JP3942388B2 - マイクロポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型、薄型に好適なマイクロポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シリコンに微細加工を施したマイクロマシンにおいて、静電気力で駆動する微小ポンプが提案されている。このような微小ポンプは、小型で低消費電力であるため、体内に埋め込んで微量の薬剤を投与する機器や、小型の化学分析装置に応用できるポンプである。
このような微小なポンプは、シリコン製のものが知られており、今後、医療や化学分析分野等に、益々応用されていくと思われる。この用途に用いられる場合、より小型、薄型であることが望ましく、更に、小型、薄型にもかかわらず、流体の排出量 (移動量)が多いことが望ましい。
【0003】
しかしながら、このような微小なポンプにおいては、微弱な静電気力で駆動するために、ポンプ動作の高速化、流体の排出量(移動量)の増大化を図ることが困難であった。
【0004】
そこで、このような問題を解決すべく、特開2000−314381号公報において、以下のようなポンプが提案されている。
図2は、小型、薄型であって、且つ、流体の排出量(移動量)の増大化を図ることが出来るポンプの断面図である。ポンプ110は、流体が供給されるケーシング114と、ケーシング114の裏面に対向して設けられた入力弁部118、ポンプ部116、及び、出力弁部120と、ケーシング114の裏面に対する入力弁部118、ポンプ部116、及び、出力弁部120の選択的な接近・離反方向の変位動作を通じてケーシング114の裏面に流路を選択的に形成するポンプ本体112とを具備して構成され、流路の選択的形成によって流体の流れを制御するように構成されている。
【0005】
しかしながら、このようなポンプ110においては、次のような問題があった。
即ち、ポンプ部116の変位動作が、振動部142の屈曲運動により起こされているため、加圧力、及び、流体排出のためのストローク量に上限があり、小型、薄型であって、より高性能なポンプを作製する上で、限界があった。振動部の屈曲変形量の上限は、振動部142の破壊強度で制約されるため、より大きな加圧量を得るために、屈曲変形量ひいてはストローク量を増大させようとすると、振動部142の厚さを薄くするのが有効である。しかしながら、そうすると振動部142の剛性が低下し、高速応答性が損なわれる。振動部142の面積を大きくしてもよいが、そうすると、大型の振動部となってしまい、小型化、薄型化に反するポンプとなってしまう。一方、より優れた高速応答性を得るためには剛性を高める必要があり、ポンプ110の振動部142を厚くするのが有効であるが、そうすると変位が小さくなり、所望の加圧量が得られない。
即ち、ポンプ110においては、振動部142の屈曲変形によって、加圧力と高速応答性を両立させていくことは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、より小型、薄型であって、且つ、流体の排出量(移動量)の増大化及び応答性の高速化を図ることが出来るマイクロポンプを提供することを目的とする。
微小なポンプについて、その構造や、変位動作を起こす部位、あるいは、変位動作の起こさせ方等について、検討が重ねられた結果、以下に示すマイクロポンプによって、上記目的が達成されることが見出された。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、少なくとも1つのポンプ部を備えてなり、圧力の働きによって流体を送り得るマイクロポンプであって、ポンプ部は、ポンプユニットから構成され、ポンプユニットは、圧力の変動を起こす少なくとも1つのアクチュエータ部と、流体が流れる流路部と、から構成され、前記アクチュエータ部は、連通板上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁を配列し、側壁の、連通板と対向する面を蓋板で塞いでセルを形成してなり、側壁が伸縮して生じるセルの変位を通じて、流路部に圧力の変動を生じせしめ、流体の流路を選択的に形成し得るものであることを特徴とするマイクロポンプが提供される。
【0008】
このポンプユニットにおいては、アクチュエータ部の側壁の両表面に電極膜を形成し、電極膜に電圧を印加することにより、駆動電界に応じて側壁が上下方向に伸縮することが好ましく、そのためには、アクチュエータ部の側壁が圧電体で形成されるときには、その分極電界と駆動電界とが、電界方向同一であることが好ましい。又、アクチュエータ部の側壁の表面の結晶粒子状態は、粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下であることが好ましく、アクチュエータ部のセルの面の輪郭度が、概ね8μm以下であることが好ましい。
【0009】
更に、このポンプユニットにおいては、アクチュエータ部のセルの内幅と高さとの比が、概ね1:2〜1:40であることが好ましく、アクチュエータ部のセルの内幅が、概ね60μm以下であることが好ましく、アクチュエータ部の側壁の表面粗さRtが、概ね10μm以下であることが好ましい。
【0010】
上記のポンプユニットのアクチュエータ部においては、連通板が圧電/電歪体又は反強誘電体からなり、側壁と一体成形されていることが好ましく、又、蓋板が圧電/電歪体又は反強誘電体からなり、前記側壁と一体成形されていることも好ましい。
【0011】
本発明においては、上記したポンプユニットの、より詳細な形態として、例えば、以下に示すポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)を採用することが出来る。
ポンプユニット(A)は、アクチュエータ部のセルにシステム流体が充填され、流路部にシステム流体とは非溶性の流体が流れる流路が予め形成され、セルと流路とは連通孔を介して通じ、流路は、少なくとも連通孔が流路と通じるところにおいて連通孔の径と概ね同幅であり、セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、セルに充填されたシステム流体が連通孔から流路側へ侵入する体積を変化させて、流体の流路を選択的に形成し得るものである。
【0012】
ポンプユニット(B)は、流路部が、アクチュエータ部のセルの蓋板と少なくとも一部を接着する変位伝達部と、変位伝達部のアクチュエータ部とは反対側の一部の面で流路を挟んで対面するケーシングと、からなり、セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、変位伝達部が対面するケーシングの一部の面に対して接近・離反する変位を通じて、流体の流路を選択的に形成し得るものである。
【0013】
このポンプユニット(B)においては、ポンプユニットのアクチュエータ部において、セル内とセル外とを通じる貫通孔が形成されることが好ましい。又、流路が潜在的に存在し、変位伝達部が対面するケーシングの一部の面に対して最も接近したときには、変位伝達部とケーシングとは接触することも好ましい。更に、流路部の変位伝達部に対応して複数のアクチュエータ部が割り当てられていることが好ましい。
【0014】
ポンプユニット(B)において、流路部の変位伝達部に対応して複数のアクチュエータ部が割り当てられるときには、セルと隣接するセルとの間隔と、セルの高さとの比が、概ね1:2〜1:40であることが好ましく、セルと隣接するセルとの間隔が、概ね50μm以下であることが好ましい。又、セルの内幅、乃至、セルと隣接するセルとの間隔が、少なくとも2種類の長さを有することが好ましい。
【0015】
上記したポンプユニット(B)のアクチュエータ部においては、セルの外側に、流路部の変位伝達部と同じ材料が充填されてなり、アクチュエータ部と流路部とが一体化して形成されることが好ましい。
【0016】
ポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)に続くポンプユニット(C)は、アクチュエータ部のセルに流体導入開口部及び流体排出開口部が形成され、流路部に導入流路と排出流路とからなり流体が流れる流路が予め形成され、導入流路はセルの流体導入開口部に通じ、排出流路はセルの流体排出開口部に通じてなり、セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、セルの体積を変化させてセル内に圧力を生じせしめ、流体の流路を選択的に形成し得るものである。
本発明によれば、上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)をポンプ部として用い、少なくとも1つのポンプ部を備えてなるマイクロポンプが提供される。
【0017】
又、上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)を含むポンプユニットを用いる本発明のマイクロポンプにおいては、流路の導入側及び排出側に圧力損失形成部を有し、導入側圧力損失形成部における、流体を導入する方向に流した時の圧力損失ΔP1と、流体を導入する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP2と、排出側圧力損失形成部における、流体を排出する方向に流した時の圧力損失ΔP3と、流体を排出する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP4とが、次の2式、ΔP1<ΔP4、ΔP2>ΔP3、を満足することが好ましい。このような条件を満足するためには、例えば、導入側圧力損失形成部を、流体を導入する方向に向けて連続的に断面積が小さくなるテーパー状とし、排出側圧力損失形成部を、流体を排出する方向に向けて連続的に小さくなるテーパー状とすることが挙げられる。又、導入側及び排出側の圧力損失形成部を、逆止弁としてもよい。
【0018】
本発明においては、このようなポンプユニットから構成されるポンプ部が、複数備わり、少なくとも1組の直列接続を有することが好ましく、ポンプ部が、複数備わり、直列接続と並列接続とが任意に組み合わされて接続されていることも好ましい。このとき、複数のポンプ部のうち、直列に隣接する2つのポンプ部の少なくとも1組が、流路部に生じせしめる圧力の変動の位相を互いにずらすことにより、流路部の流体の流れを制御し得ることが好ましい。又、複数のポンプ部を備えるとき、ポンプ部を構成するポンプユニットが、例えばともにポンプユニット(A)である等、同種のポンプユニットであることが好ましい。
【0019】
