JP3951005B2 - 希土類ホウ炭化物とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、希土類ホウ炭化物に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、熱電変換素子材料、X線分光素子材料、発光材料等に有用な新規な構造の希土類ホウ炭化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来から、高機能性材料の一つとして、希土類多ホウ化物に関心が持たれている。この希土類多ホウ化物としては、一般式REB2 、REB4 、REB6 、RBl2(REは希土類元素)で表される構造のものが一般的であり、例えば、LaB6 が熱電子放射材料として実用されている。さらに、これら以外の各種の組成と構造の希土類多ホウ化物についての研究、開発が進められてきている。
【0003】
近年、このような希土類多ホウ化物の一つとして、YB66が開発され、これが軟X線分光素子材料として利用されるに至っている。また、新規な希土類多ホウ化物として、REB66、REB50、REB41Si1.2 、REB25などが知られており、これに炭素が不純物として含まれることはあった。また、ScB17C0.25、ScB15C1.6 、ScB15C0.8 においては炭素が結合に一定の役割を果たし、希土類ホウ炭化物となっていることが知られ、これらの機能が検討され、各種の用途への利用が検討されている。
【0004】
このように、これまでに開発された既存の希土類多ホウ化物の用途開発に加え、さらに多彩な希土類多ホウ化物を研究開発し、これまでにない新しい機能を有する高機能性材料としての各種の用途に利用することが大変重要な課題になっている。この発明は、このような実状に鑑みて創案されたものであり、高機能性材料、例えば、熱電素子材料、分光素子材料、発光材料等として有用な、炭素を含む希土類多ホウ化物を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、化学式がRE1-XB28.5 C 4 (ただし、
REは、Y(イットリウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Lu(ルテチウム)の内の一種であり、xの範囲は0≦x≦0.4である)で表され、その結晶構造が菱面体晶であるところの希土類ホウ炭化物を提供する。
【0006】
この発明の上記の通りのRE−B−C化合物は、既に知られているRE−B化合物であるREB2 、REB4 、REB6 、REBl2、REB66、および、最近知られるところとなったREB25、REB50、REB41Si1.2 、ScB17C0.25、ScB15C1.6 、ScB15C0.8 などとは異なり、さらには、極最近、発明者等により提供されたRE1-x B17CN、ただし、xの値は0≦x≦0.4の範囲にあり、REとしてはSc、Y、Ho、Er、Tm、Luが可能であるところの炭素及び窒素を含む希土類多ホウ化物とも異なり、この発明によって初めて提供されるものである。
【0007】
この化合物の安定存在領域は、一般式で表すと、前記した通り、RE1-XB28.5 C 4 (xは0≦x≦0.4の範囲にあることが必要であり、REとしては、Y、Ho、Er、Tm、Luの内の一種が可能)である。このRE−B−C化合物は、結晶構造としては菱面体晶(空間群R-3m)であり、格子定数は、いずれもa=b=0.56nm、c=5.6nmであり、希土類元素の種類、組成に対する依存性は小さい。そのx=0の定比組成の化合物がREB28.5C4であり、xの値が上記範囲外では、前記した結晶構造を満たす所定の菱面体晶(空間群R-3m)化合物は得られず、別の構造を持つ化合物を得ることになる。
【0008】
前記の一般式RE1-XB28.5 C 4 (ただし、RE=Y,Ho,Er,Tm,Luの内の一種、0≦x≦0.4)の製造は以下のように行えばよい。すなわち、REB2 、REB4 、REB6 、またはREBl2等の希土類多ホウ化物を原料とし、これに、ホウ素、炭素またはそれぞれの化合物を生成物がRE1-XB28.5 C 4 の組成になるように加え、真空、アルゴン、または中性雰囲気中、およそ1600〜1900℃の温度で加熱、反応させることにより製造することが可能である。この反応において、前記の雰囲気を用いなければ、生成物に酸素などの不純物が取り込まれ、異なる化合物となる恐れがあり、また、前記温度範囲より低い温度では反応の進行が極端に遅くなり、実用的ではなく、また、高い温度では、生成物が分解を始め、異なる化合物となる。
【0009】
以上の通り、この発明によって提供される希土類ホウ炭化物(RE1-X B28.5C4-y )は熱電素子、分光素子、発光材料等の機能性材料として有用なものである。例えば、Y1-X B28.5C4-y の003回折の面間隔d=l.88nmは、YB66の400回折面間隔d=0.586nmよりはるかに長く、YB66軟X線分光素子では分光できない1keV以下のエネルギーの軟X線分光が可能になり、今まで、測定が困難であったNaのK吸収端等に関する分光実験が可能となる。また、Er1-X B28.5C4-y においては、Erイオンからの発光があることから、波長1.5ミクロンの赤外光の発光素子材料としての利用が可能になる。
【0010】
【実施例】
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろん、この発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
予め、REBl2(RE=Y,Ho,Er,Tm,Luの内の一種)を、それぞれの酸化物とホウ素を以下の反応式に基づき混合し、成形した後、ホウ素熱還元法を用い還元し、合成した。
RE2 O3 +27B→2REB12+3BO↑
ここで、用いた希土類酸化物は純度3Nの市販品であり、またホウ素は反応を容易にするために粒度0.1ミクロンのアモルファスホウ素を使用した。反応は真空雰囲気、1700℃1時間行った。生成したREB12は粉末X線回折法により単一相であることを確認した。
【0011】
ペレット状で得られたREB12を粉砕し、平均粒径10ミクロン程度とし、このREBl2に最も合成が容易である [RE]/[ B]/[ C] =1/ 30/ 4の組成比になるよう、下記反応式に基づき、所望量のホウ素および炭素を加えた。
REB12+18B+4C→REB30C4 (=RE0.95B28.5C3.8 )
ここで、ホウ素は、還元反応に用いたものと同一のアモルファスホウ素を用い、また、炭素も微粒、高純度品を用いた。メノウ乳鉢を用いアルコールを用いてスラリー状にした混合物を十分混合した後、乾燥させ、加圧成形により再びぺレットとして、窒化ホウ素ルツボ中に入れ、真空雰囲気下、1800℃に加熱し、5時間保持した。
【0012】
生成物を粉末X線回折法により調べたところ、回折線は全てRE1-XB28.5 C 4 に基づくものとして指数付けすることができ、REB30C4 (=RE0.95B28.5C3.8)が合成できたことを確認した。いずれの格子定数もa=b=0.56nm、c=5.6nmであった。それぞれの粉末X線回折図形を図1に示す。Ho,Er,Tm化合物の回折図にある・印で示したのは不純物相に基づく回折である。ただし、Lu化合物については比較的不純物相が多く残り、良好な回折図が得られなかったために示していないが、Lu1-xB28.5 C 4 に基づく回折は他の希土類元素化合物と同等であり、その存在を確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、RE0.95B28.5C4 (RE=Y,Ho,Er,Tm)の粉末X線回折図である。
Claims (1)
- 化学式がRE1-XB28.5 C 4 (ただし、REは、Y、Ho、Er、Tm、Luの内の一種であり、xの範囲は0≦x≦0.4である)で表され、その結晶構造が菱面体晶であるところの希土類ホウ炭化物。
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