JP3944737B2 - エポキシ樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、200℃以上の高温に加熱されても直ちに硬化することのない200℃以上の高温での潜在性と、硬化時における硬化性とが両立したエポキシ樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は接着性・耐熱性・耐湿性に優れており、その応用分野は接着剤や塗料はもとより、半導体装置の封止材というハイテク分野にも拡大されている。特に液状エポキシ樹脂は微細化・高速化が推し進められる半導体分野において、複雑・微細な設計のデバイスにも対応でき、近年その応用分野を著しく拡大している。フリップチップのアンダーフィル材はその最たるものである。
【0003】
近年、デバイスの高速化・高密度化に伴い、チップのデザインは薄型化・大型化しており、従来の様な毛細管現象を利用して液状エポキシ樹脂を狭ギャップに侵入させる方式(以下、Capillary Flow型(キャピラリーフロー型)と称する)では限界に達しており、これに代わる方式が提案されている。その1つがNo Flow型(ノーフロー型)である。これは基板に樹脂を塗布した後にチップを搭載し、加熱によりチップと基板の導通と樹脂の硬化を同時に行うものである。
【0004】
このNo Flow型の場合、Capillary Flow型の場合とは異なる性能がアンダーフィル材に求められる。その1つが高温での潜在性である。
チップと基板の導通を得るためにアンダーフィル材は200℃以上の高温で加熱されるが、導通以前に樹脂が硬化しない程度の潜在性を有することが求められる。現行のCapillary Flow型の液状エポキシ樹脂組成物ではあまりに硬化時間が短く、この方式には対応できない。
【0005】
通常、液状エポキシ樹脂組成物では、酸無水物、芳香族アミン、フェノール樹脂等の硬化剤と、有機リン、イミダゾール等の塩基性硬化促進剤を組み合わせる。触媒量を低減すると潜在性を有するようになるが、樹脂が未硬化になるおそれがあり、現状の硬化剤・硬化促進剤の組み合わせでは潜在性と硬化性の両立に限界がある。
【0006】
【非特許文献1】
Zhuqing Zhang, Lianhua Fan, C.P.Wong, IEEE Electronic Components and Technology Conference, 2001, p.1474
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するために行われたものであり、200℃以上の高温での潜在性と硬化性とが両立したエポキシ樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成する為に鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の硬化剤、下記特定の構造を有する硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物を製造するに当たり、予め硬化促進剤をエポキシ樹脂中に均一に分散させ、その後に硬化剤を含めた他の成分と混合させることにより、200℃以上の高温での潜在性と硬化性を両立させ得ることを見出した。そして、この方法で得られたエポキシ樹脂組成物は、特に半導体素子の表面の被覆・封止、とりわけNo Flow型のアンダーフィル材として好適であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
(A)エポキシ樹脂
(B)成分(A)の硬化剤、
(C)下記一般式(1)で表される硬化促進剤
を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を製造するに当たり、予め成分(C)を成分(A)の一部又は全部に均一に分散させ、その後、これと成分(B)を含む残りの成分とを混合させることを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0010】
【化2】
Figure 0003944737
(式中、R1乃至R8は炭素数1乃至10の置換又は非置換の一価炭化水素基である。)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)一般式(1)で表される硬化促進剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、予め成分(C)を成分(A)の一部又は全部に均一に分散させ、その後、これと成分(B)を含む残りの成分とを混合させる方法により製造されるものである。
【0012】
ここで、本発明に用いられる成分(A)のエポキシ樹脂は、構造、粘度等が特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。
【0013】
エポキシ樹脂の構造として具体的には、ノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、フェノールアラルキル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン含有型、アミノ基含有型等が挙げられる。なかでもビスフェノールA型、ビスフェノールF型が好ましい。これらを単独で、或いは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0014】
