JP3950182B2 - ホール情報処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技場におけるホール情報処理システムに係り、特に遊技機の稼働状況に関するパラメータを収集して遊技場の営業状態を把握する上で必要とされるデータを得るとともに、それらデータの内で所定のものを遊技者に公開できるようにしたホール情報処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のホール情報処理システムは、ホールの営業状態を把握する上で必要なデータを提示する装置として提供されている。このホール情報処理システムは、ホールに設置されている各遊技機の稼働状況に関する情報を収集し、それら情報を基にホールの営業状態を把握する上で必要なデータを得て、それらデータを表示装置に表示し、あるいはプリンタで印字している。
このホール情報処理システムの場合、ホールの営業状態を把握する上で必要とされるデータをいかに多く提示できるかで、その能力の優劣が決定されている。したがって、従来のホール情報処理システムの場合、年々、多数のデータやパラメータを表示することとなっていた。
【0003】
また、一方では、顧客である遊技者は、遊技をしようとする遊技機が、いわゆる”出の良い機械”なのかどうかの目安として、千円スタート回数と称する指数を目安にしているとされている。この千円スタート回数とは、遊技者が、1000円分のパチンコ玉を購入し、最初の1000円分の玉の投入で、何発入賞するか否か、そのスタート時からの入賞回数を指折り計測することで、その遊技機がいわゆる”出の良い機械”かどうかを判断するというもので、一部の遊技者は、この指数を見て、遊技する機械を決めているとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような、多数のパラメータを収集し、かつ、これらを基にホールの営業状態を把握する上で必要なデータやパラメータを提示している従来のホール情報処理システムにあっては、近年、遊技機の動作が複雑になるに従って収集すべきパラメータが増加する傾向にあり、ホールの営業状態を把握する情報が複雑多岐に渡り、ホールの経営者は、データの洪水に埋もれると共に、結果的に、これらデータからは、真に必要とする経営判断に関する情報が入手できないというもどかしさがあった。
そこで、本願発明者は、従来、遊技者が、現場で実際に行っている1000円スタート指数を利用して、これを、上記のホール情報処理システムにおいて、瞬時に表示させて、これを経営データを表示するパラメータとして使用することにより、より実効性のある経営支援を行うことができるホール情報処理システムを提供しようとするものである。
また、このようなホール情報処理システムを利用して、遊技者に遊技機の稼働状況等の情報を積極的に顧客に開示する際に、上記ホール情報処理システムにおいて、そこから得られる遊技機の稼働状況に関するパラメータに基づいて、この単位投資金額に対するスタート回数を積極的に遊技者に開示して、遊技者の機械選定の助けとし、遊技ホールの顧客吸引力を増加させることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明に係るホール情報処理システムは、
遊技機からの情報を取込み、遊技場経営の指標や一定の情報を公開できるホール情報処理システムにおいて、遊技機から、パチンコ玉が特賞抽選を開始させる役スタート開始穴あるいは役スタートには関係ない通常穴に入ったとき、または特賞状態にあり、出玉状態になっていることを知らせる出玉信号及びその出玉信号の原因を示す出玉原因信号を取込み、大役による出玉以外の非大役中であることを示す出玉原因信号とで出玉率Bを算出するベース計算手段と、前記ベース計算手段から前出玉率Bを取込み、かつ1分間当たりのスタート数S、及び、設定エリアに設定された投資金額Y円、貸玉の単価を示す貸玉レートRiとを用いて、投資金額Y円で遊技をスタートし投資金額Y円で何発入賞するかの数を示すY円スタート数SPY(Y)を、SPY(Y)={(Y/Ri)×S}/(100−B)で計算式することにより、Y円スタート数SPY(Y)データを得る第1数計算手段と、遊技機から、前記出玉信号及び前記出玉原因信号を取込み、その取り込んだ出玉信号が大役による出玉である出玉原因信号であったときに大役出玉TYを算出し、その算出した大役出玉TYと、設定エリアに設定された投資金額Y円と、設定エリアに設定された景品交換する際の玉の単価を示す景品レートRoと、設定エリアに設定された大役獲得に関する初当たり確率Pとから、遊技者にとって有利・不利の判断指数を示す損益分岐点用指数データU(Y)を、U(Y)=Y/(P×TY×Ro)として計算することにより、前記損益分岐点用指数データU(Y)を得る第2計算手段と、前記第1数計算手段からの算出結果の前記Y円スタート数SPY(Y)データが、前記第2計算手段からの算出結果の前記損益分岐点用指数データU(Y)より大きいか否かを比較し、その比較結果を出力制御手段に与える比較手段と、前記出力制御手段より与えられる比較手段からの出力データを表示できる表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
