JP3964193B2 - マトリクス型アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリクス型のアクチュエータに関する。より詳細には、光変調器、光スイッチ、電気スイッチ、マイクロリレー、マイクロバルブ、搬送装置、ディスプレイ及びプロジェクタ等の画像表示装置、画像描画装置、マイクロポンプ、液滴吐出装置、更には、微小混合装置、微小撹拌装置、微小反応装置、等に使用され、高い発生力と大きな変位を兼ね備え、好ましくは圧電/電歪体の電界誘起歪みの横効果により、圧電/電歪体がセラミック基体主面に対して垂直方向の伸縮変位乃至伸縮振動を発現し、作用対象に対し、押す、歪ませる、動かす、叩く(衝撃を与える)、混合する、等の作用を行うマトリクス型圧電/電歪アクチュエータ並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学、精密機械、半導体製造等の分野において、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する変位制御素子が所望されるようになってきている。これに応え、強誘電体や反強誘電体に電界を加えたときに起こる逆圧電効果や電歪効果等に基づくところの歪みを利用した圧電/電歪アクチュエータの開発が進められている。これら電界誘起歪みを利用する変位制御素子は、従来のサーボモータ、パルスモータ等による電磁方式等に比較して、微小変位制御が容易であり、機械/電気エネルギー変換効率が高く省電力化が図れ、超精密に実装出来て製品の小型軽量化に寄与出来る、等の特徴を有し、応用分野は拡大の一途を辿るものと考えられている。
【0003】
例えば、光スイッチにおいては、入力光の伝達経路の切り替えにあたって、そのような圧電/電歪アクチュエータが用いられている。
光スイッチの一例を図2(a)、図2(b)に示す。図2(a)、図2(b)に示される光スイッチ200は、光伝達部201と光路変更部208とアクチュエータ部211とからなる。詳細には、光伝達部201は、光路変更部208に対向する面の一部に設けられる光反射面101、及び、光反射面101を起点に3方向に向けて設けられる光伝達経路202,204,205を有し、又、光路変更部208は、光伝達部201の光反射面101に移動可能な状態で近接され、透光性の材質からなる光導入部材209、及び、光を全反射する光反射部材210を有し、更には、アクチュエータ部211は、外部信号により変位し、変位を光路変更部208に伝達する機構を有する。
【0004】
光スイッチ200は、図2(a)に示すように、電圧の印加等の外部信号によりアクチュエータ部211が作動し、アクチュエータ部211の変位により光路変更部208が光伝達部201から離隔され、光伝達部201の光伝達経路202に入力された光221が、屈折率を所定の値に調節してある光伝達部201の光反射面101において透過することなく全反射し、出力側の一の光伝達経路204に伝達される。
【0005】
一方、この状態から、逆に、アクチュエータ部211を非作動状態とすると、図2(b)に示すように、アクチュエータ部211の変位が元に戻り、光路変更部208の光導入部材209が、光伝達部201に光の波長以下の距離で接触するため、光伝達経路202に入力された光221は、光導入部材209により光伝達部201から光導入部材209に取り出され、光導入部材209の中を透過する。この光導入部材209の中を透過した光221は、光反射部材210まで達するが、この光反射部材210の反射面102で反射されることにより、光伝達部201の光反射面101で反射した光とは異なる出力側の他の光伝達経路205に伝達される。
【0006】
このような光路変更機能を有する光スイッチのアクチュエータ部には、圧電/電歪アクチュエータが好適に用いられる。中でも複数チャンネル間でスイッチングを行うマトリクススイッチを構成するにあたっては、本願出願人の先の発明である特許第2693291号公報に開示されるような、ユニモルフ乃至バイモルフ型(以下、これらを屈曲変位素子ともよぶ)の圧電/電歪素子を、複数個配置した圧電/電歪アクチュエータが好適に採用される。屈曲変位素子は、振動板と圧電/電歪素子とから構成され、電界印加時の圧電/電歪素子自身の僅かな伸縮歪みを屈曲モードに変換して屈曲変位とするため、圧電/電歪素子の素子長に比例して大きな変位を得ることは容易である。しかしながら、歪みの変換を行うため、圧電/電歪素子の直接の発生歪みにかかる発生応力を、そのまま利用することが出来ず、発生力を同時に大きくすることは非常に困難なものであった。加えて、素子長の増加にともない、必然的に共振周波数が低下するため、応答速度も同時に満足し難いものであった。
【0007】
ところで、光スイッチの高性能化にあたって、第1に、そのON/OFF比(コントラスト)を大きくとりたいという要望がある。この場合、上記した光スイッチ200においては、光路変更部208の光伝達部201との接触・離隔動作を確実に行うことが重要であり、そのためにはアクチュエータ部は大きなストローク、即ち、大きく変位するものであることが好ましい。
