JP3946331B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的性質、耐熱性、成形加工性に優れ、自動車の外装、内装品、電子・電気関係部品、土木・建築用等の各種工業材料として有用な難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、寸法安定性、電気特性、高荷重下での耐熱変形性、耐水性などに優れた樹脂であり、工業的にはポリスチレン系樹脂とブレンドされた形で幅広く利用されているが、耐油性及び成形加工性に劣るという大きな欠点を有している。
【0003】
これに対し、ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐油性、耐熱性などに優れ、最も代表的なエンジニアリングプラスチックの1つとして多量に利用されている。しかしながら、このポリアミド樹脂は寸法安定性、吸湿性、高荷重下での耐熱変形性、乾燥時の耐衝撃性などの性質が他のエンジニアリングプラスチックに比べて低いという欠点を有している。このため、前記の両樹脂のそれぞれの長所を活かし、両者の欠点を相補うことを目的として両樹脂の反応を伴ったブレンド組成物が試みられ、これまで種々の組成物が提案され実用化されている。
【0004】
上記した先行技術で得られる樹脂組成物は、概ね、耐熱性、機械的強度、加工性に関して、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド系樹脂の各々の特徴を活かし、改良されたものである。
しかしながら、この樹脂組成物は難燃化が困難で、多量の難燃剤が必要もしくは含ハロゲン難燃剤及び重金属化合物を用いた技術が主流で、機械的強度を著しく損なうという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、相溶化剤及びゴム状重合体を含む樹脂組成物の難燃性、耐薬品性、耐熱性及び機械的強度に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この課題を解決するため、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、相溶化剤及びゴム状重合体からなる樹脂組成物の難燃性に関して鋭意検討を重ねた結果、特定のリン化合物と特定構造の1,3,5−トリアジン誘導体を含む樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂と相俟って難燃性に優れ、機械的性質にも優れた樹脂組成物をもたらすことを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂 95〜5重量%
(b)ポリアミド系樹脂 5〜95重量%
(c)相溶化剤
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 0.01〜30重量部、
(d)ゴム状重合体
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 0〜30重量部、
(e)有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 8〜40重量部、
(f)下記の一般式(I)で表される化学構造を有する1,3,5-トリアジン誘導体
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 4〜20重量部
を含むことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、Xはモルホリノ基またはピペリジノ基であり、Yはピペラジンから誘導される2価の基であり、nは1以上の数である。)
[2] ポリアミド系樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、これらの共重合体または混合物であることを特徴とする[1]記載の難燃性樹脂組成物、
[3] 相溶化剤がフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、エポキシ化天然油脂類、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール及びスチレン−無水マレイン酸共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の難燃性樹脂組成物、
である。
本発明で(a)成分のポリフェニレンエーテル(以下、単にPPEと略記)は、本発明の難燃性樹脂組成物に耐熱性および難燃性を付与するうえで必須な成分であり、該PPEは、結合単位:
【0010】
【化3】
【0011】
(ここで、R1,R2,R3,およびR4はそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)からなり、還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)が、0.15〜0.70の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60の範囲にあるホモ重合体および/または共重合体である。
【0012】
このPPEの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0013】
本発明に用いるPPEの製造方法は、公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号明細書、同第3257357号明細書および同第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報および特開昭50−51197号公報および同63−152628号公報等に記載された方法で容易に製造できる。
【0014】
また、本発明で用いるPPEは、上記したPPEのほかに、該PPEとスチレン系モノマーおよび/もしくはα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該スチレン系モノマーおよび/もしくはα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)PPEであってもよく、さらに上記したPPEと該変性PPEの任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0015】
また、本発明で用いるPPEは上記したPPEのほかに、これらPPE100重量部に対してポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンも含む)またはハイインパクトポリスチレンを400重量部を超えない範囲で加えたものも好適に用いることができる。
