JP3948335B2 - 超音波流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流量を計測する超音波流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の流量計101は、図15に示すような構成であった。図15は、平面断面図を示し、液体あるいは気体などの流体が流れる断面形状が長方形の流路102内に、流速計測部104を設け、長方形流路の短辺部の上流側および下流側とに一対の超音波変換器105、106を流体を介し、対向して設置する構成としていた。
【0003】
この一対の超音波変換器105、106間を伝搬する超音波の伝搬時間から流体の流速を計測し、計測した流体の流速に長方形断面の断面積を乗じ、流量を演算し、流量計としていた。なお、図中の片矢印107(実線)は流体の流れる方向を示し、両矢印108(破線)は超音波の伝搬する方向を示している。また、109は断面形状が長方形の流路102の側断面図を示し、超音波の伝播する長辺方向に幅Wr、短辺方向に高さHrを記した。104は、下流側の超音波変換器を示し、上流側の超音波変換器105は、図面が煩雑になるため省略した。なお、流体の流れる方向と、超音波の伝搬する方向とは角θで交叉している。また、超音波の伝搬方向は、長方形断面の長辺方向としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成の従来の流量計101では、長方形断面流路を流れる流体に対し、長辺方向に超音波を伝搬させ、流体の流速を計測するため、流れる流体の長辺方向の流速分布が発生しても、精度よく計測することができるが、短辺方向に流速分布が発生した場合、高精度に流体の流速を計測できないという課題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、長方形断面流路の短辺方向に流体の流速分布が発生しても、高精度に流速が計測できる超音波流量計を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、断面形状が長方形の流路と、前記流路の断面における短辺方向の側壁部に取り付けた一対の超音波変換器と、前記一方の超音波変換器から前記流路内へ送信された超音波を前記他方の超音波変換器で受信し超音波伝播時間を計測して流量を演算する超音波流量計であって、前記一対の超音波変換器は、縦方向に超音波出力の大きい矩形状の超音波出力分布を持ち、この縦方向が、流体の流れる方向および超音波の伝播する方向に垂直となるように流路に取り付けたものである。
【0007】
この構成により、流れる流体が長方形流路の短辺方向に流速分布を発生しても、短辺方向に超音波出力強度の大きい超音波変換器を備えているので、高さ方向の流速分布を超音波が伝播することによる平均化により、流体の流速を高精度に計測することができる。このため高精度な超音波流量計を実現することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波流量計は、断面形状が長方形の流路と、前記流路の断面における短辺方向の側壁部に取り付けた一対の超音波変換器と、前記一方の超音波変換器から前記流路内へ送信された超音波を前記他方の超音波変換器で受信し超音波伝播時間を計測して流量を演算する超音波流量計であって、前記一対の超音波変換器は、縦方向に超音波出力の大きい矩形状の超音波出力分布を持ち、この縦方向が、流体の流れる方向および超音波の伝播する方向に垂直となるように流路に取り付けたもので、短辺方向に流速分布が発生しても、高精度に流体の流速を計測することができる。このため、高精度な超音流量計を実現することができる。
【0009】
また、複数個の超音波変換器を、断面形状が長方形流路の高さ方向に一列に並べて、高さ方向の超音波出力強度が大きくなる構成とした。この構成により、短辺方向に流速分布が発生しても、高精度に流体の流速を計測することができる。このため、高精度な超音流量計を実現することができる。
【0010】
また、高さ方向に一列に並べた複数個の超音波変換器を、並列駆動し、並列受信する構成とした。この構成により、高さ方向の超音波出力強度が更に大きくすることができ、高さ方向に流速分布が発生しても、高精度に流体の流速を計測することができる。このため、高精度な超音流量計を実現することができる。