又、第2に、スイッチングにかかる損失を小さくしたいという要望がある。この場合、光路変更部208の面積を大きくしつつ光伝達部201との実質的な接触面積を増やすことが重要であるが、そのような接触面積の増加は、離隔にかかる確実性を低下させる要因となるので、アクチュエータ部には大きな力を発生出来るものが必要となる。即ち、このような光スイッチの高性能化にあたっては、アクチュエータ部として、変位と力を同時に発生出来る圧電/電歪アクチュエータが望まれているのである。
【0008】
そして、これら個々の圧電/電歪素子は、互いに独立して形成されているものが好ましい。互いに独立とは、互いに干渉しない、つまり、発生した変位並びに発生した力を、互いに拘束しないことを意味する。例えば、図3に示した圧電/電歪アクチュエータ145は、図4に示す断面図のように、圧電/電歪素子178の作動により屈曲変位している。互いの圧電/電歪素子178は、隔壁143の剛性により、隣接する圧電/電歪素子と機械的に独立するようにされている。しかしながら、基体144は構造体として一体的であり、圧電/電歪素子178が作用する振動板も連続体である。従って、隣接する圧電/電歪素子は隔壁143で独立されてはいるものの、圧電/電歪素子178の作動によって生じる振動板の引っ張り乃至圧縮応力が、互いに何らかの影響を与えていることは否定出来ない。一方、図5に断面図を示す圧電/電歪アクチュエータ155では、振動板218を支える側壁219が、隣接する側壁219と独立しているため、隣接素子への影響はない。
【0009】
更に別の態様として、特開昭60−90770号公報の第2図には、インクジェットヘッドに用いられるアクチュエータであって、一列に並ぶ加圧室2に対応し、一列に並ぶアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、上記した屈曲変位素子ではなく、圧電/電歪体の歪みを直接利用するタイプの圧電/電歪素子で構成したものではあるが、圧電/電歪体の上下作用面に電極が形成されているため、電界誘起歪みの縦効果である圧電歪定数d33が電界誘起歪みの横効果の圧電歪定数d31と比較して大きいとはいえ、電極間距離が大きく、実質低電圧で大きな変位を得ることは困難であった。一方、第5図には、圧電素子の厚み方向に電圧を印加して使用するものも開示されているが、これは単に圧電板に電極を形成した単体の圧電素子を、単独で使用しているに過ぎない。又、特開昭60−90770号公報に開示されている圧電素子は、ダイヤモンドソーを用いた切削加工により作製されたものであり、加工によるダメージが内在しているという問題点を抱えていた。
【0010】
何れにしても、上記したように、製造時に受けたダメージが極めて小さく、発生変位と発生力を両立した複数の独立した圧電/電歪素子が、接着剤を用いることなく、二次元マトリクス状に整列配置し、且つ、基体部と一体的に形成された圧電/電歪アクチュエータは、従来、提案されていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情を背景にしてなされたものであって、その解決すべき課題とするところは、低電圧で大変位が得られ、応答速度が速く、且つ、発生力が大きく、又、実装性に優れ、高集積化が可能であり、光変調器、光スイッチ、電気スイッチ、マイクロリレー、マイクロバルブ、搬送装置、ディスプレイ及びプロジェクタ等の画像表示装置、画像描画装置、マイクロポンプ、液滴吐出装置、更には、微小混合装置、微小撹拌装置、微小反応装置、等に好ましく適用することが可能な、作用対象に対し、押す、歪ませる、動かす、叩く(衝撃を与える)、混合する、等の作用を行う圧電/電歪アクチュエータ並びにその製造方法を提供することにある。
圧電/電歪アクチュエータについて、検討が重ねられた結果、以下に示すマトリクス型アクチュエータにより、これらの課題が解決されることが見出された。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、厚肉のセラミック基体上に、圧電/電歪体と少なくとも一対の電極とからなる複数の圧電/電歪素子が形成されてなり、圧電/電歪体の変位により駆動する圧電/電歪アクチュエータであって、複数の圧電/電歪素子が、セラミック基体とそれぞれ一体的に接合され、且つ、互いに独立して二次元に整列配置されてなることを特徴とするマトリクス型アクチュエータが提供される。
【0013】
本発明のマトリクス型アクチュエータは、より詳細には、2つのタイプのアクチュエータからなる。
