JP3948297B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明でかつ高強度である積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下PETという)フィルムは優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性を有し、産業用途に広く使用されている。また、近年では、IT分野の需要拡大に伴い、機器の小型化に拍車がかかりフィルムも薄膜化が必須となってきており、それに伴い、高強度、透明性が強く要求されるようになってきた。
【0003】
このような流れの中で、ポリエチレンテレフタレートを主体としたポリエステルフィルムは、強度不足も指摘され始め、これに代わるフィルムとして、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムなどが開発されてきているが、かなり高価なフィルムであり、工業製品として汎用的に使用するには至っていない。
【0004】
一方、樹脂成型物としては、ポリマー中に粒子を含有させてヤング率などを高める試みとして、ナノコンポジットの研究がさかんであるが、主として、ナイロン系の樹脂を対象としたものであり、ポリエステル系樹脂においては有効な技術は見出されておらず、また、このような従来型の粒子配合系では粒子の屈折率差により、透明性が損なわれるといった問題も抱えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記した従来技術の問題を解決し、高強度でかつ透明性の高い積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための本発明は、総積層数が8以上のポリエステルからなる積層フィルムであって、それらの層のうち少なくとも3層が次式(I)と(II)を同時に満足する粒子含有層であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムである。
【0007】
1≦D≦20 ・・・(I)
0.5≦D/d≦2 ・・・(II)
D:平均粒子径(nm)
d:粒子含有層の厚み(nm)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における粒子とは、無機粒子、有機粒子および無機/有機複合粒子を問わない。具体的には、無機粒子としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの酸化物、カオリナイト、タルク、ゼオライトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウムなどのチタン酸塩などが挙げられるが特にこれに限定される訳ではない。また、有機粒子としては、テフロン(登録商標)粒子、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、アクリル・スチレン共重合体粒子、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体粒子などが挙げられる。また無機/有機複合粒子としては、例えば上記のような無機粒子表面に、より小さい粒子径の有機粒子を複合させた粒子、有機粒子表面に、より小さい無機粒子を複合させた粒子、無機粒子とポリマー中の添加物の析出を利用した析出型内部粒子を複合させた粒子などが挙げられるがこれに限定されるものではない。複合の方法としては、例えば、軟化させた有機粒子と無機粒子を機械的な衝撃をもって吸着させる方法、ヘテロ凝集を利用して吸着させる方法、有機粒子および無機粒子表面に反応性官能基を導入し、これらの官能基の共有結合(またはイオン結合)によって複合する方法、無機粒子を核剤として内部粒子を析出させる方法などを挙げることができる。
【0009】
本発明で用いられる粒子は、その平均粒子径D(nm)が、1≦D≦20の範囲内にある。平均粒子径D(nm)は好ましくは、1≦D≦10の範囲であり、より好ましくは、1≦D≦8の範囲である。平均粒子径Dが20nmより大きくなると、ポリマーとの相互作用が小さくなり、目的とする高強度が達成されないばかりか、ボイドの生成、粒子による光の吸収および/または反射などが原因で、透明性が損なわれることがあり好ましくない。また、平均粒子径Dが1nmを下回ると、重合時に増粘したり、再溶融時にゲル化、熱分解を起こしやすく、これにより粘度が変化し、積層厚みむらを生じる原因となる。なお、ここでいう平均粒子径Dとはフィルムを超薄切片で切りだし、電子顕微鏡で粒子径を測定した球状換算の体積平均粒子径を意味する。
【0010】
