JP3946683B2 - アクティブマトリクス基板の製造方法 - Google Patents

アクティブマトリクス基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクティブマトリクス基板の製造方法に関する。
各画素にアクティブ素子を配置したアクティブマトリクス型表示装置は高画質な平面型表示装置を実現することができる。
特に、光のシャッタとして液晶を用い、各画素をTFT等のアクティブ素子で駆動する液晶表示装置(LCD)は、PCモニターからテレビの動画表示まで、広く用いられている。
また、RGBの発光を行うことの出来る有機EL材料を、インクジェット法やマスク蒸着法で形成して画素とし、各画素をTFT等のアクティブ素子で駆動する有機EL表示装置によっても、フルカラーの画像を薄型のパネルで実現できることが示されてきた。
しかしながら、これらの表示装置において、大部分はアクティブ素子がガラス基板上に形成されており、割れやすく、かつ重量も重いという問題がある。このためさらに丈夫でかつ軽量の表示装置が望まれる。そして、さらに、自由に湾曲する、又は、折れ曲がるというような、フレキシビリティを有する表示装置を要望する声も高まっている。
これらの要求を満たす表示装置としてプラスチック基板などの耐衝撃性に優れ軽量でかつフレキシビリティを持つ基板を用いた表示装置が注目されている。これには、プラスチック基板上に薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を形成することが必要となる。しかし、現在広く用いられているアモルファスシリコンやポリシリコンを用いた薄膜トランジスタを形成するためには350℃から600℃程度の高温プロセスが必須であり、200℃程度の耐熱性しかないプラスチック基板上に直接形成することは難しい。
この問題を解決する方法として、プラスチック基板に直接アクティブ素子を形成するのではなく、薄膜トランジスタをガラス基板等に高密度に形成した転写元基板を形成しておき、この転写元基板から複数のプラスチック基板(転写先基板)に薄膜トランジスタアレイを転写するという方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。この方式では、薄膜トランジスタを従来どおりの形成温度で形成できるため、従来並の特性を有した薄膜トランジスタを転写先基板であるプラスチック基板上に設置することができる。また、一枚の転写元基板から複数の転写先基板を形成できるので転写コストを下げることができるという利点もある。
特開平6−118441号公報(第2−4頁、第3図) 特開平11−142878号公報(第4−9頁、第2図) 特開2001−7340公報(第3−7頁、第15図)
しかしながら、従来の方法では、転写元基板から転写先基板への転写の過程において、転写すべきでない素子までが転写されてしまい、転写選択性が低いという問題があった。
この問題に鑑み、本発明は、転写選択性の高いアクティブマトリクス基板の製造方法を
提供することを目的とする。
また、本発明は、転写元基板上にアクティブ素子を形成する工程と、転写元基板上のア
クティブ素子を中間転写基板に接着する工程と、アクティブ素子を中間転写基板に接着し
た後に、転写元基板を除去する工程と、転写先基板の画素領域に接着層を形成する工程と
、転写先基板の、画素領域の周辺の周辺領域にスペーサ層を形成する工程と、転写元基板
を除去した後に、前記転写先基板上の前記スペーサ層を前記中間転写基板に押し付けなが
ら、中間転写基板に接着されたアクティブ素子を転写先基板上の接着層に転写する工程と
、転写先基板上に配線を形成する工程と、転写先基板上のアクティブ素子と配線とを接続
する工程とを具備することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法を提供する

また、本発明は、転写元基板上にアクティブ素子を形成する工程と、中間転写基板上の
、アクティブ素子が接着される領域の周辺にスペーサ層を形成する工程と、前記転写元基
板上の前記アクティブ素子を前記中間転写基板の前記領域に接着する工程と、
アクティブ素子を中間転写基板に接着した後に、転写元基板を除去する工程と、転写先基
板の画素領域に接着層を形成する工程と、転写元基板を除去し、中間転写基板にスペーサ
層を形成した後に、前記中間転写基板上の前記スペーサ層を前記転写先基板に押し付けな
がら、中間転写基板に接着されたアクティブ素子を転写先基板上の接着層に転写する工程
と、転写先基板上に配線を形成する工程と、転写先基板上のアクティブ素子と配線とを接
