JP3951724B2 - 浄水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流路を選択する切換弁と、選択した流路切換状態を表示する切換表示部を備えた浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流路を選択する切換弁と、選択した流路切換状態を表示する切換表示部とを備えた浄水器としては、特開平6−178974号公報に記載されているような、切換弁の軸部に表示部材が装着されて一体的に回転し、表示部材の表示窓に対応する箇所に切換状態を示すマ−クが記されているものが知られている。使用者は蛇口を開く前に表示窓をのぞき込み、マ−クを見て現在の切換状態を知ることができた。
【0003】
しかしながら、このような浄水器は、表示部材が切換弁とレバ−との中間に位置していることから、表示部材が切換弁の周囲に設けられている固定用のネジ部や、補強用のリブに当たらないように設計する必要があり、表示部材を大きくすることは難しい。そのため、表示部材に記すマークは必然的に小さくなり、表示窓も小さくなるため、使用者には見やすい表示ではないという問題があった。特にレバーが両持支持するタイプの場合は、表示部材を大きくしようとするとレバーを長くする必要があるので使用者の手元方向に大きくなり、使用者の作業の妨げになるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような問題点に鑑み、本発明は、選択した流路切換状態を使用者に見やすくわかりやすく表示する浄水器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明は、蛇口に接続されて原水を受け入れる原水流入口と、原水をそのまま吐出するか浄化カ−トリッジで浄化して浄水として吐出するかを選択して切り換える切換弁と、切換弁の切換状態を表示する切換表示部と、切換弁を操作するレバ−とを備え、レバ−は回動自在に両持支持され、そのレバ−よりも外側に切換表示部が設けられ、該切換表示部は、切換状態を表示するイラストまたは文字が印刷された回動表示部材を備え、該回動表示部材が回動することで切換弁の切換状態を表示する浄水器を特徴とするものである。
【0006】
ここで、その回動表示部材の回動軸とレバーの回動軸とが同一線上にあることが好ましい。また、浄化カ−トリッジの交換時期を表示する交換時期表示部を設けることや、蛇口に支持固定される蛇口直結型であることも好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、家庭のキッチンなどの蛇口に取り付けられる蛇口直結型浄水器を例にとり、図を参照しながら説明する。
【0008】
本発明の浄水器は、図1〜図3に示すように、その内部に切換弁を内蔵した本体部2と、ろ材を収納した浄化カ−トリッジ3などから構成されている。本体部2にはレバ−5が設けられ、レバ−5を操作することにより、蛇口4から原水流入口を通って流入した原水をそのままシャワ−水として吐出するか(原水シャワ−)、そのままストレ−ト水として吐出するか(原水ストレ−ト)、浄化カ−トリッジ3に供給するか、を選択して切り換える。浄化カ−トリッジ3に供給された原水は、粒状活性炭、繊維状活性炭、無機イオン交換体、イオン交換樹脂、セラミック、ゼオライトなどの吸着剤や中空糸膜等によってろ過され、浄水流出口から浄水として吐出される。無機イオン交換体として溶解性鉛の吸着能力が高いケイ酸チタニウム塩を使用すれば、一部の一般家庭に残存する鉛製水道管より水道水に溶出する溶解性鉛をも高い除去性能で吸着除去することができる。
【0009】
まず、本体部2について説明する。
【0010】
本体部2は、図2に示すように、切換弁を構成する3個のボ−ル11a、11b、11cと弁軸12とを備えた切換弁本体13、原水シャワ−口14と、原水ストレ−ト口15と、浄水流出口19(図6参照)とを備えた下部ボディ16、切換弁本体13が上面に突出する開口部を備えた上部ボディ17、切換操作を行う弁操作部18、浄化カ−トリッジ3を固定するカ−トリッジキャップ91、流量を積算して、その結果を表示する電装部などから構成されている。
【0011】
切換弁本体13には、リング状のパッキン36が装着され、蛇口4のおねじ部にねじ込んだアダプタ37を介して、取付ナット38を切換弁本体13に螺合させ、本体部2を蛇口4に取り付けるようになっている。
【0012】
切換弁本体13の内部は、3個の通水路21a、21b、21cを開設した区画板22によって、上部室23と下部室24とに区画されている。