本発明で用いる粒子の添加方法は、特に限定されるものではないが、一般的には、▲1▼ポリエステル重合工程中に合成した粒子を添加する方法、▲2▼ポリエステルに二軸押出機等で粒子を添加・混練する方法、▲3▼ポリエステルの反応系で粒子の前駆体を添加し、ポリエステルを合成しながら粒子も合成する方法などがある。▲1▼の方法は、例えば、エステル化反応もしくはエステル交換反応により低重合体を合成する前もしくは重縮合反応前に、グリコールでスラリー化したものを添加する方法や、重縮合反応終了時に添加、混練し、再重合を経て吐出する方法などが採用される。また、▲2▼の方法は、例えば、二軸押出機などによる添加・混練の方法としては、粒子粉体とポリエステルとを別々のホッパーから供給し、直接混練する方法、粒子を水もしくはグリコールなどの分散媒でスラリー化し、ベント付き押出機に供給して、分散媒を除去しながら混練する方法が採用される。▲3▼の方法としては、例えば、金属アルコキシド化合物をポリエステルの反応系に添加し、ポリエステルの反応系内の微量の水分によって加水分解させてポリエステル反応系内で粒子を合成する方法、低分子量のポリエステルに可溶な金属化合物を添加し、重合後半に溶解度差を利用して粒子を合成させる方法、ポリエステルに可溶な金属化合物をポリエステル中で酸化反応または還元反応により粒子を合成する方法などが挙げられる。本発明では、いずれの方法でも構わないが、粒子の分散性の面から考えて、▲1▼または▲3▼の方法が好ましく、さらに好ましくは、▲3▼の方法である。
【0011】
平均粒子径は、▲1▼、▲2▼の方法では、粒子の合成条件や粉砕・分級などの条件でコントロールすることが好ましい。また、▲3▼の方法では、反応系の末端基濃度、反応温度、攪拌速度などによって平均粒子径をコントロールすることができる。
【0012】
本発明は、上記した粒子を含有する層を少なくとも3層有し、平均粒子径D(nm)と粒子含有層の厚みd(nm)の間の関係は、0.5≦D/d≦2であることが必須であり、好ましくは、0.5≦D/d≦1.5、さらに好ましくは、0.5≦D/d≦1.2である。D/dが、0.5より小さい場合は、透明性が損なわれ、2より大きい場合は、目的とする高強度が得られない。
【0013】
また、本発明における積層フィルムにおいては、本発明の効果を妨げない範囲において平均粒子径が20nmを超える粒子を含有していても構わない。具体的には、最外層の一層に平均粒子径が20nmを超える粒子を含有せしめることにより、フィルムの走行性、耐ブロッキング性などの機能向上を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、総積層数n(層)が8以上であることが必須であり、好ましくは64以上である。総積層数が8より小さいと目的とする高強度を達成することが難しい。また、総積層数に上限はないが、小型のコンデンサー用フィルムのようにフィルム厚みが非常に薄い用途の場合や、農業用フィルムのようにフィルム厚みが厚い用途の場合など、目的とするフィルムの厚みに応じて総積層数を決定することが好ましい。必要に応じて、例えば1,000層以上積層することも可能である。
【0015】
さらに、上記式(I)、(II)を同時に満足する粒子含有層を少なくとも3層有していると、積層ポリエステルフィルムの強度向上をより効率的に図ることができ好ましい。さらに好ましくは、5層以上である。
【0016】
本発明における粒子含有層におけるポリエステル組成物に対する含有量は、フィルムの透明性を維持しつつ、効率的に高強度化を図ることができることから、0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%である。含有量が0.01重量%を下回ると、ポリエステルとの相互作用が小さくなり、目的とするフィルム強度を得られないことがある。また、30重量%を超えると、粒子が凝集しやすくなることがあり、ボイドの生成、フィルムの白化の原因になることがある。
【0017】
本発明の粒子の形状は、特に限定はないが、粒子含有層が最表層の場合は、表面に突起が形成されるため、均一な表面設計のためには、球形に近いことが好ましい。
【0018】
本発明で用いられるポリエステルは、種々のポリエステルの製造方法に従って製造することができる。すなわち、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、この反応生成物を減圧下で加熱して、余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造することができる。また、酸成分としてジカルボン酸を用いて、直接重合法により製造することもできる。
【0019】
本発明におけるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレートおよびポリブチレン−2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、その他共重合成分として、各種ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールを共重合して、耐熱性、高剛性、制電性等さらなる特性を付与することもできる。
【0020】
共重合し得るジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸もしくはこれらのエステル形成性誘導体等を使用することができる。その他、共重合し得る脂環族ジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。また、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、その他のジカルボン酸も共重合成分として用いることができる。
【0021】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の脂肪族、脂環族、芳香族ジオール等を使用することができる。これらの成分は1種のみ用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
