JP3942409B2 - 沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置 - Google Patents

沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子力発電プラントの原子炉内の炉水の放射線分解により発生し炉水中に含まれる過酸化水素を除去する沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子力発電プラントは、原子炉で発生した蒸気をタービンに導き、タービンに連結された発電機を回転させて発電し、タービンで仕事を終えた蒸気を復水器で復水して再び原子炉に給水するようにしている。この復水器で復水された復水を原子炉に供給する復水系には復水ろ過装置および復水脱塩装置が設けられ、復水ろ過装置で主として復水に含まれるクラッドを除去し、復水脱塩装置で主として復水に含まれるイオン状不純物を除去するようにしている。
【0003】
すなわち、復水脱塩装置はイオン交換樹脂を充填した複数台の復水脱塩塔を有し、通常運転時の復水の浄化に重要な役割を果たすと共に、復水器チューブからの海水漏洩にも対処できるようにしている。
【0004】
一方、原子炉水に含まれる腐食生成物や溶解性無機物などを除去するために原子炉冷却材浄化系が設けられており、原子炉水を原子炉冷却材浄化系の原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置に導き、炉水中に含まれるクラッドおよびイオン状不純物を除去するようにしている。これにより、原子炉水を適正に浄化し高純度の純水に保つ。
【0005】
原子炉停止中においては、原子炉水位を適正に保つため常に適当量の水を原子炉から余剰水として排出し続ける場合がある。また、燃料交換の際には、燃料交換のために上昇させた原子炉水位を元に戻すために一時的に大量の水を原子炉から余剰水として排出する必要がある。すなわち、原子炉の燃料交換の際には、原子炉と燃料プールとの燃料移動経路に水を張り原子炉水位を大きく上昇させ、燃料交換の終了後には元の原子炉水位に戻す。このために一時的に大量の水を原子炉から余剰水として排出する必要がある。
【0006】
これらの原子炉からの余剰水排出にあたっては、原子炉冷却材浄化系の原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で炉水中に含まれるクラッドおよびイオン状不純物を除去した後、その処理水のうち余剰分を液体廃棄物処理系RWに導くようにしている。液体廃棄物処理系では、原子炉冷却材浄化系からの余剰水を一旦RW収集槽に蓄え、液体廃棄物処理系でさらにクラッドおよびイオン状不純物を除去して、浄化された水を復水貯蔵プールにおいて貯蔵し、プラント内での再利用に備えている。
【0007】
ここで、復水系の復水脱塩装置においては、イオン交換樹脂の能力低下時にはイオン交換樹脂を交換することが必要になり、その際には、イオン交換樹脂の費用のほかに使用済みイオン交換樹脂が放射性廃棄物として発生することになる。そのため、イオン交換樹脂の長寿命化を図ることが望まれている。そこで、原子力発電プラントの定検中においては、復水貯蔵プールに貯蔵された水を使用してイオン交換樹脂を逆洗し、イオン交換樹脂の長寿命化を図るようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、復水貯蔵プールに貯蔵される水には過酸化水素が含まれているので、この過酸化水素がイオン交換樹脂を劣化させることになる。すなわち、復水貯蔵プールには、定検中に原子炉冷却材浄化系および液体廃棄物処理系で浄化された水が貯蔵されるが、これら原子炉冷却材浄化系および液体廃棄物処理系では、原子炉水中の過酸化水素を除去することはできず、その水には過酸化水素が含まれたままとなっている。従って、この過酸化水素がイオン交換樹脂を酸化劣化させることになり、さらには過酸化水素を含んだ水が通水する配管やタンク等の鋼材の腐食の一因となる。
【0009】
原子炉水中の過酸化水素は放射線分解により発生し、通常運転中および停止中共に発生しているが、通常運転中は熱分解するので原子炉水中には過酸化水素は含まれていない。一方、定検中の炉水温度は約50℃程度であることから、熱分解が起こりにくく、燃料から出る放射線により一次軽水中の過酸化水素濃度が上昇し過酸化水素(数ppm程度)を含んだ原子炉水となる。
【0010】
この停止中の原子炉水は、原子炉冷却材浄化系の原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置、液体廃棄物処理系のろ過器および脱塩塔で処理されるが、これら原子炉冷却材浄化系や液体廃棄物処理系では過酸化水素は処理されず復水貯蔵プールに移送されることになる。この水を使って復水脱塩装置のイオン交換樹脂の逆洗を行うため、イオン交換樹脂が酸化劣化を起こす。
【0011】
過酸化水素はイオン交換樹脂のカチオン樹脂を酸化し、ポリスチレンスルホン酸PSSを溶出させる。溶出したポリスチレンスルホン酸PSSはイオン交換樹脂のアニオン樹脂に付着してアニオン樹脂の反応速度を低下させ、結果として脱塩率を低下させる。また、過酸化水素によるカチオン樹脂の酸化劣化により、カチオン樹脂から硫酸イオン等が溶出し、イオン交換樹脂の出口の導電率を上昇させる。
【0012】
このように、復水脱塩装置のイオン交換樹脂の劣化の主原因は、この原子力発電プラントの定検中の原子炉水に含まれる過酸化水素の接触によるものと考えられている。このことから、復水脱塩装置のイオン交換樹脂に過酸化水素を含んだ水が接触する前に過酸化水素を分解することが、イオン交換樹脂の寿命伸延となる。
【0013】