本発明の第1のマトリクス型アクチュエータは、圧電/電歪素子が、セラミック基体上に立設された圧電/電歪体の側面に電極を形成してなるアクチュエータである。より好ましくは、電極は、圧電/電歪素子の圧電/電歪体の断面が、セラミック基体と平行方向の断面において平行四辺形であって、その圧電/電歪体の断面の長辺を含む側面に形成されてなることが好ましい。第1のマトリクス型アクチュエータでは、圧電/電歪体の電界誘起歪みの横効果による変位に基づき、圧電/電歪素子がセラミック基体主面に対して垂直方向に伸縮することが好ましい。又、圧電/電歪素子の圧電/電歪体のうち、電極が形成される壁面の結晶粒子状態は、粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下であることが好ましく、圧電/電歪素子の圧電/電歪体の面の輪郭度が、概ね8μm以下であることが好ましく、圧電/電歪素子の圧電/電歪体の壁面の表面粗さRtが、概ね10μm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の第2のマトリクス型アクチュエータは、圧電/電歪素子が、セラミック基体上に層状の圧電/電歪体と層状の電極とが交互に複数層積層されてなるアクチュエータである。第2のマトリクス型アクチュエータでは、圧電/電歪体の電界誘起歪みの縦効果による変位に基づき、圧電/電歪素子がセラミック基体主面に対して垂直方向に伸縮することが好ましい。又、圧電/電歪素子の圧電/電歪体からなる層の1層当たりの厚さが、100μm以下であることが好ましく、圧電/電歪素子の圧電/電歪体からなる層が、10乃至200層備わることが好ましい。
【0015】
本発明の第1及び第2のマトリクス型アクチュエータにおいては、隣接する圧電/電歪素子の間に壁部が形成されてなることが好ましい。
又、本発明の第1及び第2のマトリクス型アクチュエータにおいては、圧電/電歪体が、圧電セラミックス、電歪セラミックス、反強誘電体セラミックスのうちの何れかの材料、若しくは、これらと高分子圧電材料との複合材料からなることが好ましく、セラミック基体と圧電/電歪素子を構成する圧電/電歪体とが同じ材料からなることが好ましい。更には、セラミック基体における圧電/電歪素子が配置される面とは反対側の面に、電極端子が形成されてなり、電極と電極端子とが、セラミック基体に形成されたスルーホール乃至ビアホールを経由して配線されていることが好ましい。
【0016】
又、本発明によれば、厚肉のセラミック基体上に、圧電/電歪体と少なくとも一対の電極とからなる複数の圧電/電歪素子が、二次元に整列配置されてなるマトリクス型アクチュエータの製造方法であって、圧電/電歪材料を主成分とする複数のセラミックグリーンシートを用意し、パンチとダイにより、複数のセラミックグリーンシートの所定の位置に孔を開けて積層し、孔が重なってなる貫通孔が形成されたセラミックグリーン積層体を得る工程Aと、後にセラミック基体を構成するセラミックグリーン基体を準備する工程Bと、セラミックグリーン積層体とセラミックグリーン基体とを積層した後に焼成一体化し、積層焼成体を得る工程Cと、積層焼成体のうち少なくとも工程Aで得たセラミックグリーン積層体部分に切込みを入れる工程Dと、を有してなり、セラミック基体上に、互いに独立した複数の圧電/電歪体を形成する過程を含むことを特徴とするマトリクス型アクチュエータの製造方法が提供される。
【0017】
本発明のマトリクス型アクチュエータの製造方法においては、工程Aが、より詳細には、パンチにより、第一のセラミックグリーンシートに第一の孔を開ける第一の工程と、第一の孔からパンチを抜き取らない状態で、第一のセラミックグリーンシートをストリッパに密着させて引き上げる第二の工程と、パンチの先端部が引き上げた第一のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、パンチを引き上げる第三の工程と、パンチにより、第二のセラミックグリーンシートに第二の孔を開ける第四の工程と、第二の孔からパンチを抜き取らない状態で、第二のグリーンシートを第一のセラミックグリーンシートとともに引き上げる第五の工程と、パンチ先端部が引き上げた第二のセラミックグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、パンチを引き上げる第六の工程と、以降、複数枚のセラミックグリーンシートを第四の工程から第六の工程を繰り返して積層し、孔が重なってなる貫通孔が形成されたセラミックグリーン積層体を得る工程であることが好ましい。
【0018】
又、工程Cの後であって工程Dの前に、積層焼成体のセラミックグリーン積層体相当部分の貫通孔に、充填材を詰める工程を有することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマトリクス型アクチュエータについて、実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
尚、本発明のマトリクス型アクチュエータは圧電/電歪アクチュエータであるが、電界によって誘起される歪みを利用するアクチュエータであって、狭義の意味での、印加電界に概ね比例した歪み量を発生する圧電効果、印加電界の二乗に概ね比例した歪み量を発生する電歪効果を利用するアクチュエータに限定されるものではなく、強誘電体材料全般に見られる分極反転、反強誘電体材料に見られる反強誘電相−強誘電相転移、等の現象を利用するアクチュエータも含まれる。又、分極処理が行われるか否かについても自由である。圧電/電歪アクチュエータを構成する圧電/電歪素子の圧電/電歪体に用いられる材料の性質に基づいて適宜決定される。従って、本明細書中において、分極処理するという場合には、分極処理が必要な材料を対象としていることが前提であると理解されるべきである。
