JP3942983B2 - 熱自立型固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents

熱自立型固体酸化物形燃料電池システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱自立型固体酸化物形燃料電池システムに関し、より具体的には全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時おいても熱自立させるようにしてなる熱自立型固体酸化物形燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cells)は850〜1000℃程度という高温で運転されるが、最近ではそれより低温、例えば750℃程度というような温度で運転されるものも開発されつつある。従来、SOFCを運転するに際しては、全負荷運転が基本であり、しかも常時運転することが想定されている。しかし、現実には、例えば昼間に全負荷運転をし、夜間には低負荷運転をすることが考えられる。
【0003】
SOFCにおいては、上記のように高温で運転され、全負荷運転時には熱余り状態であるが、低負荷運転時には電池内部の発熱に比して外部への散熱が大きくなってくる。この場合でも、熱自立すること、すなわちSOFCの運転時に、発電に関して発生する熱とは別に別途余分なエネルギーを無駄に消費することなく、運転温度が所定の温度に維持され、保温される状態とすることが必要である。
【0004】
ところで、SOFCシステムは、一般的には、そのシステムのスケールが小さい場合には全負荷運転時でも熱自立させることは困難である。これに対して、システムのスケールが大きい場合には、内部発熱に対して外部への放熱量が小さくなるため、システムのスケールが小さい場合に比べれば熱自立は容易となり、オフガスを燃焼させて熱回収をしなくても熱自立するようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、SOFCシステムでは、スケールが大きい場合には、全負荷運転時には熱余り状態であるが、しかし部分負荷運転時には熱不足状態となる。このため、部分負荷運転時には熱不足を補って熱自立させることが望まれる。
【0006】
本発明は、SOFCシステムにおける以上のような事情に鑑みてなされたものであり、SOFCシステムにおいて、全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時においても熱自立を図るようにしてなる熱自立型固体酸化物形燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【0008】
本発明は(2)、上記(1)の熱自立型固体酸化物形燃料電池システムにおいて、スタックへの空気供給用導管に電気ヒーターを設け、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、該水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するとともに、その熱量不足分を電気ヒーターによる加熱で補うようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【0009】
本発明は、(3)断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を、スタックへの燃料供給用導管に連結するとともに、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガスの一部をスタックへの燃料に供給してリサイクルさせるとともに、残りの燃料極オフガスをCO変成器を経て水素吸蔵体容器に供給して水素を貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【0010】
本発明は、(4)断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を、順次、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素をCO2除去器、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、断熱容器内にSOFCスタック及びオフガス燃焼部を配置してなるSOFCシステムを対象とする。そして、このシステムに水素吸蔵体を充填した容器、すなわち水素吸蔵体容器を併置することにより、全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時においても熱自立を図るようにしてなることを特徴とする。断熱容器に配置する断熱材としてはスラグウールやガラスウール、あるいは各種耐火物その他適宜の材料が用いられる。
【0012】
