JP3945624B2 - 橋桁上の床版間用シール材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、橋梁や高架橋における橋桁上に配置される床版間用シール材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、橋の架設や高架橋の架設に対する工法として、図3に示すように、H型鋼等からなる橋桁51を幅員方向Wに所要間隔あけて、かつ橋軸方向Lに沿って橋脚53上方に配置し、前記橋桁51の上面には幅員方向Wへ互いに所要間隔離した橋桁用シール材55,55を橋桁51の長さ方向(橋軸方向Lと同じ)に沿って並設し、その後に前記橋桁用シール材55上にプレキャストのプレストレストコンクリート床版(以下床版とも記す。)57を配置し、さらに前記橋桁51上面の橋桁用シール材55,55間にグラウト材59としてコンクリートを打設することにより、前記床版57を橋桁51上に固定する方法が多用されるようになってきた。
【0003】
また、前記工法においては、床版57間の上下に床版間用シール材60,61が配設される。前記上側の床版間用シール材60は、床版57間に打設される連結用コンクリートの漏出防止用であり、下側の床版間用シール材61は前記橋桁51用シール材55,55の上面と密接して前記グラウト材59として打設されるコンクリートの漏出防止用である。前記床版間用シール材60,61として、従来では独立気泡型のゴムスポンジを所要断面形状にした棒状のものが用いられている。
【0004】
ところで、前記工法においては、前記床版57をクレーンで吊り上げて橋桁51上に置く際、一度に正しい位置に置くことは難しいので、何度も置いたり吊り上げたりを繰り返して隣接床版間の微調整をしなければならず、前記床版間用シール材60,61が何度も床版57で加圧・圧縮されることになる。
【0005】
しかし、従来の床版間用シール材60,61は、一度圧縮されると復元性が極端に低下する性質を有するため、前記のように床版間の位置微調整の際に何度も床版で圧縮されると、前記床版間の隙間を床版間用シール材60,61で十分に塞ぐことができなくなってシール性が不十分になり、打設コンクリートが漏出し易くなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、床版への密着性が良好で、しかも床版の位置微調整等の際における繰り返し圧縮によっても復元性低下が少なく、床版間で良好なシール性を発揮できるシール材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、プレキャストのプレストレストコンクリート床板間の上側に配置される橋桁上の床版間用シール材において、略半楕円形の長尺品からなる発泡体と、前記発泡体の平面側に設けられて前記床板間用シール材の使用まで剥離紙で覆われる粘着層とよりなり、
前記発泡体は、連続気泡型からなって圧縮永久歪(JIS K 6400準拠)20%以下であると共に、全表面にあるいは前記粘着層が設けられる面を除く表面にスキン層を一体に有し、前記スキン層は、前記発泡体のモールド成形時に型面付近の発泡体表面に膜状に形成されたものからなることを特徴とする橋桁上の床版間用シール材に係る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付の図面にしたがって詳細に説明する。図1はこの発明の第一実施例に係る床版間用シール材についての断面図、図2は図1A部拡大断面図である。
【0009】
図1に示す第一実施例のシール材10は、図3で示したように、橋梁や高架橋における橋桁51上方に配置されるプレキャストのプレストレストコンクリート床版57間の上側に配設されるシール材60として用いられるもので、施工条件等に応じて所要形状及び寸法とされる。例として略半楕円形断面からなる長尺品を挙げる。
【0010】
前記シール材10は、連続気泡型の発泡体11で構成される。前記連続気泡は、気泡が互いに連続した構造になっており、圧縮されても気泡が破裂せず、復元性が損なわれ難い。したがって、前記橋桁上で床版の位置微調整をする際に繰り返し圧縮されても、良好に復元して床版との密着性が損なわれ難くなり、確実なシール性を維持することができる。
【0011】
前記発泡体11としては、100%連続気泡である必要はなく一般的に連続気泡型に分類されているものが用いられる。さらには、連続気泡型と称されているもののみならず、連続気泡型と総称されているものの中でも連続気泡の割合が少なくて半連続気泡型と称されることのあるものも使用される。前記連続気泡型のものとしては、連続気泡型のポリウレタン発泡体や連続気泡型のポリエチレン発泡体を挙げることができ、また半連続気泡型のものとしては半連続気泡型のEPDMスポンジや、半連続気泡型のポリエチレン発泡体を挙げることができる。
【0012】
また、前記発泡体11は、圧縮永久歪(JIS K 6400準拠)の値が20%以下、特には1〜7%のものが好ましい。この範囲の圧縮永久歪とすることによって、前記復元性を適度なものにでき、床版への密着がより良好になり、前記打設コンクリートに含まれる水分に対するシールがより確実になる。なお、前記圧縮永久歪が1%未満の発泡体は、容易に得ることが難しく、また20%を越える発泡体は、前記床版間での使用に際して復元性が十分とは言い難い場合がある。
【0013】
さらに、図1のA部を拡大して示す図2のように、前記シール材10を構成する発泡体11は表面にスキン層Sを一体に有するものが好ましい。前記スキン層Sは、気泡の圧縮により、あるいは気泡サイズが小さくなることによって緻密な膜状となったもので、平滑性が高く、また破れにくいため、前記床版によって擦られても破損し難い。さらに、透水性も低いため、床版間に打設されるコンクリートの水分漏出防止に対するシール性も向上する。前記スキン層Sは、発泡原料を成形型内に注入して連続気泡型のポリウレタン発泡体等を成形する、いわゆるモールド成形によりシール材10を成形すれば型面付近の発泡体表面に膜状に形成することができる。なお、前記スキン層Sは発泡体11の全表面に設けても良いが、後記の粘着層が設けられる面を除いて設けてもよい。
【0014】
また、前記実施例のシール材10は、平面側12に粘着層が設けられ、使用までは剥離紙で覆われたものとされるのが好ましい。このようにすれば、前記剥離紙を剥がして床版の所定位置に配置するだけで容易にシール材10を固定することができる。
【0015】
また、前記実施例において、前記スキン層S上に重ねてフッ素樹脂フィルム等からなる滑りの良い摺動フィルムを積層してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明におけるシール材によれば、連続気泡型の発泡体からなるため、橋桁上の床板間で使用される際、床版の位置微調整時における繰り返し圧縮に対しても復元性が高く、打設コンクリートの水分に対して良好なシール性を得ることができる。
【0017】
さらに、発泡体の圧縮永久歪が20%以下、好ましくは1〜7%以下であるようにすれば、復元性がより確実になって、シール性が確実なものとなる。
さらにまた、発泡体の表面にスキン層を一体に有するものとすれば、床版の位置微調整時における床版の滑りが良好となって作業性がよくなるのみならず、シール材が床版で擦られても破損し難くなり、さらには水分も浸透し難いため、確実なシール性を維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第一実施例に係るシール材についての断面図である。
【図2】 図1のA部の拡大断面図である。
【図3】 橋桁と床版等を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
10 シール材
11 発泡体
S スキン層
Claims (1)
- プレキャストのプレストレストコンクリート床板間の上側に配置される橋桁上の床版間用シール材において、
略半楕円形の長尺品からなる発泡体と、前記発泡体の平面側に設けられて前記床板間用シール材の使用まで剥離紙で覆われる粘着層とよりなり、
前記発泡体は、連続気泡型からなって圧縮永久歪(JIS K 6400準拠)20%以下であると共に、全表面にあるいは前記粘着層が設けられる面を除く表面にスキン層を一体に有し、
前記スキン層は、前記発泡体のモールド成形時に型面付近の発泡体表面に膜状に形成されたものからなることを特徴とする橋桁上の床版間用シール材。
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