【0013】
上部室23には、3個のボ−ル11a、11b、11cが、3個の通水路21a、21b、21cに対応するように配置されている。ボ−ル11aが通水路21aにはまり通水路21aが閉じた状態で、ボ−ル11aの下部が下部室24に突出するようになっている。ボ−ル11b、11cについても同様である。
【0014】
円筒状の下部室24には、弁軸12が回動可能に挿着され、かつ、弁軸12の所定位置に配設したOリング25a、25b、25cが、下部室24の内壁面と水密に係合している。これによって下部室24は3つに区画され、通水路21aから浄化カ−トリッジ3に原水を供給する原水供給口26(図6参照)へ通じる流路31aと、通水路21bから原水ストレ−ト口15へ通じる流路31bと、通水路21cから原水シャワ−口14へ通じる流路31cとを形成している。
【0015】
また、図2に示したように、弁軸12には、通水路21a、21b、21cに対向する位置に、カム部27a、27b、27cが設けられている。これらカム部27a、27b、27cは、弁軸12の周方向に例えば60゜ずつずらして設けられており、弁軸12を60゜ずつ回動することにより選択的に上方を向き、下部室24に突出したボ−ルの下部を押し上げて通水路を開くことができるようになっている。すなわち、後述の弁操作部18により弁軸12を所定角度回動することで、通水路21a、21b、21cのいずれかを開放し、蛇口4から流入した原水をそのままシャワ−水として吐出するか、そのままストレ−ト水として吐出するか、浄化カ−トリッジ3に供給するか、を選択できる。
【0016】
ボ−ル11a、11b、11cには、芯体としての金属球にゴムを覆ったものを用いているが、弁体の形状は球体に限らず円錐形でも円筒形でもよく、傘形でもよい。そして、通水路を閉塞したときのシ−ル性を向上させるためは、上部室23に設けたボ−ル11a、11b、11cをバネ等で上方から通水路方向に付勢してもよい。
【0017】
切換弁本体13の側部後方には、図6に示すように、浄化カ−トリッジ3に原水を供給する原水供給口26と、浄化カ−トリッジ3から浄水を受け入れる浄水受入口29とが設けられている。原水供給口26は流路31aに連通しており、浄水受入口29は浄水送水路30を介して浄水流出口19と連通している。浄水送水路30には、後述する流量検出部102の水車122と水車支持部材123が設けられ、浄水の通水により水車122が回転するようになっている。
【0018】
浄化カ−トリッジ3は、図3に示すように、本体部2内に装填され、カ−トリッジキャップ91が、浄化カ−トリッジ3に覆い被さる位置で下部ボディ16と上部ボディ17(図2参照)とにネジ締付固定され、浄化カ−トリッジ3を所定位置に固定する役目を果たしている。
【0019】
続いて、図3、図5を用いて、弁軸12を回動操作する弁操作部18について説明する。
【0020】
弁操作部18は、図3に示すように、回動自在に両持支持されたレバ−5と、切換弁本体13に回動可能に支持され、レバ−5と同じ軸回りに回動する駆動軸41と、一端が下部ボディ16に固定され他端がレバ−5に固定されたねじりコイルバネ44などから構成されている。レバー5は、図5に示すように矢印A方向に押し下げると、操作ストッパ−43に当接するまで反時計方向に(図3を右側面から見た場合)回動し、レバ−5が操作ストッパ−43に当接した状態で操作をやめて指を離すと、ねじりコイルばね44により時計方向に回動し、初期位置に戻るようになっている。
【0021】
図4は、図3におけるC−C矢視概略断面図であって、レバ−5と駆動軸41の接続部を示している。駆動軸41の一端には、図4に示すようにラチェット爪部材47が嵌入され、このラチェット爪部材47がレバ−5のラチェット歯48と噛み合ってラチェット機構を構成している。レバ−5を初期位置から反時計方向(図3を右側面から見た場合)に回動させるときには、駆動軸41はレバ−5と一体となって反時計方向に40°回動し、レバ−5が時計方向に回動して初期位置に戻るときには、駆動軸41は回動しないようになっている。
【0022】
図3と図5に示すように、駆動軸41には平歯車45が設けられ、その平歯車45が弁軸12に設けられた平歯車46と噛み合っている。平歯車45、平歯車46のギヤ比は3:2であるので、平歯車45が40°回動すると平歯車46は60°回動する。すなわち、レバ−5を1回操作すると、駆動軸41は40°回動し、弁軸12は60°回動する。
【0023】
次に、図1、図3を用いて、表示リング51(回動表示部材)、開口部81および透明部材82などからなる切換表示部80について説明する。
【0024】
