JP3947489B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラープリンタなどのフルカラー画像や多色画像の形成可能な画像形成装置に関し、より詳細には、複数の電子写真感光体と互いに異なる色の現像剤を収容する複数の現像手段とを備えるタンデム方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタおよびファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)の表面を帯電手段によって所定の電位に一様に帯電させ、露光手段によって画像情報に応じた露光を施し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して、トナーなどを含む現像剤を現像手段から供給し、可視像であるトナー画像を形成する。形成されたトナー画像を転写手段によって記録用紙などの記録媒体上に転写し、定着手段によって定着させる。なお、転写手段による転写動作後に感光体表面に残留するトナーは、清掃手段に備わるクリーニングブレードによって感光体表面から剥離され回収される。
【0003】
電子写真プロセスを用いてフルカラー画像または多色画像を形成する場合、装置内に互いに異なる色のトナーを収容する複数の現像手段を設け、各色のトナー画像を重ね合せることによって、フルカラー画像または多色画像を形成する。近年では、印字速度の高速化のために、トナーの色に対応する複数の感光体を並べて配置したタンデム方式の画像形成装置が用いられるようになってきている。タンデム方式の画像形成装置では、フルカラー画像情報や多色画像情報に対応する複数の成分色画像を各感光体上にそれぞれ形成して記録用紙上に順次積層転写し、フルカラー画像や多色画像を合成再現した画像形成物を出力する。このようなタンデム方式の画像形成装置は、フルカラー画像形成装置、多色画像形成装置またはフルカラー画像と多色画像との両方を形成することのできる画像形成装置として有用である。
【0004】
フルカラー画像や多色画像を形成することのできるタンデム方式の画像形成装置は、通常、シアン色、マゼンタ色、イエロー色および黒色の各色のトナーをそれぞれ収容する4個の現像手段と、シアン色の画像形成に使用されるシアン色用感光体、マゼンタ色の画像形成に使用されるマゼンタ色用感光体、イエロー色の画像形成に使用されるイエロー色用感光体および黒色の画像形成に使用される黒色用感光体の4個の感光体とを含んで構成される。画像形成装置では、フルカラー画像や多色画像の形成だけでなく、白黒画像などの単色画像の形成も頻繁に行われる。したがって、実行される動作制御は、感光体の摩耗を抑えるために、使用者の指定する画像形成モードに応じて変更される。
【0005】
たとえば、使用者によってフルカラー画像出力モードが指定された場合、シアン色用、マゼンタ色用、イエロー色用および黒色用の各感光体の位置を転写搬送ベルトに接する動作位置に設定し、各感光体を回転駆動させ、各感光体に対する帯電動作、露光動作および現像動作を実行させ、それによって各感光体上に形成されるトナー画像を記録用紙上に転写させる。これによって記録用紙上にフルカラー画像が形成される。
【0006】
一方、白黒画像出力モードが指定された場合には、まず、接離機構を駆動させてシアン色用、マゼンタ色用およびイエロー色用の各感光体を転写搬送ベルトから離間させ、これらの各感光体の回転駆動を停止させる。さらに、これらの各感光体に対する帯電動作、露光動作および現像動作も停止させる。このような状態で、黒色用の感光体のみを回転駆動させ、黒色用の感光体に対する帯電動作、露光動作および現像動作を実行させ、それによって黒色用の感光体上に形成される黒色のトナー画像を記録用紙上に転写させる。これによって記録用紙上に白黒画像が形成される。
【0007】
このように、白黒画像出力モードが指定された場合には、黒色用の感光体以外の感光体を転写搬送ベルトから離間させ、かつその回転動作を停止させるので、白黒画像出力モード指定時に不要な感光体に関して、クリーニングブレードや記録用紙、転写搬送ベルトなどによる摩耗を抑えることができる。
【0008】
この動作制御は、フルカラー画像の形成頻度の方が白黒画像の形成頻度よりも高い場合には有効である。しかしながら、実際に使用されている画像形成装置では、フルカラー画像の形成頻度よりも白黒画像の形成頻度の方が高いことが多いので、黒色用の感光体は、他の色用の感光体に比べ、相対的に摩耗が速い。通常、感光体の特性は、膜減り依存が大きく、摩耗による感光層の膜厚の減少に伴って低下するので、前述のように黒色用の感光体の摩耗速度が他の色用の感光体に比べて速いと、黒色用の感光体は他の色用の感光体よりも速く劣化する。したがって、画像形成枚数の増加に伴ってフルカラー画像に色むらが生じるという問題がある。
【0009】
この色むらは、劣化した黒色用の感光体を新しいものに交換することによって解消することができる。しかしながら、各色の画像形成に使用される4個の感光体のうち、劣化した黒色用の感光体のみを新しいものに交換した場合、交換した黒色用の感光体を用いて形成されるトナー画像と交換しなかった他の色用の感光体を用いて形成されるトナー画像との間のカラーバランスが狂い、良好な品質のフルカラー画像を得ることはできない。したがって、黒色用の感光体が劣化した場合には、劣化していない他の色用の感光体を含む4個全ての感光体を新しいものに交換する必要がある。すなわち、各色の画像形成に使用される4個の感光体の使用可能期間は、4個の感光体のうち、最も使用頻度の高い色に対応する感光体である黒色用の感光体に律速を受けるので、無駄が大きく、画像形成装置のランニングコストは高くなる。
【0010】
画像形成装置のランニングコストを抑えるためには、寿命律速となる黒色用感光体の寿命を延長し、黒色用の感光体と他の色用の感光体とを同じ期間使用できるようにすることが必要である。このための技術として、黒色用の感光体にアモルファスシリコン(α−Si)光導電層を感光層とする感光体(以下、「α−Si感光体」と称する)またはアモルファスシリコンカーバイト(α−SiC)光導電層を感光層とする感光体(以下、「α−SiC感光体」と称する)を用い、黒色を除く他の色用の感光体に有機感光体(Organic Photoconductor;略称:OPC)を用いることが提案されている。この技術では、有機感光体に比べて耐摩耗性および耐刷性に優れるα−Si感光体またはα−SiC感光体を用いることによって黒色用の感光体の寿命延長を図っているけれども、α−Si感光体およびα−SiC感光体には、有機感光体に比べて帯電性が低いという問題がある。
【0011】
この問題を解決するための技術が提案されている。たとえば、α−SiC感光体の帯電性を向上させる技術として、感光層を構成するα−SiC光導電層の厚みを30μm以上にすることが提案されている(特許文献1参照)。また、別の技術では、α−Si感光体の感光層を構成するα−Si光導電層に、α−Siよりも高い比誘電率を有するα−SiCから成る表面層を付与することによって帯電性を向上させている(特許文献2参照)。
【0012】
しかしながら、単にこのような構成にするだけでは、画像形成過程において、黒色用の感光体に使用されるα−Si感光体またはα−SiC感光体の帯電電位を、他の色用の感光体に使用される有機感光体の帯電電位と同程度にすることはできない。このため、ある技術では、黒色用の感光体の帯電に使用される帯電手段への印加電圧を、他の色用の感光体の帯電に使用される帯電手段への印加電圧の1.05〜2.50倍にすることによって、黒色用のα−Si感光体の帯電電位と他の色用の有機感光体の帯電電位との電位差を200V以下にしている(特許文献3参照)。
【0013】
このように、黒色用の感光体の長寿命化のためにα−Si感光体またはα−SiC感光体を用いる場合、α−Si感光体またはα−SiC感光体の帯電性の低さを補うために、黒色用の感光体の帯電に使用される帯電手段のみ、他の色用の感光体の帯電に使用される帯電手段と異なる制御をする必要がある。したがって、各手段の制御を行う制御手段の構成が複雑になり、その結果、製造原価が上昇する。
【0014】
またα−Si感光体およびα−SiC感光体と、有機感光体とは、帯電性以外にも光感度特性、温度や湿度の影響の受け方などが異なる。したがって、α−Si感光体またはα−SiC感光体を用いた黒色用の感光体と、有機感光体を用いた他の色用の感光体とでは、最適な露光量、転写条件などが異なるので、使用する露光手段や転写手段などを異なる構成にする必要があり、結果としてさらに製造原価が上昇する。
【0015】
また、α−Si感光体およびα−SiC感光体は、プラズマ化学気相成長(
Chemical Vapor Deposition;略称:CVD)法などを用いて製造されるので、生産性が悪く、有機感光体に比べて製造原価が極めて高い。したがって、α−Si感光体またはα−SiC感光体を用いた画像形成装置は、製造原価が高いという問題がある。
【0016】
このように、黒色用の感光体にα−Si感光体またはα−SiC感光体を用い、他の色用の感光体に有機感光体を用いた場合、結果的に画像形成装置の製造原価が上昇するという問題がある。このため、黒色用の感光体を含む全ての感光体に有機感光体を用いた画像形成装置において、黒色用の感光体の寿命を延長することが検討されている。たとえば、黒色用の感光体の感光層膜厚を、他の色用の感光体の感光層膜厚よりも厚くすること(特許文献4参照)、黒色用の感光体のみ、径を大きくすること(特許文献5参照)が提案されている。また黒色用の感光体に対してのみ、非接触式の帯電手段を用いること、黒色用の感光体を構成する電荷輸送層の膜厚を、他の色用の感光体を構成する電荷輸送層の膜厚よりも厚くすること、黒色用の感光体を構成する電荷輸送層のバインダ樹脂に、他の色用の感光体を構成する電荷輸送層のバインダ樹脂よりも粘度平均分子量の大きい樹脂を用いること、黒色用の感光体のみ、表面に保護層を設けることが提案されている(特許文献6参照)。
【0017】
また、各色の画像形成に使用される4個の感光体の使用可能期間を延長するためには、前述のように黒色用の感光体の寿命を延長し、黒色用の感光体と他の色用の感光体とを同じ期間使用できるようにするだけでなく、黒色用の感光体を含む全ての感光体の寿命を延長することが必要である。そのため、黒色用の感光体を含む全ての感光体には、機械的耐久性が高く摩耗しにくいこと、すなわち耐刷性の高い表面層を有することが求められる。感光体の表面層の耐刷性を向上させるための技術としては、たとえば、感光体の表面層に共重合ポリカーボネート樹脂を含有させることが提案されている(特許文献7参照)。
【0018】
【特許文献1】
特開平10−333393号公報
【特許文献2】
特開平11−52599号公報
【特許文献3】
特開平11−24358号公報
【特許文献4】
特開2000−242056号公報
【特許文献5】
特開2000−242057号公報
【特許文献6】
特開2001−51467号公報
【特許文献7】
特開2000−330303号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献4、特許文献5または特許文献6に記載の画像形成装置のように、黒色用の感光体の寿命を延長し、黒色用の感光体と他の色用の感光体とを同じ期間使用できるようにするために、黒色用の感光体にのみ異なる構成の感光体を使用する場合、前述の黒色用の感光体にα−Si感光体またはα−SiC感光体を用いる場合と同様に、黒色の画像形成に使用される帯電手段、露光手段および転写手段などの各手段を、他の色の画像形成に使用される各手段と異なる構成にする必要があるので、生産性が悪く、製造原価が高くなる。
【0020】
特に、特許文献4または特許文献6に記載の技術のように、黒色用の感光体の感光層または電荷輸送層の膜厚を厚くすると、黒色用の感光体の帯電性が低下する、解像力が低下するなどの問題が生じる。また特許文献6に記載の技術のように、粘度平均分子量の大きい樹脂を用いた場合、塗布によって電荷輸送層を形成することが困難になるので、黒色用の感光体の生産性が低下し、結果として画像形成装置の製造原価が上昇するという問題もある。また特許文献5に記載の技術のように、黒色用の感光体の径を大きくすると、装置本体が大きくなるという問題がある。
【0021】
また、特許文献6に記載の技術では、黒色用の感光体の表面に保護層を設けることを検討しているけれども、保護層には、露光に使用される光を吸収することなく充分に透過させることができ、かつ適切な電気抵抗値を有することが求められており、このような要求を充分に満足する保護層は開発されていない。
【0022】
また、感光体の摩耗の要因としては、記録用紙、クリーニングブレード、帯電手段および現像手段などによる擦過が挙げられ、その中でもクリーニングブレードによる擦過が感光体の摩耗の主要因であると考えられている。したがって、特許文献6に記載の技術のように、主要因ではない帯電手段に非接触式の帯電手段を用いたとしても、根本的な解決にはならず、黒色用の感光体の摩耗防止に充分な効果を得ることはできない。
【0023】
以上のように、黒色用の感光体と他の色用の感光体とを同じ期間使用できるようにするために、黒色画像の形成に使用される感光体や手段を他の色の画像形成に使用される感光体や手段と異なる構成にした場合、種々の問題が生じる。このため、黒色画像の形成に使用される感光体や手段を、他の色の画像形成に使用される感光体や手段と異なる構成にすることなく、黒色用の感光体と他の色用の感光体とを同じ期間使用できるようにすることが求められる。したがって、画像形成装置に備わる各感光体には、摩耗によって感光層の膜厚が減少した場合あっても特性の低下が小さいこと、すなわち特性の膜減り依存の小さいことが求められる。しかしながら、このように特性の膜減り依存の小さい感光体は得られていない。
【0024】
また、前述の特許文献7に記載の技術では、表面層に機械的強度の高い共重合ポリカーボネート樹脂を含有させることによって表面層の耐刷性の向上を図っているけれども、充分な耐刷性を得ることはできず、更なる耐刷性の向上が求められる。通常、感光体の表面層は電荷輸送層であり、この電荷輸送層は電荷輸送物質が結着剤であるバインダ樹脂中に分散された形で形成されるので、表面層の耐刷性を向上させるためには、電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くすることが必要である。しかしながら、電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くすると、結果として電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有率が低下するので、電荷輸送層の電荷輸送特性が低下し、感光体の光感度特性が低下するという問題が生じる。この光感度特性の低下を抑えるためには、電荷輸送能力の高い電荷輸送物質を用いることが必要であるけれども、光感度特性の低下を充分に抑えることのできる電荷輸送物質は得られておらず、機械的耐久性と光感度特性との両方に優れる感光体は実現されていない。
【0025】
