JP3944473B2 - 遮音性軽量構造部材 - Google Patents
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Description
また、軽金属、例えばアルミニウムからなるハニカム構造体(アルミハニカム)と表面板の間にクロロプレンゴムのようなゴム状弾性体を積層したものもある。そして、例えば車両用床板として使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
アルミハニカムと表面板の間にクロロプレンゴムのようなゴム状弾性体を積層し、音(音波)が原因となる振動を遮断しても、ゴム状弾性体はアルミハニカムあるいは表面板と接着されていることにより、一体化した構造部材の効果を持つこととなり、同様に単層構造に似た遮音性(「質量則」に従う透過損失)となるといった欠点があった。
前記繊維材料としてポリエステル繊維が使用され、周波数315〜630Hzでの音の透過損失が周波数と透過損失の質量則からの透過損失を5〜8dB、同1000〜2000Hzでの音の透過損失が同質量則からの透過損失を2dB、各々上回る。
周波数100〜400Hzでの音の透過損失の改善は最大5dBである。
前記多孔質成型体が発泡アルミニウムであることが好ましい。前記繊維材料にグラスウールを使用することができる。
断面が凹形状の溝を有する多孔質成型体を芯材として、金属薄板をその両面に接着した構造部材にする。芯材に凹形状の溝を設けることで2重壁効果が得られ遮音性が向上する。また、凹形状の溝がある面は、多孔質成型体と金属板が全面で接着されていないため、音による振動が伝播しにくく遮音性には有効である。
なお、音の透過(遮音)損失は、遮音体(遮音構造部材)の単位当たりの重量が重い程大きくなる。また、周波数が高いほど透過損失は大きくなる。このことは、一般に「質量則」と称されている。
図1は、本発明の遮音性軽量構造部材1の部分的な横断面の模式図である。すなわち、切削加工により多孔質成型体に凹形状の溝6を加工した部分である。なお、切削加工に替えて、圧縮加工を採用することもできる。
すなわち、図1は、この多孔質成型体を芯材とし、両面に金属板を接着した構造部材である。なお、この構造部材では、多孔質成型体は発泡アルミニウム3(神鋼鋼線工業(株)製)で、金属板はアルミニウム板2である。
次に、本発明の遮音性軽量構造部材1の諸元を示す。
[諸元]
構造部材:縦1m、横1m
多孔質成型体:発泡アルミニウム(神鋼鋼線工業(株)製)
多孔質成型体の厚み:20mm
多孔質構造体の凹形状の溝:幅160mm、長さ920mm、深さ10mm
金属板:アルミニウム
金属板の厚み:凹形状の溝側0.8mm、凹形状の溝を設けていない側1.0mm
繊維材料:ポリエステル繊維
制振材料:ブチルゴム
制振材料の形状:幅120mm(多孔質構造体の凹形状の幅の75%)、厚み1mm
なお、アルミニウムである金属板の厚みを上記0.8mmの替わりに0.5mmの場合、繊維材料としてグラスウール、制振材料の形状として多孔質構造体(発泡アルミニウム)の凹形状の幅一杯である160mmにした場合、いずれも遮音性には変わりは見られない。制振材料がブチルゴムに制限されるものでもない。なお、制振材料の厚みを1mmを越えて、1mm〜3mmとした場合、遮音性は変化する。
図3は、前記諸元を持つ本発明の遮音性軽量構造部材1の状況、すなわち、断面が凹形状である溝を発泡アルミニウム3の片面に複数設け、その複数の溝内にポリエステル繊維4を充填した状況等を示している。そして、複数の溝6開口端を覆う前記金属板であるアルミニウム板2部分上に制振材料であるブチルゴム5を接着一体化してある。発泡アルミニウム3の片面における断面が凹形状である溝6の幅は160mmで、長さ920mmのものが4溝設けられている。
には透過損失(dB)で、図中の直線は周波数と透過損失における質量則である。周波数315〜630Hzにおいて5〜8dB、1000〜2000Hzにおいて2dB程度は、質量則を各々上回る透過損失があり、遮音性に優れることがわかる。
なお、制振材料であるブチルゴム5は、アルミニウム板2部分の上であっても、アルミニウム板2部分の下、すなわち、アルミニウム板2とポリエステル繊維の間であっても、同様の結果であった。
すなわち、溝6にポリエステル繊維4を挿入すると、挿入することにより250〜2000Hzの広域全周波数において遮音性が3〜10dB改善されることがわかる。
次に、寸法が図3における遮音性軽量構造部材1における制振材料による遮音効果を示す。すなわち、発泡アルミニウムの凹形状の溝開口端を覆うアルミニウム板に制振材料を接着一体化している。その結果を表3に示す。
これらは、表4、5から単層構造に似た遮音特性、つまり質量則に従うことが示される。これら表4、5の結果は、従来からの考えを示したものであって、本発明に対する比較例として示した。
凹形状の溝6の幅(w)については、幅80mmと幅160mmで遮音性を比較した。ただし、断面が凹形状である単数若しくは複数(n、但しnは1以上の整数)の溝6内に繊維材料であるポリエステル繊維材料4を充填した構造部材1において、溝6の幅(w)並びに長さ(L)で構成される溝開口端全面積(D=w×L×n)を一定値として検討した。
また、断面が凹形状である複数(n)の溝6の幅(w)と長さ(L)は、全ての溝の各面積(w×L)は同じとし、制振材料5は使用しない状況で確認した。
すなわち、幅80mmの状況を図4に、幅160mmの状況は図1と同様の状況である。その結果の表6(幅80mm)、表7(幅160mm)から、凹形状の溝6の幅(w)の広い方が遮音性に優れているのが示される。
なお、上記のデータは、音以外に重量を7.9〜12Kg/m2、剛性では1m×1mの構造部材でその支点間距離0.975mの中央集中荷重60Kgfの試験でたわみ量1mm程度を実現している構造部材のものです。床以外の土木・建築用構造部材には床のほか壁や天井などがありますが、床ほどの剛性を必要としないため、上述以上の設計の自由度があり、たとえば天井材などではさらに透過損失を改善できるものである。
2 金属板(アルミニウム板)
3 多孔質成型体(発泡アルミニウム)
4 繊維材料(ポリエステル繊維材料)
5 制振材料(ブチルゴム)
6 溝
Claims (5)
- 芯材として多孔質成型体を用い、前記多孔質成型体の両面に接着一体化された金属板を備えてなる構造部材であって、
前記多孔質成型体は少なくとも一方の面に前記金属板に覆われた単数若しくは複数の断面が凹形状である溝を有し、
前記溝には繊維材料が充填されており、
前記金属板における前記溝の開口端を覆う部分の溝側または外方側に前記溝の幅以下の幅を有する制振材料が接着一体化されている
ことを特徴とする遮音性軽量構造部材。 - 前記繊維材料としてポリエステル繊維が使用され、
周波数315〜630Hzでの音の透過損失が周波数と透過損失の質量則からの透過損失を5〜8dB、同1000〜2000Hzでの音の透過損失が同質量則からの透過損失を2dB、各々上回る
請求項1記載の遮音性軽量構造部材。 - 前記繊維材料としてポリエステル繊維が使用され、
周波数100〜400Hzでの音の透過損失の改善が最大5dBである
請求項1記載の遮音性軽量構造部材。 - 前記多孔質成型体が発泡アルミニウムである
請求項1ないし請求項3のいづれか1項に記載の遮音性軽量構造部材。 - 前記繊維材料がグラスウールである
請求項1記載の遮音性軽量構造部材。
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