エポキシ樹脂の粘度は、室温で液状であること、具体的には25℃において100Pa・s以下、特に10Pa・s以下であることが望ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)の硬化剤の種類は、特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。硬化剤として具体的には、酸無水物、芳香族アミン、フェノール樹脂等が挙げられるが、200℃以上の高温での潜在性と硬化性の両立の観点から考慮すればフェノール樹脂が望ましい。
【0016】
このフェノール樹脂は、構造、粘度等が特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。フェノール樹脂の構造として具体的には、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、ナフタレン型、シクロペンタジエン型、フェノールアラルキル型等が挙げられる。なかでも200℃以上の高温での潜在性と硬化性の両立の観点から考慮すれば、フェノール性水酸基のオルト位が水素原子以外の原子、或いは原子団により置換されていないもの、具体的にはフェノールノボラック型、フェノールアラルキル型が望ましい。これらを単独で、或いは2種類以上を混合して用いてもよい。また粘度は、150℃において10Pa・s以下、特に1Pa・s以下であることが望ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(C)の硬化促進剤は、下記一般式(1)で表わされるものである。
【化3】
Figure 0003944737
(式中、R1乃至R8は炭素数1乃至10の置換又は非置換の一価炭化水素基である。)
【0018】
ここで、R1乃至R8の一価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子等で置換したハロゲン置換一価炭化水素基、ヒドロキシル基で置換したヒドロキシル置換一価炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基で置換したアルコキシ置換一価炭化水素基などが挙げられ、またR1乃至R8のそれぞれは、これらの中から任意に選択される。
【0019】
成分(C)の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
【化4】
Figure 0003944737
【0020】
【化5】
Figure 0003944737
【0021】
硬化促進剤の添加量は、樹脂成分[成分(A),(B)及び後述する共重合体の合計]100重量部に対して、0.1乃至10重量部であることが望ましく、特に0.5乃至5重量部であることが望ましい。硬化促進剤が0.1重量部未満である場合は硬化不十分になるおそれがあり、また10重量部より多い場合は硬化時間が短く、潜在性が十分でなくなるおそれがある。
【0022】
本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体を添加することができる。この共重合体は低応力剤として機能する。
【0023】
芳香族重合体としては、下記一般式(2)或いは(3)
【化6】
Figure 0003944737
【0024】
(但し、R9は水素原子又は下記式
【化7】
Figure 0003944737
で示されるグリシジル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子又は臭素原子である。nは0以上の整数、好ましくは0乃至50の整数、特に好ましくは1乃至20の整数である。)
で表されるフェノール樹脂又はエポキシ樹脂、或いは下記一般式(4)乃至(7)
【0025】
【化8】
Figure 0003944737
【0026】
(但し、R9は水素原子又は下記式
【化9】
Figure 0003944737
で示されるグリシジル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、R11
【化10】
Figure 0003944737
であり、分子内の各部位について任意に選択される。Xは水素原子又は臭素原子である。nは0以上の整数、好ましくは0乃至50の整数、特に好ましくは1乃至20の整数であり、mは0以上の整数、好ましくは0乃至5の整数、特に好ましくは0又は1である。)
で表されるアルケニル基含有フェノール樹脂又はエポキシ樹脂が挙げられる。
【0027】
一方、オルガノポリシロキサンは下記平均組成式(8)で示される。
(R12a(R13bSiO(4-a-b)/2 (8)
(式中、R12は水素原子、アミノ基,エポキシ基,ヒドロキシ基もしくはカルボキシ基を含有する有機基、又はアルコキシ基であり、R13は置換又は非置換の一価炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアルケニルオキシ基であり、a、bは、0.001≦a≦1、1≦b≦3、1≦a+b≦4を満足する正数である。また1分子中のケイ素原子数は1乃至1000であり、1分子中のケイ素原子に直結したR12数は1以上である。)
【0028】
ここで、R12のアミノ基含有有機基としては、下記のものが例示される。
【化11】
Figure 0003944737
(但し、cは1、2又は3である。)
【0029】
エポキシ基含有有機基としては、下記のものが例示される。
【化12】
Figure 0003944737
(但し、dは1、2又は3である。)
【0030】
ヒドロキシ基含有有機基としては、下記のものが例示される。
【化13】
Figure 0003944737
