JP3950265B2 - 光走査装置の光学調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置の光学系を調整する方法、特に光走査装置の回転多面鏡と走査面とを正確な共役関係に調整する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を使用した偏向器によって反射偏向された光ビームにより光走査を行う光走査装置がよく知られている。この種の光走査装置はレーザビーム等を使用する記録装置や読取装置に用いられているが、その一般的な構成は、光ビームを出射する光源と、この光源から出射された光ビームを偏向する回転多面鏡と、偏向された光ビームを所定の走査面上で収束させると共に走査面上において等速走査させるfθレンズおよび偏向器の面倒れによる走査線の位置誤差(ピッチムラ)を補正する面倒れ補正レンズ等を用いた走査光学系(結像光学系)とからなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、装置全体の光学系は、各種レンズの加工誤差や取付誤差等により、主走査方向のピント位置や、fθレンズを構成する球面レンズの光軸を含む、回転多面鏡により偏向された光ビームが形成する偏向面に垂直な面内における回転多面鏡と走査面との共役関係がずれるという問題があるので、組立後に光学系の調整を行う必要がある。
【0004】
この調整方法としては、種々の方法が考えられるが、例えば、主走査方向のピント位置の調整を行った後に、副走査方向のピント位置の調整を行う方法とした場合において、副走査方向の調整が主走査方向のピント位置に影響を与える調整のときには、副走査方向の調整を行うと主走査方向のピント位置がずれ、再度主走査方向の調整と副走査方向の調整とを行わなければならず、結果として、調整が困難になるという問題が生じる。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、光学系の副走査方向のピント位置の調整を容易に行うことができる方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
本発明による光走査装置の光学調整方法は、シリンドリカルミラーを回転調整することによって、副走査方向の調整を主走査方向の調整と独立に行うことを特徴とするものである。即ち、本発明による光学調整方法は、光ビームを発する光源と、該光ビームを所定の方向に反射して偏向する偏向器と、該偏向器により偏向された光ビームを所定の走査面上において等速度走査させる、球面レンズ、主走査方向に軸を有するシリンドリカルレンズおよび主走査方向に軸を有するシリンドリカルミラーを前記偏向器と前記走査面の間に前記偏向器側からこの順に配してなる面倒れ補正走査光学系とを備えた光走査装置において、前記シリンドリカルミラーを、主走査方向と平行な軸を回転軸として、回転調整することにより、前記偏向器の反射面と前記走査面とを、前記球面レンズの光軸を含む、前記偏向器による光ビームの偏向により形成される面に垂直な面内において共役関係にすることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
本発明による光学調整方法によれば、回転多面鏡と走査面とを、球面レンズの光軸を含む、光ビームの偏向面に垂直な面内において共役関係にすること(以下副走査方向のピント位置調整ともいう)を、主走査方向の調整と独立に行うことができるようにした、即ち副走査方向のピント位置の調整を主走査方向のピント位置をずらすことなく行うことができるようにしたので、最初に主走査方向の調整を行った後に、本発明による副走査方向の調整を行うようにすることで、主副それぞれ一度の調整で光学調整を完了させることができ、調整のループが無限に回りつづけるという問題が生じない。また、この副走査方向の調整は、シリンドリカルミラーを回転させたり、或いはシリンドリカルレンズを前後移動するものであり、極めて簡易な調整方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による光走査装置の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中の互いに直交するx,y,zの各軸の内、x軸方向を主走査方向とし、z軸方向を副走査方向とする。また、xz平面を主走査断面といい、yz平面を副走査断面という。
【0010】
図1は本発明による光学調整方法を適用する光走査装置の概略構成を示す主走査断面図(平面図)(A)および走査光学系のみについて示した副走査断面図(側面図)(B)である。
【0011】
図1に示す光走査装置1は、波長が650〜670nmの光ビーム(レーザビーム)を出射する光源11と、光源11から出射された光ビームを後述する回転多面鏡20近傍で平行光線束とするコリメータレンズ12と、偏向面(反射面)に入射した光束を走査光学系(結像光学系)の方向に偏向する偏向器としてのポリゴンミラー(回転多面鏡)20と、副走査方向に関して光ビームを収束させるように、即ちコリメータレンズ12を通過した平行光線束をポリゴンミラー20の偏向面上に線像を結ぶように配置された入射光走査光学系としてのシリンドリカルレンズ14およびプリズム15と、ポリゴンミラー20により偏向された光ビームを所定の走査面上に結像すると共にこの走査面上で等速度走査させる走査光学系30とからなる構成である。
【0012】
ここで、この光走査装置1に使用される走査光学系30は、全体としてポリゴンミラー20側に凹面を呈する球面レンズ31と、球面レンズ32と、球面レンズ32側が略平面で且つ反対側が凹面を呈した主走査方向に軸を有するシリンドリカルレンズ34と、シリンドリカルレンズ34側に凹面を呈した主走査方向に軸を有するシリンドリ力ルミラー35とをこの順に配してなる構成である。