本発明の目的は、定検中における原子炉の廃液中の過酸化水素濃度を低減し、復水脱塩装置のイオン交換樹脂を適正に逆洗できる沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わる沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置は、原子炉で発生した蒸気をタービンに導きタービンで仕事を終えた蒸気を復水器で復水し復水ろ過装置および復水脱塩装置で浄化して原子炉に戻す復水系と、原子炉水を原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化して原子炉に戻す原子炉冷却材浄化系と、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を一旦RW収集槽に蓄えRWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系で浄化しRWサンプル槽へ送る液体廃棄物処理系と、前記RWサンプル槽からの浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵しその貯蔵水を前記復水系に設けられた復水脱塩装置に供給する系統を供えた沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置において、前記液体廃棄物処理系の前記RW収集槽の後段で前記2系列の浄化系の一方の前記RWろ過器の前段に原子炉水に含まれる過酸化水素を分解する過酸化水素分解装置を設け、前記原子炉の運転中は前記過酸化水素分解装置が設けられていない浄化系を使用し、前記原子炉の停止中は前記過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用し、前記過酸化水素分解装置は透過する処理水に含まれる過酸化水素を分解する触媒フィルターを有し、前記触媒フィルターは複数枚の触媒コーティング網を処理水の流れ方向に積層して形成され、前記触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速であることを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明に係る沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置においては、沸騰水型発電プラントの定検中に、原子炉冷却材浄化系の原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化された原子炉水を一旦液体廃棄物処理系のRW収集槽に蓄え、RWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系のうち過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用してRW収集槽に蓄えた原子炉水を触媒フィルターを有した過酸化水素分解装置に、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速でかつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速で導いて過酸化水素を分解し、その後にRWろ過器およびRW脱塩塔で水を浄化し、その浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵する。これにより、過酸化水素を含まない水を復水貯蔵プールに蓄えることができる。従って、復水脱塩装置のイオン交換樹脂を逆洗する場合に、イオン交換樹脂の劣化を防止できる。
【0016】
請求項2の発明に係わる沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置は、
原子炉で発生した蒸気をタービンに導きタービンで仕事を終えた蒸気を復水器で復水し復水ろ過装置および復水脱塩装置で浄化して原子炉に戻す復水系と、原子炉水を原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化して原子炉に戻す原子炉冷却材浄化系と、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を一旦RW収集槽に蓄えRWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系で浄化しRWサンプル槽へ送る液体廃棄物処理系と、前記RWサンプル槽からの浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵しその貯蔵水を前記復水系に設けられた復水脱塩装置に供給する系統を供えた沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置において、前記液体廃棄物処理系の前記2系列の浄化系の一方の前記RWろ過器の後段で前記RW脱塩塔の前段に原子炉水に含まれる過酸化水素を分解する過酸化水素分解装置を設け、前記原子炉の運転中は前記過酸化水素分解装置が設けられていない浄化系を使用し、前記原子炉の停止中は前記過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用し、前記過酸化水素分解装置は透過する処理水に含まれる過酸化水素を分解する触媒フィルターを有し、前記触媒フィルターは複数枚の触媒コーティング網を処理水の流れ方向に積層して形成され、前記触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速であることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明に係る沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