JP3945596B2 - ポリエステルの回収法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、特定のプラスチックスである線状ポリエステルの回収法に関するものである。プラスチックスのリサイクル法としては物質を回収するマテリアルリサイクル型と、熱として回収するサーマルリサイクル型とに大別できるが、本発明は前者に属するケミカルリサイクル法とも称される技術に属する新方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
線状ポリエステルのケミカルリサイクル法というのは、その大部分が加溶媒和分解反応を利用したものであり、公知の方法は水、アルコール、グリコール、アンモニア等を用いる加水分解、メタノリシス、グリコリシス、アンモノリシスによるものであった。これらについては、例えば特公昭42−8855号、特公昭46−21698号、特開昭60−248646号、米国特許3,222,299号、米国特許3.403,115号に開示されている。また、酸性加水分解については硫酸加水分解として米国特許4.355,175号が知られており、またその他、硝酸加水分解とか希硫酸加水分解も知られているが、フッ化水素酸特に濃厚なフッ化水素酸とか無水フッ化水素による分解、回収法はこれまで知られていなかった(一般的文献は「化学工業」,48,No.4,313,1997年,および「高分子」,46,No.6,406,1997年を参照のこと)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここにおいて、本発明者らは、通産省の「廃プラスチックス21世紀ビジョン」(1993年5月)に基づくプラスチックスの有効なリサイクルシステムの開発に努力を傾注してきた。この開発研究に於いては各種のプラスチックスが酸性媒体中においてプロトンを受容してどのように溶液化しうるかという基礎的実験を通じて、特定の構造、組成を有するポリエステルとプロトン供与体との関係を追及し、従来の加水分解とは異なる成果を得た。これを実用化すべく改良を行い本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリエステルの回収法として以下のような技術を完成した。
先ず本発明に於いては、主鎖にエステル結合を有する熱可塑性樹脂の主成分である酸側成分とアルコール(若しくはグリコール)側成分とに含まれている合計炭素数が6〜14個である単位原子団により構成されている線状ポリエステルとは次のことを意味する。
即ち、二塩基酸とグリコールとから成るポリエステルでは、酸側1分子とグリコール側1分子とからポリエステルの基本となる単位原子団が形成され、酸側成分とグリコール側成分とに含まれる炭素原子数の合計が6〜14個であれば本発明が適用しうる。
これに対して、1分子中に酸基と水酸基とを含むオキシカルボン酸では(ポリエステルになるために)2分子のうち1分子が酸側成分として働き、他の1分子がアルコール側成分として働かねばならない。このため、オキシカルボン酸2分子に含まれる炭素原子数の合計が6〜14個であれば本発明が適用しうるのであり、オキシカルボン酸の2分子が互いに同一でも別異であってもよいのは当然である。
【0005】
このような線状ポリエステルの具体例を示すと、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレンサクシネート、ポリペンタメチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリペンタメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリ−p−オキシエチレンベンゾイル、ポリ−p−オキシブチレンベンゾイル、ポリ−α−プロピオラクトン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−γ−バレロラクトン、ポリ−α−バレロラクトン及びポリ−ε−カプロラクトン等の単独若しくは2種以上の混合物である。
【0006】
このように本発明に於いては、主鎖にエステル結合を有する熱可塑性樹脂の主成分である酸側成分とアルコール(もしくはグリコール)側成分とに含まれている合計炭素原子数が6〜14個である単位原子団により構成されている線状ポリエステルが本発明の原料として適している。これは予備的実験において下記表1に示すような原料でポリエステルを合成して確かめたものである。
【0007】
【表1】
Figure 0003945596
但し、表1の評価は、極めて良好な場合を◎印、良好な場合を○印、不良な場合を×印と表示した。
【0008】