【0011】
また、凸状の缶ケース内面に、幅Wが厚さTよりも小さい角柱からなる縦振動する圧電体を複数個形成し、かつ、凸状缶ケースの外面に音響整合層を形成してなる超音波変換器とし、高さ方向の超音波出力強度が大きくなる構成とした。これにより、高精度な超音波流量計を実現できる。
【0012】
また、直方体の縦振動圧電体に複数本の溝を形成し、幅Wが厚さTよりも小さい角柱を構成し、超音波変換器とした。この構成により、高さ方向に超音波出力強度の大きい超音波変換器を簡単に構成することができ、高精度な超音波流量計を実現できる。
【0013】
また、凸状の缶ケース内面に、幅Wが厚さTよりも小さく、長さLが厚さTの2倍以上、4倍以下の矩形状の縦振動する複数個の圧電体を、幅方向に形成し、かつ、凸状缶ケースの外面に音響整合層を形成し、高さ方向に超音波出力強度の大きい超音波変換器を、より簡単に構成することができた。この構成により、高精度な超音波流量計を実現することができる。
【0014】
また、平板状の縦振動圧電体に複数の溝を形成し、幅Wが厚さTよりも小さく、長さLが厚さTの2倍以上、4倍以下の矩形状とし、超音波変換器を構成した。この構成により、高さ方向に超音波出力強度の大きい超音波変換器を、より簡単に構成することができた。この構成により、高精度な超音波流量計を実現することができる。
【0015】
また、缶ケースの外面に、縦振動する圧電体の接着されている部分にのみ音響整合層を形成し、超音波変換器を構成した。この構成により、超音波が、音響整合層の部分から送信、あるいは受信されることになり、S/Nが向上した超音波変換器となる。このため、高精度な超音波流量計を実現できる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、図中の同一番号を付けているものは、同一なものを示しているので、説明を省略する。
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における超音波流量計1の平面断面図を示し、流体の流れる流路2の上流側と下流側とに一対の超音波変換器3、4を流体を介し対向して設置した。超音波変換器3、4間の距離Ldは、約100[mm]、流路2の断面積Srは約30[mm^2]とした。なお、図中の片矢印5(実線)は流体の流れる方向を示し、両矢印6(破線)は超音波の伝搬する方向を示している。なお、流体の流れる方向は、超音波の伝搬する方向とは角θ(45度)で交叉するようにした。
【0018】
図2に、計測回路のブロック図を示す。計測開始信号がトリガー7から発信されると、駆動回路8は、バースト信号からなる駆動信号を送信側切換スイッチ(SW)9に接続されている上流側の超音波変換器3に供給する。上流側の超音波変換器3から超音波が流路内に送信され、下流側の超音波変換器4で受信される。
【0019】
この受信信号は受信側切換SW10を介して増幅器11に伝達される。この信号は、ただちに時間計測回路14に伝達され、上流側超音波変換器3から下流側の超音波変換器4への超音波伝播時間(T34)が計測される。同様にして、下流側超音波変換器4から上流側の超音波変換器3への超音波伝播時間(T43)も計測される。
【0020】
このようにして時間計測された結果は、演算部15に伝達され、流量演算が実施される。以下に数字を用いてより具体的に説明する。
【0021】
超音波の音速Vs、流路2を流れる流体の流速をVf、上流側の超音波変換器から下流側の超音波変換器への超音波の伝播時間計測結果をT(34)とした時の、それぞれの関係は、以下のようになる。
【0022】
T(34)={Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]}
同様にして、下流側の超音波変換器4から上流側の超音波変換器3への超音波の伝播時間測結果をT(43)とすると、以下のようになる。
【0023】
T(43)={Ld/[Vs―Vf×cos(θ)]}
これらより、
T(34)=Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]
T(43)=Ld/[Vs―Vf×cos(θ)]
従って、
Vs+Vf×cos(θ)=Ld/T(34)
