JP3945254B2 - 電動歯ブラシ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は歯ブラシのバス駆動(直線往復駆動)の駆動源としてリニアオシレータからなるアクチュエータを備えている電動歯ブラシに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動歯ブラシの駆動源として、近年、軸方向の往復動が自在な駆動軸を交番電流が印加される電磁気回路によって往復駆動するリニアオシレータからなるアクチュエータを備えたものが提供されている。図7にその一例を示す。
【0003】
リニアオシレータであるアクチュエータAは、歯ブラシ1が一端に装着される駆動軸2に取り付けられた円柱状で且つ鉄材などの磁性体にて形成されたプランジャー3と、プランジャー3の廻りに配設した環状のコイル10と、シールドケース22の内面に固定された上記コイル10の軸方向両側に配されているとともにコイル10に対して対称に着磁された環状の永久磁石8,12とを主体とするもので、上記永久磁石8,12とコイル10との間には環状の第1のヨーク9,11が配置され、永久磁石8,12のヨーク9,11と反対側の位置には環状の第2のヨーク7,13が配されている。そして駆動軸2はシールドケース22の両端の軸受台4,17に設けられたスラスト軸受5,16によって軸方向往復動自在に保持されている。また、軸受5とプランジャー3との間にはばね19が配されており、プランジャー3と軸受16との間には、ばね20と吸振錘18とばね21とが配置されている。図中6,15はばね受け、14は永久磁石12とヨーク11,13の固定用のケース、23はシールドケース22から突設されてケース14を固定している突片である。
【0004】
コイル10に電流を流していない時は、永久磁石8,12がヨーク7,9,11,13を介してプランジャー3に及ぼす磁力とばね19,20,21のばね力が釣合い、プランジャー3は静止している。
【0005】
コイル10に一方向電流を流すと、2つの永久磁石8,12のうち一方の磁束が弱められるために他方の磁石側に移動し、コイル10に逆方向の電流を流せば、今度は逆方向に移動することから、コイル10に交流電流が流れる時、プランジャー3(駆動軸2)は軸方向の往復振動運動を行う。
【0006】
このとき、プランジャー3や駆動軸2及び歯ブラシ1の可動部と吸振錘18との軸方向運動に着目すると、コイルばねで構成したばね19,20,21の存在により、3質点系の振動モデルと考えることができ、これを動作させたとき、可動部と吸振錘18が同位相で動く振動モード(1次の低次側の固有振動数)と可動部と吸振錘18が逆位相で動く振動モード(2次の高次側の固有振動数)とがあるが、後者の逆位相を利用する時、可動部と吸振錘18のそれぞれの慣性力が打ち消しあうことになり、シールドケース22等の固定部に伝わる力は小さくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このために、上記リニアオシレータであるアクチュエータAを備えた電動歯ブラシは、従来、図8に示すように、初期設定の固定周波数のパルスで駆動して、上記逆位相による吸振動作が得られるようにしていた。図中イは無負荷振幅、ロは負荷振幅、ハは無負荷電流、ニは負荷電流である。
【0008】
この場合、歯ブラシ1として他の異なる形態のものを使用した場合、可動部の重量が変化するために、図9あるいは図10に示すように、振幅及び消費電流が変化してしまうものであり、規定の特性を確保することができない。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは歯ブラシとして異なる重量のものを取り付けても特性変動を招くことがない電動歯ブラシを提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、軸方向の往復動が自在な駆動軸を交番電流が印加される電磁気回路によって往復駆動するリニアオシレータからなるアクチュエータを具備するとともに、上記駆動軸に歯磨き用のブラシを着脱自在に装着した電動歯ブラシにおいて、駆動軸の変位と駆動軸の速度と電磁気回路に流れる電流の少なくとも一つを検出する検出手段と、該検出手段の検出出力に応じて電磁気回路への供給電流を閉回路制御して駆動軸の振幅を一定に保つとともに電流の共振点の周波数にて駆動する制御手段とを備えていることに特徴を有している。重さの異なる歯ブラシが装着された時にも、一定振幅・一定消費電流での駆動を行うことができる。この時、無負荷時と負荷時とで同じ制御を行うのはもちろんである。
【0011】
検出手段としては、駆動軸の速度がゼロの時点から所定時間経過時の速度を検出するものや、駆動軸の変位からその振幅を検出するものを好適に用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、上記のようなリニアオシレータからなるアクチュエータAによって歯ブラシ1のバス駆動を行うにあたり、図1に示すように、駆動用の電磁気回路であるコイル10に供給する入力電流を制御する制御部C及び該制御部Cの出力に応じた入力電流をコイル10に供給する入力電流部Dを設けている。
【0013】
上記制御部Cは、駆動用の電磁気回路であるコイル10に流れる電流を検出する電流検出部26と、この電流検出部26の出力値に応じてコイル10に供給する入力電流を決定する入力電流判定部27と、電流検出部26の出力から可動部の移動方向を検出する移動方向検知部28と、移動方向検知部28の出力から入力電流の方向(極性)を決定する入力電流方向判定部29とを備えたもので、入力電流判定部27で決定された値で且つ入力電流方向判定部29で決定された極性の入力電流が電流入力部Dによりコイル10に供給される。この時、コイル10への駆動電流は電流の共振点(電流の最小点)において与えられる。
