JP3951432B2 - 複素環アゾメチン色素の製造方法 - Google Patents
複素環アゾメチン色素の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3951432B2 JP3951432B2 JP08604998A JP8604998A JP3951432B2 JP 3951432 B2 JP3951432 B2 JP 3951432B2 JP 08604998 A JP08604998 A JP 08604998A JP 8604998 A JP8604998 A JP 8604998A JP 3951432 B2 JP3951432 B2 JP 3951432B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- general formula
- compound represented
- compound
- derivatives
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09B—ORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
- C09B55/00—Azomethine dyes
- C09B55/009—Azomethine dyes, the C-atom of the group -C=N- being part of a ring (Image)
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は活性メチレン基を有する化合物をジハロゲン化した後、複素環アミン化合物と縮合させることによる複素環アゾメチン色素の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合により合成されるアゾメチン色素(以下、「複素環アゾメチン色素」ともいう)は、色調や分光吸収特性が良く、熱、光、湿気、大気、薬品に対する安定性が高い、といった点で優れた特性を示し、感熱転写記録材料用の染料などに広く用いられている。
【0003】
一般に、複素環アゾメチン色素は、活性メチレン化合物を複素環アミン化合物と酸化カップリングすることにより合成されていた。しかしながら、酸化剤により複素環アミン化合物どうしが縮合したり、生成した複素環アゾメチン色素化合物が酸化剤により分解するといった副反応のため、従来の方法では収率が低く、そのため製造コストが高くなるといった欠点を有していた。
【0004】
上記の欠点を解決する方法として、活性メチレンを脱離基として作用する塩素や臭素などのハロゲンで置換し、酸化カップリング反応の反応性を高める方法が開示されている。例えば、Synthesis 1985年3月号,299頁記載のピラゾリン−5−オン誘導体を一度ジクロロ化した後、還元反応によりモノクロロ体にする方法や、特開平9−59250号に記載の1,3−ジハロ−5,5−ジメチルヒダントインを用いてモノハロ化する方法が開示されているが、いずれの場合も、写真業界で良く用いられるカプラーとカラー感材の現像剤としてよく用いられているフェニレンジアミン誘導体の酸化体との反応性向上が目的であり、複素環アゾメチン色素の合成法としては不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記の従来の合成法のような副反応がなく、高収率で目的色素が単離できる、複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合によりアゾメチン色素(複素環アゾメチン色素)を合成する製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【0007】
1.下記一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物のHaおよびHbをハロゲン化した後、下記一般式(II)で表される化合物を縮合させる事を特徴とする下記一般式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物の製造方法。
【0008】
【化3】
【0009】
〔式中、HaおよびHbは水素原子を表し、Aはメチレン部分と共に含窒素5員環を形成するのに必要な原子団を表し、X1およびX2はそれぞれ、酸素原子、イオウ原子又は、置換又は無置換の窒素原子を表し、B1およびB2はそれぞれ、一価の置換基を表し、Zは複素5員または複素6員環化合物から導かれる基を表す。〕
2.前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0010】
3.前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする2記載の製造方法。
【0011】
4.前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする2記載の化合物の製造方法。
【0012】
5.下記一般式(IV)で表される化合物のHcをハロゲン化した後、下記一般式(V)で表される化合物を縮合させる事を特徴とする下記一般式(VI)で表される化合物の製造方法。
【0013】
【化4】
【0014】
〔式中、Hcは水素原子を表し、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ、水素原子又は一価の置換基を表す。a,b,cおよびdはそれぞれ、窒素原子又は炭素原子を表し、a,b,cおよびdのうち少なくとも一つは窒素原子である。〕
6.前記一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物のHaおよびHbをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0015】
7.前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0016】
8.前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする7記載の製造方法。
【0017】
9.前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする7記載の製造方法。
【0018】
10.前記一般式(IV)で表される化合物のHcをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(V)で表される化合物を縮合させて前記一般式(VI)で表される化合物を製造することを特徴とする5に記載の製造方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の一般式(Ia)で表される化合物について詳しく述べる。
【0021】
一般式(Ia)の化合物は、メチレン部分とAとによって形成される含窒素5員環化合物であるが、具体的には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール等の含窒素5員環化合物、ピラゾロアゾールもしくはピロロアゾール等の含窒素芳香族5−5縮合環化合物が挙げられる。
【0022】
一般式(Ia)の化合物として好ましくはイミダゾール誘導体、ピラゾリン−5−オン誘導体、ピラゾロアゾール誘導体、ピロロアゾール誘導体である。収率向上の点でより好ましいのはイミダゾール誘導体、ピラゾリン−5−オン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体であり、収率の面で特に顕著な改善が見られるのは一般式(IV)に示すピラゾリン−5−オン誘導体である。一般式(IV)中、R1およびR2は水素原子または一価の置換基を表し、同一でも異なっていてもよい。一価の置換基としては、具体的にはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルボニル基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、またR1およびR2が結合して環を形成してもよい。これらの置換基のうち好ましいR1およびR2としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ウレイド基、カルバモイル基、である。
【0023】
次に一般式(Ib)で表される化合物について詳しく述べる。
【0024】
前記一般式(Ib)において、X1およびX2は酸素原子、イオウ原子又は、置換又は無置換の窒素原子を表し、各々同一でも異なっていても良い。該X1およびX2が置換基を有する窒素原子の場合、該置換基としては、具体的にはヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等を挙げることができ、これらは更に置換基を有していても良い。より好ましい置換基としてはアルキル基、アリール基である。
【0025】