複数のポンプ部を備えるときには、隣接する少なくとも1つのポンプ部間に、上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットを用いた弁部が介在していることも好ましい。このとき、ポンプ部のポンプユニットと、弁部のポンプユニットとが、例えばともにポンプユニット(B)である等、同種のポンプユニットであることが好ましい。
【0020】
本発明においては、ポンプ部の導入側に、上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットから構成される少なくとも1つの入力弁部を有することが好ましい。このとき、ポンプ部のポンプユニットと、入力弁部のポンプユニットとが、例えばともにポンプユニット(C)である等、同種のポンプユニットであることが好ましい。
【0021】
又、ポンプ部の排出側に、上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットから構成される少なくとも1つの出力弁部を有することが好ましい。このとき、ポンプ部のポンプユニットと、出力弁部のポンプユニットとが、例えばともにポンプユニット(A)である等、同種のポンプユニットであることが好ましい。
【0022】
本発明においては、ポンプ部あるいは弁部として用いられるポンプユニットのアクチュエータ部が、圧電/電歪体又は反強誘電体からなり複数のスリット(A)が形成されたスペーサ板と、スペーサ板の一方の側に重ね合わせスリット(A)を覆蓋する蓋板と、スペーサ板の他方の側に重ね合わせスリット(A)を覆蓋する連通板と、からなり、スリット(A)と隣接するスリット(A)との間には、蓋板及びスペーサ板を貫通するスリット(B)が形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、以下に示すマイクロポンプの製造方法が提供される。即ち、連通板上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁を配列し、側壁の、連通板と対向する面を蓋板で塞いでセルを形成してなり、側壁が伸縮してセルに変位を生じるアクチュエータ部を有するマイクロポンプの、パンチとダイを用いた製造方法であって、圧電/電歪材料又は反強誘電材料からなる複数のグリーンシートを用意し、パンチにより、第一のグリーンシートに第一のスリット孔を開ける第一の工程と、第一のスリット孔から前記パンチを抜き取らない状態で、第一のグリーンシートをストリッパに密着させて引き上げる第二の工程と、パンチの先端部が引き上げた第一のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、パンチを引き上げる第三の工程と、パンチにより、第二のグリーンシートに第二のスリット孔を開ける第四の工程と、第二のスリット孔からパンチを抜き取らない状態で、第二のグリーンシートを第一のグリーンシートとともに引き上げる第五の工程と、パンチ先端部が引き上げた第二のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、パンチを引き上げる第六の工程と、以降、複数枚のグリーンシートを第四の工程から第六の工程を繰り返して積層し、複数のスリットを有する圧電/電歪体又は反強誘電体を形成する過程を含むことを特徴とするマイクロポンプの製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマイクロポンプについて、図面を参酌しながら、実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明のマイクロポンプは、圧力の働きによって流体を送り得る、微小、薄型のポンプである。少なくとも1つのポンプ部を備え、そのポンプ部は、ポンプユニットから構成される。
そのポンプユニットは、圧力の変動を起こす少なくとも1つのアクチュエータ部と流体が流れる流路部とから構成される。そして、アクチュエータ部は、連通板上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁を配列し、側壁の、連通板と対向する面を蓋板で塞いでセルを形成する。
【0025】
本発明においては、ポンプユニットには後述するように種々の形態があるが、共通して、アクチュエータ部のセルの側壁が伸縮して生じる変位を通じて、流路部に圧力の変動を生じせしめ、流体の流路を選択的に形成し得るところに特徴がある。駆動部である側壁が伸縮という変形により圧力を生じせしめるので、大きな変位を得るために、駆動部を薄肉にする必要がなく、従って、剛性が低下しないため、応答性が鈍くなるという問題も生じない。大変位と高速応答性が相反せず両立し得る。
【0026】
図1(a)、図1(b)は、本発明に係るマイクロポンプの一実施形態を示す断面図である。図1(a)は、停止状態(OFF)を示し、図1(b)は、駆動状態(ON)を示している。
マイクロポンプ101は、1つのポンプ部84からなり、ポンプユニット(A)44から構成される。ポンプユニット(A)44は、アクチュエータ部2と流路部42とからなる。アクチュエータ部2内に備わるセル3を、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる側壁6を用いて形成し、流路部42には、ケーシング14とノズル板9との間に流路13が形成されている。セル3と流路13とは、セル3の連通開口部72とノズル8とが連通した連通孔72を介して通じ、流路13は、少なくとも連通孔72が流路13と通じるところにおいて連通孔72の径と概ね同幅になるように形成されている。
【0027】
マイクロポンプ101のポンプユニット(A)44においては、側壁6の上下方向の伸縮によりセル3の体積を変化させて、セル3内に充填されたシステム流体31を、流路部42に形成され、システム流体31とは不溶性の流体32が流れる流路13に、突出させたり引っ込めたりすることが出来る。即ち、セル3に充填されたシステム流体31が連通孔73から流路13側へ侵入する体積を変化させることが出来る。そして、この動作によって流体32の流路13を選択的に形成し得る。
【0028】
以下に、図1(a)、図1(b)に示されるポンプユニット(A)44を例にとって、ポンプユニットにおけるアクチュエータ部2の特徴、及び、好ましい態様を記す。
アクチュエータ部2は、例えば、スリット(A)5が形成された圧電/電歪体又は反強誘電体からなるスペーサ板70と、スペーサ板70の一方の側に重ね合わせスリット(A)5を覆蓋する蓋板7と、スペーサ板70の他方の側に重ね合わせスリット(A)5を覆蓋する連通板68とから形成することが出来る。そして、アクチュエータ部2のスリット(A)5の両側には、側壁6を挟んで、蓋板7及びスペーサ板70を貫通するスリット(B)45が形成されている。即ち、スリット(A)5と蓋板7とによりセル3が形成されていて、スリット(B)45が、周りのスペーサ板70、あるいは、他のセル3から、セル3を独立せしめる。
【0029】
このように、スリット(B)45が形成され、セル3が独立して形成されている構造であるが故に、図示しないが、セル3が、例えば他のセル3から、全く独立して駆動し得、駆動部である側壁6の変位動作が妨げられることがない。図1(a)に示すように、駆動電界がOFFの時には、駆動部である側壁6は変形しておらず、駆動電界をONにすると、図1(b)に示すように、側壁6が変形する。このとき、セル3は、アクチュエータ部2内において、スリット(B)45に挟まれて形成されているため、側壁6の変位は制限されることなく行われ、同じ変位量を得るために、より電界強度は小さくて済む。
スリット(B)45は、側壁6の変形を妨げない程度に形成されていればよい。例えば、少なくとも蓋板7が変形する部分と同程度の長さにスリット(B)45が形成されていればよいが、より好ましくはセル3の長手方向の長さと同程度の長さにスリット(B)45を形成する。
【0030】
尚、ポンプユニット(A)44を含むポンプユニットとは、アクチュエータ部の変位により、流路部に流体の流路を選択的に形成し得るものであり、ポンプ部のみに用いられるものではなく、後述するように弁部としても用いることが出来るものである。
又、流路の選択的な形成とは、ポンプ部あるいは弁部における流路の任意の拡張・収縮、又は、開・閉動作を指す。
【0031】
側壁を伸縮変形させるためには、図示しないが、例えば、アクチュエータ2部の側壁6の両表面に電極膜を形成し、電極膜に電圧を印加すればよい。そうすると電圧が印加されて生じる駆動電界に応じて側壁6が上下方向に伸縮する。
【0032】
その側壁6が圧電体で形成されるときには、その圧電体の分極電界と駆動電界とは、電界方向同一であることが好ましい。圧電体の分極電界と駆動電界とが同一方向であれば、製造工程において、仮の分極用電極を作製し電界をかける必要がなく、スループットの向上が図れる。又、分極処理に関わりなく、キュリー温度以上の高い温度での加熱を伴う製造プロセスを適用することが可能である。従って、マイクロポンプを、例えば回路基板に固定・結線する際に、はんだリフロー等によるはんだ付けや、熱硬化型接着が実施可能であり、更に、スループットの向上が導かれ、製造コストの低減が図れる。そして、高い電界強度で駆動しても、分極状態が変化してしまうことがなく、むしろ、より好ましい分極状態となり得て、安定して高い歪み量を得ることが出来る。従って、よりコンパクトにすることが出来、マイクロポンプとして好ましい。
【0033】
ポンプユニットにおいては、セル3を形成する側壁6の面の輪郭度が、概ね8μm以下であることが好ましく、又、セル3を形成する側壁6の壁面の凹凸量が、概ね10μm以下であることが好ましく、更には、セル3を形成する側壁6の壁面の表面粗さRtが、概ね10μm以下であることが好ましい。これらのうち、少なくとも何れか1つの条件に適うポンプユニットであれば、セル3を構成する側壁6の表面が平滑であるので、駆動時に電界集中や応力集中が生じ難く、安定した動作を実現することが出来る。
【0034】
尚、面の輪郭度は、日本工業規格B0621「幾何偏差の定義及び表示」に示されている。面の輪郭とは機能上定められた形状をもつように指定した表面であって、面の輪郭度とは理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう。本発明において示すセルの面とは、上記したセルを構成する駆動部のセル内壁面を指す。
【0035】