続する工程とを具備することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法を提供す
る。
本発明によれば、転写選択性の高いアクティブマトリクス基板の製造方法を提供すること
が出来る。
本発明者らは、転写元基板にアクティブ素子を形成し、転写元基板から中間転写基板にアクティブ素子を転写、さらに中間転写基板から転写先基板にアクティブ素子を転写して
いく際の、転写選択性の問題について調査した。
その結果、転写先基板中、アクティブ素子の転写されるべき領域及び画素電極の形成された領域を含む画素領域の中心では転写選択性が高く、画素領域の周辺の周辺領域に近づくにつれて転写選択性が低下することが見出された。特に、周辺領域に近づくにつれて、転写されるべきアクティブ素子が転写されない転写不良よりも、転写されるべきでないアクティブ素子が転写されてしまう転写不良が多い。これは、転写先基板の周辺領域においては、アクティブ素子を接着する接着層が存在しないため、接着層によるスペーサ効果が低減するためであると考えられる。言い換えれば、中間転写基板から転写先基板へ転写を行う際、転写先基板の周辺領域では画素領域に比べて、より強く中間転写基板に押し付けられる圧力がアクティブ素子に加わる。このため中間転写基板上のアクティブ素子が転写先基板に接触しやすくなり、結果的に画素領域の選択されていないアクティブ素子や、周辺領域のアクティブ素子も転写されてしまうのである。これは、歩留まりの低下、ひいてはコスト上昇につながる。
そこで、本発明は、中間転写基板もしくは転写先基板の周辺領域にスペーサ層を設けるものである。転写先基板の周辺領域にスペーサ層を設けた第1の実施形態のアクティブマトリクス基板を図1に示す。
図1に示すように、本実施形態のアクティブマトリクス基板(転写先基板)11は、画素領域12と周辺領域13とによりなる。アクティブマトリクス基板11上の画素領域12には、行列状に設けられた複数の接着層14と、各々の接着層14上に設けられたアクティブ素子15が設けられる。また、アクティブマトリクス基板11上の周辺領域13には、スペーサ層16が設けられる。各々の接着層14の大きさは、各々のアクティブ素子15の大きさとほぼ同じかそれより少し大きい程度とし、各々のスペーサ層16の大きさは、各々の接着層14の大きさとほぼ同じ程度とする。このように、アクティブマトリクス基板11上の周辺領域13にスペーサ層16を設けることにより、アクティブマトリクス基板11を中間転写基板(図示せず)に押し付けて転写する際に、画素領域12の端部においても実質的に画素領域12中心部とほぼ同様な圧力状態となり、非転写部へアクティブ素子15が転写されてしまう転写不良を防ぐことができる。
また、図1においては、画素領域12での接着層14のピッチをlx,ly、周辺領域13でのスペーサ層16のピッチをlx'',ly''、接着層14とスペーサ層16との間の距離をlx',ly'とすると、lx=lx'=lx'',ly=ly'=ly''、つまり同周期としている。このような構成とすることにより、より、画素領域12と周辺領域13とで加わる圧力を同様のものとすることが可能となる。また、このような構成の際は、スペーサ層16は例えば接着層14と同時に形成することもできる。
次に、本実施形態のアクティブマトリクス基板と、これを用いた液晶表示装置の製造方法を、図2〜図8を用いて説明する。
まず、図2に示すように、高耐熱性ガラス基板からなる転写元基板201上に、SiOx膜、SiNx膜などからなるアンダーコート層202を200nm〜1μm程度の膜厚となるよう形成し、その上に薄膜トランジスタ15を形成してから、薄膜トランジスタ15をアンダーコート層202と保護膜203とで包み込むように、感光性ポリイミド樹脂などからなる保護膜203を形成する。薄膜トランジスタ15の詳細については後述する。なお、以降の説明では、薄膜トランジスタ15、アンダーコート層202及び保護膜203を合わせたものを指して、アクティブ素子100という。
図3に示すように、この転写元基板201に形成されたアクティブ素子100を一括し
て一時転写する中間転写基板204を用意する。中間転写基板204には、紫外線照射により剥離性を生じるUV剥離樹脂、加熱すると発泡することで接着力が低下する日東電工株式会社製リバアルファや、温度によって結晶、非結晶状態の相転移現象を利用して粘着力を変化させる株式会社ニッタ製のインテリマーなどからなる剥離層205が形成されている。この剥離層205の接着力により、転写元基板201上のアクティブ素子100を包む保護膜203を中間転写基板204に貼り付ける。
