JP3949545B2 - 復調方法及び復調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、復調方法及び復調装置に関し、複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の復調を行う復調方法及び復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば移動通信や固定通信といったデジタル無線通信では、送信装置から送信するバースト状の信号フレーム中に当該信号フレームの同期を確保するための同期ワードシンボル(UV)を含めることが行われており、受信装置では送信装置から受信した信号フレーム中の同期ワードシンボル位置を検出することにより当該信号フレームに含まれるデータ等の位置を特定することが行われている。また、搬送波再生処理や周波数偏差検出処理においてもこの同期ワードから情報を抜き出して処理が行われるのが一般的である。
【0003】
図1は、多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式である16QAMの無線フレームフォーマットの一例を示す。同図中、各フレームは、4シンボルのランプ(R1〜4)と、10シンボルの同期ワードシンボル(SW1〜10)と、300シンボルの情報シンボル(i1〜300)、4シンボルのランプ(R1〜4)とにより構成されている。
【0004】
受信装置において受信した信号フレーム中から同期ワードシンボルの位置を検出する検出回路では、一般的かつ確実性の高い同期ワードシンボル検出方法として、複素相関演算により受信信号(受信系列)と同期用の同期ワードシンボルとの複素相関を演算して、その演算結果から相関値を算出し、相関値ピークを検出することが行われている。
【0005】
具体的には、受信系列中の各信号フレームには同期ワードシンボルと情報シンボルが含まれており、相関値ピーク検出においては、複素相関演算部により算出された相関値が設定された閾値より大きくなったタイミングを同期ワードシンボル位置とみなしている。
【0006】
この同期ワードシンボルとしては一般に相関特性の優れた系列(例えば疑似雑音符号の一種であるM系列符号)が用いられているため、信号フレーム中の同期ワードシンボルで得られる相関値の方が、信号フレーム中のデータ部分と同期ワードシンボルとの間で得られる相関値より明らかに大きくなり、同期ワードシンボルの検出が確実に行われる。
【0007】
この同期タイミングは、例えば通信に定常的な通信路が用いられた場合には、実際の同期ワードシンボルのタイミングと一致するが、低品質な通信環境で通信が行われる場合には、同期ワードシンボル以外のタイミングで上記した相関値が大きくなってしまい、誤同期する場合もある。また、このような場合であっても、同期保護技術等を用いることにより、検出したタイミング実際の同期タイミングを推定することもできる。
【0008】
以上のように、このような相関型検出方法は、複素相関を用いることにより同期ワードシンボルタイミングを精度よく検出することができるものの、複素相関の演算処理を行うための複素相関演算に係わるハードウェア回路の規模が非常に大型化してしまう、または演算量が膨大になるという問題がある。
【0009】
図2は、従来の16QAM復調装置の一例のブロック図を示す。同図中、A/D10はアナログデジタル変換器である。16QAM復調器においては、QPSK復調器に比較して、あらゆる面で精度が要求されるが、サンプリング周波数についてもシンボルレートの16倍程度でサンプリングする必要がある。なお、ここではA/D10はIF周波数をそのままサンプリングしている。
直交検波部12は、A/D10でIFサンプリングされたデジタル信号をベースバンド信号に変換する。ここでは、コサイン値を乗算していくことによりI成分ベースバンド信号を得、また、サイン値を乗算していくことによりQ成分ベースバンド信号を得る。なお、直交検波部12以降の信号が複素数表現(I+jQ:jは虚数単位)となる部分は、図中、太線で表わす。
【0010】
フィルタ部14は位相直線フィルタである。フィルタ部14の機能としては、次の二つがある。一つ目は、直交検波部12で直交検波した際に生じる高調波成分の除去である。二つ目は、ルートロールオフフィルタとしての機能である。16QAMのような線形変調方式においては、送受信機間においてロールオフフィルタを構成して、それによりシンボル間干渉が発生しないようにしており、フィルタ部14は、その受信側のフィルタとして機能する。
【0011】
また、16QAMにおいては、周波数有効利用の観点からロールオフファクタαの値が0.2等の比較的小さな係数が採られることが多い。このαの値が小さくなるにつれてシンボル同期に対する要求が厳しくなる。これは、わずかな同期ずれがシンボル間干渉を生み、ロールオフファクタαの値が小さい程その影響が大きいからである。
【0012】
同期検出部16は、図1に示すフレームにおいて同期ワードシンボル部分の相関演算及び電力プロファイル演算を行うことにより、フレーム同期を獲得する。両端の同期ワードはその前後の情報シンボルによってベクトルの向きが不安定になる可能性があるので、同期ワードシンボル10個のうち中央の8個のみを使用する。
【0013】
シンボル点抜き出し部18は同期検出部16から同期タイミング(あるいはサンプル番号)を受け取ると、そのタイミングから16個間隔でサンプルを抜き出す。これが受信シンボルとして扱われる。
【0014】
位相回転操作部20では、シンボル点抜き出し部18から入力した各シンボル点について回転操作を加える。これは、受信シンボルは伝搬路の影響を受けているため、搬送波ベクトルも回転していることに加えて、送受信の基準周波数偏差により各受信シンボルにおいてそれぞれ固有の位相回転が生じているためである。位相回転操作部20に回転情報を提供しているのが、搬送波再生部22及び周波数偏差検出部24である。
【0015】