又、ポンプユニットにおいては、セル3の内幅W(短手方向の幅)と高さHとの比が、換言すれば、セル3のアスペクト比W:Hが、概ね1:2〜1:40であることが好ましく、セル3の内幅Wが、概ね60μm以下であることが好ましい(内幅W、高さHは、図1(a)に示す)。より好ましくは、セル3のアスペクト比W:Hが、1:10〜1:25、セル3の内幅Wが、50μm以下である。これらのアスペクト比の値が好ましい理由は、アスペクト比が小さすぎると、十分な加圧力を得るために必要な電界が高くなりすぎて、絶縁破壊等の危険性が増す一方、アスペクト比が大きくなると、強度的に弱くなり、組み立て・ハンドリング中の不良発生が増えるからである。少なくとも何れか1つの条件に適うポンプユニットであれば、更に好ましくは2つの条件がともに適うポンプユニット、即ち、薄く背の高いセル3を備えるポンプユニットから構成されれば、マイクロポンプとして、より高出力化を図ることが容易であり、又、よりコンパクトなマイクロポンプを実現することが出来る。セル3の形状は限定されるものではないが、概ね直方体状のセル3であることが好ましい。
【0036】
尚、上記したポンプユニットの特徴、あるいは、好ましい態様は、ポンプユニット(A)44を含めて、本発明のマイクロポンプを構成するポンプユニットに共通する。上記したポンプユニット(A)44から構成されるポンプ部を有するマイクロポンプ101は勿論のこと、後述する他のポンプユニットを備えるマイクロポンプにおいても、同じことがいえる。又、それは、ポンプユニットが、ポンプ部として使用される場合に限定されず、弁部として使用される場合にも有効である。
【0037】
次に、ポンプユニット(A)44以外の他のポンプユニットを用いたマイクロポンプの実施形態を説明する。
図7(a)、図7(b)は、本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図である。図7(a)は、停止状態(OFF)を示し、図7(b)は、駆動状態(ON)を示している。
マイクロポンプ107は、1つのポンプ部94からなり、ポンプユニット(B)54から構成される。ポンプユニット(B)54は、アクチュエータ部2と流路部52とからなる。アクチュエータ部2は、連通板68上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁6を配列し、側壁6の、連通板68と対向する面を蓋板7で塞いでセル3が形成されてなる。セル3にはセル外と通じる貫通孔74が設けられ、側壁6の伸縮を容易にしている。流路部52は、アクチュエータ部2のセル3の蓋板7と少なくとも一部を接着する変位伝達部26と、変位伝達部26のアクチュエータ部2とは反対側の一部の面で流路13を挟んで対面するケーシング14と、からなる。
【0038】
マイクロポンプ107のポンプユニット(B)54においては、セル3を構成する側壁6の上下方向の伸縮により、変位伝達部26が、対面するケーシング14の一部の面に対して接近・離反する。この接近・離反を通じて、流体32の流路13を選択的に形成し得る。
【0039】
流路13は導入側から排出側まで予め形成してもよい。こうすると、応答性の点で有利である。又、流路13を潜在的に存在させ、変位伝達部26が対面するケーシング14の一部の面に対して最も接近したときには、変位伝達部26とケーシング14とは接触することも可能である。こうすると、流体32の圧縮率や減圧率を高められ、又、よりコンパクトなマイクロポンプになり得る。ポンプユニット(B)54においては、セル3の側壁6の変位による変位伝達部26のケーシング14の一部の面に対する接近・離反が及び難い導入側及び排出側に、それぞれ導入流路33と排出流路34を形成している。その間の部分は、図7(a)に示すように、停止状態では、変位伝達部26とケーシング14とが接触していて、流路13は形成されていない。図7(b)に示すように、駆動時に、変位伝達部26のケーシング14の一部の面に対する接近・離反を通じて流路13が形成される。
【0040】
又、ポンプユニット(B)54においては、流路部52の変位伝達部26に対応して、図示しないが、複数のアクチュエータ部2を割り当てることも可能である。こうすることにより、高剛性、高速応答性を保ちつつ、大きな流体の排出量を実現出来る。このとき、複数のアクチュエータ部2は隣接することになるが、セル3と隣接するセル3との間隔と、セル3の高さとの比が、概ね1:2〜1:40であることが好ましく、セル3と隣接するセル3との間隔が、概ね50μm以下であることが好ましい。何れかの条件を満たせば、より好ましくは、両方の条件を満たせば、高密度にセル3を形成出来、よりコンパクトなマイクロポンプになるからである。
【0041】
又、セル3の内幅、乃至、セル3と隣接するセル3との間隔としては、少なくとも2種類の長さがあることも好ましい。こうすると、流体32の流路13を選択的に形成する上で、より変位伝達部26及びセル3の配置の自由度が増し、設計し易い。
【0042】
更に、ポンプユニット(B)54においては、図9に示すマイクロポンプ109のように、アクチュエータ部2のセル3の外側に、流路部52の変位伝達部26と同じ材料が充填されてなり、アクチュエータ部2と流路部52とが一体化して形成されることが好ましい。アクチュエータ部2においてセル3の側壁6が伸縮する際に、変位伝達部26がセル3の蓋板7とだけ接着されている場合に比べて、より、流路部52が剥離し難くなるからである。
【0043】
続いて、更に他のポンプユニットを用いたマイクロポンプの実施形態を説明する。
図8(a)、図8(b)は、本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図である。図8(a)は、停止状態(OFF)を示し、図8(b)は、駆動状態(ON)を示している。
マイクロポンプ108は、1つのポンプ部104からなり、ポンプユニット(C)64から構成される。ポンプユニット(C)64は、アクチュエータ部2と流路部62とからなる。アクチュエータ部2は、連通板68上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁6を配列し、側壁6の、連通板68と対向する面を蓋板7で塞いでセル3が形成されてなり、そのセル3に、流体導入開口部35及び流体排出開口部36が開いている。流路部62には、導入流路33と排出流路34とからなり流体32が流れる流路13が予め形成される。導入流路33は、セル3の流体導入開口部35に通じ、排出流路34はセル3の流体排出開口部36に通じている。
【0044】
マイクロポンプ108のポンプユニット(C)64においては、図8(b)に示すように、セル3を構成する側壁6の上下方向の伸縮により、セル3の体積を変化させてセル3内に圧力を生じせしめ、セル3自体が流路13の一部となって、流体32が流れる流路13を選択的に形成し得る。
【0045】
上記の例示された流体の流路の選択的形成方法が異なるマイクロポンプは、全て、圧力の変動を起こすアクチュエータ部の変位に応じ、流路部に圧力の変動を生じせしめるポンプである。これら本発明のマイクロポンプにおいて、この流路部に起きた圧力の働きにより、流体を導入側から排出側へ送り得るためには、次のようにポンプユニットを構成することが好ましい。
即ち、流路の導入側及び排出側に、それぞれ圧力損失形成部を形成し、導入側圧力損失形成部における、流体を導入する方向に流した時の圧力損失ΔP1と、流体を導入する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP2と、排出側圧力損失形成部における、流体を排出する方向に流した時の圧力損失ΔP3と、流体を排出する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP4とが、ΔP1<ΔP4、ΔP2>ΔP3、の2式を満足させる。
【0046】
こうすると、アクチュエータ部の変位に応じ流路部に負圧が生じたときには、ΔP1がΔP4より小さいので流体が導入側から入り、アクチュエータ部の変位に応じ流路部に正圧が生じたときには、ΔP3がΔP2より小さいので流体が排出側から出ていく。こうして流体を導入側から排出側へ送ることが出来る。上記2式の条件を満足させるために、例えば、導入側圧力損失形成部を流体を導入する方向に向けて連続的に断面積が小さくなるテーパー状とし、排出側圧力損失形成部を流体を排出する方向に向けて連続的に小さくなるテーパー状として形成すればよい。又、導入側及び排出側の圧力損失形成部に逆止弁を設けても構わない。当然ながら、導入側及び排出側に独立した弁を設けると尚好ましい。
【0047】
図10〜図12は、先に説明したマイクロポンプ101,107,108において、流路の導入側及び排出側に、それぞれ圧力損失形成部を形成し、上記2式の条件を満足させた一例である。
図10に示すマイクロポンプ101では、圧力損失形成部38として、流路13の導入側及び排出側に逆止弁37を設けている。
図11は、図7(a)、図7(b)に示したマイクロポンプ107において、流路13面のレベルでの水平断面を表している。図11に示すマイクロポンプ107では、導入流路33と排出流路34の間に、変位伝達部のケーシングに対する離反によって、図示するような流路13が形成される。即ち、流路13の導入側を、流体32が導入される方向に向けて連続的に断面積が小さくなるテーパー状とし、流路13の排出側を、流体32が排出される方向に向けて連続的に小さくなるテーパー状として形成し、それぞれ圧力損失形成部38としている。
図12に示すマイクロポンプ108では、セル3に通じる流体導入開口部35を、流体32が導入される方向に向けて連続的に断面積が小さくなるテーパー状とし、セル3に通じる流体排出開口部36を、流体32が排出される方向に向けて連続的に小さくなるテーパー状として形成し、それぞれ圧力損失形成部38としている。
【0048】
以下に、本発明のマイクロポンプにおいて、ポンプユニットを複数用いる実施形態について記載する。
先ず、ポンプ部を複数備えるマイクロポンプが挙げられる。ポンプ部の接続方法は直列接続と並列接続とを任意に組合せることが可能である。こういった形態をとることによって、流体の加圧力を、より大きく増幅させることが出来たり、より大流量にも適応出来る。少なくとも1組の直列接続を有し、その直列に隣接する2つのポンプ部が、流路部に生じせしめる圧力の変動の位相を互いにずらすことにより、例え弁部がなくても、流路部の流体の流れを制御することが可能である。
【0049】
尚、複数のポンプ部を有する場合に、それぞれのポンプ部のポンプユニットは、例えば上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)等の異なるポンプユニットを採用しても構わないが、同種のポンプユニットにより複数のポンプ部を構成すれば、製造コストや、ポンプ特性の面から、より好ましい。
【0050】