【0022】
また、エステル化およびエステル交換反応には、種々の触媒を用いることができ、たとえば、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸リチウムなどの酢酸塩や、テトラエチレングリコキシドチタンなどのチタン化合物などを用いることができる。重合触媒としては、例えば三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、テトラエチレングリコキシドチタンなどを用いることができる。
【0023】
本発明で用いられるポリエステル組成物中のリン元素含有量は、5〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜400ppmである。リン元素含有量が5ppm未満であると、ポリエステルの難燃性が低下し、耐熱性も低下する。また、500ppmを超えると、ポリエステルの重合時に重合反応を阻害したり、または増粘を起こしたりする傾向がある。また、ポリエステルの静電印加キャスト性も低下する。
【0024】
ポリエステル組成物に対するリン元素の含有方法は、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルなどを重合反応工程、好ましくはエステル交換反応終了後もしくは重合反応開始前に添加する手段が採用される。なお、重合工程中に、これら化合物を添加する場合、1〜3割程度は反応系外に飛散するので、その飛散分を見越した量を添加することが好ましい。
【0025】
本発明で用いられるポリエステルは、種々の溶融押出製膜方法により製膜し、フィルムとすることができる。すなわち、ポリマーを乾燥後、T型口金を備えた1軸もしくは2軸の溶融押出機に供給、矩形積層部を備えた3層またはそれ以上の合流ブロックにて、各層が目的の厚み比および構成となって積層するように、ポリエステル溶融温度にてキャスティングドラム上に押し出し、静電印加キャストして未延伸フィルムを得る。また、配向ポリエステルフィルムを得るためには、さらにこれを逐次2軸延伸、あるいは同時2軸延伸、熱処理することにより、配向ポリエステルフィルムを得ることが出来る。
【0026】
総積層数を3以上にするためには、例えば溶融押出機とT型口金の間にスタティックミキサーを組みこむことによっても達成できる。例えば、2層のものをスタティックミキサーで2分割し、上下に重ねることで4層となる。これを2回繰り返すと、8層、さらにもう一回行うと16層というように、簡単に偶数層の総積層数を有する複合フィルムを製造することが可能である。さらに、押出機をスタティックミキサーの前後に適宜追加して偶数・奇数を問わず任意の所望の総積層数を有するフィルムを得ることができる。特に、最表層に位置するフィルム層を、種々の機能性を有する層として内層とは異なる組成の層となるように構成することも可能である。
【0027】
延伸倍率は、とくに制限のあるものではないが、好ましくは縦、横それぞれ2〜5倍が適当である。横延伸後、縦、横方向のいずれかに再延伸してもよい。また、易接着層、粒子層等を形成する場合は、延伸前、または縦延伸と横延伸の間でコーティング成分をインラインで塗布してもよいし、延伸後オフラインコーティングしてもよい。
【0028】
本発明におけるポリエステルフィルムは光学特性に優れ、ガラス部材の張り合わせ用途、光学用部材、製品の保護フィルム、磁気記録媒体用ベースフィルムなどに、好適に用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性は、次の方法により測定した。
【0030】
A.ポリマー中の粒子の平均粒径
積層ポリエステルフィルムの断面を厚み0.2μmの超薄片にカッティング後、透過型電子顕微鏡で、少なくとも50個の粒子について観察し測定を行った。
【0031】
B.積層厚みの測定
積層ポリエステルフィルムの断面を厚み0.2μmの超薄片にカッティング後、透過型電子顕微鏡で観察し測定を行った。積層厚みがわかりにくい場合は、同じ条件で染色可能な物質をポリエステルに含有させるなどして製膜を行い観察し測定を行った。
【0032】
C.フィルムヘイズの測定(厚み50μm)
JIS−K−6714により、日本精密光学(株)ヘイズメータSEP−H−2で測定し、フィルムヘイズが5.0%未満を合格とした。
【0033】
D.ヤング率の測定
テンシロンを用いて、引っ張り速度300mm/minで、フィルムの幅方向、長手方向それぞれについて、10点測定し、最大値、最小値を除いた8点について平均値を算出し、それぞれのヤング率とした。さらに、幅方向、長手方向のヤング率の合計で以下の通り評価した。
【0034】
A:14GPa以上
B:12GPa以上14GPa未満
C:10GPa以上12GPa未満
D:10GPa未満
A、Bを合格とした。
参考例として粒子の調整方法について述べる。
【0035】
(参考例1)シリカ粒子の調製
ケイ酸ナトリウム3.5重量%溶液をH型イオン交換樹脂カラムを通して脱塩し、これに、水酸化ナトリウム1.5重量%溶液を加えてPH9とし、100℃で10分間加熱して平均粒子径5nmのシリカスラリーを得た。
【0036】
このスラリーをエチレングリコールで置換し、シリカ10重量%エチレングリコールスラリーとした。
【0037】
(参考例2)シリカ粒子の調製