搬送波再生部22は、同期検出部16から出力される正規化ベクトル8個を平均化し、その正規化平均ベクトルを搬送波ベクトルとして位相回転操作部20に提供する。周波数偏差検出部24は、同期検出部16から出力される正規化ベクトルについて、それぞれ隣り合った正規化ベクトル間で、その位相差成分を算出し、位相回転操作部20に提供する。ビット変換部26はシンボル情報をそのマッピングに従ってビット情報に変換する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従来の通信システムでは、受信装置により受信した信号フレームの同期を確保するに際して、前述した同期ワードシンボル検出方式を用いた場合には同期ワードシンボル検出を精度よく行えるものの、複素相関の演算処理を行うための回路構成が大規模となってしまう等といった問題があり、一方、回路構成を簡易にした場合には同期精度が不十分であるといった問題があった。
【0017】
以下具体的に課題について説明する。従来の相関方式ではその信号処理において演算量が膨大になってしまう。図3は、同期検出部16の一例のブロック図を示す。ここでは、処理の単位を1シンボル区間として扱う。つまり、1シンボル区間で一連の同期検出処理を行い、各シンボル区間で同様の処理を繰り返し、同期条件を満たすサンプル位置を検索する。
【0018】
図3において、逆変調処理部30においては、受信信号をシンボル間隔(16倍オーバーサンプル間隔)で8個取り出し、対応する同期ワード(SW2〜9)を用いて逆変調処理を行う。逆変調処理で行う演算は、実際には二つのベクトルの乗算である。この演算を16倍オーバーサンプルの受信信号に対して行う必要があるため、ベクトルの乗算の回数は8×16=128回となる。また当然、逆変調処理部30の結果出力される正規化ベクトルは128個となる。
【0019】
次に、平均化処理部32においては、逆変調処理部30によって算出された128個の正規化ベクトルについて、各サンプル位置ごとにその平均ベクトルを算出する。これは実際には各サンプル位置について、同期ワードベクトル8個(SW2〜9)のベクトルを全て加算し、これを16回繰り返す必要がある。
【0020】
電力プロファイル算出処理部34は、16個のベクトルについてそれぞれ複素電力を算出する。複素電力の算出は、I2+Q2の演算を行う。これを16回繰り返す必要がある。
【0021】
最大値検出処理部36は、電力プロファイル算出処理部34で算出された16個の電力プロファイル値の中から1個の最大値を見つけ出す。最後に、同期判定処理部38は、最大値検出処理部36で検出された電力プロファイルが同期条件を満たしているかどうかを判定する。
【0022】
このように考えると、16倍オーバーサンプリングで処理をしている以上、最後の同期判定処理部38以外の処理は、全て16回同様の処理を繰り返す必要がある。また、逆変調処理部30及び平均化処理部32においては、同期ワード数分だけ処理を行う必要があり、それぞれ128回もの演算を行う必要がある。
【0023】
同期検出を高分解能で行うためには上記のように16倍オーバーサンプルでの膨大な演算が必要となるが、限られた時間の中で処理を行うためには、処理速度の大きなデジタル信号処理デバイスが必要になるという問題があった。
【0024】
また、2番目の課題として位相回転操作部20における演算精度とその誤差について説明する。図1に示すフレームに関して、図2の搬送波再生部22において搬送波再生情報(搬送波再生ベクトル)を得る。また、周波数偏差検出部24において周波数偏差情報(シンボル間位相差ベクトル)を得る。位相回転操作部20においては、これらの情報(ベクトル)を用いて各情報シンボル(i1〜300)についてそれぞれ位相回転量を算出するわけであるが、演算は次の処理を行う。
【0025】
ここで、n=1〜300とする。また、当然、次の関係がある。
【0026】
(0番目のシンボルにおける搬送波再生ベクトル)=(搬送波再生部で算出された搬送波再生ベクトル)
今、n番目のシンボルにおける位相回転量は、1番目からn−1番目までの位相回転量の累積と言えるが、もしも、シンボル間位相差ベクトルについて丸め誤差が含まれていた場合、nが大きくなるに従ってその誤差は無視できないものとなる。
【0027】
位相回転を演算で行う場合、通常、コサインテーブル及びサインテーブルを用意し、現在の位相回転量がそのテーブルのどの位置にあるかを求め、テーブルからコサイン値、サイン値を取り出して、ベクトルの乗算を行い、位相回転演算を行うのが通常の手法である。16ビット程度の固定小数点精度でコサイン値、サイン値を表わすと、どんなにテーブルの大きさを大きくしても丸め誤差が付きまとうことになる。
【0028】
実際、テーブルの大きさを255に設定した場合、テーブルの一部を書き出してみると、以下のようになる。なお、0xは2進表示を表しており、サインテーブルの“0x0000”より左側は負の値、右側は正の値である。
【0029】
サイン値={…0xFF69,0xFF9B,0xFFCE,0x0000,0x0032,0x0065,0x0097,…}
コサイン値={…0x3FFF,0x4000,0x4000,0x4000,0x4000,0x4000,0x3FFF,…}
上記において、コサイン値に至っては、これ以上テーブルの大きさを大きくしてもテーブル内に同じ値が並ぶ結果となり、無意味なことが分かる。また、サイン値についてもわずかな差異しか存在しないため、位相回転演算の過程で16ビット×16ビットの乗算をして、その積の32ビットデータを16ビットまで丸めた時点で、コサイン値の差異は無意味なものと化してしまう。
【0030】
ここで、テーブルの大きさが255のときを最大テーブルと仮定する。このとき、このテーブルによる位相分解能は約0.176°程度である。このことから、誤差の最大値はこの分解能の半分と考えることができるので、次のようになる。
【0031】
16QAMのマッピングにおいて、隣のシンボルとの位相差の最小値は13.25°程度である。これを考えると、累積された位相誤差は無視できるものではないという問題があった。
【0032】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、同期ワードシンボルを含んだ信号フレームから、簡易な処理で精度良く同期ワードシンボルの検出を行うことができる復調方法及び復調装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