本発明の目的は、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に優れるとともに、前述の特性の膜減り依存が小さく、かつ機械的耐久性の高い電子写真感光体を用いることによって、各色の画像形成に使用される各電子写真感光体が摩耗しにくく、また各電子写真感光体の使用頻度が異なる場合であっても、良好な品質の単色画像および多色画像を安定して提供することができ、かつ各電子写真感光体を同じ期間使用することができ、さらにコストメリットが高く製造原価の低い画像形成装置を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の電子写真感光体と、前記複数の電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記表面に対して露光を施す露光手段と、互い異なる色の現像剤を収容し、露光によって前記表面上に形成される静電潜像を前記現像剤でそれぞれ現像する複数の現像手段と、現像によって前記表面上に形成される可視像を記録媒体上に転写させる転写手段とを備える画像形成装置であって、
前記電子写真感光体は、
導電性材料から成る導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ、電荷発生物質、下記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質およびバインダ樹脂を含有する感光層とを有し、
かつ前記感光層における前記電荷輸送物質の重量Aと前記バインダ樹脂の重量Bとの比率A/Bが、10/12〜10/30であることを特徴とする画像形成装置である。
【0027】
【化3】
【0028】
(式中、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Ar3は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Ar4およびAr5は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、Ar4およびAr5が共に水素原子になることはない。Ar4およびAr5は、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。R1は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R2,R3およびR4は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR2は同一でも異なってもよく、複数のR3は同一でも異なってもよい。ただし、nが0のとき、Ar3は置換基を有してもよい複素環基を示す。)
【0029】
本発明に従えば、複数の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、互いに異なる色の現像剤を収容する複数の現像手段と、転写手段とを備え、単色画像および多色画像を形成することのできるタンデム方式の画像形成装置において、前記電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質として前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含有し、感光層における電荷輸送物質の重量Aとバインダ樹脂の重量Bとの比率A/Bは、12分の10(10/12)〜30分の10(10/30)である。前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は高い電荷輸送能力を有するので、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有させることによって、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつ前述の特性の膜減り依存が小さく、摩耗によって感光層の膜厚が減少した場合であっても前述の特性の低下の小さい信頼性の高い電子写真感光体を得ることができる。また光感度特性を低下させることなく、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、感光層に高い比率でバインダ樹脂を含有させることができるので、膜減り量が小さく、耐刷性に優れる感光層を有する機械的耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。したがって、本発明の画像形成装置では、各電子写真感光体は摩耗しにくく、また使用頻度の違いによって感光層の膜減り量が異なる場合であっても電子写真感光体同士に生じる特性の差は小さいので、良好な品質の単色画像および多色画像を安定して提供することのできる信頼性の高いタンデム方式の画像形成装置を得ることができる。また本発明の画像形成装置では、各色の画像形成に使用される複数の電子写真感光体は、使用頻度が異なる場合であっても耐久寿命がほぼ等しく、同じ期間使用可能であるので、ランニングコストを抑えることができる。また複数の電子写真感光体のうち、ある特定の色の画像形成に使用されて寿命律速となる電子写真感光体を、他の色の画像形成に使用される電子写真感光体と異なる構成にして寿命延長を図る必要がないので、各色の画像形成に使用されるべく複数の電子写真感光体の周辺に配される各手段を同一の構成にすることができ、生産性を高め、製造原価を抑えることができる。
【0030】
また本発明は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で表されるエナミン化合物であることを特徴とする。
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。Ar4,Ar5,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0033】
本発明に従えば、画像形成装置に備わる電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質として前記一般式(2)で表されるエナミン化合物を含有する。前記一般式(2)で表されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷輸送能力を有するので、前記一般式(2)で表されるエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有させることによって、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に特に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合の特性変化および前述の特性の膜減り依存が特に小さく、信頼性のさらに高い電子写真感光体を得ることができる。また前記一般式(2)で表されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することが可能であるので、前述のように優れた特性を有する電子写真感光体を低い製造原価で製造することができる。したがって、画像形成装置の信頼性を向上させることができるとともに、製造原価を削減することができる。
【0034】
また本発明は、前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質および前記バインダ樹脂を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、画像形成装置に備わる電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質およびバインダ樹脂を含有する電荷輸送層との積層構造から成る。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰返し使用における特性安定性も増した電気的耐久性の高い電子写真感光体を得ることができる。したがって、画像形成装置の信頼性を向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明するけれども、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
【0037】
本発明の実施の一形態である画像形成装置として、以下ではデジタルカラー複写機1を例示する。図1は、デジタルカラー複写機1の構成を簡略化して示す正面配置図である。本実施の形態として例示するデジタルカラー複写機1は、単色画像、多色画像およびフルカラー画像を形成することのできるタンデム方式の画像形成装置であり、後述する図3に示す特定の化合物を含む電荷輸送物質73とバインダ樹脂77とを特定の比率で含有する感光層74を有する電子写真感光体2(以下、単に「感光体」とも称する)を備えることを特徴とする。
【0038】
まず感光体2を備えるデジタルカラー複写機1の構成と動作について説明する。デジタルカラー複写機1は、原稿送給部3と、画像読取り部4と、給紙機構5と、前述の感光体2を備える画像形成部6と、図示しない操作パネルとを含んで構成される。操作パネルは、複写機本体の上面に設けられる。
【0039】
原稿送給部3は、複写されるべき原稿を自動的に送給する両面自動原稿送り装置(Reversing Automatic Document Feeder;略称:RADF)10と、RADF10から送給された原稿が予め定められる位置に載置される原稿台11と、原稿受けトレイ12とを含む。RADF10は、原稿台11に対して予め定められる位置関係を有するとともに開閉可能な状態で支持される。RADF10は、原稿の一方の面が原稿台11の予め定められる位置であって画像読取り部4に対向する位置に載置されるように原稿を搬送し、この一方の面についての画像の読取りが終了すると、他方の面が原稿台11の予め定められる位置であって画像読取り部4に対向する位置に載置されるように原稿を反転して搬送し、他方の面についての画像の読取りが終了すると、原稿を原稿受けトレイ12へ排出する。以上のようにして、1枚の原稿について、両面の画像の読取りが終了する。以上の原稿の搬送および表裏反転の動作は、デジタルカラー複写機1の全体動作に関連して制御される。なお原稿の一方の面のみを複写する場合には、原稿の反転搬送は実行されない。また、複数枚数の原稿の複写を行う場合、1枚目の原稿の両面または片面の画像の読取りが終了し、原稿が原稿受けトレイ12に排出されると、次の原稿に対して前述の原稿の搬送および表裏反転の動作が行われる。
【0040】
画像読取り部4は、原稿台11の下方に配置され、RADF10によって原稿台11上に搬送されてきた原稿の画像を読取る動作を行う手段であり、原稿台11の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体である第1走査ユニット13および第2走査ユニット14と、光学レンズ15と、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ16とを含む。
【0041】
第1走査ユニット14は、読取るべき原稿画像表面を露光する露光ランプ17と、原稿からの反射光像を予め定められる方向に偏向する第1ミラー18とを備え、原稿台11の下面に対して一定の距離を保ちながら予め定められる走査速度で往復移動する。第2走査ユニット14は、第1走査ユニット13の第1ミラー18によって偏向された原稿からの反射光像をさらに予め定められる方向に偏向する第2ミラー19および第3ミラー20を備え、第1の走査ユニット13と一定の速度関係を保って原稿台11の下面に沿って平行に往復移動する。
【0042】
光学レンズ15は、第2走査ユニット14の第3ミラー20によって偏向された原稿からの反射光像を縮小し、縮小された光像をCCDラインセンサ16の予め定められる位置に結像させる。
【0043】
CCDラインセンサ16は、第1走査ユニット13および第2走査ユニット14によって読取られ、光学レンズ15によって結像された白黒原稿またはカラー原稿からの反射光像から、赤色(red;略称:R)、緑色(green;略称:G)および青色(blue;略称:B)の各色成分に色分解したRGB信号を読取り、順次光電変換して電気信号とし、ラインセンサ毎に画像ラインデータとして出力することのできる3ラインのカラー用CCDである。CCDラインセンサ16から電気信号として出力される原稿画像情報は、図示しない画像処理部に入力される。
【0044】
画像処理部は、CCDラインセンサ16から入力される原稿画像情報に対して、RGB信号からシアン色(cyan;略称:C)、マゼンタ色(magenta;略称:M)、イエロー色(yellow;略称:Y)および黒色(black;略称:K)の各色成分のCMYK信号を生成するなどの予め定められる画像データ処理を施し、得られた原稿画像情報を画像形成部6に入力する。
【0045】
給紙機構5は、画像形成部6の下方に設けられ、記録媒体である記録用紙Pを積載収容する用紙トレイ21と、用紙トレイ21内の記録用紙Pを1枚ずつ分離送給する分離ローラ22および給紙ローラ23とを含み、画像形成部6に対して記録用紙Pを供給する。本実施形態では、記録用紙Pとしてカットシート状の紙が使用される。用紙トレイ21から1枚ずつ送り出される記録用紙Pは、記録用紙Pの搬送経路各所に設けられる搬送ローラ24によって搬送され、図示しないガイド内を通過する際にその先端部分が図示しないセンサによって検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて、画像形成部6の手前に設けられる一対のレジストローラ25によって一旦停止される。一旦停止された記録用紙Pは、レジストローラ25によって給紙タイミングが制御されて画像形成部6に供給される。
【0046】
画像形成部6は、画像読取り部4と給紙機構5との間に配置され、レーザビームスキャナユニット26と、前述の感光体2を備える画像形成ステーション27と、転写搬送ベルト機構28と、定着装置29とを含む。
【0047】
前述のように、デジタルカラー複写機1は、単色画像、多色画像およびフルカラー画像を形成することのできるタンデム方式の画像形成装置であるので、レーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27は、黒色、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色の各色に対応して4組が設けられる。各レーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27は、現像に用いられるトナーの色が、黒色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色に異なること、および画像処理部から入力される原稿画像情報のうち、黒色成分像に対応する画素信号、シアン色成分像に対応する画素信号、マゼンタ色成分像に対応する画素信号、イエロー色成分像に対応する画素信号が、それぞれ入力されること以外は構成を同じくするので、黒色に対応するレーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27を代表例として説明し、他については説明を省略する。なお、各色に対応するレーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27を個々に示す場合には、アルファベットの添字:b(黒色)、c(シアン色)、m(マゼンタ色)、y(イエロー色)を付して表す。