B1およびB2は一価の置換基を表し、同一でも異なっていてもよい。一価の置換基としては、具体的にはアルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、カルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、アシル基、複素環チオ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、B1およびB2が結合して環を形成してもよい。該環は5員環であることが好ましい。これらの置換基のうち好ましいB1,B2としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アニリノ基、アルキルアミノ基である。
【0026】
次に一般式(II)で表される化合物について述べる。
【0027】
前記一般式(II)において、Zは複素5員または複素6員環化合物から導かれる基を表す。該複素5員環化合物としては、具体的にはピロール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体等を挙げることができ、各々縮合環を形成していても良い。該複素6員環化合物としては、具体的にはピリジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラン誘導体等を挙げることができ、各々縮合環を形成しても良い。Zで表される基が導かれる好ましい複素5員または複素6員環化合物としては、ピロール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラン誘導体であり、さらに、より好ましくはチオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体であり、収率改善の効果の点でより好ましいのはチオフェン誘導体とピリジン誘導体であり、最も好ましいのはピリジン誘導体である。
【0028】
次に一般式(IIIa)または一般式(IIIb)で表される化合物について述べる。
【0029】
前記一般式(IIIa)または一般式(IIIb)におけるA,B1,B2およびZは、各々一般式(Ia)、一般式(Ib)、一般式(II)におけるA,B1,B2およびZと同義である。
【0030】
次に一般式(V)で表される化合物について述べる。
【0031】
前記一般式(V)において、R3およびR4は水素原子又は一価の置換基を表し、同一でも異なっていても良い。一価の置換基としては、具体的にはヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、またR3およびR4が結合して環を形成してもよく、a,b,cおよびdのいずれかと結合して環を形成しても良い。これらの置換基のうち好ましいR3およびR4としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、ヒドロキシ基である。
【0032】
a,b,cおよびdは窒素原子又は炭素原子を表し、同一でも異なっていても良く、a,b,cおよびdのうち少なくとも一つは窒素原子である。a,b,cおよびdのいずれか一つ又は二つ又は三つが炭素原子のとき、該炭素原子は水素原子又は置換基を有し、a,b,cおよびdのいずれか一つ又は二つ又は三つが置換基を有する炭素原子の場合、該置換基は一価の置換基でも良く、また各々の置換基同士が結合して環を形成していても良く、また上述したR3およびR4と結合して環を形成しても良い。該一価の置換基としては、具体的にはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、より好ましい一価の置換基としては、アルキルアミノ基、アニリノ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、カルボニル基、ウレイド基である。最も好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、カルボニル基である。
【0033】
次に一般式(VI)で表される化合物について述べる。
【0034】
前記一般式(VI)におけるR1,R2,R3,R4,a,b,cおよびdは、各々一般式(IV)、一般式(V)におけるR1,R2,R3,R4,a,b,cおよびdと同義である。
【0035】
以下に一般式(Ia)または一般式(IV)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
以下に一般式(Ib)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化8】
【0041】
以下に一般式(II)または一般式(V)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】
以下に一般式(IIIa)、一般式(IIIb)または一般式(VI)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,およびHcのハロゲン化の方法について述べる。
【0049】
ハロゲン化の方法は公知の如何なる方法を用いてもよく、ハロゲン分子そのものまたはハロゲン化剤を利用する方法が一般的である。ハロゲンとしては塩素、臭素が好適である。塩素化の方法としては例えば、Synthesis 1985年3月号299頁記載の1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインを塩素化剤として用いる方法、Journal of American Chemical Society 1958年,80巻,5796頁記載の塩素分子を用いる方法、Journal of Heterocyclic Chemistry 1982年,19巻,1389頁記載の塩化スルフリルを塩素化剤として用いる方法、さらには、N−クロロこはく酸イミド(NCS)を塩素化剤として用いる方法や、5塩化リンを塩素化剤として用いる方法があげられる。上記塩素化法における塩素化剤の塩素原子を臭素原子に置換した化合物を用いることで、同様な操作で臭素化も可能である。
【0050】
ハロゲン化条件において、ハロゲン化剤は一般式(Ia)または(Ib)または(IV)で表される化合物それぞれのHaまたはHbまたはHcのモル数に対して、0.1〜10モル当量用いる。好ましくは一般式(Ia)または(Ib)または(IV)で表される化合物のHaまたはHbまたはHcのモル数に対して0.35〜2モル当量である。
【0051】
ハロゲン化においては、一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物等の基質にハロゲン化剤を加えていっても良く、逆にハロゲン化剤に該基質を加えていっても良い。一方に他方を加える場合には必要量を一度に加えても良く、数回に分けて加えても良く、また少量づつ加えても良く、必要に応じて各々適当な溶媒を用いても良い。また両方を数回に分けて、又は少量ずつ加えていっても良く、各々必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。
【0052】
反応温度は−50℃から300℃であり、好ましくは−20℃から200℃である。条件や反応の進行に応じて加熱、冷却しても良い。
【0053】
反応溶媒としては、ハロゲン系溶媒(例えばクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタンなど)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル(EA)、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルなど)、芳香族炭化水素系溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノンなど)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)など)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸など)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールなど)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなど)および水等がハロゲン化方法に応じて任意に選択可能であり、さらに単一溶媒でも混合溶媒としても使用可能であるため、あまり溶媒の制限を受けないが、環境保全や副反応の少なさから、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、カルボン酸系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒が好ましい。特に好ましい溶媒は酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、トルエン、アセトン、DMAc、酢酸、アセトニトリルである。
【0054】
