JP3947102B2 - 特定のプロ接着性物質を含むロングラスティング化粧品組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に化粧品及び衛生分野で企図される、プロ接着性物質を含む組成物に関する。とりわけ本発明は、ヒトの顔の皮膚及び身体の皮膚の両者のための、及び／または外皮のためのロングラスティング及び移り耐性メイクアップ及び／またはケア組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
化粧品組成物、特に口紅、ファンデーション、ボディメイクアップ製品、コンシーラー製品、アイシャドウ、またはパウダーのようなメイクアップ組成物は一般的に、オイル及び／またはワックスのような脂肪物質、並びに一般的にフィラー及び顔料からなる特定の相を含む。それらは、無水ゲルの形態、スティック若しくはチューブの形態、またはソフトペーストの形態、例えば特定のファンデーション、アイシャドウ、若しくはリップスティックの形態で存在しても良い。それらはまた、パウダーの形態で存在しても良く、それは例えば自由粒子、圧縮形態、圧密形態であっても良い。メイクアップ組成物はまた、水または親水性相を含んでも良く、特にファンデーション、着色クリーム、ケアクリーム、または抗日光製品の場合、水中油型エマルション、油中水型エマルション、複相エマルションの形態で存在しても良い。ネイルワニスは一般的に、有機溶媒の溶液の形態で存在する。
【０００３】
これらの組成物は、皮膚、粘膜、または半粘膜に適用される場合、常に良好な維持力を示すものとは限らない。特に、特定の組成物は、ファンデーションの場合、皮膚のしわ及び／または細かい線に；口紅の場合、唇の周辺の細かいしわに；アイシャドウの場合、まぶたのくぼみに、移行する傾向を有する。まぶたの動きによって生成されるマイクアップ中の線の出現もまた、特にアイシャドウで見出されている。同様に、初期の着色は、経時的に変化しがちである。ネイルワニスの場合、製品はひび割れ、はげ落ち、摩擦に耐えることができない傾向を有する。
【０００４】
さらに、特定のメイクアップ製品は、移りという欠点を有するであろう。これは、組成物が、例えばガラス、ある種の衣服、または皮膚のような、接触するようになる特定に支持体に少なくとも部分的に沈着する傾向を有することを意味する。
【０００５】
沈着する場合、前記組成物は、前記支持体に跡を残す。それ故これは、皮膚または粘膜に組成物の望ましくない持続性を引き起こし、その結果、規則的に組成物の適用をし直すことが必要となる。
【０００６】
さらに、ある種の衣服、特にブラウスの襟に対する許容しがたい跡の出現により、ある種の女性はこのタイプのメイクアップの使用を避けるであろう。
【０００７】
これらの現象は、全て明らかに避けることが所望される見苦しい影響を引き起こす。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
以上より、化粧品製品、特に良好な維持力を有する一方で、良好な化粧品特性、特に適用時の伸びの特性、並びに柔軟性、保湿性、及びメイクアップの適用後の快適性を有するメイクアップ製品に対する必要性が存在する。
【０００９】
本出願人は、全く驚くべきことに、化粧品または皮膚科学組成物への特定のプロ接着性物質の使用が、非常に良好な維持力のメイクアップ製品を生産し、それは全く移らずに、且つ耐水性であり、さらに容易に落とせるものであることを見出した。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
従って本発明の第一の主題は、少なくとも一つの粉体化合物と、以下の条件を満たす少なくとも一つのプロ接着性物質とを含む、粉体化粧品及び／または生理学的組成物である：
− ２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数に対して、１０⁸Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ、好ましくは
− ２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数に対して、１０⁷Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ、
[式中、
− Ｇ’（３５℃）は、３５℃の温度で測定された、前記プロ接着性物質の弾性剪断率である]。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明に係る組成物は、皮膚に対して優れた維持力特性を有し、優れた「移り耐性」特性を有する。それは皮膚に十分に接着する。それは摩擦、汗、皮脂、及び水に耐性である。それは容易に落とすことが出来る。それは皮膚に経時的に均一に沈着し、均一なメイクアップを可能にする。一度皮膚に適用されると、それは移行することがなく、経時的に非常に良好な着色の固着を有する。前記組成物は容易に延び、装着感が非常に快適である。それはべた付かず、経時的にてかることがない。それは優しくクリーミーな感触を有する。
【００１２】
本発明の別の主題は、粉体化粧品または生理学的組成物の製造における、またはその製造のための、ヒトの唇及び／または皮膚に適用される組成物の、堆積物と接触して配置される支持体に対する、移り及び／または移行を減少または除去するための、及び／または維持力を増大するための、前述の少なくとも一つのプロ接着性物質の使用である。
【００１３】
本発明の別の主題は、粉体化粧品または生理学的組成物の製造における、またはその製造のための、経時的に組成物の着色の固着性を増大する目的での、前述の少なくとも一つのプロ接着性物質の使用である。
【００１４】
本発明の主題はまた、ヒトの皮膚、粘膜、半粘膜、及び／または外皮に、前述の粉体化粧品組成物を適用することからなる、ヒトの皮膚、粘膜、半粘膜、及び／または外皮のための非治療的なケア及び／またはメイクアップ方法である。
【００１５】
本発明によれば、用語、「粉体組成物または粉体形態の組成物」は、少なくとも一つの粉体化合物を含む組成物を意味する。前記粉体化合物は、化粧品組成物において通常使用される顔料、及び／または真珠光沢剤、及び／またはフィラー、及び／またはそれらの混合物から選択されて良い。有利には粉体化合物は、組成物の全重量に対して６０から９９．９重量％、より好ましくは８０から９９．９重量％の範囲の含量で存在する。
【００１６】
本発明によれば、用語、「生理学的組成物」は、ヒトの皮膚、外皮、または唇に適用可能な、非毒性である生理学的に許容可能な組成物を意味する。本発明によれば、用語、「化粧品組成物」は、好ましい外観、香り、及び感触の組成物を意味する。
【００１７】
本発明のある特定の実施態様では、本発明に係る組成物は、少なくとも８０％の粉体化合物を含む。これは、ゴムの形態の特定のきめを有する製品、即ち固体製品を生産し、それはそれ自体の重量の下で変形しない。
【００１８】