【0048】
図2は、黒色画像形成用のレーザビームスキャナユニット26bおよび画像形成ステーション27bの構成を示す拡大図である。
【0049】
レーザビームスキャナユニット26bは、帯電された感光体2bの外周面に対して露光を施す露光手段であり、画像形成ステーション27bの上方に設けられ、画像処理部から入力される原稿画像情報に応じて変調されたドット光を発光する図示しない半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子からのレーザビームを主走査方向に偏向させる偏向装置であるポリゴンミラー41bと、ポリゴンミラー41bによって偏向されたレーザビームを感光体2bの外周面に結像させるfθレンズ42b,43bおよび反射ミラー44b,45b,46bとを備える。レーザビームスキャナユニット26bの動作によって、帯電された感光体2bの外周面に対して黒色成分像に対応する画素信号に応じた露光が施され、感光体2bの外周面上に黒色成分像に対応する静電潜像が形成される。同様に、図1に示すレーザビームスキャナユニット26c,26m,26yの動作によって、感光体2c,2m,2yの外周面上に、シアン色成分像、マゼンタ色成分像およびイエロー色成分像に対応する静電潜像がそれぞれ形成される。このようにして、画像処理部によって色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体2b,2c,2m,2yの外周面上にそれぞれ形成される。
【0050】
画像形成ステーション27bは、後述する転写搬送ベルト32の上方に近接して設けられ、前述の感光体2bを備える。感光体2bは、円筒状であって、軸線51bまわりに回転自在に支持され、矢符F方向に回転駆動される。感光体2bの周囲には、帯電器52bと、現像装置53bと、転写用放電器54bと、クリーニング装置55bとが、矢符Fで示される感光体2bの回転方向上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。
【0051】
帯電器52bは、前述のレーザビームスキャナユニット26bで露光される前に感光体2bの外周面を一様に帯電させる帯電手段である。本実施形態では、帯電器52bは、放電によって感光体2bの外周面を一様に帯電させるコロナ帯電方式などの非接触式の帯電手段である。
【0052】
現像装置53bは、レーザビームスキャナユニット26bから出力されるレーザビームによる露光によって感光体2bの外周面に形成される静電潜像を現像して可視化する現像手段である。現像装置53bは、感光体2bに対向して設けられ感光体2bの外周面にトナーを供給する現像ローラ56bと、現像ローラ56bにトナーを含む現像剤を供給する現像剤搬送ローラ57bと、現像ローラ56bおよび現像剤搬送ローラ57bを感光体2bの軸線51bと平行な軸線まわりに回転可能に支持するとともに、その内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング58bとを備える。ケーシング58bには、黒色のトナーが収容されている。レーザビームスキャナユニット26bの動作によって感光体2bの外周面上に形成される静電潜像は、ケーシング58bに収容される黒色のトナーによって現像され、黒色成分像に対応する可視像である黒色のトナー画像になる。なお、図1に示すケーシング58cにはシアン色のトナーが収容され、ケーシング58mにはマゼンタ色のトナーが収容され、ケーシング58yにはイエロー色のトナーが収容されている。レーザビームスキャナユニット26c,26m,26yの動作によって感光体2c,2m,2yの外周面上にそれぞれ形成される静電潜像は、対応する各色のトナーによってそれぞれ現像され、各色のトナー画像となる。このようにして、画像処理部によって色変換された原稿画像情報が各色のトナー画像として再現される。
【0053】
転写用放電器54bは、後述する転写搬送ベルト32によって送給される記録用紙Pをトナーと逆の極性に帯電させることによって、現像によって感光体2bの外周面上に形成される可視像であるトナー画像を記録用紙P上に転写させる転写手段であり、転写搬送ベルト32を介して感光体2bに対向して設けられる。
【0054】
クリーニング装置55bは、転写用放電器54bによる転写動作後に感光体2bの外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体2bの外周面に残留するトナーを前記外周面から剥離させるクリーニングブレード59bと、クリーニングブレード59bによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング60bとを備える。
【0055】
再び図1に戻って、レーザビームスキャナユニット26bおよび画像形成ステーション27bと、レーザビームスキャナユニット26cおよび画像形成ステーション27cと、レーザビームスキャナユニット26mおよび画像形成ステーション27mと、レーザビームスキャナユニット26yおよび画像形成ステーション27yとは、記録用紙Pの搬送方向上流側から下流側に向かってこの順序で並べて設けられる。
【0056】
転写搬送ベルト機構28は、画像形成部6の下部に配置され、駆動ローラ30と、従動ローラ31と、紙面に向かって左右に延びる水平線方向に略平行に伸びるように駆動ローラ30と従動ローラ31とに張架される無端ベルト状の転写搬送ベルト32と、転写搬送ベルト32の表面を帯電させ、給紙機構5から供給される記録用紙Pを静電吸着させるための用紙吸着用帯電器33と、転写搬送ベルト32に静電吸着されている記録用紙Pを転写搬送ベルト32から分離するための除電器34と、転写搬送ベルト32の下方に近接して設けられるパターン画像検出ユニット36と、転写搬送ベルト32を介してパターン画像検出ユニット36に対向して設けられ、転写搬送ベルト32とパターン画像検出ユニット36との間の距離を一定に保つように転写搬送ベルト32を押さえるローラ35とを備える。パターン画像検出ユニット36は、現像条件を決めるために作像されたトナーパッチの濃度を測定するセンサ装置であり、パターン画像検出ユニット36によって測定されたトナーパッチの濃度を元にプロセスのコントロールがなされる。
【0057】
転写搬送ベルト32は、駆動ローラ30の軸線まわりの回転によって矢符Z方向に摩擦駆動される。用紙吸着用帯電器33は、記録用紙Pの搬送経路におけるレジストローラ25と画像形成ステーション27bとの間であって従動ローラ31の上方に設けられ、転写搬送ベルト32の表面を帯電させる。除電器34は、記録用紙Pの搬送経路における画像形成ステーション27yと定着装置29との間であって駆動ローラ30の上方に設けられる。除電器34には、転写搬送ベルト32に静電吸着されている記録用紙Pを転写搬送ベルト32から分離させるための交流電流が印加されている。
【0058】
給紙機構5のレジストローラ25によって一旦停止された記録用紙Pは、各画像形成ステーション27b,27c,27m,27yとのタイミングが取られ、矢符Z方向に摩擦駆動されている転写搬送ベルト32上に送給される。このとき、転写搬送ベルト32には前述のように用紙吸着用帯電器33の動作によって予め定められる帯電が施されているので、転写搬送ベルト32に送給された記録用紙Pは、転写搬送ベルト32上に確実に静電吸着された状態でずれることなく安定して画像形成ステーション27bから画像形成ステーション27yへと順次搬送される。
【0059】
転写搬送ベルト32によって記録用紙Pが画像形成ステーション27bに供給されると、転写用放電器54bの動作によって、感光体2bの外周面上に形成された黒色のトナー画像が記録用紙P上に転写される。黒色のトナー画像が転写された記録用紙Pは、転写搬送ベルト32に静電吸着されたまま矢符Z方向に搬送され、搬送方向上流側から下流側に向かって以下の順に設けられるシアン色、マゼンタ色、イエロー色のレーザビームスキャナユニット26c,26m,26yおよび画像形成ステーション27c,27m,27yを通過する際に、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のトナー画像が、前述の黒色のトナー画像の場合と同様にして順次転写される。これによって、感光体2b,2c,2m,2yの外周面上にそれぞれ形成されたトナー画像が記録用紙P上において重ね合わされる。
【0060】
画像形成ステーション27yにおいてイエロー色のトナー画像が転写された記録用紙Pは、除電器34の下方を通過する際に、除電器34の動作によって先端部分から順次転写搬送ベルト32から剥離され、記録用紙Pの搬送経路において転写搬送ベルト32よりも記録用紙Pの搬送方向下流側に設けられる定着装置29へ送給される。
【0061】
なお、以上のレーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27の動作制御は、操作パネルから使用者によってフルカラー画像出力モードが指定された場合のものである。使用者によって単色画像または多色画像出力モードが指定された場合には、画像形成に使用されない色に対応するレーザビームスキャナユニット26および画像形成ステーション27は、非動作状態とされる。たとえば、白黒画像出力モードが指定された場合には、感光体2c,2m,2yは、図示しない接離機構によって転写搬送ベルト32から離間され、さらに回転駆動が停止される。また帯電器52c,52m,52yによる帯電動作、レーザビームスキャナユニット26c,26m,26yによる露光動作、現像装置53c,53m,53yによる現像動作および転写用放電器54c,54m,54yによる転写動作も停止される。
【0062】
定着装置29は、記録用紙P上に転写されたトナー画像を定着させる定着手段であり、図示しない加熱手段を備える加熱ローラ61と、加熱ローラ61に対向して設けられ加熱ローラ61に押圧されて当接部いわゆるニップ部63を形成する加圧ローラ62とを備える。定着装置29に供給された記録用紙Pは、ニップ部63を通過する際に加熱および加圧される。これによって、記録用紙P上のトナー画像が記録用紙P上に溶融定着され、堅牢なフルカラー画像が形成される。
【0063】
定着装置29のニップ部63を通過後の記録用紙Pの搬送方向には、搬送方向切換えゲート64が設けられる。搬送方向切換えゲート64は、定着装置29による定着動作後の記録用紙Pの搬送方向を、デジタルカラー複写機1の側面に設けられる排紙トレイ66に向かう方向と、再度画像形成部6に向かう方向との間で選択的に切換える。
【0064】
定着装置29によってトナー画像の定着された記録用紙Pは、一方の表面だけに画像を形成する場合または一方の表面の画像形成を終えた後反転されて他方の表面に画像を形成する場合、搬送方向切換えゲート64の動作によってその上方に送給され、さらに排出ローラ65によって図示しない用紙排出口から排紙トレイ66上に排出される。一方、記録用紙Pの一方の表面に画像を形成した後、さらに続けて他方の表面に画像を形成する場合、記録用紙Pは、搬送方向切換えゲート64の動作によってその下方に送給され、スイッチバック搬送経路67を経て表裏反転された後、再度画像形成部6の手前まで搬送され、レジストローラ25によって給紙タイミングが制御されて画像形成部6に再度供給される。その後、一方の表面に対する画像形成と同様にして、他方の表面に対する画像形成が行われる。
【0065】
以上に述べたように、本実施の形態のデジタルカラー複写機1では、レーザビームスキャナユニット26を書込み光ユニットとして用い、レーザビームを走査して露光することによって感光体2への光書込みを行う構成であるけれども、これに限定されることなく、レーザビームスキャナユニット26に代えて、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称:LED)アレイと結像レンズアレイとからなるLEDヘッドを書込み光学ユニットとして用いて感光体2への光書込みを行う構成であってもよい。LEDヘッドは、レーザビームスキャナユニット26に比べ、小型であり、また可動部分がなく無音で動作するので、デジタルカラー複写機1などのように複数個の光書込みユニットを必要とするタンデム方式の画像形成装置において好適に用いられる。
【0066】
また、帯電器52は、コロナ帯電方式などの非接触式の帯電手段であるけれども、これに限定されることなく、ローラ帯電方式などの接触式の帯電手段であってもよい。
【0067】
また、転写手段には、記録用紙Pをトナーと逆の極性に帯電させることによってトナー画像を記録用紙P上に転写させる非接触式の転写手段である転写用放電器54が用いられるけれども、これに限定されることなく、ローラを備え、ローラを用いて記録用紙Pと感光体2とを圧接させることによってトナー画像を記録用紙P上に転写させる接触式の転写手段を用いてもよい。
【0068】
また、本実施の形態のデジタルカラー複写機1は、画像読取り部4において読取られた原稿画像情報に基づいて、画像形成部6において画像を形成する画像形成装置であるけれども、これに限定されることなく、外部の装置から入力される画像情報に基づいて画像を形成する装置たとえばプリンタまたはファクシミリ装置などであってもよく、また画像読取り部4において読取られた原稿画像情報に基づく画像形成と外部の装置から入力される画像情報に基づく画像形成との両方を行うことのできる複合型の画像形成装置であってもよい。
【0069】
以下、本発明の特徴部分である画像形成ステーション27に備わる感光体2について、黒色の場合を代表例としてさらに説明する。なお、前述のように画像形成ステーション27は、各色において同一に構成されるので、図3以降の各図では参照符の色別を表すアルファベットの添字を省いて示している。
【0070】
図3は、感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態による感光体2は、導電性材料から成る円筒状の導電性支持体71と、導電性支持体71の外周面上に設けられる感光層74とを含んで構成される。感光層74は、照射された光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質72を主成分として含有する電荷発生層75と、電荷発生物質72の発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質73および電荷輸送物質73を結着させる結着剤であるバインダ樹脂77を必須成分として含有する電荷輸送層76とが、導電性支持体71の外周面上にこの順序で積層されて成る積層構造を有する。すなわち、感光体2は、積層型感光体である。
【0071】
前述のように、感光層74は、特定の化合物を含む電荷輸送物質73とバインダ樹脂77とを特定の比率で含有する。電荷輸送物質73に含まれる特定の化合物とは、下記一般式(1)で表されるエナミン化合物であり、電荷輸送層76において、下記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質73の重量Aとバインダ樹脂77の重量Bとの比率A/Bは、12分の10(10/12)〜30分の10(10/30)の範囲になるように設定される。