したがって、請求項1記載の発明では、各遊技機からのデータを基に、単位投資金額に対する役スタート数データ、特賞出玉による損益分岐点用指数データを算出するとともに、これらを比較することにより、ホールの営業状態を把握する上で必要なデータやパラメータが関連づけられて提示できることになる。また、営業を把握する上で必要な最小限のデータやパラメータを表示することができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記表示手段は、遊技場のホールに設けた端末機であり、遊技者にY円スタート数SPY(Y)を提供できるようにしたことを特徴とする。したがって、請求項2記載の発明では、遊技者にも当該データを開示することにより、遊技者の便利を図り、かつ顧客吸引力を増加させることができる。
請求項3記載の発明では、前記表示手段は、遊技場の遊技機の上に設けた表示盤であり、当該遊技機で遊技する遊技者に遊技者にY円スタート数SPY(Y)を提供できるようにしたことを特徴とする。したがって、請求項3記載の発明では、遊技者にも当該データを開示することにより、遊技者の便利を図り、かつ顧客吸引力を増加させることができる。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の実施の態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の態様に係るホール情報処理システムを示す斜視図である。図2は、同システムを示すブロック図である。
これらの図において、符号1はホール情報処理システムであり、このホール情報処理システム1はパチンコ店(遊技場)2におけるホールの営業状態を把握する上で必要な経営データのうち、特に実際のパチンコ機の出玉率、一定金額に対するパチンコ機のスタート数、及び大役出玉等を関連づけた経営指数データを提示できる装置である。
【0010】
このホール情報処理システム1はデータ処理部11と端末機12とからなり、前記データ処理部11は遊技場2の事務所3に設置され、前記端末機12は遊技場2のホール4に設置されている。前記ホール情報処理システム1はケーブル9を介して前記端末機12に接続されており、このホール4には、いくつかの島5が設けられている。これら島5には、パチンコ機6、6、…と玉貸機7、7、…とが交互に配置されている。
【0011】
前記島5の上部には、警報ランプ8、8が配置されており、これらパチンコ機5、5、…は、ケーブル10を介して前記データ処理部11に接続されている。
このデータ処理部11は、各パチンコ機6、6、…の稼働状況に関するパラメータを収集し、ホールの営業状態を把握するために必要な経営データ、特に上記経営指数データを経営者に提供するとともに、端末機12を介して顧客にも提供できるようにしてある。
【0012】
前記データ処理部11は、処理装置本体111と、キーボード112と、マウス113と、ディスプレイ115と、プリンタ116と、インターフェース装置117と、外部メモリ118とからなる。前記処理装置本体111には、キーボード112、マウス113、ディスプレイ115、プリンタ116、インターフェース装置117、大容量メモリ装置118が電気的に接続されている。ここで、処理装置本体111は、図示しないが、中央処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力(I/O)ポート、及び通信用ポートからなる。
【0013】
CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従ってホール情報の処理を実行する情報処理装置であり、次のような処理を実行する。すなわち、前記CPUは、パチンコ機6から役スタート信号、玉出信号、玉出信号の原因情報を取込み、これらを基にいわゆる千円スタート数を算出し、玉出信号、玉出信号の原因情報を基に大役出玉と千円スタート数から損益分岐点を算出し、かつ、その他の経営データを得るためのホール情報処理を行うものである。
前記RAMは、CPUが各種処理をする際に必要なデータを記憶する装置である。前記I/Oポートは、外部からのデータを前記CPUに与え、前記CPUからのデータを外部機器に与えるためのものである。このI/Oポートにはインターフェース装置117が接続されている。