本発明に係る組成物は、少なくとも一つのプロ接着性物質を含む。本発明の目的のために、用語、「物質」は、好ましくは少なくとも部分的に架橋されていない、より好ましくは実際に架橋されていない、ポリマーまたはポリマーシステムを意味し、それは異なる性質の一つ以上のポリマーを含んでも良い。本発明の目的のために、用語、「プロ接着性」は、一般的に組み合わされた拡散性の化合物との相互作用によって、または生物学的滲出物との相互作用によって、接着性となることが可能であることを意味する。本発明の目的のために、用語、「接着性」は、表面に接着する物質を意味し、即ち例えば接着テープといった接着性表面との接触の後に経験するであろうものと同じ態様で、人差し指と、前記物質を含む組成物の表面の間での接触の後、接触が指を動かすことによってそこから剥がれた場合に、表面の粘着性の感覚が存在することを意味する。皮膚との接触の後、プロ接着性物質を含む組成物は一般的に皮膚の表面に粘着し、良好な維持力有する、または本発明の係る組成物の前及び／または後で沈着した、少なくとも一つの拡散性化合物を含む「組み合わせた」組成物に接着するであろう；かくして、皮膚上に生成した化粧品製品は、一般的にいずれかの皮膚粘着性を有するものではない、即ち、人差し指と製品の表面の間での接触の後、そこでの接触が指を動かすことによって壊れた場合に、表面に粘着性の感覚が存在しない。
【００１９】
本発明に係るプロ接着性物質は、単独で使用された場合、任意にあるレベルの結合力を有しても良い。本発明に係る組成物を皮膚、特に顔に適用した後、経時的に変化しても良い生物学的滲出物との相互作用により、非常に良好な維持力を有する組成物が得られる。生物学的滲出物は一般的に、生理溶液、及び皮膚の排出物、特に皮脂、汗、涙、及び唾液である。解剖学上の位置に依存して、これらの排出物のレベル及び性質は、一日の過程で変化することが、当業者に周知であろう。
【００２０】
プロ接着性物質はまた、プロ接着性物質のポリマーネットワーク中に拡散した後、初期の物質のものより優れた結合力を形成する拡散性化合物との組み合わせで使用されても良い：かくして、接着特性を有する「プロ接着性物質＋拡散性化合物」システムが得られる。拡散性化合物は例えば、経時的に皮膚によって分泌される皮脂または汗であっても良い。本発明に係るプロ接着性物質を含む組成物は、皮膚による皮脂または汗の放出と共に経時的に維持力を増大するであろう。
【００２１】
本発明の一つの実施態様では、拡散性化合物は、以下で及び本特許出願を通じて「組み合わされた組成物」と称される第二の組成物中に存在し、それはプロ接着性物質を含む本発明に係る組成物とは別個に、またはそれと組み合わせて適用される。組み合わせた組成物は、区別することなく、本発明に係る組成物の前または後で、皮膚及び／または外皮に適用されて良い。
【００２２】
かくして本発明の主題は、以下のものを含むメイクアップまたはケアキットでもある：
−ｉ）以下の条件を満たす少なくとも一つのプロ接着性物質を含む「組み合わせ可能な」組成物：
− ２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数に対して、１０⁸Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ、好ましくは
− ２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数に対して、１０⁷Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ、
[式中、
Ｇ’（３５℃）は、３５℃の温度で測定された、前記プロ接着性物質の弾性剪断率である]
並びに
−ｉｉ）「プロ接着性物質＋拡散性化合物」接着性システムが以下の条件を満たすような、少なくとも一つの拡散性化合物を含む「組み合わせた組成物」：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）≧１０³Ｐａ
− １０⁸Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、好ましくは１０⁷Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）≦３×１０⁵Ｐａ
[式中、
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）は、２Ｈｚの周波数で３５℃の温度で測定される、接着性システムの弾性剪断率であり；
− Ｇ’_AS（３５℃）は、３５℃の温度（及び２×１０^-2と２Ｈｚの間の範囲内でのいずれかの周波数についての）での接着性システムの弾性剪断率であり；
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）は、２×１０^-2Ｈｚの周波数で３５℃で測定される、接着性システムの弾性剪断率である]。
【００２３】
「１０⁸Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、好ましくは１０⁷Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）」の条件は、Ｇ’_AS（３５℃）が２×１０^-2と２Ｈｚの間のこの周波数範囲を通じて一定であることを意味しないが、この範囲に亘る周波数の値に関係なく、この条件が乱されることを意味する。
【００２４】
この明細書の文脈の残りの部分については、用語、「本発明に係る組成物」は、前述の組成物、または前述の組み合わせ可能な組成物を意味する。
【００２５】
本発明に係る組成物及びキットは特に、皮膚、粘膜、半粘膜、及び外皮をケア及び／またはメイクアップする分野で特に有利な用途が見出される。用語、「粘膜」は、特に下まぶたの内側部分を意味する；用語、「半粘膜」は、とりわけ顔の唇を意味する；用語、「外皮」は、睫毛、眉毛、毛髪、及び爪を意味する。かくして本発明は、顔の唇及び皮膚のためのケア及び／またはメイクアップ製品、例えばファンデーション、コンシーラー製品、アイシャドウ、パウダー、ボディーメイクアップ製品、口紅、自己日焼け製品、または抗日光製品の分野で、並びに外皮のためのケア及び／またはメイクアップ製品（またはその代替物、特に付け爪または付け睫毛）、例えばマスカラ及びネイルワニスの分野で、最も特徴的な応用が見出される。
【００２６】
物質の粘弾特性は、以下のような二つの特徴的な値によって従来定義されている：
− 所定の周波数に対する物質の弾性挙動を表し、従来Ｇ’として記載されている、弾性剪断率；
− 所定の周波数に対する粘性の粘性挙動を表し、従来Ｇ”として記載されている、粘性剪断率。
【００２７】
これらの大きさは、"Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology"、第３版、D. Satas、第９章、pp. 155から157に特に定義されている。
【００２８】
これらの粘弾特性は、例えば円錐プレートジオメトリー（例えば１°の円錐角度で）において、ねじれ／剪断ストレスの下で、レオメーター（例えばHaake RS50またはRS75レオメーター）での２×１０^-2から２０Ｈｚの周波数範囲に亘り３５℃で実施される、低振幅（小変形）のシヌソイダルストレスの下での動的試験の間で測定される。