図3に示すように、レバ−5の右端支持部よりもさらに右側、すなわち、外側に、切換状態を示す「浄水」「ストレ−ト」「シャワ−」の文字が40°毎に各3ヶ所印刷された表示リング51が固定されている。表示リング51は駆動軸41の右端に固定され、駆動軸41と一体的に回動する。表示リング51には、「浄水」、「ストレ−ト」および「シャワ−」の文字が印刷されており、開口部81から「浄水」、「ストレ−ト」および「シャワ−」の文字のいずれかが見え、切換状態を容易に確認できるようになっている。表示リング51は、レバ−5の右端支持部よりさらに右側、すなわち外側に位置しているため、切換弁の周囲に設けられている固定用のネジ部やギア、補強用のリブ等と干渉することがなく、外径や幅を十分に大きくすることができる。それに伴って、レバーが長くなったり、レバーが使用者の手元方向に大きくなることはない。表示リング61の外周に大きい文字を印刷できるので、使用者には大変見やすい表示となる。なお、切換状態を示す表示は、文字、イラスト単独でも、また、それらの組合せでもよい。そして、開口部81に透明部材82を取り付けることで、食器洗いのときなどに水が本体部2の内部に入るのを防いだり、表示リング51が汚れるのを防いだりしている。
【0025】
次に、流量を測定して、その結果を演算して表示する電装部(電子回路)について説明する。
【0026】
電装部は、電源部101と、流量検出部102と、浄化カ−トリッジ識別部103と、制御部104と、液晶表示器105などから構成されている。
【0027】
電源部101は、図7の分解斜視図に示すように、主に、本体部2に設けた電池ホルダ115と、コイン形二酸化マンガンリチウム電池111(以下、電池111)と、陽極金具113および陰極金具114と、電池を水密に固定する脱着自在な電池カバ−112などから構成される。
【0028】
電池カバ−112は、筒状の電池装着部116を有するとともにその外周にOリング117を有し、電池カバ−112がバヨネット機構により電池ホルダ115に装着したときに電池装着部116に水が浸入するのを防ぐようになっている。筒状の電池装着部116には切り欠き118が設けられているので、指を引っかけて容易に電池を取り外すことができる。また、電池カバ−112の表面には、硬貨を挿入して回すための凹部119が設けられ、その周囲に、電池の規格と開閉のための回転方向を示す文字やイラストが刻印されている。したがって、使用者は、電池の規格と電池カバ−112の回転方向を確認した上で、コインを使って電池カバ−112を電池ホルダ115から取り外し、電池を交換することができる。
【0029】
電池ホルダ115内に設けられた陽極金具113および陰極金具114は、それぞれリ−ド線で制御部104に結線されており、電池111による電力が制御部104に供給される。リ−ド線は、ゴムキャップ120を介して電池ホルダ115に固定されており、このゴムキャップ120が、水がリ−ド線をつたって陽極金具113、陰極金具114さらには電池装着部116内に浸入するのを防止している。
【0030】
電池は、一次電池でも二次電池であってもよく、比較的高い電圧で、長期間安定して電力を供給できる二酸化マンガンリチウム電池などのリチウム電池のほか、アルカリ乾電池、マンガン乾電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池などでもよい。また、形状は、軽量で大きな設置スペ−スを必要としないボタン形、コイン形などの小形電池が好ましい。小形電池の場合、本体部が著しく大型化したり著しく重量増加することはなく、また、大幅なコストアップにもならない。
【0031】
流量検出部102は、図6および図8〜図10に示すように、主に、磁石121を埋設した水車122と、水車122を回転可能に支持する水車支持部材123と、磁石の回転に応じて開閉する磁気スイッチ124と、磁気スイッチ124を支持固定する磁気スイッチホルダ125とから構成されている。
【0032】
水車122は、円柱形の軸部131に2枚の羽根132、133が形成されてなり、軸部131の一端には水車支持部材123の軸126が挿入される回転軸穴134が設けられ、他端には磁石121が埋設される磁石取付穴135が設けられている。
【0033】
