JP3948424B2 - コイル巻線装置および方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、特許文献1に記載された従来のコイル巻線装置の全体構成を示す平面図である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−325408号公報
【0004】
上記したコイル巻線装置は、複数の巻線リール1から繰り出される複数のコイル用巻線3を前方へ送り出す巻線供給部5を備えている。
【0005】
巻線供給部5は、リニアガイドレール7に沿って図6中で左右方向に移動する移動台9を備えている。この移動台9は、リニアガイドレール7に沿って延設されるねじ棒11を備えたボールねじ機構によって移動する。
【0006】
移動台9上には、前記した複数のコイル用巻線3を収束させて、前方の巻枠治具15側に送り出すコイル用巻線送り機構13を設けてある。
【0007】
巻枠治具15は、図7に拡大して示すように、相互間に接続治具17を挟んで複数連結してある。この各巻枠治具15には、図6中で左右方向に貫通する貫通孔15aを形成してあり、この貫通孔15aに対応して各接続治具17にも、図示していないが貫通孔を形成してある。これらの貫通孔に、図6に示してある回転軸19を挿入し、巻枠治具15および接続治具17を固定する。
【0008】
回転軸19の図6中で左側の端部は、回転駆動機構となるモータ21に連結し、このモータ21の駆動により、回転軸19が互いに連結した複数の巻枠治具15および接続治具17と共に回転する。
【0009】
巻枠治具15へのコイル用巻線3の巻き付け作業は、まず、コイル用巻線送り機構13からのコイル用巻線3の端末を、図6中で右側の端部にある巻枠治具15に固定し、この状態でモータ21を駆動する。このときコイル供給部5の移動台9は、図6中で右側端部に位置させておく。
【0010】
モータ21の駆動により複数の巻枠治具17が一体となって回転し、これに伴い、同時に回転する複数の巻線リール1から複数のコイル用巻線3が順次繰り出され、コイル供給部5を介して供給される。
【0011】
ここでモータ21の駆動と同時に、移動台9を図6中で左方向に移動させる。これによりコイル用巻線3を、各巻枠治具15に対し、図6中で右側のものから同左側のものに向けて順次連続して巻き付けることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、互いに連結した複数の巻枠治具15にコイル用巻線3を連続して巻き付ける過程では、一つの巻枠治具15への巻付け動作が終了した後、これに隣接する次の巻枠治具15にコイル用巻線3を移行させる際に、巻枠治具15相互間の連結部である接続治具17上に渡り線3aが発生する。そして、この渡り線3aが接続治具17から外れないように、それぞれの接続治具17には渡り線ガイドピン23が必要となる。
【0013】
次に、図8〜図10に基づいて、上記した渡り線ガイドピン23を利用してコイル用巻線3を次の巻枠治具15に移行させる際の動作を説明する。図8(b),図 9)b,図10(a)は、接続治具17を間に挟んでその両側に巻枠治具15を配置した状態の平面図、図8(a)は図8(b)の左側面図、図9(a)は図9(b)の左側面図、図10(b)は図10(a)の右側面図である。ただし、ここでは、コイル用巻線3を、前記図6に示したものとは逆に、図8(b)中で左側の巻枠治具15から右側の巻枠治具15へ連続して巻き付けるものとする。
【0014】
まず、図8(b)中で左側の巻枠治具15に対しコイル用巻線3の巻き付け動作が終了した後、巻枠治具15の回転を停止させた状態で、コイル用巻線送り機構13を、二点鎖線位置から実線位置すなわち次にコイル用巻線3を巻き付ける巻枠治具15に対応する位置まで移動させる。これにより、渡り線3aが接続治具17を斜めに通過する状態となる。このとき、渡り線3aは渡り線ガイドピン23に接触していない。
【0015】
次に、図9(b)に示すように、巻枠治具15を回転させると同時に、コイル用巻線送り機構13を、上記とは逆に接続治具17側に戻し、コイル用巻線3を、渡り線ガイドピン23に接触させて巻枠治具17が回転する際の回転軸とほぼ直角となるようにする。
【0016】
この状態で、図10に示すように、巻枠治具15をさらに回転させることで、次の巻枠治具15にコイル用巻線3を巻き付ける。この巻き付け動作が進む過程では、渡り線ガイドピン23の役目はなくなっている。
【0017】
ところが、この場合、互いに隣接する巻枠治具15相互を接続する接続治具17それぞれに、渡り線ガイドピン23が必要であり、コイル用巻線3が巻かれた後の互いに連結してある巻枠治具15を分離する際に、渡り線ガイドピン23が邪魔になり、作業性の悪化を招いている。
【0018】
そこで、この発明は、コイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付けられるようにすることを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を直線状に複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、前記コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線装置において、前記連結した複数の巻枠治具を、この連結方向に延びる回転軸を中心として回転させる回転駆動機構と、前記連結した複数の巻枠治具に沿って移動可能で、前記回転駆動機構によって回転する巻枠治具に対して前記コイル用巻線を順次送り出すコイル用巻線送り機構とをそれぞれ設け、前記一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを設け、この渡り線ガイドピンを、前記コイル用巻線送り機構の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端が前記互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近の表面に接触離反移動可能となるよう設けた構成としてある。