【００２９】
前記物質が、当業者がそれらを前述のHaake RS50またはRS75レオメーターで特徴付けできない程粘着性である場合（例えばＧ’_AS（３５℃）＞１０⁸Ｐａである場合）、前記物質の粘弾特性は、例えばフィルム上での引っ張りにおけるT.A. Instruments社製のタイプDMA 2980の粘弾メーターでの２×１０^-2から２０Ｈｚの周波数範囲に亘り３５℃で実施される、低振幅（小変形）のシヌソイダルストレスの下での動的試験の間で測定される。これを実施するために、前記物質は適切な揮発性溶媒（例えば１０％の濃度で）に溶解され、次いでテフロン（登録商標）被覆化マトリックス内にフィルムの形態で注がれる；次いでそれらを３５℃で乾燥し、揮発性溶媒を蒸発して、これらの物質から形成されたフィルムを回収する。この場合、弾性張力率Ｅ’及び粘性張力率Ｅ”を測定し、Ｇ’及びＧ”の値を関係式Ｇ’＝Ｅ’／３及びＧ”＝Ｅ”／３によって推定する。
【００３０】
本発明によって使用できるプロ接着性物質は、以下の条件を満たす：
− ２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数に対して、１０⁸Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ、好ましくは１０⁷Ｐａ≧Ｇ’（３５℃）≧２×１０⁴Ｐａ
[式中、
Ｇ’（３５℃）は、３５℃の温度で測定された、前記プロ接着性物質の弾性剪断率である]。
【００３１】
本発明に係るプロ接着性物質は、「圧力感受性接着剤」タイプの接着剤、例えば"Handbook of Prtessure Sensitive Adhesive Technology"、第３版、D. Satasに挙げられるものから選択されて良い。
【００３２】
本発明に係るプロ接着性物質は好ましくは、室温（２５℃）未満のガラス転移温度を有するポリマーを生成し、ブタジエン、エチレン、プロピレン、イソプレン、イソブチレン、及びシリコーンから選択される、少なくとも一つのモノマーまたはモノマーの組み合わせを含むブロック及びランダムコポリマー、及びそれらの混合物から選択される接着性ポリマーである。そのような物質の例は、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−（エチレン−ブチレン）−スチレン、またはスチレン−イソプレン−スチレンタイプのブロックポリマー、例えばShell Chemical社により"Kraton"の商標名で販売されているもの、またはExxon社により"Vector"の商標名で販売されているものである。
【００３３】
本発明に係るプロ接着性物質は、好ましくは以下のものから選択される接着性ポリマーである：
− ポリウレタン；
− アクリルポリマー；
− シリコーン
− ブチルラバー、特にポリイソブチレン；
− エチレン／ビニルアセタートポリマー；
− 任意に脂肪鎖で変性されたポリアミド；
− 天然ラバー；
− 及びそれらの混合物。
【００３４】
本発明の一つの特に有利な形態では、プロ接着性物質は、150,000以上の相対モル質量Ｍｖを有するポリイソブチレンから選択される。
【００３５】
この相対モル質量Ｍｖは、式Ｊ₀＝３．０６×１０^-2Ｍｖ^0.65によって計算される粘度測定値によって見積もられても良く、式中Ｊ₀はシュタウジンガー指数（単位ｃｍ³／ｇ）である。この指数は、ISOスタンダード1628によって２０℃でのUbbelhobe粘度測定のキャピラリーＩを通じて、イソオクタン中にＣ＝０．０１ｇ／ｃｍ³のポリイソブチレン濃度を有する溶液の流動時間から計算される。
【００３６】
相対モル質量Ｍｖはまた、以下のプロトコールによって、ＧＰＣ（ゲル浸透クロマトグラフィー）によって見積もられても良い：２００μｌのポリマー（接着性物質）の０．５％溶液を、Waters6000Aポンプによって、溶出液を１００％THF溶液とし、流速を１ｍｌ／分とし、室温で以下の８のカラムのセットを通じて注入する：μstyragel５００Å＋１０⁴Å＋２×１０³Å＋styragel HR0.5＋２×HR1＋HR5E（３００×７．８ｍｍ）。検出を、２５４ｎｍの波長でWaters 410レフラクトメーター及びWaters 490 UVディテクターで実施する。
【００３７】
本発明に特に適した市販品として、BASF社製のOppanol部類の150,000より大きい相対モル質量Ｍｖを有するポリイソブチレン、特にBASF社により"Oppanol B 30 SF"、"Oppanol B 50 SF"及び"Oppanol B 100"のそれぞれの商標名で販売されている、200,000、400,000及び1,110,000の相対モル質量を有するポリイソブチレン、Exxon社により"Vistanex MM"の商標名で販売されている、900,000から2,200,000の間の相対モル質量Mvを有するポリイソブチレン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【００３８】
プロ接着性物質は好ましくは、組成物の全重量に対して０．１から９９重量％、好ましくは０．１から３０重量％、より好ましくは０．１から１０重量％の範囲の含量で、本発明に係る組成物中に存在する。
【００３９】
前述のプロ接着性物質に加えて、本発明に係る組成物は、いずれかの化粧品的に許容可能な支持体を含んで良い。用語、「化粧品的に許容可能な支持体」は、皮膚、妻、毛髪、睫毛及び眉毛、粘膜及び半粘膜、並びに身体または顔の皮膚のいずれかの他の領域のようないずれかのケラチン物質と適合的である媒体、並びにこれらの支持体のためのいずれかの代替物、例えば付け爪、付け睫毛、及びヘアピンを意味する。
【００４０】
この支持体は、いずれかの化粧品的に許容可能な水溶性、水分散性、脂溶性、または脂分散性の化粧品において従来使用されている化合物を含んで良い。前記支持体は、粉体組成物、無水脂肪相（ゲルまたは溶液）の形態で、水性相（ゲルまたは溶液）の形態で、分散物の形態で、有機溶媒中の溶液、任意に一つ以上の有機化システムで安定化された、Ｏ／ＷまたはＷ／Ｏエマルション、複相エマルションの形態で存在しても良い。
【００４１】
本発明の目的のために、用語、「有機化システム」は、いくつかの界面活性剤を共に混合することによって、または界面活性剤と極性溶媒を混合することによって、またはいくつかの極性溶媒を共に混合することによって、室温で形成される逆ミセルまたは「リオトロピック液晶」構造体を意味し、ここで極性溶媒は、例えば水、グリセロール、パンテノール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール、及び／またはそれらの混合物から選択される。液晶状態は、固体状態と液体状態の間の中間体である状態である。それはしばしば、中間状態とも称される。これらの有機化システムは、熱力学的に安定である。
【００４２】