VsーVf×cos(θ)=Ld/T(43)
これらより、上の式から下の式の両辺を引き算すると、超音波の音速Vsの項を消去することができ、以下のようになる。
【0024】
2×Vf×cos(θ)=Ld×[{1/T(34)}―{1/T(43)}]
この結果より、超音波変換器間の距離Ldおよび交差角(θ)は、それぞれ既知であるので、簡単に計算することができる。このようにして流体の流速Vfが得られる。
【0025】
また、同様に上の式と下の式の両辺を足し算すると、流体の流速の項が消去されて、以下のようになる。
【0026】
2×Vs=Ld×[{1/T(34)}+{1/T(43)}]
この結果より、音速Vsも得られる。この流速Vfに流路の断面積Srを乗じて流量Qmを演算する。以上のような演算が、演算部15で実施される。
【0027】
図3に、用いた超音波変換器3、4の表面での超音波出力分布を示す。
【0028】
図3(a)は、本発明で用いた超音波変換器の表面での超音波出力分布を示し、16は約φ11の整合層を、細線17は超音波出力分布の等強度線を示す。また、図3(b)は、従来の超音波変換器の表面での超音波出力分布を示し、18は約φ11の整合層を、細線19は超音波出力分布の等強度線を示す。
【0029】
本実施例で用いた超音波変換器は、従来の同心円状の超音波出力分布に比べ、縦方向に超音波出力の大きい矩形状の超音波出力分布となるようにした。この縦方向に強い超音波出力分布を持つ超音波変換器を、流体の流れる流路に取り付ける際に、この縦方向が、流体の流れる方向および超音波の伝播する方向に垂直となるようにした。すなわち、超音波出力の強い縦方向が、流体の流速分布が発生する流路の高さ方向となるようにした。
【0030】
図4に、流路2に流体(空気)を流したときの流量係数の測定結果を示す。図4は、横軸に流体の流量を、縦軸に流量係数を示す。実線20は、本実施例の縦方向に超音波出力分布の大きい超音波変換器を用いて計測した結果を、破線21は、従来の同心円状の超音波出力分布を持つ超音波変換器を用いたときの結果をそれぞれ示す。
【0031】
従来の超音波変換器を用いた場合、小流量から大流量にわたって、流量係数が、約0.7から約1.0へと大きく変化したが、本実施例の縦方向に超音波分布の大きい超音波変換器を用いた場合は、流量係数の変化が、約0.85から約1.00となり、変化幅が著しく小さくなった。
【0032】
尚、流量係数Rkは、上記の流体の流速Vfから演算した流量Qmと、実際に流れた流量Qsとの比として定義される。
【0033】
通常、超音波流量計などで計測される流体の流速は、流路の中央部で計測される場合が多く、流路を流れる流体の平均流速よりも、一般的に大きく計測され、Rk=Qm/Qsで示される流量係数は、通常1.0以下となる。低流量域では、上下に大きく流体の流速分布をもつ層流となり、その流量係数は、約0.75となる。
【0034】
しかし、本実施例に示した縦方向に超音波出力分布の大きい超音波変換器を用いて流体の流速を計測すると、流路の高さ方向に発生した流体の流速分布は、縦方向に超音波出力分布の大きい超音波変換器間で計測されると、流路内を伝播する超音波の平均化特性により、流量係数の変化幅が非常に小さくなる。
【0035】
すなわち、通常の同心円状の超音波出力分布に比べ、縦方向、すなわち流速分布の方向に、超音波出力の大きい超音波変換器を用いるため、流体の流速分布をより反映した流速計測することができ、超音波流量計の流量計測精度が向上することになる。
【0036】
(実施例2)
図5に、本発明の実施例2における高さ約30[mm]、幅約40[mm]からなる長方形断面流路を有する超音波流量計の短辺を形成する流路側壁部分を示す。22は側壁部を、23は超音波変換器取り付け部を示す。取り付け部23に縦方向に超音波出力分布の大きな超音波変換器24、25、26を、縦方向に一列になるよう設置した。すなわち、超音波の出力分布の大きい方向が、流路の高さ方向となるように設置した。
【0037】
なお、流路の他方の側壁の、前記超音波変換器24、25、26と流体を介して対向する位置に、3個の超音波変換器24’、25’、26’(図示せず)を図1のように配置した。それぞれ対向する超音波変換器対、たとえば24と24’、25と25’あるいは26と26’、を用い、図2に示した計測回路で計測した。