反応後の後処理は、通常の有機反応で行われる方法で行われる。単離精製はその性質により、カラムクロマトグラフィー法、晶析法もしくは抽出法のいずれか、又はそれらの併用により行われる。
【0055】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcがハロゲン化された化合物(以下、「本発明のハロゲン化体」ともいう)と一般式(II)または一般式(V)で表される化合物(以下「本発明の複素環アミン化合物」ともいう)との縮合の方法について述べる。縮合反応において本発明の複素環アミン化合物は適当な酸と4級塩を形成したものを用いることもできる。4級塩を用いる場合には、あらかじめ必要量の塩基を反応系に加えておいても良いし、使用の直前に中和してから用いても良い。該酸としては、4級塩を作ることのできる公知の有機酸、無機酸いずれでも良く、具体的には塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸などである。本発明の複素環アミン化合物を用いる量は本発明のハロゲン化体に対して0.5〜5モル当量であり、好ましくは0.7〜1.5モル当量である。
【0056】
本発明のハロゲン化体に本発明の複素環アミン化合物を加えていっても良く、逆に本発明の複素環アミン化合物に本発明のハロゲン化体を加えていっても良い。どちらの場合においても基質はそのままでも良く、また適当な溶媒を用いても良い。
【0057】
一方に他方を加える場合には必要量を一度に加えても良く、数回に分けて加えても良く、また少量づつ加えても良く、必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。また両方を数回に分けて、又は少量ずつ加えていっても良く、必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。反応温度は−50℃から300℃であり、好ましくは−20℃から200℃である。条件や反応の進行に応じて加熱、冷却しても良い。反応溶媒は上述したハロゲン化条件と同じである。縮合反応の進行に伴い、ハロゲン化水素が生成するが、必要に応じて該ハロゲン化水素を中和するための塩基を加えても良い。塩基は無機塩基でも有機塩基でも良く、具体的には苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、酢酸ソーダなどの酢酸塩、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミンなどの3級アミン、ピリジンなど含窒素芳香族6員環化合物などが挙げられる。より好ましい塩基としては炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩である。使用量は、基質に対して、0.1〜3当量であり、より好ましくは0.4〜2当量である。
【0058】
反応後の後処理は上述したハロゲン化条件と同じである。
【0059】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcをハロゲン化した後、本発明のハロゲン化体を単離せずに本発明の複素環アミン化合物と縮合させる複素環アゾメチン色素の製造方法について詳しく述べる。具体的には一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcをハロゲン化した後の反応系(以下、「本発明の反応系」ともいう)に、直接または場合によっては水洗等の簡単な後処理をした後に、本発明の複素環アミン化合物を加える、もしくは、直接または場合によっては水洗等の簡単な後処理をした後の本発明の反応系を本発明の複素環アミン化合物に加えることである。縮合の方法は上述した本発明のハロゲン化体と本発明の複素環アミン化合物との縮合の方法と同様である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0061】
以下の実施例において、高速液体クロマトグラフィー測定の条件は、逆相系のカラムを用いて測定した。純度は記録紙上の各ピークの単純面積百分率比較である。
【0062】
実施例1
【0063】
【化14】
【0064】
ハロゲン化はSynthesis 1985年3月号299頁記載の方法に準じて行った。具体的には例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸50mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌し、これに水150mlを加えて、30分攪拌した後、析出物を濾取した。この析出物を乾燥後、メタノールから再結晶して化合物(A)を得た。収量20.6g(収率80%)。
【0065】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。
【0066】
次に、この化合物(A)20.6gを酢酸エチル20mlに溶解し、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解させた溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−1 14.3g(0.08mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度97.5%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量19.8g(収率68%)。
【0067】
これは、例示化合物a−1を基準とした例示化合物1の収率としては、収率54.4%である。
【0068】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.0%であった。
【0069】
実施例2
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル20mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液を水50mlで2回水洗した後、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解させた溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−1 17.9g(0.1mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度99.0%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量28.3g(収率78%)(例示化合物a−1を基準とした例示化合物1の収率)。
【0070】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.7%であった。
【0071】
実施例3
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)をエタノール20mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液に炭酸カリウムを13.8g、水30mlを加えた後、加熱還流下、例示化合物II−1 17.9g(0.1mol)のエタノール20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、水40mlを加えた後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度98.9%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量26.1g(収率72%)。
【0072】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.7%であった。
【0073】
実施例4
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル40mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液を水50mlで2回水洗した後に、炭酸カリウム27.2gを水60mlに溶解した水溶液と、例示化合物II−1の2塩酸塩 25.2g(0.1mol)を水60mlに溶解した水溶液を同時に、加熱還流下滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度98.8%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量29.8g(収率82%)。
【0074】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.8%であった。
【0075】
実施例5
反応溶媒をエタノールから、アセトニトリルに変更した以外は実施例3と同様の実験を行い、粗生成物純度98.7%、再結晶して収率74%、純度99.7%で例示化合物1を得ることができた。
【0076】
実施例6