【0020】
以下、図面を参酌しながら説明する。
図1は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ1は、セラミック基体2上に、圧電/電歪体4と一対の電極18,19とからなる複数の圧電/電歪素子31が形成されてなり、圧電/電歪体4がセラミック基体2上で変位を起こすことにより駆動する圧電/電歪アクチュエータである。
本発明のマトリクス型アクチュエータ1においては、第1のマトリクス型アクチュエータに共通する、以下の特徴を有する。
【0021】
1)二次元整列配置素子
上記した図3に示す従来の圧電/電歪アクチュエータ145のように、ユニモルフ乃至バイモルフ型の圧電/電歪素子が基体上に並んで形成されているのではなく、1つの厚肉で実質中実なセラミック基体2上に二次元マトリクス状に、複数の圧電/電歪素子31が、互いに独立し、且つ、それぞれセラミック基体2と一体化して整列配置されている。このような素子配列に関わる部位並びに圧電/電歪素子の変位発現の基点となる部位に、接着剤等が介在しない構造なので、初期的な素子寸法、素子ピッチ等の精度が高いことは勿論のこと、介在物の劣化という現象が生じ得ないので、長期間にわたって高い寸法精度、圧電/電歪素子特性が維持出来る。そして、光スイッチやマイクロバルブ、あるいは、画像表示装置等のアクチュエータとして利用する際には、より高精度に実装することが可能となり、又、一体化した構造であることから強度面にも優れ、実装作業そのものが容易となる。ここで厚肉とは、基体をダイヤフラムとして機能させるものではないという意味で使用している。
【0022】
2)相互完全独立素子
本発明のマトリクス型アクチュエータ1においては、変位を起こすのはセラミック基体2上に露わな圧電/電歪素子31部分のみであり、セラミック基体2の構造として圧電/電歪体4が発生する電界誘起歪みが元で変形する部分がなく、個々の圧電/電歪素子31は、セラミック基体と一体化した構造であっても、隣接する圧電/電歪素子31とは完全に独立していて、互いの変位を妨げることがない。従って、より低電圧で、より大きな変位を安定して得ることが出来る。
【0023】
3)電極端子形成
マトリクス型アクチュエータ1は、圧電/電歪素子31がセラミック基体2上に立設され、圧電/電歪体4の側面のうち、対向する距離の短い方の側面に、電極18,19が形成されている。換言すれば、電極18,19は、圧電/電歪素子31の圧電/電歪体4におけるセラミック基体2と平行方向の断面形状、即ち、平行四辺形の一態様である長方形の、長辺を含む側面に形成されている。そして、セラミック基体2を挟んで圧電/電歪素子31が配置される面とは反対側の面に、電極端子20,21が形成されていて、電極18と電極端子20、及び、電極19と電極端子21とが、セラミック基体2の内部に形成され、導電性材料が充填されたビアホール22により配線している。当然ながら、ビアホール22の代わりに、内面に導電性材料が塗布されたスルーホールでもかまわない。このように駆動部である圧電/電歪素子31とは反対側に電極端子を形成しておくことにより、後に電界をかけるための電源接続作業が容易となり、製造工程に起因する歩留まり低下を防止し得る。
【0024】
4)分極及び駆動電界の平行性
マトリクス型アクチュエータ1においては、圧電/電歪素子31を構成する圧電/電歪体4は、図1中、セラミック基体2の主面に平行なP方向に分極されている。そして、電極端子20,21に電源を接続し、電極18側を正極、電極19側を負極として電圧をかけることにより、駆動電界が方向Eに形成される。即ち、圧電/電歪体4の分極電界と駆動電界とが、同一方向になっている。その結果、圧電/電歪体4の電界誘起歪みの横効果に基づき、圧電/電歪素子31がセラミック基体2の主面に対し垂直にS方向に収縮し、又、これとは逆に分極Pの方向とは180°反対の電界(但し、分極反転が生じない電界強度)で伸長する。
圧電/電歪素子31を構成する圧電/電歪体4の分極電界と駆動電界とが平行であることから、製造工程において、例えば、シアーモード(d15)等、分極方向と駆動電界とが平行ではないモードを利用する場合に必要な仮の分極用電極を作製し電界をかける必要がなく、スループットの向上が図れる。又、分極処理に関わりなく、キュリー温度以上の高い温度での加熱を伴う製造プロセスを適用することが可能である。従って、圧電/電歪アクチュエータを、例えば、回路基板に固定・結線する際に、はんだリフロー等によるはんだ付けや、熱硬化型接着が実施可能であり、アクチュエータを適用した製品の製造工程を含め、スループットの向上がいっそう図られ、製造コストの低減が導かれる。そして、高い電界強度で駆動しても、分極状態が変化してしまうことがなく、むしろ、より好ましい分極状態となり得て、安定して高い歪み量を得ることが出来る。従って、よりコンパクトにすることが出来、アクチュエータとして好ましい。
【0025】