水素吸蔵体としては、水素含有ガスから水素を選択的に吸蔵し、水素以外のガスは吸蔵しないか、実質上吸蔵しない材料であれば特に限定はないが、その例としては、例えば水素吸蔵合金(Hydrogen Storage Alloy)やカーボンナノチューブなどが挙げられる。これによって燃料極オフガス中の水素を選択的に貯蔵し、貯蔵された水素は加熱することにより放出される。水素吸蔵合金としては、例えばTiFe0.9Mn0.1、Mg2Ni、CaNiS、LaNi5、LaNi4.7Al0.3、MmNi4.5Al0.5(Mm=ミッシュメタル)、MmNi4.15Fe0.85(Mm=ミッシュメタル)などが挙げられるが、これらに限らず、水素含有ガスから水素を選択的に吸蔵するものであればいずれも使用できる。
【0013】
ところで、SOFCスタックにおける燃料利用率は高々80〜85%程度である。スタックで利用されない残余の20〜15%の燃料は燃料極オフガス中にH2やCOとして含まれて排出される。従来、燃料極オフガスは、オフガス燃焼部で空気極オフガスで燃焼させ、燃焼ガスをSOFCスタックに供給する燃料及び空気の加熱に利用した後、SOFCシステム外へ排出することが考えられている。
【0014】
これに対して、本発明においては、SOFCシステムに水素吸蔵体容器を併置する。そして、全負荷運転時においてSOFCスタックで利用されないで燃料極オフガス中に含まれる水素を水素吸蔵体に吸蔵させておき、その吸蔵水素を部分負荷運転時に放出して燃料として利用することにより、部分負荷運転時おいても熱自立を図るものである。
【0015】
図1は、従来のSOFCシステムにおける全負荷運転時の熱バランスを説明する図である。図1のとおり、断熱容器内にSOFCスタックとオフガス燃焼部が収容されている。ここで、SOFCスタックの出力が10kWのシステムの場合を例にすると、その仕様は表1のようになり、全負荷運転時の熱バランスは表2のようになる。
【0016】
熱回収後の排ガス温度は約230℃であり、熱バランスはQ1+Q5=Q3+Q6=20kWとなる。しかし、これはQ1+Q5≦Q3+Q6において、その≦のうち=の場合であり、SOFCスタックにおいては、通常、全負荷運転時には通常熱余りの状態、すなわちQ1+Q5<Q3+Q6となる。
【0017】
【表1】
Figure 0003942983
【0018】
【表2】
Figure 0003942983
【0019】
一方、同じくSOFCスタックの出力が10kWのシステムを20%の部分負荷で運転する場合、つまり2kWの発電時の熱収支は表3のとおりとなる。ここでの熱バランスはQ1+Q5=4.9kW>Q3+Q6=4.4kWとなる。すなわち放散熱の方が発熱量よりも大きくなり、熱バランスが崩れる。
【0020】
【表3】
Figure 0003942983
【0021】
そこで、本発明においては、全負荷運転時に、燃料極オフガスを燃焼させずに、水素吸蔵体を利用して、これに当該燃料極オフガス中の水素を貯蔵しておく。そして、部分負荷運転時に、この貯蔵水素を水素吸蔵体から放出して発電を行うことによって熱自立を達成し、システム効率を向上させるものである。以下、さらに詳しく本発明の態様を説明する。
【0022】
〈本発明の態様1〉
断熱容器内にSOFCスタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、水素吸蔵体容器を配置し、水素吸蔵体容器にスタックからの燃料極オフガス導管を連結する。ここで、水素吸蔵体容器は断熱容器外に配置される。そして、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を放出し、これを燃料として発電するようにする。これにより全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時においても熱自立させることができる。
【0023】
〈本発明の態様2〉
上記態様1の構成に加え、さらにSOFCスタックへの空気供給用導管に電気ヒーターを設ける。そして、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に吸蔵し、部分負荷運転時には、該水素吸蔵体容器中の水素を放出し、これを燃料としてSOFCスタックで発電するとともに、その熱量不足分を電気ヒーターによる加熱で補うようにする。これにより全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時にも熱自立させることができる。
【0024】
〈本発明の態様3〉
断熱容器内にSOFCスタック及び及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、CO変成器及びこれに連なる水素吸蔵体容器を配置し、且つ、SOFCスタックからの燃料極オフガス導管を、SOFCスタックへの燃料供給用導管に連結するとともに、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に連結する。ここで、CO変成器及び水素吸蔵体容器は断熱容器外に配置される。