【0038】
この構成により、流路内を流れる流体の高さ方向に発生する流速分布による流量係数の大きな変化幅を、実施例1に示したように抑えることができた。従って、高精度な超音波流量計を実現できる。
【0039】
(実施例3)
実施例2においては、両側壁の対向する各超音波変換器間で流路を流れる流体の流速を計測したが、計測回路が複数個必要となったり、信号線が煩雑になるなどするため、一方の側壁に取り付けられている超音波変換器、例えば、24、25および26を並列接続し、また他方の超音波変換器、例えば、24’、25’および26’を並列接続し、それぞれ単一の超音波変換器として動作させた。
【0040】
この構成により、流量係数の変化幅は、実施例2に示した結果よりも、約10[%]小さくなった。これは、3個の超音波変換器が同時に動作することにより、等価的に縦方向に一段と大きくなった超音波変換器として動作し、超音波の指向性が向上した結果と考えられる。
【0041】
また、計測回路が一台となり、また、信号線も簡略化することができ、非常に効率的となった。
【0042】
(実施例4)
通常、この種の超音波流量計に用いられる超音波変換器は、圧電振動効率の高い縦振動が多く用いられる。図6に、実施例1に用いた縦振動型の超音波変換器の外観を示す。27は縦振動型の縦方向に超音波出力の大きい超音波変換器を示す。
【0043】
28は、円筒状の缶ケース29の外面上に接着された円柱状の音響整合層を示す。30は、缶ケース29の底部に溶接接着された電気端子31、32を有する金属からなる台座を示す。
【0044】
図7に超音波変換器27の断面図を示す。33、34は幅Wが高さTよりも小さい角柱状の縦振動する圧電体を示し、上部および下部に焼き付け銀からなる電極35、36が形成されている。なお、高さTは、上部電極と下部電極との距離に相当する。圧電体の角柱33、34は導電性あるいは非導電性のエポキシ系の接着剤により、缶ケース29に固着されている。37は、下部の銀電極36を等電位とする厚さ0.010[mm]程度の金属箔電極を示し、導電性あるいは非導電性のエポキシ系接着剤で下部の銀電極に接着されている。なお、接着剤(図示せず)の厚さは、数ミクロン程度とした。38は、台座30から端子31を電気的に絶縁するガラスハーメチックからなる絶縁シールを示す。金属箔電極37と端子31とはリード線39を用い電気的に接続した。端子32は、台座30に溶接固定し、缶ケース29を介して、圧電体角柱33、34の上部銀電極35と電気的に接続した。
【0045】
従って、端子31、32に圧電体駆動信号を供給すると、圧電体角柱33、34は縦振動することに成る。なお、この種の超音波流量計に用いられる超音波は、数百kHzの縦振動であることが多い。この場合、高さTは、2〜5[mm]となる。また、音響整合層28の厚さは、用いる超音波の波長の(1/4)程度とし、約0.5〜2.0[mm]とした。強い縦振動を発生させるため、圧電体角柱の幅Wは、高さTよりも小さくした。また、角柱間の隙間は、角柱の幅Wの約(1/10)程度とした。この構成で、縦振動の周波数領域、および、この動作周波数以下に横振動、あるいは、その他の不要な振動が発生することがなく、強い縦振動を発生させることができる。図9に、超音波変換器27を、下から見た図を示す。なお、台座30および金属箔電極37を取り除いた場合を示している。圧電体角柱33a、33b、33c、33d、および34a、34b、34c、34dを2×4のマトリックス状に配置されている。この配置により、縦方向(圧電体角柱が4個並んだ方向)に超音波出力の大きい超音波変換器とすることができる。
【0046】
なお、上記図6の超音波変換器は、円筒状の缶ケースで構成されたものを示したが、図9に示すような方形状の缶ケース40で構成した超音波変換器41でも同様の縦方向に超音波出力の大きい超音波変換器を構成することができる。缶ケース40の内部は、図6に示した超音波変換器27と同様に、缶ケース40の長手方向に圧電体角柱が4個並ぶように、2×4のマトリックス状に配置してある。
【0047】
(実施例5)