反応溶媒を酢酸エチルから、酢酸イソピロピルに変更した以外は実施例4と同様の実験を行い、粗生成物純度99.0%、再結晶して収率82%、純度99.7%で例示化合物1を得ることができた。
【0077】
実施例7
反応溶媒を酢酸エチルから、トルエンに変更した以外は実施例4と同様の実験を行い、粗生成物純度98.4%、再結晶して収率80%、純度99.5%で例示化合物1を得ることができた。
【0078】
実施例8
【0079】
【化15】
【0080】
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル50mlに懸濁させ、これに、塩化スルフリル 29.6g(0.22mol)を加え、30分そのまま加熱還流した。これに水150mlを加えて、水洗後、有機層を減圧下留去した。残渣を乾燥後、メタノールから再結晶して化合物(B)を得た。収量21.9g(収率81%)。
【0081】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。
【0082】
次に、この化合物(B)21.9gを酢酸エチル20mlに溶解し、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解した溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−11 11.5g(0.08mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、97.4%であった。粗生成物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物6を得た。収量18.4g(収率67%)。
【0083】
例示化合物a−11を基準とした例示化合物6の収率は54.3%である。
【0084】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、98.9%であった。
【0085】
実施例9
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル50mlに懸濁させ、これに、塩化スルフリル 29.6g(0.22mol)を加え、30分そのまま加熱還流した。これに水150mlを加えて、水洗後、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解した溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−11 14.2g(0.1mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、98.5%であった。粗生成物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物6を得た。収量25.8g(収率76%)。
【0086】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、99.5%であった。
【0087】
比較例1
【0088】
【化16】
【0089】
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル100mlに懸濁させ、過硫酸ナトリウム59.5g(0.25mol)、炭酸カリウムを140.0g、水400mlを加えた後、例示化合物II−1 21.5g(0.12mol)の酢酸エチル20ml溶液を室温下滴下した。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を続けた後、有機層を抽出し、十分に水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を減圧留去して、粘性の高いアモルファス状の物質を得た。このアモルファス状の物質の純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、54%であり、多数の不純物ピークが確認された。このアモルファス状の物質を酢酸エチルから再結晶し例示化合物1を得た。収量13.5g(収率37%)。
【0090】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、96.8%であった。
【0091】
比較例2
【0092】
【化17】
【0093】
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル100mlに懸濁させ、過硫酸ナトリウム59.5g(0.25mol)、炭酸カリウムを140.0g、水400mlを加えた後、例示化合物II−11 17.1g(0.12mol)の酢酸エチル20ml溶液を室温下滴下した。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を続けた後、有機層を抽出し、十分に水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を減圧留去して、粘性の高いアモルファス状の物質を得た。このアモルファス状の物質の純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、51%であり、多数の不純物ピークが確認された。このアモルファス状の物質をアセトニトリルから再結晶し例示化合物6を得た。収量11.9g(収率35%)。
【0094】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、95.6%であった。
【0095】
以上詳しく説明したとおり、本発明によって複素環アゾメチン色素を高収率で製造できる方法を提供できることになる。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、従来の合成法のような副反応がなく、高収率で目的色素が単離できる、複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合によりアゾメチン色素(複素環アゾメチン色素)を合成する製造方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は活性メチレン基を有する化合物をジハロゲン化した後、複素環アミン化合物と縮合させることによる複素環アゾメチン色素の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合により合成されるアゾメチン色素(以下、「複素環アゾメチン色素」ともいう)は、色調や分光吸収特性が良く、熱、光、湿気、大気、薬品に対する安定性が高い、といった点で優れた特性を示し、感熱転写記録材料用の染料などに広く用いられている。
【0003】
一般に、複素環アゾメチン色素は、活性メチレン化合物を複素環アミン化合物と酸化カップリングすることにより合成されていた。しかしながら、酸化剤により複素環アミン化合物どうしが縮合したり、生成した複素環アゾメチン色素化合物が酸化剤により分解するといった副反応のため、従来の方法では収率が低く、そのため製造コストが高くなるといった欠点を有していた。
【0004】
上記の欠点を解決する方法として、活性メチレンを脱離基として作用する塩素や臭素などのハロゲンで置換し、酸化カップリング反応の反応性を高める方法が開示されている。例えば、Synthesis 1985年3月号,299頁記載のピラゾリン−5−オン誘導体を一度ジクロロ化した後、還元反応によりモノクロロ体にする方法や、特開平9−59250号に記載の1,3−ジハロ−5,5−ジメチルヒダントインを用いてモノハロ化する方法が開示されているが、いずれの場合も、写真業界で良く用いられるカプラーとカラー感材の現像剤としてよく用いられているフェニレンジアミン誘導体の酸化体との反応性向上が目的であり、複素環アゾメチン色素の合成法としては不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記の従来の合成法のような副反応がなく、高収率で目的色素が単離できる、複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合によりアゾメチン色素(複素環アゾメチン色素)を合成する製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【0007】
1.下記一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物のHaおよびHbをハロゲン化した後、下記一般式(II)で表される化合物を縮合させる事を特徴とする下記一般式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物の製造方法。
【0008】
【化3】
【0009】
〔式中、HaおよびHbは水素原子を表し、Aはメチレン部分と共に含窒素5員環を形成するのに必要な原子団を表し、X1およびX2はそれぞれ、酸素原子、イオウ原子又は、置換又は無置換の窒素原子を表し、B1およびB2はそれぞれ、一価の置換基を表し、Zは複素5員または複素6員環化合物から導かれる基を表す。〕