請求項1,3に記載の発明は、同期獲得前に所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータの一部を用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って大まかな同期検出を行い、
同期獲得後に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータのうち前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータを用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って正確な同期検出を行うことにより、
演算量を低減でき、処理速度が比較的遅いプロセッサを用いて精度良く同期ワードシンボルの検出を行うことができる。
【0034】
請求項2,4に記載の発明は、同一タイミングの搬送波再生情報について、実際の検出値と周波数偏差情報を基に演算した演算値との位相角の差分を求め、前記位相角の差分から前記周波数偏差情報の位相誤差を推定して補正することにより、
演算の丸め誤差による位相誤差を無視できる範囲にまで減少して精度良く同期ワードシンボルの検出を行うことができる。
【0035】
請求項5に記載の発明では、第2同期検出手段は、前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータそれぞれの電力プロファイルを比較して、最大電力プロファイル位置に同期位置を更新することにより、
送信側と受信側とでシンボルクロックの偏差がある場合にも、これに追従することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図4は、本発明の演算量を削減するための原理説明図を示す。同図中、受信信号はスイッチ40で切り換えられて同期検出部42または同期検出部44に供給される。同期検出部42は低いオーバーサンプリングで同期検出を行う。また、同期検出部44は高いオーバーサンプリングの分解能で同期検出を行うが、実際に処理するのは多数のサンプル点のうち3サンプル点のみ同期検出を行う。同期検出部44は、同期検出部42から提供されたおおまかな同期検出位置をもとに同期位置を微調整し、正確な同期位置を導き出す。この二つの同期検出部42,44を必要に応じて使い分けることにより、最大処理量でも従来の技術における処理量の半分の処理量で同期検出を行うことが可能となり、分解能においても従来の技術と同様の高次の分解能で処理することが可能となる。
【0037】
図5は、切り換え制御に関する状態遷移図を示す。通常、復調を開始した直後は、フレーム同期の取れていない、いわゆる非同期状態である。このときは、分解能は低くてもいいので、早急に同期獲得を行う必要がある。よって、本状態遷移図においては、状態の初期状態は同期検出部42の選択状態である。またこのとき、同期検出フラグ=0とする。
【0038】
その後、同期獲得後、同期検出フラグ=1(同期状態)になると、今度は復調を行うため高分解能で同期検出を行う必要があるので、状態を同期検出部44の選択状態に遷移させる。この状態では、既に大体の同期位置が分かっているので、限定されたサンプル位置で同期検出処理を行う。またその後、複数回に渡って同期検出を行うことができず、同期検出フラグ=0(非同期状態)となった場合、再度、同期位置を検出し直すために、同期検出部42の選択状態に遷移する。
【0039】
図6に、同期検出部42及び同期検出部44による同期検出の様子を示す。図6(A)は同期検出部42による同期検出の様子を示す。白丸印と黒丸印を付した箇所、つまり、サンプル番号の0,2,…,14の偶数番目でのみ同期検出処理を行っており、黒丸印の箇所における電力プロファイルレベルが最大で同期位置として検出されたサンプル番号である。
【0040】
ここで、黒丸印の箇所(サンプル番号=6)は8倍オーバーサンプリングにおける処理では電力プロファイルの最大位置であるが、真の最大値ではない。真の電力プロファイル最大値は、16倍オーバーサンプリングの範囲で考えると、サンプル番号5のところである。
【0041】
実際に復調を行う際には、サンプル番号5のところで復調を行う必要があるので、この時点で図6(B)に示すように、同期検出処理を同期検出部42から同期検出部44に変更する。ただし、この時点では、同期検出位置はまだサンプル番号6であるので、サンプル番号5,6,7について、その電力プロファイルの大きさを比較する。その結果、電力プロファイルはサンプル番号5の方がサンプル番号6より大きいことが判明すると、図6(C)に示すように、同期位置を更新する。これにより、高いオーバーサンプル精度を確保して検出精度を保ち、かつ演算量を低減した多値QAM復調が可能となる。
【0042】
図7は、本発明の丸め誤差を低減するため原理説明図を示す。同図中、n−1番目のフレームにおいて、同期ワードシンボル(SW)により搬送波再生ベクトル及びシンボル間位相差ベクトルを得たとする。このとき、搬送波再生ベクトルの位相角=φ1、シンボル間位相差ベクトルの位相角=θとする。
【0043】
すると、情報シンボルにおいては、受信したシンボルに対して、そのシンボル番号(ここではシンボル番号=1〜300)位置で固有の位相回転が与えられる。例えば、300番目のシンボルについては、そのシンボルに対する位相回転角は、φ1+θ×300(mod 360°)となる。
【0044】
同様にして考えると、次のn番目のフレームにおける同期ワードシンボルの最終シンボル(SW10)位置においては、フレーム間のガードタイムが12シンボルのとき、情報シンボル数をi、ランプシンボル数をR、ガードタイムをG、同期ワードシンボル数をSWとすると、
ここで、n番目のフレームにおいて、同様に、搬送波再生ベクトルの位相角=φ2、シンボル間位相差ベクトルの位相角=θを得たとすると、検出値(φ2)と演算値(φ1+θ×330(mod 360°))の位相差が丸め誤差によるものであると考えて良い。この丸め誤差による位相差に対応する位相補正値を位相回転処理の適当なタイミングで定量的に与えることで、位相誤差の蓄積をなくすことが可能となる。
【0045】