図10に、一本の縦方向の溝42と、3本の横方向の溝43a、43b、43cを形成した直方体の圧電体44を示す。直方体の圧電体44の上面、下面に焼付け銀からなる銀電極45、46を形成した後、上記溝を、圧電体厚さの約70から90[%]の深さで形成した。この溝により、直方体の圧電体は、八つの角柱に分割され、上部銀電極45も八分割された構成となっている。なお、この溝の幅は、各角柱の幅Wの約(1/10)以下の寸法となるようにした。一方、下部電極46は全体で共通電極となる。この八分割された上部電極45と、共通の下部電極46との間に圧電体駆動信号を与えると、八分割された各角柱は、同期して縦振動することになる。なお、この場合、縦振動以外の不要な振動が発生しないように、各角柱の幅Wは、角柱の高さTよりも小さくなるようにした。
【0048】
従って、溝で八分割されたこの直方体の圧電体を、前記実施例に示した缶ケース内に、導電性あるいは非導電性のポキシ系の接着剤で固着すると、前記実施例で示したような縦方向に超音波出力の大きい超音波変換器を構成することができる。この場合、缶ケース側に共通の下部電極46を接着すると、八分割された各上部電極を等電位とする金属箔が必要となる。一方、八分割された各上部電極を、缶ケース側に接着すると、下部の共通電極が八分割された角柱の共通電極となり、一方八分割された上部電極は、金属製の缶ケースを介して等電位となるので、金属箔電極は不要となり、組み立て効率が大変向上するという利点も得られる。
【0049】
(実施例6)
図11に、4本のそれぞれ上下に焼付け銀からなる上部銀電極47、下部銀電極48を有する直方体の縦振動する圧電体49を示す。各直方体は、図示したように幅W、長さL、高さTとすると、幅Wは高さTよりも小さく、長さLは高さTの2倍以上、4倍以下となるように構成した。この構成により、各直方体の上部電極47と下部電極49との間に、圧電体駆動信号を印加すると、高さTにより規制される縦振動が発生する。なお、幅Wによって規制される横振動は、高さTのよって規制される縦振動の1.5倍以上もの高い周波数となり、また長さLによって規制される横振動は、高さTによって規制される縦振動の(1/2)以下の周波数となるため、高さTによって規制される縦振動とは、周波数が大きく異なることになる。
【0050】
従って、縦振動の不要振動とはならず、効率のよい縦振動が得られる。このような上下に電極を有する直方体49を図示したように、直方体の幅Wの約(1/10)程度に近接させ、上記実施例に示した凸状の缶ケースに導電性あるいは非導電性エポキシ系接着剤で固着すると、前記実施例で示したような縦方向に超音波出力の大きい超音波変換器を構成することができる。この場合の縦方向とは、各直方体の上もしくは下の中央部を結ぶ方向で、矢印50で示した方向である。
【0051】
(実施例7)
図12に、横方向に3本の溝51、52、53を形成し、直方体の圧電体54を4分割した構成とした。溝深さは、直方体の圧電体54の高さTの約70から90[%]の深さとした。このようにして実施例6と同様の構成となるよう圧電体に溝をいれた。なお、溝の幅は、実施例6と同様、圧電体の幅の約(1/10)程度とした。この構成によっても、縦方向(矢印55)に超音波出力の大きい超音波変換器を構成することができる。実施例6に比べ、組み立て性は一段と向上した。
【0052】
(実施例8)
図13に、円筒状の缶ケース上面56の音響整合層57を示す。音響整合層57は、実施例1で示した円柱状の音響整合層から、缶ケース内面に圧電体がある部分だけを残し、それ以外の音響整合層を除去した形状とした。この形状により、超音波出力が音響整合層57の部分に集約され、より際だった超音波出力分布を示した。このように音響整合層を圧電体のある部分にのみ限定した場合の超音波出力分布を、図14に示す。図14は、超音波変換器表面の超音波出力分布を示し、横軸は図13に示した破線58に沿った横方向の位置を示し、縦軸はその場所での超音波出力を示す。実線59は音響整合層を圧電体のある部分に限定した場合の出力分布を、破線60は缶ケース全面に音響整合層がある場合の結果を示す。なお、超音波出力は、分布形状を比較するために、最大値を一致させて表示した。同図において、缶ケース全面に音響整合層がある場合の結果(破線60)の最大値の約(1/2)の幅が、圧電体のある部分にほぼ一致した。なお、超音波出力の最大値は、音響整合層を圧電体のある部分に限定した場合のほうが、約10[%]大きい値が得られた。これは、音響整合層のある部分に超音波出力が限定されるためと考えられる。このように、音響整合層を圧電体の接着されている部分にのみ限定することにより、より縦方向に超音波出力の大きい超音波変換器を構成することができる。より縦方向に超音波出力の大きいこの超音波変換器対を用いることにより、より高精度な超音波流量計が実現できる。
