JP3946065B2 - トランス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源等に用いられるトランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源は、例えばIC(集積回路)を含むような種々の電子機器に使用されている。絶縁型のスイッチング電源はトランスを含んでいる。このトランスは、高圧側コイルと、低圧側コイルと、磁性体よりなり、磁束の通路を形成するコアとを備えている。
【0003】
ところで、薄型で出力電流の大きなスイッチング電源では、平板状の導体によって形成されたコイルを有するトランスがよく用いられている。このようなトランスでは、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の電気的な絶縁を確保する必要がある。
【0004】
コイルとコアとの間の絶縁を確保する技術として、実開平5−11415号公報には、コアの中央磁脚が挿入される孔を有するベース上に、平板状のコイルを設置すると共に、このコイルの上面と側面を覆う絶縁ケースをベースに固定して、絶縁ケースによってコイルとコアとの間の絶縁を確保する技術が開示されている。
【0005】
また、特開2001−267154号公報には、絶縁ケースの外周部近傍に設けられた係止片に平板状のコイルを係止させることによって、コイルの浮き上がりを防止し、且つ1つの部材(絶縁ケース)によってコイルとコアとの間の絶縁を確保する技術が開示されている。
【0006】
また、特開2001−267152号公報には、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の電気的な絶縁を確保できるようにしたトランスが開示されている。このトランスは、ボビンと、このボビンに巻回された高圧側コイルと、ボビンおよび高圧側コイルを囲う絶縁ケースと、この絶縁ケースの外側に配置された2つの低圧側コイルと、高圧側コイルおよび低圧側コイルの内側を貫通する主磁脚および絶縁ケースの側壁部の外側に配置される側磁脚を有するコアとを備えている。ボビンは、筒状の巻胴部と、この巻胴部の両端に形成された鍔部とを有している。高圧側コイルは巻胴部に巻回されている。絶縁ケースは、ボビンおよび高圧側コイルを両側から挟み込んで囲う第1のケースおよび第2のケースを含んでいる。第1のケースおよび第2のケースは、それぞれ、コアの主磁脚が挿通される磁脚挿通孔を有する平板部と、この平板部の外縁部からほぼ垂直方向に延出するように形成された側壁部とを有している。第1のケースおよび第2のケースの各側壁部は、コイルの径方向に重なり合うようになっている。また、各側壁部は、高圧側コイルを引き出すための切り欠き部を有している。2つの低圧側コイルは、それぞれ、第1のケースの平板部の外側と第2のケースの平板部の外側に配置されている。コアの主磁脚は、巻胴部、低圧側コイルの内側および絶縁ケースの磁脚挿通孔に挿通されている。側磁脚は、絶縁ケースの側壁部の外側に配置されている。
【0007】
上記トランスでは、互いに重なり合うボビンの鍔部と第1または第2のケースの平板部とによって、高圧側コイルと低圧側コイルとの間の絶縁が確保される。また、このトランスでは、ボビンの巻胴部によって、高圧側コイルとコアの主磁脚との間の絶縁が確保され、互いに重なり合う第1の側壁部および第2のケースの側壁部によって、高圧側コイルとコアの側磁脚との間の絶縁が確保される。
【0008】
また、特開2001−267152号公報に開示されたトランスでは、絶縁ケースの外周部近傍に設けられた係止片に低圧側コイルを係止させることによって、低圧側コイルの浮き上がりを防止し、且つ1つの部材(絶縁ケース)によって低圧側コイルとコアとの絶縁を確保している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、トランスでは、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の電気的な絶縁を確保する必要がある。前述の各公報に記載された技術のうち、実開平5−11415号公報、特開2001−267154号公報に記載された各技術は、コイル装置に適用される技術である。従って、これらの技術をトランスに適用しても、トランスにおける高圧側コイルと低圧側コイルとの間の絶縁を確保することはできない。
【0010】
一方、特開2001−267152号公報に記載されたトランスによれば、簡単な構成で、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の絶縁を確保することが可能になる。しかしながら、このトランスでは、低圧側コイルは絶縁ケースに対してのみ固定されるため、高圧側コイルと低圧側コイルとの相対的な位置関係を一定に保つことができない。そのため、このトランスでは、トランス全体の厚さにばらつきが発生したり、トランスの結合係数、漏れインダクタンスまたは巻線間容量にばらつきが発生してしまうという問題点がある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な構成で、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の絶縁を確保することができ、且つトランスの各構成要素間の位置関係を一定に保つことができるようにしたトランスを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のトランスは、絶縁体よりなるボビンと、このボビンに巻回された高圧側コイルと、この高圧側コイルの各端部に接続された2つの導体部と、ボビンおよび高圧側コイルを両側から挟み込んで囲う、絶縁体よりなる第1のケースおよび第2のケースと、平板状の導体によって形成され、第1のケースおよび第2のケースの外側に配置された低圧側コイルとを備えている。
【0013】
ボビンは、コアの磁脚が挿通される磁脚挿通孔を有する筒状の巻胴部と、それぞれ巻胴部の外周部から巻胴部の径方向外側に延び、所定の間隔を開けて配置された第1および第2の鍔部と、巻胴部の端部に配置され、低圧側コイルと係合する係合部とを有する。高圧側コイルは、第1の鍔部と第2の鍔部との間に配置されている。
【0014】