図8に、位相回転処理の様子を示す。同図中、直線1はシンボル間位相差=θのテーブルで位相回転処理した結果を表し、直線2は真の位相回転量を表す。この場合、シンボル番号1〜Sの区間の区間はシンボル間位相差=θのテーブルで位相回転処理を行い直線3とする。このままでは位相回転量が小さいため、シンボル番号S〜Tの区間の区間はシンボル間位相差=θ+0.176°のテーブルで位相回転処理を行い直線4とする。
【0046】
これにより、位相回転量が大きくなりすぎたため、シンボル番号T〜Uの区間はシンボル間位相差=θのテーブルで位相回転処理を行い直線5とする。この結果、位相回転量が小さくなりすぎたため、シンボル番号U〜300の区間はシンボル間位相差=θ+0.176°のテーブルで位相回転処理を行い直線6とする。このように、シンボル間位相差がθとθ+0.176°のテーブルを交互に用いることで真の位相回転量を近似する。
【0047】
図9は、本発明の復調装置の一実施例のブロック図を示す。同図中、常に高速動作を要求されるA/D10と、LSI50内部に構成される直交検波部12とフィルタ部14は、機能的には従来の技術と同じなので、ここでの説明は省略する。また、所望のビットレートに変換して外部に出力する出力制御部52についてもLSI50内部に構成される。
【0048】
DSP60内部に構成されるのは、メモリ62、割込操作部64、主制御部66、切替操作部68、スイッチ40、同期ワード格納部72、同期検出部42、位相回転操作部74、同期検出部44、シンボル抜出部76、周波数偏差検出部78、搬送波再生部80、位相回転操作部82、位相回転補正部84、ビット変換部86であり、これらによって同期検出アルゴリズム及び復調アルゴリズムを構成する。
【0049】
メモリ62は、LSI50から転送されてきた受信信号を32サンプル格納する。32サンプルの内訳は、I側ベースバンド信号16サンプル及びQ側ベースバンド信号16サンプルである。A/D10のサンプリングが16倍であることを考えると、1シンボル長のサンプル信号を格納するブロックである。本ブロックは、32サンプル格納後、割込操作部64に格納通知を行う。
【0050】
割込操作部64は、メモリ62から格納通知を受け取ると、DSP60の主制御部66に対して割り込みをかける。いわゆるDMA割り込みである。主制御部66は、割込操作部64から割り込みを受け取ると、そのタイミングに従って、同期検出処理、シンボル抜出処理等を開始する。
【0051】
本実施例では、1シンボル間隔で繰り返し処理を行う。例えば同期検出処理についても1シンボル区間内において繰り返し処理を行う。ただし、一定の判定条件を設けることにより、この1シンボル間隔の処理においてもフレーム同期を獲得することが可能となる。これは、1フレーム分のサンプル信号をDSP60内部に格納して、その中からフレーム同期位置を見つける処理に比較してメモリ62の有効利用をはかることができる。
【0052】
切替操作部68及びスイッチ40は、主制御部66からの制御により主信号(受信信号)の行き先を操作する。同期検出がなされていない非同期状態においては行き先を同期検出部42に向ける。また、同期検出後は、図1に示すフレームにおいて、同期ワードシンボル区間は同期検出部44に行き先を切り換え、情報シンボル区間はシンボル抜出部76に行き先を切り換える。それ以外の区間は、受信信号をどこにも出力しないように制御する。
【0053】
同期検出部42は、同期ワードシンボル部分の相関演算及び電力プロファイル演算を行い、前述の通り8倍オーバーサンプリングのデータ位置のみ同期検出を行う。なお、本実施例のように1シンボル間隔で同期検出処理を行う場合、図10(A)に示すように、14サンプル目に電力プロファイルレベルの最大値を持つことも考えられる。このようなケースを想定して、初期の同期獲得を目的とする同期検出部42は、同期検出と判定して良いレベルの電力プロファイルが認められた場合、次の1シンボル区間にその最大電力プロファイルよりも大きい電力プロファイルがあるかどうか検索する。
【0054】
そして、図10(B)に示すような場合、次の1シンボル区間により大きな電力プロファイルが認められないので、先の14サンプル目が同期検出位置として判定される。一方、図10(C)に示すような場合、次の1シンボル区間により大きな電力プロファイルが認められるので、先の14サンプル目は同期検出位置として判定されない。
【0055】
同期検出部44は、同期ワードシンボル部分の相関演算及び電力プロファイル演算を行い、前述の通り16倍オーバーサンプリングのデータ位置のうち3点のみ同期検出を行う。同期検出部44は、同期検出部42から受け取ったおおまかな同期サンプル位置をもとにそれを微調整する機能を持つ。微調整アルゴリズムは、同期検出位置のサンプル点とその前後のタイミングのサンプル点における電力プロファイルを比較して、その一番大きな電力プロファイルのサンプル位置に同期位置を更新していく。
【0056】
これにより、送受信間のシンボルレートが基準クロックの偏差により多少ずれている場合でも、その偏差に追従する機能を有する。また、ノイズの影響で、本来の電力プロファイルより大きくあるいは小さく検出する場合が考えられるが、そのようなノイズによって同期位置を誤更新することがないように、RWF(ランダムウォークフィルタ)を用いて、間違いのない更新をするような機能を有する。
【0057】
なお、同期検出部44は、周波数偏差検出部78及び搬送波再生部80に対して受信信号を同期ワードシンボルで逆変調した正規化ベクトル(8個)を出力する。この情報をもとに、周波数偏差検出部78は周波数偏差情報を生成し、搬送波再生部80は搬送波再生情報を生成する。
【0058】
また、同期検出部42及び同期検出部44に共通して言えることであるが、相関をとり、電力プロファイルの最大値とった場合でも、実際には誤同期する可能性もある。これは、偶然、受信信号のベクトル方向のみが同期ワードのベクトルと等しく、かつ振幅が同期ワードのように均一でない場合である。
【0059】
このような条件が揃った場合、それが情報シンボルであれば次のフレームでは別のパターンの受信シンボルが受信されるであろうから、そこで非同期状態に戻すことが可能である。しかし、誤同期した箇所が何らかの固定パターン区間であった場合、同期はそのまま維持されることになる。
【0060】