【0020】
【発明の効果】
この発明によれば、一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを、コイル用巻線送り機構の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端が互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近の表面に接触離反移動可能となるよう設けたので、渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付けることができる。また、渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置する必要がないので、コイル巻線巻き付け後の互いに連結してある巻枠治具相互を分離する作業が、渡り線ガイドピンが邪魔になることなく容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施の一形態に係わるコイル巻線装置の要部を示す斜視図である。このコイル巻線装置の前記図6,図7に示した従来のものとの違いは、従来では、渡り線ガイドピン23を互いに隣接する巻枠治具15相互間の接続治具17すべてに設置していたものを、本実施形態では、渡り線ガイドピン25をコイル用巻線送り機構27と一体となって移動可能に設けるようにした点である。
【0023】
コイル用巻線送り機構27は、前記図6に示した移動台9と同様な移動台29上に設置し、この移動台29が、図6のものと同様に、リニアガイドレール31に沿って移動する。
【0024】
コイル用巻線送り機構27から送り出されるコイル用巻線33は、図6のものと同様に、巻枠治具相互間の連結部付近としての接続治具35を間に挟んで互いに連結してある巻枠治具37に供給する。この巻枠治具37も、貫通孔37aを備え、貫通孔37aに対応して接続治具35も図示しない貫通孔を備え、これら各貫通孔に、図6のものと同様にして回転軸を挿入して巻枠治具37および接続治具35を固定し、これらを一体として回転駆動機構としての図示しないモータによって回転させる。
【0025】
移動台29上には、L字状に形成した2本の支持アーム39を立設してある。各支持アーム39は、移動台29から上方に延びる垂直部39aと垂直部39aの上端から巻枠治具37側に向けて屈曲する水平部39bとを備える。
【0026】
上記した各水平部39bの先端下部に、前記した渡り線ガイドピン25を図1中で矢印B方向(コイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向)に移動させる左右送り用アクチュエータ41を設ける。この左右送り用アクチュエータ41の下部には、渡り線ガイドピン25を図1中で矢印C方向(コイル用巻線送り機構27から送り出されるコイル用巻線33の送り方向と同方向)に移動させる前後送り用アクチュエータ43を設ける。この前後送り用アクチュエータ43の下部には、渡り線ガイドピン25を図1中で矢印Dで示す上下方向(前後送り用アクチュエータ43の送り方向と直交する方向でかつ巻枠治具37に接近離反する方向)に移動させる上下送り用アクチュエータ45を設ける。この上下送り用アクチュエータ45の下部には、渡り線ガイドピン25を矢印Eで示す方向(渡り線ガイドピン25を、その基端部を中心として前後送り用および上下送り用の各アクチュエータ43および45によるそれぞれの移動方向を含む面内で回転させる方向)に回転させて傾ける傾き用アクチュエータ47を設ける。
【0027】
上記した渡り線ガイドピン25は、先端25aが接続治具35の端面35aに接触離反可能であり、基端側にコイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向に直角に屈曲する屈曲部25bを有し、この屈曲部25bを前記した傾き用アクチュエータ47に連結してある。つまり、この傾き用アクチュエータ47の駆動により、渡り線ガイドピン25は、その基端部である屈曲部25bを中心として前記した矢印E方向に回転する。
【0028】
傾き用アクチュエータ47は、L字状の可動体49の下部に取り付けてあり、可動体49は、上下送り用アクチュエータ45によって前記した矢印Dで示す上下方向に移動する。また、上下送り用アクチュエータ45は、前後送り用アクチュエータ43によって前記した矢印Cで示す前後方向に移動し、前後送り用アクチュエータ43は、左右送り用アクチュエータ41によって前記した矢印Bで示す左右方向に移動する。
【0029】
このように、四つのアクチュエータ41,43,45,47によって、渡り線ガイドピン25を、左右、前後、上下および回転動作させることで、巻枠治具37および接続治具35が一体となって回転する際に、接続治具35の端面35aが図1のように上方を向いている状態で、渡り線ガイドピン25の先端25aが接続治具35の端面35aに接触した状態を維持できる。
【0030】
また、渡り線ガイドピン25の先端25aが接触する接続治具35の端面35aには、図2にその部分を拡大して示すように、渡り線ガイドピン25の先端25aが入り込む凹部35bを形成してある。
【0031】
前記した移動台29上の2本の支持アーム39相互間には、前記したコイル用巻線送り機構27を設置してある。コイル用巻線送り機構27は、図3(a)に側面図、図3(b)に平面図として示すように、中央ガイド51およびその前後に位置する前部ガイド53,後部ガイド55をそれぞれ備えている。なお、図3では、図1に示してある支持アーム39は省略してある。
【0032】
上記したコイル用巻線送り機構27にコイル用巻線33を繰り出す複数の巻線リール57a,57b,57cは、コイル用巻線33の供給方向(図3中で左右方向)に沿って配置してある。すなわち、巻線リール57aをコイル用巻線送り機構27に最も近い位置とし、巻線リール57b,巻線リール57cの順にコイル用巻線送り機構27から離れる方向に配置する。