【0072】
【化5】
【0073】
前記一般式(1)において、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を示す。Ar1およびAr2の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチルおよびビフェニリルなどのアリール基、ならびにフリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリルおよびN−メチルインドリルなどの複素環基を挙げることができる。
【0074】
また前記一般式(1)において、Ar3は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。Ar3の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニルおよびp−(フェニルチオ)フェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにイソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0075】
また前記一般式(1)において、Ar4およびAr5は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、Ar4およびAr5が共に水素原子になることはない。Ar4およびAr5の具体例としては、水素原子以外では、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニル、ビフェニリル、フェノキシフェニル、p−(フェニルチオ)フェニルおよびp−スチリルフェニルなどのアリール基、フリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、ベンジル、p−メトキシベンジルおよび1−ナフチルメチルなどのアラルキル基、ならびにメチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基を挙げることができる。
【0076】
Ar4およびAr5は、原子または原子団を介して互いに結合し、環構造を形成してもよい。Ar4とAr5とを結合する原子の具体例としては、酸素原子および硫黄原子などを挙げることができる。Ar4とAr5とを結合する原子団の具体例としては、アルキル基を有する窒素原子などの2価の原子団、ならびにメチレン、エチレンおよびメチルメチレンなどのアルキレン基、ビニレンおよびプロペニレンなどの不飽和アルキレン基、オキシメチレン(化学式:−O−CH2−)などのヘテロ原子を含むアルキレン基、チオビニレン(化学式:−S−CH=CH−)などのヘテロ原子を含む不飽和アルキレン基などの2価基などを挙げることができる。
【0077】
また前記一般式(1)において、aは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、mは1〜6の整数を示す。mが2以上のとき、複数のaは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。aの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0078】
また前記一般式(1)において、R1は、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいアルキル基を示す。R1の具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびトリフルオロメチルなどのアルキル基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0079】
また前記一般式(1)において、R2,R3およびR4は、それぞれ水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基または置換基を有してもよいアラルキル基を示す。R2,R3およびR4の具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチルおよび2−チエニルメチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、フリル、チエニルおよびチアゾリルなどの複素環基、ならびにベンジルおよびp−メトキシベンジルなどのアラルキル基を挙げることができる。
【0080】
また前記一般式(1)において、nは0〜3の整数を示し、nが2または3のとき、複数のR2は同一でも異なってもよく、複数のR3は同一でも異なってもよい。
【0081】
ただし、前記一般式(1)において、nが0のとき、Ar3は置換基を有してもよい複素環基を示す。
【0082】
前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、高い電荷移動度を有するので、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を電荷輸送物質73に用いることによって、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつ前述の特性の膜減り依存が小さく、摩耗によって感光層74の膜厚が減少した場合であっても前述の特性の低下の小さい信頼性の高い感光体2を得ることができる。また光感度特性を低下させることなく、前記比率A/Bを10/12〜10/30とし、電荷輸送層76中のバインダ樹脂77の含有率を高くすることができるので、膜減り量が小さく、耐刷性に優れる感光層74を有する機械的耐久性の高い感光体2を得ることができる。
【0083】
したがって、図1に示す本実施の形態のデジタルカラー複写機1では、各感光体2b,2c,2m,2yは摩耗しにくく、また使用頻度の違いによって感光層74の膜減り量が異なる場合であっても4個の感光体2b,2c,2m,2yの間に生じる特性の差は小さいので、良好な品質の単色画像および多色画像を安定して提供することのできる信頼性の高いタンデム方式のデジタルカラー複写機1を得ることができる。また本実施の形態のデジタルカラー複写機1では、各色の画像形成に使用される4個の感光体2b,2c,2m,2yは、使用頻度が異なる場合であっても耐久寿命がほぼ等しく、同じ期間使用可能であるので、ランニングコストを抑えることができる。また4個の感光体2b,2c,2m,2yのうち、ある特定の色たとえば黒色の画像形成に使用されて寿命律速となる感光体2bを、他の色の画像形成に使用される感光体2c,2m,2yと異なる構成にして寿命延長を図る必要がないので、各色の画像形成に使用されるべく4個の感光体2b,2c,2m,2yの周辺に配される各手段、たとえばレーザビームスキャナユニット26b,26c,26m,26y、帯電器52b,52c,52m,52yおよび転写用放電器54b,54c,54m,54yを同一の構成にすることができ、生産性を高め、製造原価を抑えることができる。
【0084】
なお、前記比率A/Bが10/30未満となり、バインダ樹脂77の比率が高くなると、機械的強度は良好であるけれども、後述するように浸漬塗布法によって電荷輸送層76を形成する場合、バインダ樹脂77が完全には溶解せず、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き、生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶媒の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層76に白濁が発生する。一方、前記比率A/Bが10/12を超え、バインダ樹脂77の比率が低くなると、光感度特性は良好であるけれども、帯電特性、帯電プロセスにおいて発生するオゾンや窒素酸化物(NOX)などに対する画像安定性が低下し、ハーフトーン画像に白抜けや黒帯が発生する。また膜の機械的強度が低下するので、バインダ樹脂77の比率が高いときに比べて感光層74の耐刷性が低くなり、感光層74の膜減り量が増加する。したがって、前記比率A/Bを10/12〜10/30とした。
【0085】
電荷輸送物質73には、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の中でも、下記一般式(2)で表されるエナミン化合物が好適に用いられる。
【0086】
【化6】
【0087】
前記一般式(2)において、b,cおよびdは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子または水素原子を示し、i,kおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示す。iが2以上のとき、複数のbは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またkが2以上のとき、複数のcは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。またjが2以上のとき、複数のdは、同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。b,cおよびdの具体例としては、水素原子以外では、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチルおよび1−メトキシエチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、フェニル、トリル、メトキシフェニルおよびナフチルなどのアリール基、ならびにフッ素原子および塩素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。
【0088】
また前記一般式(2)において、Ar4,Ar5,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。
【0089】
前記一般式(2)で表されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の中でも、特に高い電荷輸送能力を有するので、前記一般式(2)で表されるエナミン化合物を電荷輸送物質73に用いることによって、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に特に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合の特性変化および前述の特性の膜減り依存が特に小さく、信頼性のさらに高い感光体2を得ることができる。また前記一般式(2)で表されるエナミン化合物は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の中でも、合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することが可能であるので、前述のように優れた特性を有する感光体2を低い製造原価で製造することができる。したがって、デジタルカラー複写機1の信頼性を向上させることができるとともに、製造原価を削減することができる。
【0090】
また前記一般式(1)で表されるエナミン化合物のうち、特性、原価および生産性などの観点から特に優れた化合物としては、Ar1およびAr2がフェニル基であり、Ar3がフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基またはチエニル基であり、Ar4およびAr5のうちの少なくともいずれか一方がフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、チエニル基またはチアゾリル基であり、R1,R2,R3およびR4が共に水素原子であり、nが1であるものを挙げることができる。
【0091】
前記一般式(1)で表されるエナミン化合物の具体例としては、たとえば以下の表1〜表32に示す例示化合物を挙げることができるけれども、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、これに限定されるものではない。なお、表1〜表32では、前記一般式(1)の各基に対応する基によって例示化合物を表している。たとえば、表1に示す例示化合物No.1は、下記構造式(1−1)で表されるエナミン化合物である。ただし、表1〜表32において、Ar4およびAr5が互いに結合し環構造を形成するものを例示する場合には、Ar4の欄からAr5の欄に渡って、Ar4およびAr5の結合する炭素−炭素二重結合と、その炭素−炭素二重結合の炭素原子と共にAr4およびAr5が形成する環構造とを合わせて示す。
【0092】
【化7】
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
【表10】
【0103】
【表11】
【0104】
【表12】
【0105】
【表13】
【0106】
【表14】
【0107】
【表15】
【0108】
【表16】
【0109】
【表17】
【0110】
【表18】
【0111】
【表19】
【0112】
【表20】
【0113】
【表21】
【0114】
【表22】
【0115】
【表23】
【0116】
【表24】
【0117】
【表25】
【0118】
【表26】
【0119】
【表27】
【0120】
【表28】
【0121】
【表29】
【0122】
【表30】
【0123】
【表31】
【0124】
【表32】
【0125】
前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、たとえば前述の表1〜表32に示す例示化合物からなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。
【0126】
前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0127】
まず、下記一般式(3)で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、下記一般式(4)で表される2級アミン化合物との脱水縮合反応を行うことによって、下記一般式(5)で表されるエナミン中間体を製造する。
【0128】
【化8】
【0129】
(式中、Ar1,Ar2およびR1は、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0130】
【化9】
【0131】
(式中、Ar3,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0132】
【化10】
【0133】
(式中、Ar1,Ar2,Ar3,R1,aおよびmは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0134】