2.前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0010】
3.前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする2記載の製造方法。
【0011】
4.前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする2記載の化合物の製造方法。
【0012】
5.下記一般式(IV)で表される化合物のHcをハロゲン化した後、下記一般式(V)で表される化合物を縮合させる事を特徴とする下記一般式(VI)で表される化合物の製造方法。
【0013】
【化4】
【0014】
〔式中、Hcは水素原子を表し、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ、水素原子又は一価の置換基を表す。a,b,cおよびdはそれぞれ、窒素原子又は炭素原子を表し、a,b,cおよびdのうち少なくとも一つは窒素原子である。〕
6.前記一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物のHaおよびHbをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0015】
7.前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする1に記載の製造方法。
【0016】
8.前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする7記載の製造方法。
【0017】
9.前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする7記載の製造方法。
【0018】
10.前記一般式(IV)で表される化合物のHcをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(V)で表される化合物を縮合させて前記一般式(VI)で表される化合物を製造することを特徴とする5に記載の製造方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の一般式(Ia)で表される化合物について詳しく述べる。
【0021】
一般式(Ia)の化合物は、メチレン部分とAとによって形成される含窒素5員環化合物であるが、具体的には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール等の含窒素5員環化合物、ピラゾロアゾールもしくはピロロアゾール等の含窒素芳香族5−5縮合環化合物が挙げられる。
【0022】
一般式(Ia)の化合物として好ましくはイミダゾール誘導体、ピラゾリン−5−オン誘導体、ピラゾロアゾール誘導体、ピロロアゾール誘導体である。収率向上の点でより好ましいのはイミダゾール誘導体、ピラゾリン−5−オン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体であり、収率の面で特に顕著な改善が見られるのは一般式(IV)に示すピラゾリン−5−オン誘導体である。一般式(IV)中、R1およびR2は水素原子または一価の置換基を表し、同一でも異なっていてもよい。一価の置換基としては、具体的にはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルボニル基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、またR1およびR2が結合して環を形成してもよい。これらの置換基のうち好ましいR1およびR2としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ウレイド基、カルバモイル基、である。
【0023】
次に一般式(Ib)で表される化合物について詳しく述べる。
【0024】
前記一般式(Ib)において、X1およびX2は酸素原子、イオウ原子又は、置換又は無置換の窒素原子を表し、各々同一でも異なっていても良い。該X1およびX2が置換基を有する窒素原子の場合、該置換基としては、具体的にはヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等を挙げることができ、これらは更に置換基を有していても良い。より好ましい置換基としてはアルキル基、アリール基である。
【0025】
B1およびB2は一価の置換基を表し、同一でも異なっていてもよい。一価の置換基としては、具体的にはアルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、カルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、アシル基、複素環チオ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、B1およびB2が結合して環を形成してもよい。該環は5員環であることが好ましい。これらの置換基のうち好ましいB1,B2としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アニリノ基、アルキルアミノ基である。
【0026】
次に一般式(II)で表される化合物について述べる。
【0027】
前記一般式(II)において、Zは複素5員または複素6員環化合物から導かれる基を表す。該複素5員環化合物としては、具体的にはピロール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体等を挙げることができ、各々縮合環を形成していても良い。該複素6員環化合物としては、具体的にはピリジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラン誘導体等を挙げることができ、各々縮合環を形成しても良い。Zで表される基が導かれる好ましい複素5員または複素6員環化合物としては、ピロール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ピラン誘導体であり、さらに、より好ましくはチオフェン誘導体、フラン誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピリジン誘導体であり、収率改善の効果の点でより好ましいのはチオフェン誘導体とピリジン誘導体であり、最も好ましいのはピリジン誘導体である。
【0028】
次に一般式(IIIa)または一般式(IIIb)で表される化合物について述べる。
【0029】
前記一般式(IIIa)または一般式(IIIb)におけるA,B1,B2およびZは、各々一般式(Ia)、一般式(Ib)、一般式(II)におけるA,B1,B2およびZと同義である。
【0030】
次に一般式(V)で表される化合物について述べる。
【0031】
前記一般式(V)において、R3およびR4は水素原子又は一価の置換基を表し、同一でも異なっていても良い。一価の置換基としては、具体的にはヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、またR3およびR4が結合して環を形成してもよく、a,b,cおよびdのいずれかと結合して環を形成しても良い。これらの置換基のうち好ましいR3およびR4としては、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、ヒドロキシ基である。
【0032】
a,b,cおよびdは窒素原子又は炭素原子を表し、同一でも異なっていても良く、a,b,cおよびdのうち少なくとも一つは窒素原子である。a,b,cおよびdのいずれか一つ又は二つ又は三つが炭素原子のとき、該炭素原子は水素原子又は置換基を有し、a,b,cおよびdのいずれか一つ又は二つ又は三つが置換基を有する炭素原子の場合、該置換基は一価の置換基でも良く、また各々の置換基同士が結合して環を形成していても良く、また上述したR3およびR4と結合して環を形成しても良い。該一価の置換基としては、具体的にはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよく、より好ましい一価の置換基としては、アルキルアミノ基、アニリノ基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、カルボニル基、ウレイド基である。最も好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、カルボニル基である。
【0033】
次に一般式(VI)で表される化合物について述べる。
【0034】
前記一般式(VI)におけるR1,R2,R3,R4,a,b,cおよびdは、各々一般式(IV)、一般式(V)におけるR1,R2,R3,R4,a,b,cおよびdと同義である。
【0035】
以下に一般式(Ia)または一般式(IV)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