【0033】
各巻線リール57a,57b,57cは、幅方向両端(図3(b)中で上下方向両端)の軸部59a,59b,59cを、それぞれ一対の支持部ブラケット61a,61b,61cによって回転可能に支持している。これら各支持部ブラケット61a,61b,61cは、コイル用巻線送り機構27に最も近い位置にある支持部ブラケット61aの上下高さを最も低くし、以下支持部ブラケット61b,61cの順に、上下高さを順次高くしている。これにより、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33が、図3(a)中で上下方向に重ならないようにしている。
【0034】
また、上記した各支持部ブラケット61a,61b,61cは、ベース63上に固定し、ベース63のコイル用巻線送り機構27側の端部には、上方に延びるコイル用巻線ガイド部材65を立設してある。このコイル用巻線ガイド部材65の上部で、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33をガイドする。
【0035】
ベース63は、連結アーム65を介して移動体29に連結固定し、移動台29の移動に伴って巻線リール57a,57b,57cが一体となって移動する。
【0036】
次に作用を説明する。
【0037】
図4は、上記した渡り線ガイドピン25を利用して、巻き付け作業が終了した一方の巻枠治具37から他方の(次の)巻枠治具37にコイル用巻線33を移行させる際の動作説明図である。
【0038】
複数連結した巻枠治具37を一体的に回転させて、図4(a)中で左側の巻枠治具37に対してコイル用巻線33の巻き付けが終了した後、巻枠治具37の回転を停止させる。このとき渡り線ガイドピン25は、図1のF矢視図である図5に示す待機位置P1に設定しておく。この待機位置P1は、前後送り用アクチュエータ43により、上下送り用アクチュエータ45をほぼ後端位置に移動させ、上下送り用アクチュエータ45により、傾き用アクチュエータ47をほぼ上端位置に移動させた位置である。
【0039】
これにより、渡り線ガイドピン25を、巻枠治具37から離反させ、その先端25aを巻枠治具37の端面35aに接触させない状態とする。
【0040】
この状態で、移動台29の移動によりコイル用巻線送り機構27を、図4(a)中で二点鎖線位置から実線位置すなわち次にコイル用巻線33を巻き付ける巻枠治具37に対応する位置まで移動させる。これにより、渡り線33aが接続治具3の上方を斜めに通過する状態となる。なお、図4では、コイル用巻線送り機構27を簡略化して示している。
【0041】
このとき、接続治具35は、図5に示すように、凹部35bを備えた端面35aが図5中で左上方を向くように傾斜した状態とする。そして、渡り線ガイドピン25も、接続治具35の上記傾斜角度と同角度傾斜した状態とし、渡り線ガイドピン25の先端25aが、凹部35bの直上方となるように、各アクチュエータ41,43,45,47により位置調整しておく。
【0042】
この状態で、上下送り用アクチュエータ45を駆動して、渡り線ガイドピン25を可動体49および傾き用アクチュエータ47とともに下降させ、その先端25aを、図5中の実線で示すように凹部35bに入り込ませて接触させる。図4(b)は、渡り線ガイドピン25の先端25aが凹部35bに接触している状態を示す。
【0043】
このとき渡り線33aは、渡り線ガイドピン25の図4(b)中で右側すなわち次にコイル用巻線33を巻き付ける巻枠治具37側に位置している。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、コイル用巻線送り機構27を、移動体29の移動により上記とは逆に接続治具35側に戻し、コイル用巻線33を、渡り線ガイドピン25に接触させて巻枠治具37の回転軸とほぼ直角となるようにする。
【0045】
この状態から、図示しない回転駆動機構により、巻枠治具37を接続治具35とともに回転させて、次の巻枠治具37(図4中で右側の巻枠治具37)にコイル用巻線33を巻き付ける。
【0046】
そして、渡り線ガイドピン25が接続治具35に接触したまま上記した巻枠治具37の回転動作に追従するように、前後送り用アクチュエータ43,上下送り用アクチュエータ45および傾き用アクチュエータ47をそれぞれ駆動する。
【0047】
具体的には、渡り線ガイドピン25が、図5で示す傾斜した実線位置から、接続治具35の端面35aが上方を向いた位置に対応する位置P2まで移動する際には、渡り線ガイドピン25が図5中で右方向に移動するよう前後送り用アクチュエータ43を駆動し、かつ渡り線ガイドピン25が図5中で上方に移動するよう上下送り用アクチュエータ45を駆動し、さらに渡り線ガイドピン25が基端部である屈曲部25bを中心として図5中で時計方向に回転するよう傾き用アクチュエータ47を駆動する。
【0048】
また、渡り線ガイドピン25が上記した位置P2から、接続治具37の端面35aが右上方を向いた位置に対応する位置P3まで移動する際には、渡り線ガイドピン25が図5中で右方向に移動するよう前後送り用アクチュエータ43を駆動し、かつ渡り線ガイドピン25が下方に移動するよう上下送り用アクチュエータ45を駆動し、さらに渡り線ガイドピン25が屈曲部25bを中心として図5中で時計方向に回転するよう傾き用アクチュエータ47を駆動する。
【0049】
そして、渡り線ガイドピン25が位置P3となって、コイル用巻線33を次の巻枠治具37に巻き付ける動作が開始されて渡り線33aが接続治具35から外れない状態となったら、渡り線ガイドピン25を、上下送り用アクチュエータ45を駆動して上方へ移動させ、接続治具35から離反させる。
【0050】