【0014】
また、通信用ポートは外部装置とCPUとの間で通信を行うためのものである。
インターフェース装置117にはケーブル10を介してパチンコ機6、6、…が接続されている。
通信用ポートにはケーブル9を介して端末機12が接続されている。
端末機12は、処理コア121、通信制御手段122、操作盤123、及びディスプレイ124からなる。
処理コア121の制御下にある通信制御手段122はケーブル9を介して処理装置本体111に接続されており、処理装置本体111との間でデータ通信を行うことができる。
【0015】
操作盤123は、処理コア121に接続されており、表示させるパチンコ機、そのデータを指定させる。
ディスプレイ124は、処理装置本体111からのデータを表示させるものである。処理コア121は、この端末機12における各種データ処理を実行する装置である。前記キーボード112は、文字、数字、記号等を処理装置本体111に与える入力装置である。前記マウス113は、ディスプレイ115上の位置を指定したりするための入力装置である。
【0016】
前記ディスプレイ115は、処理装置本体111で処理した情報等を表示する表示装置である。前記プリンタ116は、ハードコピーが必要なときに、情報を印字する出力装置である。前記インターフェース装置117は、パチンコ機6、6、…からのデータを処理装置本体111に読み込めるデータに変換する装置である。前記大容量メモリ装置118は、処理装置本体111で処理した内容や、ホール情報処理を行う上で必要な指数や基準値等を記憶したり、ホール情報プログラムを記憶したりする記憶装置である。
【0017】
図3は、同システムの具体的構成例を示すブロック図である。この図において、パチンコ機6、6、…はケーブル10を介してインターフェース装置117の入力端子に接続されている。インターフェース装置117の出力端子は、データ処理部11のI/Oポート(図示せず)に接続されている。
このインターフェース装置117は、パチンコ機6からの各種稼働状態のデータを基に役スタート信号Ss、出玉信号Sd、及び出玉原因信号Sgを出力できるようになっている。
【0018】
なお、役スタート信号Ssとは、特賞抽選を開始させるための信号である。出玉信号Sdとは、パチンコ玉が役スタート開始穴あるいは通常穴に入ったとき、及び特賞状態にあり、出玉状態になっているときに、パチンコ玉をリターンさせるための信号である。出玉原因信号Sgとは、前記出玉信号Sdが特賞中あるいはリターンによって出玉状態になっていることなど、出玉信号の原因を知らせる信号である。前記処理装置本体111において、無停電電源によりバックアップされたRAMには設定エリア161が設けられている。この設定エリア161には、遊技者の(初期)投資金額Y〔円〕、貸玉レートRi〔円/個〕、景品レートRo〔円/個〕、初当たり確率P等が設定できるようになっている。
【0019】
処理装置本体111では、CPUがホール情報処理プログラムを実行することにより、ベース計算手段151、第1数計算手段152、第2計算手段153、比較手段154、出力制御手段155、表示制御手段156、及び通信制御手段157を実現している。
ここで、ベース計算手段151は、インターフェース装置117からの出玉信号Sd及び出玉原因信号Sgを取込み、これらを基に非大役中のベースB(出玉率〔パーセント〕)を計算する手段である。
【0020】
第1数計算手段152は、設定エリア161から投資金額Y(=1000円)、貸玉レートRi〔円/個〕(=4円/個)を取り込むとともに、インターフェース装置117からの役スタート信号Ss、及びベース計算手段151からのベースBを取込み、これらを基に、例えば1000円スタート数SPY(1000)を計算する手段である。
【0021】
この場合の計算式は、SPY(1000)=(250×S)/(100−B)・・・・(1)となる。この第1数計算手段152の計算結果は、比較手段154及び出力制御手段155に供給されるとともに、RAMに記憶されるようになっている。なお、この計算結果は処理の状態に応じて大容量メモリ装置118に記憶されるようになっている。第2計算手段153は、設定エリア161から初当たり確率P、景品レートRo{個/円}を取り込むとともに、出玉信号Sd及び出玉原因信号Sgから得た大役出玉TYを読み込み、これらを基に損益分岐点用指数データJ(Y)を計算する手段である。
【0022】
この場合、投資金額Yを1000円とすると、損益分岐点用指数データU(1000)の計算式は、
U(1000)=400/(P×TY)・・・・(2)となる。