参考例1と同様に脱塩したケイ酸ナトリウム3.5重量%溶液に水酸化ナトリウム1.5重量%溶液を加えてPHを9に調整したものを、参考例1のエチレングリコール置換前のスラリーに少量ずつ加え、攪拌しながら90℃に保ち、目的とする粒子径になるまで成長させた。
【0038】
成長させた後、エチレングリコールと置換し、シリカ20重量%エチレングリコールスラリーとした。
【0039】
(参考例3)アルミナ粒子の調製
2×10-3mol/lの硫酸アルミニウム溶液を0.5℃/minの速度で98℃まで昇温後、80時間保持し、平均粒子径700nmのアルミナスラリーを得た。
【0040】
得られたアルミナスラリーをエチレングリコールで置換し、アルミナ20重量%エチレングリコールスラリーとした。
【0041】
(参考例)
テレフタル酸ジメチル100重量部に対し、エチレングリコール44重量部、テトラエチレングリコキシドチタン0.008重量部を仕込み、150℃で溶解後、攪拌しながら240℃まで昇温した。実質的に、エステル交換反応が終了した時点で、リン酸0.008重量部、非晶質の二酸化ゲルマニウム0.015重量部、参考例2の方法で平均粒子径が15nmになるように調整したシリカ20重量%エチレングリコールスラリーを0.5重量部添加した。260torrで30分間初期重合反応を行った後、乾燥窒素で常圧にもどし、再度、0.1torr以下になるまで徐々に減圧し、重縮合反応を行い、ポリエステルAを得た。
【0042】
粒子を添加しない以外は、全く同様にして、ポリエステルBを得た。
【0043】
得られたポリエステルAが最外層、ポリエステルBが中間層、すなわち積層構成がA/B/Aとなるように、溶融押出しし、縦延伸温度90℃で3.5倍、横延伸温度93℃で3.5倍に延伸し、二軸延伸フィルムを得た。
【0044】
評価結果は、積層比が0.03/30/0.03μm、D/d=0.5、表1に示すとおり、良好であった。
【0045】
(実施例1)
スタティックミキサーを用いて、積層構成をA/B/A/B/A/B/A/Bの8層積層に変更し、A層を0.015μm(D/d=1.0)、B層8μmと積層厚みを変更する以外は参考例と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0046】
(実施例2)
粒子を参考例1の平均粒子径5nmのシリカを用いる以外はポリエステルAと同様に重合を行いポリエステルCを得た。ポリエステルAの代わりにポリエステルCを用いてC層0.010μm(D/d=0.5)とする以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0047】
(実施例3)
参考例2の方法で平均粒子径20nmのシリカ粒子を合成した。ただし、エチレングリコール置換は行わず、水スラリーとして5重量%になるように調整した。
【0048】
次に、実施例1のポリエステルBと該シリカスラリーをベント付き二軸押出機にて混練し、シリカ粒子濃度0.1重量%のポリエステルDを得た。
【0049】
ポリエステルAの代わりにポリエステルDを用い、D層の厚みを0.020μm(D/d=1.0)とする以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0050】
(実施例4)
溶解、攪拌しているビスヒドロキシエチルテレフタレート70重量部に対し、テレフタル酸43重量部とエチレングリコール19重量部、及び、参考例1と同様に脱塩したケイ酸ナトリウム3.5重量%溶液に水酸化ナトリウム1.5重量%溶液を加えてPHを9に調整したものをケイ素として0.05重量部とを混合して、エステル化反応を行い、反応終了後、リン酸を0.008重量部、二酸化ゲルマニウムをテトラエチルアンモニウムハイドライドで溶解しエチレングリコールで10重量%に稀釈、調整したものを二酸化ゲルマニウムとして0.015重量部となるように添加し、重縮合反応を行った。
【0051】
得られたポリエステルをポリエステルEとし、ポリエステルAの代わりにポリエステルEを用いて、E層の厚みを0.0083μm(D/d=1.2)とする以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0052】
また、ポリエステルEを透過型電子顕微鏡で観察した所、平均粒子径約10nmの粒子の存在が確認された。さらに、ポリエステルEを100℃のオルトクロロフェノールで溶解し、未溶解物を遠心分離器で分取した結果、ポリエステルに対し約0.1重量%のケイ素含有微粒子が得られた。
【0053】
(実施例5)
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール52重量部、テトラエチレングリコキシドチタン0.008重量部を仕込み、180℃で溶解後、攪拌しながら240℃まで昇温した。実質的に、エステル交換反応が終了した時点で、リン酸0.008重量部、非晶質の二酸化ゲルマニウム0.015重量部、参考例2の方法で平均粒子径が15nmになるように調整したシリカ粒子20重量%エチレングリコールスラリーを0.5重量部添加した。260torrで30分間初期重合反応を行った後、乾燥窒素で常圧にもどし、再度、0.1torr以下になるまで徐々に減圧し、重縮合反応を行い、ポリエステルFを得た。
【0054】
粒子を添加しない以外は、全く同様にして、ポリエステルGを得た。
【0055】
該ポリエステルF、Gを用い、積層構成をF/G/F/G/F/G/F/Gの8層積層になるように溶融押出しし、縦延伸温度135℃で5.0倍、横延伸温度135℃で4.0倍にそれぞれ延伸して二軸延伸フィルムを得た。
