JP3944698B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装備される頭部保護エアバッグ装置、特に、車体のルーフサイドレール部に沿って配設したインフレータから、前記ルーフサイドレール部に沿って折り畳まれて収納されているエアバッグに、ガスを供給可能に構成した頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の頭部保護エアバッグ装置は、例えば、米国特許第5788270号の明細書に示されている。同明細書に示されている頭部保護エアバッグ装置においては、エアバッグが車体のルーフサイドレール部に沿って折り畳まれて収納されているとともに、インフレータが車体のルーフサイドレール部に沿って配設されていて、インフレータからエアバッグの長手方向中間部にガスが供給されて車両前後方向に分配されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の頭部保護エアバッグ装置においては、インフレータが車体のルーフサイドレール部に沿って配設されていて、このインフレータに乗員の頭部が当接可能であるため、乗員の頭部がインフレータに当接する際の衝撃を吸収する衝撃吸収機構を設ける必要がある。しかし、この衝撃吸収機構をルーフサイドレール部に新たに設けるときには、搭載スペースに制約を受けるとともに、コストも高いものとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した問題に対処すべく、本発明では、車体のルーフサイドレール部に配置したインフレータから、前記ルーフサイドレール部に沿って折り畳まれて収納されているエアバッグに、ガスを供給可能に構成した頭部保護エアバッグ装置において、前記インフレータは車両の前後方向中間部にて前記ルーフサイドレール部に沿って車両前後方向に配置されていて前記エアバッグの上方にて前記ルーフサイドレール部に組付けられており、前記エアバッグの上方にて前記ルーフサイドレール部に配置されるアシストグリップは前記インフレータと車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、同アシストグリップのインフレータ側端部と前記インフレータのアシストグリップ側端部は車両前後方向にて重なることなく近接配置され、前記インフレータのアシストグリップ側端部に対して前記アシストグリップのインフレータ側端部が車幅方向の中央に向けて所定のオフセット量で配置されていること(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】
この場合において、前記インフレータと前記アシストグリップは車両前後方向にて所定の間隔で配置されていて、着座状態の乗員頭部が前記インフレータおよび前記アシストグリップと車両前後方向にて重なること(請求項2に係る発明)が望ましい。
【0006】
また、前記間隔(インフレータとアシストグリップ間の車両前後方向での間隔)が90mm以下であること(請求項3に係る発明)が望ましく、前記インフレータにおけるアシストグリップ側端部の車両最内側に対する前記アシストグリップにおけるインフレータ側端部の車両最内側の車幅方向でのオフセット量が10mm以上であること(請求項4に係る発明)が望ましい。これらの場合において、前記アシストグリップが後席用のアシストグリップであり、この後席用アシストグリップの前方に前記インフレータが配設されていること(請求項5に係る発明)も可能である。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明による頭部保護エアバッグ装置(請求項1に係る発明)においては、ルーフサイドレール部に沿って折り畳まれて収納されているエアバッグの上方にて、ルーフサイドレール部に配置されるアシストグリップとインフレータが車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、アシストグリップのインフレータ側端部とインフレータのアシストグリップ側端部は車両前後方向にて重なることなく近接配置されているため、仮に、乗員の頭部がインフレータに当接する場合でも、乗員の頭部がインフレータに当接する前に、車室内に張り出すようにして設けられているアシストグリップにて乗員の頭部を受承することが可能である。
【0008】
ところで、アシストグリップは、車室内に張り出すようにして設けられていて、本来、衝撃吸収機能を有しているため、乗員の頭部が当接する際にはその衝撃を吸収することが可能である。このため、インフレータに対して衝撃吸収部材を新たに配置する必要がなくて、搭載効率を高めること(エアバッグ、インフレータ等を収納するルーフサイドレール部の小型化を図ること)が可能であるとともに、コストアップを抑えることが可能である。
