JP3948775B2 - 波長変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおいて使用される波長変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信における回線容量の増加等を目的として、波長の異なる複数の光を多重化して伝送する波長多重(WDM)通信が研究されている。このような波長多重通信においては、複数の入力信号(光信号)の多重化を行うために光の波長を変換する必要がある。
【0003】
従来、光の波長を変換する波長変換素子としては、半導体光増幅器を用いるもの、四光波混合を利用するもの、過飽和吸収領域を備えた半導体レーザを利用するもの等が提案されていた。しかしながら、これらの波長変換素子では光通信システムにおいて求められる高効率、高速、広帯域、低ノイズ、偏波無依存等の条件を満足させることができなかった。
【0004】
そこで、本発明の発明者らは、光導波路を利用して2次の非線形光学効果の一種である疑似位相整合による差周波発生(DFG)を使うことを考え、先の特許出願(特願平6−175265)及び以下の論文
[1]C.Q.Xu, et.a1. App1.Phys.Lett. 63, 1170(1993)
[2]徐長青、他 信学技報 OCS95-3, P‐17(1995)
において波長多重(Wavelength division multiplexing:WDM)通信システムのキーデバイスとして波長変換素子を利用することを提案している。
【0005】
ここで用いられている波長変換素子では、LiNbO3 に周期的分極反転構造が形成され、この分極反転構造を基本波光が伝播するように光導波路が形成されている。これらの文献では、このような構成の波長変換素子を用いてDFGにより、1.53μmから1.55μmの光へと光交換を実現した例を報告している。このような構成の波長変換素子によれば、超高速、広帯域(140nm以上)、低ノイズ(量子雑音以下)、多チャンネル間の交換が可能、高変換効率(4mWのポンプ光を使って−30dB)等の条件を満足させることが可能となっている。これにより、偏波無依存についての課題が残されているが、DFGによる波長変換技術を光通信システムに取り込むことの有効性が示されている。
【0006】
また、この他にも同様の提案が以下の文献に示されている。
【0007】
[3]S.J.B.Yoo, et.a1. App1.Phys.Lett. 63, 2609(1996)
この文献では、GaAs基板を用い、この基盤に他のGaAs基板を結晶の直接接着法により面方位が反対の方向となるように接着し、接着したGaAs基板をフォトリソグラフィーにより周期的に除去して面方位が反対となったパターンを形成し、このパターン上に有機金属気相成長法で周期的分極反転構造を形成して波長変換素子としている。結晶の面方位を反対の方向に形成することで分極の方向も反対の方向となるので、接着した2枚のGaAs結晶基板を用いて分極反転構造を形成している。このように構成された波長変換素子では、超高速、広帯域、低ノイズ、多チャンネル間の交換が可能、高変換効率という特性に加えて、偏波無依存を実現している。
【0008】
上述の文献[1][2][3]によるいずれの提案も光通信システムにおいて交換機能の部分に波長変換技術を利用しようとするものである。このように波長変換技術を利用することにより、電子素子では実現できない超高速、広帯域、低ノイズ、多チャンネル間の交換が可能、高変換効率を実現することができる。
【0009】
ところで、2次の非線形光学効果を利用した波長変換技術には2次高調波発生(SHG)、和周波発生(SFG)、差周波発生(DFG)がある。このような技術のうちで光導波路を用いた素子が使われた代表的な例として、以下の文献に示されたものがある。
【0010】
[4]K.Yamamoto, et.a1. App1.Phys.Lett. 58, 1227(1991)
[5]F.Lauren, et.a1. App1.Phys.Lett. 62, 1872(1993)
文献[4]には、光導波路を用いて、チェレンコフ放射スキームにより位相整合を実現し、SHG、SFGにより波長変換を行った例が報告されている。この文献に示されている方法では、半導体レーザの波長の不安定性をチェレンコフ放射角の変化で吸収できるので位相整合が常に実現できるが、変換された光の放射方向はレーザ波長のゆらぎに従って常に変化することになる。また、半導体レーザの発振スペクトルの広がり、多モード性はそのまま変換光のスペクトルの広がりとして反映される。
【0011】
光通信システムでは基本波光と共に変換光のスペクトルも十分に狭い必要があるので、この文献に示されている方法を光通信システムに用いることはできない。また、基本波光の波長のゆらぎが変換光の放射方向の変換となって現れるという特性も応用上極めて不都合である。
【0012】
文献[5]では、文献[4]と同様に光導波路を用いて波長変換を実現しているが、文献[4]と異なり疑似位相整合と呼ばれる方法で位相整合を実現しているので、変換光の放射方向が変化することはないが、基本波光の波長ゆらぎにより変換効率そのものが変動するという問題がある。また、文献[4]と同様に基本波のスペクトルの広さがそのまま変換光のスペクトルの広がりに反映される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
波長多重を行う光交換装置に波長変換技術を適用するためには、光のスペクトル幅が、例えば5MHz以下程度に十分に狭いことが必要である。しかしながら、上述のいずれの光変換素子も、変換光のスペクトルが十分狭くないため、そのままでは光通信システムに用いることはできない。
【0014】
例えば、上述の文献[3]に示されている波長変換素子は、一般に、ファブリ・ペロ型のレーザダイオード(LD)の光共振器内で用いられ、このファブリ・ペロ型のLDの発振光のスペクトルが一般に多モードであるため、この点が解決できない。また、文献[4]に示されている波長変換素子でも各モードの半値幅は比較的狭いがTi:サファイヤレーザが多モードであることから、スペクトル幅が十分に小さくはなく、光交換システムにそのまま適用することができない。また、Ti:サファイヤレーザ装置そのものが大きく光交換システムに適用することが困難である。