5)伸縮変位
更に又、圧電/電歪体4の伸縮する電界誘起歪みを屈曲モードの変位に変換して利用するものではなく、その伸縮を、そのまま変位として利用するアクチュエータなので、大変位を得るための設計値が、発生力を低下させる原因とはならない。この第1のマトリクス型アクチュエータを構成する個々の圧電/電歪素子は一般に、
【数1】
Figure 0003964193
で表される数式に従う変位を発生し、一方、
【数2】
Figure 0003964193
で表される数式に従う応力FBを発生する。つまり、上記したように、変位と発生力とは、別個に設計が可能なのである。ここで、Tは圧電/電歪体の厚み、Lはその高さ、Wは幅であり、
【数3】
Figure 0003964193
は弾性コンプライアンスである。従って、これらの数式からわかるように、形状として、圧電/電歪体の厚みTを薄く、そして高さLを高くすることが、変位と発生力を両立する上で有利であるが、通常、そのようなアスペクト比(L/T)の大きい板状体の取扱いは非常に困難で、且つ、精度よく並べることは不可能であった。本発明のマトリクス型アクチュエータは、後述する製造方法により、個々にそれらを取り扱うことなく、又、個々に並べる必要もなく、一体的に形成することが出来、この圧電/電歪素子の利点を最大限に引き出せる特徴を有している。尚、低駆動電圧で、大きな変位並びに発生力が得られるように、上記アスペクト比は20〜200が好ましい。
【0026】
以下、引き続き本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの実施形態について、図面を参酌しながら、説明する。以下に示すマトリクス型アクチュエータにおいても、少なくとも上記した1),2)の特徴を備えており、好ましくは上記した3)〜5)の特徴を備えてなる。
図9は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ90は、セラミック基体2上に、圧電/電歪体4と一対の電極18,19とからなる複数の圧電/電歪素子33が隣接して形成され、隣接した2つ1組の圧電/電歪素子33のセラミック基体2とは反対側の面を平板7で塞ぎ、セル3を形成してなる。圧電/電歪体4が印加電界によりセラミック基体2上で歪みを発現し、圧電/電歪素子33が伸縮し駆動する。
【0027】
1組の圧電/電歪素子33は、ともに同時に伸ばし縮ませてもよく、一方のみを伸ばすか縮ませてもよく、一方を伸ばし他方を縮ませるといった反対動作をさせることも好ましい。例えば、作用面である平板7を被加圧物体に押し当てる動作をするとき、圧電/電歪素子33をともに同時に伸ばす動作によれば、1つの圧電/電歪素子33により伸ばす場合に比べて、平板7を通して、より大きな駆動力により被加圧物体を押圧することが出来る。これは上記した数式からわかるように、圧電/電歪素子の幅Wを2Wとしたことと同じことによる。加えて、本セル構造は、圧電/電歪体の厚みTを小さくしても平板7が存在することにより、単体で構成したものよりも機械的強度が高く、且つ、変位、発生力とも大きく出来、好ましい。又、一方を伸ばし他方を縮ませるといった反対動作、又は一方だけを駆動することにより、平板7の水平面から角度をつけて傾けることが可能となり、例えば、平板7をマイクロミラーにより構成して、マイクロミラーで入射した光の反射角を変えるといった、例えばプロジェクタ等に用いられる光学系への応用が広がる。
【0028】
図26は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ260は、セラミック基体2上に、一対の圧電/電歪体4と電極18,69とからなる複数の圧電/電歪素子44が隣接して形成されてなる。そして、セラミック基体2を挟んで圧電/電歪素子44が配置される面とは反対側の面に向けて、セラミック基体2中を貫通し導電性材料が塗布されたスルーホール128,129が形成され、図示しない電極端子に接続される。
一対の圧電/電歪体4の間には可撓性の高い導電体、例えば接着性を有する導電性樹脂、が挿入されていて、この導電体を一方の電極69として機能させる。電極69は、圧電/電歪体4が発生する歪みを阻害させない程度の可撓性を備えていればよい。又、一対の圧電/電歪体4の、電極69とは反対側の面には、それぞれ電極18が形成される。即ち、圧電/電歪素子44は、圧電/電歪体4と電極18,69とからなる1つの圧電/電歪素子が、電極69を共有して合体したものである。
【0029】
マトリクス型アクチュエータ260においては、圧電/電歪素子44を構成する一対の圧電/電歪体4の単体が、より薄く且つより高く形成され、変位を発現し易い。一方、圧電/電歪素子44としては、可撓性の導電体(電極69)を介して対向させた一対の圧電/電歪体4で構成されているため、機械強度が確保される。従って、低駆動電圧で大変位、大応力が得られ、高性能な圧電/電歪素子として機能し得る。上記のマトリクス型アクチュエータ90と比較しても、更に、圧電/電歪素子の形状効果を有利に適用することが可能である。
【0030】