この脱水縮合反応は、たとえば以下のように行う。前記一般式(3)で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物と、これと略等モル量の前記一般式(4)で表される2級アミン化合物とを、芳香族系溶媒、アルコール類またはエーテル類などの溶媒に溶解させ、溶液を調製する。用いる溶媒の具体例としては、たとえばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ブタノールおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。調製した溶液中に、触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはピリジニュウム−p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加え、加熱下で反応させる。触媒の添加量は、前記一般式(3)で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物に対して、10分の1(1/10)〜1000分の1(1/1000)モル当量であることが好ましく、より好ましくは25分の1(1/25)〜500分の1(1/500)モル当量であり、50分の1(1/50)〜200分の1(1/200)モル当量が最適である。反応中、水が副成し反応を妨げるので、生成した水を溶媒と共沸させ系外に取除く。これによって、前記一般式(5)で表されるエナミン中間体を高収率で製造することができる。
【0135】
次に、前記一般式(5)で表されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化またはフリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うことによって、下記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体を製造する。このとき、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うと、下記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R5が水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を製造することができ、フリーデル−クラフト反応によるアシル化を行うと、下記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R5が水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を製造することができる。
【0136】
【化11】
【0137】
(式中、R5は、前記一般式(1)において、nが0のときR4を示し、nが1,2または3のときR2を示す。Ar1,Ar2,Ar3,R1,R2,R4,a,mおよびnは、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0138】
ビルスマイヤー反応は、たとえば以下のように行う。N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−Dimethylformamide;略称:DMF)または1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミド、オキシ塩化リンとN−メチル−N−フェニルホルムアミド、またはオキシ塩化リンとN,N−ジフェニルホルムアミドとを加え、ビルスマイヤー試薬を調製する。調製したビルスマイヤー試薬1.0当量〜1.3当量に、前記一般式(5)で表されるエナミン中間体1.0当量を加え、60〜110℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R5が水素原子であるエナミン−アルデヒド中間体を高収率で製造することができる。
【0139】
また、フリーデル−クラフト反応は、たとえば以下のように行う。1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中に、塩化アルミニウムと酸塩化物とによって調製した試薬1.0当量〜1.3当量と、前記一般式(5)で表されるエナミン中間体1.0当量とを加え、−40〜80℃で、2〜8時間撹拌する。このとき、場合によっては加熱する。その後、1〜8規定の水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で加水分解を行う。これによって、前記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体のうち、R5が水素原子以外の基であるエナミン−ケト中間体を高収率で製造することができる。
【0140】
最後に、前記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体と下記一般式(7−1)または(7−2)で表されるWittig試薬とを塩基性条件下で反応させるWittig−Horner反応を行うことによって、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を製造することができる。このとき、下記一般式(7−1)で表されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物のうち、nが0であるものを得ることができ、下記一般式(7−2)で表されるWittig試薬を用いると、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物のうち、nが1,2または3であるものを得ることができる。
【0141】
【化12】
【0142】
(式中、R6は、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar4およびAr5は、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0143】
【化13】
【0144】
(式中、R6は、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。nは1〜3の整数を示す。Ar4,Ar5,R2,R3およびR4は、前記一般式(1)において定義したものと同義である。)
【0145】
このWittig−Horner反応は、たとえば以下のように行う。トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran;略称:THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなどの溶媒中に、前記一般式(6)で表されるエナミン−カルボニル中間体1.0当量と、前記一般式(7−1)または(7−2)で表されるWittig試薬1.0〜1.20当量と、カリウムt−ブトキサイド、ナトリウムエトキサイドまたはナトリウムメトキサイドなどの金属アルコキシド塩基1.0〜1.5当量とを加え、室温または30〜60℃の加熱下で、2〜8時間撹拌する。これによって、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を高収率で製造することができる。
【0146】
前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、他の電荷輸送物質と混合されて使用されてもよい。前記一般式(1)で表されるエナミン化合物に混合されて使用される他の電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンなども挙げられる。
【0147】
しかしながら、特に高い電荷輸送能力を実現するためには、電荷輸送物質73の全量が、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物であることが好ましい。
【0148】
電荷輸送層76は、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質73がバインダ樹脂77に結着した形で形成される。バインダ樹脂77には、電荷輸送物質73との相溶性に優れるものが選ばれる。バインダ樹脂77に用いられる樹脂の具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ならびにフェノール樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。前述の樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、好適に用いられる。
【0149】
電荷輸送層76には、成膜性、可撓性、塗布性などを向上させるために、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤またはレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、一般に樹脂などに添加して利用される酸化防止剤をそのまま使用することができ、たとえばビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体が用いられる。また有機硫黄化合物、有機燐化合物などを配合して用いてもよい。レベリング剤としては、シリコーンオイル類、または側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーもしくはオリゴマーを使用することができる。これらのレベリング剤は、バインダ樹脂77の100重量部に対して、0.0001〜1重量部の範囲で使用されることが好ましい。
【0150】
電荷輸送層76は、たとえば、適当な溶媒中に、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質73およびバインダ樹脂77、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層75の外周面上に塗布することによって形成される。
【0151】
電荷輸送層用塗布液の溶媒には、メタノールおよびエタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタンおよびジクロロメタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素またはベンゼン、クロロベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素類などが用いられる。これらの中でも、テトラヒドロフランが好適に用いられる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、または2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0152】
電荷輸送層用塗布液の調製方法としては、電荷輸送物質73、バインダ樹脂77および前述の添加剤を計量し、これらを予め定められる量の溶媒に同時に溶解または分散させる方法が一般的であり、この方法でも問題なく塗布液を調製することができるけれども、まず電荷輸送物質73を溶媒中に溶解または分散させ、次いでバインダ樹脂77および前述の添加剤を投入し、溶解または分散させる方法がより好ましい。この方法によれば、バインダ樹脂77中への電荷輸送物質73の分子分散性を向上させ、電荷輸送層76中における電荷輸送物質73の潜在的かつ局所的な結晶化を抑制することができるので、初期感度、繰返し使用における電位安定性および画像特性などを良好にすることができる。
【0153】
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、垂直リング法または浸漬塗布法などを用いることができる。なお導電性支持体71がシート状である場合、電荷輸送層用塗布液は、ベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングまたはスピンコータなどによって塗布される。
【0154】
電荷輸送層76の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層76の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層76の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。したがって、5μm以上50μm以下とした。
【0155】
感光層74は、前述のように、電荷発生物質72を含有する電荷発生層75と、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質73およびバインダ樹脂77を含有する電荷輸送層76との積層構造から成る。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、より高感度で、さらに繰返し使用における特性安定性も増した電気的耐久性の高い感光体2を得ることができる。したがって、デジタルカラー複写機1の信頼性を向上させることができる。
【0156】
電荷発生層75は、前述のように、照射される光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質72を主成分として含有し、必要に応じて公知の結合剤、可塑剤または増感剤を含有する。電荷発生物質72としては、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドンおよびアントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、ならびにカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などを挙げることができる。
【0157】
特に高い電荷発生能力を有する顔料としては、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニウムフタロシアニン顔料、フローレン環またはフルオレノン環を有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料およびトリスアゾ顔料が挙げられ、これらの顔料を用いることによって高い感度を有する感光体2を得ることができる。さらにオキソチタニウムフタロシアニンのうち、Cu−Kα特性X線(波長:1.54Å)に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に回折ピークを示す結晶型を有するものは、一層高感度の感光体を実現することができるので、好適に用いられる。
【0158】
電荷発生層75は、たとえば、電荷発生物質72の微粒子に適当な溶媒を加え、ボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェーカまたは超音波分散機などによって粉砕、分散して得られる電荷発生層用塗布液を、導電性支持体71の外周面に塗布することによって形成される。
【0159】
電荷発生層用塗布液の溶媒には、前述の電荷輸送層用塗布液の溶媒と同様のものを用いることができる。たとえば、電荷輸送層用塗布液の溶媒として例示した溶媒の中から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて用いられる。
【0160】
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、垂直リング法または浸漬塗布法などを用いることができる。なお導電性支持体71がシート状である場合、電荷発生層用塗布液は、ベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングまたはスピンコータなどによって塗布される。
【0161】
電荷発生層75には、結着性を向上させるために、結合剤であるバインダ樹脂として、たとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルまたは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などの各種バインダ樹脂を含有させてもよい。
【0162】
また電荷発生層75には、必要に応じ、塗布性を改善するためのレベリング剤、酸化防止剤または増感剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0163】
電荷発生層75の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層75の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層75の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。したがって、0.05μm以上5μm以下とした。
【0164】
導電性支持体71を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金および白金などの金属材料、または真鍮およびステンレス鋼などの合金材料を用いることができる。また前述の金属材料および合金材料に限定されることなく、ポリエステルフィルム、紙もしくは金属フィルムの表面にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどを蒸着もしくは塗布したもの、導電性粒子を含有するプラスチックもしくは紙、または導電性ポリマーを含有するプラスチックなどを用いることもできる。これらの導電性材料は、本実施形態では、円筒状に加工して用いられるけれども、これに限定されることなく、円柱状または薄膜シート状などに加工して用いられてもよい。
【0165】
なお、本実施の形態のデジタルカラー複写機1に搭載される感光体には、図3に示す層構成を有する感光体2に限定されることなく、種々の層構成を有する感光体を用いることができ、たとえば以下の図4〜図6に示す層構成を有する感光体201,202,203を用いることができる。
【0166】
図4〜図6は、本実施の形態のデジタルカラー複写機1に搭載される感光体の他の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態のデジタルカラー複写機1に搭載される感光体は、図4に示す感光体201のように、導電性支持体71と感光層74との間に、中間層80が設けられる構成であってもよい。なお、以下では中間層80のことを下引き層80とも称する。
【0167】
下引き層80としては、アルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムなどの無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミドおよびポリアミドなどの有機層、または無機顔料であるアルミニウム、銅、錫、亜鉛、チタンなどの金属もしくは酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物のような導電性もしくは半導電性微粒子を含有させた有機層が用いられる。
【0168】
これらの中でも、前述の無機顔料を含有させた有機層が好ましく、特に無機顔料として酸化チタンを含有させた有機層が好適に用いられる。下引き層80に含有させる酸化チタンとしては、非晶質、結晶型がアナターゼ型である結晶質および結晶型がルチル型である結晶質のいずれを用いてもよく、またこれらを2種以上混合して用いてもよい。酸化チタン粒子の表面は、酸化アルミニウム(化学式:Al2O3)もしくは二酸化ジルコニウム(化学式:ZrO2)またはこれらの混合物などの金属酸化物で被覆されていることが好ましい。
【0169】
下引き層80に、前述の無機顔料を含有させた有機層を用いる場合、有機層を構成するバインダ樹脂には、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミドまたはポリアミドなどの樹脂を用いることができ、これらの中でも、ポリアミド樹脂が好適に用いられる。ポリアミド樹脂が好適に用いられるのは、ポリアミド樹脂が下引き層80の外周面上に感光層74を形成する際に用いられる溶媒に対して溶解や膨潤などを起こさないこと、また導電性支持体71との接着性に優れること、可撓性を有することなどの理由による。ポリアミド樹脂のうち、さらに好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂が用いられる。アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたものなどを挙げることができる。
【0170】
前述の無機顔料を含有させた有機層から成る下引き層80は、たとえば、前述の酸化チタンなどの無機顔料に溶媒とバインダ樹脂とを加え、ボールミル、ダイノーミルまたは超音波発振機などの分散機を用いて分散させて下引き層用塗布液(中間層用塗布液)を調製し、この塗布液を導電性支持体71の外周面上に塗布することによって形成される。
【0171】
下引き層用塗布液の溶媒には、一般的な有機溶媒を使用することができるけれども、バインダ樹脂としてより好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いる場合には、炭素数1〜4の低級アルコール群から選ばれる1種の単独系溶媒もしくは2種以上の混合系溶媒、または、前述の低級アルコール群から選ばれる1種もしくは2種以上のアルコール系溶媒と、たとえばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどの他の有機溶媒からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上の溶媒との混合系溶媒を用いることが好ましい。
【0172】
これらの有機溶媒の中でも、アルコール系溶媒と他の有機溶媒との混合系溶媒が好適に用いられる。アルコール系溶媒に他の有機溶媒を混合することによって、酸化チタンなどの無機顔料の分散性を改善し、塗布液の長期保存安定性を向上させるとともに、塗布液の再生を可能にすることができる。また、下引き層用塗布液中に導電性支持体71を浸漬して下引き層80を塗布する際、下引き層80の塗布欠陥や塗布むらを防止することができるので、下引き層80の外周面上に感光層74を均一に塗布形成することができ、膜欠陥の無い非常に優れた画像特性を有する感光体201を得ることができる。
【0173】
下引き層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、垂直リング法または浸漬塗布法などを用いることができる。なお、導電性支持体71がシート状である場合、下引き層用塗布液は、ベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングまたはスピンコータなどによって塗布される。
【0174】
また本実施の形態のデジタルカラー複写機1に搭載される感光体は、図5に示す感光体202のように、電荷発生物質72、電荷輸送物質73およびバインダ樹脂77が単一の層から成る感光層740に含有される単層型感光体であってもよい。また図6に示す感光体203のように、導電性支持体71と感光層740との間に中間層80(下引き層80)が設けられる構成であってもよい。なお、図5および図6に示す単層型感光体では、感光層740における電荷輸送物質73の重量A’とバインダ樹脂77の重量B’との比率A’/B’が、図3に示す感光体2の電荷輸送層76における電荷輸送物質73の重量Aとバインダ樹脂77の重量Bとの比率A/Bと同様に、10/12〜10/30の範囲になるように設定される。
【0175】
【実施例】
[製造例]
(製造例1)例示化合物No.1の製造
(製造例1−1)エナミン中間体の製造
トルエン100mLに、下記構造式(8)で表されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)と、下記構造式(9)で表されるジフェニルアセトアルデヒド20.6g(1.05当量)と、DL−10−カンファースルホン酸0.23g(0.01当量)とを加えて加熱し、副生した水をトルエンと共沸させて系外に取除きながら、6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を10分の1(1/10)程度に濃縮し、激しく撹拌されているヘキサン100mL中に徐々に滴下し、結晶を生成させた。生成した結晶を濾別し、冷エタノールで洗浄することによって、淡黄色粉末状化合物36.2gを得た。
【0176】
【化14】
【0177】
【化15】
【0178】
得られた化合物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid
Chromatography−Mass Spectrometry;略称:LC−MS)で分析した結果、下記構造式(10)で表されるエナミン中間体(分子量の計算値:411.20)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが412.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(10)で表されるエナミン中間体であることが判った(収率:88%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン中間体の純度は99.5%であることが判った。
【0179】
【化16】
【0180】
以上のように、2級アミン化合物である前記構造式(8)で表されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミンと、アルデヒド化合物である前記構造式(9)で表されるジフェニルアセトアルデヒドとの脱水縮合反応を行うことによって、前記構造式(10)で表されるエナミン中間体を得ることができた。
【0181】
(製造例1−2)エナミン−アルデヒド中間体の製造
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mL中に、氷冷下、オキシ塩化リン9.2g(1.2当量)を徐々に加え、約30分間攪拌し、ビルスマイヤー試薬を調製した。この溶液中に、氷冷下、製造例1−1で得られた前記構造式(10)で表されるエナミン中間体20.6g(1.0当量)を徐々に加えた。その後、徐々に加熱して反応温度を80℃まで上げ、80℃を保つように加熱しながら3時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液を放冷し、冷やした4規定(4N)−水酸化ナトリウム水溶液800mL中に徐々に加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、充分に水洗した後、エタノールと酢酸エチルとの混合溶媒で再結晶を行うことによって、黄色粉末状化合物20.4gを得た。
【0182】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、下記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体(分子量の計算値:439.19)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが440.5に観測されたことから、得られた化合物は下記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体であることが判った(収率:93%)。また、LC−MSの分析結果から、得られたエナミン−アルデヒド中間体の純度は99.7%であることが判った。
【0183】
【化17】
【0184】
以上のように、前記構造式(10)で表されるエナミン中間体に対して、ビルスマイヤー反応によるフォルミル化を行うことによって、前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体を得ることができた。
【0185】
(製造例1−3)例示化合物No.1の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体8.8g(1.0当量)と、下記構造式(12)で表されるジエチルシンナミルホスホネート6.1g(1.2当量)とを、無水DMF80mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド2.8g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶10.1gを得た。
【0186】
【化18】
【0187】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物(分子量の計算値:539.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが540.5に観測された。
【0188】
また、得られた結晶の重クロロホルム(化学式:CDCl3)中における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;略称:NMR)スペクトルを測定したところ、例示化合物No.1のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図7は、製造例1−3の生成物の1H−NMRスペクトルであり、図8は、図7に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図9は、製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルであり、図10は、図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図11は、製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルであり、図12は、図11に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図7〜図12において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図7および図8において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図7の参照符500で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0189】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた結晶は、例示化合物No.1のエナミン化合物であることが判った(収率:94%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.1のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0190】
以上のように、前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体と、Wittig試薬である前記構造式(12)で表されるジエチルシンナミルホスホネートとのWittig−Horner反応を行うことによって、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物を得ることができた。
【0191】
(製造例2)例示化合物No.61の製造
前記構造式(8)で表されるN−(p−トリル)−α−ナフチルアミン23.3g(1.0当量)に代えて、N−(p−メトキシフェニル)−α−ナフチルアミン4.9g(1.0当量)を用いる以外は、製造例1と同様にして、脱水縮合反応によるエナミン中間体の製造(収率:94%)およびビルスマイヤー反応によるエナミン−アルデヒド中間体の製造(収率:85%)を行い、さらにWittig−Horner反応を行うことによって、黄色粉末状化合物7.9gを得た。なお、各反応において使用した試薬と基質との当量関係は、製造例1で使用した試薬と基質との当量関係と同様である。
【0192】
得られた化合物をLC−MSで分析した結果、目的とする表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物(分子量の計算値:555.26)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが556.7に観測された。
【0193】
また、得られた化合物の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物No.61のエナミン化合物の構造を支持するスペクトルが得られた。図13は、製造例2の生成物の1H−NMRスペクトルであり、図14は、図13に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。図15は、製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルであり、図16は、図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。図17は、製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルであり、図18は、図17に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。なお、図13〜図18において、横軸は化学シフト値δ(ppm)を示す。また図13および図14において、シグナルと横軸との間に記載されている値は、図13の参照符501で示されるシグナルの積分値を3としたときの各シグナルの相対的な積分値である。
【0194】
LC−MSの分析結果およびNMRスペクトルの測定結果から、得られた化合物は、例示化合物No.61のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.61のエナミン化合物の純度は99.0%であることが判った。
【0195】
以上のように、脱水縮合反応、ビルスマイヤー反応およびWittig−Horner反応の3段階の反応を行うことによって、3段階収率73.5%で、表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を得ることができた。
【0196】
(製造例3)例示化合物No.46の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)と、下記構造式(13)で表されるWittig試薬1.53g(1.2当量)とを、無水DMF15mLに溶解させ、その溶液中にカリウムt−ブトキシド0.71g(1.25当量)を室温で徐々に加えた後、50℃まで加熱し、50℃を保つように加熱しながら5時間撹拌した。反応混合物を放冷した後、過剰のメタノール中に注いだ。析出物を回収し、トルエンに溶解させてトルエン溶液とした。このトルエン溶液を分液ロートに移し、水洗した後、有機層を取出し、取出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、固形物を取除いた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、黄色結晶2.37gを得た。
【0197】
【化19】
【0198】
得られた結晶をLC−MSで分析した結果、目的とする表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物(分子量の計算値:565.28)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]+に相当するピークが566.4に観測されたことから、得られた結晶は、例示化合物No.46のエナミン化合物であることが判った(収率:92%)。また、LC−MSの分析結果から、得られた例示化合物No.46のエナミン化合物の純度は99.8%であることが判った。
【0199】
以上のように、前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体と前記構造式(13)で表されるWittig試薬とのWittig−Horner反応を行うことによって、表7に示す例示化合物No.46のエナミン化合物を得ることができた。
【0200】
(比較製造例1)下記構造式(14)で表される化合物の製造
製造例1−2で得られた前記構造式(11)で表されるエナミン−アルデヒド中間体2.0g(1.0当量)を無水THF15mLに溶解させ、その溶液中に、アリルブロマイドと金属マグネシウムとから調製したグリニヤール試薬であるアリルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(モル濃度:1.0mol/L)5.23mL(1.15当量)を0℃で徐々に加えた。0℃で0.5時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーによって反応の進行状況を確認したところ、明確な反応生成物は確認できず、複数の生成物が確認された。常法により、後処理、抽出、濃縮を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことによって、反応混合物の分離、精製を行った。
【0201】
しかしながら、目的とする下記構造式(14)で表される化合物を得ることはできなかった。
【0202】
【化20】
【0203】
[実施例]
図1に示す本発明の実施の一形態であるタンデム方式のデジタルカラー複写機1(以下、単に「複写機」とも称する)を準備し、プロセススピードを130mm/秒として、特性を評価した。ただし、感光体2には、異なる条件で作製された11種類のものを準備し、各条件で作製された略等しい品質の4個の感光体を黒色画像形成用の感光体2b、シアン色画像形成用の感光体2c、マゼンタ色画像形成用の感光体2mおよびイエロー色画像形成用の感光体2yとしてそれぞれ搭載させた。なお、以下では、シアン色画像形成用の感光体2c、マゼンタ色画像形成用の感光体2mおよびイエロー色画像形成用の感光体2yをまとめてカラー画像形成用の感光体とも称する。
前述の11種類の感光体は、以下のようにして作製した。
【0204】
(実施例1)
酸化チタン7重量部(石原産業株式会社製:TTO−D1)と共重合ナイロン(東レ株式会社製:CM8000)13重量部とをメタノール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶媒に加え、ペイントシェーカによって8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。得られた塗布液を塗布槽に満たし、直径30mm、全長364mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体71を前記塗布槽に浸漬した後引上げ、自然乾燥して膜厚1μmの中間層80(下引き層80)を導電性支持体71の外周面上に形成した。
【0205】
次いで、電荷発生物質72としてオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:エスレックBMS)1重量部とを、メチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカによって分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。得られた塗布液を前述の中間層80と同様の浸漬塗布法によって中間層80の外周面上に塗布した後、自然乾燥し、膜厚0.4μmの電荷発生層75を形成した。
【0206】
次いで、電荷輸送物質73として表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物100重量部と、バインダ樹脂77として下記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)90重量部および下記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)90重量部と、2,6−ビス−tert−ブチル−4−メチルフェノール10重量部と、シリコーンオイル0.02重量部とを、テトラヒドロフランに混合し、固形分23重量%の電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を前述の中間層80と同様の浸漬塗布法によって先に形成した電荷発生層75の外周面上に塗布した後、120℃で1時間乾燥し、膜厚23μmの電荷輸送層76を形成した。
【0207】
【化21】
【0208】
【化22】
【0209】
以上のようにして、図4に示す層構成を有する積層型感光体を作製した。
(実施例2)
実施例1において、電荷輸送層76の電荷輸送物質73として、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物に代えて、表1に示す例示化合物No.3のエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0210】
(実施例3)
実施例1において、電荷輸送層76の電荷輸送物質73として、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物に代えて、表9に示す例示化合物No.61のエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0211】
(実施例4)
実施例1において、電荷輸送層76のバインダ樹脂77である前記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)の量を60重量部とし、前記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)の量を60重量部とする以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0212】
(実施例5)
実施例1において、電荷輸送層76のバインダ樹脂77である前記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)の量を140重量部とし、前記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)の量を140重量部とする以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0213】
(実施例6)
酸化チタン7重量部(石原産業株式会社製:TTO-D1)と共重合ナイロン(東レ株式会社製:CM8000)13重量部とをメタノール159重量部と1,3−ジオキソラン106重量部との混合溶媒に加え、ペイントシェーカによって8時間分散処理し、中間層用塗布液を調製した。得られた塗布液を塗布槽に満たし、直径30mm、全長364mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体71を前記塗布槽に浸漬した後引上げ、自然乾燥して膜厚1μmの中間層80(下引き層80)を導電性支持体71の外周面上に形成した。
【0214】
次いで、電荷発生物質72としてオキソチタニウムフタロシアニン8重量部をテトラヒドロフラン100重量部に混合し、ペイントシェーカによって分散処理した後、電荷輸送物質73として表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物100重量部と、バインダ樹脂77として前記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)90重量部および前記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)90重量部と、2,6−ビス−tert−ブチル−4−メチルフェノール10重量部と、シリコーンオイル0.02重量部と、テトラヒドロフラン1400重量部とを混合し、攪拌して感光層用塗布液を調製した。得られた塗布液を塗布槽に満たし、中間層80の形成された導電性支持体71を前記塗布槽に浸漬した後引上げ、120℃で1時間乾燥し、膜厚23μmの感光層740を形成した。
以上のようにして、図6に示す層構成を有する単層型感光体を形成した。
【0215】
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送層76の電荷輸送物質73として、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物に代えて、下記構造式(17)で表されるエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0216】
【化23】
【0217】
(比較例2)
実施例1において、電荷輸送層76の電荷輸送物質73として、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物に代えて、下記構造式(18)で表されるエナミン化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0218】
【化24】
【0219】
(比較例3)
実施例1において、電荷輸送層76の電荷輸送物質73として、表1に示す例示化合物No.1のエナミン化合物に代えて、下記構造式(19)で表されるブタジエン系化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0220】
【化25】
【0221】
(比較例4)
実施例1において、電荷輸送層76のバインダ樹脂77である前記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)の量を50重量部とし、前記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)の量を50重量部とする以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0222】
(比較例5)
実施例1において、電荷輸送層76のバインダ樹脂77である前記構造式(15)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)の量を155重量部とし、前記構造式(16)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量21,500)の量を155重量部とする以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
【0223】
ただし、電荷輸送層76の形成の際、実施例1と同量のテトラヒドロフランでは前述のポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製することができなかったので、テトラヒドロフランを追加し、ポリカーボネート樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製し、これを用いて電荷輸送層76を形成した。
【0224】
しかしながら、電荷輸送層用塗布液中の溶媒の量が過剰であったために、円筒状の感光体の長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、特性評価を行うことができなかった。
【0225】
(特性評価)
特性の評価は、以下のように行った。
【0226】
実施例1〜6および比較例1〜4で作製した感光体がそれぞれ搭載されたデジタルカラー複写機1から現像装置53を取出し、代わりに現像部位に表面電位計(Trek社製:Model344)を設け、反転現像プロセスで白べた原稿を複写した時の感光体の表面電位V0および黒べた原稿を複写した時の感光体の表面電位VLを測定し、初期の測定結果とした。なお、帯電動作および転写動作は、実施例1〜5および比較例1〜4の積層型感光体を用いた複写機では負帯電で行い、実施例6の単層型感光体を用いた複写機では正帯電で行った。
【0227】
次に、表面電位計を取出し、再び現像装置53を搭載し、日本工業規格(JIS)A4判用紙を用い、試験用カラー原稿画像の複写を、白黒画像出力モードを指定して3枚、フルカラー画像出力モードを指定して2枚の合計5枚を1セットとして8000セット、合計40,000枚行った。この40,000枚の複写によって、黒色画像形成用の感光体2bは、40,000枚分の画像形成動作に使用され、シアン色画像形成用の感光体2c、マゼンタ色画像形成用の感光体2mおよびイエロー色画像形成用の感光体2yは、それぞれ16,000枚分の画像形成動作に使用された。その後、再び現像装置53を取出して現像部位に前述の表面電位計を設け、初期と同様に白べた原稿複写時の感光体の表面電位V0および黒べた原稿複写時の感光体の表面電位VLを測定し、40,000枚の複写後の測定結果とした。初期の測定結果と40,000枚の複写後の測定結果とを比較し、繰返し使用における特性安定性を評価した。
【0228】
次に、再び表面電位計を取出して現像装置53を搭載し、黒色、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色の各色のハーフトーン画像を形成した。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を紙面の色のドットと各色のトナーの色のドットとによって階調表現した画像のことである。得られた画像を目視によって観察し、40,000枚の複写後の画質を評価した。
【0229】
次に、搭載した感光体を取出して感光層の膜厚d1を測定し、この値(d1)と作製時の感光層の膜厚d0との差を膜減り量Δd(=d0−d1)として求め、耐刷性の評価指標とした。なお、膜厚の測定は、膜厚測定システム(大塚電子株式会社製:MCPD−1100)で行った。
【0230】
以上の評価結果を表33に示す。なお、表33では、シアン色画像形成用の感光体2c、マゼンタ色画像形成用の感光体2mおよびイエロー色画像形成用の感光体2yに対する評価結果の平均を、カラー画像形成用の感光体の評価結果として示す。
【0231】
【表33】
【0232】
表33から、電荷輸送物質に前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を用い、かつ感光層における電荷輸送物質の重量Aとバインダ樹脂の重量Bとの比率A/Bを10/12〜12/30とした感光体を搭載した実施例1〜6の複写機では、各感光体は、前述のVLの絶対値が小さく光感度特性に優れ、40,000枚の複写後であっても光感度特性および帯電特性が低下せず、繰返し使用における特性安定性に優れ、かつ感光層の膜減り量Δdが小さく耐刷性に優れ、高い機械的耐久性を有することが判った。また40,000枚の複写後において、黒色画像形成用の感光体の膜減り量Δdはカラー画像形成用の感光体の膜減り量Δdよりも大きいけれども、黒色画像形成用の感光体とカラー画像形成用の感光体との間の特性の差は小さく、良好な品質または実用上問題のない品質の黒色、シアン色、マゼンタ色およびイエロー色の画像が得られることが判った。
【0233】
一方、電荷輸送物質に、前記一般式(1)で表されるエナミン化合物以外のエナミン化合物である前記構造式(17)で表されるエナミン化合物または前記構造式(18)で表されるエナミン化合物を用いた感光体を搭載した比較例1および比較例2の複写機では、各感光体は、膜減り量Δdが若干大きく、40,000枚の複写後には、黒色画像形成用の感光体の光感度特性が低下し、黒色のハーフトーン画像の画像濃度が低下した。また電荷輸送物質に前記構造式(19)で表されるブタジエン系化合物を用いた感光体を搭載した比較例3の複写機では、各感光体は、膜減り量Δdが大きく、40,000枚の複写後には、黒色画像形成用の感光体の帯電特性が低下し、黒色のハーフトーン画像にかぶりが発生した。
【0234】
また、前記比率A/Bが10/10であり、10/12を超えてバインダ樹脂の比率の低い感光体を搭載した比較例4の複写機では、各感光体の膜減り量Δdが大きく、40,000枚の複写後には、黒色画像形成用の感光体の帯電特性が著しく低下し、黒色のハーフトーン画像に黒帯状の画像不良およびかぶりが発生した。
【0235】
また実施例1〜5と実施例6との比較から、実施例1〜5の複写機に搭載される積層型の感光体の方が、実施例6の複写機に搭載される単層型の感光体よりも、前述のVLの絶対値が小さく光感度特性に優れることが判る。また、40,000枚の複写後、実施例6の複写機では画像濃度がやや低下したのに対し、実施例1〜5の複写機では良好な品質の画像が得られた。
【0236】
なお、比較例5のように、前記比率A/Bが10/31であり、10/30未満であってバインダ樹脂の比率が高いと、電荷輸送層を形成する際、実施例1の複写機に搭載される感光体と同量の溶媒ではバインダ樹脂が完全に溶解した電荷輸送層用塗布液を調製することができなかった。またバインダ樹脂を完全に溶解させるために溶媒を追加した電荷輸送層用塗布液を用いて作製された感光体には、長手方向端部にブラッシング現象による白濁が生じ、特性評価を行うことができなかった。このように、前記比率A/Bが10/30未満である場合、浸漬塗布法で感光体を作製することは困難であり、アプリケータまたはスプレイ法によって作製する必要がある。
【0237】
以上のように、電荷輸送物質に前記一般式(1)で表されるエナミン化合物を用い、かつ感光層における電荷輸送物質の重量Aとバインダ樹脂の重量Bとの比率A/Bを10/12〜12/30とした感光体を用いることによって、各感光体が摩耗しにくく、また使用頻度の違いによって感光層の膜減り量が異なる場合であっても感光体同士に生じる特性の差が小さく、良好な品質の単色画像および多色画像を安定して提供することのできる信頼性の高いタンデム方式の画像形成装置を得ることができた。
【0238】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像形成装置に備わる複数の電子写真感光体は、特定の構造を有する電荷輸送能力の高いエナミン化合物を電荷輸送物質として含有する感光層を有し、かつ感光層における電荷輸送物質の重量とバインダ樹脂の重量との比率が好適な範囲に選択される。このように構成される電子写真感光体は、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合であっても前述の特性が低下せず、かつ前述の特性の膜減り依存が小さく、摩耗によって感光層の膜厚が減少した場合であっても前述の特性の低下が小さく、信頼性が高い。また膜減り量が小さく、耐刷性に優れる感光層を有し、機械的耐久性が高い。したがって、各電子写真感光体が摩耗しにくく、また使用頻度の違いによって感光層の膜減り量が異なる場合であっても電子写真感光体同士に生じる特性の差が小さく、良好な品質の単色画像および多色画像を安定して提供することができ、さらにランニングコストおよび製造原価の低いタンデム方式の画像形成装置が実現される。
【0239】
また本発明によれば、画像形成装置に備わる電子写真感光体の感光層に含有される特定の構造を有するエナミン化合物は、特に高い電荷輸送能力を有し、かつ合成が比較的容易で収率が高く、安価に製造することのできる特定の構造を有するエナミン化合物である。このようなエナミン化合物を電荷輸送物質として感光層に含有する電子写真感光体は、光感度特性、帯電特性および繰返し使用における特性安定性に特に優れ、低温環境下もしくは高速の電子写真プロセスで用いられた場合または光に曝された場合の特性変化および前述の特性の膜減り依存が特に小さく、信頼性がさらに高く、かつ製造原価が低い。したがって、画像形成装置の信頼性を向上させることができるとともに、製造原価を削減することができる。
【0240】
また本発明によれば、画像形成装置に備わる電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、特定の構造を有する電荷輸送能力の高いエナミン化合物を含む電荷輸送物質およびバインダ樹脂を含有する電荷輸送層との積層構造から成る。感光層をこのように構成することによって、より高感度で、さらに繰返し使用における特性安定性も増した電気的耐久性の高い電子写真感光体が実現される。したがって、画像形成装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカラー複写機1の構成を簡略化して示す正面配置図である。
【図2】黒色画像形成用のレーザビームスキャナユニット26bおよび画像形成ステーション27bの構成を示す拡大図である。
【図3】感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図4】感光体201の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図5】感光体202の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図6】感光体203の構成を簡略化して示す部分断面図である。
【図7】製造例1−3の生成物の1H−NMRスペクトルである。
【図8】図7に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図9】製造例1−3の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルである。
【図10】図9に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図11】製造例1−3の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルである。
【図12】図11に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図13】製造例2の生成物の1H−NMRスペクトルである。
【図14】図13に示すスペクトルの6ppm〜9ppmを拡大して示す図である。
【図15】製造例2の生成物の通常測定による13C−NMRスペクトルである。
【図16】図15に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【図17】製造例2の生成物のDEPT135測定による13C−NMRスペクトルである。
【図18】図17に示すスペクトルの110ppm〜160ppmを拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカラー複写機
2,201,202,203 電子写真感光体
3 原稿送給部
4 画像読取り部
5 給紙機構
6 画像形成部
26 レーザビームスキャナユニット
27 画像形成ステーション
28 転写搬送ベルト機構
29 定着装置
52 帯電器
53 現像装置
54 転写用放電器
55 クリーニング装置
71 導電性支持体
72 電荷発生物質
73 電荷輸送物質
74,740 感光層
75 電荷発生層
76 電荷輸送層
77 バインダ樹脂
80 中間層(下引き層)
Claims (3)
- 複数の電子写真感光体と、前記複数の電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記表面に対して露光を施す露光手段と、互い異なる色の現像剤を収容し、露光によって前記表面上に形成される静電潜像を前記現像剤でそれぞれ現像する複数の現像手段と、現像によって前記表面上に形成される可視像を記録媒体上に転写させる転写手段とを備える画像形成装置であって、
前記電子写真感光体は、
導電性材料から成る導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ、電荷発生物質、下記一般式(1)で表されるエナミン化合物を含む電荷輸送物質およびバインダ樹脂を含有する感光層とを有し、
かつ前記感光層における前記電荷輸送物質の重量Aと前記バインダ樹脂の重量Bとの比率A/Bが、10/12〜10/30であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記一般式(1)で表されるエナミン化合物は、下記一般式(2)で表されるエナミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質および前記バインダ樹脂を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
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