【0015】
本発明は、変換光のスペクトルの幅を小さくすることができ、また、装置そのものを小型化することができる波長変換装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る波長変換装置は、基本波光を発生する半導体レーザと、上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光に基づいて変換光を発生し、出力する波長変換手段と、上記外部からの信号光を上記波長変換手段に入射させるバンドパスフィルタと、上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限し、所定の波長の光のみを選択的に帰還させる波長選択手段とを備え、
上記波長選択手段は、上記半導体レーザと上記波長変換手段の間に配置されており、
上記半導体レーザは、上記波長選択素子に面していない側の端部に第1反射面を有し、上記波長選択手段は、上記波長変換手段側の端部に第2反射面を有し、上記第1反射面と上記第2反射面とによって光共振器が構成され、
上記波長選択手段によって上記半導体レーザに帰還した光により発振した光は、上記基本波光となることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る他の波長変換装置は、光路の一端に高反射コーティングを有し、該高反射コーティングの反対側の出力端面から発生した基本波光を出力する半導体レーザと、
疑似位相整合手段(以下、QPM手段という。)と、上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限する分布帰還手段(以下、DBR手段という。)とを有し、上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光が入力され、上記基本波光と上記信号光とから変換光を発生する波長変換手段と、上記外部からの信号光を上記波長変換手段に入射させる信号光入射手段とを備え、
上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記出力端面並びに上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記波長変換手段の上記DBR手段のそれぞれが、光共振器を構成し、
上記DBR手段は、上記信号光の入力側に配置されており、
上記信号光入射手段は、上記DBR手段に上記信号光を入射させる光ファイバ又は上記DBR手段に上記信号光を入射させるバンドパスフィルタを含み、
上記QPM手段は、上記波長変換手段の上記変換光の出力側に配置されており、
上記半導体レーザの出力端面の反射率をr、
上記波長変換手段の両端面の反射率をr’、r”、
上記DBR手段からの帰還率をrとし、
r’,r”<<r
r<<r
r’,r”<<r
なる関係を満たすように各端面の反射率が設定されている。
さらに、本発明に係る他の波長変換装置は、光路の一端に高反射コーティングを有し、該高反射コーティングの反対側の出力端面から発生した基本波光を出力する半導体レーザと、疑似位相整合手段(以下、QPM手段という。)を有し、上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光が入力され、上記基本波光と上記信号光とから変換光を発生する波長変換手段と、上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限する分布帰還手段(以下、DBR手段という。)を、その光出射端側に有し、上記外部からの信号光を伝播させて上記波長変換手段に入射させる光ファイバと、上記波長変換手段からの変換光を、上記半導体レーザからの基本波光と異なる方向に出力させるバンドパスフィルタとを備え、
上記波長変換手段の上記QPM手段は、上記半導体レーザと上記光ファイバの間に配置されており、
上記バンドパスフィルタは、上記半導体レーザと上記QPM手段の間に配置されており、
上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記出力端面並びに上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記光ファイバの上記DBR手段のそれぞれが、光共振器を構成し、
上記半導体レーザの出力端面の反射率をr、
上記波長変換手段の両端面の反射率をr’、r”、
上記DBR手段からの帰還率をrとし、
r’,r”<<r
r<<r
r’,r”<<r
なる関係を満たすように各端面の反射率が設定されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態に係る波長変換装置の構成を示すブロック図である。この波長変換装置は、同図中に示すように、入射された複数の光の波長に基づいて波長変換を行う波長変換素子1と、この波長変換素子1のポンプ光(基本波光)となる光を発生する半導体レーザ2と、波長変換素子1と半導体レーザ2の間に配置された波長選択素子4とを備えている。
【0019】
半導体レーザ2は、例えばファブリ・ペロ型の半導体レーザからなり、その光導波路の一端(波長選択素子4に面していない方)に反射面2aを備えている。また、波長選択素子4は光路の波長変換素子1側に反射面を有しており、この反射面と半導体レーザ2の反射面2aとにより光共振器が構成されている。
【0020】
この波長選択素子4は、半導体レーザ2に波長選択素子4からの特定の波長の光のみが選択的にフィードバックされるように構成されている。このフィードバックされる光のスペクトルの半値幅は波長選択素子4の選択特性を適当に選択することによりWDMシステム等の光通信において求められている所定の幅、例えば5MHz程度以下とされている。このように帯域制限され、半導体レーザ2にフィードバックされた光により発振したレーザ光は、ポンプ光として波長変換素子1に供給される。
【0021】