磁石121は、そのN極・S極を結ぶ直線と水車122の回転軸とが垂直になるように磁石取付穴135に挿入し、脱落を防止するとともに接水による発錆を防止するために、磁石取付穴135の開口部に栓部材を被せ接着したり溶着する。磁石121の脱落および発錆を防止するためには、磁石121を磁石取付穴135に挿入した後、磁石取付穴135の開口部を硬化性樹脂136(封止材)で封止することも好ましい。硬化性樹脂としては、より安全性の高いポリウレタン樹脂が好ましいが、エポキシ樹脂や、その他の封止材、接着剤を用いてもよい。磁石121の錆を防止するためには、磁石そのものをコ−ティングすることも好ましい。また、磁石121には、磁力が強い希土類磁石のほか、フェライト磁石などを使用してもよい。
【0034】
水車122は、図6に示すように、浄水送水路30内で回転可能なように、水車支持部材123によって下流側から軸支されている。水車122は、その回転軸が浄水の送水方向に平行な軸流型であっても直交するものであってもよい。また、水車の羽根は2枚としているが、1枚でもよく、3枚以上でもよい。さらに、水車を、浄化カ−トリッジ3の下流側の浄水送水路30に設けたが、上流側に設けてもよい。この場合は、水車122にゴミ等が引っかからないよう、さらに上流側にプレフィルタを設けることが好ましい。
【0035】
磁気スイッチ124は、図10に示すように、磁気スイッチホルダ125に挿入され、硬化性樹脂137(封止材)により封止固定されている。磁気スイッチ124の2つの端子はリ−ド線により制御部104と結線されており、磁気スイッチ124の開閉によるパルス信号が制御部104に伝達される。磁気スイッチ124を収容した磁気スイッチホルダ125は、図3に示すように、浄水送水路30の外周に接し、かつ、水車122の近傍に固定されている。
【0036】
このように構成された流量検出部102は、浄水が流れることにより水車122が回転し、水車122に埋設された磁石121が回転し、それに応じて磁界が変化する。磁石121が1回転することにより磁気スイッチ124は2回開閉して、その結果、2周期分のパルス信号が発信され、制御部104に伝達される。
【0037】
次に、制御部104と液晶表示器105について、図3、図12を用いて説明する。
【0038】
制御部104は、主に、CPUが設けられた回路基板151と、回路基板151を収納する透明の基板ホルダ152と、回路基板151を基板ホルダ152に支持固定する基板枠153とから構成されている。CPUは、電源部101から電力供給を受け、流量検出部102からのパルス信号と、浄水カ−トリッジ識別部103からの信号に基づいて演算を行い、液晶表示器105に出力信号を送るようになっている。回路基板151には、リセットボタン154が設けられ、外部からの操作でリセットボタン154を押して積算流量のデ−タ等をリセットできるようになっている。そして、リセットボタン154の上方に回路基板151への水の浸入を防ぐスイッチゴム156を配置し、そのスイッチゴム156によって、リセットボタンを間接的に操作することが好ましい。
【0039】
液晶表示器105は、回路基板151に直接、支持固定された状態で、本体部2の前方上部に位置し、使用者が使用中に見やすいようになっている。
【0040】
この液晶表示器105は、回路基板から離れた位置に配置しリ−ド線等で結線することも可能だが、回路基板151に直接、支持固定したほうが信号を確実に伝達できる。また、外部から水が浸入して回路基板151が誤作動するのを防止するため、基板ホルダ152に、その開口部から回路基板151と液晶表示器105とを挿入し基板枠153で固定した状態で、開口部を硬化性樹脂155(封止材)で封止して防水加工をすることが好ましい。このように防水加工を施すことにより、各部品に対して個別に防水加工を施す必要がなく、製造工程の簡略化、製造コストの低減が可能になる。硬化性樹脂155としては、2液混合型のポリウレタン樹脂やエポキシ樹脂などを用いればよい。
【0041】
ここで、基板枠153と硬化性樹脂155を用いず、基板ホルダの開口部をパッキンを介して蓋部材で覆ってもよい。この構成でも硬化性樹脂と同様、回路基板151と液晶表示器105の防水ができる。
【0042】
液晶表示器105には、図13に示すように、枠167とその中に設けられた3個のブロックA、B、C(164、165、166)からなる浄化カ−トリッジ交換表示素子161と、10個のブロックa〜j(172〜181)とイラストk(182)とからなる瞬時通水流量表示素子171と、電池交換表示素子162と、カ−トリッジ種類表示素子163とが設けられており、それらが点灯、消灯、点滅することで、カートリッジの寿命、浄水の瞬時通水流量、瞬時通水流量の適否、電池の寿命、カートリッジの種類を表示する。これら浄化カ−トリッジ交換表示素子161、瞬時通水流量表示素子171、電池交換表示素子162、カートリッジ種類表示素子163は、個々に独立して設けてもよいが、本実施態様のように1つの液晶表示器にまとめて設けることにより、省スペース化を図ることができ、また、使用者が一目で多数の情報を読み取ることができるので好ましい。