【0013】
上記構成の走査光学系30の光学定数を表1に示す。なお、走査光学系の光軸とポリゴンミラー20のなす角度は80度、ビーム走査角度は±48度、走査面40上における光ビームの径は主走査方向および副走査方向ともに、約100μmである。
【0014】
【表1】
Figure 0003950265
【0015】
上記構成の光走査装置1の光源11から出射された光ビームは、コリメータレンズ12により平行光線束とされた後、シリンドリカルレンズ14およびプリズム15によりポリゴンミラー20の反射面上に線像として結像する。ポリゴンミラー20の反射面において反射した光ビームは、走査光学系30の球面レンズ31、球面レンズ32およびシリンドリ力ルレンズ34を通過して、シリンドリカルミラー35により反射偏向されて走査面40に向かい、走査面40上に集光されてこの走査面40上で走査スポットを形成する。
【0016】
ここで、ポリゴンミラー20は軸回りに矢印R方向に高速回転されるため、シリンドリカルミラー35の反射面に入射する光ビームは該反射面35a上を、図(A)中の矢印X方向に繰り返し主走査する。この矢印X方向に繰り返し主走査された光ビームは、シリンドリカルミラー35により反射偏向されるから走査面40上において、図(B)の奥行き方向に、繰り返し主走査されることになる。
【0017】
次にこの光走査装置1における本発明による光学調整方法について説明する。
【0018】
最初に、主走査方向の調整後に、シリンドリカルミラー35を回転調整することによって副走査方向の調整を行う第1の光学調整方法について説明する。この第1の光学調整方法においては、先ずシリンドリカルミラー35を、走査光学系30の球面レンズ31,32の光軸方向(z軸方向)に移動調整することにより、主走査方向(x軸方向)のピント位置を調整する。その後で、主走査方向と平行な軸を回転軸として、シリンドリルミラー35を回転させる(図(B)の矢印A参照)。この回転調整により、例えばビーム角度を1度だけ回転すると、走査面40上における副走査方向のピント位置は、3.31mmシフトするが(図(B)の矢印B参照)、シリンドリ力ルミラー35は主走査方向に軸を有するもので、主走査方向にはパワーが殆どなく、主走査方向のピント位置は0.003mmしかシフトしないので、ポリゴンミラー20の反射面と走査面40とを、走査光学系30の球面レンズ31,32の光軸を含む、ポリゴンミラー20によって偏向された光ビームが形成する偏向面に垂直な面内において共役関係にする副走査方向の調整を、主走査方向の調整と独立して行うことができる。
【0019】
なお、このようにシリンドリルミラー35を回転させて副走査方向の調整を行うと、光ビームが主走査方向に走査する位置が副走査方向にずれることになるが、この位置ずれは、光走査装置1全体を走査面40の面に平行に副走査方向に、相対的に移動することで調整することができる。
【0020】
次に、主走査方向の調整後に、シリンドリカルレンズ34を移動調整することによって、副走査方向の調整を行う第2の光学調整方法について説明する。この第2の光学調整方法においては、先ず球面レンズ32をz軸方向に移動調整することにより、主走査方向(x軸方向)のピント位置を調整する。その後で、シリンドリカルレンズ34を、走査光学系30の球面レンズ31,32の光軸方向、即ちz軸方向に移動調整する(図(B)の矢印C参照)。この移動調整により、例えば位置を1mmだけシフトすると、走査面40上における副走査方向のピント位置は、1.84mmシフトするが、シリンドリ力ルレンズ34は主走査方向に軸を有するもので、主走査方向にはパワーが殆どなく、主走査方向のピント位置のずれは0.001mm以下、即ちピント位置は殆どシフトしないので、本例においても、ポリゴンミラー20の反射面と走査面40とを、走査光学系30の球面レンズ31,32の光軸を含む、ポリゴンミラー20によって偏向された光ビームが形成する偏向面に垂直な面内において共役関係にする副走査方向の調整を、主走査方向の調整と独立して行うことができる。
【0021】
なお、上述した第1および第2の調整方法における主走査方向のピント位置調整に際しては、上述した例に限らず、光源11とコリメータレンズ12との間隔を調整することによっても行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学調整方法を適用する光走査装置の概略構成を示す主走査断面図(A)および副走査断面図(B)
【符号の説明】
1 光走査装置
11 レーザ光源
12 コリメータレンズ
14 シリンドリカルレンズ
15 プリズム
20 ポリゴンミラー
30 走査光学系
31 球面レンズ
32 球面レンズ
34 シリンドリカルレンズ
35 シリンドリカルミラー

Claims (1)

  1. 光ビームを発する光源と、該光ビームを所定の方向に反射して偏向する偏向器と、該偏向器により偏向された光ビームを所定の走査面上において等速度走査させる、球面レンズ、主走査方向に軸を有するシリンドリカルレンズおよび主走査方向に軸を有するシリンドリカルミラーを前記偏向器と前記走査面の間に前記偏向器側からこの順に配してなる面倒れ補正走査光学系とを備えた光走査装置において、前記シリンドリカルミラーを、主走査方向と平行な軸を回転軸として、回転調整することにより、前記偏向器の反射面と前記走査面とを、前記球面レンズの光軸を含む、前記偏向器による光ビームの偏向により形成される面に垂直な面内において共役関係にすることを特徴とする光学調整方法。
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