(但し、eは0、1、2又は3であり、fは1、2又は3である。)
【0031】
カルボキシ基含有有機基としては、下記のものが例示される。
【化14】
Figure 0003944737
(但し、gは0乃至10の整数である。)
【0032】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等の炭素数1乃至4のものが挙げられる。
【0033】
また、R12の置換又は非置換の一価炭化水素基としては、炭素数1乃至10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換したハロゲン置換一価炭化水素基などが挙げられる。
【0034】
更にa、bは上述した値であるが、好ましくは0.01≦a≦0.1、1.8≦b≦2、1.85≦a+b≦2.1を満足する正数であり、また一分子中のケイ素原子数は1乃至1000であるが、10乃至400であることが望ましく、特に20乃至210であることが望ましい。
【0035】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(9)或いは(10)で表される化合物が挙げられる。
【化15】
Figure 0003944737
(式中、R14はアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有する一価炭化水素基であり、R15はR13と同様の置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくはメチル基又はフェニル基であり、pは0乃至1000の整数、好ましくは8乃至400の整数であり、qは0乃至20の整数、好ましくは0乃至5の整数である。)
【0036】
具体的には、下記式で表されるオルガノポロシロキサンを挙げることができる。
【化16】
Figure 0003944737
【0037】
上記平均組成式(8)で示されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、特に限定されないが、100乃至70000が望ましい。オルガノポリシロキサンの分子量が100乃至70000である場合、得られた共重合体をエポキシ樹脂組成物に配合すると、マトリクス中に共重合体が相溶せず、かつ微細な海島構造を形成する。分子量が100未満であると、マトリクス中に共重合体が相溶し、海島構造が形成されず、分子量が70000より大きいと、海島が大きくなってしまい、いずれの場合も硬化物の低応力性が低下するおそれがある。
【0038】
上記の芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて共重合体を得る方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0039】
なお、上記共重合体の添加量は、樹脂成分[成分(A),(B)及び共重合体の合計]全体の好ましくは0〜80重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。共重合体の添加量が少なすぎると、硬化物の低応力性が損なわれるおそれがあり、添加量が多すぎると、未硬化物の粘度上昇、硬化物の耐熱性低下等を引き起こすおそれがある。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、当量比で0.8≦(エポキシ樹脂)/(硬化剤)≦1.25であることが望ましく、特に0.9≦(エポキシ樹脂)/(硬化剤)≦1.1であることが望ましい。
当量比がこの範囲にない場合、一部未反応になり、硬化物の性能、更にはこれを用いる半導体装置の性能に支障をきたすおそれがある。この場合、エポキシ樹脂は、上記成分(A)のエポキシ樹脂と、上記共重合体がエポキシ基を有する場合はこれを加えた量であり、硬化剤は、上記成分(B)の硬化剤と、上記共重合体がフェノール性OH基を有する場合はこれを加えた量である。
【0041】
本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂組成物をNo Flow型のアンダーフィル材に応用する場合、各種の半田との濡れ性・密着性を向上させる為にフラックスを添加することができる。この場合、市販のフラックスをそのまま用いても、或いは、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、イソピマール酸、ピマール酸、レボピマール酸、パラストリン酸等の有効成分を用いてもよい。また、有効成分として、安息香酸、ステアリン酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の活性剤を配合することもできる。
【0042】
フラックスの添加量は、樹脂成分[成分(A),(B)及び上記共重合体の合計]100重量部に対して有効成分が0.5乃至5重量部、特に1乃至3重量部であることが望ましい。0.5重量部未満である場合はその効果が十分に得られず、また5重量部より多い場合は硬化不十分になるおそれがある。なお、フラックスの混合方法は特に限定されないが、エポキシ樹脂或いは硬化剤に予め溶融混合し、均一に分散させることが望ましい。
【0043】
本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂組成物には、用途に応じてシリカ、アルミナ、タルク、マイカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、銀等の無機質充填剤、その他に難燃剤、イオントラップ剤、ワックス、着色剤、接着助剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法において、上記各成分は次に示す2段階で混合される。