また、この波長変換装置では、光ファイバを介して入射された信号光は、以下のいずれかの方法により波長変換素子1に入射される。第1の方法では、半導体レーザ2と波長選択素子4との間にバンドパスフィルタ(BPF)3aを挿入して図1の下方向(光ファイバ6a)から信号光を入射させる。第2の方法では、波長選択素子4と波長変換素子1との間にバンドパスフィルタ(BPF)3bを挿入して図1の下方向(光ファイバ6b)から信号光を入射させる。いずれの方法により信号光を入射させるかは、波長変換素子1、波長選択素子4あるいはBPF等の構成に応じて選択する。
【0022】
また、波長変換素子1は、半導体レーザ2からのポンプ光と信号光の波長に基づく変換光を発生し、この変換光を出力する。この波長変換素子は、例えばDFG(差周波発生)、SFG(和周波発生)等を行う素子から構成されている。
【0023】
このように構成された波長変換装置では、上述のように半導体レーザ2の端面2aと波長選択素子4で光共振器が形成される。半導体レーザ2の光導波路中で発生した光は端面2a又は波長選択素子4で反射され、レーザ発振が起こる。このレーザ発振の発振波長は波長選択素子4で選択される波長となる。
【0024】
この発振は、例えば波長選択素子4がブラッグ反射器であるとすると原理的にブラッグ帰還型半導体レーザと同じであり、その発振波長は単色性に優れ(発振波長のスペクトルが単一モードであり、半値幅が狭い)、かつ安定した発振状態が得られる。
【0025】
ここで、波長選択素子4によって半導体レーザ2に帰還される帰還光のスペクトルについて検討する。ブラッグ反射器を構成するブラッグ回折格子の反射率Rは次式で与えられる。
【0026】
【数1】
Figure 0003948775
ここで、
【数2】
Figure 0003948775
である。また、κ:結合係数、α:吸収係数、L:ブラッグ反射器の全長、N(λ):ブラッグ領域の屈折率、ΛB :ブラッグ反射器の周期、q:ブラッグ回折次数である。
【0027】
ここで、LiNbO3 の代表的な値として、κ=5.0×10-4μm-1、α=0.5dB/cm、L=4mm、q=17と仮定するとブラッグ反射スペクトルの半値幅は、ほぼ0.1nmとなる。
【0028】
一方、半導体レーザ2の縦モード間隔は、半導体レーザ2の共振器長が350μmで波長0.78μmである場合、ほぼ0.3nmであるから、ブラッグ反射領域の長さLを上述の値(=4mm)より長めに設定すれば、この波長変換装置を光通信システムに用いることができることになる。
【0029】
以上、概略の計算を行ったが、実際の設計では、(1)式を用いてブラッグ反射スペクトルの半値幅を計算し、ポンプ光として用いる半導体レーザの縦モード間隔以下となるようにDBR領域(ブラッグ反射器)を設計すればよい。
【0030】
上述のように波長が制限された帰還光により発振した半導体レーザ2からのポンプ光と光ファイバ3からの信号光が共に波長変換素子1に入射すると、これらの光の波長に基づいて変換光が発生する。この波長変換素子1は、例えば周期的分極反転構造による疑似位相整合(QPM)素子を使うのが便利である。この周期的分極反転構造の周期Λは、以下の疑似位相整合条件を満たすように設定されている。 k3−k2−k1=2π/Λ (2)
ここで、k3、k2、k1は、それぞれポンプ光、信号光、変換光の波数である。
【0031】
この波長変換素子1として、例えば上述のDFG素子を用いた場合には変換光として入射するポンプ光と信号光の差の周波数の光が発生し、SFG素子を用いた場合には、ポンプ光と信号光の和の周波数の光が発生する。
【0032】
DFG素子を用いた場合、ポンプ光、信号光、変換光の波長をそれぞれλ3、λ2、λ1とするとこれらの波長の間の関係はエネルギー保存則から以下のようになる。
1/λ1=1/λ3−1/λ2 (3)
同様に、SFG素子を用いた場合には、
1/λ1=1/λ3+1/λ2 (4)
となる。
【0033】
上述のような波長変換装置を光通信システム中で用い、信号光として送信データ等に応じて変調された信号光を供給することにより、信号光の波長の変換を行って波長交換を実現することができる。
【0034】
ところで、強度、波長が共に安定した変換光を得るためには、ポンプ光の波長が安定していることが必要である。上述の波長変換装置では、半導体レーザ2にフィードバックされる光の波長を波長選択素子4により制限(選択)しているために、半導体レーザ2の発振波長は波長選択素子4により選択される波長となり、ファブリ・ペロ型の半導体レーザが有する発振波長の不安定さを低減させることができ、半導体レーザ2において発生するポンプ光の波長を安定させることができる。
【0035】
また、波長変換素子1の位相整合条件は、ポンプ光と信号光の波長によって決まるため、この位相整合条件が安定的に満たされるためには、ポンプ光、信号光の波長が安定していることが要求される。
【0036】
光通信においては、信号光は一般的に、分布帰還型レーザ(DFBレーザ)あるいはブラッグ帰還型レーザ(DBRレーザ)によって発生されているので本来的に波長が安定化されている。
【0037】
しかしながら、一般にポンプ光の発生にはファブリ・ペロ型の半導体レーザが使われることが多く、波長の安定度が低い。ポンプ光もファブリ・ペロ型の半導体レーザを使わず、波長の安定した上述のDBRレーザ、DBRレーザを用いればよいことになるが、信号光、ポンプ光の波長を共に確定してしまうと波長変換素子の位相整合条件も確定してしまい、波長変換装置を構成する際の自由度が全く無くなってしまうため技術的に困難になる。このため、波長変換装置を構成する段階では、ポンプ光の波長に調整のためのマージンを確保しておくことが好ましく、ポンプ光の発生にはファブリ・ペロ型の半導体レーザが使われることが多い。
【0038】
動作時には、上述のようにポンプ光の波長も安定していることが要求される。上述の波長変換装置では、上述のように、波長選択素子4により半導体レーザ2にフィードバックされる光を制限しているため、半導体レーザ2としてファブリ・ペロ型の半導体レーザを用いてもポンプ光の波長を安定させることができる。このため、信号光とポンプ光の波長で決まる波長変換素子1の位相整合条件が安定的に満たされるので、変換光の強度、波長を共に安定させることができる。
【0039】
第2の実施形態
上述の第1の実施形態では、波長選択素子4が波長変換素子1と半導体レーザ2の間に配置されていたが、波長選択素子4として用いる素子によっては、図2に示す第2の実施形態に係る波長変換装置のように、波長変換素子1を半導体レーザ2と波長選択素子4の間に配置することができる。