第1のケースは、第1の鍔部に隣接するように配置される第1の平板部と、高圧側コイルの外周部を囲う第1の筒部とを有している。第2のケースは、第2の鍔部に隣接するように配置される第2の平板部と、第1の筒部を囲う第2の筒部とを有している。第1の平板部および第2の平板部は、磁脚が挿通される孔を有している。第1の筒部および第2の筒部は、導体部を通す導体通過口を有している。
【0015】
低圧側コイルは、第1の平板部または第2の平板部に隣接するように配置され、第1の鍔部または第2の鍔部との間で第1の平板部または第2の平板部を挟み込むように係合部と係合する。
【0016】
本発明のトランスでは、ボビンの第1の鍔部および第1のケースの第1の平板部によって、またはボビンの第2の鍔部および第2のケースの第2の平板部によって、高圧側コイルと低圧側コイルとの間の絶縁が確保される。また、ボビンの巻胴部、第1のケースの第1の筒部および第2のケースの第2の筒部によって、高圧側コイルとコアとの間の絶縁が確保される。また、低圧側コイルがボビンの係合部と係合することによって、低圧側コイルと、第1の鍔部または第2の鍔部との間で、第1の平板部または第2の平板部が挟み込まれる。これにより、ボビンと、第1のケースまたは第2ケースと、低圧側コイルとの位置関係が一定に保たれる。その結果、高圧側コイルと低圧側コイルとの位置関係も一定に保たれる。
【0017】
本発明のトランスにおいて、係合部は、ボビンの巻胴部の端部から巻胴部の径方向外側に突出する突起部であってもよい。この場合、低圧側コイルは、突起部を通すための切り欠き部を有していてもよい。
【0018】
また、本発明のトランスにおいて、第1のケースまたは第2のケースは、低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有していてもよい。
【0019】
また、本発明のトランスは、低圧側コイルとして、第1の平板部に隣接するように配置された第1の低圧側コイルおよび第2の平板部に隣接するように配置された第2の低圧側コイルを備えていてもよい。この場合、ボビンは、係合部として、巻胴部の一端部に配置された第1の係合部および巻胴部の他端部に配置された第2の係合部を有し、第1の低圧側コイルは、第1の鍔部との間で第1の平板部を挟み込むように第1の係合部と係合し、第2の低圧側コイルは、第2の鍔部との間で第2の平板部を挟み込むように第2の係合部と係合してもよい。この場合、第1のケースは、第1の低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有し、第2のケースは、第2の低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有していてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1ないし図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るトランスの構成の概略について説明する。図1は本実施の形態に係るトランスの平面図、図2は図1に示したトランスの矢視線A方向から見た側面図、図3は図1に示したトランスの矢視線B方向から見た側面図、図4は図1におけるC−C線断面図、図5は図1におけるD−D線断面図である。
【0021】
本実施の形態に係るトランス1は、図1ないし図5に示したように、後述するボビン50、高圧側コイル10、第1の低圧側コイル21および第2の低圧側コイル22を含むコイル組み立て体30と、このコイル組み立て体30に装着されたE型のコア41,42とを備えている。
【0022】
コア41,42は、磁性体よりなり、磁束の通路を形成する。図4に示したように、コア41は、中央に設けられた凸部である主磁脚41Aと、周縁部分に設けられた2つの凸部である2つの側磁脚41Bと、これらを連結する連結部41Cとを有している。同様に、コア42は、中央に設けられた凸部である主磁脚42Aと、周縁部分に設けられた2つの凸部である2つの側磁脚42Bと、これらを連結する連結部42Cとを有している。コア41,42は、主磁脚41A,42A同士および側磁脚41B,42B同士が突き合わされるように配置されている。図2および図3に示したように、コア41,42からなる組み立て体には、側磁脚41B,42Bおよび連結部41C,42Cによって囲まれた開口部44,45が形成されている。
【0023】
高圧側コイル10の各端部には、それぞれ導体部11a,11bが接続されている。この導体部11a,11bは、コア41,42からなる組み立て体における一方の開口部44を通過している。また、低圧側コイル21,22のうちの、後述する端子部側の一部は、コア41,42からなる組み立て体における他方の開口部45を通過している。
【0024】
図4および図5に示したように、コイル組み立て体30は、絶縁性のプラスチック等の絶縁体よりなるボビン50と、このボビン50に巻回された高圧側コイル10と、この高圧側コイル10の各端部に接続された2つの導体部11a,11bと、ボビン50および高圧側コイル10を両側から挟み込んで囲う、絶縁体よりなる第1のケース61および第2のケース62と、第1のケース61の外側に配置された低圧側コイル21と、第2のケース62の外側に配置された低圧側コイル22とを備えている。
【0025】
以下、図4ないし図12を参照して、本実施の形態におけるコイル組み立て体30について詳しく説明する。図6はコイル組み立て体の平面図、図7は図6に示したコイル組み立て体の矢視線E方向から見た側面図、図8はコイル組み立て体の分解状態を示す断面図、図9は高圧側コイルおよびボビンの平面図、図10は図9に示した高圧側コイルおよびボビンの矢視線F方向から見た側面図、図11は第1のケースの平面図、図12は第2のケースの底面図である。
【0026】
まず、第1の低圧側コイル21および第2低圧側コイル21について説明する。図6ないし図8に示したように、第1の低圧側コイル21は、平板状の導体によって形成されている。第1の低圧側コイル21は、一対の端子部21c,21dと、この端子部21c,21d間を結び、1ターンの巻線部分を形成する環状部分21bとを有している。環状部分21bの内側には、円形の孔21aが形成されている。環状部分21bの両端部は、孔21aに対して図6における下方に配置されている。端子部21c,21dは、この環状部分21bの両端部より、図6における下方に延びている。端子部21cは、孔21aの中心を通る直線に沿うように配置されている。端子部21dは、端子部21cに対して図6における右側に配置されている。端子部21c,21dには、それぞれ貫通孔21eが形成されている。また、第1の低圧側コイル21は、環状部分21bと端子部21c,21dとの間に形成され、環状部分21bに比べて端子部21c,21dが第2の低圧側コイル22に近づくように折れ曲がった折れ曲がり部21fを有している。