つぎに、本発明で用いる(b)成分として用いるポリアミド系樹脂は、ポリマー主鎖にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであって、加熱溶融できるものであれば、いずれも使用可能である。
【0016】
一般にポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸との脱水縮合反応、アミノカルボン酸の脱水縮合反応、ラクタムの開環重合などによって合成される。もちろん、これらいずれの重合方法によるものでも用いることができ、またこれらに限定されるものではない。
ジアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,13−ジアミノトリデカン、メタフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチルジアミン等が挙げられる。
【0017】
ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
ジアミンとジカルボン酸との脱水縮合反応で得られるポリアミドの例としてはナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物(ナイロン6T)、トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合物(ナイロン6I)等が挙げられる。
【0018】
アミノカルボン酸の例としては、ε-アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸等が挙げられる。
ラクタムの例としては、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等が挙げられる。
【0019】
アミノカルボン酸の脱水縮合反応、ラクタムの開環重合によって得られるポリアミドの例としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
また、これらポリアミドのあらゆる組み合わせの自由なモノマー比の共重合体が含まれる。
【0020】
共重合体の具体的な例としては、ナイロン6とナイロン66の共重合体、ナイロン6とナイロン6Tの共重合体、ナイロン6とナイロン6Iの共重合体、ナイロン6とナイロン6Tとナイロン6Iの共重合体、ナイロン66とナイロン6Tの共重合体、ナイロン66とナイロン6Iの共重合体、ナイロン66とナイロン6Tとナイロン6Iの共重合体等が挙げられる。
【0021】
また、さらに、これらホモポリアミドおよび共重合ポリアミドのあらゆる組み合わせの自由な混合比の混合物が含まれる。
混合物の例としては、ナイロン6とナイロン66の混合物、ナイロン6とナイロン610の混合物、ナイロン6とナイロン612の混合物、ナイロン6とナイロン6Tの混合物、ナイロン6とナイロン6Iの混合物、ナイロン66とナイロン610の混合物、ナイロン66とナイロン612の混合物、ナイロン66とナイロン6Tの混合物、ナイロン66とナイロン6Iの混合物、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0022】
好ましい例は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46及びこれらの共重合体及び混合物であり、さらに好ましくはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン612及びこれらの共重合体及び混合物であり、最も好ましいのは、ナイロン6、ナイロン66及びこれらを主体とする共重合体及び混合物である。
【0023】
ポリアミドの分子量は、数平均分子量で15,000以上50,000以下が好ましく、射出成形用途には15,000以上25,000以下が好ましい。分子量分布は、通常1〜3であるが、本発明のような樹脂組成物の場合、分子量が低いポリアミドと分子量が高いポリアミドを組み合わせて用いて、広い分子量分布を有するポリアミドを用いることも成形流動性と機械的性質、例えば、衝撃強度、引張強度との双方が同時に高い組成物を得るために良い結果をもたらす。このためには、数平均分子量が1,000〜10,000のポリアミドと数平均分子量が150,000〜500,000のポリアミドを併用するようなことが考えられる。
【0024】
ポリアミドの末端基は、ポリアミドとPPEと成分(c)とを溶融混合する際に、反応に関与する。ポリアミドは末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有しているが、これらは成分(c)の官能基の種類によって、いずれが反応に関与するかは変わる。成分(c)の官能基がカルボン酸基、酸無水物基の場合、ポリアミドのアミノ末端基と反応する。成分(c)の官能基がアミノ基、水酸基の場合、ポリアミドのカルボキシル末端基と反応する。成分(c)の官能基がエポキシ基の場合、ポリアミドのアミノ末端基、カルボキシル末端基のいずれとも反応する。ポリアミドの末端基の濃度としては、反応に関与する末端基は少なくとも10ミリ当量/Kgあることが好ましい。さらに好ましくは、30ミリ当量/Kg以上である。10ミリ当量/Kgより多いと溶融混合時に十分反応が進行し分散粒子が小さくなり、このことは、衝撃強度や引張強度等の機械的特性の向上につながり、成型時高シェアーで成形品外観が良好な組成物が得られる。
【0025】
ポリアミドの末端基の調整方法は、当業者には明らかであるように公知の方法を用いればよい。例えば、ポリアミドの重合時にジアミンやジカルボン酸の添加、モノカルボン酸の添加などにより末端基の調整がなされる。
つぎに、本発明で成分(c)として用いられる、相溶化剤とは、分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基または水酸基から選ばれる官能基を有する化合物をいい、以下に具体例を挙げ、成分(c)について説明する。不飽和ジカルボン酸及びその誘導体としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にα、β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、具体的にはフマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸が良好で、無水マレイン酸が最も好ましい。これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基がエステルになっているものも、加工温度でエステルが分解しカルボキシル基に変化するものは実質的に使用可能である。エポキシ基を含有する化合物としては、アリルグリシジルエーテル、エポキシ化天然油脂類等が挙げられる。水酸基を有する化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式CnH2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n-5OH、CnH2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコールが挙げられる。アミノ基を有する化合物の例としては、前記不飽和アルコールのOH基をNH2基に置き換えた不飽和アミンが挙げられる。