次いで、ポンプ部を1つ乃至複数備え、1つ乃至複数の弁部が混在したマイクロポンプが挙げられる。本発明に係るポンプユニットは、アクチュエータ部におけるセルの側壁の伸縮変位を用いて、ポンプ部のみならず弁部としても用いることが出来る。例えば、図1(a)、図1(b)に示したマイクロポンプ101に用いられるポンプユニット(A)44、及び、図7(a)、図7(b)に示したマイクロポンプ107に用いられるポンプユニット(B)54は、そのままの形で、弁部としても用いることが可能である。即ち、ポンプユニット(A)44では、図1(b)に示される駆動時において、システム流体31が流路13を塞ぐようにすれば、弁で流路を閉じた状態に等しい。又、ポンプユニット(B)54では、図7(a)、図7(b)に示されるように、停止状態で流路は通じておらず、駆動時において流路13が形成されるが、これはポンプでもあり弁に等しい。
【0051】
弁部は、例えば、複数のポンプ部の間に設けることが好ましい。こうすることによって、複数のポンプ部が直列接続あるいは並列接続された複雑な系をなすマイクロポンプであっても、流体の流れを制御することが容易となる。又、ポンプ部の導入側に入口弁部として設けることが好ましく、更には、ポンプ部の排出側に出口弁部として設けることが好ましい。入口弁部及び出口弁部は、流体の流れを制止する弁として機能するとともに、圧力損失形成部としても機能させることが出来、流体の流れを制御することが出来る。
【0052】
ポンプ部間の弁部、あるいは、入口弁部、出口弁部として、何れのポンプユニットも採用することが出来る。例えば上記したポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)等の異なるポンプユニットを混在させても構わないが、同種のポンプユニットによりポンプ部間の弁部、あるいは、入口弁部、出口弁部を構成すれば、製造コストや、弁特性の面から、より好ましい。
【0053】
図13(a)、図13(b)は、本発明に係るマイクロポンプの複数のポンプユニットを備える一実施形態を示す断面図である。図13(a)は、垂直断面を示し、図13(b)は、図13(a)におけるセル3レベルでの水平断面を示している。
マイクロポンプ130は、1つの入力弁部83と、1つのポンプ部84と、1つの出力弁部85とを有して構成されている。これらポンプ部84、入力弁部83及び出力弁部85は、それぞれ、流体32が流れる流路13とケーシング14とノズル板9からなる流路部42の一方の面にセル3が形成されたアクチュエータ部2を有する、同じポンプユニット(A)44により構成されている。
【0054】
即ち、このマイクロポンプ130は、入力弁部83、ポンプ部84及び出力弁部85それぞれにおいて、駆動部たる側壁6を伸縮変形させ、セル3内の体積を変化させシステム流体31が流路13側へ侵入する体積を変化させて、流体32が流れる流路13を、選択的に形成し、流体32の流れを制御するように構成されている。
【0055】
セル3の側壁6は伸縮変形するので、薄肉にする必要はなく、所望の強度を与えることが出来、応答性に優れる駆動部とすることが可能である。又、複数のセル3は隣接しているが、セル3と隣接するセル3との間隔と、セル3の高さとの比は、概ね1:2〜1:40とすることが好ましく、セル3と隣接するセル3との間隔は、概ね50μm以下とすることが好ましい。何れかの条件を満たせば、より好ましくは、両方の条件を満たせば、高密度にセル3を形成出来、入力弁部83、ポンプ部84、及び、出力弁部85を備えていても、よりコンパクトなマイクロポンプになるからである。
【0056】
マイクロポンプ130は、入力弁部83、ポンプ部84、及び、出力弁部85の全てにおいて、アクチュエータ部2が、最下層である連通板68と中間層であるスペーサ板70と最上層である蓋板7の積層体として構成されている。スペーサ板70には蓋板7で塞いでセル3となるスリット(A)5が形成され、隣接するスリット(A)5とスリット(A)5との間にはスリット(B)45が形成され、セル3を互いに独立させている。マイクロポンプ130は、このように、ポンプ部84、入力弁部83、及び、出力弁部85に対応するところに、スリット(A)5及びスリット(B)45とが形成された、3層の一体構造体としても把握することが出来る。
【0057】
尚、アクチュエータ部2は、一体同時焼成体であっても、ガラスや樹脂によって各層を接合一体化したものでも、後付けであってもよい。又、3層の構造体に限定されず、4層以上の構造体としてもよい。
【0058】
マイクロポンプ130は、図示しないが、例えば、次のように動作する。先ず、自然状態においては、入力弁部83、ポンプ部84、出力弁部85はONになっていて、即ち、それぞれのアクチュエータ部2の例えば側壁に形成した電極に電圧が印加されていて、それぞれのシステム流体31が流路13を閉じている。この状態から、例えば入力弁部83をOFFにすれば、入力弁部83のアクチュエータ部2の側壁が伸びシステム流体31がセル3中に引っ込み、流路13が開かれる。
【0059】
その後、ポンプ部84をOFFにすることにより、ポンプ部84のアクチュエータ部2の側壁が伸びシステム流体31がセル3中に引っ込み、流路13が更に開かれる。次いで、出力弁部85もOFFにして、流路13を更に開く。
【0060】
そして、ポンプ部84と入力弁部83をONにすることにより、これらポンプ部84や入力弁部83に対応する部分でシステム流体31が流路13を閉じ、このときの加圧力で流体32は排出側へ送られる。即ち、入力弁部83やポンプ部84及び出力弁部85が有するアクチュエータ部2は、入力弁部83やポンプ部84及び出力弁部85に対応した部分において、流路13を選択的に形成するための手段として機能する。
【0061】
好ましい態様としては、入力弁部83や出力弁部85は、流路を完全に閉じる程度にシステム流体31を流路13中に侵入させることが出来る変位量を確保しつつ、大きい剛性を得るように構成する。これによって、流体漏れをなくすことが可能となる。ポンプ部84は、ある程度の剛性を維持しつつ、セル3の体積変化を大きくとれるように変位量を大きくするような構成が好ましい。これによって、加圧力を大きくすることが可能となる。これは、セル3の内幅、側壁6の厚さ、側壁6に形成する少なくとも一対の電極の面積によって設定することが出来る。
【0062】
図14(a)、図14(b)は、本発明に係るマイクロポンプの複数のポンプユニットを備える他の実施形態を示す断面図である。図14(a)は、垂直断面を示し、図14(b)は、図14(a)における流路13レベルでの水平断面を示している。
マイクロポンプ140は、1つのポンプ部94と、1つの入力弁部93と、1つの出力弁部95とを有している。これらポンプ部94、入力弁部93、及び、出力弁部95は、それぞれ、アクチュエータ部2のセル3の蓋板7と少なくとも一部を接着する変位伝達部26と、変位伝達部26のアクチュエータ部2とは反対側の一部の面で、一部潜在的に存在する流路13を挟んで対面するケーシング14とからなる流路部52と、流路部52とは反対側の連通板68に貫通孔74が設けられ変形し易いセル3を有するアクチュエータ部2と、を有するポンプユニット(B)54から構成されている。
【0063】
即ち、このマイクロポンプ140は、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95それぞれにおいて、セル3の側壁6の上下方向の伸縮により、ケーシング14の一部の面に対して変位伝達部26が行う選択的な接近・離反方向の変位動作を通じて、ケーシング14の一方の面に流路13を選択的に形成し、流体32の流れを制御するように構成されている。
【0064】
入力弁部93の入口側には導入流路33がケーシング14の外側と孔で通じて設けられ、流体32が供給される。出力弁部95の出口側には排出流路34がケーシング14の外側と孔で通じて設けられ、流体32が他へ送られる。勿論、流体32が供給され送るための孔はケーシング14を貫通するものでなく、ケーシング14に沿って(図中の横方向に)導入流路33及び排出流路34が形成されていても構わない。
図14(a)に示すように、これら導入流路33と排出流路34との間に入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95が横方向に配列されている。
尚、ケーシング14の外側と孔で通じる導入流路33を入力弁部93の入口側でなく入力弁部93内(セル3の真上)に設け、ケーシング14の外側と孔で通じる排出流路34を出力弁部95の出口側でなく出力弁部95内(セル3の真上)に設けてもよい。こうすると、マイクロポンプのサイズを更に小型化することが出来る。
【0065】
図14(b)において、アクチュエータ部2とケーシング14の間の変位伝達部26のうち、破線で囲んだ部分が、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95として可動する部分、つまり、アクチュエータ部2の変位の伝達に関与し、変位伝達部26がケーシング14と離反したときに流路13aを形成する部分である。図14(a)、図14(b)に示すように、アクチュエータ部2の変位の伝達が及び難い入力弁部93とポンプ部94の間、及び、ポンプ部94と出力弁部95の間には、予め凹んだ流路13bが形成されている。この凹んだ流路13bは、流路13aを通じるとともに、流体32を移送する動作を行う際に、入力弁部93とポンプ部94間、及び、ポンプ部94と出力弁部95間の相互干渉を緩和する効果を発揮する。入力弁部93とポンプ部94間、及び、ポンプ部94と出力弁部95間の相互干渉を完全に遮断するために、変位伝達部26にスリットを設け、変位伝達部26を、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95に対応する部分毎に分割してもよい。入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95に独立した動作をさせることが出来、好ましい。
【0066】
凹んだ流路13bを形成せず、アクチュエータ部2の変位により変位伝達部26がケーシング14と離反したときに形成される流路13aのみで構成してもよい。即ち、流路13全体を潜在的に存在させてもよい。この場合には、不必要なときには流路空間がなくなるため、流体32の圧縮率や減圧率を、より大きくすることが可能となり、その点で好ましい。
【0067】