その後は、巻枠治具37を接続治具35とともに再度回転させて巻枠治具37にコイル用巻線33を巻き付ける。この巻き付ける過程で、渡り線ガイドピン25は、図5の実線で示す待機位置P1に戻しておき、さらに次の隣接する巻枠治具37に対して、上記と同様にしてコイル用巻線33を巻き付ける。このときも、渡り線ガイドピン25を上記と同様にして利用する。
【0051】
このように、本実施形態では、一つの巻枠治具37へのコイル用巻線33の巻線動作が終了し、この巻線動作が終了した巻枠治具37に隣接する他の巻枠治具37にコイル用巻線33を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具37相互間を繋ぐコイル用巻線33の渡り線33aをガイドする渡り線ガイドピン25を、コイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端25aが互いに隣接する巻枠治具37相互間の連結部付近となる接続治具35に接触離反移動可能となるよう設けたので、渡り線ガイドピン25を、互いに隣接する巻枠治具37相互間の接続治具35にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具37にコイル用巻線33を連続して巻き付けることができる。
【0052】
また、渡り線ガイドピン25を、互いに隣接する巻枠治具37相互間の接続治具35にそれぞれ設置する必要がないので、コイル用巻線33の巻き付け後の互いに連結してある巻枠治具37相互を分離する作業が、渡り線ガイドピンが邪魔になることなく容易に行うことができる。
【0053】
分離後の各巻枠治具37に巻かれたコイル用巻線33は、前記した特許文献1に記載されているような図示しないコイル挿入装置を用い、モータステータのスロットに挿入する。
【0054】
また、渡り線ガイドピン25は、コイル用巻線送り機構27と一体的にリニアガイドレール31を利用して移動可能となっているので、渡り線ガイドピン25を移動させるための新たなリニアガイドレールを設ける必要がなく、構造が簡素化される。
【0055】
さらに、図3に示したように、複数の巻線リール57a,57b,57cを、コイル用巻線33の送り方向に沿って配置することで、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33のコイル用巻線送り機構27への進入角度が、前記図6に示したように巻線リールをコイル用巻線送り機構の移動方向に沿って配置したものに比べ、より小さくなるので、コイル用巻線33の反りや損傷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係わるコイル巻線装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1のコイル巻線装置の渡り線ガイドピンが接続治具に接触している状態を示す拡大図である。
【図3】(a)は図1のコイル巻線装置におけるコイル用巻線送り機構および巻線リールの側面図、(b)は同平面図である。
【図4】渡り線ガイドピンを利用して、コイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図である。
【図5】巻枠治具の回転に伴う渡り線ガイドピンの移動軌跡を示す動作説明図である。
【図6】従来のコイル巻線装置の全体構成を示す平面図である。
【図7】図6のコイル巻線装置に使用する巻枠治具の拡大した斜視図である。
【図8】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は(b)の左側面図、(b)は平面図である。
【図9】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は(b)の左側面図、(b)は平面図である。
【図10】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図である。
【符号の説明】
25 渡り線ガイドピン
27 コイル用巻線送り機構
33 コイル用巻線
33a コイル用巻線の渡り線
35 接続治具(連結部周辺)
37 巻枠治具
43 前後送り用アクチュエータ
45 上下送り用アクチュエータ
47 傾き用アクチュエータ
57 巻線リール
【発明の属する技術分野】
この発明は、コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、特許文献1に記載された従来のコイル巻線装置の全体構成を示す平面図である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−325408号公報
【0004】
上記したコイル巻線装置は、複数の巻線リール1から繰り出される複数のコイル用巻線3を前方へ送り出す巻線供給部5を備えている。
【0005】
巻線供給部5は、リニアガイドレール7に沿って図6中で左右方向に移動する移動台9を備えている。この移動台9は、リニアガイドレール7に沿って延設されるねじ棒11を備えたボールねじ機構によって移動する。
【0006】
移動台9上には、前記した複数のコイル用巻線3を収束させて、前方の巻枠治具15側に送り出すコイル用巻線送り機構13を設けてある。
【0007】
巻枠治具15は、図7に拡大して示すように、相互間に接続治具17を挟んで複数連結してある。この各巻枠治具15には、図6中で左右方向に貫通する貫通孔15aを形成してあり、この貫通孔15aに対応して各接続治具17にも、図示していないが貫通孔を形成してある。これらの貫通孔に、図6に示してある回転軸19を挿入し、巻枠治具15および接続治具17を固定する。
【0008】
回転軸19の図6中で左側の端部は、回転駆動機構となるモータ21に連結し、このモータ21の駆動により、回転軸19が互いに連結した複数の巻枠治具15および接続治具17と共に回転する。
【0009】
巻枠治具15へのコイル用巻線3の巻き付け作業は、まず、コイル用巻線送り機構13からのコイル用巻線3の端末を、図6中で右側の端部にある巻枠治具15に固定し、この状態でモータ21を駆動する。このときコイル供給部5の移動台9は、図6中で右側端部に位置させておく。