図4に示すように、転写元基板201(点線で図示)を除去する。除去方法としては、フッ酸などの薬品を用いたウェットエッチング法を用いても良いし、薬品中に浸けながら機械的に研磨する化学的機械的研磨法を用いても良い。また、転写元基板201自体をなくしてしまう代わりに、アンダーコート層202と転写元基板201との間に水素化アルファスシリコン層などを挿入し、レーザーを照射してアモルファスシリコン層をアブレーションさせることで、中間転写基板204側にアクティブ素子100等を残したまま転写元基板201を剥離してもよい。このプロセスにより中間転写基板204にアクティブ素子100がそれぞれ独立した状態で仮接着される。
図5に示すように、このアクティブ素子100が仮接着された中間転写基板204からさらに転写される転写先基板11を用意する。転写先基板11としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)等のプラスチック基板、フレキシブル基板を用いることができる。フレキシブル基板を用いることで、紙のように折れ曲げることや湾曲させることが可能な表示装置が実現できる。もちろん、ガラス基板やシリコン基板などのフレキシビリティのない基板を用いても構わない。
この転写先基板11上の周辺領域にスペーサ層16としてアクリル系樹脂を用いて0.5μm〜10μm程度の厚さとなるよう形成する。また、転写先基板11のアクティブ素子転写予定領域に、アクリル系樹脂を用いて接着層14を1μmから5μm程度の厚さとなるよう形成する。なお、本実施形態では、接着層14及びスペーサ層16の平面パターンとしては、図1の配置を用いている。
スペーサ層16は、アクリル系樹脂やポリイミド系樹脂などの有機樹脂を用いてもかまわないし、SiOx等の無機材料を用いても構わない。これらの中でも、アクリル樹脂は、接着性に優れており、透明でかつ柔軟性に優れておりさらにクラックが生じにくいために特に好ましい。スペーサ層16に感光性を有する有機樹脂を用いると、容易にパターニングが可能であり、感光性のない樹脂を用いるよりもコストが低減する。もちろん、感光性のない有機樹脂を用いたとしてもエッチングや印刷等によりパターニング形成が可能である。
転写元基板201及び中間転写基板204で、N×M個のアクティブ素子100が密に配列されており、このアクティブ素子100を、4枚の転写先基板11に転写するとする。そして、転写元基板201及び中間転写基板204の素子をいくつかおきに4枚の転写先基板11に転写することにより、N/2×M/2個のアクティブ素子100が夫々の転写先基板11に選択的に転写される。
そして、接着層14の役割は、中間転写基板204上に仮接着されているアクティブ素子100のうち、その一部だけを転写先基板11に選択して接着することであり、選択されたアクティブ素子100の配置部には接着層14が形成され、非選択部のアクティブ素子100の位置には接着層14が形成されていない構造となっている。接着層14としては、例えばアクリル系樹脂やポリイミド系樹脂を用いることができる。これらの樹脂を用いると後述する配線形成プロセス、パッシベーション膜形成プロセスにおける200℃−
300℃程度の高温状態においても樹脂が変質したりすることがないという点で優れている。特に、アクリル樹脂は、接着性に優れており、透明でかつ柔軟性に優れておりさらにクラックが生じにくいために好ましい。また、透過型の液晶表示装置を形成する場合においては、可視光に対する透過率が十分高いため、光効率の点でも優れている。接着層14中には、Crなどのメタルの微粒子を分散させたものや黒色レジストを用いても良い。これらの方法でレジストを黒色化又は不透明化することで、この上に転写されるアクティブ素子中への光漏れが低減し、トランジスタのスイッチング比を向上することができ、最終的に形成された表示装置の画質が向上する。接着層14としては、感光性を有する有機樹脂を用いると容易にパターニングが可能であり、感光性のない樹脂を用いるよりもコストが低減する。もちろん、感光性のない有機樹脂を用いた場合はエッチングや印刷等によりパターニング形成が可能である。
スペーサ層16と接着層14は同じ材料を用いて、同工程で形成してもよい。この場合接着層14とスペーサ層16の高さは等しくなるが、スペーサ層16のスペーサとしての機能は十分に得ることが出来る。スペーサ層16と接着層14を同時形成すると、工程が減るため、コスト的にメリットがある。
また、スペーサ層16形成後に、周辺領域13以外にレジストパターン等のマスクをするなどして、スペーサ層16表面のみにCF4プラズマ処理等のF化処理を表面に行うと、スペーサ層16上にアクティブ素子100が接触しても転写されにくい効果がある。同様に画素領域12においても、接着層14を形成後、接着層14上にレジスト等でマスクをした後、CF4プラズマ処理等のF化処理を表面に行うと接着層14以外の領域で剥離性が促され、非選択部にアクティブ素子100が転写されにくい効果がある。