反対に、導入側から排出側までつながる凹んだ流路13bを形成してもよい。即ち、流路13全体を予め顕在的に存在させてもよい。この場合には、流体32の圧縮率や減圧率は低下するが、応答性の点で有利となる。特に、流体として液体を用いた場合は、流路13の体積変化が重要なため、予め導入側から排出側までつながる流路13bを形成してもなんら問題は生じない。何れの場合にも、ケーシング14の一部の面に対して変位伝達部26が行う選択的な接近・離反方向の変位動作を通じて、ケーシング14の一方の面に、停止状態の流路13とは異なる新たな流路が選択的に形成され、流体32の流れを制御し得る。
【0068】
ポンプユニット(A)を用いたマイクロポンプ130と同様に、ポンプユニット(B)を用いたマイクロポンプ140においても、セル3の側壁6は伸縮変形するので、薄肉にする必要はなく、所望の強度を与えることが出来、応答性に優れる駆動部とすることが可能である。又、複数のセル3は隣接しているが、セル3と隣接するセル3との間隔と、セル3の高さとの比は、概ね1:2〜1:40とすることが好ましく、セル3と隣接するセル3との間隔は、概ね50μm以下とすることが好ましい。何れかの条件を満たせば、より好ましくは、両方の条件を満たせば、高密度にセル3を形成出来、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95を備えていても、よりコンパクトなマイクロポンプになるからである。
【0069】
マイクロポンプ140は、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95の全てにおいて、アクチュエータ部2が、最下層である連通板68と中間層であるスペーサ板70と最上層である蓋板7の積層体として構成されている。スペーサ板70には蓋板7で塞いでセル3となるスリット(A)5が形成され、隣接するスリット(A)5とスリット(A)5との間にはスリット(B)45が形成され、セル3を互いに独立させている。このように、マイクロポンプ140において、アクチュエータ部2は、ポンプ部94、入力弁部93、及び、出力弁部95に対応するところに、スリット(A)5及びスリット(B)45が形成された、3層の一体構造体としても把握することが出来る。
【0070】
尚、各スリット(B)45には、流路部52の変位伝達部26と同じ材料を充填することが好ましい。流路部52とアクチュエータ部2とが一体化し、剥離が生じ難くなるからである。又、アクチュエータ部2は、一体同時焼成体であっても、ガラスや樹脂によって各層を接合一体化したものでも、後付けであってもよく、3層の構造体に限定されず、4層以上の構造体としてもよい。
【0071】
マイクロポンプ130は、図16(a)〜図16(d)に示すように、例えば、次のように動作する。先ず、自然状態においては、入力弁部93、ポンプ部94、出力弁部95はOFFになっていて、変位伝達部26の端面がケーシング14の一方の面に接触している。この状態から、例えば入力弁部93の例えば側壁に形成した電極に電圧を印加し、ONにすることにより、入力弁部93のアクチュエータ部2のセル3の側壁6が伸縮変位し、入力弁部93に対応する変位伝達部26の端面がケーシング14の一方の面から離反することで、入力弁部93に対応した部分に導入流路33と連通する流路が形成され、流体32が導入される。
【0072】
その後、図16(a)に示すように、ポンプ部94をONにすることにより、ポンプ部94のアクチュエータ部2のセル3の側壁6が伸縮変位し、ポンプ部94に対応する変位伝達部26の端面がケーシング14の一方の面から離反することで、ポンプ部94に対応した部分に、更に流路13が形成され、流体32が流れ込む。続いて、図16(b)に示すように、入力弁部93をOFFにすることにより、入力弁部93に対応する変位伝達部26の端面が、再びケーシング14の一方の面に接触して、流路13が閉塞される。この結果、流体32は、ポンプ部94に対応する部分の流路13に密閉されて充填される。
【0073】
更に、図16(c)に示すように、出力弁部95をONにすることにより、出力弁部95に対応する変位伝達部26の端面が、ケーシング14の一方の面から離反して、更に流路13が形成され、流体32が流れ込む。そして、図16(d)に示すように、ポンプ部94をOFFにすることにより、ポンプ部94に対応する変位伝達部26の端面が、再びケーシング14の一方の面に接触して、ポンプ部94に対応する流路13が閉塞される。この結果、流体32は、出力弁部95に対応する部分の流路13に押し出される。そして、更に、出力弁部95をOFFにすることにより、出力弁部95に対応する変位伝達部26の端面がケーシング14の一方の面に接触することで、出力弁部95にあった流体32が排出流路34を経て、ケーシング14外に排出されることになる。
【0074】
上記したように、ポンプ部94や入力弁部93、及び、出力弁部95において、例えばセル3の側壁6に形成された電極に電圧を印加したり、電圧の印加を停止することにより、これらポンプ部94や入力弁部93、及び、出力弁部95に対応する変位伝達部26の端面が、ケーシング14の一方の面に離反・接触させて、流路13の選択的形成手段として機能することが可能である。本発明のマイクロポンプ140は、より小型化及び薄型化され、電気的動作によって、簡単に流路の選択的な形成を行わせることが出来、導入側に対する減圧や排出側に対する加圧を容易に行うことが出来るので、様々な技術、例えば医療や化学分析等に応用することが容易である。
【0075】
好ましい態様としては、入力弁部93や出力弁部95は、流路13を確保できる程度の変位量を確保しつつ、大きい剛性を得るように構成する。これによって、流体32の漏れをなくすことが可能となる。これに対して、ポンプ部94は、ある程度の剛性を維持しつつ、アクチュエータ部2のセル3の体積変化を大きくとれるようにして、変位量を大きくするような構成が好ましい。これは、セル3の内幅、側壁6の厚さ、側壁6に形成する少なくとも一対の電極の面積によって設定することが出来る。
【0076】
マイクロポンプ140においては、駆動部であるアクチュエータ部2のセル3の側壁6が伸縮変形するので、薄肉にする必要はなく剛性が高くなり、高速変位動作を達成させることが出来る。これは、変位の動作周波数の増大化につながり、流体の排出量(移動量)の増大化が達成される。即ち、マイクロポンプの小型化、軽量化を図ることが出来ると同時に、流体の排出量(移動量)の増大化も実現させることが出来る。又、マイクロポンプ140は、加圧ポンプや減圧ポンプとしても適用することが出来、到達圧力の増大化並びに到達圧力への迅速化を図ることが出来る。更には、系外の雰囲気が減圧下であっても、入力弁部93、ポンプ部94、及び、出力弁部95を十分に動作させることが可能である。
【0077】
マイクロポンプ140においては、アクチュエータ部2の変位を変位伝達部26を介して伝達するようにしたので、特に、入力弁部93及び出力弁部95において、封止性(密着性)を向上させることが出来る。又、自然状態(初期状態)において、変位伝達部26の端面をケーシング14の一方の面に接触するようにした場合には、流路13は潜在的に形成され、更なる小型化を図ることが出来る。
【0078】
図15(a)、図15(b)は、本発明に係るマイクロポンプの複数のポンプユニットを備える更に他の実施形態を示す断面図である。図15(a)は、垂直断面を示し、図15(b)は、図15(a)におけるポンプ部104のセル3レベルでの水平断面を示している。
マイクロポンプ150は、1つのポンプ部104と、1つの入力弁部103と、1つの出力弁部105とを有している。マイクロポンプ150は、図8(a)、図8(b)に示したマイクロポンプ108の流体導入開口部35に入力弁部を、流体排出開口部36に出力弁部を設けたポンプである。アクチュエータ部2aと流路部62とからなるポンプユニット(C)64から構成され、ポンプユニット(C)64の流路部62中にアクチュエータ部2bが形成されている。アクチュエータ部2aは、連通板68上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁6を配列し、側壁6の、連通板68と対向する面を蓋板7で塞いでセル3が形成されてなり、そのセル3に、流体導入開口部35及び流体排出開口部36が開いている。流路部62には、導入流路33と排出流路34とからなり流体32が流れる流路13が予め形成される。導入流路33は、セル3の流体導入開口部35に通じ、排出流路34はセル3の流体排出開口部36に通じている。尚、図15(b)から理解されるように、図15(a)は、図8(a)と異なりスリット(B)45と平行する垂直断面を示しているので、図15(a)においてポンプ部104のスリット(B)45は表示されない。
【0079】
入力弁部103において、アクチュエータ部2におけるセル3の側壁6の上下方向の変位動作によって、蓋板7の上部に形成された円錐状の変位伝達部126が流体導入開口部35を閉塞、開放する。又、出力弁部105において、アクチュエータ部2におけるセル3の側壁6の上下方向の変位動作によって、蓋板7の上部に形成された円錐状の変位伝達部126が流体排出開口部36を閉塞、開放する。
【0080】
その結果、導入流路33を通じて導入された流体32は、入力弁部103を介してポンプ部104のセル3内に導かれる。そして、ポンプ部104において、アクチュエータ部2におけるセル3の側壁6の上下方向の変位動作によって、セル3内の体積が変化し、セル3内の流体32が出力弁部105及び流体排出開口部36を介して排出される。
【0081】
このマイクロポンプ150も、上記したマイクロポンプ130、マイクロポンプ140と同様に、小型化、薄型化を促進させることが出来、様々な技術、例えば医療や化学分析等に応用することが可能である。
【0082】
以上において説明したマイクロポンプ130、マイクロポンプ140、マイクロポンプ150は、何れも1つずつの弁部−ポンプ部−弁部の直列接続であるが、本発明のマイクロポンプは、これらに限定されるものではない。1つ乃至複数のポンプ部と1つ乃至複数の弁部とが、直列接続あるいは並列接続、又は、2つ乃至3つ以上への分岐接続、2つ乃至3つ以上からの合流接続等を行う複雑系であってよい。又、ポンプ部と弁部の位置関係も限定されない。更には、ポンプ部と弁部を構成するポンプユニットも同種のものであることに限定されない。
【0083】
次に、本発明に係るマイクロポンプの製造方法について、ポンプユニット(A)を3つ備えるマイクロポンプ130を例にとって説明する。先ず、アクチュエータ部2を作製し、次いで、流路部42と一体化させ、マイクロポンプ130を得る。