【0027】
また、第1の低圧側コイル21は、環状部分21bの内周縁において孔21aの中心に対して対称な2箇所に形成された2つの切り欠き部21gを有している。また、第1の低圧側コイル21は、環状部分21bの外周縁から径方向外側へ突出する突出部21hを有している。
【0028】
第2の低圧側コイル22は、平板状の導体によって形成され、第1の低圧側コイル21と同様の形状を有している。ただし、第2の低圧側コイル22は、第1の低圧側コイル21とは上下が逆になるように配置されている。すなわち、第2の低圧側コイル22は、一対の端子部22c,22dと、この端子部22c,22d間を結び、1ターンの巻線部分を形成する環状部分22bとを有している。環状部分22bの内側には、円形の孔22aが形成されている。環状部分22bの両端部は、孔22aに対して図6における下方に配置されている。端子部22c,22dは、この環状部分22bの両端部より、図6における下方に延びている。端子部22cは、孔22aの中心を通る直線に沿うように配置されている。端子部22dは、端子部22cに対して図6における左側に配置されている。端子部22c,22dには、それぞれ貫通孔22eが形成されている。また、第2の低圧側コイル22は、環状部分22bと端子部22c,22dとの間に形成され、環状部分22bに比べて端子部22c,22dが第1の低圧側コイル21に近づくように折れ曲がった折れ曲がり部22fを有している。
【0029】
また、第2の低圧側コイル22は、環状部分22bの内周縁において孔22aの中心に対して対称な2箇所に形成された2つの切り欠き部22gを有している。また、図示しないが、第2の低圧側コイル22は、環状部分22bの外周縁から径方向外側へ突出する突出部を有している。この突出部は、第1の低圧側コイル21の突出部21hと同様の位置に配置されている。
【0030】
図7に示したように、低圧側コイル21の端子部21cと低圧側コイル22の端子部22cは互いに重ね合わされている。このようにして、低圧側コイル21,22は、直列に接続されて2ターンの巻線を構成している。端子部21c,22cは、この2ターンの巻線におけるセンタータップとなる1つの端子を形成する。
【0031】
次に、ボビン50および高圧側コイル10について説明する。図4ないし図10に示したように、ボビン50は、コア41,42の主磁脚41A,42Aが挿通される磁脚挿通孔を有する筒状の巻胴部50aと、それぞれ巻胴部50aの外周部から巻胴部50aの径方向外側に延び、互いに所定の間隔を開けて配置された第1の鍔部51、第2の鍔部52および第3の鍔部53と、巻胴部50aの一端部に配置され、第1の低圧側コイル21と係合する2つの係合部50cと、巻胴部50aの他端部に配置され、第2の低圧側コイル22と係合する2つの係合部50eとを有している。
【0032】
第1の鍔部51は、第1の低圧側コイル21に近い位置に配置されている。第2の鍔部52は、第2の低圧側コイル22に近い位置に配置されている。第3の鍔部53は、第1の鍔部51と第2の鍔部52との間に配置されている。高圧側コイル10は、第1の鍔部51と第3の鍔部53との間、および第2の鍔部52と第3の鍔部53との間に配置されている。
【0033】
第1の鍔部51は、所定の厚さを有し、巻胴部50aの外周部から巻胴部50aの径方向外側に延びる内側部分51aと、この内側部分51aの厚さよりも小さい厚さを有し、内側部分51aの外周部から巻胴部50aの径方向外側に延びる外側部分51bとを有している。第1の鍔部51の両面のうち、第3の鍔部53に近い面は平坦になっており、反対側の面では内側部分51aと外側部分51bとの間に段差が形成されている。
【0034】
同様に、第2の鍔部52は、所定の厚さを有し、巻胴部50aの外周部から巻胴部50aの径方向外側に延びる内側部分52aと、この内側部分52aの厚さよりも小さい厚さを有し、内側部分52aの外周部から巻胴部50aの径方向外側に延びる外側部分52bとを有している。第2の鍔部52の両面のうち、第3の鍔部53に近い面は平坦になっており、反対側の面では内側部分52aと外側部分52bとの間に段差が形成されている。
【0035】
図6および図8ないし図10に示したように、2つの係合部50cは、巻胴部50aの一端部において、巻胴部50aの中心に対して対称な2箇所に配置されている。また、この係合部50cは、巻胴部50aの一端部から巻胴部50aの径方向外側に突出する突起部によって形成されている。この係合部50cは、第1の低圧側コイル21の切り欠き部21gを通過するようになっている。また、係合部50cと第1の鍔部51との間には、第1の低圧側コイル21の内周縁部が挿入される溝部50dが形成されている。
【0036】
同様に、2つの係合部50eは、巻胴部50aの他端部において、巻胴部50aの中心に対して対称な2箇所に配置されている。また、この係合部50eは、巻胴部50aの他端部から巻胴部50aの径方向外側に突出する突起部によって形成されている。この係合部50eは、第2の低圧側コイル22の切り欠き部22gを通過するようになっている。また、係合部50eと第2の鍔部52との間には、第2の低圧側コイル22の内周縁部が挿入される溝部50fが形成されている。
【0037】
第1の鍔部51と第3の鍔部53の間隔、および第2の鍔部52と第3の鍔部53の間隔は、高圧側コイル10の線材の1本分の太さとほぼ等しくなっている。なお、図4および図5には、高圧側コイル10の線材として平角線材を用いた例を示しているが、高圧側コイル10の線材としては丸線材を用いてもよい。また、丸線材を複数本並べて巻いて高圧側コイル10を形成してもよい。導体部11a,11bは、例えば、高圧側コイル10と同じ線材によって形成されている。
【0038】
図9および図10に示したように、第3の鍔部53には、巻胴部50aの外周部から径方向外側へ延び、第3の鍔部53の外周縁まで達する切り欠き部53aが形成されている。
【0039】