図示しないが、3つ以上の圧電/電歪素子を1組として圧電/電歪素子33のセラミック基体2とは反対側の面を平板7で塞ぐように繋げてもかまわない。又、4つの側面を圧電/電歪素子33で構成し閉じられたセル3を形成することも出来る。
【0031】
図10は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ100は、セラミック基体2上に、水平断面が十文字状の圧電/電歪体4と一対の電極18,19とからなる複数の圧電/電歪素子34が隣接して形成されてなる。圧電/電歪体4が印加電界によりセラミック基体2上で歪みを発現し、圧電/電歪素子34が伸縮し駆動する。
【0032】
十文字状の圧電/電歪体4にすることにより、構造体としての剛性が増し変位軸が定まるので、図1に示されるマトリクス型アクチュエータ1に比べて変位の方向がより安定する。又、変位の発生力も大きくなる。
【0033】
図11は、図10に示したマトリクス型アクチュエータ100において、圧電/電歪素子34のセラミック基体2とは反対側の面に平板7を付与したマトリクス型アクチュエータ110である。マトリクス型アクチュエータ100と同様に、セラミック基体2上に、複数の圧電/電歪素子35が隣接して形成されてなり、圧電/電歪体4が印加電界によりセラミック基体2上で歪みを発現し、圧電/電歪素子35が伸縮し駆動する。
【0034】
マトリクス型アクチュエータ100と比較して、十文字状の圧電/電歪体4であることに加え平板7を併有するので、構造体としての剛性がより増し、変位軸が極めて定まり、よって変位の方向が更に安定する。又、発生力が大きくなることを生かしながら、加えて、例えば、被加圧物体に押し当てる動作をするとき、平板7により、より広い面積を押圧することが出来る。
【0035】
図24は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ240においては、上記したマトリクス型アクチュエータ260における可撓性の高い導電体(電極69)の代わりに、中継部材68で一対の圧電/電歪体4を接続した圧電/電歪素子42を有する。即ち、マトリクス型アクチュエータ240は、セラミック基体2上に、中継部材68で接続された一対の圧電/電歪体4と電極18,19とからなる複数の圧電/電歪素子42が隣接して形成されている。
【0036】
圧電/電歪素子42において、中継部材68自体も圧電/電歪体4で構成され、中継部材68の両主面にも電極19が形成されており、中継部材68も変位並びに力を発現し得る。このようなマトリクス型アクチュエータ240によれば、圧電/電歪素子42は強度的に優れたものとなり、マトリクス型アクチュエータ260と同じように、圧電/電歪素子の形状効果を有利に適用出来る。尚、中継部材は、対向する圧電/電歪体4の何れの部分を中継してもよく、図24に示されるような水平断面がH字状の他に、U字状,Z字状であってもよい。
【0037】
図12は、図1に示したマトリクス型アクチュエータ1と概ね同じアクチュエータを表し、電極18,19を基体上に水平に拡げず、側面の電極18,19の直下において、図示しないビアホール又はスルーホールを通して、基体裏面の図示しない電極端子に導通させたマトリクス型アクチュエータ120である。同じように、セラミック基体2上に、複数の圧電/電歪素子36が隣接して形成されてなり、圧電/電歪体4が印加電界によりセラミック基体2上で歪みを発現し、圧電/電歪素子36が伸縮し駆動する。
【0038】
図21は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ210は、一軸方向に隣接する圧電/電歪素子39の間に壁部8を設けてなる。本構造に従えば、隣接する圧電/電歪素子39間の電気的干渉を防止し得るとともに、壁部8をマトリクス型アクチュエータの作用対象との接合部として用いることが出来るので、アクチュエータ作動時の被作用体における近隣部位からの作用伝播を効果的に抑制することが可能である。本発明のマトリクス型アクチュエータの特徴である、各圧電/電歪素子間の動作干渉が極めて小さいことに加え、発生した変位乃至力を、所定の部位近傍に集中的に作用させることが可能であるため、作用効率の高いアクチュエータが実現する。
【0039】
電圧を印加していない状態において、壁部と圧電/電歪素子とは、図21に示されるマトリクス型アクチュエータ210のように同一高さである必要はなく、例えば、図22に示されるマトリクス型アクチュエータ220のように、壁部の方が圧電/電歪素子より低くなっていてもよく、更には、図23に示されるマトリクス型アクチュエータ230のように、壁部の方が圧電/電歪素子より高くなっていてもよく、作用の対象に応じて適宜選択することが出来る。
【0040】
又、壁部は、一軸方向に隣接する圧電/電歪素子の間に設けられるだけではなく、二軸方向に隣接する圧電/電歪素子の間に設けられることも、勿論好ましい。図27に示されるマトリクス型アクチュエータ270は、その一実施形態である。マトリクス型アクチュエータ270においては、圧電/電歪素子45に対して、壁部8が二軸方向に隣接するため、圧電/電歪素子45から受ける作用が、上記したマトリクス型アクチュエータ210,220,230に比較して、より逃げ難い。