本発明が達成されるためには無水フッ化水素(98〜100%HF)又は濃厚フッ化水素酸(85%〜98%HF)にポリエステルがまず溶解することが必要であり、次いでこの溶液に水又はアルコールを加えた時に、ポリエステル又はそのオリゴマーが可及的に多く固形物となって析出してくることが必要である。表1から、この基本的な挙動を示す化合物としては合計炭素原子数が6〜14個という比較的狭い範囲に限定された。この基本的原則は酸側成分とアルコール側成分とを同一分子中にあるオキシカルボン酸についても同様に認められ、この場合には前記したごとく合計炭素原子数はオキシカルボン酸2分子に含まれる数で表されることは勿論である。
【0009】
一般にポリエステルの単位原子団(モノマー)に含まれる炭素原子数が小さい程フッ化水素中でのプロトン受容力が大きくなり、換言すれば、これはポリエステルの回収を困難ならしめることになる。また炭素原子数が大きすぎればプロトン受容力が小さくなって(これは一般に疎水性が大きくなり)、溶解力が弱くなってくると共に溶解度も低下してくる。このためプロトンの適当な受容のためには合計炭素原子数は適当な大きさに保つこと、つまり6〜14個であることが必要である。
【0010】
本発明に於いては、フッ化水素を85重量%以上含有する溶剤とは、本発明にいう特定のポリエステルに作用して高濃度高分子溶液を形成するものである。ポリエステルの種類にもよるが、85〜100%HFを含む溶剤にポリエステルが良く溶け、多くの場合ポリエステルが10〜50重量%の粘稠な溶液を形成する。この場合のフッ化水素に含まれる不純物は15重量%以下の量でなければならないことが本発明者らの基礎的実験から確かめられている。
不純物あるいは共存する物質としては、水、硫酸、硝酸、フッ化ケイ素、フッ化ホウ素、フルオロスルホン酸、炭化水素(例えば石油系炭化水素、ベンゼン、トルエン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、パークレン、フッ化ベンゼン、ベンゾトリフルオリド)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フェノール等)、有機酸(例えばギ酸、酢酸、無水酢酸等)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、酸アミド(例えばジメチルホルムアミド等)、ピリジンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの溶剤であるが、以後のこれらの回収の点から、成分系はできるだけ簡単なものにするのがよい。
【0011】
脱フッ化水素はポリエステルを溶解若しくは分散させたフッ化水素を含む溶液から、ポリエステルを固形物として回収するために行われる。ポリエステルはフッ化水素を含む溶液に完全に透明に溶けるか分散するのであるが、ポリエステルの中にポリオレフィン系樹脂、金属、顔料、ゴム等が混入しているような場合には、これらは不溶解物となるか浮遊物となる。不純物は溶液作成中に突沸を起こしたり、沈殿を生じたりする。沈殿とか固形物が浮遊したりするときは、必要とあれば濾過して濾液を湿式或いは乾式で脱フッ化水素してポリエステルを回収する。湿式の場合は水、アルコール、塩類水溶液、塩類アルコール溶液、アルカリ水溶液、アルカリアルコール溶液を濾液に混合してポリエステルを粉末状、粒状、繊維状、塊状として回収する。乾式の場合はフッ化水素を蒸発又は蒸留によって除去し、ポリエステルをフィルム状、線状、粉末状として回収する。その後更に水洗、メタノール洗浄、中和剤洗浄してポリエステルを回収する。この湿式法と乾式法は単独式でも或いは併用式でもよく、ポリエステルの種類に応じて最も効果的な方法が選ばれる。
【0012】
本発明に用いられる特殊ポリエステルは主鎖中に正規のエステル結合(OCO)を含むことが必要で、ポリ脂肪酸ビニル、ポリ脂肪酸アルリル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステルのごとく、側鎖にエステル結合を含むものではない。更にポリカーボネートのような炭酸エステルとか、ポリリン酸エステル、ポリケイ酸エステル、ポリウレタンのごとく、多くのヘテロ原子(例えばO,P,Si,N)を含むポリエステル樹脂は本発明から除外されるべきものであることが予備的実験から確かめられている。
【0013】