【0025】
そして、全負荷運転時には、燃料極オフガスの一部をスタックへの燃料に供給してリサイクルさせるとともに、残りの燃料極オフガスをCO変成器を経て水素吸蔵体容器に供給して水素を貯蔵する。一方、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を放出し、これを燃料として発電するようにする。このように燃料極オフガスの一部をスタックに供給する燃料に混入してリサイクルさせることで、燃料の内部改質に必要な水蒸気を賄うとともに、部分負荷運転時に水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電することで熱自立を図ることができる。
【0026】
本態様においては、CO変成器での変成反応(CO+H2O→H2+CO2)により燃料極オフガス中のCOを水素に変えるので、水素吸蔵体容器にはその分多くの水素が貯蔵される。部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器に貯蔵した水素を放出し、これを燃料として発電するので、水(水蒸気)を付加して燃料を改質する必要がない。このため、燃料極オフガスは、部分負荷運転時にはリサイクルさせる必要がなく、供給空気及び供給水素の加熱用にのみ使用される。この場合、オフガス燃焼部で燃料極オフガスを空気極オフガスで燃焼させ、燃焼ガスをそれら供給ガスの加熱に使用する。
【0027】
〈本発明の態様4〉
断熱容器内にSOFCスタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵体容器を併置し、スタックからの燃料極オフガスを、順次、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵体容器に通すように構成する。ここで、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵体容器は断熱容器外に配置される。そして、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素をCO2除去器、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を放出しこれを燃料として発電するようにする。
【0028】
SOFCスタックの全負荷運転時においては、燃料極オフガス中には電池反応により生成した多量の二酸化炭素(CO2)が含まれている。このCO2に起因して、CO変成器でのCO変成効率及び水素吸蔵体による水素吸蔵効率が低下する。そこで、本態様においては、CO2除去器によりCO2を除去しておくことで、それら効率低下を防ぎ、効率を向上させることができる。
【0029】
CO2除去器の形式は、燃料極オフガス中のCO2を除去する機能を有するものであれば限定はないが、好ましくは容器内にCO2吸収剤を充填した形式で構成される。CO2吸収剤としては、燃料極オフガス中のCO2を吸収し得る物質が使用される。なお、CO2が吸収される(吸われる)現象には、いわゆる吸収のほか、吸着、また吸着のうち反応あるいは溶解を伴う収着があるが、本明細書では、それら吸着、収着を含めて吸収と指称している。CO2吸収剤は、(1)粒状や顆粒状等として容器内に充填する、(2)ハニカム状耐熱構造基材に担持して容器内に配置するなど適宜の態様で用いることができる。
【0030】
CO2吸収剤の好ましい一例としてリチウム化ジルコニア(Li2ZrO3やLi4ZrO4)を挙げることができる。Li2ZrO3は下記式(1)の反応によりCO2を吸収する。この反応は、可逆反応であり、〔圧力(分圧)条件等の如何により異なるが〕例えば700℃付近を境に、低温では右方向に進み、高温では左方向に進む。しかも、この温度域の反応速度は十分に速く、600℃あたりでは体積比でリチウム化ジルコニアの520倍というようなCO2が吸収される。
本発明においては、このような吸収剤を使用して燃料極オフガス中のCO2をそのような温度域で除去することができる。
【0031】
【化1】
Figure 0003942983
【0032】
例えば、SOFCシステムからの600℃程度の燃料極オフガスをこのリチウム化ジルコニアからなる吸収剤に通してCO2を吸収させ、その吸収が飽和した後、ないしは飽和直前に、今度は例えばSOFCスタックからの700℃程度以上のオフガスもしくは空気をリチウム化ジルコニアに通してCO2を放出させる。この操作を繰り返すことによって、該オフガス中のCO2を除去し、また吸収剤を再生して、繰り返し、該オフガス中のCO2を除去することができる。部分負荷運転時には、導入空気量も少なく、発電用燃料として水素を用いることから、都市ガスのような炭化水素の内部改質も不要となるので、オフガス温度を高く設定することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。以下、水素吸蔵体として水素吸蔵合金を用いた例を示しているが、カーボンナノチューブなど他の水素吸蔵体を用いる場合についても同様である。