置においては、沸騰水型発電プラントの定検中に、原子炉冷却材浄化系の原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化された原子炉水を一旦液体廃棄物処理系のRW収集槽に蓄え、RWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系のうち過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用してRW収集槽に蓄えた原子炉水を液体廃棄物処理系のRWろ過器に導いてクラッドを除去し、その後に触媒フィルターを有した過酸化水素分解装置に、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速でかつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速で導いて過酸化水素を分解し、RW脱塩塔にてイオン状不純物を除去して、その浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵する。これにより、RW脱塩塔のイオン交換樹脂の酸化を防止しつつ、過酸化水素を含まない水を復水貯蔵プールに蓄えることができる。従って、復水脱塩装置のイオン交換樹脂を逆洗する場合に、イオン交換樹脂の劣化を防止できる。
【0018】
請求項3の発明に係わる沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置は、請求項1または請求項2の発明において、前記触媒フィルターの触媒として、Pt、Pd、TiO またはZrO を用い、触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が90%以上となる線流速であることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明に係る沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置においては、触媒がPt、Pd、TiO またはZrO である触媒コーティング網構造の触媒フィルターや触媒担持ハニカム構造の触媒フィルターは、処理水が所定の線流速以下ではほとんど差圧を生じることがなく、しかも過酸化水素分解率が90%以上であることから、処理水が過酸化水素分解装置の触媒コーティングを透過する際にほとんど差圧を生じることなく、処理水に含まれる過酸化水素を分解する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置の系統構成図である。
【0025】
図1において、原子炉1で発生した蒸気はタービン2に導かれ、タービン2に回転力を与えて図示省略の発電機を駆動して発電する。タービン2で仕事を終えた蒸気は復水器3で復水され、復水された水は給水ポンプ4により原子炉に戻される。この復水系統には復水中に含まれるクラッドを除去する復水ろ過装置5および復水中に含まれるイオン状不純物を除去する復水脱塩装置6が設けられている。
【0026】
原子炉1には原子炉冷却材浄化系が設けられており、原子炉1からの原子炉水を浄化する。原子炉冷却材浄化系は、原子炉水に含まれる腐食生成物や溶解性無機物などを除去するものであり、原子炉水を原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置13に導き、原子炉水中に含まれるクラッドおよびイオン状不純物を除去し、原子炉水を適正に浄化して原子炉1に戻すようにしている。
【0027】
さらに、この原子炉冷却材浄化系から分岐して液体廃棄物処理系が設けられており、この液体廃棄物処理系は、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を一旦RW収集槽7に蓄え、過酸化水素分解装置8a、8b、RWろ過器9a、9bおよびRW脱塩塔10a、10bの2系列の浄化系で原子炉水を浄化し、その浄化水をRWサンプル槽11を介して復水貯蔵プール12に貯蔵するものである。
【0028】
この液体廃棄物処理系は、原子炉停止中において原子炉水位を適正に保つため常に適当量の水を原子炉1から余剰水として排出し続けた場合や、燃料交換の際に上昇させた原子炉水位を元に戻すために一時的に大量の水を原子炉1から余剰水として排出する場合に、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を浄化して復水貯蔵プール12に送りプラント内での再利用に備えている。
【0029】
ここで、原子炉1の停止中の定検(定期検査)時には、原子炉水には過酸化水素が含まれている。これは、定検中の炉水温度は約50℃程度であることから熱分解が起こりにくく、燃料から出る放射線により過酸化水素が発生するからである。従って、定検中の原子炉水には過酸化水素(数ppm程度)が含まれており、原子炉冷却材浄化系から液体廃棄物処理系に供給される原子炉水にも過酸化水素が含まれている。
【0030】
過酸化水素を含んだ原子炉冷却材浄化系からの原子炉水(低電導度廃液)は一旦RW収集槽7に収集される。そして、過酸化水素を含んだ低電導度廃液は、過酸化水素分解装置8a、8bで過酸化水素が除去され、RWろ過器9a、9bでクラッドが除去され、さらにRW脱塩塔10a、10bでイオン状不純物が除去されて浄化される。
【0031】
このように、過酸化水素分解装置8a、8bは、それぞれの系列のRWろ過器9a、9bの前段に設けられている。過酸化水素分解装置8a、8bをそれぞれの系列のRWろ過器9a、9bの前段に設けたのは、以下の理由による。
【0032】