【0043】
液晶表示器105は、バックライト点灯が可能であり、たとえば浄水通水時に通水開始から5秒間だけ点灯するようになっている。浄水器を設置する蛇口のまわりは比較的暗い場合が多く、通常の液晶表示器では表示がやや見にくいが、バックライト点灯により表示を鮮明に見せることができる。なお、バックライト点灯ボタンを設けて、ボタン操作時あるいはボタン操作後の一定時間のみ点灯するように構成してもよい。この場合、バックライト点灯不要なときには点灯せず、必要に応じて点灯させるので、電池の電力消費を抑えることができる。
【0044】
次に、図6に示す浄化カ−トリッジ識別部103について、図11の概略縦断面図を用いて説明する。
【0045】
浄化カ−トリッジ識別部103は、主に、導電部材142を密着させたゴムスイッチ143と、導電部材142との2つの接点を有する識別基板141と、それらを収納する識別部ハウジング144とから構成されている。
【0046】
識別基板141の2つの接点は、リ−ド線により制御部104と結線されており、2つの接点の開閉が制御部104に伝達されるようになっている。
【0047】
ゴムスイッチ143は、識別基板141と重ねるようにして識別部ハウジング144に収納されている。浄化カ−トリッジ3の底部に設けた突起などにより、スイッチ操作穴145を通してゴムスイッチ143を押すと、導電部材142が識別基板141の2つの接点に接触し、回路が閉じ電流が流れるようになっている。浄化カ−トリッジを取り外したことにより、浄化カ−トリッジ3の底部に設けた突起などが離れると、ゴムスイッチ143が復元力によって初期状態に戻り、接点が開く。浄化カ−トリッジの底部に突起が設けられていない場合は、接点が開いたままである。すなわち、この接点の開閉信号により、底部に突起を設けた浄化カ−トリッジと、突起を設けていないカ−トリッジとを識別することができる。ゴムスイッチ143は、スイッチ操作穴145から識別基板141側に水が浸入するのを防ぐ役目も果たしている。
【0048】
なお、突起の替わりに底部に凹みを設けたカ−トリッジと、凹みを設けないカ−トリッジを識別する機構を採用してもよい。また、スイッチ操作穴、ゴムスイッチおよび識別基板を複数個設け、3種類以上のカ−トリッジの識別を可能にしてもよい。さらに、突起とゴムスイッチの替わりに、バ−コ−ドとバ−コ−ドリ−ダの組み合わせや、磁石と磁気スイッチの組み合わせを用いてもよい。
【0049】
続いて、以上のように構成された浄水器1の作用について説明する。
【0050】
図2は、原水が原水シャワ−口14から吐出される状態を示している。蛇口を開くと、原水は、原水流入口28から流入し、水流緩和部材39でその勢いが緩和された後、カム部27cがボ−ル11cを押し上げて開放している通水路21cを通過して、原水シャワ−口14から吐出される。このとき、開口部81からは表示リング51(図3参照)に記された「シャワー」の文字が見える。表示リング51は、その径、幅が大きく、切換状態を示す文字も十分に大きいので、使用者はたいへん見やすく、切換状態がわかりやすい。
【0051】
ここで、図5に示すように、レバ−5を操作して、操作ストッパ−43に当たるまで回動させると、レバ−5に接続されている駆動軸41が図4に示すラチェット機構を介して40゜回動する。同時に平歯車45から平歯車46へと回動が伝達され、弁軸12が60゜回動する。すると、弁軸12のカム27cに代わりカム27bが上方を向き、通水路21cが閉じて通水路21bが開く。その結果、原水は通水路21bを通過して原水ストレ−ト口15から吐出される。このとき、開口部81からは表示リング51に記された「ストレ−ト」の文字が見える。
【0052】
次に、レバ−5から指を離すと、ねじりコイルばね44によりレバ−5は逆方向に回動し、初期位置に戻って停止する。このとき、レバー5にラチェット機構を介して接続されている駆動軸41は回動せず、弁軸12も表示リング51も回動しない。
【0053】
レバ−5をもう一度押し下げると、弁軸12が同様に60゜回動し、通水路21bが閉じて通水路21aが開く。この結果、原水は通水路21aを通過して原水供給口26に流れる。そして、浄化カ−トリッジ3に流入し、活性炭などの吸着剤と中空糸膜によってろ過される。ろ過された水は、図6に示すように、浄水受入口29に流れ、浄水送水路30を通過して浄水流出口19から吐出される。このとき、開口部81からは表示リング51に記された「浄水」の文字が見え、また、浄水送水路30に流れる浄水により水車122が回転し、流量検出部102によって制御部104にパルス信号が送られる。