【0026】
また、分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基または水酸基から選ばれる官能基を有する変性ビニル重合体も良好に使用できる。具体的にはスチレン系化合物と分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基または水酸基から選ばれる官能基を有する官能基含有不飽和化合物とから得られる共重合体であることが望ましい。中でも、スチレン−無水マレイン酸共重合体が好適に用いられる。
【0027】
上記のスチレン−無水マレイン酸共重合体は、官能基含有不飽和化合物の含有量が0.1〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。
ここに例示した化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。成分(c)の添加量は、前記成分(a)及び(b)の合計量100重量部に対して0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部である。
【0028】
つぎに、本発明で(d)成分として用いることができるゴム状重合体としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体、これの水素添加物、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとポリエンとの共重合体、エチレンとアクリル酸及び/またはメタクリル酸と炭素数1〜8のアルキルアルコールとのエステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸及び/またはメタクリル酸と炭素数1〜8のアルキルアルコールとのエステルとの共重合体を内層とし、この外層がポリメタクリル酸メチルでありまたさらにこの外層に、上記内層、外層の構造が複数回繰り返し存在しても良い構造のコア−シェル構造ゴムなどが使用可能であり、これらの1種以上が用いられる。
【0029】
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体は、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックと、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを1個、好ましくは2個以上含有する。また、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体においてビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比は、10/90〜90/10であることが望ましい。より好ましくは、20/80〜80/20である。ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比が10/90より小さくなると該ブロック重合体樹脂は粘着性を持つようになり取り扱い性が悪くなる。90/10を超えると該ブロック共重合体の弾性率が高くなり、組成物への耐衝撃性付与能力が低下する傾向にある。20/80より大きくなると、該ブロック共重合体が本発明の難燃性樹脂組成物中に均一微分散するようになり、耐熱性、剛性、耐衝撃性の観点から好ましい。
【0030】
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比が50/50より小さいものと50/50より大きいものを併用する事は、衝撃性、伸度の面で好ましい。該ブロック共重合体の数平均分子量は、10,000〜1000,000であることが好ましく、さらに好ましくは30,000〜300,000である。数平均分子量が30,000より小さくなると耐衝撃性付与能力が低下し、300,000より大きくなると溶融粘度が高くなり、溶融混練り条件が制約されるようになる。分子量を高くした場合溶融粘度を下げるため鉱物油を含有させることは、流動性、分散性の観点から好ましい。共役ジエン化合物はブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。ビニル芳香族化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。中でもスチレンが好ましい。
【0031】
該ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状あるいは放射状もしくはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。共役ジエン化合物としてブタジエンを使用する場合は、ポリブタジエンブロック部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらに好ましくは10〜70%である。
【0032】
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体の水素添加物とは、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を超えて100%の範囲で制御したものをいう。
脂肪族二重結合の内、水素添加されたものの割合、すなわち水素添加率は0%を超え100%まで自由に制御する事ができる。水素添加率が大きくなるほど熱的安定性は向上する。加工時の熱滞留を受けた場合、及び熱エージングに暴露された場合の伸度、耐衝撃などの機械的物性の低下が大幅に抑制される。特に水素添加率100%に限りなく近いものはこの点で優れている。ガラス転移温度は水素添加したものは上がる傾向にあるため、低温での衝撃強度は水素添加率の低いものの方が高い。ウエルド部衝撃強度の観点からは水素添加率が低いものの方が優れる。ジエン系化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合は、主鎖中と側鎖中とに存在するが、側鎖の二重結合のみ水素添加したものは、ガラス転移温度も低く熱的にも安定なので低温衝撃と熱滞留時、及び熱エージング時の伸度、衝撃保持が高く好ましい。