【0009】
また、ルーフサイドレール部に配置されるアシストグリップとインフレータが車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、アシストグリップのインフレータ側端部とインフレータのアシストグリップ側端部が車両前後方向にて重なることなく近接配置されているため、車両上下方向に短く車両前後方向に長いルーフサイドレール部の構成を有効に活用することが可能であり、搭載効率の向上を図りながら、インフレータとアシストグリップを容易に配置することが可能である。また、インフレータのアシストグリップ側端部に対してアシストグリップのインフレータ側端部が車幅方向の中央に向けて所定のオフセット量で配置されているため、乗員の頭部がインフレータに当接する前に、乗員の頭部をアシストグリップに積極的に当接させることができて、アシストグリップにて衝撃を効果的に吸収することができる。
【0010】
また、本発明による頭部保護エアバッグ装置(請求項2に係る発明)においては、インフレータとアシストグリップが車両前後方向にて所定の間隔で配置されていて、着座状態の乗員頭部がインフレータおよびアシストグリップと車両前後方向にて重なるように設けられているため、乗員の頭部が車幅方向に移動する際には、乗員の頭部がインフレータに当接する前に、乗員の頭部をアシストグリップに当接させることができて、アシストグリップにて衝撃を吸収することができる。
【0011】
また、本発明において、インフレータとアシストグリップ間の車両前後方向での間隔を90mm以下とした場合(請求項3に係る発明の場合)には、乗員の頭部が上記した間隔に入り込むことがなくて、上記したアシストグリップによる衝撃吸収作用が的確に得られる。
【0012】
また、本発明において、インフレータにおけるアシストグリップ側端部の車両最内側に対するアシストグリップにおけるインフレータ側端部の車両最内側の車幅方向でのオフセット量を10mm以上とした場合(請求項4に係る発明の場合)には、乗員の頭部がインフレータに当接する前に、乗員の頭部をアシストグリップに確実に当接させることができるとともに、乗員の頭部がインフレータに当接するまでの領域にて衝撃を必要十分に吸収することが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は本発明による頭部保護エアバッグ装置を示していて、この頭部保護エアバッグ装置は、車室内の側部にてカーテン状に膨張展開して前席乗員の頭部(図示省略)と後席乗員の頭部Hr(図2の仮想線参照)を保護するエアバッグ10と、このエアバッグ10にディフューザ21を介してガスを供給するインフレータ22を備えている。
【0014】
エアバッグ10は、上下方向にて蛇腹状に折り畳んだ状態で、車体のルーフサイドレール部31とルーフヘッドライニング41の側方周縁部との間に形成された空間において、ルーフサイドレール部31に沿って収納されており、その長手方向中間部(車体のBピラー部32に対応する部位)にはガス供給口11が設けられている。また、このエアバッグ10においては、インフレータ22からディフューザ21を介してガス供給口11に供給されたガスが、ガス供給口11の下端に略直交するようにして設けられて前後方向に延びるガス通路(図示省略)にて車両前後方向に分配されるようになっている。
【0015】
ディフューザ21は、略J字状に形成されていて、インフレータ22のガス噴射口に気密的かつ一体的に連結固定された状態で、エアバッグ10のガス供給口11に締付バンド23を用いて気密的に組付けられている。インフレータ22は、車両の側突時またはロールオーバー時等にガスをエアバッグ10に向けて噴出供給するものであり、図1にて示したように、エアバッグ10の上方にて前後一対のブラケット24を用いてルーフサイドレール部31に組付けられている。また、インフレータ22は、その本体(剛性の高い部材)がむき出しの状態(ディフューザ等で外周を空間を隔ててカバーされていない状態)で、車両の前後方向中間部においてルーフサイドレール部31に沿って前後方向に配置されていて、折り畳まれた状態のエアバッグ10とともにルーフヘッドライニング41によって覆われるようになっている。
【0016】
ところで、この実施形態においては、図1および図2に示したように、車室内に所要量張り出すようにしてルーフサイドレール部31に設けられている後席用のアシストグリップ50がインフレータ22と車両前後方向にて離れた状態で設けられ、このアシストグリップ50に近接してインフレータ22が配置されていて、インフレータ22とアシストグリップ50間の車両前後方向での間隔Dが90mm以下とされ、インフレータ22におけるアシストグリップ側端部の車両最内側に対するアシストグリップ50におけるインフレータ側端部の車両最内側の車幅方向でのオフセット量Wが10mm以上とされており、着座状態にある後席乗員の頭部Hrがインフレータ22およびアシストグリップ50と車両前後方向にて重なるようになっている。