【0010】
モータ21の駆動により複数の巻枠治具17が一体となって回転し、これに伴い、同時に回転する複数の巻線リール1から複数のコイル用巻線3が順次繰り出され、コイル供給部5を介して供給される。
【0011】
ここでモータ21の駆動と同時に、移動台9を図6中で左方向に移動させる。これによりコイル用巻線3を、各巻枠治具15に対し、図6中で右側のものから同左側のものに向けて順次連続して巻き付けることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、互いに連結した複数の巻枠治具15にコイル用巻線3を連続して巻き付ける過程では、一つの巻枠治具15への巻付け動作が終了した後、これに隣接する次の巻枠治具15にコイル用巻線3を移行させる際に、巻枠治具15相互間の連結部である接続治具17上に渡り線3aが発生する。そして、この渡り線3aが接続治具17から外れないように、それぞれの接続治具17には渡り線ガイドピン23が必要となる。
【0013】
次に、図8〜図10に基づいて、上記した渡り線ガイドピン23を利用してコイル用巻線3を次の巻枠治具15に移行させる際の動作を説明する。図8(b),図 9)b,図10(a)は、接続治具17を間に挟んでその両側に巻枠治具15を配置した状態の平面図、図8(a)は図8(b)の左側面図、図9(a)は図9(b)の左側面図、図10(b)は図10(a)の右側面図である。ただし、ここでは、コイル用巻線3を、前記図6に示したものとは逆に、図8(b)中で左側の巻枠治具15から右側の巻枠治具15へ連続して巻き付けるものとする。
【0014】
まず、図8(b)中で左側の巻枠治具15に対しコイル用巻線3の巻き付け動作が終了した後、巻枠治具15の回転を停止させた状態で、コイル用巻線送り機構13を、二点鎖線位置から実線位置すなわち次にコイル用巻線3を巻き付ける巻枠治具15に対応する位置まで移動させる。これにより、渡り線3aが接続治具17を斜めに通過する状態となる。このとき、渡り線3aは渡り線ガイドピン23に接触していない。
【0015】
次に、図9(b)に示すように、巻枠治具15を回転させると同時に、コイル用巻線送り機構13を、上記とは逆に接続治具17側に戻し、コイル用巻線3を、渡り線ガイドピン23に接触させて巻枠治具17が回転する際の回転軸とほぼ直角となるようにする。
【0016】
この状態で、図10に示すように、巻枠治具15をさらに回転させることで、次の巻枠治具15にコイル用巻線3を巻き付ける。この巻き付け動作が進む過程では、渡り線ガイドピン23の役目はなくなっている。
【0017】
ところが、この場合、互いに隣接する巻枠治具15相互を接続する接続治具17それぞれに、渡り線ガイドピン23が必要であり、コイル用巻線3が巻かれた後の互いに連結してある巻枠治具15を分離する際に、渡り線ガイドピン23が邪魔になり、作業性の悪化を招いている。
【0018】
そこで、この発明は、コイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付けられるようにすることを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を直線状に複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、前記コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線装置において、前記連結した複数の巻枠治具を、この連結方向に延びる回転軸を中心として回転させる回転駆動機構と、前記連結した複数の巻枠治具に沿って移動可能で、前記回転駆動機構によって回転する巻枠治具に対して前記コイル用巻線を順次送り出すコイル用巻線送り機構とをそれぞれ設け、前記一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを設け、この渡り線ガイドピンを、前記コイル用巻線送り機構の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端が前記互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近の表面に接触離反移動可能となるよう設けた構成としてある。
【0020】
【発明の効果】
この発明によれば、一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを、コイル用巻線送り機構の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端が互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近の表面に接触離反移動可能となるよう設けたので、渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付けることができる。また、渡り線ガイドピンを、互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近にそれぞれに設置する必要がないので、コイル巻線巻き付け後の互いに連結してある巻枠治具相互を分離する作業が、渡り線ガイドピンが邪魔になることなく容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施の一形態に係わるコイル巻線装置の要部を示す斜視図である。このコイル巻線装置の前記図6,図7に示した従来のものとの違いは、従来では、渡り線ガイドピン23を互いに隣接する巻枠治具15相互間の接続治具17すべてに設置していたものを、本実施形態では、渡り線ガイドピン25をコイル用巻線送り機構27と一体となって移動可能に設けるようにした点である。
【0023】
コイル用巻線送り機構27は、前記図6に示した移動台9と同様な移動台29上に設置し、この移動台29が、図6のものと同様に、リニアガイドレール31に沿って移動する。
