JP3950513B2 - ニッケル基超合金からなる加工体の熱処理法 - Google Patents

ニッケル基超合金からなる加工体の熱処理法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のニッケル基超合金からなる加工体の熱処理法に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】
ニッケル基超合金からなる加工体のこのような熱処理法は、米国特許(US)第4643782号明細書から公知である。そこには、鋳造法で、単結晶−コンポネント、殊に、ガスタービン用のブレードをそれから製造することができる、商品名”CMSX”を有するニッケル基超合金が記載されている。名称”CMSX−4”のこのようなニッケル基超合金は、主に、重量%で、Co 9.3〜10.0、Cr 6.4〜6.8、Mo 0.5〜0.7、W6.2〜6.6、Ta 6.3〜6.7、Al 5.45〜5.75、Ti 0.8〜1.2、Hf0.07〜0.12、Re 2.8〜3.2、ニッケル残分からなる。
【0003】
これらのニッケル基超合金を、米国特許(US)第4643782号明細書では、γ′−層及びγ/γ′−共晶を溶かし、かつ時効行程で、規則的なγ′−析出を生じさせるために熱処理する。
【0004】
しかし、鋳造行程の際の鋳型と鋳物との間の非常に高い応力により、鋳物の溶体灼熱の後に、調整不可能な再結晶化が生ずることがあり得、このことは、製造に高い不良率をもたらす。更に、低い冷却速度により、単結晶−鋳造法では、慣用の鋳造品と比べて、粗いγ′−構造が鋳物中に生じる。加えて、単結晶−鋳造法での樹枝状偏析が著しく、より低い相安定性につながる。従って、単結晶−鋳造品の使用、即ち、時効の間に、脆性相が、析出しないように、良好な拡散灼熱処理が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭に記載の種類のニッケル基超合金からなる加工体の熱処理法で、高いクリープ強さ、疲れ強さ及び良好な耐時効性を有する均質かつ安定な構造を生じさせることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これは、本発明で、請求項1に記載の特徴により達成される。
【0007】
本発明の核心は、即ち、加工体の熱処理が、次の行程:850℃〜1100℃での灼熱、1200℃までの加熱、1℃/分以下の加熱速度での1200℃<T≦1300℃の温度への加熱、1300℃≦T≦1315℃の温度での多段階均質化行程及び溶体行程を包含することである。
【0008】
本発明の利点は、殊に、本方法により、転位源が閉じられ、従って、更なる転位の発生が阻止されることに認められる。更に、加熱行程の間での再結晶化が回避され、かつ転位の網目構造の消滅が、促進される。多段階均質化行程及び溶体行程により、加工体の非常に良好な均質化が生じる。1〜4容量%の残留共晶は、再結晶粒の粒界を留める(pinnen)ために充分である。
【0009】
本発明の更に有利な実施態は、従属請求項から判明する。
【0010】
図面の簡単な説明
図面中に、合金”CMSX−4”の熱処理された試料の顕微鏡写真並びに熱処理法が記載されている。
【0011】
これらは、次のものを示している:
図1:本発明の熱処理法による均質化行程及び溶体行程の後の合金構造;
図2:残留共晶の粒子により留められた再結晶粒界;
図3:Re−Crに富む脆性の相の針状析出、この試料を、1300℃未満の温度で溶体灼熱する;
図4:単結晶ブレードのための本発明の方法による熱処理法の図示。
【0012】
【実施例】
前記の合金”CMSX−4”から、ガスタービン用の多結晶鋳物、殊に、ブレードを製造した。鋳物に、次の熱処理法を行った:
a)単結晶ブレードを、850℃〜1100℃で少なくとも2時間、有利に、930〜970℃、殊に約950℃で1〜4時間かつ1030〜1070℃、殊に、約1050℃で2〜20時間、応力を乏しくして灼熱した。
【0013】
転位密度が、臨界値を超えている場合には、再結晶作用を推進する力は、転位である。前記の応力の乏しい灼熱は、更なる転位が生じるのを阻止するために、転位源(例えば、フランクリード源又は内部応力集中)を遮断する目的を持つ。このことは、次の熱処理行程c)で転位の網目構造の消滅を可能にするために必要である。
【0014】
しかし、物体中の局所変形が、3%を上回る場合には、応力の少ない灼熱だけでは、再結晶化を回避するためには不充分である(第1表)。
【0015】
b)この後、単結晶ブレードを、2〜20℃/分の加熱速度で1200℃に加熱するが、有利には、加熱速度は、5℃/分である。
【0016】
c)次に、γ′−相が溶ける前に、転位の網目構造の消去を目的として、単結晶ブレードを、1℃/分未満の加熱速度で、γ′−固相線曲線の上まで、即ち、1200〜1300℃に加熱する(0.5℃/分の加熱速度が有利である)。
【0017】
1200℃の温度未満では、転位運動が、γ′−粒子により阻止され、かつ再結晶化は、不可能である。γ′−相が溶けるより高い温度、即ち、CMSX−4に関しては1200〜1300℃では、最も高い転位密度を有する範囲での粒子の再結晶化と転位の網目構造の消滅とが、転位の運動により拮抗する。1℃/分未満の遅い加熱速度で、転位の網目構造の消滅が、転位運動により、優位になる。実験は、より早い加熱速度では、再結晶化が、既に加熱工程の間に開始されることを示している。
【0018】
しかし、遅い加熱速度を適用するだけ、即ち、a)による応力の乏しい灼熱及び次の熱処理工程d)を省略する場合には、物体中の局所変形が、3.5%を上回ると、再結晶化が生ずる(第1表)。
【0019】
d)この後、1〜4容量%の残留−共晶と合わせて、未処理の鋳造されたγ′−相を均質にし、かつ溶かすために1300℃≦T≦1315℃の温度範囲での他段階工程を行う。図1中に、均質化され、かつ溶体化されたγ′−相が、残留共晶からなる粒子と共に示されている。
【0020】
この均質化プロセス及び溶体プロセスを、2工程で行うのが有利である:約1300℃での約2時間の灼熱及び引き続く、約1310℃での6〜12時間の灼熱。
【0021】
溶体灼熱の間に新たに粒子が成長することは、残留する共晶の粒子により、温度によりかつ溶体時間により阻止されうる。図2中に、残留共晶により止められた再結晶粒子の粒界が示されている。第2表中で、本発明による熱処理法と、米国特許(US)第4643782号明細書による方法とを比べている。
【0022】
米国特許(US)第4643782号明細書により製造された試料中には、7〜8%の残留共晶及び非常に小さい直径(≒0.5mm)の再結晶粒が生ずる。しかし、1300℃未満の温度での溶体灼熱により、この試料の時効又は使用の際に1050℃で、Re−Crに脆性の富む析出が生ずる。図3中で、このRe−Crに富む針状の析出を示している。この脆性析出は、劣悪な耐クリープ性並びに耐疲労性をもたらす。残留共晶の粒子により、再結晶粒子の粒界が止められ、その結果、その成長が阻止される。通常、試料の表面に生ずる再結晶粒子は、ブレードの加工の間に除去することができる。ブレードの場合には、ブレードの内部に、例えば、冷却ダクトに生ずる再結晶粒は、無視することができる。それというのも、そこには、高い応力は生じないためである。
【0023】
1300℃≦T≦1315℃の間での本発明の熱処理により、応力に乏しい灼熱並びに消滅工程により生ずる僅かな転位密度、1〜4容量%の充分に少ない残留共晶及び充分に良好な均質化が、達成される。前記のことに基づき、1〜4容量%の充分に少ない残留共晶により、再結晶粒子の粒界の等しいピン(Pinning)−効果が、かなり良好な残留粒子の均質化の下に、達成させれ得る。
【0024】
1315℃を上回る溶体灼熱工程では、全γ′−共晶は溶け、続いて、粒子成長の阻止なしに、成分は再結晶するであろう。
【0025】
e)この後、単結晶ブレードを、アルゴン流で急冷する。
【0026】
図4中で、温度Tと時間tに関して、図解的に、本発明の熱処理法の特に有利な実施形を図示している。単結晶ブレードを、加熱速度R1=10℃/分で、温度T1=950℃に加熱し、かつT1で、1〜4時間保持する。この後、単結晶ブレードを、加熱速度R2=10℃/分で温度T2=1050℃に加熱し、かつT2で2〜20時間保持する。引き続き、単結晶ブレードを、加熱速度R3=10℃/分で温度T3=1200℃に加熱する。次いで、単結晶ブレードを、加熱速度R4=0.5℃/分で、温度T4=1300℃まで加熱し、かつT4で、2時間保持する。その後、単結晶ブレードを、温度T5=1310℃に加熱し、かつT5で6〜12時間保持し、かつ引き続き、アルゴン流で急冷する。
【0027】
勿論、本発明は、表示の、かつ記載の実施例に制限されない。前記の熱処理法は、同様の固相線、溶融温度及びγ′−溶体温度を有するその他のニッケル基超合金にも使用することができる。
【0028】
【表1】
Figure 0003950513