このような状態を避ける一つの手法として、同期判定時に、電力プロファイルが最大値を取ったその受信シンボルに対して、8個(8個とは、同期ワード8個と相関を取るシンボル数)の受信信号に対してその複素電力が同一レベルであるか否かを検出し、全ての複素電力が同一レベルであった場合のみ、同期検出と判定する。
【0061】
また、同期判定を行う際は、電力プロファイルの最大値について、その値が閾値を超えているか否かで判定を行うが、通常はレジスタ等に設定した固定値が使用される。ただし、受信入力レベルはその時々で異なることがほとんどであるため、この固定値による判定だけでは問題が多い。
【0062】
また、送受信間のキャリアに周波数偏差があると、先に述べた正規化ベクトル8個が全て同一方向を向かない。このようなベクトルの平均ベクトルを用いて生成された電力プロファイルは、周波数偏差のないときよりも当然、小さくなる。言い方を変えると、周波数偏差がない場合、次式が成立する。
【0063】
(正規化ベクトルの平均値から生成する複素電力(=電力プロファイル))=(それぞれの正規化ベクトルから生成する複素電力の平均値)
しかし、周波数偏差がある場合、次式が成立する。
【0064】
(正規化ベクトルの平均値から生成する複素電力(=電力プロファイル))<(それぞれの正規化ベクトルから生成する複素電力の平均値)
このように考えると、周波数偏差がある場合、固定値の閾値だけでは、本来同期検出すべきときに検出できないことが考えられる。ここで、可変の閾値を次式で設定する。
【0065】
B×(それぞれの正規化ベクトルから生成する複素電力の平均値)
ただし、係数Bはシステムの周波数偏差許容量に応じて設定され、0<B<1とする。この場合、固定の閾値よりも電力プロファイルが小さくても、本当の同期検出位置であれば、この可変の閾値によって同期検出を行うことが可能である。
【0066】
なお、上記のように周波数偏差がある場合でも、できるだけ電力プロファイルの大きさを大きくした方が、低S/N環境においては同期維持をし易い。これを可能にするのが、位相回転操作部74である。
【0067】
位相回転操作部74は、周波数偏差検出部78から周波数偏差情報を受け取ると、その情報に基づいて同期ワード格納部72から取り出した8個の同期ワードシンボルに対して回転操作を加える。
【0068】
このようにして、受信信号の周波数偏差をキャンセルするために同期ワードシンボルに対して同様の周波数偏差を与えることにより、等価的に周波数偏差をキャンセルし、周波数偏差のないときと同レベルの電力プロファイルを同期検出部44で得ることが可能となる。
【0069】
周波数偏差検出部78は、同期検出部44から出力される正規化ベクトル8個の情報により周波数偏差を検出する。
【0070】
図11及び図12は、周波数偏差検出部78が実行する周波数偏差検出処理の一実施例のフローチャートを示す。図11において、ステップS10でフラグAFC_ONが1か否かを判別して周波数偏差検出処理を行うかどうかを決定する。AFC_ON=1のときのみ処理を行い、AFC_ON=1のときはステップS64でAFC_LEVEL=0とする。
【0071】
次のステップS12で同期検出できているかを判別し、同期検出できている場合にのみステップS14に進む。これは同期検出ができていないときには正確な周波数偏差情報を取り出せないためである。ステップS14ではフラグINVROTを0に初期化する。後の処理において、周波数偏差が負側の場合にのみ、このフラグに1を立てるが、毎回この位置で初期化しておく。
【0072】
次のステップS16、S18で本フレームの周波数偏差検出値COS_DLT[0],SIN_DLT[0]を求める。これは各同期ワードシンボルの正規化ベクトル(CIR_I,CIR_Q)を隣り合ったベクトル間で差分をとり、その平均値を求めている。また、ステップS20〜S30で処理過去3フレームと現フレームとの平均化処理を行う。この平均値がSIN_DLT,COS_DLTである。
【0073】
次に、図12のステップS32で周波数偏差のコサイン成分が正であるか否かの判別を行う。周波数偏差は、通常、シンボル間位相差成分としてあらわされるが、これは±90°以内である。これ以上大きいと、既に復調の限界に達している。よって、コサイン成分が負の場合、検出した値が不正であると言えるので本処理は行わない。
【0074】
次にステップS34でサイン成分の正負判定を行う。サイン成分が負のときはステップS36,S38で、フラグINVROTに1を立て、サイン値を一旦正に変換する。これによって位相の回転方向によらず、同様の処理が可能となる。
【0075】
ステップS40ではCOS_DLT≦SIN_DLTの判別により位相角が45°以上あるかどうかを判別する。位相角が45°を超えるようでは復調限界なので、この条件を満たすときは本処理は行わない。次のステップS42で位相角が26.5°以上あるかどうかを判別する。同様にしてステップS42〜S50でCOS_DLTの値を2のべき乗で除算しながらSIN_DLTの値と比較することにより、位相角がどの程度あるかを判別する。
【0076】
そして、それぞれの判定によってステップS52〜S62でAFC_LEVEL値を決定する。この値は、コサインテーブル,サインテーブルのアドレスオフセット値に対応している。255アドレスのテーブルで中央の127番目が初期値であるとして、例えばアドレスオフセット値であるAFC_LEVEL=3であれば、テーブルのアドレスは127+3=130となる。こののち、ステップS66でフラグINVROTが1の場合には、ステップS68でサイン値を負に変換する。
【0077】
このように、周波数偏差成分をサイン値とコサイン値の除算によるタンジェント値を求めることで演算するのではなく、位相角がどの範囲内であるかを検出して範囲に合わせた周波数偏差キャンセル制御を行うことにより、除算(タンジェント値を演算して、それから位相角を算出する手法では除算が必須となる。)を用いずに処理を行うことが可能となる。
【0078】
なお、周波数偏差情報を過去3フレームと現フレームで平均化処理しているが、これでは移動平均処理になるため、忘却係数の概念を取り入れて、過去フレーム及び現フレームの周波数偏差情報をそれぞれ重み付け加算すると、更に精度の高い周波数偏差を検出することが可能となる。ただし、現フレームの重み付けを小さくすると周波数偏差の検出速度が遅くなる。
【0079】