以下に、アクチュエータ部2の概略の製造工程の一例を、図3(a)〜図3(c)を参照しながら説明する。これは、パンチとダイを用いた製造方法であって、図3(a)で、圧電/電歪材料又は反強誘電体材料からなるグリーンシート16に、積層してスリット(A)5となるスリット孔25、及び、積層してスリット(B)45となるスリット孔15を開けるとともに、積層を後述する打抜同時積層法により同時に行い、グリーンシート16を積層していき、打ち抜きの終了とともに積層も完了させ、所定の厚さを有する圧電/電歪体又は反強誘電体を形成する過程を含む製造方法である。その後、例えば、図3(b)で、焼成して一体化し所望のスリット(A)5、スリット(B)45が形成されたスペーサ板70を得て、後にセルとなるスリット(A)5内に電極を形成して、図3(c)で、蓋板7、連通板68を接合する。尚、グリーンシート16は、ドクターブレード法等の周知のテープ形成手段によって形成することが出来る。又、電極の形成は、後にセルとなるスリット(A)の大きさにもよるが、スクリーン印刷、スプレー、コーティング、ディッピング、塗布、電気泳動法等による各種厚膜形成手法から、実施可能な方法を選んで行えばよい。安価に形成できるという点で、スクリーン印刷法が特に好ましい。
【0084】
尚、図4(a)〜図4(c)に示すように、蓋板7及び連通板68も同材料のグリーンシートで形成し、スペーサ板70とともに積層し、焼成一体化してもよい。蓋板7と、駆動部を含むスペーサ板70が同時焼成されて一体のセラミック体となるため、耐久性とセルの剛性が向上し、高速応答性に優れたマイクロポンプとなり得る。この場合には、電極の形成は、軟らかいグリーンシート上に電極ペーストを塗布することにより行われるが、グリーンシートを破損したり変形させないように注意を要する。又、焼成してセル構造が完成した後に、電極ペーストを流通させて塗布し電極を形成することも可能であるが、その場合には、マスキング作業が困難であり、形成可能な電極パターンが限定される。
【0085】
上記の製造工程を経て、内部に、スリット(A)5を蓋板7及び連通板68で塞いでセルが形成されたアクチュエータ部2を得た後に、図示しないが、アクチュエータ部2においてセル3の側壁面に電極を形成し、駆動用の配線を設置する。そして、所定の位置に、流路13が設けられた流路部42を接合する(図13(a)参照)。
次いで、セル3内をシステム流体31に置換する。システム流体31としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスや、シリコンオイル等を用いることが出来る。
このようにして作製されるマイクロポンプにおいては、所定の信号によりセル3の側壁6を伸縮させて、セル3内の体積を減少させたり戻したりして、流路13を流れるシステム流体とは不溶性の流体32中へ侵入するシステム流体31の体積を変化させて、流体の流路を選択的に形成することが可能である。
【0086】
図6(a)〜図6(e)は、上記した打抜同時積層の具体的方法を示し、グリーンシート16(以下、単にシートともいう)の積層操作をするストリッパ11を配置したパンチ10とダイ12からなる金型を用いている。図6(a)は、ダイ12上に最初のシート16aを載せた打ち抜き前の状態を示し、図6(b)で、パンチ10及びストリッパ11を下降させて、シート16を打ち抜いて、スリットを形成している(第一の工程)。
【0087】
次に、2枚目のシート16bの打ち抜き準備に入るが、このとき図6(c)に示すように、最初のシート16aは、ストリッパ11に密着させて上方に移動させてダイ12から離す(第二の工程)。ストリッパ11にシート16を密着させる方法は、例えば、ストリッパ11に吸引孔を形成して真空吸引すること等で実施出来る。
【0088】
又、2枚目のシート16bの打ち抜き準備に入るために、ダイ12からパンチ10及びストリッパ11を引き上げるが、この引き上げている途中は、パンチ10の先端部を、一緒に引き上げた最初のシート16aのスリット孔の中まで戻さないことが望ましく、又、止める際には、一緒に引き上げた最初のシート16aの最下部より僅かに引き込んだところで止めることが肝要である(第三の工程)。パンチ10を最初のシート16aの孔まで戻したり、完全にストリッパ11の中へ格納してしまうと、シート16は軟質であるため形成した孔が変形してしまい、シート16を積層して得られるスリットを形成した際に、その側面の平坦性が低下してしまう。
【0089】
図6(d)は、2枚目のシート16bの打ち抜き工程を示し、最初のシート16aをストリッパ11に密着させることで、ダイ12上に、2枚目のシート16bを容易に載置でき、図6(b)の工程のように打ち抜き出来、同時に最初のシート16aに重ね合わせられる(第四の工程)。
【0090】
そして、図6(c)、図6(d)の工程を繰り返して、打ち抜かれた最初のシート16aと2枚目のシート16bとを重ね合わせて、ストリッパ11により引き上げ(第五の工程)、3枚目のシート16cの打ち抜き準備に入る。但し、このときも一緒に引き上げたシート16の最下部より僅かに引き込んだところで止めることが肝要である(第六の工程)。その後、第四の工程から第六の工程を繰り返して必要積層数のシート16の打ち抜き及び積層を繰り返す。
【0091】
図6(e)は、打ち抜きを終了した状態を示している。必要な枚数のシート16の打ち抜き及び積層が終了したら、ストリッパ11によるシート16の保持を解除し、打ち抜き積層したシート16をストリッパ11から引き離して取り出し可能としている。ストリッパ11からの引き離しは、図示するように、ストリッパ11下面に引離治具17を設けることで確実に行うことが出来る。
以上述べた操作は、特願2000−280573並びに特願2001−131490に記載の製造方法を適用したものであり、この操作により所定の厚さを有し所望のスリットが形成された積層体を得ることが出来る。
【0092】
このように、パンチとダイを用いてグリーンシートにスリット孔を形成すると同時にグリーンシートの積層を行い、パンチ自体をグリーンシートの積層位置合わせ軸として使用して打抜加工を行えば、パンチにより打ち抜いたスリット孔の変形が防止され、スリット孔の変形が発生せず、グリーンシート積層間のズレ量を5μm未満に抑え、高い精度でグリーンシートを積層することが出来、凹凸の少ないスリット壁面を形成することが可能である。そのため、スリット幅が数十μm程度であっても、又、アスペクト比10〜25程度の、高アスペクト比な、後にセルを形成するスリットや、セル間のスリットを、容易に作成出来、優れた特性のアクチュエータ部を有するマイクロポンプを得ることが出来る。
【0093】
更に、スリット加工後に焼成するので、スリット幅は、シート打ち抜き時点では、金型のパンチ加工幅とほぼ同等であるが、焼成時に収縮するので、薄肉加工スリットと焼成収縮の組み合わせで、幅が40μm以下の微細スリットを形成することも可能であるし、金型の形状を変更する等の打ち抜き金型の設計次第で、スリットは直線以外であっても容易に形成出来、用途に応じた最適な形状を実現することが出来る。
【0094】
図5(a)は、図6(a)〜図6(e)に示される打抜同時積層方法によりスペーサ板70を得る場合において、図3(b)に示される焼成後のスペーサ板70のP視端面図を示し、図5(b)は、図5(a)に示すスリット(A)5壁面のM部を拡大した断面模式図を示している。
【0095】
上記したマイクロポンプの製造方法によれば、焼成前にスリット(A)を形成するので、後にセルになり得るスリット(A)の側壁面は焼成面で形成される。従って、マイクロクラックや粒内破壊が生じず、セルを形成する側壁の表面の結晶粒子状態は粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下となり実質上なしに等しく、アクチュエータ部として、圧縮残留応力による特性劣化が生じず、耐久性・信頼性を向上させることが出来る。
【0096】
上記の製造方法によるグリーンシートの重ね合わせ精度の一例を掲げれば、厚さが50μm、ヤング率が39N/mm2のグリーンシートを、スリット(A)幅50μm、スリット(B)幅30μm、となるように打ち抜きし、10枚積層した場合に、焼成後の各層間のズレ量は、最大で4μm、表面粗さRtは概ね7μmである。尚、焼成後のスリット(A)幅は、焼成収縮により約40μmであった。
【0097】
ポンプユニット(B)及びポンプユニット(C)を用いたマイクロポンプについても、マイクロポンプ130に準じて作製することが出来る。
例えば、ポンプユニット(B)を3つ備えるマイクロポンプ140においても、上記した図3(a)〜図3(c)、及び、図6(a)〜図6(e)に示される方法により、先ず、アクチュエータ部2を作製する。次いで、スクリーン印刷やディスペンサーで接着剤樹脂を塗布した上で、別途製作したシリコン樹脂の流路部52を接着し一体化させた後に、図示しない必要な配線を接続することで、マイクロポンプ140を得る。
【0098】
又、ポンプユニット(C)を3つ備えるマイクロポンプ150についても、同じように、先ず、アクチュエータ部2a,2bを各々作製する。その後、アクチュエータ部2bに変位伝達部126を接着し、その上に流体導入開口部35並びに流体排出開口部36を有するノズル板9を接着し流路13を形成し、図示しない必要な配線を接続することで、マイクロポンプ150を得る。
【0099】
以下に、本発明のマイクロポンプに用いられる材料について説明する。
先ず、駆動部であるアクチュエータ部のセルの側壁に用いられる圧電/電歪体又は反強誘電体の材料について説明する。
圧電/電歪体として用いられる材料としては、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、又は、コバルトニオブ酸鉛等の1種又は2種以上を含有するセラミックスを挙げることが出来る。これらのセラミックスは、圧電/電歪体を構成するセラミックス成分中に50重量%以上を占める主成分であることが好ましく、特に、ジルコン酸鉛を含有するセラミックスが主成分であることが好ましい。
【0100】
又、これらのセラミックスに、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物の1種又は2種以上を含有させたものを用いてもよく、中でも、マグネシウムニオブ酸鉛と、ジルコン酸鉛と、チタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、ランタン又はストロンチウムの少なくとも1種を含有するセラミックスが好ましい。
【0101】
反強誘電体の材料としては、ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックス、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするセラミックス、ジルコン酸鉛を主成分とし酸化ランタンを添加したセラミックス、又はジルコン酸鉛とスズ酸鉛とを主成分とし、ジルコン酸鉛又はニオブ酸鉛を添加したセラミックスが好ましい。