図6に示すように、接着層14及びスペーサ層16を形成した転写先基板11に、中間転写基板204を、転写するアクティブ素子100が接着層14に当たるように位置合せをして貼り付ける。貼り付け方法としては、平行またはほぼ平行な2つの平板を有しこれらの間に対象物を挟みを互いに押し付ける貼り合せ装置を用いても良いし、平板とその上の1つのローラーを有し、これらの間に対象物を設けて圧着する装置を用いてもよいし、2つのローラーからなる圧着装置で貼り付けても良い。そして圧力を与えた状態で加熱を行い、その後室温まで冷却する。本実施形態では、画素領域12には接着層14上に貼り付けたアクティブ素子100があり、周辺領域13にはスペーサ層16があることから、画素領域12と周辺領域13とでほぼ同様な圧力を印加することが出来る。
図7に示すように、中間転写基板204と転写先基板11を張り合わせた状態で貼り合せ装置から外した後、剥離層205に剥離性を促す処理を施す。本実施形態では、加熱することにより剥離性の生じる粘着性の剥離層205を用いていることから、加熱処理を行う。例えば、紫外線照射により剥離性を生じる剥離層205を用いた場合は紫外線を照射すればよい。特に転写されるアクティブ素子100に対応する領域のみを加熱若しくは紫外線照射することで、転写の選択性は向上する。このような剥離処理を行うことで中間転写基板204の剥離層205の粘着力は減少し、接着層14に接したアクティブ素子100は接着層14と熱圧着され、接着層14上にのみ選択的にアクティブ素子100を転写することができる。図7のアクティブマトリクス基板11側は、図1のA−A‘間の断面図である。
この選択転写過程を複数回繰り返し、高密度にアクティブ素子100が形成された1枚の中間転写基板204から複数枚のアクティブマトリクス基板11を形成することができる。これによりアクティブマトリクス基板の製造コストを低減することができる。また、中間転写基板204から複数回転写することで、中間転写基板204よりも大きなサイズのアクティブマトリクス基板11を形成することも可能である。すなわち、大型の表示装
置のためのアクティブマトリクス基板を小さな基板から形成することが可能となり、アクティブ素子の製造装置の小型化を実現できる。
図8に示すように、アクティブ素子100を転写したアクティブマトリクス基板11に、第1の平坦化層206として感光性ポリイミドからなる有機膜層を5〜10μm程度形成し、紫外線露光によりアクティブ素子100のゲート電極、ソース電極、ドレイン電極上をエッチングしてスルーホールを形成する。この後、Mo、Alなどのメタル膜でゲート線(図示せず)の形成を行い、薄膜トランジスタのゲート電極(図示せず)とゲート線を、スルーホールを通して接続する。さらに、もう一層感光性ポリイミドからなる第2の平坦化膜207を1〜2μm程度形成し、紫外線露光して、ソース電極(図示せず)及びドレイン電極(図示せず)上にスルーホールを形成する。この後、Alなどからなるメタル膜を形成し、信号線(図示せず)及び画素電極208を形成する。信号線は薄膜トランジスタのソース電極とスルーホールを通じて接続し、画素電極208は薄膜トランジスタのドレイン電極とスルーホールを通して接続する。このように本実施形態では、平坦化膜上に配線を形成しているので、スペーサ層16上に配線が通っても段切れすることはない。ただし、スペーサ層16のない領域に配線の少なくとも一部を通すことで、平坦化膜の膜厚を薄くした場合においても断線を防ぐことが可能である。
最後に、図示しないがITO等の透明導電膜からなる対向電極層、ブラックマトリクス層、カラーフィルター層を備えた透明な対向基板を用意し、これと転写先基板11とを、数μmのスペーサでギャップをとりながらはりあわせ、基板周縁を封止剤で固定し、液晶をこの2つの基板間に注入する。液晶としては、本実施形態ではツイストネマチック型液晶を用いるが、ゲストホスト型液晶、コレステリック液晶、強誘電性液晶など他のいかなる液晶を用いてもよい。以上のようにアクティブ素子を有する液晶表示セルを形成する。このゲート線、信号線及び対向電極を駆動回路と接続し、液晶表示装置を完成する。
本実施形態においては、スペーサ層16により中間転写基板204と転写先基板11との間隔が保たれるので、中間転写基板204から転写先基板11へのアクティブ素子100の転写時に非選択部に誤ってアクティブ素子100が転写されにくくなる。これは、周辺領域13にスペーサ層16を形成することにより、非転写部分のアクティブ素子100が転写先基板11に接触することを防ぐことができるためである。また仮に接触していても、スペーサ層16によりその接触圧が低減し、非転写部分にアクティブ素子100が誤って転写される確率が低減する。