以下に一般式(Ib)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化8】
【0041】
以下に一般式(II)または一般式(V)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】
以下に一般式(IIIa)、一般式(IIIb)または一般式(VI)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,およびHcのハロゲン化の方法について述べる。
【0049】
ハロゲン化の方法は公知の如何なる方法を用いてもよく、ハロゲン分子そのものまたはハロゲン化剤を利用する方法が一般的である。ハロゲンとしては塩素、臭素が好適である。塩素化の方法としては例えば、Synthesis 1985年3月号299頁記載の1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインを塩素化剤として用いる方法、Journal of American Chemical Society 1958年,80巻,5796頁記載の塩素分子を用いる方法、Journal of Heterocyclic Chemistry 1982年,19巻,1389頁記載の塩化スルフリルを塩素化剤として用いる方法、さらには、N−クロロこはく酸イミド(NCS)を塩素化剤として用いる方法や、5塩化リンを塩素化剤として用いる方法があげられる。上記塩素化法における塩素化剤の塩素原子を臭素原子に置換した化合物を用いることで、同様な操作で臭素化も可能である。
【0050】
ハロゲン化条件において、ハロゲン化剤は一般式(Ia)または(Ib)または(IV)で表される化合物それぞれのHaまたはHbまたはHcのモル数に対して、0.1〜10モル当量用いる。好ましくは一般式(Ia)または(Ib)または(IV)で表される化合物のHaまたはHbまたはHcのモル数に対して0.35〜2モル当量である。
【0051】
ハロゲン化においては、一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物等の基質にハロゲン化剤を加えていっても良く、逆にハロゲン化剤に該基質を加えていっても良い。一方に他方を加える場合には必要量を一度に加えても良く、数回に分けて加えても良く、また少量づつ加えても良く、必要に応じて各々適当な溶媒を用いても良い。また両方を数回に分けて、又は少量ずつ加えていっても良く、各々必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。
【0052】
反応温度は−50℃から300℃であり、好ましくは−20℃から200℃である。条件や反応の進行に応じて加熱、冷却しても良い。
【0053】
反応溶媒としては、ハロゲン系溶媒(例えばクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタンなど)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル(EA)、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルなど)、芳香族炭化水素系溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノンなど)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)など)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸など)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールなど)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル、プロピオニトリルなど)および水等がハロゲン化方法に応じて任意に選択可能であり、さらに単一溶媒でも混合溶媒としても使用可能であるため、あまり溶媒の制限を受けないが、環境保全や副反応の少なさから、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、カルボン酸系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒が好ましい。特に好ましい溶媒は酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、トルエン、アセトン、DMAc、酢酸、アセトニトリルである。
【0054】
反応後の後処理は、通常の有機反応で行われる方法で行われる。単離精製はその性質により、カラムクロマトグラフィー法、晶析法もしくは抽出法のいずれか、又はそれらの併用により行われる。
【0055】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcがハロゲン化された化合物(以下、「本発明のハロゲン化体」ともいう)と一般式(II)または一般式(V)で表される化合物(以下「本発明の複素環アミン化合物」ともいう)との縮合の方法について述べる。縮合反応において本発明の複素環アミン化合物は適当な酸と4級塩を形成したものを用いることもできる。4級塩を用いる場合には、あらかじめ必要量の塩基を反応系に加えておいても良いし、使用の直前に中和してから用いても良い。該酸としては、4級塩を作ることのできる公知の有機酸、無機酸いずれでも良く、具体的には塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸などである。本発明の複素環アミン化合物を用いる量は本発明のハロゲン化体に対して0.5〜5モル当量であり、好ましくは0.7〜1.5モル当量である。
【0056】
本発明のハロゲン化体に本発明の複素環アミン化合物を加えていっても良く、逆に本発明の複素環アミン化合物に本発明のハロゲン化体を加えていっても良い。どちらの場合においても基質はそのままでも良く、また適当な溶媒を用いても良い。
【0057】
一方に他方を加える場合には必要量を一度に加えても良く、数回に分けて加えても良く、また少量づつ加えても良く、必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。また両方を数回に分けて、又は少量ずつ加えていっても良く、必要に応じて適当な溶媒を用いても良い。反応温度は−50℃から300℃であり、好ましくは−20℃から200℃である。条件や反応の進行に応じて加熱、冷却しても良い。反応溶媒は上述したハロゲン化条件と同じである。縮合反応の進行に伴い、ハロゲン化水素が生成するが、必要に応じて該ハロゲン化水素を中和するための塩基を加えても良い。塩基は無機塩基でも有機塩基でも良く、具体的には苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、酢酸ソーダなどの酢酸塩、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミンなどの3級アミン、ピリジンなど含窒素芳香族6員環化合物などが挙げられる。より好ましい塩基としては炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩である。使用量は、基質に対して、0.1〜3当量であり、より好ましくは0.4〜2当量である。
【0058】
反応後の後処理は上述したハロゲン化条件と同じである。
【0059】
次に一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcをハロゲン化した後、本発明のハロゲン化体を単離せずに本発明の複素環アミン化合物と縮合させる複素環アゾメチン色素の製造方法について詳しく述べる。具体的には一般式(Ia)、(Ib)または(IV)で表される化合物のHa,Hb,Hcをハロゲン化した後の反応系(以下、「本発明の反応系」ともいう)に、直接または場合によっては水洗等の簡単な後処理をした後に、本発明の複素環アミン化合物を加える、もしくは、直接または場合によっては水洗等の簡単な後処理をした後の本発明の反応系を本発明の複素環アミン化合物に加えることである。縮合の方法は上述した本発明のハロゲン化体と本発明の複素環アミン化合物との縮合の方法と同様である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0061】
以下の実施例において、高速液体クロマトグラフィー測定の条件は、逆相系のカラムを用いて測定した。純度は記録紙上の各ピークの単純面積百分率比較である。
【0062】
実施例1
【0063】
【化14】
【0064】
ハロゲン化はSynthesis 1985年3月号299頁記載の方法に準じて行った。具体的には例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸50mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌し、これに水150mlを加えて、30分攪拌した後、析出物を濾取した。この析出物を乾燥後、メタノールから再結晶して化合物(A)を得た。収量20.6g(収率80%)。