また、図5および図10に示したように、高圧側コイル10は、第1の鍔部51と第3の鍔部53との間において渦巻状に巻回された巻線部分10aと、第2の鍔部52と第3の鍔部53との間において渦巻状に巻回された巻線部分10bと、巻線部分10aと巻線部分10bとを接続する接続部分10cとを有している。巻線部分10aは、第1の鍔部51側から見たときに、導体部11aから接続部分10cにかけて、徐々に内側に近づくように、時計回り方向に巻回されている。巻線部分10bは、第1の鍔部51側から見たときに、導体部11bから接続部分10cにかけて、徐々に内側に近づくように、反時計回り方向に巻回されている。接続部分10cは、巻線部分10aの内側の端部と巻線部分10bの内側の端部とを接続している。また、接続部分10cは、第3の鍔部53に形成された切り欠き部53aを通過している。
【0040】
次に、第1のケース61および第2のケース62について説明する。図4ないし図8に示したように、第1のケース61は、ボビン50の第1の鍔部51に隣接するように配置される第1の平板部61aと、この第1の平板部61aに接続され、高圧側コイル10の外周部を囲う第1の筒部61bとを有している。第1の平板部61aは、コア41,42の主磁脚41A,42Aが挿入される孔61cを有している。孔61cの内径は、ボビン50の第1の鍔部51の内側部分51aの外径とほぼ等しくなっている。内側部分51aは孔61cに嵌め込まれている。第1の平板部61aの厚さは、第1の鍔部51における内側部分51aと外側部分51bとの厚さの差にほぼ等しくなっている。従って、第1の平板部61aの第1の低圧側コイル21側の面と第1の鍔部51の内側部分51aの第1の低圧側コイル21側の面とによって平坦な面が形成されている。
【0041】
第2のケース62は、ボビン50の第2の鍔部52に隣接するように配置される第2の平板部62aと、この第2の平板部62aに接続され、高圧側コイル10の外周部を囲う第2の筒部62bとを有している。第2の平板部62aは、コア41,42の主磁脚41A,42Aが挿入される孔62cを有している。孔62cの内径は、ボビン50の第2の鍔部52の内側部分52aの外径とほぼ等しくなっている。内側部分52aは孔62cに嵌め込まれている。第2の平板部62aの厚さは、第2の鍔部52における内側部分52aと外側部分52bとの厚さの差にほぼ等しくなっている。従って、第2の平板部62aの第2の低圧側コイル22側の面と第2の鍔部52の内側部分52aの第2の低圧側コイル22側の面とによって平坦な面が形成されている。
【0042】
図3、図11および図12に示したように、第1の筒部61bは、導体部11a,11bを通す2つの導体通過口61fを有している。同様に、第2の筒部62bは、導体部11a,11bを通す2つの導体通過口62fを有している。
【0043】
第1の平板部61aにおける第1の低圧コイル21側の面には、第1の低圧コイル21の一方の面が当接するようになっている。また、第1のケース61は、第1の平板部61aにおける第1の筒部61bとは反対側の面に接続された第1の壁部61eを有している。この第1の壁部61eは、少なくとも導体通過口61fに対応する位置に配置されている。ここでは、図6に示したように、第1の壁部61eは、第1の低圧側コイル21の端子部21c,21dが配置される部分を除いて、第1の低圧側コイル21のほぼ全周を囲うように形成されているものとする。
【0044】
同様に、第2の平板部62aにおける第2の低圧コイル22側の面には、第2の低圧コイル22の一方の面が当接するようになっている。また、第2のケース62は、第2の平板部62aにおける第2の筒部61bとは反対側の面に接続された第2の壁部62eを有している。この第2の壁部62eは、少なくとも導体通過口62fに対応する位置に配置されている。ここでは、第2の壁部62eは、第2の低圧側コイル22の端子部22c,22dが配置される部分を除いて、第2の低圧側コイル22のほぼ全周を囲うように形成されているものとする。
【0045】
また、図6および図11に示したように、第1のケース61は、第1の低圧側コイル21の突出部21hに対応する位置に配置され、壁部61eから内側に突出する突起部61gと、第1の低圧側コイル21の端子部21dの基部に対応した位置に配置され、壁部61eから内側に突出する突起部61hとを有している。突起部61gと第1の平板部61aとの間には、第1の低圧側コイル21の突出部21hが嵌め込まれる溝部61iが形成されている。突起部61hと第1の平板部61aとの間には、第1の低圧側コイル21の端子部21dの基部の一部が嵌め込まれる溝部61jが形成されている。
【0046】
同様に、図12に示したように、第2のケース62は、第2の低圧側コイル22の突出部(図示せず)に対応する位置に配置され、壁部62eから内側に突出する突起部62gと、第2の低圧側コイル22の端子部22dの基部に対応した位置に配置され、壁部62eから内側に突出する突起部62hとを有している。突起部62gと第2の平板部62aとの間には、第2の低圧側コイル22の突出部が嵌め込まれる溝部62iが形成されている。突起部62hと第2の平板部62aとの間には、第2の低圧側コイル22の端子部22dの基部の一部が嵌め込まれる溝部62jが形成されている。
【0047】
本実施の形態に係るトランスでは、第1の低圧側コイル21は、第1のケース61の第1の平板部61aに隣接するように配置され、第1の低圧側コイル21の内周縁部がボビン50の係合部50cと係合している。そして、第1の低圧側コイル21と、ボビン50の第1の鍔部51との間で、第1のケース61の第1の平板部61aが挟み込まれている。
【0048】
同様に、第2の低圧側コイル22は、第2のケース62の第2の平板部62aに隣接するように配置され、第2の低圧側コイル22の内周縁部がボビン50の係合部50eと係合している。そして、第2の低圧側コイル22と、ボビン50の第2の鍔部52との間で、第2のケース62の第2の平板部62aが挟み込まれている。
【0049】
また、本実施の形態では、ボビン50の係合部50cと係合する第1の低圧側コイル21とボビン50の係合部50eと係合する第2の低圧側コイル22とによって、第1のケース61と第2のケース62が挟み込まれている。
【0050】
また、本実施の形態では、第1の低圧側コイル21の突出部21hは、第1のケース61の溝部61iに嵌め込まれ、端子部21dの基部の一部は、第1のケース61の溝部61jに嵌め込まれている。同様に、第2の低圧側コイル22の突出部(図示せず)は、第2のケース62の溝部62iに嵌め込まれ、端子部22dの基部の一部は、第2のケース62の溝部62jに嵌め込まれている。
【0051】