【0033】
成分(d)の一種であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体について以下説明する。
このα−オレフィンとは、エチレンと炭素数3〜20個を有する不飽和炭化水素化合物をいい、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。特に好ましいのはプロピレンである。エチレンとα−オレフィンの重量比は95/5〜5/95であるものが好ましく、さらに好ましくは92/8〜60/40である。エチレンとα−オレフィンとの共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、5〜200であるものが好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
【0034】
エチレンとα−オレフィンとポリエンとの共重合体のポリエンとは、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエンなどの非共役ジエンをいう。ポリエンの含有率は0.1〜8%程度が望ましい。α−オレフィンの定義及びエチレンとα−オレフィンの重量比は上記と同じである。エチレンとα−オレフィンとポリエンの共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、5〜200であるものが好ましく、さらに、好ましくは5〜50である。
【0035】
ゴム状重合体は、成分(d)を反応させ、変性したものを用いることもできる。
成分(d)として、最も好ましいゴム状重合体は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のブロック共重合体及びその水素添加物であって、その中ではスチレンとブタジエンおよびスチレンとイソプレンのブロック共重合体、スチレンとブタジエン、イソプレンのブロック共重合体及び/またはその水素添加物が好ましい。
【0036】
つぎに、本発明で(e)成分として用いる有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムについて説明する。
まず、有機燐酸エステル化合物とは、例えば、下記一般式:
【0037】
【化4】
【0038】
〔式中、R1、R2、R3およびR4は各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール置換アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アリール基またはアルキル置換アリール基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Xはアリーレン基を表す。nは0〜5の整数である。(異なるn値を有する縮合物の組成物では、nはそれらの平均値を表す)〕
で示されるリン酸エステルおよびまたはその縮合物である。
n=0はリン酸エステル単量体を示す。代表的なリン酸エステル単量体としては、例えばトリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等を挙げることができる。縮合物としては、通常nは1〜5の値を取り得るが、好ましくは平均値で1〜3である。また、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも一つがアリール基であることが好ましく、特に好ましくはR1、R2、R3及びR4のすべてがアリール基である。好ましいアリール基としてはフェニル、キシレニル、クレジルまたはこれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。また、好ましいXのアリーレン基としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビフェノールまたはこれらのハロゲン化誘導体からそれぞれ2個の水酸基が脱離した残基を挙げることができる。代表的な縮合型のリン酸エステル化合物としては、レゾルシノール・ビスフェニルホスフェート化合物、ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート化合物、ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェート化合物などが挙げられる。
【0039】
つぎに、メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムとは、ポリ燐酸アンモニウムからなる芯材表面に、メラミンを付加/及びまたは付着させた粒状体である。このようなメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムは、(NH4)n+2PnO3n+1(式中nは2を超える整数である)で表される非ハロゲン系難燃剤の粒子表面にメラミンを付加及び/または付着させたものである。
【0040】
芯材としてのポリ燐酸アンモニウムは、ポリ燐酸アンモニウムとして市販されており、具体的には、商標「スミセーフ−P」(住友化学(株)製)、商標「エクソリット−422」(ヘキスト社製)、商標「エクソリット−700」(ヘキスト社製)、商標「フォスチェックP/40」(モンサント社製)等を挙げることができる。またさらに、メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムの原料として、特開平4−300204号公報に記載されたII型ポリ燐酸アンモニウム微粒子も用いることができる。II型ポリ燐酸アンモニウム粉末は、例えば、次の方法で得ることができる。すなわち、等モルのリン酸ジアンモニウムと五酸化リンとを温度290〜300℃で加熱攪拌し、次いで尿素が0.5倍モルとなる量の尿素水溶液(濃度77重量%)を噴霧しながら添加し、引き続きアンモニア雰囲気下で数時間、温度250〜270℃で焼成してII型ポリ燐酸アンモニウム粉末を得ることができる。
【0041】
本発明で用いるメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムは、このようなポリ燐酸アンモニウムを用い、下記方法によって製造可能である。