又、圧電/電歪体の他の材料としては、チタン酸バリウム、及び、チタン酸バリウムを主成分とするチタバリ系セラミックス強誘電体や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に代表される高分子圧電体、あるいは、(Bi0.5Na0.5)TiO3に代表されるBi系セラミックス圧電体、Bi層状セラミックスを挙げることが出来る。勿論、圧電/電歪特性を改善した上記材料の混合物や固溶体、及び、上記材料及び上記材料の混合物に添加物を添加せしめたものが用いられ得ることはいうまでもない。
尚、セルの側壁がセラミックスからなるとき、結晶粒の平均粒径は、駆動部たる側壁の機械的強度を重視する設計においては、0.05〜2μmであることが好ましい。駆動部たる側壁の機械的強度が高められるからである。駆動部たる側壁の伸縮特性を重視する設計においては、結晶粒の平均粒径は、1〜7μmであることが好ましい。高い圧電/電歪特性を得られるからである。
【0102】
アクチュエータ部のセルの連通板及び蓋板については、側壁の材料と熱膨張率が近いことが好ましく、特にセラミックスからなり、積層焼成により側壁と一体化することが好ましいが、側壁の材料と同一のセラミックスでもよいし、異なっていてもよい。セルの連通板及び蓋板を構成するセラミックスとしては、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を用いることが出来る。
【0103】
側壁に形成する電極の材料としては、高温酸化雰囲気に耐えられる導体であれば、特に規制されるものではなく、例えば金属単体であっても、合金であってもよく、また、絶縁性セラミックスと金属単体、もしくはその合金との混合物であっても、何ら差し支えない。より好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム等の高融点貴金属類、あるいは銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とする電極材料、あるいは白金と基体材料や例えば圧電/電歪材料とのサーメット材料が好適に用いられる。
【0104】
ポンプユニット(B)に用いられる変位伝達部は、アクチュエータ部におけるセルの側壁の伸縮変位を直接伝達出来る程度の硬度を有するものが好ましい。例えば、ゴム、有機樹脂、有機接着フイルム、ガラス等が好ましいものとして挙げられるが、上述したセラミックスであってもかまわない。最も好ましくは、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリオレフィン系等の有機樹脂、これらの混合物又は有機接着フイルムがよい。更に、これらにフィラーを混ぜて硬化収縮を抑制したものも有効である。これらを用いれば、変位伝達部をセルの蓋板に接着させるのに、変位伝達部の材料そのものを接着剤として兼ねることが出来る。ポンプユニット(C)を用いる実施例として掲げたマイクロポンプ150の入力弁部、出力弁部を構成する変位伝達部も、同様である。
【0105】
ケーシングの構成材料としては、例えば、ガラス、石英、アクリル等のプラスチック、セラミックス等、あるいは、金属等が挙げられる。ケーシングは、接触する流体により腐食し難いものが好ましい。変位伝達部と接触する場合には、それによって変形しない程度の硬度を有することが好ましい。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るマイクロポンプによれば、小型、薄型であって、且つ、流体の排出量(移動量)の増大化及び応答性の高速化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るマイクロポンプの一実施形態を示す断面図であり、図1(a)は停止状態を示し、図1(b)は駆動状態を示す。
【図2】 従来のポンプの一実施形態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係るマイクロポンプの製造方法の一例を示す概略工程説明図である。
【図4】 本発明に係るマイクロポンプの製造方法の他の一例を示す概略工程説明図である。
【図5】 本発明に係る打抜同時積層を含むマイクロポンプの製造方法において、図5(a)は図3(b)のP視端面図であり、図5(b)は図5(a)のM部の断面拡大模式図である。
【図6】 図3(a)に示すグリーンシートのスリット孔打抜積層において、打抜同時積層を行う方法の一例を示す工程説明図であり、
図6(a)は、ダイに最初のグリーンシートを載せた1枚目準備工程を示し、
図6(b)は、最初のグリーンシートの打ち抜き工程を示し、
図6(c)は、2枚目のグリーンシートを載せた2枚目準備工程を示し、
図6(d)は、2枚目のグリーンシートの打ち抜き工程を示し、
図6(e)は、全シートの打ち抜き、積層を終えてストリッパにより積層したグリーンシートを離す打抜完了工程を示す図である。
【図7】 本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図であり、図7(a)は停止状態を示し、図7(b)は駆動状態を示す。
【図8】 本発明に係るマイクロポンプの更に他の実施形態を示す断面図であり、図8(a)は停止状態を示し、図8(b)は駆動状態を示す。
【図9】 本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図である。
【図10】 本発明に係るマイクロポンプの一実施形態を示す断面図である。
【図11】 本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図である。
【図12】 本発明に係るマイクロポンプの更に他の実施形態を示す断面図である。
【図13】 本発明に係るマイクロポンプの一実施形態を示す断面図であり、図13(a)は垂直断面を示し、図13(b)は水平断面を示す。
【図14】 本発明に係るマイクロポンプの他の実施形態を示す断面図であり、図14(a)は垂直断面を示し、図14(b)は水平断面を示す。
【図15】 本発明に係るマイクロポンプの更に他の実施形態を示す断面図であり、図15(a)は垂直断面を示し、図15(b)は水平断面を示す。
【図16】 本発明に係るマイクロポンプの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
2…アクチュエータ部、3…セル、5…スリット(A)、6…側壁、7…蓋板、8…ノズル、9…ノズル板、10…パンチ、11…ストリッパ、12…ダイ、13,13a,13b…流路、14…ケーシング、15…スリット孔、16,16a〜16c…グリーンシート、17…引離治具、25…スリット孔、26…変位伝達部、31…システム流体、32…流体、33…導入流路、34…排出流路、35…流体導入開口部、36…流体排出開口部、37…逆止弁、38…圧力損失形成部、42…流路部、44…ポンプユニット(A)、45…スリット(B)、52…流路部、54…ポンプユニット(B)、62…流路部、64…ポンプユニット(C)、68…連通板、70…スペーサ板、72…連通開口部、73…連通孔、74…貫通孔、83…入力弁部、84…ポンプ部、85…出力弁部、93…入力弁部、94…ポンプ部、95…出力弁部、101…マイクロポンプ、103…入力弁部、104…ポンプ部、105…出力弁部、107…マイクロポンプ、109…マイクロポンプ、110…ポンプ、112…ポンプ本体、114…ケーシング、116…ポンプ部、118…入力弁部、120…出力弁部、126…変位伝達部、130…マイクロポンプ、140…マイクロポンプ、142…振動部、150…マイクロポンプ。

Claims (35)

  1. 少なくとも1つのポンプ部を備えてなり、圧力の働きによって流体を送り得るマイクロポンプであって、
    前記ポンプ部は、ポンプユニットから構成され、
    前記ポンプユニットは、圧力の変動を起こす少なくとも1つのアクチュエータ部と、流体が流れる流路部と、から構成され、前記アクチュエータ部は、連通板上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁を配列し、前記2つの側壁の間のスリット(A)を、前記連通板と、前記連通板と対向させた蓋板と、で塞いでセルを形成してなり、前記側壁が伸縮して生じる前記セルの変位を通じて、前記流路部に圧力の変動を生じせしめ、流体の流路を選択的に形成し得るものであることを特徴とするマイクロポンプ。
  2. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部の側壁の両表面に電極膜を形成し、前記電極膜に電圧を印加することにより、駆動電界に応じて前記側壁が上下方向に伸縮する請求項1に記載のマイクロポンプ。
  3. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部の側壁を形成し得る圧電体の分極電界と駆動電界とが、電界方向同一である請求項1又は2に記載のマイクロポンプ。
  4. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部の側壁の表面の結晶粒子状態は、粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  5. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部のセルの面の輪郭度が、略8μm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  6. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部のセルの内幅と高さとの比が、略1:2〜1:40である請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  7. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部のセルの内幅が、略60μm以下である請求項1〜6の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  8. 前記ポンプユニットにおいて、前記アクチュエータ部の側壁の表面粗さRtが、略10μm以下である請求項1〜7の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  9. 前記ポンプユニットのアクチュエータ部において、前記連通板が圧電/電歪体又は反強誘電体からなり、前記側壁と一体成形されている請求項1〜8の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  10. 前記ポンプユニットのアクチュエータ部において、前記蓋板が圧電/電歪体又は反強誘電体からなり、前記側壁と一体成形されている請求項1〜9の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  11. 前記ポンプユニットは、アクチュエータ部のセルにシステム流体が充填され、流路部に前記システム流体とは非溶性の流体が流れる流路が予め形成され、前記セルと前記流路とは連通孔を介して通じ、前記流路は、少なくとも前記連通孔が前記流路と通じるところにおいて前記連通孔の径と略同幅であり、前記セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、前記セルに充填された前記システム流体が前記連通孔から前記流路側へ侵入する体積を変化させて、流体の流路を選択的に形成し得るポンプユニット(A)であり、