復水貯蔵プール12の貯蔵水を使って復水脱塩装置6のイオン交換樹脂の逆洗を行うことから、復水貯蔵プール12の後段に過酸化水素分解装置8a、8bを設け、その水に含まれる過酸化水素を除去するのが適切と考えられる。しかし、復水貯蔵プール12には、過酸化水素が発生していない原子炉1の運転中の原子炉水を処理した処理水が大量に貯蔵されている。このことから、復水貯蔵プール12の後段に過酸化水素分解装置8を設けると、膨大な量の処理水を対象として過酸化水素を除去しなければならなくなるからである。
【0033】
このようなことから、原子炉停止中において復水貯蔵プール12に供給される過酸化水素が含まれた原子炉水だけを対象するために、過酸化水素分解装置8a、8bをそれぞれの系列のRWろ過器9a、9bの前段に設けている。
【0034】
以上の説明では、RWろ過器9a、9bの前段に過酸化水素分解装置8a、8bを設けた場合について説明したが、RW脱塩塔10a、10bの前段、つまり、RWろ過器9a、9bとRW脱塩塔10a、10bとの間に設けるようにしても良い。この場合は、RWろ過器9a、9bで低電導度廃液中に含まれるクラッドを除去した後に、低電導度廃液中に含まれる過酸化水素を過酸化水素分解装置8a、8bで分解することになるので、過酸化水素分解装置8a、8bにクラッドが付着することが防止できる。従って、過酸化水素分解装置8a、8bの触媒フィルターが目詰まりを起すことがなくなるので、触媒フィルターの洗浄や交換の必要がなくなる。
【0035】
また、以上の説明では2つの浄化系の双方に過酸化水素分解装置8a、8bを設けた場合に説明したが、いずれか1つの系統に設けるようにしても良い。これは、原子炉1の運転中には原子炉水には過酸化水素は発生しないことから、原子炉1の運転中は、過酸化水素分解装置8を設けていない浄化系を使用し、原子炉1の停止中は、過酸化水素分解装置8を設けている浄化系を使用して、原子炉冷却材浄化系からの低電導度廃液を処理すれば良いからである。
【0036】
次に、過酸化水素分解装置8a、8bは、過酸化水素を分解する能力のある触媒を用いた触媒フィルターで形成される。すなわち、触媒フィルターは、触媒をコーティングした網または触媒を担持したハニカムで形成され、効率的に過酸化水素が分解できる触媒形状としている。これにより、透過する処理水との接触面積を大きくして処理水に含まれる過酸化水素の分解率を高めることができる。触媒としては、貴金属であるRu、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、N型半導体であるTiOまたはZrOを使用することが可能であるが、本発明の実施の形態では、触媒として、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、TiO(酸化チタン)、ZrO(酸化ジルコニウム)のいずれか一つを用いる。
【0037】
そして、例えば、網状に形成されたステンレス鋼に触媒をコーティングして触媒コーティング網を製作し、この触媒コーティング網を用いて触媒コーティング網構造の触媒フィルターを形成する。触媒コーティング網構造の触媒フィルターの場合には、分解率を高めるために、処理水の流れ方向に複数枚の触媒コーティング網を積層して触媒フィルターを形成する。
【0038】
また、例えば、ハニカム構造に形成されたステンレス鋼に触媒を担持して触媒担持ハニカム構造の触媒フィルターを形成する。この場合には、分解率を高めるために、処理水の流れ方向に所定の長さの触媒担持ハニカム構造として形成する。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態での触媒フィルターによる過酸化水素の分解率の特性図であり、600枚のPdコーティング網を積層して形成した触媒コーティング網構造の触媒フィルター(実施例1)、長さが60cmのPt担持ハニカム構造の触媒フィルター(実施例2)、活性炭のカートリッジ(比較例)の各特性を示している。
【0040】
図2から分かるように、実施例1、実施例2、比較例共に処理水の線流速が大きくなるほど過酸化水素の分解率が低下する特性を有し、実施例1および実施例2では、処理水の線流速が小さい領域ではかなり高い分解率を示している。これに対し、比較例では、処理水の線流速が大きい領域より小さい領域での分解率が高い特性は示すが、実施例1および実施例2のように50%以上の分解率には到らない。
【0041】
図3は、図2に示した実施例1、実施例2、比較例の線流速と差圧との特性図である。図3から分かるように、実施例1および実施例2では線流速が小さい領域では処理水が通水されてもほとんど差圧が発生せず、線流速が大きくなると差圧がやや増加する特性を有している。これに対し比較例では小さい領域においても差圧が発生している。
【0042】
従って、本発明では、処理水の線流速の小さい範囲で処理水を過酸化水素分解装置8に供給し、過酸化水素分解装置8の触媒フィルターに差圧がかからないようにすると共に過酸化水素の分解率を高める。また、複数枚の触媒コーティング網を積層したり、触媒ハニカム構造の長さを大きくして分解率を高める。これにより、過酸化水素の分解率を実用的に90%以上に保つことができる。
【0043】
なお、処理水の線流速を小さい範囲としたことに伴い処理水の水量は少なくなるが、過酸化水素分解装置8を復水貯蔵プール12の出口ではなく、液体廃棄物処理系のRWろ過器9a、9bの前段またはRW脱塩塔10a、10bの前段に配置することにより、過酸化水素が含まれる原子炉1からの低電導度廃液のみを処理水とすることが可能となり処理水量を軽減できる。このことから、効率よく過酸化水素を除去できる。また、差圧がほとんど発生しないことから強制的に触媒フィルターに通水するためのポンプも必要ない。
【0044】