また、現フレームの重み付けを大きくすると、周波数偏差の検出速度は速くなるがその精度は粗くなる。そこで、周波数偏差の大きい間は、多少の検出精度の粗さはあっても早急に引込を行いたいので、この期間を引込状態として現フレームの重み付けと過去フレームの重み付けの比を例えば1:1に設定する。そして、周波数偏差が一回でもある一定の位相角β(例えばβ=0.895°)以内を検出した時点で引込状態から追従状態に遷移させる。
【0080】
追従状態においては、現フレームの重み付けと過去フレームの重み付けの比は例えば1:15に設定する。また、一旦周波数偏差がβ(=0.895°)以内を検出したことから、真の周波数偏差値もその辺りにあるとして、2×β(=1.79°)以上の位相角以上の位相角を検出したとしてもその値に信憑性はないと判断し、重み付け加算の対象としない。
【0081】
これにより安定して周波数偏差を吸収していくことが可能である。なお、重み付けの対象とはしないが、2×βの検出回数はカウントしておく。そして、複数回連続して2×βを検出するときは、先の検出値βが誤検出であると考えて良い。このときは再び追従状態から引込状態に遷移させて再引込処理を行う。
【0082】
図13は、引込状態時処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS70でCOS_DLT/64>SIN_DLTの判別によりシンボル間位相差が0.895°未満であるかどうかを判別する。シンボル間位相差が0.895°未満であればステップS72で追従状態に遷移し、シンボル間位相差が0.895°以上であればステップS74で引込状態を維持する。
【0083】
図14は、追従状態時処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS80でCOS_DLT/32<SIN_DLTの判別によりシンボル間位相差が1.79°を超えるかどうかを判別する。シンボル間位相差が1.79°を越える場合にはステップS82でカウント値を1だけインクリメントする。そして、ステップS84でカウント値が限界値に達したか否かを判別し、カウント値が限界値に達している場合はステップS86で引込状態に遷移する。カウント値が限界値に達していない場合はステップS90で引込状態を維持する。
【0084】
一方、シンボル間位相差が1.79°を越えない場合にはステップS88でカウント値を1だけデクリメントする。ただし、カウント値は0又は正の値である。この後、ステップS90で引込状態を維持する。
【0085】
また、アドレスオフセット値(AFC_OFFSET)の更新を行った際には今までのフレームの重み付けをクリアするようにする。このように更新された時点からの周波数偏差のみを再び蓄積することにより、過制御を防止することができる。ちなみにクリアしない場合は、アドレスオフセット値が更新されたにも関わらず、過去の更新前の周波数偏差が蓄積されているので、過制御をおこしてしまう。
【0086】
図9に戻って説明するに、搬送波再生部80は、通常であれば、正規化ベクトル8個の平均値を用いるところであるが、ここでは、各同期ワードシンボルに対して、周波数偏差検出部78から得た周波数偏差情報(シンボル間位相差ベクトル)による位相回転を加え、その後、それらのベクトルを平均化する。このようにすることで、周波数偏差があるにも関わらず、精度の高い搬送波再生を行うことが可能となる。
【0087】
位相回転補正部84の動作は前述の図8と共に説明した通りである。ただし、検出した搬送波再生情報(φ2)と、演算によって導き出された搬送波再生情報(φ1+θ×330)の位相差分の算出手法は、周波数偏差検出部78と同様、コサイン値とサイン値の比較によって行い演算量を減らす。
【0088】
この手法では、シンボル間位相差ベクトルθの値にある程度の精度が要求される。つまり、θの値が0.5°以上ずれているときには、本手法に加えて、情報シンボルそのものを使用して位相補正を行う。θの値がこのように大きくずれているときでも最初の方の情報シンボルはそこまで位相誤差が大きくない。つまり期待するシンボルの位相に近い位相を有している。このとき期待する位相と実際のシンボルの位相誤差を検出して、位相誤差が蓄積される前に各情報シンボルごとに補正を行う。
【0089】
ただし、低S/N環境では位相誤差が真の値とは異なって検出されるため、ある位相誤差(例えば0.5°程度)までは補正を行わない。また、一定の位相誤差以上が連続して検出されたときには、その位相誤差分を一気に補正する。このような補正を行うことで、低S/N環境下でも充分な位相補正を行うことが可能である。
【0090】
シンボル抜出部76は、同期検出部44から得た厳密なサンプル位置をシンボル位置として位相回転操作部82に出力する。位相回転操作部82は、シンボル抜出部76から得たシンボル点に対し、搬送波再生部80から得た搬送波再生情報と、周波数偏差検出部78から得た周波数偏差情報、そして位相回転補正部84から得た補正情報を基に、各情報シンボルに対して固有の位相回転を与え、ビット変換部86に出力する。
【0091】
ここで、位相回転操作を行う複素演算において、DSP60にて16ビット×16ビットの乗算後、さらに加算を行う必要がある。この結果、33ビットにまで演算結果は膨らんでしまうが、これをさらに16ビット幅まで丸める必要がある。通常は、一律に最大値のダイナミックレンジでビットシフトを行い丸めるのであるが、ここでは、同期検出部44より得た電力プロファイル値によってビットシフト量を可変させる。電力プロファイルが1/4になった場合、振幅値としては1/2になったと考えて良いので、ビットシフト量を1ビット少なくして、少しでもシンボルの持つ振幅情報を損なわないようにする。
【0092】
ビット変換部86は、シンボル情報をビット情報に変換する。これは16QAMのマッピング規則に従って変換するものであり、既存の技術である。ここで得られたビット情報は、LSI50の出力制御部52に渡されて、正規のビットレートに変換された後、外部に出力される。
【0093】
このように、本発明によれば、処理速度が比較的遅い固定小数点精度DSP60を用いた場合においても、少ない処理量で高精度な相関演算及び電力プロファイル演算が可能になる。また、同様に比較的低能力のDSP60の固定小数点精度で位相回転演算を行っても、演算の丸め誤差による位相誤差を無視できる範囲にまで減少することが可能になる。