この第2計算手段153の計算結果は、比較手段154及び出力制御手段155に供給されるとともに、例えばRAM等に記憶されるようになっている。
なお、この計算結果は処理の状態に応じて大容量メモリ装置118に記憶されるようになっている。前記比較手段154は、第1数計算手段152からのSPY(1000)(投資金額Y=1000円の場合の役スタート数)と、第2計算手段153からの損益分岐点用指数データU(1000)との比較を行う手段である。
【0023】
比較手段154からの比較結果は、出力制御手段155に供給されるとともに、大容量メモリ装置118に記憶されるようになっている。前記出力制御手段155は、比較手段154からの比較結果や処理の状態に応じて大容量メモリ装置118に記憶された情報をを表示制御手段156及び通信制御手段157に与えるようになっている。前記表示制御手段156は、表示データをディスプレイ115に与えて表示させる制御手段である。
【0024】
通信制御手段157は、所定のデータを端末機12に与える手段である。
このようなホール情報処理システムの動作を図面を参照して以下に説明するが、その前に上記数式(1)および数式(2)の算出根拠について説明する。
( i ) 数式(1)の導出 (i-1) 貸玉レートRiによって玉をY円分購入したとすると、遊技者の持ち玉Xoは、
x(0)=Xo=Y/Ri・・・・(3)となる。
なお、x(0) は発射前の玉数を表す。一発の玉を発射した後は、持ち玉が一つ減る代わりに、非大役中の出玉率をBとすると、B/100発のリターンが期待できる。すなわち、一発発射後の玉数x(1) は、
x(1) =Xo−1+B/100・・・・(4)となる。
二発目の玉を発射後の玉数x(2) は、
【0025】
したがって、n発目の発射後の玉数x(n) は、
x(n) =Xo−(1−B/100)×n・・・・(6)となる。
(i-2)
N発目の発射後に持ち玉がなくなったとすれば、
X(N) =0=Xo−(1−B/100)×N・・・・(7)となる。
そして、この数式(7)は次のように変形できる。
すなわち、 Xo=(1−B/100)×N・・・・(8)となる。
したがって、Nは、
N=Xo/(1−B/100)・・・・(9)となる。
この数式(9)は、見方を変えるとY円で発射できる玉数である。
【0026】
すなわち、
N=(Y/Ri)/{1−(B/100)}・・・・(10)となる。
(i-3)
一方、n発の発射までの役スタートの回数s(n) は、
s(n) =(n×S)/100・・・・(11)となる。
N発では、
s(N) =N×S/100・・・・(12)となる。
この数式(12)に数式(9)を代入すると、
が得られる。
【0027】
数式(13)において、当初の持玉Xoを投資金額Yに換算したものがY円スタート数SPY(Y)であるので、
s(N) =SPY(Y)={(Y/Ri)×S}/(100−B)・・・・(14)
となる。
したがって、投資金額Y=1000円とし、また、貸玉レートRi=4〔円/個〕とすれば、
SPY(1000)=250×S/(100−B)・・・・(15)
となる。
このようにして数式(1)が得られることになる。
なお、数式(14)を基に分間スタート数Sは、
S={SPY(1000)×(100−B)}/250・・・・(16)
となり、同様に、数式(14)を基に、ベースBは、
B=100−{(250×S)/SPY(1000)}・・・・(17)
が得られることになる。
【0028】
(ii)数式(2)の導出(ii-1)大役出玉TY〔個〕に対する獲得景品金額は、景品レートをRo〔円/個〕とすると、TY×Ro・・・・(18)
であり、大役獲得までの経過時間〔分〕は、初当たりの確立をPとすると、1/(P×S)・・・・(19)で求められる。このときの発射玉数BO〔個〕は、BO=100/(P×S)・・・・(20)
である。
(ii-2)また、大役獲得(BO〔個〕発射)までの投資金額Yは、数式(10)、数式(20)を用いると、(BO=)100/(P×S)=(Y/Ri)/{1−(B/100)}(=N) ・・・・(21)が成立する。
【0029】
この数式(21)をYについて解くと、
となる。
(ii-3)
したがって、出玉の景品交換と投資金額の収支がちょうどゼロになるとき成立する条件は、
TY×Ro=(100−B)×Ri/(P×S)・・・・(23)となる。
ここで、上記数式(23)の分間スタート回数Sに、数式(14)を代入すれば数式(24)を得ることができる。
TY×Ro={P×(100 −B)×Ri}/〔P×{SPY(Y)×(100 −B)}/(Y/Ri)〕=Y/{P×SPY(Y)×Ro} ・・・・(24)
この数式24をSPY(Y)で整理すると、
SPY(Y)= Y/(P×TY×Ro)・・・・(25)が得られることになる。