【0054】
パルス信号の周期あるいは周波数は、浄水の瞬時通水流量に対応されており、また、パルスの積算カウント数が積算通水量に対応されている。すなわち、パルス信号の周期が予め設定した第1の周期設定値に達したら、図13に示すブロックa172が点灯し、さらに第2の周期設定値に達したら、ブロックa172に加えてブロックb173も点灯する。このように、パルス信号の周期が第1〜10の周期設定値に達したら、その度毎に対応するブロックa〜j(172〜181)も段階的に点灯するように構成されている。なお、パルス信号の周期に代わり周波数を瞬時通水流量に対応させる場合も、同様に、パルス信号の周波数が第1〜10の周波数設定値に達したら、その度毎に対応するブロックa〜j(172〜181)を段階的に点灯するように構成すればよい。
【0055】
また、浄化カートリッジの性能を充分に発揮できるよう瞬時通水流量の最適範囲が予め設定されており、浄水通水時に、その瞬時通水流量が最適範囲内であるか否かを表示する。すなわち、たとえば後述の標準カ−トリッジは、瞬時通水流量の最適範囲は毎分2リットル以下であるが、毎分2リットルは第6の周期設定値に対応している。標準カ−トリッジ装着時にパルス信号の周期が第6の周期設定値をオ−バ−していないときは、イラストk182が点灯するようになっている。後述の高除去カ−トリッジは、瞬時通水流量の最適範囲は毎分1.75リットル以下であるが、毎分1.75リットルは第5の周期設定値に対応している。高除去カ−トリッジ装着時にパルス信号の周期が第5の周期設定値をオ−バ−していないときは、イラストk182が点灯するようになっている。
【0056】
イラストk182の点灯により、使用者は、原水が十分に浄化されていることを確認でき、安心して浄水を飲用できる。イラストk182が消灯しているときには、蛇口を絞って瞬時通水流量を抑え、イラストk182が点灯するようになってから浄水を汲めばよい。装着したカ−トリッジの瞬時通水流量・最適範囲を覚えていれば、ブロックa〜j(172〜181)およびイラストk182を見ながら最適範囲内での最大流量になるよう蛇口の開度を調節でき、十分に浄化した浄水を最短時間で汲み出すことができる。
【0057】
また、本浄水器では、浄水の積算通水量に応じて浄化カ−トリッジの残存寿命が液晶表示器105の浄化カ−トリッジ交換表示素子161に表示される。すなわち、浄化カ−トリッジ交換表示素子161は、図13に示すように、浄化カ−トリッジ使用開始時に枠167とブロックA、B、C(164〜166)の全てが点灯しているが、浄水の積算通水量に対応するパルスの積算カウント数が予め設定した第1の設定値に達したら、ブロックA164が消灯し、さらに第2の設定値に達したら、ブロックB165が消灯する。さらに、浄化カ−トリッジを交換しなければならない積算通水量に近づいたら(第3の設定値)、ブロックC166が消灯するとともに枠167が点滅し、浄化カ−トリッジの交換を使用者に促す。使用者が、新しい浄化カ−トリッジに交換してリセットボタン154を押せば、積算カウント数がゼロに戻り、浄化カ−トリッジ交換表示素子161も初期表示に戻る。
【0058】
また、液晶表示器105は、電池の電圧が低下するにしたがって電池交換表示素子162のブロックD〜F(191〜193)を順次消灯し、使用者に電池の交換を促すようになっている。したがって、使用者は電池の使用開始時期と説明書等に記載されている電池寿命をわざわざ記憶しておく必要がない。そのため、電池寿命を忘れたために電池の交換ができず浄化カ−トリッジ使用中に積算流量のデ−タが消滅してしまうこともなく、適切な時期に電池交換が行える。使用者が新しい電池に交換すれば電池交換表示素子162のブロックD〜F(191〜193)は自動的にすべて点灯するようになっている。なお、消費電力が使用状況に関わらずほぼ一定である場合は、浄水の積算流量や、浄水の通水時間の積算値や、浄水を通水していない時間の積算値などから、消灯するタイミングを決めても差し支えない。なお、電池交換表示素子162は、電池使用開始時にはすべて点灯し、電池の寿命に近づくにしたがって順次消灯するというように構成しているが、使用開始時にすべて消灯し、電池の寿命に近づくにしたがって順次点灯するというように構成してもよい。
【0059】