その性質に従って、本発明に係るプロ接着性物質は、溶解形態または分散形態で支持体中に、水性相中に、または無水相中に存在しても良い。本発明に係るプロ接着性物質は、粒子の水性分散物の形態で、または粒子の油性分散物の形態で存在しても良い。
【００４３】
本発明に係る組成物が脂肪相を含む場合、それは好ましくは炭素ベース、炭化水素ベース、及び／またはシリコーンベースの、鉱物、動物、植物、または合成起源のオイル、及びそれらの混合物から特に選択される少なくとも一つの化粧品的または生理学的に許容可能なオイルを、それらが企図される使用と適合的であることを条件として含むことができる。
【００４４】
炭化水素ベースのオイルとしては、流動パラフィンまたは流動ワセリン、ミンク油、カメ油、大豆油、パーヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、ビューティーリーフ油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、パーリーム油、アララ油、レイプシード油、ヒマワリ油、綿実油、アンズ油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、または麦芽油；ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、またはステアリン酸のエステル；脂肪エステル、例えばイソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、ブチルステアラート、ヘキシルラウラート、ジイソプロピルアジパート、イソノニルイソノナノアート、2-エチルヘキシルパルミタート、2-ヘキシルデシルラウラート。2-オクチルデシルパルミタート、2-オクチルドデシルミリスタートまたはラクタート、2-ジエチルヘキシルスクシナート、ジイソステアリルマラート、グリセリルトリイソステアラート、またはジグリセリルトリイソステアラート；高級脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはイソステアリン酸；高級脂肪アルコール、例えばセタノール、ステアリルアルコール、またはオレイルアルコール、リノレイルアルコール、またはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルドデカノール；シリコーン油、例えば任意にフェニル化されたポリジメチルシロキサン（ＰＤＭＳ）、例えばフェニルトリメチコーン、または脂肪族基及び／または芳香族基で、若しくはヒドロキシル、チオール、及び／またはアミン基のような官能基で任意に置換されたポリジメチルシロキサン；脂肪酸、脂肪アルコール、またはポリオキシシアルキサンで変性されたポリシロキサン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【００４５】
有利には、室温で揮発性である少なくとも一つのオイルが使用されて良い。用語、「揮発性オイル」は、１時間未満で室温で、皮膚から蒸発可能なオイルを意味する。好ましくは揮発性オイルは、２５℃で０．５から２５センチストロークの範囲の粘度を有する。これらのオイルの蒸発の後、非粘着性の粒子沈着物が、皮膚または粘膜上に得られる。好ましくは、これらのオイルを製剤中で使用できるように十分高い引火点を有するオイルが使用される。これらの揮発性オイルはまた、皮膚に対する組成物の適用を容易にする。
【００４６】
これらのオイルは、炭化水素ベースのオイル、またはシリコーン鎖の末端でまたはペンダント状にアルキルまたはアルコキシ基を任意に含むシリコーンオイルであって良い。
【００４７】
本発明で使用できる揮発性シリコーンオイルとして、２から７のケイ素原子を含む直鎖状または環状シリコーンが挙げられ、これらのシリコーンは任意に、１から１０の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含む。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、及びヘプタメチルオクチルトリシロキサン、及び／またはそれらの混合物が挙げられる。
【００４８】
揮発性炭化水素ベースのオイルとしては、Ｃ₈−Ｃ₁₆イソパラフィン、例えばイソドデカン、イソデカン、ヘプタン、及びイソへキサデカン、及び／またはそれらの混合物が挙げられる。
【００４９】
これらの揮発性オイルは、組成物の全重量に対して、０．１から９９重量％、好ましくは０．１から６０重量％、より好ましくは０．１から４０重量％の範囲の含量で、本発明に係る組成物中に存在しても良い。好ましくは、本発明に係るプロ接着性物質に対する揮発性オイルの重量比は、１から２０、より好ましくは１から１０、さらにより好ましくは２から４の範囲である。
【００５０】
脂肪相はまた、植物、動物、鉱物、または合成起源の、あるいはシリコーンべースの、少なくとも一つのワックス、少なくとも一つのゴム、及び／または少なくとも一つのペースト状脂肪物質、並びにそれらの混合物を含んでも良い。
【００５１】
本発明に係る組成物中に存在しても良い、室温で固体であるワックスとしては、炭化水素ベースのワックス、例えばビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、木ロウ、コルクファイバーワックスまたはサトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュ合成によって得られるワックス、水素化オイル、脂肪エステル、及び２５℃で固体であるグリセリドが挙げられる。シリコーンワックスが使用されても良く、その中では、ポリメチルシロキサンのアルキル、アルコキシ、及び／またはエステルが挙げられる。ワックスは、例えば"Microemulsions Theory and Practice", L.M. Prince編, Academic Press (1977), 第21-32頁のもののような、周知の方法によって調製されるような、コロイド状ワックス粒子の安定な分散物の形態で存在しても良い。室温で液体であるワックスとしては、ホホバ油が挙げられる。
【００５２】
ワックスは、組成物の全重量に対して、０．１から５０重量％の割合で存在して良い。
【００５３】
ペースト状脂肪化合物は、以下の物理化学的特性の少なくとも一つによって定義されて良い：
− ２４０ｒｐｍの周波数で、MS-r3またはMS-r4ローターを備えたContraves TVロータリービスコメーターで４０℃で測定して、０．１から４０Ｐａ．ｓ（１から４００ポアズ）、好ましくは０．５から２５Ｐａ．ｓの粘度；
− ２５−７０℃、好ましくは２５−５５℃の融点。
【００５４】
本発明の組成物はまた、少なくとも一つのアルキル、アルコキシ、またはフェニルジメチコーン、例えばGoldschmidt社により"Abil Wax 2440"の名称で販売されている製品を含んでも良い。
【００５５】
本発明に係る組成物はまた、Ｒ₃ＳｉＯ_1/2、Ｒ₂ＳｉＯ_2/2、ＲＳｉＯ_3/2及びＳｉＯ_4/2の単位の組み合わせを含む、少なくとも一つのシリコーン樹脂を含んでも良く、ここでＲは１から６の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【００５６】