【0024】
コイル用巻線送り機構27から送り出されるコイル用巻線33は、図6のものと同様に、巻枠治具相互間の連結部付近としての接続治具35を間に挟んで互いに連結してある巻枠治具37に供給する。この巻枠治具37も、貫通孔37aを備え、貫通孔37aに対応して接続治具35も図示しない貫通孔を備え、これら各貫通孔に、図6のものと同様にして回転軸を挿入して巻枠治具37および接続治具35を固定し、これらを一体として回転駆動機構としての図示しないモータによって回転させる。
【0025】
移動台29上には、L字状に形成した2本の支持アーム39を立設してある。各支持アーム39は、移動台29から上方に延びる垂直部39aと垂直部39aの上端から巻枠治具37側に向けて屈曲する水平部39bとを備える。
【0026】
上記した各水平部39bの先端下部に、前記した渡り線ガイドピン25を図1中で矢印B方向(コイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向)に移動させる左右送り用アクチュエータ41を設ける。この左右送り用アクチュエータ41の下部には、渡り線ガイドピン25を図1中で矢印C方向(コイル用巻線送り機構27から送り出されるコイル用巻線33の送り方向と同方向)に移動させる前後送り用アクチュエータ43を設ける。この前後送り用アクチュエータ43の下部には、渡り線ガイドピン25を図1中で矢印Dで示す上下方向(前後送り用アクチュエータ43の送り方向と直交する方向でかつ巻枠治具37に接近離反する方向)に移動させる上下送り用アクチュエータ45を設ける。この上下送り用アクチュエータ45の下部には、渡り線ガイドピン25を矢印Eで示す方向(渡り線ガイドピン25を、その基端部を中心として前後送り用および上下送り用の各アクチュエータ43および45によるそれぞれの移動方向を含む面内で回転させる方向)に回転させて傾ける傾き用アクチュエータ47を設ける。
【0027】
上記した渡り線ガイドピン25は、先端25aが接続治具35の端面35aに接触離反可能であり、基端側にコイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向に直角に屈曲する屈曲部25bを有し、この屈曲部25bを前記した傾き用アクチュエータ47に連結してある。つまり、この傾き用アクチュエータ47の駆動により、渡り線ガイドピン25は、その基端部である屈曲部25bを中心として前記した矢印E方向に回転する。
【0028】
傾き用アクチュエータ47は、L字状の可動体49の下部に取り付けてあり、可動体49は、上下送り用アクチュエータ45によって前記した矢印Dで示す上下方向に移動する。また、上下送り用アクチュエータ45は、前後送り用アクチュエータ43によって前記した矢印Cで示す前後方向に移動し、前後送り用アクチュエータ43は、左右送り用アクチュエータ41によって前記した矢印Bで示す左右方向に移動する。
【0029】
このように、四つのアクチュエータ41,43,45,47によって、渡り線ガイドピン25を、左右、前後、上下および回転動作させることで、巻枠治具37および接続治具35が一体となって回転する際に、接続治具35の端面35aが図1のように上方を向いている状態で、渡り線ガイドピン25の先端25aが接続治具35の端面35aに接触した状態を維持できる。
【0030】
また、渡り線ガイドピン25の先端25aが接触する接続治具35の端面35aには、図2にその部分を拡大して示すように、渡り線ガイドピン25の先端25aが入り込む凹部35bを形成してある。
【0031】
前記した移動台29上の2本の支持アーム39相互間には、前記したコイル用巻線送り機構27を設置してある。コイル用巻線送り機構27は、図3(a)に側面図、図3(b)に平面図として示すように、中央ガイド51およびその前後に位置する前部ガイド53,後部ガイド55をそれぞれ備えている。なお、図3では、図1に示してある支持アーム39は省略してある。
【0032】
上記したコイル用巻線送り機構27にコイル用巻線33を繰り出す複数の巻線リール57a,57b,57cは、コイル用巻線33の供給方向(図3中で左右方向)に沿って配置してある。すなわち、巻線リール57aをコイル用巻線送り機構27に最も近い位置とし、巻線リール57b,巻線リール57cの順にコイル用巻線送り機構27から離れる方向に配置する。
【0033】
各巻線リール57a,57b,57cは、幅方向両端(図3(b)中で上下方向両端)の軸部59a,59b,59cを、それぞれ一対の支持部ブラケット61a,61b,61cによって回転可能に支持している。これら各支持部ブラケット61a,61b,61cは、コイル用巻線送り機構27に最も近い位置にある支持部ブラケット61aの上下高さを最も低くし、以下支持部ブラケット61b,61cの順に、上下高さを順次高くしている。これにより、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33が、図3(a)中で上下方向に重ならないようにしている。
【0034】
また、上記した各支持部ブラケット61a,61b,61cは、ベース63上に固定し、ベース63のコイル用巻線送り機構27側の端部には、上方に延びるコイル用巻線ガイド部材65を立設してある。このコイル用巻線ガイド部材65の上部で、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33をガイドする。
【0035】
ベース63は、連結アーム65を介して移動体29に連結固定し、移動台29の移動に伴って巻線リール57a,57b,57cが一体となって移動する。
【0036】
次に作用を説明する。
【0037】
図4は、上記した渡り線ガイドピン25を利用して、巻き付け作業が終了した一方の巻枠治具37から他方の(次の)巻枠治具37にコイル用巻線33を移行させる際の動作説明図である。
【0038】