ここで、Y=1000円、景品レートRo=2.5〔円/個〕とすると、
となり、数式(2)が得られたことになる。
【0030】
ここで、遊技者が得をする条件は、SPY(1000)>400/(P×TY)・・・・(27)
が成立するときである。図4は、数式(26)を用いて作成した損益分岐点を示すグラフである。この図では、横軸に大役出玉TYをとり、縦軸に1000円スタート数SPY(1000)とっている。そして、数式(26)において、各出玉TYに対して、確率Pを1/200、1/210、1/225、1/240、1/256、1/300と変化させたときの各1000円スタート数SPY(1000)の損益分岐曲線を示している。なお、上記数式では比較対象の関係が明確とならないので、損益分岐点用指数データU(1000)という概念を採用し、数式(26)の右辺を用いて、U(1000)=400/(P×TY)・・・・(28)
を得ておくことにする。
【0031】
このホール情報処理システム1では、前記損益分岐点用指数データU(1000)を用い、ベースB及び分間スタート数Sから算出した1000円スタート数SPY(1000)との比較を行うものである。
次に、このホール情報処理システムの動作を図1ないし図7を参照して説明する。
ここに、図5は、このシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
図6および図7は、比較結果を示す説明図である。
このシステムを作動させる前に、数式1、2の計算で使用する定数を設定する。
これは次のようにする。
【0032】
例えばディスプレイ115の画面上に、投資金額Y、貸玉レートRi、景品レートRo、及び確立Pが設定できる設定画面を表示し、その設定画面に対して、キーボード112及びマウス113を使用してそれぞれの値を設定する。
例えば貸玉レートRiは4〔円/個〕、景品レートRoは2.5〔円/個〕、投資金額Yは1000円、確立Pは1/200と設定する。
すると、データ処理部11の処理装置本体111は、これら値をRAMの所定のエリア(バックアップされている)に格納する。
【0033】
以後、これら値に変更がない場合には、設定する必要がない。
次に、遊技場が営業を開始することにより、データ処理部11が動作してホール情報処理プログラムが実行される。
これにより、図3に示すベース計算手段151、第1数計算手段152、第2計算手段153、比較手段154、及び出力制御手段155が実現されて処理を開始する。
パチンコ機6、6、…からの各種データは、インターフェース装置117に入力される。
【0034】
インターフェース装置117では、以後の処理に必要なデータをデータ処理部11の信号レベルや信号形式に変換して処理装置本体111に入力する。
まず、第1番目のパチンコ機のデータ処理を実行する。
処理装置本体111において、ベース計算手段151は、インターフェース装置117からの出玉信号Sd及び出玉原因信号Sgを用いてベースBを算出する(ステップ501)。ベースBは、大役でないときの出玉率である。このベースBは、ベース計算手段151において、出玉信号Sdが入力されたときに、その出玉の原因が非大役中であるという内容の出玉原因信号Sgであったときに、出玉として出玉率を計算する。このようにベース計算手段151で計算されたベースBは、第1数計算手段152に与えられる。
【0035】
第1数計算手段152は、前記ベースBと、役スタート信号Ssと、RAMに設定されている投資金額Y(=1000円)、及び貸玉レートRi(=4〔円/個〕)を取込み(ステップ502)、上記数式1を用いてSPY(1000)を算出する(ステップ503)。例えば、ベースBが50であり、役スタート信号Ssが5であったとすると、ベース計算手段151は数式(1)を用いて、以下の計算をしてSPY(1000)aを求める。
すなわち、SPY(1000)a=25となる。
【0036】
第1数計算手段152は、この数値を比較手段154に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ504)。
なお、図6は、前記SPY(1000)a=25をプロットしたものである。
次に、第2計算手段153は、出玉信号Sdがあったときに、大役による出玉である出玉原因信号Sgが入力されたときに、大役出玉TYを算出する(ステップ505)。
【0037】
ついで、第2計算手段153は、RAMに設定されている確率P(例えば1/200)、景品レートRo(例えば2.5〔円/個〕)及び貸玉レートRi(例えば4〔円/個〕)を取込み、その後数式2を使用して損益分岐点用指数データU(1000)を計算する(ステップ506)。仮に、TYが4000個であったとすると、第2計算手段153は数式(2)を用いて以下の計算をし、損益分岐点用指数データU(1000)aを求める。