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理法による均質化行程及び溶体行程の後の合金構造を写した顕微鏡写真。
【図2】残留共晶の粒子により留められた再結晶粒界を写した顕微鏡写真。
【図3】Re−Crに富む脆性の相の針状析出を写した顕微鏡写真。
【図4】単結晶ブレードのための本発明の方法による熱処理法を図示した図。

Claims (6)

  1. 重量%で、Co 9.3〜10.0、Cr 6.4〜6.8、Mo 0.5〜0.7、W 6.2〜6.6、Ta 6.3〜6.7、Al 5.45〜5.75、Ti 0.8〜1.2、Hf 0.07〜0.12、Re 2.8〜3.2、ニッケル残分からなる加工体の熱処理法において、前記加工体の熱処理が、次の行程:850℃〜1100℃での灼熱、1200℃までの加熱、1℃/分以下の加熱速度での1200℃<T≦1300℃の温度への加熱、1300℃≦T≦1315℃の温度での多段階均質化行程及び溶体行程を包含することを特徴とする、加工体の熱処理法。
  2. 930℃≦T≦970℃の温度で1〜4時間、かつ1030℃≦T≦1070℃の温度で2〜20時間、灼熱する、請求項1に記載の熱処理法。
  3. 50℃の温度で1〜4時間、かつ050℃の温度で2〜20時間、灼熱する、請求項1又は2に記載の熱処理法。
  4. 加工体を、1200℃<T≦1300℃の温度に、.5℃/分の加熱速度で加熱する、請求項1に記載の熱処理法。
  5. 均質化行程及び溶体行程が、300℃での時間の灼熱及び引き続く、310℃での6〜12時間の灼熱を包含する、請求項1に記載の熱処理法。
  6. 量%で、Co 9.3〜10.0、Cr 6.4〜6.8、Mo 0.5〜0.7、W 6.2〜6.6、Ta 6.3〜6.7、Al 5.45〜5.75、Ti 0.8〜1.2、Hf 0.07〜0.12、Re 2.8〜3.2、ニッケル残分からなる加工体と、しい固相線、溶融温度及びγ′−溶体温度を有する加工体を熱処理する、請求項1から5のいずれかに記載の熱処理法。
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