本発明の方法が最もよく利用されるのは、ポリエチレンテレフタレート[(CH2CH2OCOC64COO)n、モノマー分子量192]であり、単位原子団の炭素原子数は10個である。本発明に適するポリブチレンテレフタレート(モノマー分子量220)の単位原子団に含まれる炭素原子数は12個である。しかし良く知られているポリカーボネートは[OC64C(CH3264COO]nであり、単位原子団に含まれる炭素原子数は16個となり、しかも正規のエステル結合でない炭酸エステル結合であるため、無水フッ化水素中においても、このポリエステルはプロトンを受容し難く、フッ化水素の沸点以下では長時間保持しても膨潤するだけで溶解もしくは分散は困難であった。
【0014】
フッ化水素が85重量%以上含有される本発明の溶剤に、ポリエステルが溶解する現象は、ポリエステルにプロトンが受容することによって惹起するので、反応系中或いは脱フッ化水素工程中において、微量の水分によってエステル結合が分断され、次のごとくオリゴマー化することが予備的実験から認められている。
【0015】
Figure 0003945596
【0016】
この式ではn=A+B=a′+a″+b′+b″という具合に順次分解してゆき、低分子オリゴマー化するごとく考えられるが、反応温度を50℃以下に保ち、水分含有量も可及的にすくなくしてやると、非常に小さいオリゴマーになるのではなく、元のポリエステルが1/2〜1/5の大きさに分断される程度である。例えば上式のa′=a″=b′=b″とすると1/4の大きさに分断されることになり、分子量約40000のポリエチレンテレフタレートは分子量約10000前後のフラグメント4個になってしまう。次に参考のためポリエチレンテレフタレートのポリマーとオリゴマーの大体の目安を重合度300のものを分断した例について示す。
【0017】
【表2】
Figure 0003945596
【0018】
ポリエチレンテレフタレートは重合度が50以下では繊維やフィルムの形成能が著しく悪くなるので、このようなオリゴマーが得られた場合には、エチレングリコールを加えて加熱脱水してポリマー化してやるとか、ジイソシアネートを加えて付加縮合を行わせてポリエステルウレタンに加工することによって成型品原料になる。もっともホットメルト用の接着剤等に用いる場合はオリゴマーで充分用いられることがある。
【0019】
線状ポリエステルの無水フッ化水素(100%HF)に対する溶解度は、0℃において、その構造、重合度にもよるが、40〜50重量%であり、濃厚フッ化水素酸(90%HF)には10〜20重量%溶解する。
ポリエステル溶液からポリエステルの回収を湿式で行う場合には、水系或いはアルコール系の溶液を加えるが、乾式で行う場合には不溶解物を瀘別した溶液をノズルより流下させるか、ドラムフレーカー上で薄膜となしてフッ化水素を蒸発回収させ、粉状、フィラメント状、フレーク状或いはフィルム状としてポリエステルを回収することができる。同じような操作はポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリ−α−プロピオラクトンにも好都合に適用される。
【0020】
脱フッ化水素してポリエステルの回収を湿式で行う場合には、ポリエステルの沈殿剤として、水、アルコールの他に塩類(例えばKCl,KF,NaCl,NH4F,CH3COONa)の水溶液、アルカリ(例えばNaOH,KOH,NH3,NH2NH2,NH4OH)の水溶液とかアルコール溶液を用いてポリエステルを沈殿させることができる。勿論、湿式法、乾式法といえども最終的に希アンモニア水等で中和処理してフッ化水素を完全に除去することが望ましい。
【0021】
本発明を実施する場合の一般的な方法について以下に述べる。
フッ素樹脂製瓶に98〜100%無水フッ化水素(工業用)500gを入れ0℃に冷却しておく。この冷液中にポリエステルフィルムを細かく切断したもの(表2のNo.2の物性のもの)390gを投入して激しく撹拌して完全に溶解させると、ほとんど飽和に近い形のポリエチレンテレフタレート粘液が得られる。この粘液中に不溶解物が存在しているような場合には、フッ素樹脂製の濾過材を用いて濾別し透明な瀘液を得る。砕氷5kgを激しく撹拌しつつ、これに上記のポリエチレンテレフタレート粘液(又はその濾液)を注加すると、白色の繊維状粉末が析出して沈殿して来るのでこれを瀘別して水洗、希アンモニア水で洗浄、水洗を行った後、真空乾燥すればポリエチレンテレフタレートがオリゴマーとして回収される。末端基定量法によると、このオリゴマーの末端カルボキシル基(COOH)は数回の測定の結果0.52〜0.45%となり、数平均分子量は8000〜10000に相当することが判明した。このポリエチレンテレフタレートオリゴマーは多くの溶剤に溶けないが、加熱フェノールに溶解してヘキサメチレンジイソシアネートを加えて反応させた後ジメチルホルムアミド中に投入してやれば、ポリエチレンテレフタレートウレタンの糸状物が得られる。
【0022】