また、アクティブ素子100と接着層14との貼り合せ工程においても、スペーサ層16がないと特に周辺領域13に近い画素領域12においては、圧着圧力がアクティブ素子100を通じて接着層14に集中し、接着層14がつぶれ、場合によってはアクティブ素子100自体も潰れてしまう問題や、転写後のアクティブ素子100の転写先基板11面からの高さのむらが大きくなる問題などある。しかし、スペーサ層16をいれることで、圧着中も面内での中間転写基板204と転写先基板11との間隔にむらがなくなり、転写後のアクティブ素子100の高さむらも低減し、アクティブ素子100へのダメージも低減可能となる。
スペーサ層16の膜厚は接着層14の膜厚とほぼ等しい状態でも十分転写工程で転写不良を低減するのに効果がある。好ましくは、スペーサ層16を接着層14より厚いものとし、接着層14とアクティブ素子100との合計の膜厚とほぼ同等ないし、それ以上の膜厚するとさらに転写不良が低減する。
次に、本実施形態のアクティブ素子100について説明する。
図9に示すように、本実施形態のアクティブ素子100は、転写元基板201上の薄膜トランジスタ毎に分離されたアンダーコート層202とその上に形成された薄膜トランジスタ、アンダーコート層202と共に薄膜トランジスタを覆う保護膜203とを有する。薄膜トランジスタは、パターニングされたゲート電極301とこれを覆うゲート絶縁膜302、ゲート絶縁膜302上に設けられたチャネル層303を有する。また、チャネル層303上にはパターニングされたチャネル保護膜304が設けられ、チャネル保護膜304上には分離された2つのn型半導体層305、2つのn型半導体層305の上に夫々設けられたソース電極306及びドレイン電極307が積層される。
次に、本実施形態のアクティブ素子100の製造方法について説明する。
まず、高耐熱性ガラス基板からなる転写元基板201の上にアンダーコート層202を200nm〜1μm程度形成する。アンダーコート層202としては、SiOx膜、SiNx膜等が、薄膜トランジスタへのイオン性の不純物をブロックすることができて好ましい。またこれらの積層膜を用いるとさらにその効果は増加する。
次にMoTa,MoW等からなるメタルをスパッタリング法などにより300nm程度堆積し、パターニングしてゲート電極301を形成する。次にプラズマCVD法などによりSiOx,SiNx等からなるゲート絶縁膜302、アモルファスSiなどの半導体からなるチャネル層303、SiNx等の絶縁膜層、を順次堆積し、絶縁膜層についてはパターニングしてチャネル保護層304とした。ゲート絶縁膜302、チャネル層303、チャネル保護層304の厚さは、それぞれ100nm〜400nm程度、50nm〜300nm程度、50nm〜200nm程度とすることができる。なお、ゲート絶縁膜302としては他にTaOx膜、PZT膜等の高誘電体膜、強誘電体膜を用いてもよい。この場合、誘電率が大きいので、より膜厚を薄くすることができ、形成コストが低減する効果がある。さらに強誘電体膜を用いた場合はメモリー性駆動が可能となり駆動の低消費電力化をすることができる。
次に、プラズマCVD法などにより燐をドープしたn型半導体層305を30nm〜100nm程度形成する。そして、ゲート絶縁膜302からn型半導体層305までをパターニングして島状パターンを形成する。さらにMo,Alなどの単層又は積層からなる電極層をスパッタリング法などにより200nm〜400nm程度堆積する。この後、ウェットエッチング法またはドライエッチング法を用いて電極層、n型半導体層305をエッチングし、電極層はソース電極306、ドレイン電極306となる。このとき、チャネル層303はチャネル保護層304がエッチングストッパとなるため、エッチングダメージを受けることがない。
次に、感光性のポリイミド樹脂を塗布し、紫外線でマスク露光して保護層203を2μm〜10μm程度の厚さとなるよう形成した。さらにこの保護膜203のパターンをマスクとしてアンダーコート層202をエッチングして、個々の薄膜トランジスタを覆い、分離し、アクティブ素子100を得る。
以上のプロセスについては、従来広く用いられている液晶表示装置と同様に高耐熱性ガラス基板上に薄膜トランジスタを形成しており、従来と同様の高温プロセスでの形成が可能である。従って、従来の薄膜トランジスタ並の電気特性を持つことが可能である。さらにより高密度な転写元基板から多くの転写先基板を形成することを目的としており、薄膜トランジスタの形成ピッチは転写先基板より、転写元基板及び中間転写基板でより細かくしている。