すなわち、第一段階として予備加熱されたニーダー等の加熱混練装置内に、上記した粉末状ポリ燐酸アンモニウムを投入し、該ポリ燐酸アンモニウム粉末が溶融せずにしかも該ポリ燐酸アンモニウム中のアンモニアが容易に脱離を起こす温度即ち300℃以下、好ましくは200〜280℃において0.5〜5時間加熱する。この加熱処理によって、本来ポリ燐酸アンモニウム中に化学量論量で存在しているアンモニアの一部(化学量論量のアンモニアに対して5〜10重量%)が脱離する。このようにして得たポリ燐酸アンモニウム(以下、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム、と略記する)の表面は、アンモニアの脱離によって、ヒドロキシル基(オキシ基)が形成されて酸性を示すようになる。このアンモニア不足ポリ燐酸アンモニウムは、具体的には、1重量%懸濁水溶液のpHが4〜6を示す程度にアンモニア不足状態となっていることが望ましい。
【0042】
なお、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウムは、当然ながらポリ燐酸アンモニウムの公知の製造工程においてアンモニアの結合量を化学量論量以下に調整することによっても製造できる。
次いで第二段階として、例えばアンモニア脱離を行った同一の装置で、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム粉末を、その融点未満、かつ、メラミンが昇華し得る温度、具体的には250〜300℃の温度でメラミンを添加して、アンモニア不足ポリ燐酸アンモニウム粒子表面に該メラミンを付加および/または付着させる。この反応で使用するメラミンはメラミンモノマーとして市販されているものを使用することができる。ここで、付加とは、添加されたメラミンがポリ燐酸アンモニウムに由来する酸性のヒドロキシ基(オキシ基)とイオン的に結合した状態を意味する。従って、付加、したメラミンは加熱されても安定であって再度離脱することはない。また、付着、とは、添加されたメラミンがポリ燐酸アンモニウム粒子の表面に吸着された状態を意味し、加熱の継続によってポリ燐酸アンモニウム粒子の表面に吸着しているメラミンが昇華と吸着を繰り返して最終的には酸性ヒドロキシ基とイオン的に結合する。この際にメラミンは、ポリ燐酸アンモニウムに対して0.5〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは2〜10重量%の量で添加されることが望ましい。添加されたメラミンは全量ポリ燐酸アンモニウム粒子表面に付加および/または付着し、その結果メラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムが得られる。
【0043】
このようにして得られたメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムを、本発明の難燃性樹脂組成物に配合した場合、高温または炎との接触などによる熱分解に際しても、非引火性ガス(水、二酸化炭素、窒素など)と炭素質残渣のみを生じ、腐食性ガス、ハロゲン系ガスや有毒性ガスの発生を殆ど伴わない利点を有する。
つぎに、本発明で(f)成分として用いる1,3,5−トリアジン誘導体とは、非ハロゲン系難燃剤であって、1位、3位および5位の位置で窒素原子を含む六員環複素化合物の誘導体をいう。このような1,3,5−トリアジン誘導体成分は、下記の一般式(I):
【0044】
【化5】
【0045】
(式中、Xはモルホリノ基またはピペリジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは1以上、好ましくは2〜50であって通常は約11である)で表される。このような1,3,5−トリアジン誘導体成分の好適具体例としては、置換基Xがモルホリノ基である2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジンのオリゴマーまたはポリマー、および置換基Xがピペリジノ基である2−ピペラジニレン−4−ピペリジノ−1,3,5−トリアジンのオリゴマーまたはポリマー等を挙げることができる。
【0046】
具体的に、2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジンのポリマーは、以下の方法で製造することができる。
すなわち、等モルの2,6−ジハロ−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン(例として、2,6−ジクロロ−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジンや2,6−ジブロモ−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン)とピペラジンとを、有機塩基(例えば、トリエチルアミンまたはトリブチルアミン等)または無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウム等)の共存下、例えばキシレン等の不活性溶媒中で、好ましくはこの種の不活性溶媒の沸点以下の温度に加熱して反応させる。反応終了後に、反応混合物を濾過して固形物を分離し、分離された固形物を沸騰水で洗浄し、この際、反応で生成する副製物の塩を該沸騰水に溶解させて除去した後に、残存する固形物を乾燥する。
【0047】
ここで得られるポリ(2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン)の性状は以下の通りである。
・溶解性:水および有機溶剤に不溶
・融点:なし(分解温度310℃付近)
・嵩密度:0.3g/cc
・構造式:下記の一般式(II)に示す
【0048】
【化6】
【0049】
(式中、nは11である)
このようにして得られた1,3,5−トリアジン誘導体成分を、本発明の難燃性樹脂組成物に配合した場合、高温または炎との接触などによる熱分解に際しても、非引火性ガス(水、二酸化炭素、窒素など)と炭素質残渣のみを生じ、腐食性ガス、ハロゲン系ガスや有毒性ガスの発生を殆ど伴わない利点を有する。
【0050】
また、1,3,5−トリアジン誘導体は、上記したメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムおよびPPE系樹脂との相乗効果によって、本発明の難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記した(a)〜(f)成分より構成され、成分の割合は、(a)成分のPPE系樹脂が95〜5重量%、(b)成分のポリアミド系樹脂が5〜95重量%、(c)成分の相溶化剤が(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して0.01〜30重量部であり、(d)成分のゴム状重合体が(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して0〜30重量部、(e)成分の有機燐酸エステル及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムが(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して8〜40重量部、(f)成分の1,3,5−トリアジン誘導体が(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して4〜20重量部である。