【0094】
なお、同期検出部42が請求項記載の第1同期検出手段に対応し、同期検出部44が第2同期検出手段に対応し、位相回転補正部84が位相回転補正手段に対応する。
【0095】
(付記1) 複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、前記デジタル信号を復調する復調方法において、
同期獲得前に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータの一部を用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って大まかな同期検出を行い、
同期獲得後に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータのうち前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータを用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って正確な同期検出を行うことを特徴とする復調方法。
【0096】
(付記2) フレームごとに複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、かつ、前記同期ワードを用いて求めた周波数偏差情報をシンボルごとに累積して前記デジタル信号を復調する復調方法において、
同一タイミングの搬送波再生情報について、実際の検出値と周波数偏差情報を基に演算した演算値との位相角の差分を求め、前記位相角の差分から前記周波数偏差情報の位相誤差を推定して補正することを特徴とする復調方法。
【0097】
(付記3) 複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、かつ、前記同期ワードを用いて求めた周波数偏差情報をシンボルごとに累積して前記デジタル信号を復調する復調装置において、
同期獲得前に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータの一部を用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って大まかな同期検出を行う第1同期検出手段と、
同期獲得後に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータのうち前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータを用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って正確な同期検出を行う第2同期検出手段を
有することを特徴とする復調装置。
【0098】
(付記4) 付記3記載の復調装置において、
同一タイミングの搬送波再生情報について、実際の検出値と周波数偏差情報を基に演算した演算値との位相角の差分を求め、前記位相角の差分から前記周波数偏差情報の位相誤差を推定して補正する位相回転補正手段を
有することを特徴とする復調装置。
【0099】
(付記5) 付記3または4記載の復調装置において、
前記第2同期検出手段は、前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータそれぞれの電力プロファイルを比較して、最大電力プロファイル位置に同期位置を更新することを特徴とする復調装置。
【0100】
(付記6) 付記3または4記載の復調装置において、
前記第1同期検出手段は、1シンボル長区間ごとに得られる複数サンプルの電力プロファイルの最大値を同期位置とし、最後のサンプル位置の電力プロファイルが最大値である場合は、次のサンプルの電力プロファイルが前記最大値以下であることを確認して、前記最大値の電力プロファイルのサンプル位置を同期位置とすることを特徴とする復調装置。
【0101】
(付記7) 付記3乃至6の何れか記載の復調装置において、
前記第1同期検出手段は、前記複数シンボルの同期ワードそれぞれの電力レベルがほぼ等しい場合にのみ同期検出と判定することを特徴とする復調装置。
【0102】
(付記8) 付記3乃至7の何れか記載の復調装置において、
前記第1同期検出手段は、1シンボル長区間ごとに得られる複数サンプルの電力プロファイルの最大値が閾値を超えた場合にのみ同期検出と判定することを特徴とする復調装置。
【0103】
(付記9) 付記3乃至8の何れか記載の復調装置において、
前記同期ワードを用いて検出した周波数偏差情報に基づいて逆変調に用いる複数シンボルの同期ワードそれぞれを回転させることを特徴とする復調装置。
【0104】
(付記10) 付記4乃至9の何れか記載の復調装置において、
前記デジタル信号を前記複数シンボルの同期ワードで逆変調して得た複数の正規化ベクトルそれぞれのシンボル間位相差成分から前記周波数偏差情報を求める際に、周波数偏差情報のコサイン値及びコサイン値を、各正規化ベクトルのI成分とQ成分から直接算出し、前記コサイン値と1/2のべき乗の乗算値と前記サイン値との大小関係から前記周波数偏差情報を算出することを特徴とする復調装置。
【0105】
(付記11) 付記10記載の復調装置において、
検出された周波数偏差情報が所定値以上のときは、過去フレームの検出周波数偏差情報に対する現フレームの検出周波数偏差情報の重み付けを大きく設定した引込状態とし、周波数偏差が前記所定値の半分未満となったとき、過去フレームの検出周波数偏差情報に対する現フレームの検出周波数偏差情報の重み付けを小さく設定した追従状態とすることを特徴とする復調装置。
【0106】
(付記12) 付記11記載の復調装置において、
前記引込状態から前記追従状態に遷移した時点及び前記追従状態においては、蓄積している過去フレームの検出周波数偏差情報をクリアすることを特徴とする復調装置。
【0107】
(付記13) 付記11記載の復調装置において、
前記追従状態で検出された周波数偏差情報が前記所定値以上であることが複数回連続したとき前記引込状態に遷移することを特徴とする復調装置。
【0108】
(付記14) 付記11記載の復調装置において、