次に、図13および図14を参照して、本実施の形態におけるコイル組み立て体30の組立方法について説明する。この組み立て方法では、まず、ボビン50に対して高圧側コイル10を巻回する。次に、第1のケース61および第2のケース62によって、ボビン50および高圧側コイル10を両側から挟み込む。このとき、ボビン50の第1の鍔部51の内側部分51aは第1のケース61の孔61cに嵌め込まれ、ボビン50の第2の鍔部52の内側部分52aは第2のケース62の孔62cに嵌め込まれる。また、高圧側コイル10の各端部に接続された導体部11a,11bは、第1のケース61の導体通過口61fおよび第2のケース62の導体通過口62fに通される。
【0052】
次に、ボビン50および第1のケース61に対して第1の低圧側コイル21を取り付けると共に、ボビン50および第2のケース62に対して第2の低圧側コイル22を取り付ける。ボビン50および第1のケース61に対する第1の低圧側コイル21の取り付け方法は以下の通りである。まず、図13に示したように、第1の低圧側コイル21の2つの切り欠き部21gの位置が、ボビン50の2つの係合部50cの位置と合うように、第1の低圧側コイル21を第1のケース61の平板部61aに対向させる。次に、第1の低圧側コイル21を、平板部61a側に押して、平板部61aに当接させる。このとき、係合部50cは切り欠き部21gを通過する。次に、図13中の矢印で示したように、第1の低圧側コイル21を回転させ、図14に示したように、ボビン50の係合部50cと第1の鍔部51との間に形成された溝部50d内に第1の低圧側コイル21の内周縁部を挿入する。このとき同時に、第1の低圧側コイル21の外周縁部の一部である突出部21hを、第1のケース61の溝部61iに嵌め込み、同じく第1の低圧側コイル21の外周縁部の一部である端子部21dの基部の一部を、第1のケース61の溝部61jに嵌め込む。これにより、第1の低圧側コイル21が、ボビン50および第1のケース61に対して固定される。
【0053】
ボビン50および第2のケース62に対する第2の低圧側コイル22の取り付け方法は、上記の第1の低圧側コイル21の取り付け方法と同様である。
【0054】
次に、本実施の形態に係るトランスの作用および効果について説明する。本実施の形態に係るトランスでは、ボビン50の第1の鍔部51および第1のケース61の第1の平板部61aによって、高圧側コイル10と第1の低圧側コイル21との間の絶縁が確保される。同様に、ボビン50の第2の鍔部52および第2のケース62の第2の平板部62aによって、高圧側コイル10と第2の低圧側コイル22との間の絶縁が確保される。また、ボビン50の巻胴部50a、第1のケース61の第1の筒部61bおよび第2のケース62の第2の筒部62bによって、高圧側コイル10とコア41,42との間の絶縁が確保される。
【0055】
また、本実施の形態では、第1の低圧側コイル21は、第1のケース61の第1の平板部61aに隣接するように配置され、第1の低圧側コイル21の内周縁部がボビン50の係合部50cと係合する。そして、第1の低圧側コイル21と、ボビン50の第1の鍔部51との間で、第1のケース61の第1の平板部61aが挟み込まれる。これにより、ボビン50と、第1のケース61と、第1の低圧側コイル21との位置関係が一定に保たれる。
【0056】
同様に、第2の低圧側コイル22は、第2のケース62の第2の平板部62aに隣接するように配置され、第2の低圧側コイル22の内周縁部がボビン50の係合部50eと係合する。そして、第2の低圧側コイル22と、ボビン50の第2の鍔部52との間で、第2のケース62の第2の平板部62aが挟み込まれる。これにより、ボビン50と、第2のケース62と、第2の低圧側コイル22との位置関係が一定に保たれる。
【0057】
また、本実施の形態では、ボビン50の係合部50cと係合する第1の低圧側コイル21とボビン50の係合部50eと係合する第2の低圧側コイル22とによって、第1のケース61と第2のケース62が挟み込まれる。また、高圧側コイル10は、ボビン50に対して固定されている。
【0058】
このようにして、本実施の形態では、ボビン50、高圧側コイル10、第1のケース61、第2のケース62、第1の低圧側コイル21および第2の低圧側コイル22の位置関係は、一定に保たれる。
【0059】
また、本実施の形態では、上述のように、第1の低圧側コイル21の内周縁部をボビン50の係合部50cと係合させ、第2の低圧側コイル22の内周縁部をボビン50の係合部50eと係合させるだけで、ボビン50、高圧側コイル10、第1のケース61、第2のケース62、第1の低圧側コイル21および第2の低圧側コイル22を互いに固定することができる。従って、本実施の形態によれば、ケース同士を嵌合させたり接着させたりする処理を用いることなく、簡単に、トランスを組み立てることができる。
【0060】
以上のことから、本実施の形態によれば、簡単な構成で、高圧側コイル10と低圧側コイル21,22との間、および高圧側コイル10とコア41,42との間の絶縁を確保することができ、且つトランスの各構成要素間の位置関係を一定に保つことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、第1の低圧側コイル21の突出部21hは、第1のケース61の溝部61iに嵌め込まれ、端子部21dの基部の一部は、第1のケース61の溝部61jに嵌め込まれる。同様に、第2の低圧側コイル22の突出部(図示せず)は、第2のケース62の溝部62iに嵌め込まれ、端子部22dの基部の一部は、第2のケース62の溝部62jに嵌め込まれる。これにより、第1の低圧側コイル21および第2の低圧側コイル22の位置がより安定に保持される。
【0062】
また、本実施の形態では、一つの成形体であるボビン50によって2つの低圧側コイル21,22の位置が決定される。従って、本実施の形態によれば、コイル組み立て体30全体の高さを、ボビン50の高さに確実に一致させることが可能になる。
【0063】
ところで、本実施の形態において、ボビン50に高圧側コイル10を巻く際にボビン50に力が加わると、特に、鍔部51〜53の根元部分に応力が集中する。また、本実施の形態では、高圧側コイル10の巻線部分10aと巻線部分10bとを接続する接続部分10cが、第3の鍔部53に形成された切り欠き部53aを通過する。高圧側コイル10のうちの接続部分10cの近傍の部分は屈曲しているため、この部分によって鍔部51〜53に大きな力が加わる。そのため、トランス全体を薄くするために、鍔部51〜53を、それぞれ均一に薄くした場合には、鍔部51〜53の強度が不足してボビン50に高圧側コイル10を巻くことが困難になったり、鍔部51,52が変形して、トランスの厚さが設計時の厚さとは異なってしまうといった問題が発生する。