飲料食品のペットボトル(製品)からポリエステルを回収する例として市販のS社(内容物はウーロン茶2000ml入り)とN社(内容物はコーヒー900ml入り)について、それらの各部分の重量(g)を測定したところ、表3の如くである。
【0023】
【表3】
┌────────────┬──────────┬─────────┐
│重量測定部分 │S社の製品の │N社の製品の │
│ │重量(g) │重量(g) │
├────────────┼──────────┼─────────┤
│全体 │75.0 │49.2 │
│ (A=B+C+D+E)│ │ │
├────────────┼──────────┼─────────┤
│キャップ部(B) │ 3.16 │ 1.67 │
│ │(ポリプロピレン製)│(アルミニウム製)│
├────────────┼──────────┼─────────┤
│商品表示ラベル(C) │ 2.64 │ 4.00 │
├────────────┼──────────┼─────────┤
│容器口部(D │ 8.27 │ 8.22 │
├────────────┼──────────┼─────────┤
│容器胴部(E) │60.89 │35.30 │
├────────────┼──────────┼─────────┤
│容器本体(F=D+E) │69.17 │43.54 │
└────────────┴──────────┴─────────┘
(註)表中(C)はシュリンクフィルムで、ポリ塩化ビニル系、配向ポリスチ
レン系、ポリエチレンテレフタレート系と材質がかわりつつある。
【0024】
表3では同種の容器の完全な平均値になっていない。またキャップ部(B)は蓋部とパッキング部(ポリエチレン)とが別々のもの、一体化したものとがある。容器本体(F)のポリエステルを回収しようとする場合にはキャップ部(B)を予め除去したものについて作業される場合が多く、回収する地方自治体では消費者に対してそのように希望している。
表3の中で回収ポリエステルの原料として利用されるのは容器胴部(E)のみである。しかし本発明の方法では条件にもよるが、一般に(B)、(C)、(D)は無水フッ化水素に溶解し難く、場合によっては一部膨潤するだけのものでしかない。回収ペットボトルの場合、無水フッ化水素に溶解する部分は全体の約80〜90重量%程度であると考えて差し支えないので、不要物は溶液から不溶物を分離することによっても分別することができる。
【0025】
ここにおいて本発明者らは樹脂材料(プラスチックス)の無水フッ化水素に対する溶解性を調べるため、内容500mlのフッ素樹脂製瓶に無水フッ化水素200ml(0℃)を入れ、表4に示す樹脂材料のペレット10gを投入し、20分間、電磁撹拌機による混合を0℃で行った後、その外観から樹脂の溶解性を観察した。非常に良く溶けたものは◎印、混合によって分散又は溶解したものは○印、ゲル化したり不溶であったものは×印と区別すると表4のようになる。
【0026】
【表4】
Figure 0003945596
Figure 0003945596
【0027】
表4は無水フッ化水素(98〜100%HF)への樹脂の溶解性を示したが、濃厚フッ化水素酸(85〜98%HF)にも好都合に溶解する樹脂であれば、本発明に充分に適用しうる。
なお、「化学反応の溶剤又は媒体としての無水フッ化水素」、については、L.L.Lagowski編、M.Kilpatrick著、“Non-Aqueous Solvents”Vol.2,p43〜134(1967年),Academic Press,N.Y.を参照されたい。
【0028】
以下、本発明の技術的内容を代表的な実施例として示し解説することにする。
【実施例1】
フッ素樹脂製の袋にポリエチレンテレフタレート製空瓶500g(ペットボトル回収品からキャップ部、商品表示ラベルを除去したもの7〜8個)を入れ、この袋に無水フッ化水素ボンベを接続しフッ化水素ガスを徐々に導入する。この時袋は外部から氷冷し、時々重量を測って700gのフッ化水素を送入するようにする。暫時ののち袋の中には透明な粘液が形成されるので、この袋をフッ化カリウム2100gを溶解した0℃の水溶液(5l)中に浸漬して袋を破り、激しく撹拌すると、淡黄白色の沈殿が折出する。
この沈殿を濾別して2%炭酸カリウム温水溶液及び水で充分に洗浄し、濾別し100℃で乾燥するとポリエチレンテレフタレートオリゴマー460〜490gが得られる。回収率は95%であった。
このものは250℃においてノズルより押し出すと、帯黄灰色の紐状物にはなるが充分な強度はない。このオリゴマー粉砕物にエチレングリコールを加えて湿らせたものを、0.2mmHg/280℃の下に3〜5時間保ってやると、ほとんど定量的収率で押し出し可能なかなり強い紐状物になるポリエチレンテレフタレートを得る。この再生品はテトラクロルエタン−フェノール(40:60)に溶かして0.5%溶液となし、粘度測定すると、ηinh≧0.5となり、このポリエステルはテープ或いはフィラメントに加工することができる。