【0040】
この波長変換装置では、波長選択素子4の波長変換素子1から遠い方の面に反射面が形成されている。この反射面と半導体レーザ2の反射面2aとで光共振器が構成されている。
【0041】
また、この波長変換装置では、光ファイバを介して入射された信号光は、以下のいずれかの方法により波長変換素子1に入射される。
【0042】
第1の方法では、半導体レーザ2と波長変換素子1との間にバンドパスフィルタ(BPF)13aを挿入して図2の下方向(光ファイバ16a)から信号光を入射させる。第2の方法では、波長変換素子1と波長選択素子4との間にバンドパスフィルタ(BPF)13bを挿入して図2の下方向(光ファイバ16b)から信号光を入射させる。第3の方法では、波長選択素子4に対して図2の右(光ファイバ16c)から信号光を入射させる。いずれの方法により信号光を入射させるかは、波長変換素子1、波長選択素子4あるいはBPF等の構成に応じて選択する。
【0043】
このように構成された波長変換装置は、上述の第1の実施形態に係る波長変換装置と同様に動作し、第1の実施形態と同様に、波長選択素子4により半導体レーザ2にフィードバックされる光の波長を制限しているために、ポンプ光の波長を安定化させ、変換光の強度、波長を共に安定させることができる。
【0044】
なお、第1及び第2の実施形態における波長変換装置に対する信号光の入射方法は、実際の光通信システムの設計に応じていずれかを選択する。
【0045】
第3の実施形態
図3は本発明の第3の実施形態に係る波長変換装置の構成を示している。この波長変換装置は、同図中に示すように、ポンプ光を発生する半導体レーザ22と、半導体レーザ22からのポンプ光を透過させるバンドパスフィルタ23と、疑似位相整合部分(QPM部分)24cとブラッグ反射部分(DBR部分)24dとが一体に形成された波長変換素子24と、光ファイバ26からの信号光を波長変換素子24に伝播させると共に、波長変換素子24からの光を光ファイバ26に伝播させない光アイソレータ25とを備えている。
【0046】
半導体レーザ22の一方の端面(波長変換素子24に臨む端面の反対側の端面)には高反射コーティング部(100%反射が望ましい)22aが形成されている。
【0047】
また、この反射面22aと反対側の半導体レーザ22の出力端面22bの反射率をr、波長変換素子の端面24a及び24bの反射率をr’、r”、DBR部分24cからの帰還率をrD とすると、
r’、r” << rD
r << rD (5)
r’、r” < r
なる関係を満たすように、コーティング等の表面処理を選択することによって各端面22b、24a、24bの反射率が設定されており、半導体レーザ22の低反射側22bから発振光(ポンプ光)を出力する構成となっている。
【0048】
半導体レーザ22の低反射側22bから出力されたポンプ光は、バンドパスフィルタ23を介して波長変換素子24に入射する。この波長変換素子24のポンプ光の入力側には周期的分極反転構造からなるQPM部分24cが形成されており、反対側には、周期的屈折率分布からなる分布帰還構造部分(DBR)が形成されている。このような構成では、図3中に示すように、共に左向き方向に伝播するポンプ光(波数ベクトルkp)と信号光(波数ベクトルks)の間で位相整合が取られる。従って、ポンプ光を反射するDBR部分の反射率を十分に大きくしてポンプ光の強度を保つ必要がある。
【0049】
この波長変換装置では、光ファイバ26からの信号光(例えば波長1.55μm)は、光アイソレータ25を介して半導体レーザ22からのポンプ光(例えば波長0.78μm)とは反対側から波長変換素子24に入射する構成とされている。これは、上述の図2に示す第2の実施形態における第3の方法に相当する。
【0050】
このように構成された波長変換装置では、波長変換素子24のDBR部分24dと半導体レーザ22の高反射コーティング部22aより光共振器が構成される。従って、DBR部分24dにより反射される光の波長が制限され、レーザの発振波長が制限されて単一波長モードで発振する。すなわち、波長変換素子24のDBR部分24dにより反射される光の波長はDBR部分24dの屈折率の周期構造の周期によって決まるため、半導体レーザ22はこの屈折率の周期構造の周期(ブラッグ条件という。)によって決まる波長で発振する。
【0051】
半導体レーザ22からのポンプ光(具体的には、さらにDBR部分24dで反射されたポンプ光)と光ファイバ26からの信号光が波長変換素子24に入射されると、QPM部分24cでこれらの光の波長に基づく波長の光(例えばこれらの光の波長の差の周波数の光)が発生する。このように発生した変換光は、バンドパスフィルタ23において、波長に対して選択的に反射され、外部に取り出される。これにより、信号光(波長1.55μm)及び変換光(波長1.57μm)が図3中の下方向に出力される。
【0052】
ここで、半導体レーザ22の発振動作をさらに詳しく説明する。
図3に示す波長変換装置全体をレーザ発振器と考えると、半導体レーザ22の活性領域を挟んで複数の共振器構造が構成されていると考えることができる。
【0053】
すなわち、半導体レーザ22の高反射コーティング部22aと端面22bにより構成される共振器(第1の共振器、この共振器が半導体レーザ22のみをファブリ・ペロ型レーザと見た場合の共振器に相当する)、半導体レーザ22の高反射コーティング部22aと波長変換素子24の端面24aにより構成される共振器(第2の共振器)、半導体レーザの高反射コーティング部22aとDBR部分24dで構成される共振器(第3の共振器)、半導体レーザの高反射コーティング部22aと端面24bにより構成される共振器(第4の共振器)が考えられる。この他にも共振構造と見なせる部分はあるが、これらは上述の第1〜第4の共振器に比較してレーザ発振に対する寄与が少なく、無視することができる。
【0054】
この実施形態においては、半導体レーザ22を通常のキャビティ長350μmの半導体レーザとしているので、第1の共振器の発振モード間隔は当然に通常のキャビティ長350μmの半導体レーザ22のモード間隔に等しく0.3nm程度、第2及び第4の共振器の発振モード間隔はこれより約数百分の1程度以下の極めて狭い間隔である。一方、第3の共振器の発振モードはDBR部分24dの屈折率周期で決まる高反射条件に相当する波長に対応し、これは100nm程度の間隔で存在する。