1.(C)硬化促進剤を(A)エポキシ樹脂の一部又は全部に均一に分散させる。
2.第一工程で得られた成分(A)と成分(C)の分散物と、(B)硬化剤を含むその他残りの成分とを混合する。
【0045】
各工程で用いる機器は限定されないが、特に第一工程ではミキサー等で予め混合した後に、3本ロールやルーダー等を用いることにより、極力成分(C)の粒子を小さく且つ凝集が残らないように成分(A)中に分散させることが望ましい。なお、第一工程において、成分(C)を分散させる成分(A)は、エポキシ樹脂組成物に配合する全量でもまた一部でもよく、成分(C)が成分(A)中に均一に分散されれば特に制限されるものではないが、特に成分(A)の10〜50重量%を用いて混合することが望ましい。また、第一及び第二工程とも極力組成物を加熱せず、室温で混合することが望ましいが、第二工程において、硬化剤を含むその他残りの成分を予め加熱混合し、これを冷却したものを室温にて第一工程で均一分散させた成分(A)及び(C)と混合することもできる。その他の条件、例えば時間、圧力等は、必要に応じて制御することができる。
【0046】
本発明で得られるエポキシ樹脂組成物の成形方法、成形条件は常法とすることができるが、好ましくは200℃以上の高温下で行われることが望ましい。加熱に際しては、温度制御が可能なフリップチップボンダー或いはIRリフロー炉が用いられる。また、エポキシ樹脂組成物は液状であることが好ましく、その25℃における粘度は、100〜1000Pa・s、特に300〜600Pa・sであることが好ましい。
【0047】
本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂組成物は、200℃以上の高温での潜在性と硬化性を両立し得るものであり、特に半導体素子の表面の被覆・封止、とりわけNo Flow型のアンダーフィル材として好適に用いられる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0049】
エポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、当量170)
硬化剤B(フェノールノボラック樹脂、当量110)
硬化促進剤C(テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート)
硬化促進剤D(下記式(11)で表されるテトラフェニルホスフィン・テトラp−フルオロフェニルボレート)
【0050】
【化17】
Figure 0003944737
【0051】
硬化促進剤E(下記式(12)で表されるテトラフェニルホスフィン・テトラp−トルイルボレート)
【化18】
Figure 0003944737
【0052】
低応力剤F(下記式(13)で表される芳香族重合体と下記式(14)で表されるオルガノポリシロキサンとの共重合体、白色固体、重量平均分子量3800、エポキシ当量291
【化19】
Figure 0003944737
(但し、r:s=19:1、r+sは平均で5、繰り返しの順序は任意である。)
【0053】
フラックスG(下記式(15)で表されるアビエチン酸)
【化20】
Figure 0003944737
【0054】
シリカ(球状溶融シリカ、平均粒径2μm、最大粒径10μm)
カーボンブラック(電化ブラック、電気化学工業製商品名)
KBM−403(信越化学工業製シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
以上の各成分を次の要領で混合した。
【0055】
[実施例1〜3]
表1に示す配合組成において、指定配合量の10wt%(重量%、以下同様)のエポキシ樹脂と硬化促進剤の全量を25℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃の3本ロールを通過させた。残りのエポキシ樹脂と硬化剤と低応力剤を80℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃に冷却させた後に、指定配合量の10wt%のエポキシ樹脂と硬化促進剤の混合物と、他の成分を加えて混合し、25℃の3本ロールを通過させ、再度25℃のプラネタリーミキサーで混合した。
【0056】
[比較例1、2]
表2に示す配合組成において、エポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と低応力剤を80℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃に冷却し、25℃の3本ロールを通過させた。これと他の成分を25℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃の3本ロールを通過させ、再度25℃のプラネタリーミキサーで混合した。
【0057】
[比較例3、4]
表2に示す配合組成において、指定配合量の10wt%の硬化剤と硬化促進剤の全量を80℃のプラネタリーミキサーで混合し、80℃のルーダーを通過させた。これと他の成分を80℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃に冷却させた後に、25℃の3本ロールを通過させ、再度25℃のプラネタリーミキサーで混合した。
なお、フラックスは予め硬化剤に溶解させて使用した。また、プラネタリーミキサーでの混合は全て真空下にて行った。