【0051】
本発明において、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量は、95〜5重量%、好ましくは90〜10重量%である。配合量が95重量%を超える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性は極度に優れるものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。また、5重量%未満では成形加工性、耐溶剤性に優れるものの、耐熱性が劣り耐熱材料として利用できない。
【0052】
本発明において、(b)ポリアミド系樹脂の配合量は、5〜95重量%であり、好ましくは10〜90重量%である。配合量が5重量%未満では、得られる樹脂組成物の耐熱性は優れるものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。また、95重量%を超える場合は成形加工性、耐溶剤性は良好なものの、耐熱性が劣り耐熱性材料として利用できない。
【0053】
本発明において、(c)相溶化剤の配合量は、上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部である。配合量が0.01重量部未満では本発明の樹脂組成物は相溶化が不完全で混合が不均一になり、剥離が起こる傾向にある。また、30重量部を超える添加量を用いると過度に反応が進行し、分子架橋が起こり未溶融物の原因となり好ましくない。
【0054】
本発明において、(d)ゴム状重合体の配合量は、上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、0〜30重量部である。ゴム状重合体の配合量を30重量部を超えて添加した場合、耐衝撃性と耐熱性及び剛性とのバランスが悪化し、好ましくない。
また、本発明において(e)、(f)成分の配合量は、上記した各々の範囲で用い、これらの下限値に満たない場合は難燃性改良効果が見られず好ましくなく、またこれらの上限値を超える場合は難燃性に優れるものの、機械的物性が顕著に悪化し好ましくない。
【0055】
本発明では、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、ポリアミド用金属系安定剤、難燃剤(シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなど)、難燃効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリアミド用造核剤、各種過酸化物、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0056】
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、上記した各成分を用いて、▲1▼(a)〜(f)成分を一括して溶融混練する方法、▲2▼(a)成分と(b)成分及び(c)成分、(d)成分を溶融混練した状態下に、(e)成分および(f)成分を追加添加し溶融混練する方法、▲3▼(a)成分と(b)成分及び(c)成分を溶融混練した状態下に、(d)成分、(e)成分および(f)成分を追加添加し溶融混練する方法、▲4▼(a)成分と(c)成分の溶融混練状態下に(b)成分、(d)成分および(e)成分、(f)成分を追加添加し溶融混練する方法、▲5▼(a)成分を溶融混練した状態下に、(b)成分、(c)成分、(d)成分および(e)成分、(f)成分を追加添加し溶融混練する方法、▲6▼(e)成分が液状又は液状化可能な化合物の場合、上記▲1▼〜▲5▼の方法で溶融混練した状態下に液添加装置を用いて(e)成分を追加添加し溶融混練する方法など種々挙げられる。
【0057】
これらの方法として、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な樹脂組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
【0058】
このようにして得られる、本発明の難燃性樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形により各種部品の成形体として成形できる。これら各種部品としては、例えば自動車部品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、リレーブロックケース、コンソールボックス、トリム等の内装部品等に適している。さらに、電気機器の内外装部品としても好適に使用でき、具体的には各種コンピューターおよびその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の部品用途に適している。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって、さらに詳細に説明する。なお、用いた各成分をつぎに示す。
(a)成分のPPE系樹脂
(a1):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.53のPPE
(a2):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.53のPPE60重量%とポリスチレン(旭化成工業(株)製、スタイロン685)40重量%を押出機を用いて混練りした。
(b)成分のポリアミド系樹脂
(b1):ηr=2.45(95.5%硫酸、25℃)のナイロン6
(b2):ηr=2.01(95.5%硫酸、25℃)のナイロン66
(b3):ηr=2.41(95.5%硫酸、25℃)で、ヘキサメチレンアジパミド単位とヘキサメチレンイソフタラミド単位の重量比が80/20であるナイロン66−6I
(c)成分の相溶化剤
(c1):無水マレイン酸
(c2):スチレン−無水マレイン酸共重合体(アーコケミカル(株)製、ダイラーク232)
(d)成分のゴム状重合体
(d1):ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比が42/58、数平均分子量が60,000のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を合成した。