脂肪相はまた、少なくとも一つの脂溶性染料を含んでも良い。この脂溶性染料は例えば、スーダンレッド、ＤＣレッド１７、ＤＣグリーン６、β−カロチン、大豆油、スーダンブラウン、ＤＣイエロー１１、ＤＣバイオレット２、ＤＣオレンジ５、またはキノリンイエロー、またはこれらの混合物である。それらは、組成物の全重量の０．０１から２０重量％、好ましくは０．１から６重量％を占めることができる。
【００５７】
脂肪相は、最終組成物の全重量に対して０．０１から９９．９重量％を占めることができる。本発明に係る組成物が、例えば顔のためのパウダーである場合、脂肪相は好ましくは、組成物の全重量に対して０．１から３０重量％の範囲の含量で存在する。
【００５８】
本発明に係る組成物は、特に組成物がネイルワニスである場合、少なくとも一つの有機溶媒相を含んでも良い。
【００５９】
本発明で使用できる有機溶媒として、以下のものが挙げられる：
− 室温で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、またはアセトン；
− 室温で液体であるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2-ブトキシエタノール、またはシクロヘキサノール；
− 室温で液体であるグリコール、例えばエチレングリコール、プリピレングリコール、ペンチレングリコール、またはグリセロール；
− 室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、またはジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル；
− 短鎖エステル（全部で３から８の炭素原子を含む）、例えばエチルアセタート、メチルアセタート、プリピルアセタート、n-ブチルアセタート、イソペンチルアセタート；
− 室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル、またはジクロロジエチルエーテル；
− 室温で液体であるアルカン、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、またはシクロヘキサン；
− 室温で液体である環式芳香族化合物、例えばトルエン、及びキシレン；
− 室温で液体であるアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、またはアセトアルデヒド；
− それらの混合物。
【００６０】
有機溶媒は、ネイルワニスとしての使用のために、組成物の全重量に対して、０．０１から９９重量％、好ましくは５０から９９重量％の範囲の含量で、本発明の組成物中に存在して良い。
【００６１】
本発明に係る組成物が水性相を含む場合、それは、水、ヤグルマソウ水のような植物吸い、及び／またはVittel水、Lucas水、またはLa Roche Posay水、及び／または湧き水のような鉱物水を含んでも良い。
【００６２】
水性相は、水以外の溶媒、例えば第一級アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、グリコール、例えばプリピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、またはジエチレングリコール、グリコールエーテル、例えばモノ−、ジ−、またはトリエチレングリコール、並びにそれらの混合物を含んでも良い。
【００６３】
水性相はまた、考慮される分野で一般的である着色剤、例えばポンソーのジナトリウム塩、アリザリングリーンのジナトリウム塩、キノリンイエロー、アマラントのトリナトリウム塩、タートラジンのジナトリウム塩、ローダミンのモノナトリウム塩、フクシンのジナトリウム塩、またはキサントフィル、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも一つの水溶性着色剤を含んでも良い。
【００６４】
水性相はまた、水性相と適合的である（水溶性または水分散性の）いずれかの化合物、例えばゲル化剤、被膜形成性ポリマー、増粘剤、界面活性剤、防腐剤、または顔料分散剤を含んでも良い。
【００６５】
本発明に係る組成物がネイルワニスである場合、水性相は、水から、またはＣ₁−Ｃ₅モノアルコール若しくはＣ₂−Ｃ₈グリコールを特に含む水性−アルコール性混合物から必須になっても良い。
【００６６】
好ましくは水性相は、組成物の全重量に対して、０．０１から９９重量％、好ましくは０．１から８０重量％の範囲の含量で、本発明の組成物中に存在する。本発明に係る組成物が、例えば顔のためのパウダーである場合、水性相は好ましくは、組成物の全重量に対して０．０１から３０重量％の範囲の含量で存在する。
【００６７】
本発明に係る組成物はまた、少なくとも一つの両親媒性化合物、即ち親油性部分（非極性部分）及び親水性部分（極性部分）の両者を含み、表面または界面で吸着できる化合物を含んでも良い。そのような化合物は例えば、乳化剤及び共乳化剤である。
【００６８】
エマルション形態である場合に、本発明に係る組成物で使用される乳化剤及び共乳化剤は、化粧品及び皮膚科学の分野で従来使用されているものから選択される。乳化剤及び共乳化剤は、組成物の全重量に対して、好ましくは０．３から３０重量％、より好ましくは０．５から２０重量％の範囲の割合で、組成物中に存在しても良い。
【００６９】
Ｏ／Ｗ界面活性剤としては、特に以下のものが挙げられる（ＣＴＦＡ）：セテアリルグルコシド、ＰＥＧ−４０ステアラート、ソルビタントリステアラート、ソルビタンステアラート、ポリソルバート６０、ソルビタンステアラート／スクロースココアート混合物、グリセリルステアラート／ＰＥＧ−１００ステアラート混合物、ＰＥＧ−４００、グリセリルステアラート、ＰＥＧ−６／ＰＥＧ−３２／グリコールステアラート混合物が含まれる。Ｗ／Ｏ界面活性剤としては、特に以下のものが挙げられる：ポリグリセリル−４イソステアラート／セチルジメチコーンコポリオール／ヘキシルラウラート混合物、及び鉱物油／ワセリン／オゾケライト／グリセリルオレアート／ラノリンアルコール混合物が含まれる。
【００７０】
本発明に係る組み合わせ可能な組成物はまたさらに、少なくとも一つの粉体化合物を含んでも良い。粉体化合物は、化粧品組成物で通常使用される顔料、及び／または真珠光沢剤、及び／またはフィラー、及び／またはそれらの混合物から選択されて良い。有利には、粉体化合物は、前記組成物の全重量に対して、０．１から９９．９重量％、好ましくは６０から９９．９重量％を占める。本発明に係る残基組成物が、特に顔のためのパウダーである場合、粉体化合物は好ましくは、組成物の全重量に対して、８０から９９．９重量％を占める。
【００７１】