【0055】
そこで、半導体レーザ22の高反射コーティング部22aの反射率をほぼ100%として、半導体レーザの出力端面22bの反射率をr、波長変換素子24の端面24a及び24bの反射率をr’、r”、DBR部分24dからの帰還率をrD とした場合、
r’、r” << rD
r << rD (5)
r’、r” < r
なる関係を満たすようにコーティングがされていれば、第2の共振器による発振モードが選択されることはまずなく、第1及び第3の共振器によって決まるモードが選択される。具体的には、第1共振器の0.3nm間隔のモードのうち第3の共振器のDBR部分24dからの帰還光の波長に最も近いモードが選択されることになる。
【0056】
DBR部分24dからの帰還光のうち発振光の波長となり得るのは、モード間隔が100nm程度あり、(レーザダイオード22の)活性領域の利得の幅が100nm程度であることからただ1つの波長に限られる。またDBR部分24dからの帰還光のスペクトル半値幅が上述のように0.1nm程度であるので、これより広いモード間隔をもつ第1共振器のモードは問題なく1つに選択できる。この選択されたモードのスペクトル半値幅は通常のキャビティ長350μmの半導体レーザの半値幅に等しく、これは一般的に数MHz程度である。この半値幅は上述のような外部からの帰還がなくとも通常のファブリ・ペロモードで発振している半導体レーザにおいても変わらず、各モード一つ一つの半値幅はやはり数MHzである。この値は半導体レーザの活性領域に特別な利得のゆらぎ等を加えるといった特別な操作を加えない限りファブリ・ペロ型のレーザ固有の値となっている。
【0057】
一方、第2、第4の共振器のモード間隔は、第1の共振器のモード間隔に比べ数百分の1程であるので、DBR部分24dからの帰還光のスペクトル半値幅よりはるかに狭くなってDBR部分24dからの帰還光の半値幅の中に複数の発振可能モードが含まれることになり、DBR部分24dからの帰還光による発振モードの選択は安定的にはできないことになる。このため、この波長変換装置では、これら第2及び第4の共振器によるモードが支配的にならないように、波長変換素子の端面24a及び24bの反射率r’、r”を半導体レーザの出力端面22bの反射率r及びDBR部分24dからの帰還率rD に比べて十分に小さく構成している。
【0058】
ところで、この波長変換装置では、波長変換素子24がQPM部分24c及びDBR部分24dを一体化して形成されているので、十分な精度を持って疑似位相整合条件を満たすことができ、発振波長を確定させることができる。このため、システムを構成する際の作業を簡単化することができ、また、構成したシステムの経年変化を低減させることができる。
【0059】
また、この図3に示す波長変換装置では、変換光を取り出す方向(図3中のバンドパスフィルタ23の下方向)にポンプ光が全く混入しないことである。システムの設計上、ポンプ光が混入することが不都合である場合には、図3に示すような構成を取ることで解決する。
【0060】
ポンプ光の帰還効率を十分に大きく取るためには、DBR部分24dの反射率を十分に大きくする必要があり、さらに、この波長変換装置では、DBR部分24dからの帰還光が往復する途中に波長変換部分(QPM部分24c)があるのでこのQPM部分24cでのポンプ光の減衰をできるだけ小さくしなければならない。しかしながら、変換光の変換効率を高くすると、QPM部分24cにおけるポンプ光の減衰が大きくなるため、特に高効率の波長変換装置を構成する場合には、全体的な効率を考慮してポンプ光の帰還効率を設定する必要がある。
【0061】
上述のように、この第3の実施形態に係る波長変換装置では、ポンプ光を発生する半導体レーザ22に帰還される光をDBR部分24dによって帯域制限しているため、上述の第1及び第2の実施形態と同様に、半導体レーザ22の発振波長が極めて安定しており、また、ポンプ光のスペクトルの半値幅が極めて狭い。このため、波長変換素子24において発生される変換光の波長を安定させることができ、さらに変換光のスペクトルの半値幅を極めて狭いものとすることができる。このような波長変換装置をWDMシステム用いることにより、システムの性能の向上に寄与することができる。
【0062】
第4の実施形態
図4は、本発明の第4の実施形態に係る波長変換装置の構成を示している。この波長変換装置は、上述の図3に示す第3の実施形態と同様に、半導体レーザ32と、バンドパスフィルタ33と、QPM部分34cとDBR部分34dとが一体に形成された波長変換素子34と、バンドパスフィルタ33からの光を光ファイバ36に伝播させない光アイソレータ35とを備えている。
【0063】
半導体レーザ32の一方の端面(波長変換素子34に臨む端面の反対側の端面)には高反射コーティング部(100%反射が望ましい)32aが形成されている。
【0064】
また、半導体レーザ32、波長変換素子34の各々の端面は、半導体レーザ32の出力端面32bの反射率をr、波長変換素子の端面34a及び34bの反射率をr’、r”、DBR部分34dからの帰還率をrD とすると、
r’、r” << rD
r << rD (5)
r’、r” < r
なる関係を満たすようにコーティング等によって反射率が調整されており、半導体レーザ32の低反射側32bから発振光(ポンプ光)を出力する構成となっている。
【0065】
半導体レーザ32からのポンプ光は、バンドパスフィルタ33を通して波長変換素子34に入射する。この波長変換素子34には、上述の第3の実施形態とは逆に、ポンプ光の入射側に周期的屈折率分布からなる分布帰還構造(DBR)部分34dが形成されており、これと反対側に周期的分極反転構造からなる疑似位相整合(QPM)部分34cが形成されている。
【0066】
また、この波長変換装置では、第3の実施形態とは異なり、図4中の右方向に伝播するポンプ光(波数ベクトルkp)、信号光(波数ベクトルks)に対して位相整合が取られる。
【0067】
一方、信号光(ここでは波長1.55μm)は、光ファイバ36、光アイソレータ35を介してポンプ光(ここでは波長0.78μm)とは直角方向にバンドパスフィルタ33に入射し、このバンドパスフィルタ33により選択的に反射されて波長変換素子34に入射する構成とされている。これは第1の実施形態の第1の方法に相当する。