【0034】
〈実施例1〉
図2〜3は本実施例1を示す図である。図2は全負荷運転時、図3は部分負荷運転時を示している。断熱容器内にSOFCスタック及びオフガス燃焼部が配置され、断熱容器外にCO変成器及び水素吸蔵合金容器が配置されている。図2のとおり、全負荷運転時においては、燃料極オフガスをスタックに導入する燃料及び空気と熱交換した後、CO変成器を経て水素吸蔵合金容器に導入する。燃料極オフガス中の水素が水素吸蔵合金容器に貯蔵される。
【0035】
空気極オフガスは熱交換器1に通して導入燃料及び空気の加熱源として利用する。空気極オフガスは、オフガス燃焼部を経由して熱交換器1に通してもよく、オフガス燃焼部の前で分岐して熱交換器1に通してもよい。図2はオフガス燃焼部経由の場合を示している。なお、図2〜3において、実線で示す配管は流体が矢印(→)の方向に流れていることを示し、点線で示す配管は流体が流れていないことを示している。この点、以下の図面についても同様である。
【0036】
本実施例においては、CO変成器によってCOを水素に変成しているので、燃料極オフガス中の可燃ガスの殆どを水素として回収することができる。ここで、SOFCスタックの出力が10kWのシステムの場合、回収される水素の発熱量は5.7kWになる。全負荷運転時間を16時間とすると、5.7×103×3600×8=1.6×108Jに相当する水素が回収され貯蔵される。
【0037】
一方、部分負荷運転時には、図3のとおり、水素吸蔵合金容器中の水素を放出させ、放出水素を燃料として発電する。水素の放出は水素吸蔵合金を加熱することで行う。部分負荷運転時での燃料極オフガスは、オフガス燃焼部で空気極オフガスで燃焼させる。燃焼排ガスは、熱交換器1に導入され、SOFCスタックに供給する水素及び空気を間接熱交換により加熱した後、水素吸蔵合金容器を加熱し、SOFCシステム外へ排出される。水素吸蔵合金に貯蔵されていた水素は該加熱により放出され発電用燃料として使用される。
【0038】
これにより部分負荷運転時においても熱自立させることができる。部分負荷時の燃料利用率が20%の場合の熱バランスは表4のとおりとなり、熱収支はQ1+Q5=Q3+Q6=4.8kWとなる。このときの排ガス温度は1000℃を超える温度となるので、基本的に熱余りの状態であり、部分負荷運転時においても十分に保温することができる。なお、図3中、図2に示すスタックから熱交換器1への燃料極オフガス導管の記載は省略している。
【0039】
【表4】
Figure 0003942983
【0040】
〈実施例2〉
図4は本実施例2を示す図で、部分負荷運転時の状態を示している。実施例1の構成に加え、SOFCスタックへの空気導入管に電気ヒーターが配置されている。全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵合金容器に吸蔵させる。全負荷運転時は電気ヒーターによる加熱の必要はないので図2の状態と同様である。部分負荷運転時には、該水素吸蔵合金容器中の水素を燃料として発電するとともに、その熱量不足分を導入空気の電気ヒーターによる加熱で補う。これにより部分負荷運転時においても熱自立させることができる。
【0041】
〈実施例3〉
図5〜6は本実施例3を示す図である。図5は全負荷運転時、図6は部分負荷運転時を示している。図5〜6のとおり、CO変成器及びこれに連なる水素吸蔵合金容器が配置される。そして、スタックからの燃料極オフガス導管を分岐させ、その一方をSOFCスタックへの燃料供給用導管に連結し、且つ、他方を熱交換器1に連結する。
【0042】
図5のとおり、全負荷運転時には、燃料極オフガスの一部をスタックへの燃料に供給してリサイクルさせ、残りの燃料極オフガスを熱交換器1、CO変成器、熱交換器2を経て水素吸蔵合金容器に供給して水素を貯蔵する。燃料極オフガスの一部をスタックへの燃料に供給してリサイクルさせることで燃料の内部改質に必要な水蒸気を賄い、且つ、部分負荷運転時に水素吸蔵合金容器中の水素を燃料として発電することで熱自立を図ることができる。水は必要に応じて上記水蒸気を補う程度補給する。また、燃料極オフガス中のCOをCO変成器で水素に変えるので、水素吸蔵合金容器にはその分多くの水素が貯蔵される。
【0043】
一方、図6のとおり、部分負荷運転時には、水素吸蔵合金容器中の水素を放出し、これを燃料として発電するので、水(水蒸気)を添加して燃料を改質する必要がない。このため、燃料極オフガスは、部分負荷運転時にはリサイクルさせる必要がなく、オフガス燃焼部で空気極オフガスで燃焼させ、スタックへの供給空気及び供給水素の加熱用にのみ使用される。なお、図6中、図5に示すスタックから熱交換器1への燃料極オフガス導管の記載は省略している。