前記追従状態で検出された周波数偏差情報が前記所定値以上であることが複数回連続したとき前記引込状態に遷移することを特徴とする復調装置。
【0109】
(付記15) 付記4記載の復調装置において、
第1同期検出手段で算出された電力プロファイルの大きさに基づいてビットシフト量を決定し、前記デジタル信号から抽出された各シンボルに対して固有の位相回転操作を行う際に、前記複素演算結果について前記ビットシフト量だけシフトを行うことを特徴とする復調装置。
【0110】
(付記16) 付記9乃至15の何れか記載の復調装置において、
前記デジタル信号を前記複数シンボルの同期ワードで逆変調して得た複数の正規化ベクトルから搬送波再生を行う際に、前記同期ワードを用いて検出した周波数偏差情報により前記複数の正規化ベクトルを位相回転させ、周波数偏差が無い状態で搬送波再生情報を検出することを特徴とする復調装置。
【0111】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1,3に記載の発明によれば、演算量を低減でき、処理速度が比較的遅いプロセッサを用いて精度良く同期ワードシンボルの検出を行うことができる。
【0112】
また、請求項2,4に記載の発明によれば、演算の丸め誤差による位相誤差を無視できる範囲にまで減少して精度良く同期ワードシンボルの検出を行うことができる。
【0113】
また、請求項5に記載の発明によれば、送信側と受信側とでシンボルクロックの偏差がある場合にも、これに追従することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】16QAMの無線フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図2】従来の16QAM復調装置の一例のブロック図である。
【図3】同期検出部16の一例のブロック図である。
【図4】本発明の演算量を削減するための原理説明図である。
【図5】切り換え制御に関する状態遷移図である。
【図6】同期検出の様子を示す図である。
【図7】本発明の丸め誤差を低減するため原理説明図である。
【図8】位相回転処理の様子を示す図である。
【図9】本発明の復調装置の一実施例のブロック図である。
【図10】同期検出を説明するための図である。
【図11】周波数偏差検出処理の一実施例のフローチャートである。
【図12】周波数偏差検出処理の一実施例のフローチャートである。
【図13】引込状態時処理のフローチャートである。
【図14】追従状態時処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 A/D
12 直交検波部
14 フィルタ部
40 スイッチ
42,44 同期検出部
50 LSI
52 出力制御部
60 DSP
62 メモリ
64 割込操作部
66 主制御部
68 切替操作部
72 同期ワード格納部
74 位相回転操作部
76 シンボル抜出部
78 周波数偏差検出部
80 搬送波再生部
82 位相回転操作部
84 位相回転補正部
86 ビット変換部
Claims (5)
- 複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、前記デジタル信号を復調する復調方法において、
同期獲得前に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータの一部を用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って大まかな同期検出を行い、
同期獲得後に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータのうち前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータを用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って正確な同期検出を行うことを特徴とする復調方法。 - フレームごとに複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、かつ、前記同期ワードを用いて求めた周波数偏差情報をシンボルごとに累積して前記デジタル信号を復調する復調方法において、
同一タイミングの搬送波再生情報について、実際の検出値と周波数偏差情報を基に演算した演算値との位相角の差分を求め、前記位相角の差分から前記周波数偏差情報の位相誤差を推定して補正することを特徴とする復調方法。 - 複数シンボルの同期ワードを含むデジタル信号の所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータについて同期ワードとの相関演算及び電力プロファイル算出を行って同期検出し、かつ、前記同期ワードを用いて求めた周波数偏差情報をシンボルごとに累積して前記デジタル信号を復調する復調装置において、
同期獲得前に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータの一部を用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って大まかな同期検出を行う第1同期検出手段と、
同期獲得後に前記所定倍オーバーサンプリングによるサンプルデータのうち前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータを用いて相関演算、電力プロファイル算出を行って正確な同期検出を行う第2同期検出手段を
有することを特徴とする復調装置。 - 請求項3記載の復調装置において、
同一タイミングの搬送波再生情報について、実際の検出値と周波数偏差情報を基に演算した演算値との位相角の差分を求め、前記位相角の差分から前記周波数偏差情報の位相誤差を推定して補正する位相回転補正手段を
有することを特徴とする復調装置。 - 請求項3または4記載の復調装置において、
前記第2同期検出手段は、前記大まかな同期検出位置及びその前後のサンプルデータそれぞれの電力プロファイルを比較して、最大電力プロファイル位置に同期位置を更新することを特徴とする復調装置。
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