U(1000)a=400/{(1/200)×4000}
=20・・・・・・・・・・・・・・・・・(30)
すなわち、U(1000)a=20となる。
【0038】
第2計算手段153は、この数値を比較手段154に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ507)。なお、図6は、前記U(1000)a=20もプロットしたものである。
次に、比較手段154では、前記SPY(1000)a=25と、U(1000)a=20とを比較する(ステップ508)。
この場合、SPY(1000)a>U(1000)aであるので(ステップ508;YES)、その結果を出力制御手段155に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ509)。
この場合、SPY(1000)a>U(1000)aであるので、遊技者が有利になっていることを示している。
【0039】
出力制御手段155は、前記結果を表示制御手段156に与える(ステップ510)。出力制御手段155から与えられたデータは、表示制御手段156によりディスプレイ115上に表示される(ステップ511)。
この処理が終了すると、次の第2番目のパチンコ機のデータ収集処理に移行させるための処理を実行し(ステップ512)、再び当初の処理(ステップ501)に移行する。
【0040】
第2番目のパチンコ機のホール情報処理に移る。
処理装置本体111において、ベース計算手段151は、インターフェース装置117からの出玉信号Sd及び出玉原因信号Sgを用いてベースBを算出する(ステップ501)。このベースBは、第1数計算手段152に与えられる。
第1数計算手段152は、前記ベースBと、役スタート信号Ssと、RAMに設定されている投資金額Y、及び貸玉レートRiを取込み(ステップ502)、上記数式1を用いてSPY(1000)を算出する(ステップ503)。
例えば、ベースBが30であり、役スタート信号Ssが4であったとすると、ベース計算手段151は数式(1)を用いて、以下の計算をしてSPY(1000)bを求める。
【0041】
すなわち、SPY(1000)b=14.286となる。第1数計算手段152は、この数値を比較手段154に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ504)。なお、図7は、前記SPY(1000)b=14.286をプロットしたものである。
【0042】
次に、第2計算手段153は、出玉信号Sdがあったときに、大役による出玉である出玉原因信号Sgが入力されたときに、大役出玉TYを算出する(ステップ505)。ついで、第2計算手段153は、RAMに設定されている確率P、景品レートRo及び貸玉レートRiを取込み、その後数式2を使用して損益分岐点用指数データU(1000)を計算する(ステップ506)。仮に、TYが2000個であったとすると、第2計算手段153は数式2を用いて以下の計算をし、損益分岐点用指数データU(1000)bを求める。
【0043】
すなわち、U(1000)b=40となる。
第2計算手段153は、この数値を比較手段154に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ507)。なお、図7は、前記U(1000)b=40もプロットしたものである。
【0044】
次に、比較手段154では、前記SPY(1000)b=14.286と、U(1000)b=40とを比較する(ステップ508)。この場合、SPY(1000)b<U(1000)bであるので(ステップ508;NO)、その結果を出力制御手段155に与えるとともに、例えば時間、機器番号に関連付けて大容量メモリ装置118に格納する(ステップ520)。この場合、SPY(1000)b<U(1000)bであるので、遊技者が不利になっていることを示している。
【0045】
出力制御手段155は、前記結果を表示制御手段156に与える(ステップ510)。出力制御手段155から与えられたデータは、表示制御手段156によりディスプレイ115上に表示される(ステップ511)。この処理が終了すると、次の第3番目のパチンコ機のデータ収集処理に移行させるための処理を実行し(ステップ512)、再び当初の処理(ステップ501)に移行する。
このように第3番目、第4番目、…、第N番目のパチンコ機と処理をしてゆき、再び、第1番目、第2番目、第3番目、…、第N番目のパチンコ機を処理するというように繰り返し処理を実行してゆく。
【0046】