【0068】
このように構成された波長変換装置では、半導体レーザ32の高反射コーティング部32aと波長変換装置34のDBR部分34dにより光共振器が構成される。このDBR部分34dにより半導体レーザ32に帰還される光の波長は、上述のDBR部分34dの屈折率の周期的分布の周期(ブラッグ条件)によって決まる波長に制限される。これにより、半導体レーザ32は制限された波長(単一波長モード)で発振する。
【0069】
また、DBR部分34dを通過したポンプ光とバンドパスフィルタ33を介して波長変換素子34に入射した信号光がQPM部分34cに入射すると、このQPM部分34dにおいてポンプ光と信号光の差の周波の光(変換光)が発生する。この変換光は、図4中の波長変換素子34の右端から出力される。
【0070】
この波長変換装置は、上述の第3の実施形態と同様に半導体レーザ32に帰還される光の波長を制限しているため、半導体レーザ32により発生されるポンプ光の発振波長を安定させることができ、またポンプ光のスペクトルの半値幅を極めて狭くすることができる。従って、波長変換素子において発生する変換光の波長を安定させ、変換光のスペクトルの半値幅を極めて狭くすることができる。
【0071】
また、この波長変換装置では、上述の第3の実施形態と同様に、波長変換素子がQPM部分24d及びDBR部分24cとを一体化して形成されているので、十分な精度を持って疑似位相整合条件を満たすことができ、発振波長を確定させることができる。このため、システムを構成する際の作業を簡単化することができ、また、構成したシステムの経年変化を低減させることができる。
【0072】
また、この波長変換装置では、変換光の出力中にポンプ光が混入するため、この点を考慮して設計を行う必要があるが、半導体レーザ32の発振のための帰還光が往復する光路中に波長変換部分(QPM部分34c)がないため、このQPM部分34cにおけるポンプ光の減衰を考慮する必要がなく、ポンプ光の強度を高くする等の設計を容易にすることができる。
【0073】
第5の実施形態
図5に示すように、本発明の第5の実施形態に係る波長変換装置の構成を示している。この波長変換装置は、上述の図3に示す第3の実施形態に係る波長変換素子24のDBR部分24d、アイソレータ25の代わりに光ファイバ46の出力端近傍にDBR部分46aを備えたものである。
【0074】
この波長変換装置は、第3の実施形態と同様に、半導体レーザ42と、バンドパスフィルタ43と、QPM部分44cが形成された波長変換素子44とを備えている。
【0075】
半導体レーザ42の一方の端面(波長変換素子34に臨む端面の反対側の端面)には高反射コーティング部(100%反射が望ましい)32aが形成されている。
【0076】
また、半導体レーザ42、波長変換素子44の各々の端面は、半導体レーザ42の出力端面42bの反射率をr、波長変換素子の端面44a及び44bの反射率をr’、r”、光ファイバ46のDBR部分46aからの帰還率をrD とすると、
r’、r” << rD
r << rD (5)
r’、r” < r
なる関係を満たすようにコーティング等によって反射率が調整されており、半導体レーザ42の低反射側42bから発振光(ポンプ光)を出力する構成とされている。
【0077】
半導体レーザ42からのポンプ光は、バンドパスフィルタ43を通して波長変換素子44に入射する。上述のように、この波長変換素子44にはQPM部分44cだけが形成されており、光ファイバ46の出力端近傍にDBR部分46が形成されている。
【0078】
この波長変換装置では、上述の第3の実施形態と同様に、共に図5中の左方向に伝播するポンプ光(波数ベクトルkp)、信号光(波数ベクトルks)に対して位相整合が取られる。従って、ポンプ光を反射するDBR部分の反射率を十分に大きくする必要がある点では、上述の第3の実施形態と同様である。
【0079】
一方、信号光(ここでは波長1.55μm)は、光ファイバ46に導かれ、この光ファイバ46の出射端近傍のDBR部分46aを通って半導体レーザ42からのポンプ光(ここでは波長0.78μm)とは反対側から波長変換素子44に入射する構成とされている。これは第2の実施形態の第3の方法に相当する。
【0080】
このように構成された波長変換装置では、半導体レーザ42の高反射コーティング部42aと光ファイバ46の出射端近傍のDBR部分46aにより光共振器が構成される。このDBR部分46aにより半導体レーザ42に帰還される光の波長は、上述のDBR部分46aの構造によって決まる波長に制限される。これにより、半導体レーザ42は制限された波長(単一波長モード)で発振する。
【0081】
DBR部分46aにより反射されたポンプ光と、DBR部分46aを介して波長変換素子44に入射した信号光がQPM部分44cに入射すると、このQPM部分44cにおいてポンプ光と信号光の差の周波の光(変換光)が発生する。この変換光は、図5中の波長変換素子44の左端から出力され、バンドパスフィルタ43で反射され、信号光(波長1.55μm)及び変換光(波長1.57μm)図5中の下方向に出力される。
【0082】
この波長変換装置では、上述の各実施形態と同様に、半導体レーザ42に帰還される光がDBR部分46aによって波長制限されているため、ポンプ光の発振波長が極めて安定しており、またポンプ光のスペクトルの半値幅が極めて狭い。このため、波長変換素子44において発生する変換光の波長を安定させることができ、また変換光のスペクトルの半値幅を極めて狭くすることができる。このような波長変換装置をWDMシステムに用いることより、システムの性能の向上に寄与することができる。
【0083】
また、この波長変換装置では、バンドパスフィルタ43を用いて信号光、変換光を選択的に反射させて出力しているため、原理的に変換光を出力する方向にポンプ光が全く混入しない。従って、システムの設計上、ポンプ光が混入することが不都合である場合には、この図5に示した構成を取ることで解決する。ただし、ポンプ光の帰還効率を十分に大きく取るためには、DBR部分46aの反射率を十分に大きくする必要がある点については上述の第3の実施形態と同様である。
【0084】