【0041】
尚、壁部は、圧電/電歪素子と同材料で構成されることになるため、次のような構成をとり得る。第1に、予め壁部としての目的で形成し、ビアホール、スルーホール等の配線部分を設けないようにアクチュエータを形成する。第2に、圧電/電歪素子としての配線等は有しているが、実際には素子として利用せず、壁部としてのみ機能させるようにしてもかまわない。
【0042】
図25は、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ250は、隣接する圧電/電歪素子43の間のセラミック基体2の表面に溝部9を形成してなる。本構造に従えば、溝部9により隣接する圧電/電歪素子43における対向電極面を異なる極性にすることが容易に出来る。又、溝部9の形成により圧電/電歪素子43間の電極距離を大きくとれるので、圧電/電歪素子43間のピッチを小さくしても短絡等が生じる可能性を小さくすることが出来る。
尚、上記した図21、図22、図23、図25、図27の態様については、本発明に係る第1のマトリクス型アクチュエータのみならず、後述する第2のマトリクス型アクチュエータにも、同様に適用することが可能である。
【0043】
図28に示すマトリクス型アクチュエータ280は、高いアスペクト比を有した圧電/電歪素子46を高ピッチ(高密度)で配列してなる。本発明によれば、このような一方向に寸法の大きい圧電/電歪素子46であっても、個々の圧電/電歪素子をハンドリングする、即ち、基体2と圧電/電歪素子46とを貼り付ける、並びに、基体2どうしを貼り付ける、必要はなく、意図した所定のピッチで、二次元に、歩留まりよく配列することが可能である。
【0044】
尚、実際の使用にあたっては、各圧電/電歪素子46間への異物の進入による絶縁性低下の防止、ハンドリング性の向上、等のために、各圧電/電歪素子46間に、変位並びに発生力を阻害しないだけの可撓性のある絶縁体を充填することが好ましい。本発明において有利に採用されるピッチは3mm以下であり、好ましくは2mm以下、更に好ましくは0.1〜1mmである。後述する通り、本発明では、圧電/電歪素子表面の一部を、焼成体への機械加工により形成し、大半を焼成表面そのままで形成するため、特に、高性能なアクチュエータを得るには、焼成雰囲気が、個々の圧電/電歪素子間で均一となるような状態で焼成され圧電/電歪素子表面の組成変動を抑制する必要がある。
【0045】
圧電/電歪素子のピッチが3mmよりも大きくなると、焼成時の雰囲気が素子間で不均一になり易く、そのため圧電特性にバラツキを生じさせてしまう。一方、ピッチが0.1mmよりも小さくなると、必然的に圧電/電歪素子のサイズも小さくなり、圧電/電歪素子容積に占める表面の割合が大きくなり、これも又、圧電/電歪特性のバラツキを惹起させる要因となる。
【0046】
図37に示すマトリクス型アクチュエータ370は、上記マトリクス型アクチュエータ280と同様に、高いアスペクト比を有した圧電/電歪素子を高密度に配列してなるものであり、セラミック基体472を貫通する図示しないビアホールと、セラミック基体472の圧電/電歪素子が配置される面とは反対側の面に実装された配線基板371によって、電極端子321をアクチュエータ前面に配置したものである。このような構成をとることによって、電極端子321と電源との接合が容易になり、又、配線基板371をハンドリングに利用することも可能となる。
【0047】
次に、本発明に係る第2のマトリクス型アクチュエータについて説明する。
図8は、本発明に係る第2のマトリクス型アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。マトリクス型アクチュエータ80は、セラミック基体2上に、圧電/電歪体14と、一対の電極、詳細には一対の共通電極28,29及び内部電極48,49と、からなる複数の圧電/電歪素子32が形成されてなり、圧電/電歪体14が印加電界によりセラミック基体2上で歪みを発現することにより駆動する圧電/電歪アクチュエータである。
本発明の第2のマトリクス型アクチュエータ80においては、第1のマトリクス型アクチュエータと同様に、少なくとも、1)二次元整列配置素子、2)相互完全独立素子、という特徴を有し、好ましくは、3)電極端子形成、4)分極及び駆動電界の平行性、5)伸縮変位、という特徴を有する。
【0048】
しかしながら、次の2点において、第1のマトリクス型アクチュエータとは異なる。
先ず、3)電極端子形成の項で説明したような、略直方体状の圧電/電歪素子がセラミック基体上に立設され圧電/電歪体の側面に、単に一対の電極が形成されている圧電/電歪素子ではなく、圧電/電歪素子は、セラミック基体上に層状の圧電/電歪体と層状の内部電極とが交互に複数層積層されている点である。尚、図8に示される第2のマトリクス型アクチュエータでは、圧電/電歪素子の側面にも電極が形成されているが、後述するように、これらは内層電極とそれぞれ1層おきに接合されるものであって、各1層おきの内層電極に、同じ信号を印加するための共通電極として機能するものである。この共通電極は、同じ機能を果たす限り、圧電/電歪素子の側面に形成されることに制限されない。