複数連結した巻枠治具37を一体的に回転させて、図4(a)中で左側の巻枠治具37に対してコイル用巻線33の巻き付けが終了した後、巻枠治具37の回転を停止させる。このとき渡り線ガイドピン25は、図1のF矢視図である図5に示す待機位置P1に設定しておく。この待機位置P1は、前後送り用アクチュエータ43により、上下送り用アクチュエータ45をほぼ後端位置に移動させ、上下送り用アクチュエータ45により、傾き用アクチュエータ47をほぼ上端位置に移動させた位置である。
【0039】
これにより、渡り線ガイドピン25を、巻枠治具37から離反させ、その先端25aを巻枠治具37の端面35aに接触させない状態とする。
【0040】
この状態で、移動台29の移動によりコイル用巻線送り機構27を、図4(a)中で二点鎖線位置から実線位置すなわち次にコイル用巻線33を巻き付ける巻枠治具37に対応する位置まで移動させる。これにより、渡り線33aが接続治具3の上方を斜めに通過する状態となる。なお、図4では、コイル用巻線送り機構27を簡略化して示している。
【0041】
このとき、接続治具35は、図5に示すように、凹部35bを備えた端面35aが図5中で左上方を向くように傾斜した状態とする。そして、渡り線ガイドピン25も、接続治具35の上記傾斜角度と同角度傾斜した状態とし、渡り線ガイドピン25の先端25aが、凹部35bの直上方となるように、各アクチュエータ41,43,45,47により位置調整しておく。
【0042】
この状態で、上下送り用アクチュエータ45を駆動して、渡り線ガイドピン25を可動体49および傾き用アクチュエータ47とともに下降させ、その先端25aを、図5中の実線で示すように凹部35bに入り込ませて接触させる。図4(b)は、渡り線ガイドピン25の先端25aが凹部35bに接触している状態を示す。
【0043】
このとき渡り線33aは、渡り線ガイドピン25の図4(b)中で右側すなわち次にコイル用巻線33を巻き付ける巻枠治具37側に位置している。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、コイル用巻線送り機構27を、移動体29の移動により上記とは逆に接続治具35側に戻し、コイル用巻線33を、渡り線ガイドピン25に接触させて巻枠治具37の回転軸とほぼ直角となるようにする。
【0045】
この状態から、図示しない回転駆動機構により、巻枠治具37を接続治具35とともに回転させて、次の巻枠治具37(図4中で右側の巻枠治具37)にコイル用巻線33を巻き付ける。
【0046】
そして、渡り線ガイドピン25が接続治具35に接触したまま上記した巻枠治具37の回転動作に追従するように、前後送り用アクチュエータ43,上下送り用アクチュエータ45および傾き用アクチュエータ47をそれぞれ駆動する。
【0047】
具体的には、渡り線ガイドピン25が、図5で示す傾斜した実線位置から、接続治具35の端面35aが上方を向いた位置に対応する位置P2まで移動する際には、渡り線ガイドピン25が図5中で右方向に移動するよう前後送り用アクチュエータ43を駆動し、かつ渡り線ガイドピン25が図5中で上方に移動するよう上下送り用アクチュエータ45を駆動し、さらに渡り線ガイドピン25が基端部である屈曲部25bを中心として図5中で時計方向に回転するよう傾き用アクチュエータ47を駆動する。
【0048】
また、渡り線ガイドピン25が上記した位置P2から、接続治具37の端面35aが右上方を向いた位置に対応する位置P3まで移動する際には、渡り線ガイドピン25が図5中で右方向に移動するよう前後送り用アクチュエータ43を駆動し、かつ渡り線ガイドピン25が下方に移動するよう上下送り用アクチュエータ45を駆動し、さらに渡り線ガイドピン25が屈曲部25bを中心として図5中で時計方向に回転するよう傾き用アクチュエータ47を駆動する。
【0049】
そして、渡り線ガイドピン25が位置P3となって、コイル用巻線33を次の巻枠治具37に巻き付ける動作が開始されて渡り線33aが接続治具35から外れない状態となったら、渡り線ガイドピン25を、上下送り用アクチュエータ45を駆動して上方へ移動させ、接続治具35から離反させる。
【0050】
その後は、巻枠治具37を接続治具35とともに再度回転させて巻枠治具37にコイル用巻線33を巻き付ける。この巻き付ける過程で、渡り線ガイドピン25は、図5の実線で示す待機位置P1に戻しておき、さらに次の隣接する巻枠治具37に対して、上記と同様にしてコイル用巻線33を巻き付ける。このときも、渡り線ガイドピン25を上記と同様にして利用する。
【0051】
このように、本実施形態では、一つの巻枠治具37へのコイル用巻線33の巻線動作が終了し、この巻線動作が終了した巻枠治具37に隣接する他の巻枠治具37にコイル用巻線33を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具37相互間を繋ぐコイル用巻線33の渡り線33aをガイドする渡り線ガイドピン25を、コイル用巻線送り機構27の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端25aが互いに隣接する巻枠治具37相互間の連結部付近となる接続治具35に接触離反移動可能となるよう設けたので、渡り線ガイドピン25を、互いに隣接する巻枠治具37相互間の接続治具35にそれぞれに設置することなく、複数の巻枠治具37にコイル用巻線33を連続して巻き付けることができる。
【0052】
また、渡り線ガイドピン25を、互いに隣接する巻枠治具37相互間の接続治具35にそれぞれ設置する必要がないので、コイル用巻線33の巻き付け後の互いに連結してある巻枠治具37相互を分離する作業が、渡り線ガイドピンが邪魔になることなく容易に行うことができる。
【0053】
分離後の各巻枠治具37に巻かれたコイル用巻線33は、前記した特許文献1に記載されているような図示しないコイル挿入装置を用い、モータステータのスロットに挿入する。
【0054】
また、渡り線ガイドピン25は、コイル用巻線送り機構27と一体的にリニアガイドレール31を利用して移動可能となっているので、渡り線ガイドピン25を移動させるための新たなリニアガイドレールを設ける必要がなく、構造が簡素化される。
