾性リング5の表面には、補強体5bを覆って弾性リング本体5aまで延在する保護層6が設けられている。
【0029】
このように弾性リング5の表面に保護層6を設けた場合、リム組み時に弾性リング5に対して大きな力が負荷されても、弾性リング本体5aと補強体5bとが剥離したり、破損するなどの不都合を回避することができる。
【0030】
保護層6は、簾織り又は平織りの有機繊維コード層から構成することができる。その有機繊維コードとしては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、アラミド等を用いることができる。
【0031】
【実施例】
タイヤサイズが205/55R16 89Vの空気入りタイヤと、リムサイズが16×6 1/2JJのホイールとのタイヤホイール組立体において、厚さ1.0mmのスチール板から環状シェルを加工し、その環状シェルの脚部に硬質ゴムからなる弾性リングを取り付け、かつ弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位にスチール製の補強体を配置したランフラット用支持体を製作し、そのランフラット用支持体を空気入りタイヤの空洞部に挿入してタイヤホイール組立体(実施例)とした。但し、補強体はシェル周方向に不連続で等間隔に配置し、そのシェル周方向の総長さを周長の20%とした。
【0032】
また、比較のため、弾性リングに補強体を付加していないランフラット用支持体を製作し、そのランフラット用支持体を用いたこと以外は、実施例と同一構造のタイヤホイール組立体(従来例)を得た。
【0033】
上記2種類のタイヤホイール組立体について、下記の測定方法により、ランフラット走行時の耐久性を評価し、その結果を表1に示した。
【0034】
〔ランフラット走行時の耐久性〕
試験すべきタイヤホイール組立体を排気量2.5リットルのFR車の前右輪に装着し、そのタイヤ内圧を0kPa(前右輪以外は200kPa)とし、時速90km/hで周回路を左廻りに走行し、走行不能になるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどランフラット走行時の耐久性が優れていることを意味する。
【0035】
【表1】
この表1に示すように、実施例のタイヤホイール組立体はランフラット走行時の耐久性を従来例に比べて向上していた。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体において、弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したから、弾性リングのリムへの嵌合状態を安定化し、ランフラット走行時の耐久性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるタイヤホイール組立体の要部を示す子午線断面図である。
【図2】本発明のランフラット用支持体の弾性リングを示す断面図である。
【図3】本発明のランフラット用支持体の弾性リングを抽出して示す側面図である。
【図4】本発明のランフラット用支持体の弾性リングの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明のランフラット用支持体の弾性リングの他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1(ホイールの)リム
2 空気入りタイヤ
3 ランフラット用支持体
4 環状シェル
4a 支持面
4b 脚部
5 弾性リング
5a 弾性リング本体
5b 補強体
5c 柔軟体
6 補強層
Claims (12)
- 空気入りタイヤをホイールのリムに嵌合すると共に、前記空気入りタイヤの空洞部に、支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなるランフラット用支持体を挿入したタイヤホイール組立体において、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したタイヤホイール組立体。
- 前記補強体が金属からなる請求項1に記載のタイヤホイール組立体。
- 前記補強体は前記弾性リング本体よりもJIS-A 硬さが5ポイント以上高いものである請求項1に記載のタイヤホイール組立体。
- 前記補強体はシェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤホイール組立体。
- 前記補強体のシェル軸方向内側に、前記弾性リング本体よりJIS-A 硬さが5ポイント以上低い柔軟体を配置した請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤホイール組立体。
- 前記弾性リングの表面に、前記補強体を覆って前記弾性リング本体まで延在する保護層を設けた請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤホイール組立体。
- 支持面を外周側に張り出しつつ該支持面の両側に沿って脚部を持つ環状シェルと、該環状シェルの脚部をリム上に支持する弾性リングとからなり、前記弾性リングのリムハンプとタイヤトウとの間に嵌合する部位に、弾性リング本体よりも弾性率が高い補強体を配置したランフラット用支持体。
- 前記補強体が金属からなる請求項7に記載のランフラット用支持体。
- 前記補強体は前記弾性リング本体よりもJIS-A 硬さが5ポイント以上高いものである請求項7に記載のランフラット用支持体。
- 前記補強体はシェル周方向に不連続であってシェル周方向に等間隔で存在し、そのシェル周方向の総長さが周長の20%以上である請求項7〜9のいずれかに記載のランフラット用支持体。
- 前記補強体のシェル軸方向内側に、前記弾性リング本体よりJIS-A 硬さが5ポイント以上低い柔軟体を配置した請求項7〜10のいずれかに記載のランフラット用支持体。
- 前記弾性リングの表面に、前記補強体を覆って前記弾性リング本体まで延在する保護層を設けた請求項7〜11のいずれかに記載のランフラット用支持体。
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