    前記ポンプユニット(A)をポンプ部として用い、少なくとも1つの前記ポンプ部を備えてなる請求項1〜10の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  12. 前記ポンプユニットは、流路部が、アクチュエータ部のセルの蓋板と少なくとも一部を接着する変位伝達部と、前記変位伝達部の前記アクチュエータ部とは反対側の一部の面で流路を挟んで対面するケーシングと、からなり、前記セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、前記変位伝達部が対面する前記ケーシングの一部の面に対して接近・離反する変位を通じて、流体の流路を選択的に形成し得るポンプユニット(B)であり、
    前記ポンプユニット(B)をポンプ部として用い、少なくとも1つの前記ポンプ部を備えてなる請求項1〜10の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  13. 前記ポンプユニット(B)において、前記セル内とセル外とを通じる貫通孔が形成される請求項12に記載のマイクロポンプ。
  14. 前記ポンプユニット(B)において、前記流路が潜在的に存在し、前記変位伝達部が対面する前記ケーシングの一部の面に対して最も接近したときには、前記変位伝達部と前記ケーシングとは接触する請求項12又は13に記載のマイクロポンプ。
  15. 前記ポンプユニット(B)において、前記流路部の変位伝達部に対応して複数のアクチュエータ部が割り当てられている請求項12〜14の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  16. 前記ポンプユニット(B)の複数のアクチュエータ部において、セルと隣接するセルとの間隔と、前記セルの高さとの比が、略1:2〜1:40である請求項15に記載のマイクロポンプ。
  17. 前記ポンプユニット(B)の複数のアクチュエータ部において、セルと隣接するセルとの間隔が、略50μm以下である請求項15又は16に記載のマイクロポンプ。
  18. 前記ポンプユニット(B)の複数のアクチュエータ部において、セルの内幅、乃至、セルと隣接するセルとの間隔が、少なくとも2種類の長さを有する請求項15〜17の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  19. 前記ポンプユニット(B)のアクチュエータ部において、前記セルの外側に前記流路部の変位伝達部と同じ材料が充填されてなり、前記アクチュエータ部と前記流路部とが一体化して形成される請求項12〜18の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  20. 前記ポンプユニットは、アクチュエータ部のセルに流体導入開口部及び流体排出開口部が形成され、流路部に導入流路と排出流路とからなり流体が流れる流路が予め形成され、前記導入流路は前記セルの流体導入開口部に通じ、前記排出流路は前記セルの流体排出開口部に通じてなり、前記セルを構成する側壁の上下方向の伸縮により、前記セルの体積を変化させて前記セル内に圧力を生じせしめ、流体の流路を選択的に形成し得るポンプユニット(C)であり、前記ポンプユニット(C)をポンプ部として用い、少なくとも1つの前記ポンプ部を備えてなる請求項1〜10の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  21. 前記流路の導入側及び排出側に圧力損失形成部を有し、
    導入側圧力損失形成部における、流体を導入する方向に流した時の圧力損失ΔP1と、流体を導入する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP2と、
    排出側圧力損失形成部における、流体を排出する方向に流した時の圧力損失ΔP3と、流体を排出する方向とは反対方向へ流した時の圧力損失ΔP4とが、次の2式、
    ΔP1<ΔP4
    ΔP2>ΔP3
    を満足する請求項1〜20の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  22. 前記導入側圧力損失形成部が、流体を導入する方向に向けて連続的に断面積が小さくなるテーパー状であり、前記排出側圧力損失形成部が、流体を排出する方向に向けて連続的に小さくなるテーパー状である請求項21に記載のマイクロポンプ。
  23. 前記導入側及び排出側の圧力損失形成部が、逆止弁である請求項21に記載のマイクロポンプ。
  24. 前記ポンプ部が、複数備わり、少なくとも1組の直列接続を有する請求項11〜23の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  25. 前記ポンプ部が、複数備わり、直列接続と並列接続とが任意に組み合わされて接続されている請求項11〜23の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  26. 前記複数のポンプ部のうち、直列に隣接する2つのポンプ部の少なくとも1組が、流路部に生じせしめる圧力の変動の位相を互いにずらすことにより、流路部の流体の流れを制御し得る請求項24又は25に記載のマイクロポンプ。
  27. 前記複数のポンプ部のポンプユニットが、同種のポンプユニットである請求項24〜26の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  28. 前記複数のポンプ部において、隣接する少なくとも1つのポンプ部間に、請求項11〜23に記載の前記ポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットから構成される弁部が介在している請求項24〜27の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  29. 前記ポンプ部のポンプユニットと、前記弁部のポンプユニットとが、同種のポンプユニットである請求項28に記載のマイクロポンプ。
  30. 前記ポンプ部の導入側に、請求項11〜23に記載の前記ポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットから構成される少なくとも1つの入力弁部を有する請求項1〜29の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  31. 前記ポンプ部のポンプユニットと、前記入力弁部のポンプユニットとが、同種のポンプユニットである請求項30に記載のマイクロポンプ。
  32. 前記ポンプ部の排出側に、請求項11〜23に記載の前記ポンプユニット(A)、ポンプユニット(B)、ポンプユニット(C)のうち何れかのポンプユニットから構成される少なくとも1つの出力弁部を有する請求項1〜31の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  33. 前記ポンプ部のポンプユニットと、前記出力弁部のポンプユニットとが、同種のポンプユニットである請求項32に記載のマイクロポンプ。
  34. 前記ポンプユニットのアクチュエータ部が、
    圧電/電歪体又は反強誘電体からなり複数のスリット(A)が形成されたスペーサ板と、前記スペーサ板の一方の側に重ね合わせ前記スリット(A)を覆蓋する蓋板と、前記スペーサ板の他方の側に重ね合わせ前記スリット(A)を覆蓋する連通板と、からなり、
    前記スリット(A)と隣接するスリット(A)との間には、前記蓋板及び前記スペーサ板を貫通するスリット(B)が形成されている請求項1〜33の何れか一項に記載のマイクロポンプ。
  35. 連通板上に、圧電/電歪体又は反強誘電体からなる2つの側壁を配列し、前記側壁の、前記連通板と対向する面を蓋板で塞いでセルを形成してなり、前記側壁が伸縮して前記セルに変位を生じるアクチュエータ部を有するマイクロポンプの、パンチとダイを用いた製造方法であって、
    圧電/電歪材料又は反強誘電材料からなる複数のグリーンシートを用意し、
    前記パンチにより、第一のグリーンシートに第一のスリット孔を開ける第一の工程と、前記第一のスリット孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第一のグリーンシートをストリッパに密着させて引き上げる第二の工程と、前記パンチの先端部が引き上げた前記第一のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、前記パンチを引き上げる第三の工程と、
    前記パンチにより、第二のグリーンシートに第二のスリット孔を開ける第四の工程と、前記第二のスリット孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第二のグリーンシートを前記第一のグリーンシートとともに引き上げる第五の工程と、前記パンチ先端部が引き上げた前記第二のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、前記パンチを引き上げる第六の工程と、
    以降、複数枚のグリーンシートを第四の工程から第六の工程を繰り返して積層し、複数のスリットを有する圧電/電歪体又は反強誘電体を形成する過程を含むことを特徴とするマイクロポンプの製造方法。
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