なお、例えば所定のパチンコ機の前日の1000円スタート数データ等を必要とするときには、キーボード112やマウス113を使用して当該データ等の表示の指定をすると、出力制御手段155は、大容量メモリ装置118に記憶されているデータを表示制御手段156に与える。これにより、所定のパチンコ機の前日の1000円スタート数データ等がディスプレイ115上に表示される。
また、遊技者が自分が必要とするパチンコ機の当日及び前日の1000円スタート数データ等が必要であるときに、端末機12の操作盤123を操作して、ディスプレイ124に表示されるガイダンス画面を見ながら、これを指定する。
【0047】
すると、端末機12の処理コア121は、処理装置本体111に所定のパチンコ機の当日及び前日の1000円スタート数データ等の要求をする。
これにより、出力制御手段155は、大容量メモリ装置118に記憶されているデータを通信制御手段157を介して端末機12に与える。
したがって、端末機12のディスプレイ124上には当日及び前日の1000円スタート数データ等が表示されることになる。これを見て遊技者は遊技を行うことになる。
上述したように、このホール情報処理システム1によれば、各パチンコ機6、6、…からのデータを基に単位投資金額に対する役スタート数データと、特賞出玉による損益分岐点用指数データとを得て、ホールの営業状態を把握する上で必要なデータやパラメータを関連づけて提示しているので、経営に関する判断が簡単にできるという利点がある。
【0048】
また、特定の遊技者や、一般の遊技者にも、当該データ類を開示することにより、遊技者の便利を図ることができるとともに、遊技場への顧客吸引力を増すことができる。さらに、当該ホール情報処理システム1によれば、表示に必要な最小限のデータやパラメータのみを表示すればよいので、経営に関する判断をする上で、効果的な表示でき、かつ表示点数を減少させることができる。
【0049】
図8は、本発明の第2の実施の態様を示す説明図である。
この第2の実施の態様であるホール情報処理システム1aは、端末機12にパチンコ機の1000円スタート数を表示させるのではなく、各パチンコ機6、6、…の上部に表示盤130、130、…を設け、各表示盤130、130、…に当該パチンコ機6、6、…の1000円スタート数等のデータを表示させるようにしたものである。したがって、他の構成は第1の実施の態様と同様であるので、構成、作用の説明を省略する。
【0050】
なお、表示盤130は、当日の1000円スタート数SPY(1000)を表示する表示パネル131、損益分岐点用指数データU(1000)を表示する表示パネル132、両者の比較結果を表示する表示パネル133と、前日のの1000円スタート数SPY(1000)を表示する表示パネル135、損益分岐点用指数データU(1000)を表示する表示パネル136、両者の比較結果を表示する表示パネル137とを備えている。この表示盤130には表示通信手段が設けられており、この表示通信手段を介してデータ処理部11に接続されている。
【0051】
データ処理部11は、各パチンコ機6、6、…の前日及び当日のSPY(1000)、損益分岐点用指数データU(1000)を各表示盤130の表示通信手段に送り込む。これにより、各表示盤130、130、…には、各パチンコ機6、6、…の前記データが表示されることになる。
このようなホール情報処理システム1aによれば、各パチンコ機6、6、…の上に表示盤130、130、…を設け、1000円スタート数SPY(1000)、損益分岐点用指数データU(1000)、これらの比較結果を関連つけて各遊技者に瞬時にかつ特別な操作なしに提供できるので、特定の遊技者はもちろん一般の遊技者に対してサービスが行き届き、これにより顧客吸引力が著しく増加することになる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、各遊技機からのデータを基に、単位投資金額に対する役スタート数データ、特賞出玉による損益分岐点用指数データを算出するとともに、これらを比較することにより、ホールの営業状態を把握する上で必要なデータやパラメータが関連づけられて瞬時に提示できるので、経営に関する判断が簡単に行うことができるという利点がある。
また、請求項1記載の発明によれば、営業を把握する上で必要な最小限のデータやパラメータを表示手段に表示すればよいので、経営データを効果的に提示できるとともに、表示項目が減るため表示手段の表示画面を小さくすることも可能になる。
【0053】
さらに、請求項1記載の発明によれば、特定の遊技者はもとより一般の遊技者にも単位投資金額に関するスタート回数や大役出玉に対する指数データを示して、遊技者が遊技機を選択する指数を瞬時に提示できるサービスを提供できるようにしたので、遊技者を遊技場に吸引できることになる。
