JP3949448B2 - 燃料ポンプ - Google Patents
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- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04D—NON-POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04D5/00—Pumps with circumferential or transverse flow
- F04D5/002—Regenerative pumps
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリン等の燃料を吸入して昇圧し、昇圧された燃料を吐出する燃料ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料ポンプは、特開平7−279881号公報に開示されているように、インペラとポンプケーシングを備えている。インペラは、略円板状であり、表裏両面の外周に沿った領域に複数の羽根溝が連続して形成されており、モータ等の駆動手段によって回転させられる。ポンプケーシングは、インペラを取囲んでおり、インペラの羽根溝との間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部と、その凹部の上流端に連通する吸入口と、その凹部の下流端に連通する吐出口と、そのインペラの外周面に沿って伸びる内周面を形成する周壁とを備えている。インペラが回転すると、燃料は吸入口から流路溝内に吸入され、流路溝内を周方向に流れるうちに昇圧され、昇圧された燃料が吐出口から吐出される。
【0003】
この場合、インペラ外周面とポンプケーシング内周面間のクリアランスの大きさがポンプ効率に大きく影響する。このクリアランスが小さいほど漏れ出す燃料量が抑制され、ポンプ効率が高くなる。
しかしながら、燃料ポンプは長期間に亘って使用されるものであり、その間にインペラを回転させる軸を支えるベアリングが摩耗してインペラの回転中心が微小量だけずれていくことが避けられない。このために、前記したクリアランスをあまりに小さくすると、インペラの回転中心がずれたときに、インペラ外周面とポンプケーシング内周面が接触してしまい、ポンプ作動が不調になってしまう。このために現状では、インペラ外周面とポンプケーシング内周面間のクリアランスに余裕を持たせ、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれても、インペラ外周面とポンプケーシング内周面が接触しないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この結果、現状の燃料ポンプは、摩耗を考慮しないで設計したときのポンプ効率よりもポンプ効率が低い。摩耗を考慮するとインペラ外周面とポンプケーシング内周面間のクリアランスに余裕を持たせることが必要となり、クリアランスに余裕を持たせるとポンプ効率は低下してしまうからである。
そこで、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれても、インペラ外周面とポンプケーシング内周面が接触しないだけのクリアランスを確保しながら、ポンプ効率を向上させることが求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明者らは、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれる現象を詳細に検討した結果、摩耗の進行方向が特定方向に集中していることを見出した。この理由は下記のように理解される。前記したように、燃料は流路溝に沿って周方向に流れるうちに昇圧される。周方向に伸びる流路溝内の圧力は一様でなく、吸入口に隣接する部分で低く、吐出口に隣接する部分で高い。従ってインペラの外周面には一様でない圧力、すなわち、吸入口に隣接する部分で低く、吐出口に隣接する部分で高い圧力が作用する。この不均一な圧力分布に起因して、インペラには、流路溝内圧力が高い領域から低い領域に向かって作用する力が作用する。ベアリングはインペラに作用する上記した力に抗してインペラの回転中心を維持している。上記の条件下で燃料ポンプを使いつづけると、インペラの回転軸を支えるベアリングは、流路溝内圧力が低い領域において集中的に摩耗する。