さらに、液晶表示器105は、カ−トリッジ種類表示素子163が前述した浄化カ−トリッジ識別部103からの信号に基づいて点灯、消灯することにより、装着しているカートリッジの種類を表示する。たとえば、底部に突起を設けた有機物の除去率が高いカ−トリッジ(以下、高除去カ−トリッジ)を装着した場合には点灯し、底部に突起が無い標準カ−トリッジを装着した場合には消灯する。ここで、カ−トリッジの寿命も異なる場合に、前述した浄化カ−トリッジ交換表示に関する第1〜3の設定値は、高除去カ−トリッジ用と標準カ−トリッジ用にそれぞれ記憶されていて、浄化カ−トリッジ識別部103からの信号に基づいて自動的に選択される。これにより、カートリッジの種類に合わせたカートリッジ残存寿命が表示されるので、使用者は、使用しているカートリッジの種類とろ過能力、使用開始時期をわざわざ記憶しておかなくでも適切な時期に浄化カ−トリッジを交換できる。
【0060】
ここで、特にカ−トリッジの種類を識別せず、カ−トリッジ交換表示にカ−トリッジの種類別の目安を合わせて表示してもよい。例えば、標準カ−トリッジは枠167が点滅したら交換、高除去カ−トリッジはブロックB165が消灯したら交換として、それを示す文字あるいはイラストをカ−トリッジ交換表示に加えればよい。
【0061】
そして、この液晶表示器105は、浄化カ−トリッジ3を使用しない場合には消灯する。すなわち、回路基板151のCPUが、浄水の通水が停止して流量検出部102からのパルス信号が停止した(磁気スイッチ124が開または閉の状態が一定時間以上続いた)ことを検知してスリ−プモ−ドに切り替わり、液晶表示器105を消灯する。この切り替えによって電池の電力消費が大幅に抑えられ、電池を長期間使用できる。なお、電池交換直後とリセットボタン操作直後には一定時間だけスリ−プモ−ドを解除し、液晶表示器105を点灯させる。これは、使用者が、正しく電池を装着できたことや、正しくデ−タをリセットできたことを確認するためである。
【0062】
本発明は以下のように変形実施することができる。
(1)前述の実施態様では、レバ−の操作力をラチェット機構を介して切換弁へ伝えているが、ラチェット機構を用いず、レバ−の操作角度をそのまま切換弁に伝えてもよい。この場合、切換操作が少々やりにくくなるが、構造が単純になるため製造コストを抑えることができる。表示リングとレバ−を一体的に回動させたり、一体部材とすれば構造は単純になり一層製造コストを抑えることができる。
(2)前述の実施態様では得られた浄水の送水路に流量検出部を設け、得られた浄水の瞬時通水流量の適否を表示するように構成したが、原水を浄化カ−トリッジへ送水する流路に流量検出部を設け、その流路を通過する原水の瞬時通水流量、もしくは、その流路を通過する原水瞬時通水流量から、瞬時通水流量の浄化カ−トリッジの浄化能力に対する適否を表示するように構成してもよい。
(3)前述の実施態様では、液晶表示器105に浄化カートリッジ交換表示と、瞬時通水流量表示と、電池交換表示と、カートリッジ種類表示を設けたが、時刻表示を設けてもよい。使用者はキッチンでの作業中に、わざわざ掛時計に視線を移したり、そでをまくり上げて腕時計を見たりすることなく、容易に時刻を確認することができる。この場合、時刻を合わせるためのボタンスイッチを設ければ、使用者が適宜時刻を合わせることができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の浄水器は、蛇口に接続されて原水を受け入れる原水流入口と、原水をそのまま吐出するか浄化カ−トリッジで浄化して浄水として吐出するかを選択して切り換える切換弁と、切換弁の切換状態を表示する切換表示部と、切換弁を操作するレバ−とを備え、レバ−は回動自在に両持支持され、そのレバ−よりも外側に切換表示部が設けられているので、切換表示部を大きくすることができ、大きい文字、イラストを用いて、使用者にわかりやすく表示できる。
【0065】
さらに、切換表示部が、切換状態を表示するイラストまたは文字が印刷された回動表示部材を備え、その回動表示部材が回動することで切換弁の切換状態を表示するので、レバ−の操作角度に応じた回動をその回動表示部材に伝えやすく、適切な表示を確実に行うことができる。
また、その回動表示部材の回動軸とレバーの回動軸とが同一線上にある場合には、レバ−の操作角度を単純な構造で確実に回動表示部材に伝えることができ、適切な表示を確実に行うことに加えて製造コストも低減することが可能になる。
【0066】
そして、浄化カ−トリッジの交換時期を表示する交換時期表示部を設けた場合、使用者は、浄化カ−トリッジが寿命に達し交換が必要であることを知ることができ、浄化カ−トリッジを適切な時期に交換でき、また、常に充分に浄化された浄水を得ることができる。
【0067】