顔料は、白色でも着色されていても良く、鉱物及び／または有機顔料でも良い。鉱物顔料としては、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化セリウム、さらには酸化鉄または酸化クロム、マグネシウムバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料としては、カーボンブラック、Ｄ＆Ｃタイプの顔料、及びコチニールカルミン、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムベースのレーキが挙げられる。
【００７２】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料が挙げられる。
【００７３】
フィラーは、鉱物または有機フィラーでも良く、ラメラ状または球状でも良い。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン（登録商標）パウダー(Atochem社製のOrgasolまたはナイロン（登録商標）１２)、ポリ-β-アラニンパウダー及びポリエチレンパウダー、テフロン（登録商標）、オキシ塩化ビスマス、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(Nobel Industrie)、Polytrap(Dow Corning)、及びシリコーン樹脂マイクロビーズ（例えばToshiba社製のTospearls）、沈降化炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックミクロスフェア、８から２２の炭素原子、好ましくは１２から１８の炭素原子を含む有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、マグネシウムまたはリチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【００７４】
組成物はまた、そのような組成物で通常使用されるいずれかの化合物、例えば増粘剤、抗酸化剤、香料、防腐剤、界面活性剤、または活性剤を含んでも良い。
【００７５】
本発明の組成物で使用できる化粧品、皮膚科学、または衛生活性剤としては、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴリピド、及びサンスクリーン剤が挙げられる。これらの活性剤は、パウダーで通常使用される量で存在する。特にそれらは、組成物の全重量に対して、０．００１から２０重量％の割合で存在する。
【００７６】
言うまでもなく当業者は、これまたはこれらの任意の更なる化合物、及び／またはそれらの量を選択するのに注意を払い、本発明に係る組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【００７７】
本発明に係る組成物は、当業者によって通常の態様で調製されて良い。それらは、フリーまたはコンパクトパウダー、無水ゲル、水性ゲル、Ｗ／Ｏ若しくはＯ／Ｗエマルションまたは複相エマルションの形態で存在して良い。それらは例えば、指またはスポンジで取って使用できるスティック若しくはディッシュの形態、またはクリームの形態で存在して良い。特にそれらは、ブラッシャー、フェイスパウダー、アイシャドウ、リップパウダー、顔または身体のためのケアまたはメイクアップパウダー、あるいはデオドラントパウダー、口紅、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、またはコンシーラー製品としての使用が見出される。それらはまた、フリーパウダー、特にフェイスパウダー、顔または身体のためのケアまたはメイクアップパウダー、あるいはデオドラントパウダーの形態で存在しても良い。それらはまた、溶液または分散物の形態で存在しても良く、ネイルワニスとしての使用が見出されても良い。
【００７８】
局所適用のためのこれらの組成物は特に、化粧品組成物、保護的衛生組成物、薬用組成物、または顔、首、手、外皮、または身体のためのケア組成物（例えば芳香性または無香性無水ケアパウダー、または抗日光パウダー）、メイクアップ組成物（例えばメイクアップゲル）、または人工的日焼け組成物を構成しても良い。
【００７９】
本発明の一つの特定の実施態様では、本発明に係る組み合わせ可能な組成物は、少なくとも８０％の粉体化合物を含む。次いで得られた製品は、ゴムの形態の特定の感触を有し、即ちそれ自体の重量の下では変形しない固体製品となる。
【００８０】
本発明に係る組成物がゴムの形態で存在する場合、このゴムは皿に配置されても良く、それはスクラブ及び／またはメイクアップ組成物として使用されても良い。この製品は好ましくは、指によって、ゴムの表面を数回に亘り指で擦ることによって採取される：少量のゴムのボールがこのように取られ、次いで皮膚に適用されて良い。皮膚にこれらの小さなボールを擦りつけることによって、死んだ細胞が皮膚から剥がれ落ち、皮膚はいずれの攻撃性の効果もなくマッサージされる。次いで、本発明に係る組成物は、そのスクラブ特性のために使用される。この作用によって、本発明に係る組成物に含まれる着色粒子はまた、均一に分配される。皮膚は柔らかく且つ着色される。本発明に係る組成物は、皮膚をメイクアップするためにも使用される。最後に、固体である小さなボールは、最後に皮膚を手で擦ることによって簡単に除去され、柔らかく、且つメイクアップされた皮膚が得られる。粘着効果またはべたつき効果は皮膚に感じられない。
【００８１】
本発明に係る組成物は、身体若しくは顔の皮膚、または粘膜への適用の際に、単独で使用しても良い。これらの組成物は、一度適用されると、非常に優れた維持力、及び非常に優れた移り耐性特性を有する。さらに、皮膚によって分泌される汗または皮脂が経時的にプロ接着性物質と接触し、さらに組成物の維持力、及びその移り耐性特性を増強する。
【００８２】
本発明の別の実施態様では、本発明に係る組成物は、拡散性化合物を含む組み合わせた組成物とは別個に及びそれらと組み合わせて使用される。
【００８３】
この拡散性化合物は、プロ接着性物質と結びついた際に、以下及び本明細書を通じて「接着性システム」と称される、接着特性を有するシステムを形成するものである。拡散性化合物は、所望の化粧効果を得るために、好ましくは皮膚への使用の間で、プロ接着性物質のポリマーネットワーク内に拡散することにより、プロ接着性物質の結合力を形成する。プロ接着性物質及び拡散性化合物は、粘性の感触を生じないように、使用の前の実装状態では接触しないことが重要である。前記プロ接着性物質を含む粉体組成物の場合では、組成物の不安定性の危険が存在し、即ちプロ接着性物質と拡散性化合物の間での接触の間で、パウダーが凝集するようになる重大な危険を生ずる。
【００８４】
本発明に係る「接着性システム」は、以下の条件を満たす：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）≧１０³Ｐａ
− １０⁸Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、好ましくは１０⁷Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）≦３×１０⁵Ｐａ
[式中、