なお、本実施形態では、アクティブ素子として逆スタガ型のアモルファスシリコンTF
Tを用いたものとしたが、ポリシリコンTFTなどの他のタイプの薄膜トランジスタを用いても構わない。また薄膜ダイオード、薄膜キャパシタ、その他のいかなる素子を用いてもよく、有機EL表示装置を作製する場合などは、複数の薄膜トランジスタを組合わせてアクティブ素子を形成しても良い。
ところで、本実施形態においては、図1に示すように、画素領域12での接着層14のピッチlx、ly、周辺領域13でのスペーサ層16のピッチlx''、ly''、接着層14とスペーサ層16との間の距離lx'、ly'を全て等しくし、接着層14もスペーサ層16も同周期としている(lx=lx'=lx'',ly=ly'=ly'')。形成したダミー接着層であるスペーサ層16の数は、行方向(x方向)に2行、列方向(y方向)に2列としている。例えば、1行1列、接着層14と同様の周期でスペーサ層16を形成した場合であっても、転写不良の低減に効果はある。スペーサ層16の数を増やせば増やすほど、全体の面積に対する画素領域の面積が低下してしまうが、画素領域12内での転写不良は低減する傾向が見られる。転写不良の低減効果と、画素領域の面積率の向上を図るには、例えば、対角3.2"の画面のTFTアレイの場合、3~4行,9~12列程度とすると、画面内での転写不良をほぼ防ぐことができ、好ましい。スペーサ領域の幅は、行方向、列方向とも1.mm~1.5mm程度であり、画面の対角サイズに対するスペーサ領域幅の割合は、1%~2%程度とると転写不良をほぼ防ぐことができ、好ましい。
なお、画素領域12での接着層14のピッチlx、ly、周辺領域13でのスペーサ層16のピッチlx''、ly''、接着層14とスペーサ層16との間の距離lx'、ly'は、等しくなくても構わない。ただし、1枚の中間転写基板204に設けられたアクティブ素子100から複数枚の転写先基板11上にアクティブ素子100を転写する際は、アクティブ素子100がスペーサ層16に接してスペーサ層16上に転写されてしまう転写不良を防ぐために、lx'≧lx、ly'≧lyであることが必要となる。
このように、接着層14とスペーサ層とを同周期としなかった場合、スペーサ層の形は、例えば図10に示すような棒状でも構わない。図10では、第1のスペーサ層401、第2のスペーサ層402、第3のスペーサ層403の3種類のスペーサ層を配置している。この場合もlx≧lx'、ly≧ly'が成り立っていれば、1枚の中間転写基板204に設けられたアクティブ素子100から複数枚の転写先基板11上に転写しても、アクティブ素子100がスペーサ層401、402、403上に接することはない。棒状にすることにより、島状にする場合よりも単位面積あたりのスペーサ層401、402、403の占める面積が大きくなるので、より圧力緩和効果を高めることができる。また配線を棒状スペーサ401、402、403の間に通すことができるので、配線の断線防止にも効果がある。したがって、スペーサ層の幅(第1のスペーサ401で言えば、y方向に垂直な方向、第2のスペーサ402で言えば、y方向を幅という)を狭くすることができる。具体的には3.2"TFTアレイにおいてはスペーサ層の幅を0.2mm~0.7mm程度にすることでTFTの転写不良を防止することが可能となる。図10に示す構成では、周辺領域の近くでの圧力集中を緩和する効果がすぐれているため、同じ圧力緩和効果を生じさせるために必要なスペーサ層401、402、403の形成領域を小さくできることである。また、このような棒状のスペーサ層を設ける場合は、第1のスペーサ層401及び第2のスペーサ層402のみでも効果を得ることが出来るが、画面の4角に第3のスペーサ層403を配置することで、特に接触圧力の大きい画面の角部での転写不良をさらに低減できる。
また、図11は、図1では島状としていたスペーサ層を全てつなげて画面全体を覆う額縁状のスペーサ層501として形成した例である。このようにさらにスペーサ層501の密度を増加させることで圧力緩和効果を高め、より狭いスペーサ層面積率で転写不良を低減可能となる。この場合、各種の条件を考慮した上で出来るだけ画素領域12に近い周辺領域13にスペーサ層501を設けることが好ましい。
図12は、アクティブマトリクス基板11全体における、接着層14とスペーサ層配置可能領域601との関係に関するものである。通常、図12に示すように、接着層14の位置は画素内で一定にした構造とする。このとき、1枚の中間転写基板204に設けられたアクティブ素子100から複数枚の転写先基板11上にアクティブ素子100を転写する場合、上述したようにスペーサ層をどのような形状とした場合でも、スペーサ層配置可能領域601は端部の接着層14の位置によってきまる。すなわち。lx'≧lx、ly'≧lyであることが必要となる。