【0056】
このときの厚みは、F層0.015μm(D/d=1.0)、G層8μmであった。
【0057】
(実施例6)
参考例2の方法で平均粒子径200nmのシリカ粒子を合成した。粒子を平均粒子径200nmのシリカに、ポリエステル中の粒子濃度を0.05重量%に変更する以外はポリエステルAと同様にして重合を行い、ポリエステルHを得た。
【0058】
ポリエステルA、Bをスタティックミキサーを用い16層構成としたものに、さらにポリエステルHを積層し、A/B/A/B/・・・・・/B/Hの17層構成として実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0059】
このときA層0.015μm(D/d=1.0)、B層8μm、H層1.0μmであり、H層を走行面としたときの走行性が良好なフィルムであった。
【0060】
(実施例7)
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸ジメチルを97重量部、イソフタル酸ジメチルを3重量部とする以外はポリエステルAと全く同様にしてポリエステルIを得た。
【0061】
ポリエステルA、B、Iをスタティックミキサーを用いてA/B/I/A/B/I/A/B/I/A/B/Iの12層構成とする以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0062】
このときA層0.015μm(D/d=1.0)、B層8μm、I層1.0μmであり、I層をガラス貼合せ面としたときの密着性に優れたフィルムであった。
【0063】
(実施例8)
ポリエステルB、Eをスタティックミキサーを用いてE/B/E/B/・・・・E/Bの64層構成とし、縦延伸温度85℃で3.5倍、横延伸温度90℃で3.5倍に延伸し、再度、95℃で縦横1.1倍に同時二軸延伸して二軸延伸フィルムを得た。このときE層0.007μm(D/d=1.4)、B層1.0μmであり、実施例9に次いで高いヤング率を示した。
【0064】
(実施例9)
ポリエステルB、Cをスタティックミキサーを用いて、C/B/C/B/・・・・・C/Bの順に1,024層構成とし、縦延伸温度90℃で3.8倍、横延伸温度90℃で3.5倍に延伸し、再度95℃で縦横1.2倍に同時二軸延伸して二軸延伸フィルムを得た。このときC層0.005μm(D/d=1.0)、B層0.05μmであり、実施例5、比較例3に次いで高いヤング率を示し、PETとしては実施例中で最も高いヤング率を示した。
(比較例1)
参考例2の方法で平均粒子径500nmのシリカ粒子20重量%エチレングリコールスラリーを得た。
【0065】
該シリカスラリーを用い、ポリエステルAと同様にしてポリエステルJを得た。ポリエステルJを用い、D/d=0.05とし、単層で製膜する以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
(比較例2)
参考例3の方法で平均粒子径700nmのアルミナ粒子20重量%エチレングリコールスラリーを得た。
【0066】
該アルミナスラリーを用い、粒子濃度を0.3重量%とする以外はポリエステルAと同様にしてポリエステルKを得た。ポリエステルAの代わりにポリエステルKを用い、K層の厚みを0.7μm(D/d=1.0)とする以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
(比較例3)
参考例2の方法で平均粒子径550nmのシリカ粒子20重量%エチレングリコールスラリーを得た。
【0067】
粒子として、該シリカをもちい、粒子濃度をポリエステルに対して0.3重量%とする以外はポリエステルFと同様にしてポリエステルLを得た。ポリエステルFの代わりにポリエステルLを用い、L層の厚みを0.55μm(D/d=1.0)とする以外は実施例5と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、光学特性に優れた、ガラス部材の張り合わせ用途、光学用部材、製品の保護フィルム、磁気記録媒体用ベースフィルムなどに、好適に用いることができるフィルム素材を提供することができる。
Claims (3)
- 総積層数が8以上のポリエステルからなる積層フィルムであって、それらの層のうち少なくとも3層が次式(I)と(II)を同時に満足する粒子含有層であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
1≦D≦20 ・・・(I)
0.5≦D/d≦2 ・・・(II)
D:平均粒子径(nm)
d:粒子含有層の厚み(nm) - 式(I)、(II)を同時に満足する粒子含有層の粒子含有量が0.01〜30重量%である、請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
- 粒子含有層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレートおよびポリブチレン−2,6−ナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステルを含んでいる、請求項1または2記載の積層ポリエステルフィルム。
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