【0060】
(d2):ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比が65/35、数平均分子量が120,000のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を99%水素添加したブロック共重合体を合成した。
(d3):ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との重量比が50/50、数平均分子量が90,000のスチレン−イソプレンブロック共重合体を85%水素添加したブロック共重合体を合成した。
(e)成分の有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム
(e1):CR733S(大八化学工業(株)製)
(e2):テラージュ(TERRAJU)−C60(商標、チッソ(株)製)
(f)成分の1,3,5−トリアジン誘導体
シアヌル酸クロライド、モルホリンおよびピペラジンを用いて、2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジンのポリマー(n=11、分子量約2770)を合成した。
(g)他の環状含窒素化合物
本発明で用いる(f)成分と異なる構造で、イソシアヌル酸の誘導体であるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(融点134℃:四国化成工業(株)製)を(g)成分として用いた。
【0061】
なお、物性の評価方法は、準拠した規格を以下に示す。
ペレットを、240〜300℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度80℃の条件で曲げ弾性率測定試験用テストピース、アイゾット衝撃試験用テストピースおよび熱変形温度測定用テストピースを射出成形した。
(1)曲げ弾性率;ASTM D−790:23℃
(2)アイゾット(ノッチ付き)衝撃強度; ASTM D−256:23℃
(3)熱変形温度; ASTM D−648
(4)燃焼試験;UL94規格にて、試験片厚さ1/16インチ
【0062】
【実施例1〜11および比較例1〜8】
(a)成分としてPPE、(b)成分としてポリアミド、(c)成分として相溶化剤、(d)成分としてゴム状重合体、(e)成分として有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム、(f)成分として1,3,5−トリアジン誘導体および(g)成分として他の環状含窒素化合物を表1に示した組成で配合し、樹脂流れ方向に対し上流に第1供給口及び下流に第2供給口を有し、第2供給口の上流及び第2供給口とダイとの間に真空ベント口を設けた二軸押出機ZSK−40(WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて前段バレル設定温度310〜320℃、後段バレル設定温度280〜300℃、スクリュー回転数295rpm、吐出量120kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとして得た。なお、ここで、(a)成分のPPE及び(c)成分の相溶化剤は押出機の第1供給口より供給し、(b)成分、(d)成分、(e)成分、(f)成分および(g)成分は押出機の第2供給口より供給した。また、比較例8においては(c)成分及び(d)成分を押出機の第1供給口より供給し、(b)成分、(e)成分および(f)成分は押出機の第2供給口より供給した。
【0063】
曲げ弾性率、アイゾット(ノッチ付き)衝撃強度および熱変形温度(ASTMD−648)を測定した。また燃焼試験を実施した。これらの結果を併せて表1に載せた。
これらの結果より、PPE系樹脂/ポリアミド系樹脂/相溶化剤/ゴム状重合体から構成される樹脂組成物の難燃化において、下記のことが明確になった。
【0064】
▲1▼本系樹脂組成物の難燃剤として有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム/環状含窒素化合物の併用系の中でも、環状含窒素化合物として1,3,5−トリアジン誘導体化合物が顕著に難燃性効果がある。
▲2▼本系樹脂組成物は燐系化合物/1,3,5−トリアジン誘導体化合物の難燃剤の他にPPE系樹脂を併用することによりさらに難燃効果が発揮される。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、PPE系樹脂をマトリックスとする樹脂組成物/及びまたは、ポリアミド系樹脂をマトリクスとする樹脂組成物において難燃剤として燐系化合物/1,3,5−トリアジン誘導体化合物及びPPE系樹脂を複合併用されているので、難燃性が著しく改良されたものである。
Claims (3)
- (a)ポリフェニレンエーテル系樹脂 95〜5重量%
(b)ポリアミド系樹脂 5〜95重量%
(c)相溶化剤
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 0.01〜30重量部、
(d)ゴム状重合体
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 0〜30重量部、
(e)有機燐酸エステル化合物及び/またはメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウム
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 8〜40重量部、
(f)下記の一般式(I)で表される化学構造を有する1,3,5-トリアジン誘導体
(a)成分と(b)成分の合計量100重量部に対して 4〜20重量部
を含むことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
- ポリアミド系樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、これらの共重合体または混合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- 相溶化剤がフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、エポキシ化天然油脂類、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール及びスチレン−無水マレイン酸共重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
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