さらに、蛇口に支持固定される蛇口直結型とすると、シンク近傍に浄化カ−トリッジを設置する据え置き型に比べ小型で邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す浄水器の上面図である。
【図2】図1に示す浄水器のA−A矢視縦断面図である。
【図3】図1に示す浄水器の横断面図である。
【図4】図3に示す浄水器におけるレバ−と駆動軸との接続部のC−C矢視断面図である。
【図5】図3に示す浄水器のD−D矢視断面図である。
【図6】図2に示す浄水器のE−E矢視断面図である。
【図7】電源部の分解斜視図である。
【図8】流量計測部の分解斜視図である。
【図9】図6における水車と水車支持部材の断面図である。
【図10】図3における磁気スイッチと磁気スイッチホルダの断面図である。
【図11】浄化カ−トリッジ識別部の縦断面図である。
【図12】図3に示す浄水器における制御部のF−F矢視断面図である。
【図13】液晶表示器の概略図である。
【符号の説明】
1 : 浄水器 2 : 本体部
3 : 浄化カ−トリッジ 4 : 蛇口
5 : レバ− 11a: ボール
11b: ボール 11c: ボール
12 : 弁軸 13 : 切換弁本体
14 : 原水シャワー口 15 : 原水ストレート口
16 : 下部ボディ 17 : 上部ボディ
18 : 弁操作部 19 : 浄水流出口
21a: 通水路 21b: 通水路
21c: 通水路 22 : 区画板
23 : 上部室 24 : 下部室
25a: oリング 25b: oリング
25c: oリング 26 : 原水供給口
27a: カム部 27b: カム部
27c: カム部 28 : 原水流入口
29 : 浄水受入口 30 : 浄水送水路
31a: 流路 31b: 流路
31c: 流路 36 : パッキン
37 : アダプタ 38 : 取付ナット
39 : 水流緩和部材 41 : 駆動軸
43 : 操作ストッパー 44 : ねじりコイルばね
45 : 平歯車 46 : 平歯車
47 : ラチェット爪部材 48 : ラチェット歯
51 : 表示リング(回動表示部材)
81 : 開口部 82 : 透明部材
91 : カ−トリッジキャップ 92 : 開閉キャップ
93 : 開口部 101: 電源部
102: 流量検出部 103: 浄化カ−トリッジ識別部
104: 制御部 105: 液晶表示器
111: 電池 112: 電池カバ−
113: 陽極金具 114: 陰極金具
115: 電池ホルダ 116: 電池装着部
117: oリング 118: 切り欠き
119: 凹部 120: ゴムキャップ
121: 磁石 122: 水車
123: 水車支持部材 124: 磁気スイッチ
125: 磁気スイッチホルダ 126: 軸
131: 軸部 132: 羽根
133: 羽根 134: 回転軸穴
135: 磁石取付穴 136: 硬化性樹脂
137: 硬化性樹脂 141: 識別基板
142: 導電部材 143: ゴムスイッチ
144: 識別部ハウジング 145: スイッチ操作穴
151: 回路基板 152: 基板ホルダ
153: 基板枠 154: リセットボタン
155: 硬化性樹脂 156: スイッチゴム
161: 浄化カ−トリッジ交換表示素子
162: 電池交換表示素子 163: カ−リッジ種類表示素子
164: ブロックA 165: ブロックB
166: ブロックC 167: 枠
171: 瞬時通水流量表示素子
172: ブロックa 173:ブロックb
174: ブロックc 175:ブロックd
176: ブロックe 177:ブロックf
178: ブロックg 179:ブロックh
180: ブロックi 181:ブロックj
182: イラストk
Claims (4)
- 蛇口に接続されて原水を受け入れる原水流入口と、原水をそのまま吐出するか浄化カ−トリッジで浄化して浄水として吐出するかを選択して切り換える切換弁と、切換弁の切換状態を表示する切換表示部と、切換弁を操作するレバ−とを備え、レバ−は回動自在に両持支持され、そのレバ−よりも外側に切換表示部が設けられ、該切換表示部は、切換状態を表示するイラストまたは文字が印刷された回動表示部材を備え、該回動表示部材が回動することで切換弁の切換状態を表示することを特徴とする浄水器。
- 回動表示部材の回動軸とレバーの回動軸とが同一線上にある、請求項1に記載の浄水器。
- 浄化カ−トリッジの交換時期を表示する交換時期表示部を設けた、請求項1又は2に記載の浄水器。
- 蛇口に支持固定される蛇口直結型である、請求項1〜3のいずれかに記載の蛇口直結型浄水器。
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