【0055】
さらに、図3に示したように、複数の巻線リール57a,57b,57cを、コイル用巻線33の送り方向に沿って配置することで、各巻線リール57a,57b,57cから繰り出されるコイル用巻線33のコイル用巻線送り機構27への進入角度が、前記図6に示したように巻線リールをコイル用巻線送り機構の移動方向に沿って配置したものに比べ、より小さくなるので、コイル用巻線33の反りや損傷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係わるコイル巻線装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1のコイル巻線装置の渡り線ガイドピンが接続治具に接触している状態を示す拡大図である。
【図3】(a)は図1のコイル巻線装置におけるコイル用巻線送り機構および巻線リールの側面図、(b)は同平面図である。
【図4】渡り線ガイドピンを利用して、コイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図である。
【図5】巻枠治具の回転に伴う渡り線ガイドピンの移動軌跡を示す動作説明図である。
【図6】従来のコイル巻線装置の全体構成を示す平面図である。
【図7】図6のコイル巻線装置に使用する巻枠治具の拡大した斜視図である。
【図8】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は(b)の左側面図、(b)は平面図である。
【図9】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は(b)の左側面図、(b)は平面図である。
【図10】図6のコイル巻線装置のガイドピンを利用してコイル用巻線を次の巻枠治具に移行させる際の動作説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図である。
【符号の説明】
25 渡り線ガイドピン
27 コイル用巻線送り機構
33 コイル用巻線
33a コイル用巻線の渡り線
35 接続治具(連結部周辺)
37 巻枠治具
43 前後送り用アクチュエータ
45 上下送り用アクチュエータ
47 傾き用アクチュエータ
57 巻線リール
Claims (7)
- コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を直線状に複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、前記コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線装置において、前記連結した複数の巻枠治具を、この連結方向に延びる回転軸を中心として回転させる回転駆動機構と、前記連結した複数の巻枠治具に沿って移動可能で、前記回転駆動機構によって回転する巻枠治具に対して前記コイル用巻線を順次送り出すコイル用巻線送り機構とをそれぞれ設け、前記一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドする渡り線ガイドピンを設け、この渡り線ガイドピンを、前記コイル用巻線送り機構の移動方向と同方向に移動可能かつ、その先端が前記互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部付近の表面に接触離反移動可能となるよう設けたことを特徴とするコイル巻線装置。
- 前記渡り線ガイドピンは、先端が前記連結部付近の表面に接触した状態で、前記回転駆動機構による巻枠治具の回転動作に追従可能であることを特徴とする請求項1記載のコイル巻線装置。
- 前記渡り線ガイドピンを、前記コイル用巻線送り機構から送り出されるコイル用巻線の送り方向と同方向に移動させる前後送り用アクチュエータと、前記渡り線ガイドピンを、この前後送り用アクチュエータの送り方向と直交する方向でかつ前記巻枠治具に接近離反する方向に移動させる上下送り用アクチュエータと、前記渡り線ガイドピンを、その基端部を中心として前記前後送り用および上下送り用の各アクチュエータによるそれぞれの移動方向を含む面内で回転させて傾ける傾き用アクチュエータとを、それぞれ備えることを特徴とする請求項2記載のコイル巻線装置。
- 前記渡り線ガイドピンを、前記コイル用巻線送り機構と一体となって移動可能に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコイル巻線装置。
- 前記コイル用巻線送り機構にコイル用巻線を供給する複数の巻線リールを、前記コイル用巻線の供給方向に沿って配置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコイル巻線装置。
- コイル用巻線を巻き付ける巻枠治具を直線状に複数連結し、この複数連結した巻枠治具に対し、前記コイル用巻線を連続して巻き付けるコイル巻線方法において、前記連結した複数の巻枠治具を、この連結方向に延びる回転軸を中心として回転させ、この回転する複数の巻枠治具に対し、コイル用巻線送り機構が前記連結した複数の巻枠治具に沿って移動しつつ前記コイル用巻線を順次送り出して巻き付け、前記一つの巻枠治具へのコイル用巻線の巻き付け動作が終了し、この巻き付け動作が終了した巻枠治具に隣接する他の巻枠治具にコイル用巻線を連続して巻き付ける際に、前記コイル用巻線送り機構と同方向に移動する渡り線ガイドピンの先端が、前記互いに隣接する巻枠治具相互間の連結部周辺の表面に接触した状態で、前記互いに隣接する巻枠治具相互間を繋ぐコイル用巻線の渡り線をガイドすることを特徴とするコイル巻線方法。
- 前記渡り線ガイドピンは、先端が前記連結部付近の表面に接触した状態で、前記巻枠治具の回転動作に追従することを特徴とする請求項6記載のコイル巻線方法。
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