【0064】
これに対し、本実施の形態では、ボビン50の第1の鍔部51および第2の鍔部52において、外側部分51b,52bの厚さを、内側部分51a,52aの厚さよりも小さくしている。また、第1のケース61の第1の平板部61aの厚さおよび第2のケース62の第2の平板部62aの厚さを、内側部分51a,52aと外側部分51b,52bとの厚さの差とほぼ等しくしている。そして、第1の平板部61aを第1の鍔部51における外側部分51bにのみ隣接させ、第2の平板部62aを第2の鍔部52における外側部分52bにのみ隣接させている。
【0065】
従って、本実施の形態によれば、第1の鍔部51および第2の鍔部52において、応力が集中する内側部分51a,52aの厚さを充分に大きくして、第1の鍔部51および第2の鍔部52の強度を充分に大きくしながら、第1の鍔部51と第1の平板部61aとによって形成される絶縁層の厚さ、および第2の鍔部52と第2の平板部62aとによって形成される絶縁層の厚さを小さくすることが可能になる。
【0066】
従って、本実施の形態によれば、簡単な構成で、高圧側コイル10と低圧側コイル21,22との間の絶縁を確保することができ、且つ両者の間の絶縁を確保するための部材の強度不足を防止しながら、トランス全体を薄くすることが可能になる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、前述のように、第1の鍔部51と第1の平板部61aとによって形成される絶縁層の厚さ、および第2の鍔部52と第2の平板部62aとによって形成される絶縁層の厚さを小さくすることができる。そのため、本実施の形態によれば、高圧側コイル10で発生した熱を、上記各絶縁層を介して効率よくケース61,62の外側、例えば低圧側コイル21,22へ逃がすことが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、高圧側コイル10の温度上昇を抑えることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、第1のケース61は、第1の平板部61aにおける第1の筒部61bとは反対側に配置されて、第1の低圧側コイル21のほぼ全周を囲う第1の壁部61eを有している。同様に、第2のケース62は、第2の平板部62aにおける第2の筒部62bとは反対側に配置されて、第2の低圧側コイル22のほぼ全周を囲う第2の壁部62eを有している。従って、本実施の形態によれば、第1の壁部61eおよび第2の壁部62eによって、低圧側コイル21,22の位置を固定することができる。
【0069】
更に、本実施の形態によれば、第1の壁部61eおよび第2の壁部62eによって、平板部61a,62aの薄型化に伴う平板部61a,62aの強度の低下を補うことができる。従って、本実施の形態によれば、平板部61a,62aを薄型化しても、平板部61a,62aの強度を充分に大きくすることができる。特に、平板部61a,62aにおいて、導体通過口61f,62fの近傍の部分は、平板部61a,62aの薄型化に伴って強度が低下し、ケース61,62の変形を招きやすい。しかし、本実施の形態のように、少なくとも導体通過口61f,62fに対応する位置に壁部61e,62eを設けることにより、平板部61a,62aの強度を充分に大きくして、ケース61,62の変形を防止することができる。
【0070】
ここで、図15を参照して、本実施の形態に係るトランスにおける高圧側コイル10と低圧側コイル21,22との間の絶縁距離について説明する。高圧側コイル10と第1の低圧側コイル21との間の絶縁距離は、図15において太線で示した経路71の長さになる。経路71は、ボビン50の第1の鍔部51の外側部分51bと、第1のケース61の第1の平板部61aとの間を通過する経路である。このように、第1の鍔部51の外側部分51bと第1の平板部61aとが重なり合うことで、高圧側コイル10と第1の低圧側コイル21との間の絶縁距離は、充分に確保されている。高圧側コイル10と第2の低圧側コイル22との間の絶縁距離についても同様である。
【0071】
次に、図15を参照して、本実施の形態に係るトランスにおける高圧側コイル10とコア41,42との間の絶縁距離について説明する。高圧側コイル10とコア41,42との間の絶縁距離は、図15において太線で示した経路72の長さになる。経路72は、第1のケース61の筒部61bと第2のケース62の筒部62bとの間を通過する経路である。このように、筒部61bと筒部62bとが重なり合うことで、高圧側コイル10とコア41,42との間の絶縁距離は、充分に確保されている。
【0072】
次に、図16を参照して、導体通過口61f,62fの近傍における導体部11a,11bと低圧側コイル21,22との間の絶縁距離について説明する。導体通過口61f,62fの近傍における導体部11aと第1の低圧側コイル21との間の絶縁距離は、図16において太線で示した経路73の長さになる。経路73は、第1のケース61の外周面に沿った経路である。本実施の形態では、第1のケース61が壁部61eを有しているため、壁部61eがない場合に比べて、導体部11aと第1の低圧側コイル21との間の絶縁距離が長くなっている。同様に、導体通過口61f,62fの近傍における導体部11bと第2の低圧側コイル22との間の絶縁距離は、図16において太線で示した経路74の長さになる。経路74は、第2のケース62の外周面に沿った経路である。本実施の形態では、第2のケース62が壁部62eを有しているため、壁部62eがない場合に比べて、導体部11bと第2の低圧側コイル22との間の絶縁距離が長くなっている。
【0073】
平板部61a,62aの薄型化に伴い、導体通過口61f,62fを通過する導体部11a,11bと低圧側コイル21,22との間の絶縁距離が短くなる。しかし、本実施の形態によれば、壁部61e,62eを設けることにより、上記絶縁距離を充分に確保することができる。
【0074】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るトランスについて説明する。図17は本実施の形態に係るトランスにおける第1のケースと第1の低圧側コイルとを示す平面図である。図18は本実施の形態に係るトランスの断面図である。図19は本実施の形態における第1の低圧側コイルの取り付け方法を説明するための説明図である。