接着層とスペーサ層の配置の、第1の変形例を、図13を用いて説明する。図13では、接着層14の配置を上下左右で対称になるように配置している。この場合、中間転写基板204の大きさを転写先基板11の画素領域12の1/4の大きさとして、4倍以上の密度でアクティブ素子100を形成し、画面の1/4づつ転写すれば良い。この場合、スペーサ層配置可能領域602と接着層14との距離は、x、y夫々の方向において対称となるので、中間転写基板を転写先基板に貼り付ける工程での圧力バランスがさらに向上し、転写むらが少なくなる。
接着層とスペーサ層の配置の、第2の変形例を、図14を用いて説明する。図14では、隣り合う行及び列の接着層14及びスペーサ層16の位置を、半周期ずらして配置しており、1行おき、1列おきに周期が一致している。従来、転写不良の発生は、隣接する接着層間距離が短いときに生じ易く、隣接する接着層間のアクティブ素子までが転写されてしまうという転写不良を起こしやすい傾向が見られた。これは、接着層に対応する領域の周辺の剥離層が変形することにより、接着層間に配置されたアクティブ素子が剥離しやすくなったと考えられる。そこで、画素ピッチが狭い場合は、接着層14をずらすことで、接着層14間距離を長くする構造を考えた。この場合、スペーサ層16も同様にずらすことが好ましく、これにより接着層14周りに発生しやすい転写不良を低減することができる。図14では、画素領域12での接着層14のピッチlx、ly、周辺領域13でのスペーサ層16のピッチlx''、ly''、接着層14とスペーサ層16との間の距離lx'、ly'を全て等しくしているが、これは等しくなくともよい。ただし、1枚の中間転写基板204に設けられたアクティブ素子100から複数枚の転写先基板11上にアクティブ素子100を転写する際は、アクティブ素子100がスペーサ層16に接してスペーサ層16上に転写されてしまう転写不良を防ぐために、lx'≧lx、ly'≧lyであることが必要となる。また、図14では、接着層及びスペーサの位置ずれを、行及び列毎に半周期ずつとしているが、これも限定されるものではなくn周期づつずらす際のnは任意の値を取ることが可能であり、行と列で異なる値としても良い。接着層間距離を最大にするという意味からは、図14のように半周期分だけずらすことが好ましい。
次に、中間転写基板の、アクティブ素子100が接着される領域の周辺にスペーサ層を設けた第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の部分については省略する。
本実施形態は、転写先基板にはスペーサ層を設けず、中間転写基板にスペーサ層を設けた点が第1の実施形態とは異なる。本実施形態の中間転写基板及びアクティブマトリクス基板の製造方法について、図15を用いて説明する。
図15に示すように、本実施形態では、中間転写基板204にスペーサ層701がある。スペーサ層701は、例えば中間転写基板204上の剥離層205を形成した後、アクティブ素子100が接着される領域の周辺をパターニングして剥離層205を除去し、その部分にスペーサ層701を形成すればよい。スペーサ層701の材料、作製方法は第1の実施形態と同様に行えばよい。剥離層205のパターニングは、フォトレジストを剥離
層205上に形成しそれをマスクとしてArイオン等によるスパッタエッチングを行うこと等により可能である。本実施形態においても、中間転写基板204上にアクティブ素子100を転写した後、接着層14が形成された転写先基板11と貼り合せ、剥離することにより、転写を行うことができる。この場合、転写先基板11上にはスペーサが形成されないが、転写工程自体は前述のプロセスと変わりはない。本実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることが可能である。