また、N型半導体であるTiO(酸化チタン)やZrO(酸化ジルコニウム)を触媒として用いた場合にも、Pd(パラジウム)やPt(白金)の場合とほぼ同様な特性が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、液体廃棄物処理系のRWろ過器の前段またはRW脱塩塔の前段に過酸化水素分解装置を配置するので、過酸化水素を分解する処理水量を軽減でき効率よく過酸化水素を除去できる。
【0046】
また、過酸化水素の分解には、分解率が高く処理水の通水時に差圧が発生しない特性領域を持つ触媒を用いた触媒フィルターを用いるので、過酸化水素を適正に除去できる。さらに、触媒フィルターを用いることから放射性廃棄物の発生がなく消耗もしないので原子力発電プラントの運用も適正にできる。
【0047】
また、復水貯蔵プールに貯蔵される水には過酸化水素を含まないようにできるので、その水を用いて復水脱塩装置のイオン交換樹脂の逆洗を行ってもイオン交換樹脂の劣化を招くことがない。さらに、復水貯蔵プールから水の供給を受ける配管やタンク等の鋼材の酸化腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置の系統構成図。
【図2】本発明の実施の形態での触媒フィルターによる過酸化水素の分解率の特性図。
【図3】図2に示した実施例1、実施例2、比較例の線流速と差圧との特性図。
【符号の説明】
1…原子炉、2…タービン、3…復水器、4…給水ポンプ、5…復水ろ過装置、6…復水脱塩装置、7…RW収集槽、8…過酸化水素分解装置、9…RWろ過器、10…RW脱塩塔、11…RWサンプル槽、12…復水貯蔵プール、13…原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置

Claims (3)

  1. 原子炉で発生した蒸気をタービンに導きタービンで仕事を終えた蒸気を復水器で復水し復水ろ過装置および復水脱塩装置で浄化して原子炉に戻す復水系と、原子炉水を原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化して原子炉に戻す原子炉冷却材浄化系と、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を一旦RW収集槽に蓄えRWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系で浄化しRWサンプル槽へ送る液体廃棄物処理系と、前記RWサンプル槽からの浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵しその貯蔵水を前記復水系に設けられた復水脱塩装置に供給する系統を供えた沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置において、前記液体廃棄物処理系の前記RW収集槽の後段で前記2系列の浄化系の一方の前記RWろ過器の前段に原子炉水に含まれる過酸化水素を分解する過酸化水素分解装置を設け、前記原子炉の運転中は前記過酸化水素分解装置が設けられていない浄化系を使用し、前記原子炉の停止中は前記過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用し、前記過酸化水素分解装置は透過する処理水に含まれる過酸化水素を分解する触媒フィルターを有し、前記触媒フィルターは複数枚の触媒コーティング網を処理水の流れ方向に積層して形成され、前記触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速であることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置。
  2. 原子炉で発生した蒸気をタービンに導きタービンで仕事を終えた蒸気を復水器で復水し復水ろ過装置および復水脱塩装置で浄化して原子炉に戻す復水系と、原子炉水を原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置で浄化して原子炉に戻す原子炉冷却材浄化系と、原子炉冷却材浄化系からの原子炉水を一旦RW収集槽に蓄えRWろ過器およびRW脱塩塔を有する2系列の浄化系で浄化しRWサンプル槽へ送る液体廃棄物処理系と、前記RWサンプル槽からの浄化水を復水貯蔵プールに貯蔵しその貯蔵水を前記復水系に設けられた復水脱塩装置に供給する系統を供えた沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置において、前記液体廃棄物処理系の前記2系列の浄化系の一方の前記RWろ過器の後段で前記RW脱塩塔の前段に原子炉水に含まれる過酸化水素を分解する過酸化水素分解装置を設け、前記原子炉の運転中は前記過酸化水素分解装置が設けられていない浄化系を使用し、前記原子炉の停止中は前記過酸化水素分解装置が設けられた浄化系を使用し、前記過酸化水素分解装置は透過する処理水に含まれる過酸化水素を分解する触媒フィルターを有し、前記触媒フィルターは複数枚の触媒コーティング網を処理水の流れ方向に積層して形成され、前記触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が所定値以上となる線流速であることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置。
  3. 前記触媒フィルターの触媒として、Pt、Pd、TiO またはZrO を用い、触媒フィルターに通水する処理水の線速度は、ポンプによる強制的な通水を必要とする圧損が生じない線流速で、かつ過酸化水素分解率が90%以上となる線流速であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の沸騰水型原子力発電プラントの水処理装置。
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