【0075】
本実施の形態におけるボビン50は、第1の実施の形態における係合部50c,50eの代わりに、以下の構成要素を有している。すなわち、ボビン50は、ほぼ半円形の断面形状を有し、巻胴部50aの一端部より巻胴部50aの軸方向に突出する突出部150aと、この突出部150aの外周面から第1の低圧側コイル21の端子部21c側へ突出する板状の突起部よりなる係合部150bと、巻胴部50aの他端部より巻胴部50aの軸方向に突出する突出部150cと、この突出部150cの外周面から第2の低圧側コイル22の端子部22c側へ突出する板状の突起部よりなる係合部150dとを有している。係合部150bと第1の鍔部51との間には、第1の低圧側コイル21の内周縁部が挿入される溝部150eが形成されている。また、係合部150dと第2の鍔部52との間には、第2の低圧側コイル22の内周縁部が挿入される溝部150fが形成されている。
【0076】
係合部150b,150dの外周部の一部の形状は、低圧側コイル21,22の孔21a,22aの内周部の一部の形状とほぼ一致する円弧状になっている。係合部150b,150dは、それぞれ低圧側コイル21,22の孔21a,22aを通過することができるようになっている。係合部150b,150dの外周部における円弧状の部分の中心の位置は、ボビン50の巻胴部50aの中心の位置から、低圧側コイル21,22の端子部21c,22c側へ所定の距離Lだけずれている。
【0077】
また、本実施の形態におけるケース61,62の壁部61e,62eは、ボビン50の巻胴部50aの中心を通り図17における左右方向に延びる仮想の直線の位置から、低圧側コイル21,22の端子部21c,22c側の部分には形成されていない。これにより、低圧側コイル21,22の孔21a,22aの位置が係合部150b,150dの位置と合うように、低圧側コイル21,22を配置することができるようになっている。
【0078】
本実施の形態における第1の低圧側コイル21は、第1の実施の形態における突出部21hの代わりに、2つの突起部121aと、この突起部121aに続く2つの溝部121bとを有している。突起部121aおよび溝部121bは、孔21aを挟んで端子部21cとは反対側の位置に配置されている。図示しないが、本実施の形態における第2の低圧側コイル22の形状は、上記の第1の低圧側コイル21と同様である。
【0079】
本実施の形態における第1のケース61は、第1の低圧側コイル21の2つの突起部121aと係合する2つの突起部161aを有している。この突起部161aは、導体通過口61f,62fに対応する位置に配置された壁部61eに対して、弾性変形可能に連結されている。また、本実施の形態における第1のケース61は、第1の実施の形態における突起部61g,61hおよび溝部61i,61jの代わりに、2つの突起部161bおよび溝部161cを有している。2つの突起部161bは、2つの突起部161aの近傍に配置されている。溝部161cは、突起部161bと第1の平板部61aとの間に形成されている。この溝部161cには、第1の低圧側コイル21の外周縁部の一部が嵌め込まれるようになっている。
【0080】
図示しないが、本実施の形態における第2のケース62は、上記の第1のケース61における突起部161a,161bおよび溝部161cと同様の突起部および溝部を有している。
【0081】
次に、図17および図19を参照して、本実施の形態におけるボビン50および第1のケース61に対する第1の低圧側コイル21の取り付け方法について説明する。本実施の形態では、まず、図19に示したように、第1の低圧側コイル21の孔21aの位置が、ボビン50の係合部150bの位置と合うように、第1の低圧側コイル21を第1のケース61の平板部61aに対向させる。次に、第1の低圧側コイル21を、平板部61a側に押して、平板部61aに当接させる。このとき、係合部150bは第1の低圧側コイル21の孔21aを通過する。
【0082】
次に、端子部21c,21d側から第1の低圧側コイル21を押して、第1の低圧側コイル21を第1のケース61の突起部161a,161b側にスライドさせる。これにより、図17に示したように、第1の低圧側コイル21の内周縁部がボビン50の溝部150eに挿入され、第1の低圧側コイル21がボビン50の係合部150bと係合する。その結果、ボビン50の係合部150bと係合した第1の低圧側コイル21とボビン50の第1の鍔部51との間で、第1のケース61の第1の平板部61aが挟み込まれる。これにより、ボビン50と、第1のケース61と、第1の低圧側コイル21との位置関係が一定に保たれる。
【0083】
また、上述のように第1の低圧側コイル21をスライドさせると、第1の低圧側コイル21の外周縁部の一部は第1のケース61の溝部161cに嵌め込まれる。これにより、第1の低圧側コイル21の位置がより安定に保持される。
【0084】
また、第1の低圧側コイル21をスライドさせている途中では、第1の低圧側コイル21の突起部121aが第1のケース61の突起部161aにぶつかるが、更に第1の低圧側コイル21を押してゆくと、突起部161aが弾性的に変形して突起部121aを越えて溝部121bに嵌る。これにより、第1の低圧側コイル21の面に平行な方向についての第1の低圧側コイル21の位置が固定される。
【0085】
ボビン50および第2のケース62に対する第2の低圧側コイル22の取り付け方法は、上記の第1の低圧側コイル21の取り付け方法と同様である。
【0086】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0087】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明は、低圧側コイルが1つの場合にも適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のトランスでは、ボビンの第1の鍔部および第1のケースの第1の平板部とによって、またはボビンの第2の鍔部および第2のケースの第2の平板部とによって、高圧側コイルと低圧側コイルとの間の絶縁が確保される。また、ボビンの巻胴部、第1のケースの第1の筒部および第2のケースの第2の筒部によって、高圧側コイルとコアとの間の絶縁が確保される。また、低圧側コイルがボビンの係合部と係合することによって、ボビンの係合部と係合した低圧側コイルと、第1の鍔部または第2の鍔部との間で、第1の平板部または第2の平板部が挟み込まれる。これにより、ボビンと、第1のケースまたは第2ケースと、低圧側コイルとの位置関係が一定に保たれる。以上のことから、本発明によれば、簡単な構成で、高圧側コイルと低圧側コイルとの間、および高圧側コイルとコアとの間の絶縁を確保することができ、且つトランスの各構成要素間の位置関係を一定に保つことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るトランスの平面図である。