【0053】
このように缶ケース表面の一部に音響整合層が限定され、缶ケース表面の一部が露出している超音波変換器対を用いて超音波流量計を構成すると、TTE(3回反射)が減少するという効果も得られた。これは、上流側あるいは下流側の超音波変換器から送出された超音波が、他方の超音波変換器で反射する時に、音響整合層の部分で反射する超音波と、露出した缶ケースの表面部分で反射する超音波とが、位相がお互い若干異なるため、干渉し、その強度が減少するためと考えられる。従って、繰り返し計測するシングアラウンド方式を用いる超音波流量計には、より適した超音波変換器となる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精度な超音波流量計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における超音波流量計の平面断面図
【図2】 同流量計における計測の回路ブロック図
【図3】 (a)同流量計における超音波出力分布図
(b)同流量計における他の超音波出力分布図
【図4】 同流量計における流量特性図
【図5】 本発明の実施例2における超音波変換器の取り付け部を示す図
【図6】 本発明の実施例4における超音波変換器の外観図
【図7】 同変換器の断面図
【図8】 同変換器の裏面図
【図9】 本発明の実施例4における方形状の超音波変換器の外観図
【図10】 本発明の実施例5における八分割された圧電体の外観図
【図11】 本発明の実施例6における直方体状圧電体の外観図
【図12】 本発明の実施例7における四分割された圧電体の外観図
【図13】 本発明の実施例8における超音波変換器の外観図
【図14】 同変換器における超音波出力分布図
【図15】 従来の超音波流量計の平面断面図
【符号の説明】
1 超音波流量計
2 流路
3 上流側の超音波変換器
4 下流側の超音波変換器
28 音響整合層
29 缶ケース
33、34 圧電体角柱
35 上部銀電極
36 下部銀電極

Claims (8)

  1. 断面形状が長方形の流路と、前記流路の断面における短辺方向の側壁部に取り付けた一対の超音波変換器と、前記一方の超音波変換器から前記流路内へ送信された超音波を前記他方の超音波変換器で受信し超音波伝播時間を計測して流量を演算する超音波流量計であって、前記一対の超音波変換器は、縦方向に超音波出力の大きい矩形状の超音波出力分布を持ち、この縦方向が、流体の流れる方向および超音波の伝播する方向に垂直となるように流路に取り付けたことを特徴とする超音波流量計。
  2. 複数個の超音波変換器を、断面形状が長方形流路の高さHrの方向に一列に並べてなる請求項1記載の超音波流量計。
  3. 複数個の超音波変換器を、並列駆動し、並列受信してなる請求項2記載の超音波流量計。
  4. 凸状の缶ケース内面に、幅Wが厚さTよりも小さい角柱からなる縦振動する圧電体を複数個形成し、かつ、前記凸状の缶ケースの外面に音響整合層を形成してなる超音波変換器からなる請求項1記載の超音波流量計。
  5. 直方体の縦振動圧電体に複数本の溝を形成し、幅Wが厚さTよりも小さい角柱を構成してなる請求項4記載の超音波流量計。
  6. 凸状の缶ケース内面に、幅Wが厚さTよりも小さく、長さLが厚さTの2倍以上、4倍以下の矩形状の縦振動する複数個の圧電体を、幅方向に形成し、かつ、前記凸状の缶ケースの外面に音響整合層を形成してなる超音波変換器からなる請求項1記載の超音波流量計。
  7. 平板状の縦振動圧電体に複数本の溝を形成し、幅Wが厚さTよりも小さく、長さLが厚さTの2倍以上、4倍以下の矩形状を構成してなる請求項6記載の超音波流量計。
  8. 音響整合層を、圧電体の接着されている部分にのみ形成してなる超音波変換器を備えた請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波流量計。
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