【0044】
〈実施例4〉
図7〜8は本実施例を示す図である。図7は全負荷運転時、図8は部分負荷運転時を示している。SOFCシステムに、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵合金容器を併置し、SOFCスタックからの燃料極オフガスを、順次、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵合金容器に通すように構成されている。CO2除去器にはCO2吸収剤としてリチウム化ジルコニアを充填している。
【0045】
図7のとおり、全負荷発電時には、燃料極オフガスを順次熱交換器1、CO2除去器、CO変成器、熱交換器2、水素吸蔵合金容器に通し、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵合金容器に貯蔵する。この場合、燃料極オフガス中には電池反応により生成した多量のCO2が含まれている。このCO2に起因して、CO変成器でのCO変成効率及び水素吸蔵合金による水素吸蔵効率が低下する。そこで、本例においてはCO2除去器でCO2を除去しておくことで、それら効率の低下を防ぎ、効率を向上させることができる。
【0046】
一方、図8のとおり、部分負荷運転時においては、水素吸蔵合金容器中の水素を放出し、これを燃料として発電する。H2、H2O、CO、CO2を含む燃料極オフガスを熱交換器1を経てCO2除去器に導入する。CO2の排出温度は700℃程度であるが、部分負荷運転時においては導入空気量は少なく、また燃料の内部改質に必要な熱も必要でない。このためスタックからの燃料極オフガス温度は高く、CO2を700℃程度という高い温度で排出させ、CO2除去器の活性を回復することができる。CO2除去器を出た燃料極オフガスは水素吸蔵合金からの水素放出用熱源として利用する。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、SOFCシステムにおいて、全負荷運転時はもちろん、部分負荷運転時にも熱自立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のSOFCシステムにおける全負荷運転時の熱バランスを説明する図
【図2】実施例1を示す図
【図3】実施例1を示す図
【図4】実施例2を示す図
【図5】実施例3を示す図
【図6】実施例3を示す図
【図7】実施例4を示す図
【図8】実施例4を示す図

Claims (5)

  1. 断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の熱自立型固体酸化物形燃料電池システムにおいて、スタックへの空気供給用導管に電気ヒーターを設け、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素を水素吸蔵体容器に貯蔵し、部分負荷運転時には、該水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するとともに、その熱量不足分を電気ヒーターによる加熱で補うようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システム。
  3. 断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を、スタックへの燃料供給用導管に連結するとともに、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガスの一部をスタックへの燃料に供給してリサイクルさせるとともに、残りの燃料極オフガスをCO変成器を経て水素吸蔵体容器に供給して水素を貯蔵し、部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システム。
  4. 断熱容器内に固体酸化物形燃料電池スタック及びオフガス燃焼部を配置してなるシステムにおいて、スタックからの燃料極オフガス導管を、順次、CO2除去器、CO変成器及び水素吸蔵体容器に連結してなり、全負荷運転時には、燃料極オフガス中の水素をCO2除去器、CO変成器を経て水素吸蔵体容器に貯蔵し、
    部分負荷運転時には、水素吸蔵体容器中の水素を燃料として発電するようにしてなることを特徴とする熱自立型固体酸化物形燃料電池システム。
  5. 前記水素吸蔵体容器に充填する水素吸蔵体が水素吸蔵合金又はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱自立型固体酸化物形燃料電池システム。
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