【0029】
【実施例2】
実施例1のポリエチレンテレフタレート製空瓶の代わりに、表5に示す樹脂のペレット又は成型屑400gを、液体無水フッ化水素700gに10℃以下で溶解させる。その後の操作法は実施例1と殆ど同じである。回収された樹脂オリゴマーはメタノールで充分洗浄後、乾燥すると表5のようになった。生成物が無水フッ化水素に良く溶けたものは◎印、一応溶解したものは○印、不溶であったものは×印として区別した。
【0030】
【表5】
Figure 0003945596
【0031】
【実施例3】
α−プロピオラクトンの開環重合によって得られたポリ−α−プロピオラクトン(以下、ポリ乳酸という)は、90〜100%HFに溶けて透明な溶液になる。ポリ乳酸を20重量%含むフッ化水素溶液(0〜5℃)100重量部を、フッ化アンモニウム飽和水溶液300重量部中に滴下して激しく撹拌してやると、白色繊維状粉末が沈殿する。このものを濾別してメタノール洗浄を充分行い、粉末を乾燥してやると、収率約90%でポリ乳酸オリゴマーが得られた。この場合の原料ポリマーと生成オリゴマーの分子量をレーザーイオン化飛行時間型質量分析装置(島津製作所製、MALDI TOF MS)によって測定したところ、表6の結果が得られた。
【0032】
【表6】
Figure 0003945596
【0033】
【実施例4】
実施例1において得られたポリエチレンテレフタレートオリゴマー25g、実施例2において得られたポリブチレンテレフタレートオリゴマー25gの粉状混合物に、エチレングリコールを加えて湿らせたものを、0.2mmHg/280℃の下に3〜5時間加熱すると、ポリエチレン・ブチレンテレフタレート約40gが得られる。このものは260〜270℃においてノズルより押し出すと、やや強靭な紐状物になる。このポリマーは熱フェノール以外の溶剤には殆ど溶けないが、無水フッ化水素には非常に良く溶解し、脱フッ化水素すれば、ポリエチレン・ブチレンテレフタレートオリゴマーになる。このオリゴマーは融点のやや高いワックス状の物質となり、これはホットメルト用接着剤の原料になった。
【0034】
【実施例5】
フッ素樹脂製瓶に98〜100%工業用無水フッ化水素400gを入れ、これに表7に示す他の成分70g又は100gを冷却しつつ添加して、それぞれHF85%溶液又はHF80%溶液を作る。
これらの溶液にポリエチレンテレフタレート成型品の破砕屑を300g断続的に投入して、暫時激しく撹拌して静置する。ポリエチレンテレフタレート破砕屑200g以上が完全に溶解した場合を◎印、100〜200gが分散した場合を○印、分散が100g以下の場合を×印とすると、表7のような結果を得る。 ポリエチレンテレフタレートを溶解した濃厚フッ化水素酸溶液は、フッ素樹脂製のフィルターを用いて濾過した後、2000mlの氷水中へ投入され、沈殿した白色沈殿を捕集して乾燥する。回収率は用いたポリエチレンテレフタレートに対する重量値である。
表7からHF85重量%以上が特に好ましいことが分かる。
【0035】
【表7】
Figure 0003945596
【0036】
またポリエチレンテレフタレート成型品の破砕屑を無水フッ化水素に溶解させる場合、炭化水素(例えば石油系炭化水素、リグロイン、ベンセン、トルエン等)及びハロゲン化炭化水素(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、パークレン、フッ化ベンゼン、ベンゾトリフルオリド、フッ素化油等)とかピリジンが存在すると、溶解がやや緩慢になるが、フッ化水素の放散が若干押さえられる傾向がある。しかし実用的にはこれら不純物の存在量は15重量%以下にすることがフッ化水素等の回収のために望ましい。またアルコールや有機酸も同じ傾向があるが、さらに他の成分としてケトン、エーテル、酸アミド等の有機物を用いる場合は、これらがフッ素化されないよう操作条件をできるだけ温和に選択することが好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートのフッ化水素への溶解の際に、有機溶剤が共存すると、オリゴマーが着色するのを防止する効果がある場合も多い。
【0037】
【実施例6】