また、この波長変換装置では、上述の第3の実施形態と同様に、DBR部分46aからの帰還光が往復する途中にQPM部分44cが挟まれているため、ポンプ光の帰還効率を十分に大きく取るためには、第3の実施形態と同様に、DBR部分46aの反射率を十分に大きくこのQPM部分44cでのポンプ光の減衰をできるだけ小さくしなければならない。しかしながら、第3の実施形態と同様に、変換光の変換効率を高くすると、QPM部分44cにおけるポンプ光の減衰が大きくなるため、特に高効率の波長変換装置を構成する場合には、全体的な効率を考慮してポンプ光の帰還効率を設定する必要がある。
【0085】
また、この波長変換装置では、QPM部分44cとDBR部分46aが一体化されていないので、疑似位相整合条件と発振波長の確定を十分な精度を保持したまま同時に満たすことができない。ところで、QPM部分とDBR部分とでは製造プロセスが異なるので、これらを一体化した場合では両方の部分を同時に最適条件で作成することが難しい。この波長変換装置では、QPM部分46aとDBR部分44cを一体化していないので、これらを別個に作成することができ、これらを最適条件で作成することが容易となる。
【0086】
なお、上述の第3〜第5の実施形態の波長変換装置には、実際の機器の設計時に若干の注意を要するが、実際の機器に最適な構成を選択すればよい。
【0087】
以上説明したように、上述の各実施形態の波長変換装置では、変換光のスペクトルの半値幅がWDMシステム等の光通信システムにおいて求められる光のスペクトル幅(例えば5MHz)程度かそれ以下、具体的には5MHz程度あるいはそれ以下にできる。また、半導体レーザを用いることができるため、これらの波長変換装置用いた機器を小型化することができる。
【0088】
上述のような波長変換装置は、例えばWDM(波長多重)交換システムにおいて異なる波長間のスイッチングを行う波長スイッチング素子として用いられる。図6はこのようなWDM交換システムの構成例を示している。
【0089】
このWDM交換システムは、入力された光を分岐する光分岐素子50と、分岐された光から特定の波長の光を選択する波長選択素子51と、選択された光の波長を変換する波長変換素子(上述の波長変換装置が用いられる)52と、波長変換素子の出力光の波長を特定の波長に制限する波長選択素子53と、波長選択素子53からの出力光を合成する合波器54とを備えている。また、このシステムは、各波長の光の使用状況等に応じて各波長選択素子51、波長変換素子52、波長選択素子53等の制御を行う制御部(図示せず)等を備えている。
【0090】
この制御部は、例えば出力伝送路中の波長λ1の光で形成されているチャンネルが混雑している場合等にこれを検出し、波長λ1として入力された光が空いているチャンネルの波長(例えば波長λ2)に変換されるように各波長選択素子51、波長変換素子52、波長選択素子53等の制御を行う。
【0091】
このような制御に基づいて、まず、光分岐素子50と波長選択素子51によって波長λ1の光を分離選択して波長変換素子52に導く。次に、波長変換素子52によって、波長λ1の光を波長λ2の光に変換し、更に波長選択素子53によって波長λ2の光だけを合波器54に出力し、合波器54において他の波長の光と合成し出力伝送路に送出する。
【0092】
このような波長交換を行うことにより、出力伝送路の特定の波長のチャンネルが使用中であっても、他の波長チャンネルが空いていれば波長変換を行って通信を継続することができる。これにより、一時待機等の手段を講ずることなくスムーズな通信が可能となり、通信効率を高めることができる。
【0093】
ところで、被変換光(上述の各実施形態では、半導体レーザからのポンプ光に相当する)の波長を安定化する方法として、例えば特開平6−283791号、特開平5−11297号、特開平5−66440号等に示された方法がある。これらの方法では、半導体レーザの発振光(被変換光)の第2高調波を発生する装置において、このブラッグ反射により半導体レーザに帰還する光の波長を制限する波長固定法(ブラッグロッキング)が用いられている。
【0094】
しかしながら、上述の各実施形態において差周波発生等を行う場合のように2種類以上の基本波光(この場合はポンプ光と信号光に相当)を必要とする波長変換装置にこのブラッグロッキングが採用された例は従来にはない。
【0095】
また、上述の各公開公報に記載されている発明中で用いられているブラッグロッキング法はあくまで半導体レーザの発振波長の安定化を目的としているものであり、上述の各実施形態のように発振光のスペクトルの半値幅を狭くして波長の純粋性を確保する目的ではない。
【0096】
従って、上述の各公開公報に記載された発明では、発振光のスペクトルの半値幅を狭くするためのブラッグ構造の長さの最適化等の課題の検討はなされておらず、これらの発明の単なる延長として上記各実施形態を完成させることは不可能である。変換光のスペクトル狭線化に注目して差周波発生を光交換技術に取り入れることが可能であることに着目して一連の技術を完成することは、大きな発想の転換が必要であり容易に完成することはできない。
【0097】
なお、上述の各実施形態の説明では、波長変換素子として主にDFGを中心に説明したが、変換光を得るためにはSFGによることも可能である。この場合は、ポンプ光としての半導体レーザの発振波長を例えば1.55μm近傍に設定し、これに対応させてバンドパスフィルタの透過特性等をSFG用に変更する等の変更を必要とする。
【0098】
また、DFG、SFG以外にも2次の非線形光学効果である光パラメトリック発振・増幅等をも変換光を得るために波長変換素子として用いることができる。さらに、3次以上の高次の非線形光学効果を利用することも可能であり、特に四光波混合による波長変換を用いることができる。これらの異なる光学効果を用いる場合には、バンドパスフィルタの特性、半導体レーザの発振可能波長帯域等の変更が必要であることは言うまでもない。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る波長変換装置は、波長選択手段によって半導体レーザに帰還させる光の波長を制限することにより、半導体レーザの発振波長のスペクトル幅を狭くすることができ、波長変換手段において発生する変換光のスペクトル幅を狭くすることができる。