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）は、２Ｈｚの周波数で３５℃の温度で測定される、接着性システムの弾性剪断率であり；
− Ｇ’_AS（３５℃）は、３５℃の温度での接着性システムの弾性剪断率であり；
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）は、２×１０^-2Ｈｚの周波数で３５℃で測定される、接着性システムの弾性剪断率である]。
【００８５】
本発明の一つの好ましい実施態様では、接着性システムは、以下の条件を満たす：
− Ｇ”_AS／Ｇ’_AS（０．２Ｈｚ、３５℃）≧０．３５
[式中、
− Ｇ”_AS（０．２Ｈｚ、３５℃）は、０．２Ｈｚの周波数で３５℃の温度で測定される、前記接着性システムの粘性剪断率であり；
− Ｇ’_AS（０．２Ｈｚ、３５℃）は、０．２Ｈｚの周波数で３５℃の温度で測定される、前記接着性システムの弾性剪断率である]。
【００８６】
本発明の一つの好ましい形態では、以下の条件が適用される：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）≧１０⁴Ｐａ
【００８７】
本発明の別の好ましい形態では、以下の条件が適用される：
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）≦５×１０⁴Ｐａ
【００８８】
より好ましくは、本発明に係る接着性システムは、以下の４の条件を満たす：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）≧１０⁴Ｐａ
− １０⁸Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、好ましくは１０⁷Ｐａ≧Ｇ’_AS（３５℃）、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）≦５×１０⁴Ｐａ、及び
− Ｇ”_AS／Ｇ’_AS（０．２Ｈｚ、３５℃）≧０．３５
【００８９】
拡散性化合物は、低分子量、例えば２０，０００以下の分子量を有するいずれかのオイルであって良い。この拡散性化合物は、ポリイソブチレン、ラノリン、脂肪族または芳香族炭化水素ベースの樹脂、テルペン樹脂及びその混合物、脂肪族または芳香族炭化水素ベースの「粘着性樹脂」タイプの樹脂から選択されて良い；それは、プロ接着性物質と少なくとも部分的に適合的である。
【００９０】
本発明に特に適した拡散性化合物としては、１０，０００以下の相対モル質量Ｍｖを有するポリイソブチレン、例えばＢＰ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ社により”Ｎａｐｖｉｓ”の商標名で販売されている、４５５から２０００のモル質量のポリイソブチレン、またはＥｔｓ Ｂ． Ｒｏｓｓｏｗ ｅｔ Ｃｉｅ社により”Ｐａｒｌｅａｍ”の名称で販売されているポリイソブチレン、またはＥｘｘｏｎ社により”Ｖｉｓｔａｎｅｘ ＬＭ”の商標名で販売されているポリイソブチレン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【００９１】
これらの拡散性化合物は、本発明の好ましいプロ接着性物質、例えばBASF社製のOppanol部類の150,000より大きい相対モル質量を有するポリイソブチレン、特にBASF社により"Oppanol B 30 SF"、"Oppanol B 50 SF"、及び"Oppanol B 100"の各省表明で販売されている、200,000、400,000、及び1,110,000の相対モル質量Ｍｖを有するポリイソブチレン、及びExxon社により"Vistanex MM"の商標名で販売されている900,000から2,200,000の間の相対モル質量（粘度測定平均）を有するポリイソブチレン、と組み合わせるのが特に適している。
【００９２】
好ましくは、プロ接着性物質と拡散性化合物の間の重量比は、０．０１から１０、より好ましくは０．０５から２、さらにより好ましくは０．１から２の範囲である。
【００９３】
本発明の好ましい「プロ接着性物質＋拡散性化合物」の組み合わせは、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−（エチレン−ブチレン）−スチレン、またはスチレン−イソプレン−スチレンタイプのブロックポリマー、例えばShell社製の"Kraton"またはExxon社製の"Vector"といった商標名の下で販売されているものと、脂肪族または芳香族炭化水素ベースの粘着性樹脂、例えばHercules社製の"Piccotac"及び"Hercotac"、またはExxon社製の"Escorez"の名称で販売され置得る樹脂との組み合わせが挙げられる。
【００９４】
拡散性化合物に加えて、「組み合わせた組成物」は、本発明に係る組成物について本明細書で定義されたいずれかの化粧品的に許容可能な支持体を含んでも良い。それは、本発明に係る組成物について本明細書で既に定義された、ゲル、エマルション、またはスティック形態のいずれかで存在しても良い。
【００９５】
本発明に係る組成物と、組み合わせた組成物の組み合わせは、いずれかのケア及び／またはメイクアップ化粧品製品のために使用できるキットを形成する。皮膚に対する二つの組成物の適用の後に、非常に優れた維持力、及び／または非常に優れた移り耐性特性を有する化粧品製品が得られる。
【００９６】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明される。
【００９７】
【実施例】
実施例１
本出願人は、以下のゴムの形態の組成物を調製した：
Ａ）粉体相：
− タルク ５７．９％
− 酸化鉄 ２．８％
− ナイロン（登録商標）パウダー １０％
− 酸化チタン ３％
− メチルシルセスキオキサン樹脂 ５％
− 防腐剤 ０．３％
Ｂ）脂肪相：
− BASF社により"Oppanol B 10"の商標名で販売されて
いる40,000の分子量のポリイソブチレン ２％
− BASF社により"Oppanol B 100"の商標名で販売されて
いる1,110,000の分子量のポリイソブチレン
（プロ接着性物質） ２％
− イソドデカン １６％
【００９８】
この組成物中の1,110,000のモル質量のポリイソブチレンは、２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数でＧ’（３５℃）≧６×１０⁴Ｐａの値を有する。
【００９９】
前記組成物は、以下の態様で調製された：脂肪相のポリイソブチレンを、イソドデカン中に混合した。手気に粉体相の化合物をBakerミキサーで混合した。脂肪相を滴下して加えた。全体を再び混合し、次いで圧縮した。
【０１００】
ゴムの形態の組成物が得られる。このゴムの小さなボールを、指で数回製品の表面を擦ることによって採取する。次いで皮膚にこれらの小さなボールを擦りつけることによって、皮膚がスクラブされ、且つメイクアップされる。得られたメイクアップは均質であり、且つ均一である。皮膚は特に柔らかい。