【0014】
もちろん、上記のコイル10に流れる電流値に応じた入力電流(駆動電流)の閉回路制御動作は、無負荷時だけでなく、負荷時においても行うものであり、電流の共振点の周波数で駆動することになるために、歯ブラシ1の重さが変わった時にも、一定振幅・一定消費電流でのアクチュエータAの駆動を行うことができるものであり、また、負荷が加わった時の振幅の減少を少なくすることができる。
【0015】
図2に他例を示す。ここではアクチュエータA内に可動部の往復振動の速度に応じた電圧を出力する速度検知手段31を配置し、制御部Cには速度検知手段31の出力電圧を基準電圧と比較してその差から可動部の速度を判断する速度検知部32と、速度検知部32で判断した速度から入力電流を決定する入力電流判定部27と、速度検知部32の出力から可動部の移動方向を検出する移動方向検知部28と、移動方向検知部28の出力から入力電流の方向極性を決定する入力電流方向判定部29とを設けている。
【0016】
そして図3に示すように、速度検知信号は半周期毎に変化することから、速度がゼロ(往復振動の折り返し点)から所定時間t0が経過した時点での速度を電圧V0として検出し、この電圧値V0に応じて時刻t1から時刻t2までの間の電流入力時間幅(t2−t1)を制御する。
【0017】
図4に示すように、予め設定してある時刻τ1から時刻τ2までの電流入力時間内に供給する電流値A0を電圧の大きさを変えることで制御するようにしてもよい。
【0018】
なお、図5に示すように、速度V0が小さいほど電流入力時間幅(t2−t1)を長くしたり、電流値A0を大きくする制御を行う。また、最大速度時t3が電流入力時間内に入るように方形パルス状の電流入力を行うことで、機械出力の効率低下が生じないようにしておく。この場合においても、無負荷時だけでなく、負荷時においても同じ制御を行って、歯ブラシ1として異なる重量のものが装着された時にも一定振幅・一定消費電流でのアクチュエータAの駆動を行う。
【0019】
図6に別の例を示す。ここではアクチュエータA内に可動部の変位を検出する変位検知手段33を配置し、制御部Cには変位検知手段33の出力から可動部の変位を判断する変位検知部34と、変位検知部34で判断した変位から入力電流を決定する入力電流判定部27と、変位検知部34の出力から可動部の移動方向を検出する移動方向検知部28と、移動方向検知部28の出力から入力電流の方向極性を決定する入力電流方向判定部29とを設けている。ここでの入力電流判定部27は、変位検知部34で検出される最大変位(振幅)が一定となるように入力電流を決定するものであり、歯ブラシ1の重さが変わっても、また、無負荷時及び負荷時のいずれにおいても上記閉回路制御がなされることで、可動部の振幅は一定となる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、軸方向の往復動が自在な駆動軸を交番電流が印加される電磁気回路によって往復駆動するリニアオシレータからなるアクチュエータを具備するとともに、上記駆動軸に歯磨き用のブラシを着脱自在に装着した電動歯ブラシにおいて、駆動軸の変位と駆動軸の速度と電磁気回路に流れる電流の少なくとも一つを検出する検出手段と、該検出手段の検出出力に応じて電磁気回路への供給電流を閉回路制御して駆動軸の振幅を一定に保つとともに電流の共振点の周波数にて駆動する制御手段とを備えているために、重さの異なる歯ブラシが装着された時にも、一定振幅・一定消費電流での駆動を行うことができるものであり、この時、無負荷時と負荷時とで同じ制御を行うことにより、負荷時においてもその振幅減少を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例のブロック回路図である。
【図2】同上の他例のブロック回路図である。
【図3】同上の動作を示すタイムチャートである。
【図4】同上の他の動作を示すタイムチャートである。
【図5】同上の制御の説明図である。
【図6】別の例のブロック回路図である。
【図7】アクチュエータの一例を示す断面図である。
【図8】従来例における特性図である。
【図9】同上の可動部質量が変化した時の特性図である。
【図10】同上の可動部質量が変化した時の特性図である。
【符号の説明】
A アクチュエータ
C 制御部
D 電流入力部
1 歯ブラシ
2 駆動軸
3 プランジャー
10 コイル
Claims (4)
- 軸方向の往復動が自在な駆動軸を交番電流が印加される電磁気回路によって往復駆動するリニアオシレータからなるアクチュエータを具備するとともに、上記駆動軸に歯磨き用のブラシを着脱自在に装着した電動歯ブラシにおいて、駆動軸の変位と駆動軸の速度と電磁気回路に流れる電流の少なくとも一つを検出する検出手段と、該検出手段の検出出力に応じて電磁気回路への供給電流を閉回路制御して駆動軸の振幅を一定に保つとともに電流の共振点の周波数にて駆動する制御手段とを備えていることを特徴とする電動歯ブラシ。
- 無負荷時と負荷時とで同じ制御を行うことを特徴とする請求項1記載の電動歯ブラシ。
- 検出手段が駆動軸の速度がゼロの時点から所定時間経過時の速度を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の電動歯ブラシ。
- 検出手段が駆動軸の変位からその振幅を検出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の電動歯ブラシ。
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