請求項2記載の発明によれば、遊技機からのデータを基に投資金額に対する役スタート数を算出し、提示できるので、遊技機の性能の把握が容易にできることになる。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、遊技機からのデータを基に損益分岐点用指数データを算出し、提示できるので、遊技機の性能の把握が容易にできることになる。
請求項4記載の発明によれば、遊技者にも当該データを開示することにより、遊技者の便利を図ることにより、顧客吸引力を増加させることができる。
請求項5記載の発明によれば、遊技者にも当該データを開示することにより、遊技者の便利を図ることにより、顧客吸引力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示す斜視図である。
【図2】同第1の実施の態様を示すブロック図である。
【図3】同第1の実施の態様を示す機能ブロック図である。
【図4】同第1の実施の態様による損益分岐点グラフを示す説明図である。
【図5】同第1の実施の態様の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】同第1の実施の態様の動作によって得られたグラフを示す説明図である。
【図7】同第1の実施の態様の動作によって得られたグラフを示す説明図である。
【図8】同第2の実施の態様の要部を示す図である。
【符号の説明】
1、1a・・・ホール情報処理システム
2・・・遊技場
3・・・事務所
4・・・ホール
5・・・島
6・・・パチンコ機
7・・・玉貸機
8・・・警報ランプ
9、10・・・ケーブル
11・・・データ処理部
12・・・端末機
111・・・処理装置本体
112・・・キーボード
113・・・マウス
115・・・ディスプレイ
116・・・プリンタ
117・・・インターフェース装置
118・・・大容量メモリ装置
121・・・処理コア
122・・・通信制御手段
123・・・操作盤
124・・・ディスプレイ
130・・・表示盤
Claims (3)
- 遊技機からの情報を取込み、遊技場経営の指標や一定の情報を公開できるホール情報処理システムにおいて、
遊技機から、パチンコ玉が特賞抽選を開始させる役スタート開始穴あるいは役スタートには関係ない通常穴に入ったとき、または特賞状態にあり、出玉状態になっていることを知らせる出玉信号及びその出玉信号の原因を示す出玉原因信号を取込み、大役による出玉以外の非大役中であることを示す出玉原因信号とで出玉率Bを算出するベース計算手段と、
前記ベース計算手段から前出玉率Bを取込み、かつ1分間当たりのスタート数S、及び、設定エリアに設定された投資金額Y円、貸玉の単価を示す貸玉レートRiとを用いて、
投資金額Y円で遊技をスタートし投資金額Y円で何発入賞するかの数を示すY円スタート数SPY(Y)を、
SPY(Y)={(Y/Ri)×S}/(100−B)
で計算式することにより、Y円スタート数SPY(Y)データを得る第1数計算手段と、
遊技機から、前記出玉信号及び前記出玉原因信号を取込み、その取り込んだ出玉信号が大役による出玉である出玉原因信号であったときに大役出玉TYを算出し、その算出した大役出玉TYと、設定エリアに設定された投資金額Y円と、設定エリアに設定された景品交換する際の玉の単価を示す景品レートRoと、設定エリアに設定された大役獲得に関する初当たり確率Pとから、
遊技者にとって有利・不利の判断指数を示す損益分岐点用指数データU(Y)を、
U(Y)=Y/(P×TY×Ro)
として計算することにより、前記損益分岐点用指数データU(Y)を得る第2計算手段と、
前記第1数計算手段からの算出結果の前記Y円スタート数SPY(Y)データが、前記第2計算手段からの算出結果の前記損益分岐点用指数データU(Y)より大きいか否かを比較し、その比較結果を出力制御手段に与える比較手段と、
前記出力制御手段より与えられる比較手段からの出力データを表示できる表示手段とを備えたことを特徴とするホール情報処理システム。 - 前記表示手段は、遊技場のホールに設けた端末機であり、遊技者にY円スタート数SPY(Y)を提供できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のホール情報処理システム。
- 前記表示手段は、遊技場の遊技機の上に設けた表示盤であり、当該遊技機で遊技する遊技者に遊技者にY円スタート数SPY(Y)を提供できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のホール情報処理システム。
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