【0017】
アシストグリップ50は、車室内からの衝撃を塑性変形にて吸収可能な合成樹脂によって形成された部品であり、インフレータ22の車両後方にてルーフヘッドライニング41を貫通する前後一対の脚部51にて連結手段(図示省略)を用いてブラケット33に組付けられている。ブラケット33は、図2に示したように、平面視にて略U字状に形成されていて、ルーフサイドレール部31に予め組付けられており、アシストグリップ50を介して伝達される車室内からの衝撃を塑性変形にて吸収可能である。
【0018】
上記のように構成したこの実施形態の頭部保護エアバッグ装置においては、通常時、エアバッグ10が上下方向にて多重に折り畳まれた状態で、図1に示したように、ルーフサイドレール部31に沿って格納されていて、インフレータ22およびディフューザ21等とともにルーフヘッドライニング41により覆われている。
【0019】
また、車両の側突時やロールオーバー時等の異常時において該当するセンサ(図示省略)が検知する加速度が設定値以上で、折り畳まれて収納されているエアバッグ10のガス供給口11にインフレータ22からディフューザ21を通してガスが供給されると、供給ガスによってエアバッグ10の膨張部が膨張展開するのに伴って、ルーフヘッドライニング41の周縁部が押し開かれて、エアバッグ10全体が車室内の側部にてカーテン状に膨張展開し、前席乗員の頭部(図示省略)と後席乗員の頭部Hr(図2の仮想線参照)を保護する。
【0020】
また、この実施形態の頭部保護エアバッグ装置においては、ルーフサイドレール部31に沿って折り畳まれて収納されているエアバッグ10の上方にて、ルーフサイドレール部31に配置されるアシストグリップ50とインフレータ22が車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、アシストグリップ50のインフレータ側端部とインフレータ22のアシストグリップ側端部は車両前後方向にて重なることなく近接配置されているため、仮に、後席乗員の頭部Hrがルーフヘッドライニング41を介してインフレータ22に当接する場合でも、後席乗員の頭部Hrがインフレータ22に当接する前に、車室内に所要量張り出すように設けられているアシストグリップ50にて後席乗員の頭部Hrを受承することが可能である。
【0021】
ところで、アシストグリップ50は、車室内に所要量張り出すようにして設けられていて、本来、衝撃吸収機能を有している部品であり、車室内からの衝撃をそれ自体の塑性変形とブラケット33の塑性変形にて吸収可能であるため、後席乗員の頭部Hrが当接する際にはその衝撃を吸収することが可能である。このため、インフレータ22に対して衝撃吸収部材を新たに配置する必要がなくて、搭載効率を高めること(エアバッグ10、インフレータ22等を収納するルーフサイドレール部31の小型化を図ること)が可能であるとともに、コストアップを抑えることが可能である。
【0022】
また、この実施形態の頭部保護エアバッグ装置においては、ルーフサイドレール部31に配置されるアシストグリップ50とインフレータ22が車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、アシストグリップ50のインフレータ側端部とインフレータ22のアシストグリップ側端部が車両前後方向にて重なることなく近接配置されているため、車両上下方向に短く車両前後方向に長いルーフサイドレール部31の構成を有効に活用することが可能であり、搭載効率の向上を図りながら、インフレータ22とアシストグリップ50を容易に配置することが可能である。
【0023】
また、この実施形態の頭部保護エアバッグ装置においては、インフレータ22とアシストグリップ50が車両前後方向にて所定の間隔Dで配置されていて、着座状態にある後席乗員の頭部Hrがインフレータ22およびアシストグリップ50と車両前後方向にて重なるように設けられているため、後席乗員の頭部Hrが車幅方向に移動する際には、後席乗員の頭部Hrがインフレータ22に当接する前に、後席乗員の頭部Hrをアシストグリップ50に当接させることができて、アシストグリップ50にて衝撃を吸収することができる。
【0024】
また、この実施形態の頭部保護エアバッグ装置においては、インフレータ22のアシストグリップ側端部に対してアシストグリップ50のインフレータ側端部が車幅方向の中央に向けて所定のオフセット量Wで配置されているため、後席乗員の頭部Hrがインフレータ22に当接する前に、後席乗員の頭部Hrをアシストグリップ50に積極的に当接させることができて、アシストグリップ50にて衝撃を効果的に吸収することができる。