【0006】
従来の燃料ポンプでは、摩耗の進行方向が特定方向に集中しているという知見を活用しておらず、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれても、インペラ外周面とポンプケーシング内周面が接触しないだけのクリアランスを全方位に確保している。
本発明者らの研究によって、摩耗の進行方向が特定方向に集中していることが見出されたために、摩耗が進行する方向においてのみ摩耗分を見込んだクリアランスを確保しておけば良く、摩耗が進行しない方向では摩耗分を見込む必要がないことがわかってきた。摩耗が進行しない方向ではクリアランスを詰めることができ、クリアランスを詰めるとポンプ効率が向上することが見出された。
【0007】
本発明で創作された燃料ポンプは、請求項1に記載されているように、インペラとポンプケーシングを備えている。インペラは、略円板状であり、表裏両面の外周に沿った領域に複数の羽根溝が連続して形成され、外周は円周面であり、駆動手段によって回転させられる。ポンプケーシングは、インペラの羽根溝との間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部と、その凹部の上流端に連通する吸入口と、その凹部の下流端に連通する吐出口と、そのインペラの外周面に対向して伸びる円周面形状の内周面を形成する周壁を有している。インペラの回転中心は、円周に沿って伸びるポンプケーシング内周面に対して、燃料の圧力によってインペラに働く力の方向と逆向きにオフセットされている。ポンプケーシング内周面とインペラ外周面との間のクリアランスは、流路溝内圧力が高い領域で相対的に小さく、流路溝内圧力が低い領域で相対的に大きい。
【0008】
ポンプケーシングに収容されているインペラが、周方向に変化する流路溝内圧力によって受ける力の一例を、図8を参照して説明する。インペラ90は、略円板状であり、表裏両面の外周に沿った領域に複数の羽根溝91が連続して形成され、外周は円周面90aとなっており、図示しない駆動手段によって回転させられる。ポンプケーシングは、インペラ90の羽根溝91との間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部94と、その凹部の上流端(インペラ90は矢印R方向に回転する)に連通する吸入口92と、その凹部94の下流端に連通する吐出口98と、そのインペラの外周面90aに対向して伸びる内周面99aを形成する周壁99を有している。
流路溝94内の圧力は、矢印96−1から96−10に模式的に示すように変化しており、吸入口92に隣接する部分で低く、吐出口98に隣接する部分で高い。この結果インペラ90には、燃料圧力によって、図中のFで示される力が働く。インペラの回転軸を支えるベアリングにはFの力が作用するために、ベアリングは集中的に矢印F方向に摩耗し、これによってインペラ90も矢印F方向にずれていく。
【0009】
本発明では、流路溝内圧力が低い領域(矢印Fが指し示す側の領域)では、摩耗分を見込んだ大きなクリアランスが確保されていることから、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれても、インペラ外周面とポンプケーシング内周面は接触しない。この燃料ポンプの使用寿命は従来と同様に長い。なお、ここでいう相対的に大きなクリアランスとは、従来のクリアランスと同程度であり、従来のクリアランスよりも大きいという意味ではない。一方、流路溝内圧力が高い領域(矢印Fが遠ざかる側の領域)では、摩耗分を見込む必要がないために、クリアランスが小さく設定されている。従来のクリアランスよりも小さく設定されている。この結果、圧力の高い領域で流路溝94から漏れ出る燃料量が低減され、ポンプ効率が高められる。
本発明の燃料ポンプによると、使用寿命を短縮することなく、ポンプ効率を向上させることができる。
【0010】
流路溝内圧力が高い領域(矢印Fが遠ざかる側の領域)では、使用寿命を短縮させないでクリアランスを低減することができる。この場合、低減可能な領域の全部でクリアランスを低減する必要は必ずしもなく、効果的な部分に集中して本発明を適用してもよい。