【0058】
これらの樹脂組成物について、以下の(a)乃至(j)の各試験を行い、表1,2の結果を得た。
【0059】
(a)未硬化物の粘度
JIS K7117に従い、25℃での未硬化物の粘度を測定した。
【0060】
(b)半田ボールとの濡れ性I
図1(a)に示すように、銅板1上に樹脂組成物2を0.5g滴下し、半田ボール(Sn/Pb=63/37、0.76mm径)3を載せた。IRリフロー炉(最高温度260℃)を通過させ、図1(b)に示すように硬化後の断面写真から接触角4を算出した。
【0061】
(c)半田ボールとの濡れ性II
図1(a)に示すように、銅板1上に樹脂組成物2を0.5g滴下し、半田ボール(Sn/Ag/Cu=96.5/3.0/0.5、0.76mm径)3を載せた。IRリフロー炉(最高温度260℃)を通過させ、図1(b)に示すように硬化後の断面写真から接触角4を算出した。
【0062】
(d)反応性:DSC反応ピーク温度
樹脂組成物10mgについて、DSC測定を行った。
【0063】
(e)実装後の導通試験I
図2に示すように、銅電極5を施したBT基板6上に実施例1乃至3、比較例1乃至4の樹脂組成物2を滴下し、この上から半田ボール(Sn/Pb=63/37)を施したチップ7を搭載し、200℃/0.1MPa/10秒の条件で半田ボール3を仮固定した。これをIRリフロー炉(最高温度245℃)を通過させて半導体装置Aを得た。
この半導体装置Aについて導通試験を行い、導通するチップ数/総チップ数(20個)を測定した。
【0064】
(f)実装後の導通試験II
図2に示すように、銅電極5を施したBT基板6上に実施例1乃至3、比較例1乃至4の樹脂組成物2を滴下し、この上から半田ボール(Sn/Ag/Cu=96.5/3.0/0.5)3を施したチップ7を搭載し、230℃/0.1MPa/10秒の条件で仮固定した。これをIRリフロー炉(最高温度260℃)を通過させ半導体装置Bを得た。
この半導体装置Bについて導通試験を行い、導通するチップ数/総チップ数(20個)を測定した。
【0065】
(g)耐冷熱サイクル試験I
上記と同様に作製した半導体装置Aを−60℃/10分と150℃/10分を500回、1000回、2000回往復させ、クラック・剥離発生チップ数/総チップ数(10個)を測定した。
【0066】
(h)耐冷熱サイクル試験II
上記と同様に作製した半導体装置Bを−60℃/10分と150℃/10分を500回、1000回、2000回往復させ、クラック・剥離発生チップ数/総チップ数(10個)を測定した。
【0067】
(i)吸湿リフロー試験I
上記と同様に作製した半導体装置Aを85℃/85%RH/168時間の条件で吸湿させた後に、IRリフロー炉(最高温度245℃)を通過させ、クラック・剥離発生チップ数/総チップ数(10個)を測定した。
【0068】
(j)吸湿リフロー試験II
上記と同様に作製した半導体装置Bを85℃/85%RH/168時間の条件で吸湿させた後に、IRリフロー炉(最高温度260℃)を通過させ、クラック・剥離発生チップ数/総チップ数(10個)を測定した。
【0069】
【表1】
Figure 0003944737
【0070】
【表2】
Figure 0003944737
【0071】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、200℃以上の高温での潜在性と硬化性を両立し得、特に半導体素子の表面の被覆・封止、とりわけNo Flow型のアンダーフィル材として好適なエポキシ樹脂組成物が得られる。
このエポキシ樹脂組成物を用いて封止された半導体装置は、信頼性に優れるものである。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における半田ボールとの濡れ性の測定方法の説明図であり、(a)は試験片の構成を示す概略斜視図であり、(b)は該試験片の接触角を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例における試験に用いた半導体装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 銅板
2 樹脂組成物(アンダーフィル材)
3 半田ボール
4 接触角
5 銅電極
6 BT基板
7 チップ

Claims (3)

  1. (A)エポキシ樹脂
    (B)成分(A)の硬化剤
    (C)下記一般式(1)で表される硬化促進剤
    を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を製造するに当たり、予め成分(C)を成分(A)の一部又は全部に均一に分散させ、その後、これと成分(B)を含む残りの成分とを混合させることを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0003944737
    (式中、R1乃至R8は炭素数1乃至10の置換又は非置換の一価炭化水素基である。)
  2. 成分(B)が、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
  3. 更に、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体を配合し、成分(B)と共に混合することを特徴とする請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
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