【0025】
また、この実施形態では、インフレータ22とアシストグリップ50間の車両前後方向での間隔Dが90mm以下とされているため、後席乗員の頭部Hrが上記した間隔Dに入り込むことがなくて、上記したアシストグリップ50による衝撃吸収作用が的確に得られる。
【0026】
また、この実施形態では、インフレータ22におけるアシストグリップ側端部の車両最内側に対するアシストグリップ50におけるインフレータ側端部の車両最内側の車幅方向でのオフセット量Wが10mm以上とされていて、後席乗員の頭部Hrがインフレータ22に当接する前に、後席乗員の頭部Hrをアシストグリップ50に確実に当接させることができるとともに、後席乗員の頭部Hrがインフレータ22に当接するまでの領域にて衝撃を必要十分に吸収することが可能である。
【0027】
上記実施形態においては、図2に示したように、ブラケット33を平面視にて略U字状に形成するだけの構成で実施したが、このブラケット33とルーフサイドレール部31間の空間部に衝撃吸収部材(図示省略)を配置して実施することも可能である。この場合には、ブラケット33とルーフサイドレール部31間の空間部を有効に活用して、衝撃吸収効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による頭部保護エアバッグ装置の一実施形態を概略的に示した要部側面図である。
【図2】 図1の2−2線に沿った拡大断面図である。
【符号の説明】
10…エアバッグ、11…ガス供給口、21…ディフューザ、22…インフレータ、24…ブラケット、31…ルーフサイドレール部、32…Bピラー部、33…ブラケット、41…ルーフヘッドライニング、50…アシストグリップ、D…車両前後方向での間隔、W…車幅方向でのオフセット量。
Claims (5)
- 車体のルーフサイドレール部に配置したインフレータから、前記ルーフサイドレール部に沿って折り畳まれて収納されているエアバッグに、ガスを供給可能に構成した頭部保護エアバッグ装置において、前記インフレータは車両の前後方向中間部にて前記ルーフサイドレール部に沿って車両前後方向に配置されていて前記エアバッグの上方にて前記ルーフサイドレール部に組付けられており、前記エアバッグの上方にて前記ルーフサイドレール部に配置されるアシストグリップは前記インフレータと車両前後方向にて離れた状態で設けられていて、同アシストグリップのインフレータ側端部と前記インフレータのアシストグリップ側端部は車両前後方向にて重なることなく近接配置され、前記インフレータのアシストグリップ側端部に対して前記アシストグリップのインフレータ側端部が車幅方向の中央に向けて所定のオフセット量で配置されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
- 請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記インフレータと前記アシストグリップは車両前後方向にて所定の間隔で配置されていて、着座状態の乗員頭部が前記インフレータおよび前記アシストグリップと車両前後方向にて重なることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
- 請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記間隔が90mm以下であることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
- 請求項1乃至3の何れか一項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記インフレータにおけるアシストグリップ側端部の車両最内側に対する前記アシストグリップにおけるインフレータ側端部の車両最内側の車幅方向でのオフセット量が10mm以上であることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記アシストグリップが後席用のアシストグリップであり、この後席用アシストグリップの前方に前記インフレータが配置されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
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2001
- 2001-11-02 JP JP2001337386A patent/JP3944698B2/ja not_active Expired - Lifetime
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