【０１０１】
実施例２
本出願人は、Ｗ／Ｏエマルションの形態で以下の化粧ベースＡを調製した：
組成物Ａ：
Ａ相：
− ソルビタンイソステアラート ４．２％
− 防腐剤 ０．２％
Ｂ１相：
− 水素化イソブチレン １２％
Ｂ２相：
− BASF社により"Oppanol B 100"の商標名で販売されて
いる1,110,000の分子量のポリイソブチレン
（プロ接着性物質） ２％
− イソドデカン １２％
Ｃ相：
− 水 ７０．７％
− 硫酸マグネシウム ０．７％
− 防腐剤 ０．２％
【０１０２】
この組成物中の1,110,000のモル質量のポリイソブチレンは、２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数でＧ’（３５℃）≧６×１０⁴Ｐａの値を有する。
【０１０３】
このエマルションを、Ｗ／Ｏエマルションを調製するための標準法によって調製した。Ａ相を混合することにより最初に調製した。次いでＢ１相を加熱して攪拌しながら加えた。加熱しながらイソドデカンにポリイソブチレンを事前溶解した後、Ｂ２相を加える。これは油性相を生成し、それを８０℃で５分間加熱する。この混合物を２０℃に冷却する。Ｃ相の全ての化合物を共に混合し、次いで防腐剤が溶解するまで加熱する。次に、Ｃ相を２０℃に冷却し、次いでＡ＋Ｂ１＋Ｂ２の混合物にゆっくりと加える。
【０１０４】
次いで本出願人は、フェイスパウダーである以下の「組み合わせた組成物」Ｂを調製した。
【０１０５】
組成物Ｂ：
− アセチルトリブチルシトラート ８％
− 酸化鉄（赤） ５％
− タルク ７９％
− BP Chemicals社により"Napvis D 07"の商標名で販売
されている455の分子量のポリイソブチレン
（拡散性化合物） ８％
【０１０６】
０．２５の比で、組成物Ａのプロ接着性物質と、「組み合わせた組成物」Ｂの拡散性化合物とからなる接着性システムは、以下の特徴を有する：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）＝７×１０³Ｐａ、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）＝２×１０³Ｐａ、
− Ｇ”_AS／Ｇ’_AS（０．２Ｈｚ、３５℃）＝０．３５
【０１０７】
例えばヒトの顔に、組成物Ａを適用する。次いで組成物Ｂを組成物Ａの上に適用する。得られたメイクアップ製品は、顕著な維持力を有し、ほとんど移りを示さない。
【０１０８】
実施例３
本出願人は、以下のものを含む以下のキットを調製した：
− プロ接着性物質を含む爪のためのベースｉ）、
− 拡散性化合物を含むネイルワニス組成物ｉｉ）。
【０１０９】
ベースｉ）：
− BASF社により"Oppanol B 100"の商標名で販売されて
いる1,110,000の分子量のポリイソブチレン
（プロ接着性物質） ５％
− ヘプタン 全部で１００％とする量
【０１１０】
この組成物中の1,110,000のモル質量のポリイソブチレンは、２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数でＧ’（３５℃）≧６×１０⁴Ｐａの値を有する。
【０１１１】
ネイルワニスｉｉ）：
− ニトロセルロース １２％
− N-エチル-o,p-トルエンスルホアミド ４％
− アセチルトリブチルシトラート ４％
− 顔料 １％
− ヘクトライト １．２％
− イソプロピルアルコール ５．１％
− BP Chemicals社により"Napvis D 07"の商標名で販売
されている455の分子量のポリイソブチレン
（拡散性化合物） １０％
− 酢酸エチル、酢酸ブチル 全部で１００％とする量
【０１１２】
０．５の比で、ベースｉ）のプロ接着性物質と、ネイルワニスｉｉ）（本発明に係る「組み合わせた組成物」）の拡散性化合物とからなる接着性システムは、以下の特徴を有する：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）＝７×１０⁴Ｐａ、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）≦２×１０⁴Ｐａ。
【０１１３】
ベースｉ）を爪または付け爪に適用する。次いでワニスｉｉ）を適用する。得られた製品は、顕著な維持力を有する。
【０１１４】
実施例４：
顔の皮脂と接触して、以前に記載された条件を満たす接着性システムを作成可能なプロ接着性物質を含む化粧品製品を調製する。
【０１１５】
プロ接着性物質は、例えばBASF社製のOppanol B100といったポリイソブチレンのファミリーに属することができる。
【０１１６】
この物質は、２×１０^-2から２Ｈｚの範囲のいずれかの周波数でＧ’（３５℃）≧６×１０⁴Ｐａの値を有する。
【０１１７】
皮脂は、"An original procedure for quantitation of cutaneous reabsorption of sebum"、D. Blane、D. Saint-Leger、J. Bandt、S. Constans、及びP. Agache著、arch. Dermatol. Res/., 1989, 281: pp. 346-350に記載され、WO 99/59538に引用された、以下の組成を有する人工的皮脂によって表される：

【０１１８】
５０／５０の比で、プロ接着性物質Oppanol B100と人工的皮脂からなる接着性システムは、以下の特徴を有する：
− Ｇ’_AS（２Ｈｚ、３５℃）＞１０⁴Ｐａ、及び
− Ｇ’_AS（２×１０^-2Ｈｚ、３５℃）＜１０⁵Ｐａ。
【０１１９】
油中水型のエマルション製剤を調製する：

【０１２０】
得られたメイクアップ製品は、顕著な維持力を有し、ほとんど移りを示さない。

Claims (4)

1. −ｉ）１５０，０００以上２，２００，０００以下の相対モル質量を有するポリイソブチレンから選択される少なくとも一つのプロ接着性物質を含む「組み合わせ可能な」組成物、並びに
   −ｉｉ）４４５以上１０，０００未満の相対モル質量を有するポリイソブチレンから選択される少なくとも一つの拡散性化合物を含む「組み合わせた組成物」
   を含む、メイクアップまたはケアキット。
2. 前記プロ接着性物質が、組成物の全重量に対して０．１から３０重量％の範囲の含量で存在する、請求項１記載のキット。
3. 「組み合わせた組成物」が、化粧品的に許容可能な媒体を含む、請求項１または２記載のキット。
4. ヒトの皮膚、下まぶたの内側部分、顔の唇、睫毛、眉毛、毛髪、及び／または爪に、１５０，０００以上２，２００，０００以下の相対モル質量を有するポリイソブチレンから選択される少なくとも一つのプロ接着性物質を含む「組み合わせ可能な組成物」の前後で、４４５以上１０，０００未満の相対モル質量を有するポリイソブチレンから選択される少なくとも一つの拡散性化合物を含む「組み合わせた組成物」を適用することからなる、ヒトの皮膚、下まぶたの内側部分、顔の唇、睫毛、眉毛、毛髪、及び／または爪のための非治療的なケア及び／またはメイクアップ方法。