フッ素樹脂製瓶に、ペットボトル回収品からキャップ部のみを除去したものを機械的に粗砕したもの390gを入れておき、これに工業用無水フッ化水素500gを冷却しつつ導入し、激しく撹拌して溶解させる。白色不溶解物(主として容器口部)が浮遊しているので、これを加圧濾別して透明な溶液にする。この溶液を氷水5kg中に注加して激しく撹拌すれば、白色粉末が析出するので、これを濾別し、水、希アンモニア水、水、メタノールの順に洗浄後、真空乾燥すれば、ポリエチレンテレフタレートオリゴマーが90%以上の収率で回収される。
この方法を用いれば、ポリエチレンテレフタレートと他の不溶解ポリマーとを、無水フッ化水素中で分別、分離することができるので極めて便利である。
得られたポリエチレンテレフタレートオリゴマーはジクロル酢酸又はトリフルオル酢酸に溶解するので、これらの溶液から再沈殿法で精製することができ、また粘度法によって数平均分子量(Mn=7000〜7500)を求めることができた(粘度法については、W.R.Moore,D.Sanderson;Polymer,Vol 9,153,1968年によった)。
【0038】
【実施例7】
実施例6で得られたポリエチレンテレフタレートオリゴマー100g及びβ−プロピオラクトン5gを、フェノール500gに加温して溶解し、これに三フッ化ホウ素ガス1.0gを吹き込んで100℃において3時間保った後冷却して、反応混合物を大量の水中に投入して白色沈殿となし、これを濾別して100℃で乾燥すれば、β−プロピオラクトンで架橋されたポリエチレンテレフタレートオリゴマーが得られる。このものは260〜270℃においてノズルより押し出すと、比較的強靭な紐状物を与える。このものはボタンとかカードのような簡単な形のものに成型することができ、またこの成型物を分散染料で転写的に着色することもできた。
【0039】
【発明の効果】
本発明は線状ポリエステルの回収法に関するものであり、特定の構造、組成を有するポリエステルとプロトン供与体であるフッ化水素(特に無水フッ化水素)との関係を研究し、この両者を組み合わせて、ポリエステルを有利に回収する方法を究明した。
本発明の完成によって線状ポリエステルと他のプラスチックスとの分別と分離は勿論、ポリエステルの溶液化とその固形物の回収、オリゴマーの再利用の方法並びに加工法等が明らかにされた。本発明の方法は線状ポリエステルの他のマテリアル・リサイクリング法に比して極めて優秀であり、社会や産業に貢献することろが極めて大きいものと確信している。

Claims (4)

  1. 主鎖にエステル結合を有する熱可塑性樹脂の主成分である酸側成分とアルコール(もしくはグリコール)側成分とに含まれている合計炭素原子数が6〜14個である単位原子団により構成されている線状ポリエステルを、フッ化水素が85重量%以上含有されている溶剤に溶解若しくは分散させた液状物から、脱フッ化水素して、固形物を捕集することを特徴とするポリエステルの回収法。
  2. 上記線状ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレンサクシネート、ポリペンタメチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリペンタメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリ−p−オキシエチレンベンゾイル、ポリ−p−オキシブチレンベンゾイル、ポリ−α−プロピオラクトン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−γ−バレロラクトン、ポリ−α−バレロラクトン及びポリ−ε−カプロラクトンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの線状ポリエステルである請求項1に記載のポリエステルの回収法。
  3. フッ化水素が85重量%以上含有されている溶剤は、無水フッ化水素(98〜100%HF)及び濃厚フッ化水素酸(85〜98%HF)を主として指し、15重量%以下の不純物としてフッ化水素中に共存する物質は水、硫酸、硝酸、フッ化ケイ素、フッ化ホウ素、フルオロスルホン酸、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、有機酸、ケトン、エーテル、酸アミド及びピリジンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの溶剤である請求項1に記載のポリエステルの回収法。
  4. 脱フッ化水素が水、アルコール、塩類水溶液、塩類アルコール溶液、アルカリ水溶液、アルカリアルコール溶液と混合して行う湿式法によるか、フッ化水素の蒸発又は蒸留による乾式法によるか、或いはこれらの併用法によるかのいずれかの操作を経る請求項1に記載のポリエステルの回収法。
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