スペーサ層701の膜厚は剥離層205の膜厚とアクティブ素子100の膜厚の和とほぼ等しくするか、それ以上とすると転写むらの改善に特に好ましい。また、図16に示すように、剥離層205上にスペーサ層702を形成することも可能である。この場合、スペーサ層702はアクティブ素子100の膜厚とほぼ等しくすることで効果が高まり、より薄い膜厚のスペーサ層702で効果を得ることが可能となる。転写工程自体は第1の実施形態と同様に行えばよい。ただし、剥離層205上のスペーサ層702が転写時にアクティブ素子100と同時に転写されないために、例えば加熱で剥離する剥離層205を用いる場合は、スペーサ層702の形成された領域には加熱を行わない方がよい。また、UVで剥離する剥離層205の場合はUVをスペーサ層702の形成された領域に照射しないようにする。なお、本実施形態においても、スペーサ層701、702の平面パターンは第1の実施形態の、転写先基板11上に形成したスペーサ層と同様のものを用いることができる。本実施形態のように、中間転写基板204上にスペーサ層701、702を形成する場合は、最終的にアクティブマトリクス基板として用いる転写先基板11にスペーサ層が残らないので、その後形成する配線がスペーサの段差により断線する可能性が軽減するため、スペーサ層のパターンの自由度が上がるという効果がある。
本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板のアクティブ素子を説明する断面図である。 本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るアクティブマトリクス基板の平面図である。 本発明の第1の実施形態の第2変形例に係るアクティブマトリクス基板の平面図である。 接着層とスペーサ層との配置を説明する平面図である。 接着層とスペーサ層との配置の、第1の変形例を説明する平面図である。 接着層とスペーサ層との配置の、第2の変形例を説明する平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係るアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する断面図である。
符号の説明
11…アクティブマトリクス基板(転写先基板)
12…画素領域
13…周辺領域
14…接着層
15…薄膜トランジスタ
16、701、702…スペーサ層
100…アクティブ素子
201…転写元基板
202…アンダーコート層
203…保護膜
204…中間転写基板
205…剥離層
206…第1の平坦化膜
207…第2の平坦化膜
208…画素電極
301…ゲート電極
302…ゲート絶縁膜
303…チャネル層
304…チャネル保護膜
305…n型半導体層
306…ソース電極
307…ドレイン電極
401…第1のスペーサ層
402…第2のスペーサ層
403…第3のスペーサ層
501…額縁状のスペーサ層
601…スペーサ層配置可能領域
602…変形例におけるスペーサ層配置可能領域

Claims (2)

  1. 転写元基板上にアクティブ素子を形成する工程と、
    前記転写元基板上の前記アクティブ素子を中間転写基板に接着する工程と、
    前記アクティブ素子を前記中間転写基板に接着した後に、前記転写元基板を除去する工程
    と、
    転写先基板の画素領域に接着層を形成する工程と、
    前記転写先基板の、前記画素領域の周辺の周辺領域にスペーサ層を形成する工程と、
    前記転写元基板を除去した後に、前記転写先基板上の前記スペーサ層を前記中間転写基板
    に押し付けながら、前記中間転写基板に接着された前記アクティブ素子を前記転写先基板
    上の前記接着層に転写する工程と、
    前記転写先基板上に配線を形成する工程と、前記転写先基板上の前記アクティブ素子と前
    記配線とを接続する工程とを具備することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造
    方法。
  2. 転写元基板上にアクティブ素子を形成する工程と、
    中間転写基板上の、前記アクティブ素子が接着される領域の周辺にスペーサ層を形成する
    工程と、
    前記転写元基板上の前記アクティブ素子を前記中間転写基板の前記領域に接着する工程と

    前記アクティブ素子を前記中間転写基板に接着した後に、前記転写元基板を除去する工程
    と、
    転写先基板の画素領域に接着層を形成する工程と、
    前記転写元基板を除去し、前記中間転写基板に前記スペーサ層を形成した後に、前記中間
    転写基板上の前記スペーサ層を前記転写先基板に押し付けながら、前記中間転写基板に接
    着された前記アクティブ素子を前記転写先基板上の前記接着層に転写する工程と、
    前記転写先基板上に配線を形成する工程と、
    前記転写先基板上の前記アクティブ素子と前記配線とを接続する工程とを具備することを
    特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
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