【0065】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。
【0066】
次に、この化合物(A)20.6gを酢酸エチル20mlに溶解し、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解させた溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−1 14.3g(0.08mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度97.5%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量19.8g(収率68%)。
【0067】
これは、例示化合物a−1を基準とした例示化合物1の収率としては、収率54.4%である。
【0068】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.0%であった。
【0069】
実施例2
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル20mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液を水50mlで2回水洗した後、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解させた溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−1 17.9g(0.1mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度99.0%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量28.3g(収率78%)(例示化合物a−1を基準とした例示化合物1の収率)。
【0070】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.7%であった。
【0071】
実施例3
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)をエタノール20mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液に炭酸カリウムを13.8g、水30mlを加えた後、加熱還流下、例示化合物II−1 17.9g(0.1mol)のエタノール20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、水40mlを加えた後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度98.9%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量26.1g(収率72%)。
【0072】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.7%であった。
【0073】
実施例4
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル40mlに懸濁させ、これに、内温を30℃以下に保ち、攪拌しながら1,3−ジクロロ−5、5−ジメチルヒダントイン 19.7g(0.1mol)を粉末のまま少量づつ加えた。粉末投入終了後、30分そのまま攪拌した。この反応液を水50mlで2回水洗した後に、炭酸カリウム27.2gを水60mlに溶解した水溶液と、例示化合物II−1の2塩酸塩 25.2g(0.1mol)を水60mlに溶解した水溶液を同時に、加熱還流下滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、純度98.8%であった。粗生成物を酢酸エチルから再結晶して例示化合物1を得た。収量29.8g(収率82%)。
【0074】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、純度99.8%であった。
【0075】
実施例5
反応溶媒をエタノールから、アセトニトリルに変更した以外は実施例3と同様の実験を行い、粗生成物純度98.7%、再結晶して収率74%、純度99.7%で例示化合物1を得ることができた。
【0076】
実施例6
反応溶媒を酢酸エチルから、酢酸イソピロピルに変更した以外は実施例4と同様の実験を行い、粗生成物純度99.0%、再結晶して収率82%、純度99.7%で例示化合物1を得ることができた。
【0077】
実施例7
反応溶媒を酢酸エチルから、トルエンに変更した以外は実施例4と同様の実験を行い、粗生成物純度98.4%、再結晶して収率80%、純度99.5%で例示化合物1を得ることができた。
【0078】
実施例8
【0079】
【化15】
【0080】
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル50mlに懸濁させ、これに、塩化スルフリル 29.6g(0.22mol)を加え、30分そのまま加熱還流した。これに水150mlを加えて、水洗後、有機層を減圧下留去した。残渣を乾燥後、メタノールから再結晶して化合物(B)を得た。収量21.9g(収率81%)。
【0081】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。
【0082】
次に、この化合物(B)21.9gを酢酸エチル20mlに溶解し、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解した溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−11 11.5g(0.08mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、97.4%であった。粗生成物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物6を得た。収量18.4g(収率67%)。
【0083】
例示化合物a−11を基準とした例示化合物6の収率は54.3%である。
【0084】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、98.9%であった。
【0085】
実施例9
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル50mlに懸濁させ、これに、塩化スルフリル 29.6g(0.22mol)を加え、30分そのまま加熱還流した。これに水150mlを加えて、水洗後、炭酸カリウム13.8gを水30mlに溶解した溶液を加えた後、加熱還流下例示化合物II−11 14.2g(0.1mol)の酢酸エチル20ml溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま加熱還流を1時間続けた後、室温まで放冷後、氷水で冷却した。析出物を濾取し、十分に水洗し粗生成物を得た。この粗生成物を乾燥後、純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、98.5%であった。粗生成物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物6を得た。収量25.8g(収率76%)。
【0086】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、99.5%であった。
【0087】
比較例1
【0088】
【化16】
【0089】
例示化合物a−1 18.83g(0.1mol)を酢酸エチル100mlに懸濁させ、過硫酸ナトリウム59.5g(0.25mol)、炭酸カリウムを140.0g、水400mlを加えた後、例示化合物II−1 21.5g(0.12mol)の酢酸エチル20ml溶液を室温下滴下した。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を続けた後、有機層を抽出し、十分に水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を減圧留去して、粘性の高いアモルファス状の物質を得た。このアモルファス状の物質の純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、54%であり、多数の不純物ピークが確認された。このアモルファス状の物質を酢酸エチルから再結晶し例示化合物1を得た。収量13.5g(収率37%)。
【0090】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、96.8%であった。
【0091】
比較例2
【0092】
【化17】
【0093】