【0100】
また、本発明に係る他の波長変換手段は、分布帰還(DBR)手段により半導体レーザに帰還される光の波長を制限することにより、半導体レーザの発振波長のスペクトル幅を狭くして波長変換手段において発生する変換光のスペクトル幅を狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。
【図4】 本発明の第4の実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。
【図5】 本発明の第5の実施形態に係る波長変換装置の構成を示す図である。
【図6】 WDM交換システムの要部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、24、24、34、44 波長変換素子、2、22、32、42 半導体レーザ、3a、3b、13a〜13c、23、33、43 バンドパスフィルタ、24c、34c、44c QPM部分、24d、34d、46a DBR部分

Claims (6)

  1. 基本波光を発生する半導体レーザと、
    上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光に基づいて変換光を発生し、出力する波長変換手段と、
    上記外部からの信号光を上記波長変換手段に入射させるバンドパスフィルタと、
    上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限し、所定の波長の光のみを選択的に帰還させる波長選択手段と
    を備え、
    上記波長選択手段は、上記半導体レーザと上記波長変換手段の間に配置されており、
    上記半導体レーザは、上記波長選択素子に面していない側の端部に第1反射面を有し、上記波長選択手段は、上記波長変換手段側の端部に第2反射面を有し、上記第1反射面と上記第2反射面とによって光共振器が構成され、
    上記波長選択手段によって上記半導体レーザに帰還した光により発振した光は、上記基本波光となる
    ことを特徴とする波長変換装置。
  2. 上記バンドパスフィルタは、上記半導体レーザからの基本波光と異なる方向から供給された上記信号光を上記波長変換手段に入射させることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
  3. 光路の一端に高反射コーティングを有し、該高反射コーティングの反対側の出力端面から発生した基本波光を出力する半導体レーザと、
    疑似位相整合手段(以下、QPM手段という。)と、上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限する分布帰還手段(以下、DBR手段という。)とを有し、上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光が入力され、上記基本波光と上記信号光とから変換光を発生する波長変換手段と、
    上記外部からの信号光を上記波長変換手段に入射させる信号光入射手段と
    を備え、
    上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記出力端面並びに上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記波長変換手段の上記DBR手段のそれぞれが、光共振器を構成し、
    上記DBR手段は、上記信号光の入力側に配置されており、
    上記信号光入射手段は、上記DBR手段に上記信号光を入射させる光ファイバ又は上記DBR手段に上記信号光を入射させるバンドパスフィルタを含み、
    上記QPM手段は、上記波長変換手段の上記変換光の出力側に配置されており、
    上記半導体レーザの出力端面の反射率をr、
    上記波長変換手段の両端面の反射率をr’、r”、
    上記DBR手段からの帰還率をrとし、
    r’,r”<<r
    r<<r
    r’,r”<<r
    なる関係を満たすように各端面の反射率が設定されている
    ことを特徴とする波長変換装置。
  4. 光路の一端に高反射コーティングを有し、該高反射コーティングの反対側の出力端面から発生した基本波光を出力する半導体レーザと、
    疑似位相整合手段(以下、QPM手段という。)を有し、上記半導体レーザからの基本波光と外部からの信号光が入力され、上記基本波光と上記信号光とから変換光を発生する波長変換手段と、
    上記半導体レーザに帰還させる光の波長を制限する分布帰還手段(以下、DBR手段という。)を、その光出射端側に有し、上記外部からの信号光を伝播させて上記波長変換手段に入射させる光ファイバと
    上記波長変換手段からの変換光を、上記半導体レーザからの基本波光と異なる方向に出 力させるバンドパスフィルタと
    を備え、
    上記波長変換手段の上記QPM手段は、上記半導体レーザと上記光ファイバの間に配置されており、
    上記バンドパスフィルタは、上記半導体レーザと上記QPM手段の間に配置されており、
    上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記出力端面並びに上記半導体レーザの上記高反射コーティングと上記光ファイバの上記DBR手段のそれぞれが、光共振器を構成し、
    上記半導体レーザの出力端面の反射率をr、
    上記波長変換手段の両端面の反射率をr’、r”、
    上記DBR手段からの帰還率をrとし、
    r’,r”<<r
    r<<r
    r’,r”<<r
    なる関係を満たすように各端面の反射率が設定されている
    ことを特徴とする波長変換装置。
  5. 上記波長変換手段において、上記QPM手段とDBR手段が一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の波長変換装置。
  6. 上記信号光入射手段は、上記波長変換手段から出力される戻り光を防止する光アイソレータを備えることを特徴とする請求項3に記載の波長変換装置。
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