【図2】図1に示したトランスの矢視線A方向から見た側面図である。
【図3】図1に示したトランスの矢視線B方向から見た側面図である。
【図4】図1におけるC−C線断面図である。
【図5】図1におけるD−D線断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるコイル組み立て体の平面図である。
【図7】図6に示したコイル組み立て体の矢視線E方向から見た側面図である。
【図8】図6に示したコイル組み立て体の分解状態の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における高圧側コイルおよびボビンの平面図である。
【図10】図9に示した高圧側コイルおよびボビンの矢視線F方向から見た側面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における第1のケースの平面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における第2のケースの底面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるコイル組み立て体の組立方法を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態におけるコイル組み立て体の組立方法を説明するための説明図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係るトランスにおける高圧側コイルと低圧側コイルとの間の絶縁距離を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態にかかるトランスにおける導体通過口の近傍における導体部と低圧側コイルとの間の絶縁距離を説明するための説明図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るトランスにおける第1のケースと第1の低圧側コイルとを示す平面図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係るトランスの断面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態における第1の低圧側コイルの取り付け方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…トランス、10…高圧側コイル、11a,11b…導体部、21…第1の低圧側コイル、22…第2の低圧側コイル、30…コイル組み立て体、41,42…コア、50…ボビン、50a…巻胴部、51…第1の鍔部、52…第2の鍔部、53…第3の鍔部、61…第1のケース、61a…第1の平板部、61b…第1の筒部、61c…孔、61e…第1の壁部、62…第2のケース、62a…第2の平板部、62b…第2の筒部、62c…孔、62e…第2の壁部。
Claims (4)
- 絶縁体よりなるボビンと、このボビンに巻回された高圧側コイルと、この高圧側コイルの各端部に接続された2つの導体部と、前記ボビンおよび高圧側コイルを両側から挟み込んで囲う、絶縁体よりなる第1のケースおよび第2のケースと、平板状の導体によって形成され、前記第1のケースおよび第2のケースの外側に配置された低圧側コイルとを備えたトランスであって、
前記ボビンは、コアの磁脚が挿通される磁脚挿通孔を有する筒状の巻胴部と、それぞれ前記巻胴部の外周部から巻胴部の径方向外側に延び、所定の間隔を開けて配置された第1および第2の鍔部と、前記巻胴部の端部から巻胴部の径方向外側に突出し、前記低圧側コイルと係合する突起部とを有し、
前記高圧側コイルは、前記第1の鍔部と第2の鍔部との間に配置され、
前記第1のケースは、前記第1の鍔部に隣接するように配置される第1の平板部と、前記高圧側コイルの外周部を囲う第1の筒部とを有し、
前記第2のケースは、前記第2の鍔部に隣接するように配置される第2の平板部と、前記第1の筒部を囲う第2の筒部とを有し、
前記第1の平板部および第2の平板部は、前記磁脚が挿通される孔を有し、
前記第1の筒部および第2の筒部は、前記導体部を通す導体通過口を有し、
前記低圧側コイルは、前記第1の平板部または第2の平板部に隣接するように配置され、前記第1の鍔部または第2の鍔部との間で前記第1の平板部または第2の平板部を挟み込むように前記突起部と係合しており、
さらに、
前記低圧側コイルは、前記突起部を通すための切り欠き部を有することを特徴とするトランス。 - 前記第1のケースまたは第2のケースは、前記低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有することを特徴とする請求項1記載のトランス。
- 前記低圧側コイルとして、前記第1の平板部に隣接するように配置された第1の低圧側コイルおよび前記第2の平板部に隣接するように配置された第2の低圧側コイルを備え、
前記ボビンは、前記突起部として、前記巻胴部の一端部に配置された第1の突起部および前記巻胴部の他端部に配置された第2の突起部を有し、
前記第1の低圧側コイルは、前記第1の鍔部との間で前記第1の平板部を挟み込むように前記第1の突起部と係合し、
前記第2の低圧側コイルは、前記第2の鍔部との間で前記第2の平板部を挟み込むように前記第2の突起部と係合することを特徴とする請求項1または2記載のトランス。 - 前記第1のケースは、前記第1の低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有し、前記第2のケースは、前記第2の低圧側コイルの外周縁部の一部が嵌め込まれる溝部を有することを特徴とする請求項3記載のトランス。
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