こうして実現される一つの燃料ポンプは、インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びるポンプケーシング内周面が、インペラの回転方向に沿って吸入口から吐出口まで伸びるポンプケーシング内周面よりも、インペラ側に突出しており、ポンプケーシング内周面とインペラ外周面のクリアランスは、インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びる領域において相対的に小さく、インペラの回転方向に沿って吸入口から吐出口まで伸びる領域において相対的に大きい。
【0011】
インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びる領域は、基本的に流路溝内圧力が高い領域にあり、ここのクリアランスを詰めても、ポンプ寿命は低減しない。インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びる領域の一部には、流路溝内圧力が低い領域に属する部分があるけれども、この領域における摩耗に起因するインペラ位置のシフト方向は、ポンプケーシング内周面にほぼ平行であることから、インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びる領域では一様にクリアランスを詰めることができる。勿論、インペラの回転方向に沿って吐出口から吸入口まで伸びる領域であって、しかも、流路溝内圧力が高い領域に属する領域でのみクリアランスを詰めてもよい。
【0012】
インペラは、前述した合力Fが作用することに起因して、長時間使用している間に、回転中心が図9に示すように移動する。図9(a)に示すように、回転するインペラの中心がXからYに移動する場合、AおよびBを結ぶ線分においてポンプケーシング内周面を膨出されることが好適である。膨出した内面ABでのクリアランスは、インペラがロックしない程度に最小限に留めることが可能であり、ベアリングの摩耗を考慮する必要はない。
【0013】
本願に記載された他の一つの燃料ポンプは、吐出口を含む側の略半周のポンプケーシング内周面が、吸入口を含む側の反対側の略半周のポンプケーシング内周面よりも、インペラ側に突出しており、吐出口を含む側の略半周でクリアランスが小さく、反対側の略半周でクリアランスが大きい。
【0014】
図9(b)に示すように、長期間使用しているうちに、インペラの中心がXからYまで移動する場合、吐出口を含む側の略半周、図9(b)に例示する場合、CからDにかけてハッチングで示す略半周では、インペラがロックしない程度の最小限のクリアランスにまで詰めることが可能であり、そう詰めてもポンプ寿命は短縮されない。ポンプ寿命が短縮されないようにしながらポンプ効率を高めることができる。
【0015】
図9(c)は、長期間使用しているうちにインペラの中心がXからYまで変位する間、インペラに接触しないようにクリアランスを詰めることができる最大範囲を示しており、流路溝内圧力が高い半周領域C1で詰められるのみならず、インペラの変位方向がポンプケーシング内周面にほぼ平行な領域C2,C3でもクリアランスを詰められることがわかる。ここでいう略半周には、最大限、図9(c)のハッチで示される領域までを含む。
【0016】
ポンプケーシング内周面を円周面に維持しながら、流路溝内圧力が高い領域でクリアランスを相対的に小さくし、流路溝内圧力が低い領域で相対的に大きくすることができる。
この場合、インペラの回転中心をポンプケーシング内周面の円周の中心からオフセットする。
【0017】
図9(d)に示すように、インペラに方位Fの力が作用して、燃料ポンプの有効寿命の間にインペラ中心がXからY(その距離L)まで変位するとする。その場合、ポンプケーシング内周面が、XからY方向に距離L/2だけオフセットした位置(つまりXとYの中点)を中心とする、インペラの半径rにL/2を加えた半径を持つ円周面100であれば、燃料ポンプの有効寿命の間にインペラ外周面とポンプケーシング内周面が干渉することがない。円周面101は、従来のポンプで必要とされた円周面(Xを中心とする半径r+Lの円)であり、オフセットさせることによってポンプケーシング内周面を小径化することができる。
この場合、円周面に仕上られたポンプケーシング内周面に対してインペラの回転中心をオフセットさせても良く、あるいは、インペラの回転中心からオフセットした点を中心にしてポンプケーシング内周を円周面に仕上げてもよい。
【0018】
ポンプケーシングは、ポンプボディとポンプカバーを組み合わせて構成することが好適である。この場合、ポンプケーシング内周面を形成する周壁を、吸入口を持つポンプボディに形成してもよいし、吐出口を持つポンプカバーに形成してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
実施の形態1について図面を参照して説明する。実施の形態1は、自動車用の燃料ポンプを示すもので、自動車のエンジンヘ燃料を供給するために利用されるものである。
【0020】
燃料ポンプの断面図を示した図1において、燃料ポンプは、ポンプ部1と、そのポンプ部1を駆動するモータ部2とから構成されている。モータ部2は、ブラシ付きの直流モータであり、ほぼ円筒形状のポンプハウジング4内にマグネット5を配置し、このマグネット5と同心状に回転子6を配置している。
【0021】
回転子6のシャフト7の下部は、ポンプハウジング4の下端部に取り付けられたポンプカバー9にベアリング10を介して回転可能に支持されている。また、シャフト7の上端部は、ポンプハウジング4の上端部に取り付けられたモータカバー12にベアリング13を介して回転可能に支持されている。
【0022】
モータ部2は、モータカバー12に設けられた端子(図示省略)を介して回転子6のコイル(図示省略)に通電することにより、その回転子6を回転させる。なお、このようなモータ部2の構成は周知であるから、詳しい説明は省略する。また、モータ部2としては、図示した以外の他の形式のものも利用することができる。
【0023】
モータ部2により駆動されるポンプ部1の構成を説明する。ポンプ部1は、ポンプカバー9と、ポンプボディ15およびインペラ16から構成されている。ポンプカバー9とポンプボディ15は、例えばアルミのダイカスト成形により形成されており、両者が組み合わされることによって、内部にインペラ16を収容するポンプケーシング17が構成される。
【0024】
インペラ16は樹脂成形により形成され、図4に示すように略円板状であり、その表裏両面の外周に沿った領域に複数の羽根溝16aが連続して形成されている。インペラ16の中心には、ほぼD字形の係合孔16bが形成されている。係合孔16bに、シャフト7の下端部の断面D字形の係合軸部7aが係合している。これにより、インペラ16がシャフト7に対し追従回転可能で軸方向にわずかに移動可能に連結されている。インペラ16の側面16cは、円周面となっている。
【0025】
図2に図1のII-II線方向から見たポンプカバー9のインペラ16側の端面図、図3にポンプカバー9の断面図がそれぞれ示されている。ポンプカバー9には、インペラ16の羽根溝16aとの間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部21と、その凹部21の下流端(インペラ16は矢印Rの方向に回転する)に連通する吐出口24と、周壁9bとを有する。吐出口24は、図1に示すようにポンプカバー9を貫通してモータ部2の内部空間2aに連通している。周壁9bの内周面9cは、インペラ16の外周面16cにクリアランスを隔てて向い合う。内周面9cは、インペラ16の回転方向Rに沿って、凹部21の上流端22から下流端の吐出口24に至る範囲に伸びている第1円周面9c1と、インペラ16の回転方向Rに沿って、吐出口24から凹部21の上流端22に至る範囲に伸びている第2円周面9c2で構成されている。第1円周面9c1の半径は第2円周面9c2の半径よりも大きい。第2円周面9c2は、第1円周面9c1よりもインペラ側に膨出している。
【0026】
図1に示すように、ポンプボディ15は、ポンプカバー9に重ねた状態でポンプハウジング4の下端部にかしめ付け等により固定されている。このポンプボディ15の中心部にスラストベアリング18が固定されている。スラストベアリング18によって、シャフト7のスラスト荷重が受けられる。ポンプカバー9とポンプボディ15とによりポンプケーシング17が構成されている。そのポンプケーシング17の内部にインペラ16が回転可能にかつ軸方向にわずかに移動可能に収納されている。ポンプボディ15の内面には、インペラ16の羽根溝16aとの間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部20と、凹部20の上流端に連通する吸入口22が形成されている。
【0027】
ポンプカバー9の周方向に伸びる凹部21と、ポンプボディ15の周方向に伸びる凹部20は、インペラ16の回転方向Rに沿って、ポンプボディ15側の吸入口22に対応する位置から、ポンプカバー9側の吐出口24に対応する位置まで伸びており、吸入口22から周方向に伸びて吐出口24に至る流路溝を形成する。インペラがR方向に回転すると、燃料は吸入口22から流路溝に吸入され、流路溝内を吸入口22から吐出口24側に流れ、その間に昇圧され、昇圧された燃料が吐出口24からモータ部2に送り出される。インペラ16の回転方向Rに沿って、ポンプカバー9側の吐出口24に対応する位置からポンプボディ15側の吸入口22に対応するまでは凹部21、20が形成されておらず、昇圧された燃料が吸入口22側に戻ることを極力防止している。なお、モータ部2に送り出された高圧燃料は、吐出口28からポンプ外に送り出される。
【0028】
図5に、インペラ16がポンプカバー9に収容された状態の端面図を示す。前記したように、インペラ16の回転方向Rに沿って吸入口22から吐出口24に至る範囲に伸びている第1円周面9c1に対して、インペラ16の回転方向Rに沿って吐出口24から吸入口22に至る範囲に伸びている第2円周面9c2は、インペラ側に膨出している。このために、インペラ外周16cと、ポンプケーシングの内周面9c間のクリアランスは、インペラ16の回転方向Rに沿って吸入口22から吐出口24に至る範囲で相対的に大きく、インペラ16の回転方向Rに沿って吐出口24から吸入口22に至る範囲で相対的に小さい。後者のクリアランスは、インペラがロックしない程度の最小限の距離に設定されている。前記したように、燃料ポンプを長時間使用すると、ベアリングが摩耗してインペラ中心が変位する可能性がある。しかしながら、本発明者らの研究によって、ベアリングの摩耗方向が限定されており、インペラ16の回転方向Rに沿って吐出口24から吸入口22に至る範囲の周壁に向けて摩耗することがないことが確認されており、変位すればロックしてしまう程小さなクリアランスに設定しておいても、インペラ16の外周面16cがインペラ側に膨出した内周面9c2に接触することがない。
この場合、インペラ16の回転方向Rに沿って吐出口24から吸入口22に至る範囲において、インペラ16の外周面16cとポンプハウジングの内周面9c2間のクリアランスが詰められており、昇圧した燃料が吸入口22側に漏れ出る量が最少量に抑制されており、ポンプ効率が向上している。
【0029】
[実施の形態2]
実施の形態2について図6を参照して説明する。実施の形態2は、実施の形態1の一部を変更したものであるからその変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
図6は本実施形態に係るポンプカバー9の内周面形状を示す端面図である。実施の形態2では、図6に示されるように、吐出口を含む側の略半周(矢印61で示す)のポンプケーシング内周面が、吸入口を含む側の反対側の略半周のポンプケーシング内周面よりも、インペラ側に突出している。吐出口24側の略半周の領域では燃料からの圧力が大きく、そちら側にインペラが変位する可能性はないのでクリアランスが詰められている。インペラ16がロックしない程度の最小限のクリアランスに詰められている。反対側の略半周では、インペラ16がポンプカバー9の内周面に接近する側に変位する可能性があるのに備えてクリアランスに余裕が確保されており、長期に使用してインペラ16が変位しても、インペラ16がポンプカバー9の内周面に接触しないようにしている。
【0030】
[実施の形態3]
実施の形態3について図7を参照して説明する。実施の形態3についても、実施の形態1の一部を変更したものであるからその変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
図7は本実施形態に係るポンプカバー9の内周面形状を示す端面図である。本実施形態においては、ポンプカバー9の内周面形状9fは完全な円周であり、その中心は9gである。
図中のFは、圧力のアンバランスによってインペラが受ける力の方向である。図中のLは、燃料ポンプのメーカ保証寿命の間にベアリングが摩耗してインペラ16が変位する距離である。
この場合、製造時には、ポンプカバー9の内周面9fの中心9gに対して、反F方向に、L/2だけオフセットした位置16hにベアリング中心を設ける。
【0031】
この場合、長時間使用しているうちに、ベアリングが摩耗するために、インペラの回転中心は16hから9gを経て16kに移動していく。この間において、インペラ外周面がポンプカバー9の内周面9fに当接することがない。
本実施形態では、ポンプカバー9の内周面9fの中心9gからインペラ16が移動する方向と逆方向に、つまり吐出口24側にL/2だけオフセットしてベアリングをセットする穴をダイカスト成形したが、逆に、インペラ16のベアリング中心からインペラの移動方向にL/2だけオフセットした点を中心とする円周面に一致するようにポンプカバー9の内周面9fをダイカスト成形してもよい。両者は等価である。
【0032】
従来の技術では、ポンプカバー9の内周面9fの半径をインペラ半径にLを加えた値とする必要があった。第3実施例によると、ポンプカバー9の内周面9fの半径を従来に比してL/2だけ小さくすることができ、それだけインペラ外周とポンプケーシング内周面との間のクリアランスを詰めることができ、ポンプ効率が向上する。
【0033】
なお、ここに例示した実施の形態以外にも、流路溝21が連通する吸入口22と吐出口24口間の流路溝のない部分におけるポンプカバー9における凹部の周囲内壁、かつ、流路溝21が連通する吐出口24側半分における凹部の周囲内壁が膨出している、いわゆる実施の形態1と実施の形態2を合わせ持った形状とすることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0034】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、自動車の燃料ポンプに限定されず、水等の種々の流体を圧送するポンプとして広く適用できる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0035】
【発明の効果】
本発明の燃料ポンプによれば、流路溝内圧力が低い領域では、摩耗分を見込んだ大きなクリアランスが確保されていることから、ベアリングが摩耗してインペラの回転中心がずれても、インペラ外周面とポンプケーシング内周面は接触しない。この燃料ポンプの使用寿命は従来と同様に長い。一方、流路溝内圧力が高い領域では、摩耗分を見込む必要がないために、クリアランスが小さく設定されている。従来のクリアランスよりも小さく設定されている。この結果、圧力の高い領域で流路溝から漏れ出る燃料量が低減され、ポンプ効率が高められる。
本発明の燃料ポンプによると、使用寿命を短縮することなく、ポンプ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る燃料ポンプの断面図である。
【図2】実施の形態1に係るポンプカバーの端面図である。
【図3】ポンプカバーの断面図である。
【図4】インペラの端面図である。
【図5】実施の形態1に係るポンプカバーにインペラが収容された端面図である。
【図6】実施の形態2に係るポンプカバーの端面図である。
【図7】実施の形態3に係るポンプカバーの端面図である。
【図8】インペラとポンプカバーの凹部の周囲内壁との間にかかる流体からの圧力分布の模式図である。
【図9】運転時のインペラの移動と、各実施形態に係るポンプカバーの凹部の周囲内壁形状の関係の模式図である。
【符号の説明】
9 ポンプカバー
15 ポンプボディ
16 インペラ
17 ポンプケーシング
16a 羽根溝
20 流路
21 流路溝
22 吸入口
24 吐出口
Claims (3)
- 略円板状であり、表裏両面の外周に沿った領域に複数の羽根溝が連続して形成され、外周が円周面であり、駆動手段によって回転させられるインペラと、
前記インペラの羽根溝との間で周方向に伸びる流路溝を形成する周方向に伸びる凹部と、その凹部の上流端に連通する吸入口と、その凹部の下流端に連通する吐出口と、そのインペラの外周面に対向して伸びる内周面を形成する周壁とを有するポンプケーシングを備え、
インペラの回転中心が、円周に沿って伸びるポンプケーシング内周面の中心に対して、燃料の圧力によってインペラに働く力の方向と逆向きにオフセットされており、
インペラ外周面とポンプケーシング内周面間のクリアランスが、流路溝内圧力が高い領域で相対的に小さく、流路溝内圧力が低い領域で相対的に大きいことを特徴とする燃料ポンプ。 - ポンプケーシングが、吸入口と周壁を持つポンプボディと、吐出口を持つポンプカバーが組み合わさって構成されていることを特徴とする請求項1の燃料ポンプ。
- ポンプケーシングが、吸入口を持つポンプボディと、吐出口と周壁を持つポンプカバーが組み合わさって構成されていることを特徴とする請求項1の燃料ポンプ。
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