例示化合物a−11 20.1g(0.1mol)を酢酸エチル100mlに懸濁させ、過硫酸ナトリウム59.5g(0.25mol)、炭酸カリウムを140.0g、水400mlを加えた後、例示化合物II−11 17.1g(0.12mol)の酢酸エチル20ml溶液を室温下滴下した。滴下終了後、そのまま1時間攪拌を続けた後、有機層を抽出し、十分に水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を減圧留去して、粘性の高いアモルファス状の物質を得た。このアモルファス状の物質の純度を高速液体クロマトグラフィーから測定したところ、51%であり、多数の不純物ピークが確認された。このアモルファス状の物質をアセトニトリルから再結晶し例示化合物6を得た。収量11.9g(収率35%)。
【0094】
1H−NMRおよびマススペクトル測定から目的物と確認した。高速液体クロマトグラフィーから純度を測定したところ、95.6%であった。
【0095】
以上詳しく説明したとおり、本発明によって複素環アゾメチン色素を高収率で製造できる方法を提供できることになる。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、従来の合成法のような副反応がなく、高収率で目的色素が単離できる、複素環アミン化合物と活性メチレン化合物との縮合によりアゾメチン色素(複素環アゾメチン色素)を合成する製造方法を提供することができた。
Claims (10)
- 前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする請求項2記載の製造方法。
- 前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
- 前記一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物のHaおよびHbをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)または(IIIb)で表される化合物を製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記一般式(Ia)で表される化合物のHaをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(II)で表される化合物を縮合させて前記一般式(IIIa)で表される化合物を製造することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記一般式(Ia)がピラゾリン−5−オン誘導体、イミダゾール誘導体またはピラゾロトリアゾール誘導体である事を特徴とする請求項7記載の製造方法。
- 前記一般式(II)のZがチオフェン誘導体またはピリジン誘導体から導かれる基であることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
- 前記一般式(IV)で表される化合物のHcをハロゲン化した後、ジハロゲン体を単離せずに前記一般式(V)で表される化合物を縮合させて前記一般式(VI)で表される化合物を製造することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08604998A JP3951432B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 複素環アゾメチン色素の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08604998A JP3951432B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 複素環アゾメチン色素の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11279427A JPH11279427A (ja) | 1999-10-12 |
JP3951432B2 true JP3951432B2 (ja) | 2007-08-01 |
Family
ID=13875838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08604998A Expired - Fee Related JP3951432B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 複素環アゾメチン色素の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3951432B2 (ja) |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP08604998A patent/JP3951432B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11279427A (ja) | 1999-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0456835B2 (ja) | ||
CA1321791C (en) | Preparation of oxophthalazinyl acetic acids having benzothiazole or other heterocyclic side chains | |
JPH0479350B2 (ja) | ||
JP2019038987A (ja) | 蛍光色素剤及びカルボスチリル化合物 | |
JP4331823B2 (ja) | ピロロ[1,2−a]−1,3,5−トリアジン−4−オン系化合物 | |
JP5114901B2 (ja) | 含窒素多環複素環化合物の製造方法 | |
JP3951432B2 (ja) | 複素環アゾメチン色素の製造方法 | |
JP2527587B2 (ja) | O−スルホニル−n−(クロロピラゾリル)アミドオキシムの製造方法 | |
JP4843312B2 (ja) | アミノカルボニルナフトール誘導体およびシアノナフトール誘導体ならびにそれらの製造方法 | |
JP2006188582A (ja) | 新規なピラゾロン化合物、並びにそれを用いたメロシアニン色素 | |
JP3020188B2 (ja) | 1H−ピロロ−〔1,2−b〕〔1,2,4〕トリアゾール誘導体 | |
JP2001081084A (ja) | 1,2,4−チアジアゾール誘導体の合成法 | |
JP5008332B2 (ja) | アジン系化合物 | |
JP3016104B2 (ja) | 1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール誘導体 | |
JP2802698B2 (ja) | 1−N−アルキル−〔1,2,4〕トリアゾール類及び1H−ピロロ−〔1,2−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類の製造法 | |
US5071994A (en) | 2-aryl-4-halomethyl-4-isoxazolin-3-one derivatives | |
JP2002212170A (ja) | トリアジン系トリスチリル化合物及びトリアジン系トリアルデヒド化合物 | |
SU553933A3 (ru) | Способ получени 4-амино-1,2,4триазин-5-онов | |
JP2841143B2 (ja) | 7−アゾリル−1H−ピラゾロ〔1,5−b〕−1,2,4−トリアゾール類の製造方法 | |
US5221750A (en) | 2-aryl-4-isoxazolin-3-one derivatives | |
JP4602003B2 (ja) | チオウレア化合物、ベンゾチアゾール化合物、及びベンゾチアゾリン化合物の製造方法 | |
JP4402220B2 (ja) | 1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール誘導体、及びその中間体 | |
JPH10204070A (ja) | スルホンアミド化合物及びその製造方法 | |
JP3711625B2 (ja) | 1H−ピラゾロ[3,2−c]−1,2,4−トリアゾール系化合物の製造方法 | |
JP4253413B2 (ja) | ピロロ〔1,2−a〕ピリミジン系アゾメチン色素類 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070109 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070307 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070403 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070416 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |