JP3947103B2 - 肝細胞毒性に対する素因を検出する方法 - Google Patents

肝細胞毒性に対する素因を検出する方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、薬剤誘発性肝細胞毒性に対する素因を診断する方法であって、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1)遺伝子における多型を判定することを含む方法に関する。
【0002】
UGT1は、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)遺伝子スーパーファミリーの一員である。UGT酵素は、生体内生物質および生体異物性物質の水溶性を高めるために、糖ヌクレオチドのグルクロノシル基を疎水性低分子(アグリコン)に付加する反応を触媒する。UGT酵素は、多くの薬剤の代謝に関与する。この酵素スーパーファミリーに関する総説としては、Parmacogenetics (1997) 7, 255〜269を参照されたい。国際特許出願国際公開公報第92/12987号には、少なくとも9種類のUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼのイソ酵素が存在することが記載されている。
【0003】
Ritterら、J.Clin.Invest.(1992), 90, 150〜155;Aomooら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1993), 197, 1239〜1244; Moghrabiら、Am.J.Hum.Genet.(1993), 53, 722〜729; Labruneら、Hum Genet.(1994), 94, 693〜697、およびSeppenら、J.Clin.Invest.(1994),268,2385〜2391によれば、これらの酵素の一つであって、UGT1遺伝子座にコードされているヒト・ビリルビン・グルクロノシルトランスフェラーゼ遺伝子は、遺伝子欠損症と関連がある。
【0004】
多型という用語は、特定のDNA配列中のある位置で異なったヌクレオチドが存在しうるという観察結果に関連している。遺伝子の多型は、ゲノム全体のどこにでも生じる。遺伝子の多型は、その遺伝子がコードするタンパク質の構造が変化することによって、または、その遺伝子の発現量に影響を与えることによって、遺伝子の機能に影響を与えることがある。
【0005】
個体間における遺伝子変異または多型が、個体間に見られる生物学的な差異の大きな原因である。また、遺伝子変異は、薬剤に対して個体が示す反応に違いをもたらす。
【0006】
インビトロ実験によって、UGT1A6遺伝子とUGT1A7遺伝子における変異が、これらの遺伝子がコードする酵素の特異的な基質に対する酵素活性に影響を与えることが示されている。
【0007】
ヒトUGT1A6(血漿フェノール)UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼにおける遺伝子多型と、その薬理学的意味が、Ciottiら、Pharmacogenetics (1997), 7, 485〜495に記載されている。クロニーングされ、単離されたUGT1A62対立遺伝子変異体(Thr181AlaおよびArg184Serという変異を含む)をCOS細胞で発現させたところ、pH 6.4で、基質である4−ニトロフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、4−ヒドロキシクマリン、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンを、野生型イソ酵素の僅か27〜75%の速度で代謝した。1−ナフトール、3−ヨードフェノール、7−ヒドロキシクマリン、および7−ヒドロキシ−4−メチルクマリンは、正常なレベルで代謝された。3−O−メチル−ドーパ、およびメチルサリチル酸は、野生型イソ酵素の41〜74%の速度で代謝され、また、β−受容体遮断薬は、野生型イソ酵素の28〜69%の速度で代謝された。
【0008】
Guillemeteら、Parmacogenetics (2000) 10, 629〜644は、クロニーングされ、単離された3種類のUGT1A7対立遺伝子変異体をHEK細胞で発現させると、3−、7−、および9−ヒドロキシ−ベンゾ−(a)−ピレンに対して、野生型酵素に較べて異なった触媒活性を示すことを明らかにしている。UGT1A73(Lys129Lys131Arg208)は、野生型UGT1A71(Asn129Arg131Trp208)と較べて5.8倍低いVmax値を示したのに対し、UGT1A72(Lys129Lys131Trp208)およびUGT1A74(Asn129Arg131Arg208)は、UGT1A71に較べて2.6倍および2.8倍低いVmax値を示した。上記の結果は、UGT1遺伝子における遺伝的変異をクロニーングし、培養細胞の中で発現させると、対応する遺伝子産物の酵素活性が、特定の基質に対して影響しうることを示してはいるが、ヒト個体において、このような変異が、これら基質の代謝に重大な影響を及ぼすとの証拠を示してはいない。
【0009】
今では、UGT1A6およびUGT1A7を含むUGT1遺伝子複合体における特定の遺伝子変異が、これら酵素によって代謝される薬物に対する各患者の反応に影響することが分かっている。
【0010】
薬理遺伝学は、多型に関する知識を用いて、遺伝子変異が、薬物応答に関する個体間の違い、すなわち、薬物代謝に個人差があることから屡々生じる違いにおいて果たす役割を研究する方法である。薬理遺伝学は、特定の薬剤による治療に最も適した患者を同定するために役立つ。この方法を薬学研究において用いて、薬剤選択プロセスに役立てることもできる。多型は、疾患の遺伝的要素を解明するためにヒトゲノムのマッピングに利用される。薬理遺伝学の詳細、および多型検出法のその他の利用法については、Linderら、(1997), Clinical Chemistry, 43, 254; Marshall (1997), Nature Biotechnology, 15, 1249;国際特許出願国際公開公報第97/40462号、スペクトラ・バイオメディカル社(Spectra Biomedical);およびSchaferら、(1998), Nature Biotechnology, 16, 33に記載されている。
【0011】
有害事象または異常事象など、一定の臨床上の特徴と結びついた特定の変異または多型は、集団内での頻度が低い可能性が高いため、このような変異を同定する上では、低頻度SNPが特に有用である(例えば、「シスタチオニンβシンターゼ(CBS)遺伝子座における連鎖不平衡、および、CBS遺伝子座における遺伝子変異と血漿中のホモシステイン量との関係(Linkage disequilibrium at the cystathionine beta synthase (CBS) locus and the association between genetic variation at the CBS locus and plasma level of homocysteine)」(De Stefanoら、Ann.Hum.Genet.(1998) 62, 481〜90)、「フォンウィルブランド因子(vWF)遺伝子座における変異は、血漿中のvWF:Ag量に関係する:vWF遺伝子プロモーターにおける3つの新規一塩基多型の同定(Variation at the von Willebrand factor (vWF) gene locus is associated with plasma vWF: Ag levels: identification of three novel single nucleotide polymorphisms in the vWF gene promoter)」(Keightleyら、Blood (1999) 93, 4277〜83)などを参照されたい)。
【0012】
薬学的に有効な薬剤を人間に投与すると、稀な場合に肝細胞毒性に至ることが分かっている。典型的な例は、トルカポン(tolcapone)の治験に参加していたパーキンソン病(PD)患者の一部で肝臓トランスアミナーゼ活性の可逆的で無症候性の上昇が見られたことである。これらの実験は、稀な場合に、トルカポンが肝臓トランスアミナーゼ活性の可逆的で無症候性の上昇を誘発しうることを示している。このため、肝細胞毒性の指標となる、このような肝臓の異常の発生と、一定の遺伝的素因との間に相関関係があるか否かを確認したいとの要求があった。今では、トルカポン(タスマール:TASMAR)の代謝および薬理に関与する遺伝子の変異が、一定の個体における代謝活性に異常をもたらし、この薬剤またはその代謝産物の蓄積が毒性レベルにまで達する結果となることが知られている。
【0013】
臨床試験によって、薬剤治療に対する患者の応答が、しばしば不均一になることが示されている。したがって、薬剤の設計および治療に対する改良法に対する需要もある。
【0014】
このため、本発明は、素因となる遺伝子型を同定するための遺伝子診断ツールを提供する。該ツールは、人間からの試料中に含まれているUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1)遺伝子における少なくとも一個の一塩基多型を判定することによって、薬学的に有効な化合物を人間に投与することによって生じる肝細胞毒性反応に対する素因を検出することからなる方法であって、配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1遺伝子のエキソン5における908位のヌクレオチドを判定すること、および、UGT1における多型を参照することによって当人の状態を判定することを含む方法を提供する。または、あるいは、これに加えて、本方法は、配列番号2に記載された、UGT1A6遺伝子のエキソン1における528位のその人の核酸の配列を決定すること、もしくは、配列番号3に記載された、UGT1A7遺伝子のエキソン1における197位のその人間の核酸の配列を決定すること、および、UGT1における多型を参照することによってその人の状態を判定することを含む。
【0015】
人のUGT1遺伝子が、代謝活性に異常をもたらすような変異を含んでいる場合には、その人は肝毒反応に対する素因を有する。
【0016】
配列番号1は、GenBankアクセッション番号M84124を表し、UGT1のエキソン5を提示するものである。
【0017】
【表1】
Figure 0003947103
Figure 0003947103
【0018】
本発明は、UGT1遺伝子座における新規の一塩基多型(SNP)を発見したことに基づく。すなわち、
配列番号1の908位。この位置における多型は、UGT1遺伝子座のエキソン5において、ヌクレオチドGがCに置換されることからなり、
配列番号2の528位。この位置における多型は、UGT1A6遺伝子のエキソン1において、ヌクレオチドAがGに置換されることからなり、
配列番号3の197位。この位置における多型は、UGT1A7遺伝子のエキソン1において、ヌクレオチドCがGに置換されることからなる。
【0019】
本明細書において、UGT1遺伝子は、すべてのUGT1Aイソ酵素のエキソンをコードする配列、エキソン配列の間に介在するイントロン配列、および、すべてのUGT1Aイソ酵素をコードするUGT1遺伝子のプロモーター因子などを含む、3′末端ならびに5′末端にある非翻訳領域(3′UTRおよび5′UTR)を含むものとする。
【0020】
配列番号2は、GenBankアクセッション番号M84130を表し、UGT1A6のエキソン1を提示するものである。
【0021】
【表2】
Figure 0003947103
【0022】
配列番号3は、GenBankアクセッション番号U39570を表し、UGT1A7のエキソン1を提示するものである。
【0023】
【表3】
Figure 0003947103
【0024】
さらに、本発明は、人間のUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1)遺伝子座における一個以上の一塩基多型を判定することによって、薬学的に有効な化合物を人間に投与した後の肝細胞毒性に対する素因を検出する方法であって、さらに、以下の位置における多型を判定する方法に関する。
配列番号2に記載された位置によるところの、UGT1A6のエキソン1における232位、
配列番号2に記載された位置によるところの、UGT1A6のエキソン1における754位、
配列番号2に記載された位置によるところの、UGT1A6のエキソン1における765位、
配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における551位、
配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における555位、
配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における556位、または、
配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における786位。
【0025】
配列番号2のUGT1A6のエキソン1における232位での多型は、この位置におけるヌクレオチドTがGによって置換されることからなる(その結果、対応するタンパク質の7位のアミノ酸がセリン(Ser)からアラニン(Ala)に換わる)。
【0026】
配列番号2の754位における多型は、UGT1A6のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドAがGに置換されることからなる(その結果、対応するタンパク質の181位のアミノ酸がスレオニン(Thr)からアラニンに換わる)。
【0027】
配列番号2の765位における多型は、UGT1A6のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドAがCに置換されることからなる(対応するタンパク質の184位のアミノ酸がアルギニン(Arg)からセリンに換わる)。
【0028】
配列番号3の551位における多型は、UGT1A7遺伝子のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドTがGに置換されることからなり、その結果、対応するタンパク質の129位のアミノ酸がアスパラギン(Asn)からリジン(Lys)に換わる。
【0029】
配列番号3の555位における多型は、UGT1A7遺伝子のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドCがAに置換されることからなる。その結果、サイレント変異となる(配列番号3の556位のヌクレオチドがGからなる場合)か、または、対応するタンパク質の131位のアミノ酸がアルギニンからリジンに換わる(配列番号3の556位のヌクレオチドがAからなる場合)。
【0030】
配列番号3の556位における多型は、UGT1A7遺伝子のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドGが置換されることからなり、その結果、555位のヌクレオチドがCの場合には、対応するタンパク質の131位のアミノ酸がアルギニンからグルタミン(Gln)に換わり、555位のヌクレオチドがAの場合には、131位のアミノ酸がアルギニンからリジンに換わる。
【0031】
配列番号3の786位における多型は、UGT1A7遺伝子のエキソン1のこの位置におけるヌクレオチドTがCに置換されることからなる(その結果、対応するタンパク質の208位のアミノ酸がトリプトファン(Trp)からアルギニンに換わる)。
【0032】
このように、本発明は、少なくとも一つの一塩基多型を判定することによって、薬学的に有効な化合物を人間に投与した後の肝細胞毒性に対する素因を検出する方法であって、UGT1遺伝子座のエキソン5の908位における一塩基多型が、CまたはGが存在することからなり、UGT1A6遺伝子座のエキソン1の528位における一塩基多型が、GまたはAが存在することからなり、UGT1A7遺伝子座のエキソン1の197位における一塩基多型が、GまたはCが存在することからなり、UGT1A6遺伝子座のエキソン1の232位における一塩基多型が、GまたはTが存在することからなり、UGT1A6遺伝子座のエキソン1の754位における一塩基多型が、AまたはGが存在することからなり、UGT1A6遺伝子座のエキソン1の765位における一塩基多型が、AまたはCが存在することからなり、UGT1A7遺伝子座のエキソン1の551位における一塩基多型が、GまたはTが存在することからなり、UGT1A7遺伝子座のエキソン1の555位における一塩基多型が、AまたはCが存在することからなり、UGT1A7遺伝子座のエキソン1の556位における一塩基多型が、AまたはCが存在することからなり、また、UGT1A7遺伝子座のエキソン1の786位における一塩基多型が、CまたはTが存在することからなる方法に関する。
【0033】
肝細胞毒性反応を惹き起こす薬学的有効化合物は数多く知られている。そのような化合物の例には、エンタカポン(entacapone)、ニテカポン(nitecapone)、またはトルカポン(tolcapone)などのニトロカテコール系誘導体がある。これら薬剤の主要な代謝経路はグルクロン酸抱合である。
【0034】
グルクロン酸抱合は、薬剤などの異物性物質の多くを除去する重要な経路である。UGT1酵素は、多くの薬剤を含む多くの内在基質および外来基質のグルクロン酸抱合を触媒することが知られている。人間の被験者における薬理動態学的実験によって、人体からのトルカポン排出の主要な経路はグルクロン酸抱合であることが示されている(Jorgaら、Br.J.Clin.Pharmacol.(1999), 4, 513〜20)。薬剤排出経路における欠陥は、有害効果をもたらすことがある。本発明は、その中には、薬剤など、多くの基質のグルクロン酸抱合活性に影響を与えるものがあることが、インビトロ実験において知られている遺伝子変異であって、薬剤による治療を受けた人間の患者に有害効果を生じさせることと有意に関連する遺伝子変異の例を初めて示すものである。これらの結果から、本明細書に記載の方法は、UGT1酵素によって代謝される薬剤の有害作用に対する素因を予測することに応用することができると結論づけることができる。
【0035】
UGTによる薬剤のグルクロン酸抱合は、哺乳動物の解毒系における主要な第II相抱合反応である(Burchellら、Life Sci.(1995), 57, 1819〜31)。UGTにおける多型は、基質の結合に顕著に影響することがあり、臨床的な症候群として表れる(内生する基質が影響を受ける場合)か、薬剤に対する反応の変化、および/または有害事象として表れる(薬剤が影響を受ける場合)ことがある。したがって、一般的に、UGT1遺伝子における遺伝子配列の多型生を同定することが重要である。多型配列を含む核酸はスクリーニング測定に利用することができ、また、個体の遺伝子型同定に利用することもできる。遺伝子判定情報を用いて、各人のUGT1基質の代謝速度、薬剤と薬剤の相互作用の可能性、および有害/副作用や、環境的または職業上毒物に曝されることから生じる病気を予測することができる。これらの核酸を用いて、薬物代謝についての動物の細胞モデルおよびインビトロモデルを確立することができる。以下に同定された多型はすべて、個人のUGT1基質の代謝速度、薬剤と薬剤の相互作用の可能性、有害/副作用、および、環境的または職業上毒物に曝されることから生じる病気と関連づけることができる。
【0036】
【表4】
Figure 0003947103
【0037】
表1のSNP位置は、常に、公開データベースにおける特定のアクセッション番号と、本明細書に示した対応配列番号をもつ配列中の位置を表している。遺伝子型同定のためのプライマー配列は、方法の項に示してある。塩基置換に関しては、野生型対立遺伝子を最初に記載している。アミノ酸置換についても同様である。配列番号1〜3は上記してある。配列番号4〜8は以下の通りである。
【0038】
配列番号4は、GenBankアクセッション番号U39550を表し、UGT1A10のエキソン1を提示するものである。
【0039】
【表5】
Figure 0003947103
【0040】
配列番号5は、GenBankアクセッション番号U42604を表し、UGT1A8のエキソン1を提示するものである。
【0041】
【表6】
Figure 0003947103
【0042】
配列番号6は、GenBankアクセッション番号AF056188を表し、UGT1A9のエキソン1を提示するものである。
【0043】
【表7】
Figure 0003947103
Figure 0003947103
【0044】
配列番号7は、GenBankアクセッション番号M84122を表し、UGT1Aのイントロンを提示するものである。
【0045】
【表8】
Figure 0003947103
【0046】
配列番号8は、GenBankアクセッション番号M84123を表し、UGT1Aのエキソン4を提示するものである。
【0047】
【表9】
Figure 0003947103
【0048】
本発明に係る方法は、例えば、対立遺伝子特異的増幅法(すなわち、商標ARMS−対立遺伝子特異的増幅法;ARMSとは、増幅不応変異法(amplification refractory mutation system)のことである)、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(ASH)、オリゴヌクレオチドライゲーション測定法(OLA)、および制限酵素断片長多型法(RFLP)など、単一塩基の変異を検出するための適当な方法を用いて行なうことができる。
【0049】
人間の体質は、配列番号1に記載された位置によるところの、エキソン5の908位における対立遺伝子変異、および、必要があれば、多型を示す1個以上の別の位置における対立遺伝子変異を参照することによって判定することができる。
【0050】
該多型をもつ核酸の試験用試料は、便宜的には、血液、気管支肺胞洗浄液、痰、尿、もしくはその他の体液、または個体から採取した組織などの試料である。試験用試料は、試験用試料中の核酸配列に相当する核酸配列と同等であると理解すべきである。すなわち、試験用核酸中のすべての領域、または一部の領域は、対立遺伝子変異を分析する前に、まず、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応(LCR)など、適当な技術を用いて増幅することができると考えられる。
【0051】
本発明の多型位置の一つ以上に変異ヌクレオチドが存在するか否かを検出するために使用できる分析手法が数多くあることは、当業者に明らかなことである。一般的に、対立遺伝子変異を検出するには、変異を区別する技術、選択的には増幅反応法、さらに選択的にはシグナル発生系が必要である。国際特許出願国際公開公報第00/06768号は、増幅法および変異検出技術をいくつか列挙しており、そのうちのいくつかはPCRを利用したものである。これらを、いくつかのシグナル発生系と組み合わせて用いることができ、その選択法も国際公開公報第00/06768号に列挙されている。対立遺伝子変異を検出する最新の方法の多くが、Nollauら、Clin.Chem.43, 1114〜1120, 1997や、例えば、U.Landegren編「変異検出のための実験プロトコール(Laboratory Protocols for Mutation Detection)」、オクスフォード大学出版(Oxford University Press)、1996、および、NewtonとGraham著「PCR」第2版、BIOS Scientific Publishers Limited, 1997などの一般的な教科書において概説されている。
【0052】
また、本発明は、その配列の中に、UGT1のエキソン5の908位における多型(配列番号1)、エキソン1の754位における多型(配列番号2)、またはエキソン1の765位における多型を含む、診断用核酸に関する。
【0053】
「診断用核酸」という用語は、ヒトUGT1遺伝子の一部または全部に相当する、長さ17ヌクレオチド以上の塩基配列を意味する。診断用核酸は、好ましくは、多型を発現する、ヒトUGT1遺伝子の一部である。長さ17〜100ヌクレオチドが好ましい。
【0054】
さらに、本発明は、UGT1遺伝子における多型を検出するための診断用プライマーであって、その配列内に上記の多型を含む核酸にハイブリダイズすることができるプライマーとして使用することができる対立遺伝子特異的プライマーに関する。
【0055】
対立遺伝子特異的プライマーは、通常、定常プライマー(constant primer)とともに、PCR反応などの増幅反応に使用され、例えば、商標ARMS測定法に用いられるような、特定の配列位置における一個のアレルを選択的に増幅することによって、対立遺伝子を区別できるようにする。対立遺伝子特異的プライマーの長さは、好ましくは17〜50ヌクレオチド、より好ましくは約17〜35ヌクレオチド、最も好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0056】
好ましくは、対立遺伝子特異的プライマーは、検出しようとする対立遺伝子と正確に対応したプライマーであるが、その派生配列であって、3′末端側の約6〜8個のヌクレオチドが、検出しようとする対立遺伝子に一致し、残りのヌクレオチドのうち8個、6個、4個、2個または1個など、10個までが、プライマーの性質に重大な影響を与えることなく変化している配列も考えられる。しばしば、示差的プライマー結合、および、正しい対立遺伝子識別プライマーのみからの選択的伸長反応を最適化するために、(3′末端に対して)−2および/または−3位にあるヌクレオチドをミスマッチさせる。
【0057】
このような診断用対立遺伝子特異的プライマーの適当な例は以下の通りである。
【0058】
【表10】
Figure 0003947103
【0059】
適当な合成方法を用いて、プライマーを製造する。このような方法の例は、例えば、分子生物学の方法シリーズ(Methods in Molecular Biology Series)第20巻、Sudhir Agrawal編「オリゴヌクレオチドおよび類似化合物のためのプロトコール;合成法と特性(Protocols for Oligonucleotides and Analogues; Synthesis and Properties)」ヒューマナ社(Humana)ISBN: 0-89603-247-7; 1993; 第1版。必要であれば、プライマーを標識して検出を容易にすることができる。
【0060】
さらに、本発明は、UGT1遺伝子における多型を検出するための対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブであって、上で定義したような多型をその配列中に含む診断用核酸にハイブリダイズすることができるプローブに関する。
【0061】
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの長さは、好ましくは、17〜50ヌクレオチド、より好ましくは、約17〜35ヌクレオチド、最も好ましくは、約17〜30ヌクレオチドである。
【0062】
このようなプローブの設計法は、当業者には自明である。通常、このようなプローブは、遺伝子において対応する野生型または変異遺伝子座に完全に相補的な塩基配列を含んでいる。しかし、必要であれば、オリゴヌクレオチドプローブの識別力に不当に影響しない限り、一つ以上のミスマッチを導入することも可能である。本発明のプローブは、検出を容易にするために標識を一つ以上持っていてもよい。
【0063】
さらに、本発明は、UGT1遺伝子における多型を検出するための一つ以上の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーまたは対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含む診断用キットに関する。
【0064】
診断用キットは、適当な包装と、本発明の方法において使用するための説明書を含むことができる。このようなキットは、さらに、一つ以上の適当な緩衝液、例えば、Taqポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼなどのポリメラーゼを一種類以上含むこともできる。また、このようなキットは、コンパニオン/定常プライマー、および/または対照用プライマーまたはプローブを含むこともできる。コンパニオン/定常プライマーとは、PCRを行なうために使用されるプライマーペアの一部のプライマーである。このようなプライマーは、大抵、鋳型鎖に正確に相補する。
【0065】
さらに、本発明は、トルカポンのような薬学的に有効な化合物と、本発明の方法に従って、診断として一塩基多型を検査される人にその薬剤を投与するための指示説明書が入った医薬梱包物に関する。
【0066】
さらに、本発明は、UGT1のエキソン5の908位における多型に関する配列情報を保存していあるコンピュータで読み出し可能な媒体に関する。
【0067】
さらに、本発明は、配列同定を行なう方法であって、例えば、エキソン5の908位における多型部位をもつ核酸配列、またはその相補鎖、もしくは、その断片であって20塩基以上のものを提供するステップ、および、該核酸配列を、一つ以上の別の核酸配列またはポリペプチド配列と比較して、その同一性を確認するステップを含む方法に関する。
【0068】
別段の定義ない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野における当業者によって共通に理解されている意味と同じ意味をもつ。
【0069】
以下の実施例は、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明と見なされる範囲を制限するためのものではない。
【0070】
【実施例】
トルカポンによって誘発される肝細胞毒性の解析
患者の選択
本実験のプロトコールとインフォームド・コンセント書類は、承認を得るため、それぞれの国の地域倫理委員会に提出された。すべての患者が、彼らの血液試料を遺伝子型同定に用いるためのインフォームド・コンセントを書面で提出した。患者の気持ちが変わったときには、一ヶ月後まではこの同意を撤回することができた。
【0071】
試料のすべてに新しく別個の番号を割り当て、サンプル収集してから一ヶ月後に、新しい番号と当初の番号の間のリンクを削除した。これは、患者の秘密保持を確保するための追加的な措置であったが、結果的に、患者の名前、または最初の臨床試験で用いられた番号からは遺伝子型情報を得ることができなくなった。約15年間で、すべての血液およびDNAの試料は破壊されることになっている。
【0072】
まず、以前臨床試験でトルカポンを投与された645人の患者が、今回の遡及的遺伝子解析に含まれていると考えられた。これには、正常値の上限(ULN)の1.5倍以上の肝臓酵素量を示した患者215人と、正常な肝臓酵素量を示した患者430人が含まれていた。肝臓のトランスアミナーゼ(ELT)が上昇している患者はそれぞれ、性別および年齢が適合するよう、2人以上の対照患者と組み合わせた(対象となった患者の大多数は白人であったため、人種による適合は必要ではなかった)。病気の重症度は、最初の試験における試験対象患者基準によって、既に調整されていた。215人のELT患者のうち、135人のELT患者が実験に参加し、31人は、彼らの研究者が、実験を行なうための倫理委員会の承認を得られなかったため参加しなかった。また、49人の患者は、追跡調査できなかったか、死亡した。全部で409人の患者が、この薬理遺伝学的解析に参加した。さまざまな治験地点や国にわたる患者の分布を表2に示す。
【0073】
【表11】
Figure 0003947103
【0074】
試料調製
一個の血液試料(9ml)をEDTAチューブに採集した。これらを凍結して、−20℃〜−70℃で保存してから、スイスのバーゼルにあるロシュ中央試料事務所(Roche Central Sample Office: CSO)に送り、そこで3本のチューブに分割し、患者の匿名性を確保するため、バーコード標識に新しい別個のコード番号を割り当てた。2本の血液試料(1mlと4ml)は、カリフォルニア州アラメダにあるロシュ・モレキュラー・システムズ社(Roche Molecular Systems: RMS)のロシュ・サンプル貯蔵施設(RSR)に送られた。残りの4mlの等量液は、スイスのバーゼルにあるCSOにおいて−80℃で保存した。RSRにおいて試料に対して行われた処置はすべて、GCPガイドラインを用い、確立された標準的な操作手順に従って行なった。
【0075】
シリカゲルによる抽出法(QiaAmp DNA血液キット、カリフォルニア州バレンシア(Valencia, CA))を用いて、400μlの全血からDNAを抽出した。対照は、10mM Tris pH 8.0,1mM EDTA (TE)緩衝液、および、DNAの収量が分かっている血液ユニットからの全血を含んでいた。
【0076】
試料は、8個の異なった一塩基多型(SNPs)について、Newtonら、Nucleic Acids Res.(1989), 17(7), 2503〜16に記載された方法である、PCRプライマーと増幅しようとする鋳型との間の3′末端側ミスマッチに依存する増幅不応変異システム(ARMS)を用いて遺伝子同定した。
【0077】
増幅不応変異システム(ARMS、Nucleic Acids Res.(1989), 17(7), 2503〜16)と、ポリメラーゼ連鎖反応のキネティック・サーマル・サイクラー(kinetic thermal cycler: KTC)方式を用いて、DNAにおける点突然変異の解析結果を変換した。この方法では、蛍光プローブを使用することなく、一本のチューブにおける一塩基多型(SNP)を区別することが可能になる(Higuchiら、Biotechnology (1993), 11, 1026〜1030)。
【0078】
KTC方式では、DNAインターカレート色素と、蛍光検出用CCDカメラが付属したサーマル・サイクラー(PE−バイオシステムズ社(PE-Biosystems)のGeneAmp 5700配列検出装置)を用いて、二本鎖増幅産物の生成を監視する。アニーリングと変性の各周期毎にPCR増幅用プレートの各ウェルの蛍光を測定する。相対的蛍光度が、PE−バイオシステムズ社から購入したSDSソフトウエアを用いて0.5という閾値に達したときのサイクルをCと定義した。
【0079】
増幅反応は、アレル特異的になるよう設計されていたため、多型が存在すると増幅反応は陽性となり、多型が存在しなければ増幅反応は陰性となった。各2アレル多型については、増幅用プレートの一つのウェルをアレル1に特異的になるよう設定し、別のウェルをアレル2に特異的になるよう設定した。検出しようとする多型のそれぞれについて、3種類のプライマー−2つはアレル特異的プライマー、および1つは共通プライマー(表3)−を設計した。アレル1のための反応液には、アレル1特異的プライマーと共通プライマーが含まれており、アレル2の反応液には、アレル2特異的プライマーと共通プライマーが含まれていた。
【0080】
【表12】
Figure 0003947103
【0081】
増幅条件は以下の通りである。10mM Tris pH 8.0、40mM KCl、2mM MgCl2、dATP,dCTP,dGTPを各々50μm、TTPを25μm、dUTPを75μm、4% DMSO、0.2X SyBrグリーン(オレゴン州ユージーン(Eugene, OR)にあるモレキュラー・プローブ社(Molecular Probe))、2% グリセロール、ウラシルN−グリコシラーゼ(UNG、2単位)、ストッフェル・ゴールド(Stoffel Gold)・DNAポリメラーゼ(15単位、参考として、Nature (1996), 381, 445〜6を参照されたい)、および、各ウェルにつき85μl容量にしたプライマー。各測定に使用されるプライマー濃度を表2に示す。そして、30ngのDNAを15μlの容量にして、各ウェルに加えた。
【0082】
前に存在していた増幅産物が混入する可能性を下げるため、このアッセイ法は、増幅産物にdUTPを取り込ませる手順を含み、前に存在していたUを含む産物をUNGによって分解させるためのインキュベートのステップを含んでいた(Longoら、Gene (1990), 93, 125〜128)。
【0083】
分注用ロボット(コネチカット州メリデン(Meriden, CT)にあるパッカード・マルチプローブII(Packard Multiprobe II))を用いて、実験管理データベースによって作成されたバーコード標識によって識別される96−ウェルの増幅用プレートの中で増幅用反応液を調製した。ロボットによって行なわれる処理のパラメータは、クロスコンタミネーションの可能性が最小になるよう設定された。81の試料の各プレート毎に、5個の試料を2回反復して行い、反復した結果を解析して、それらが合致するか判定した。
【0084】
サーマル・サイクリングの条件は、以下の通りである。以前に混入したPCR産物をUNG分解するために50℃で5分間、ストッフェル・ゴールド・ポリメラーゼを活性化するために95℃で12分間、95℃での変性と表2に示したアニーリング温度でのアニーリングを55回繰り返した後、60℃〜95℃まで1分間に1℃ずつ増加させる解離ステップを行う。増幅反応は、PE-Biosystems GeneAmp 5700配列検出装置(SDS)(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City,CA))で行なった。解離曲線の最初の導関数は、SDSソフトウエアによって作成され、所定の反応における蛍光が、非特異的プライマーのダイマーによるのではなく、十分に明確な解離ピークをもつ特異的産物を増幅したためであることを確認するために必要とされる試験を行なった。産物の区別は、K.M.Ririeら、Anal.Biochem.(1997), 245, 154〜160の方法に従って、PCR過程でのDNA融解カーブを解析して行なった。
【0085】
各増幅反応のCを測定し、アレル1とアレル2のCの違い(ΔC)を測定結果として用いた。−3.0〜3.0までのΔCをもつ試料をヘテロ接合(A1/A2)と見なした。−3.0よりも小さなΔCをもつ試料をA1についてホモ接合(A1/A1)とみなし、3.0よりも大きなΔCをもつ試料をA2についてホモ接合(A2/A2)とみなした。ほとんどの場合、この3つの遺伝子型グループ間におけるC値の違いは十分に明確であり、3.0に近いC値をもつ試料は矛盾する試料として再試験した。
【0086】
各測定を、14の細胞株のDNAからなるパネル上で行い、各測定プレート(A1/A1、A1/A2、およびA2/A2)上で対照として用いるのに適した遺伝子型をもつ細胞株を同定した。細胞株DNAは、カリフォルニア州アラメダにあるロシュ・モレキュラー・システムズ社(RMS)の人類遺伝学部門(Human Genetics Department)から入手し、Qiagen抽出用キット(QiaAmp DNA血液キット、カリフォルニア州バレンシア)を用いて抽出したものである。DNA配列決定法によって、細胞株DNAの遺伝子型を確認した。3種類の細胞株DNA(A1/A1、A1/A2、およびA2/A2)を、臨床試験用試料のそれぞれのプレートで対照として使用し、プレート間の変動を判定するために用いた。さらに、各測定毎に、2つの細胞株からのDNAを4回反復して測定し、プレート内での測定値の変動を判定した。対照の細胞株について得られたC値を解析して、臨床試験用試料で得られたΔC値に対するカットオフ値を決定した。
【0087】
各ウェル毎のC値を含むデータファイルをSDSソフトウエアによって作成し、実験管理用データベースに入力した。別個のコード番号で識別される最終遺伝型を含むデータファイルをデータベースから抽出して、統計解析を行うために、この別個のコード番号でも識別される臨床データを対応させた。
【0088】
この他の一塩基多型(SNPs)の発見については、ABIキャピラリーシークエンサーとBigDye化学法(ABI)を用いた二本鎖DNA配列決定法によって、遺伝子型同定を行なった。すべてのエキソンを増幅するために使用したプライマーを下記に示すが、これらは、配列決定用プライマーとしても使用された。公開されているゲノム配列をプライマー設計用の参考として利用した。これらのプライマーペアのセットによってすべての多型を標的とした。
【0089】
【表13】
Figure 0003947103
【0090】
プライマーUGT1A6−F1は、配列番号2に記載された位置によるところの、UGT1A6のエキソン1における3〜22位に対応し、プライマーUGT1A6−R1は、相補鎖に対応し、配列番号2に記載された位置によるところの、571〜590位にハイブリダイズする。プライマーUGT1A6−F2は、配列番号2に記載された位置によるところの、UGT1A6のエキソン1における381〜400位を表している。プライマーUGT1A6−R2は、相補鎖に対応し、配列番号2に記載された位置によるところの、901〜921位にハイブリダイズする。
【0091】
プライマーUGT1A7−F1は、配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における78〜98位に対応する。プライマーUGT1A7−R1は、相補鎖に対応し、配列番号3に記載された位置によるところの、696〜715位にハイブリダイズする。プライマーUGT1A7−F2は、配列番号3に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における459〜478位に対応する。プライマーUGT1A7−R2は、相補鎖に対応し、配列番号3に記載された位置によるところの、1190〜1212位にハイブリダイズする。
【0092】
プライマーUGT1A8−Fは、配列番号5に記載された位置によるところの、UGT1A8のエキソン1における1〜20位に対応する。プライマーUGT1A8−Rは、配列番号5に記載された位置によるところの、479〜500位にハイブリダイズする。
【0093】
プライマーUGT1A9−Fは、配列番号6に記載された位置によるところの、UGT1A9のエキソン1における1〜18位に対応する。プライマーUGT1A9−Rは、配列番号6に記載された位置によるところの、257〜277位にハイブリダイズする。
【0094】
プライマーUGT1A10−Fは、配列番号4に記載された位置によるところの、UGT1A7のエキソン1における596〜615位に対応する。プライマーUGT1A10−Rは、配列番号4に記載された位置によるところの、1177〜1194位にハイブリダイズする。
【0095】
プライマーUGT1Ain−Fは、配列番号7に記載された位置によるところの、UGT1Aのイントロンにおける10〜31位に対応する。プライマーUGT1Ain−Rは、配列番号7に記載された位置によるところの、475〜496位にハイブリダイズする。
【0096】
プライマーUGT1ex4−Fは、配列番号8に記載された位置によるところの、UGT1Aのエキソン4における291〜310位に対応する。プライマーUGT1ex4−Rは、配列番号8に記載された位置によるところの、761〜784位にハイブリダイズする。
【0097】
プライマーUGT1ex5−1−Fは、配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1のエキソン5における63〜82位に対応する。プライマーUGT1ex5−1−Rは、配列番号1に記載された位置によるところの、684〜703位にハイブリダイズする。プライマーUGT1ex5−2−Fは、配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1のエキソン5における461〜480位に対応する。プライマーUGT1ex5−2−Rは、配列番号1に記載された位置によるところの、1082〜1101位にハイブリダイズする。プライマーUGT1ex5−3−Fは、配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1のエキソン5における959〜976位に対応する。プライマーUGT1ex5−3−Rは、配列番号1に記載された位置によるところの、1261〜1280位にハイブリダイズする。
【0098】
40ngのゲノムDNAを、50μlの反応液において、自動PCR装置を用いてPCR増幅した。反応条件は以下の通り多様であった。UGT1A6−断片を増幅するための条件は以下の通りであった。10mM Tris pH 8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.2mM各dNTP、0.4μM各プライマー、および1.5 Uベーリンガー(Boehringer)Taqポリメラーゼ。温度周期プロトコールは、まず、95℃で15分間、その後、94℃で1分間、57℃で30秒間、72℃で1分間を35回繰り返し、最後に72℃で10分間という伸長ステップからなる。UGT1A7−1断片は、1.5mM MgCl2、0.2mM各dNTP、0.4μM各プライマー、および1.5 UベーリンガーTaqポリメラーゼを添加したQiagen PCR緩衝液を用いて増幅した。温度周期プロトコールは、アニーリング温度を61℃とした以外は、UGT1A6−断片のときと同じであった。UGT1A7−2断片については、PCR条件は以下の通りである。150mM Tris pH 8.5、15mM (NH42SO4、3.5mM MgCl2、0.2mM各dNTP、0.4μM各プライマー、および1.5 U QiagenホットスタートTaqポリメラーゼ。温度周期は、タッチダウンPCRプロトコールを用いて行なった。最初に95℃で10分間増幅させた後、95℃で1分間、62℃で30秒間(各周期毎に0.5℃ずつ下げる)、72℃で1分間を5回繰り返し、95℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間を30回繰り返し、最後に72℃で10分間という伸長ステップを行なった。PCR増幅した後、バイオロボット9600(Biorobot 9600)上でQiaquick PCR精製キットを用いて断片を精製した。サイクルシークエンシングは、ABI BigDyeターミネーター化学法を用いて、製造者の指示に以下の変更を加えて、自動PCR装置上で行なった。2.5〜5ng/100塩基対のPCR産物を2μlのBigDyeターミネーターミックスと混合し、オリゴヌクレオチドプライマーの濃度を10pmolとし、必要があれば、5%DMSOを反応液に加え、最終反応溶液量を10μlとした。シークエンシング反応は、93℃で30秒間、48℃で30秒間、および58℃で120秒間の周期を28回繰り返し行い、その後、エタノール/NaOAc沈殿を行なった。エタノールを除去した後、SpeedVacを2分間使用して、試料を乾燥させ、45μlの超純水(メルク社(MERCK)、HPLC級)に再懸濁した。2.5mlをPOP5を、ポリマーとして用いたABI3700キャピラリーシークエンサーで泳動した。配列決定した後、ポリフレッド(Polyphred)ソフトウエアを用いて多型解析を行なった(ワシントン大学(University of Washington)より許可)。
【0099】
遺伝子マーカーの選択と発見
トルカポンについて知られている薬理学、および、対応および関連する遺伝子産物の活性に影響を与えうる遺伝子多型に関する文献に基づいて遺伝子マーカーを選択した。トルカポン除去の主要な代謝経路は、UGT1酵素によるグルクロン酸抱合である。
【0100】
UGT1酵素における多型に加えて、トルカポン代謝(図1)に関与する以下の酵素をコードする遺伝子における遺伝子多型も選択した。Lachmanら、Pharmacogenetics (1996), 6, 243〜250に記載されたカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT);N−アセチルトランスフェラーゼ(NAT2、参考には、Vatsisら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1991), 88, 6333〜6337;Bandmannら、Lancet (1997), 350, 1136〜1139); Ozawaら、Chem.Biol.Interact.(1998), 109, 237〜248に記載された肝臓スルホトランスフェラーゼ(SULT1A1)、およびチトクロームP450酵素(CYP3A4、Rebbeckら、J.Natl.Cancer Inst.(1998), 50, 1225〜1229)。酸化的ストレス応答に関与するマンガン・スーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD、Shimoda-Matsubayashiら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1996), 226, 561〜565)に関する遺伝子型も調査した。
【0101】
UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ1A6(UGT1A6)はグルクロン酸抱合によってトルカポンを代謝する可能性があるため、これを選択した。アレルThr181AlaおよびArg184Serは、レボドパや他の基質に対して活性の低下を示すと記載されている(Ciottiら、Pharmacogenetics (1997), 7, 485〜495)。UGT1A遺伝子における既知の遺伝子多型は、この遺伝子クラスターの12の遺伝子の一種類のメンバーにしか影響を与えない(図2)。したがって、共通の調節領域である可能性のある領域、すなわち遺伝子の3′末端における遺伝子変異が12のUGT1A遺伝子のいずれの発現にも効果があるかもしれないと考えた。さらに、UGT1A7がトルカポンの除去に関与するかもしれないと考えた。新しい遺伝子多型を同定するために、さまざまな人種の個体から得られた47個の異なるDNA試料において、UGT1の共通エキソン2〜5および3′非翻訳領域、ならびに、UGT1A6、UGT1A7、UGT1A8、UGT1A9およびUGT1A10遺伝子のエキソン1の配列を決定した。300〜700塩基対の断片を、バイオロボット9600(Biorobot 9600)上で、Qiaquick PCR精製キットを用いてカラム精製し、ABI3700キャピラリーシークエンサー上でDyeターミネーター化学法を用いて、両鎖のシークエンシングを行なった。シークエンシング用プライマーとしてのPCR増幅用プライマーは、上で詳しく述べた。G/C変異が同定されたので、UGT1A−3′_908と名付けたが、これは以下の頻度で生じた。CC:0.63;GC:0.33;GG:0.04。数字の908は、公開データベースのGenBankアクセッション番号M84124をもつDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。さらに、UGT1A6、UGT1A7、UGT1A8、UGT1A9およびUGT1A10遺伝子において、以下の多型が同定されている。
【0102】
UGT1A6exon1_318およびUGT1A6exon1_528。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号M84130のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0103】
UGT1A7exon1_197、UGT1A7exon1_824、UGT1A7exon1_920、およびUGT1A7exon1_992。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号U39570のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0104】
UGT1A8promoter_245。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号U42604のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0105】
UGT1A9exon1_214。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号AF056188のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0106】
UGT1A10exon1_959。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号U39550のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0107】
UGT1Aintron_117およびUGT1Aintron_379。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号M84122のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0108】
UGT1Aexon4_473。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号M84123のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0109】
UGT1Aexon5_423、UGT1Aexon5_780、UGT1Aexon5_908(上記詳述)、およびUGT1Aexon5_1012。数字は、公開データベースのGenBankアクセッション番号M84124のDNA配列に対応するSNPの位置を意味する。
【0110】
患者の試料を2つのグループに分けた。グループ1は、トルカポンによる治療を受けているうちに、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値(AST:SGOT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値(ALT:SGPT)、またはビリルビン値が、研究者のULNの1.5倍以上になった症例患者からの試料を含んでいた。グループ2は、トルカポンによる治療を受けているときに測定したところ、SGOT値、SGPT値、およびビリルビン値が1×ULNよりも低い対照患者から採取した試料を含んでいた。
【0111】
各遺伝子型について、以下の解析を行なった。
a)全遺伝子型の解析:患者を以下の3つのカテゴリによって分類した。ホモ接合1/1(アレル1が2コピー、アレル2のコピーなし)、ヘテロ接合1/2(アレル1が1コピー、アレル2が1コピー)、またはホモ接合2/2(アレル1のコピーなし、アレル2の2コピー)。解析を行なって、これらのグループのそれぞれにおける症例患者の比率に違いがあるか否かを測定し、対照患者の比率と比較した。コクラン−マンテル−ヘンゼル(Cochran-Maentel-Hanszel:CMH)検定を、2×3の表で表示されたデータに適用した(2つの列は肝機能異常の有無を示しており、3つの行は、遺伝子型の3つのカテゴリを示す)。
【0112】
b)アレルの解析:症例患者におけるアレル1または2の出現と、対照患者におけるそれぞれのアレルの出現とを比較した。どちらのアレルについても、2×2の表(2つの列は肝機能異常の有無を示しており、2つの行は、それぞれのアレルの有無を示す)を用いてCMH検定を適用したところ、症例−対照のオッズ比と95%信頼区間を計算した。1.0よりも大きいオッズ比は、1.0を含まない信頼区間とともに、アレルの存在と肝機能異常の発生との間に正の関係があることを示していた。
【0113】
c)アレル計の解析:この解析は、肝機能異常をもつ患者におけるアレルの分布と、異常のない患者の分布とを比較するために行なった。肝機能異常をもつ患者の間におけるアレル1のコピー総数を、これらの症例患者におけるアレル2のコピー総数と比較した。2×2の表(2つの列は肝機能異常の有無を示しており、2つの行は、2つのアレルの合計を示す)を用いて、データにCMH検定を適用した。ここでも、症例−対照のオッズ比と95%信頼区間が得られた。
【0114】
結果
全部で409人のトルカポン治療を受けた患者のうち、135人では、肝酵素が上限値の1.5倍以上に上昇しており、274人は対照と一致したが、UGT1遺伝子など、トルカポンの代謝に関与する酵素をコードする遺伝子から得られるさまざまな遺伝子マーカーについて遺伝子型を同定した。顕著な関連をもたらした遺伝子マーカーの解析結果を表4〜13に示す。肝臓トランスアミナーゼの増加に対して有意な連関を示すマーカーはすべて、UGT1遺伝子におけるSNPに対応した。
【0115】
【表14】
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【0116】
トルカポン除去の主要な代謝経路はグルクロン酸抱合である。最近の遡及解析から得られた結果は、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ遺伝子における3種類の遺伝子多型と肝機能異常との間には有意な関連性があることを示した。これらの発見は、トルカポン除去が正常に行われないと、肝細胞毒性の原因になるとの仮説を裏付けている。ラットの培養肝細胞におけるインビトロ実験によって、グルクロン酸抱合および酸化を阻害すると、トルカポンの細胞毒性が強まることを示した。さらに、UGT1A6 Ala181/Ser184変異体は、Thr181/Arg184変異体に較べて、インビトロにおける活性が低下することが示された(Ciottiら、Pharmacogenetics (1997), 7, 485〜495)。このことは、Ala181が存在していて、Ser184が存在しないことが、肝異常のリスクが徐徐に高まることと関係しているとする最近の知見にも合致する。UGT1遺伝子の3′UTRに位置する多型(図2)は、トルカポンの代謝に関与するすべてのUGT1A遺伝子の発現に影響する可能性がある。または、この多型は、UGT1Aタンパク質の構造、またはこの遺伝子の発現のいずれかに影響する別の変異と連鎖不平衡になっている可能性がある。
【0117】
その他の調査したマーカーとは、顕著な関連が見られなかった。これらの結果は、調べた遺伝子の中に別の多型が分布している可能性を排除するものではない。
【0118】
これらの関連から得られたオッズ比が比較的低いのは、薬剤に誘導される肝細胞毒性が多因子的な性質を持つからである。本研究全体を通じて、トルカポンによって治療を行なうと肝臓酵素増加が起きるのは、同時投薬などの外部からの影響、および/または異なった個体におけるいくつかの遺伝的因子の組み合わせなど、多数の因子によってもたらされる結果であることが明らかになった。
【表15】
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【図面の簡単な説明】
以下の図によって、本発明をさらに具体的に説明する。
【図1】 肝臓におけるトルカポンの主要代謝経路を示す。トルカポンは、チトクロームP450 3A4(CYP3A4)によって酸化され、ニトロ基が、N−アセチルトランスフェラーゼ(NAT)によって還元・アセチル化される。フェノール性水酸基は、スルホトランスフェラーゼ(ST)によって硫酸化されるか、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)によってメチル化されうる。肝臓における主要な解毒反応である水酸基のグルクロン酸抱合は、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)によって触媒される。その後、さらに、グルクロン酸、硫酸、および酢酸による酸化または抱合によって、主要な代謝産物を修飾する。
【図2】 UGT1A遺伝子の構造を表す。UGT1A遺伝子は、500kbよりも長い範囲に広がり、少なくとも12個のプロモーターと、共通エキソンとともにスプライスされ、12の異なったUGT1A酵素を生じさせる12個の第1エキソンからなる。UGT1A6転写物の構造を下記に示す。矢印は、本研究で用いられた多型マーカーの相対的位置を示す。UGT−3′_908は、配列番号1に記載された位置によるところの、エキソン5の908位における多型を表す。3′UTR(非翻訳領域)におけるこの多型は、9個の機能的UGT1A酵素すべての発現に影響する可能性がある。エキソン1A6におけるその他2つの多型は、UGT1A6のタンパク質構造に影響する。

Claims (12)

  1. 人間の試料中のUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1)遺伝子における一塩基多型の判定に基づいて、薬学的に有効な化合物の投与によって生じるヒトの肝細胞毒性反応に対する素因を検出する方法であって、
    配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1遺伝子のエキソン5における908位のヌクレオチドを判定することを含む方法。
  2. 人間からの試料中に含まれているUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1)遺伝子における少なくとも一個の一塩基多型の判定に基づいて、薬学的に有効な化合物の投与によって生じるヒトの肝細胞毒性反応に対する素因を検出する方法であって、配列番号1に記載された位置によるところの、UGT1遺伝子のエキソン5における908位のヌクレオチドを判定することを含む方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法であって、UGT1遺伝子座のエキソン5の908位における一塩基多型が、CまたはGが存在することからなる方法。
  4. 配列を決定する前に、多型を含む領域を増幅する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 多型を含む領域をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅する、請求項4記載の方法。
  6. 配列番号1に記載された位置によるところの、UTG1のエキソン5における908位の多型を検出するための、17〜100ヌクレオチドの診断用核酸であって、以下の多型含有配列、すなわち、
    UGT1のエキソン5における908位にCをもつ、配列番号1記載の塩基配列、
    UGT1のエキソン5における908位にGをもつ、配列番号1記載の塩基配列、または、
    その相補鎖、もしくは、その断片であって、上記多型の一つを含む断片を含む診断用核酸。
  7. UGT1のエキソン5における908位にCをもつ、配列番号1記載の塩基配列の一部からなる、配列番号1に記載された位置によるところの、UTG1のエキソン5における908位の多型を検出するための、17〜100ヌクレオチドの診断用核酸。
  8. UGT1のエキソン5における908位にGをもつ、配列番号1記載の塩基配列の一部からなる、配列番号1に記載された位置によるところの、UTG1のエキソン5における908位の多型を検出するための、17〜100ヌクレオチドの診断用核酸。
  9. 配列番号1に記載された位置によるところの、UTG1のエキソン5における908位の多型を検出するための、17〜100ヌクレオチドの診断用核酸のセットであって、以下の多型含有配列、すなわち、
    UGT1のエキソン5における908位にCをもつ、配列番号1記載の塩基配列、
    UGT1のエキソン5における908位にGをもつ、配列番号1記載の塩基配列、または、
    その相補鎖、もしくは、その断片であって、上記多型の一つを含む断片を含む診断用核酸のセット。
  10. 配列番号1に記載された位置によるところのUGT1遺伝子のエキソン5における908位の多型を検出するための診断用核酸プライマーであって、該プライマーは対立遺伝子特異的プライマーであり、請求項3記載の多型をもつ核酸に特異的にハイブリダイズすることができ、配列番号1記載の塩基配列の一部からなる17〜50ヌクレオチドの診断用核酸プライマー。
  11. 配列番号1に記載された位置によるところのUGT1遺伝子のエキソン5における908位の多型を検出するための対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブであって、請求項3記載の多型の一つをもつ核酸に特異的にハイブリダイズすることができ、配列番号1記載の塩基配列の一部からなる、17〜50ヌクレオチドの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ。
  12. 請求項10記載の診断用プライマーを一種類以上、および/または、請求項11記載の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを一種類以上含む診断用キット。
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