【0049】
次に、4)分極及び駆動電界の平行性の項で説明した、圧電/電歪体の電界誘起歪みの横効果による変位に基づき、圧電/電歪素子がセラミック基体主面に対し垂直方向に伸縮するのではなく、圧電/電歪体の電界誘起歪みの縦効果による変位に基づき、圧電/電歪素子がセラミック基体主面に対して垂直方向に伸縮する点である。
【0050】
図13(a)は、図8におけるマトリクス型アクチュエータ80の圧電/電歪素子32を、共通電極28,29及び内部電極48,49を通る垂直断面を側面から見た図である。
マトリクス型アクチュエータ80においては、圧電/電歪素子32が、層状の圧電/電歪体14と層状の内部電極48,49とが交互に積層されてなっていて、圧電/電歪体14を10層有する。用途、目的によって適宜決められることとなるが、アクチュエータ特性の安定面、製造のし易さから圧電/電歪層の積層数は好ましくは10〜200層である。
【0051】
マトリクス型アクチュエータ80においては、圧電/電歪素子32を構成する圧電/電歪体14は、例えば図中P方向に分極されている。そして、電極端子20,21に電源を接続し、共通電極28,29間に共通電極28側を正、共通電極29側を負にして電圧を印加することにより、E方向の電界が形成される。即ち、分極が互いに反対方向の層状の圧電/電歪体14が内部電極48,49を挟んで積層されてなり、各々の圧電/電歪体14においては、分極と駆動電界とが、同一方向になっている。その結果、圧電/電歪体14には電界誘起歪みが発現し、その縦効果による変位に基づき、圧電/電歪素子32がセラミック基体2の主面に対しその積層方向であるS方向に伸縮する。従来のユニモルフやバイモルフのような屈曲変位ではなく、電界誘起歪みを直接利用した伸縮変位であるため、発生力は大きく、且つ、応答速度も高い。更に、このタイプの圧電/電歪素子は、電界誘起歪みの横効果を利用する図1等に開示したものと比較しても、発生力、応答速度の点で優れる。個々の層が発現する変位量は小さいが、圧電/電歪層の層数、より正確には圧電/電歪層と一対の電極からなる組の数に比例した変位量となるので、大変位を得るには総数を増せばよい。しかしながら、層数の増加にともない、共通電極と内部電極との導通に対する信頼性が低下したり、静電容量が増加するため消費電力が大きくなるという点が劣り、又、製造工数もかかるものとなる。
【0052】
又、この図8に示されるようなマトリクス型アクチュエータ80においては、低電圧で駆動出来るように、圧電/電歪体14の1層当たりの厚さは、100μm以下とすることが好ましく、10〜80μmとすることがより好ましい。
【0053】
尚、図13(a)では、共通電極28,29が圧電/電歪素子の外部に露出していたが、図13(b)のように共通電極を圧電/電歪素子内部に構成することも可能であり、この場合、個々の圧電/電歪素子の電極は、外部から絶縁された状態となるので、隣接素子間のピッチを小さく出来、高密度なアクチュエータに好適な構成である。
【0054】
次に、本発明の第1及び第2のマトリクス型アクチュエータの適用例を掲げて、図面を参酌しながら説明する。以下の説明において、第1及び第2のマトリクス型アクチュエータを、単にマトリクス型アクチュエータともいう。又、第1及び第2のマトリクス型アクチュエータのうち何れのアクチュエータも、以下に説明する適用例のアクチュエータ部に採用することが出来る。
【0055】
図6(a)、図6(b)は、本発明のマトリクス型アクチュエータをマイクロバルブに適用した例を示す図であり、図6(a)はマイクロバルブのアクチュエータ部の斜視図であり、図6(b)はマイクロバルブの垂直断面図である。マイクロバルブ65は、弁座部64とアクチュエータ部61とを備えてなり、マトリクス型アクチュエータをアクチュエータ部61として用いるマイクロバルブである。
【0056】
弁座部64は、アクチュエータ部61の複数の圧電/電歪素子37と対をなす開口部63を有し、アクチュエータ部61は、圧電/電歪素子37が外部信号により変位し、圧電/電歪素子37のセラミック基体2とは反対側の面に弁体部66を備えている。そして、アクチュエータ部61の圧電/電歪素子37の変位を通じて、弁座部64の開口部63に弁体部66を接近/離反させて、開口部63の通過断面積を変更することが出来る。この動作を通じて、開口部63を通過する例えば流体67等の流量を調節し得る。
【0057】
マイクロバルブ65は、圧電/電歪素子37の変位量を変えることにより開口部63の通過断面積を自在に調節することが出来る。図6(b)に圧電/電歪素子37の状態を模式的に示す。ここで圧電/電歪素子が先の図1に示されるタイプの素子であれば、図6(b)中において左側の圧電/電歪素子37aは所定の印加電圧で縮んだ状態であり、このとき弁体部66は開口部63を全開にして、開口部63を通過する流体67の流量を最大にする。図6(b)中において右側の圧電/電歪素子37cは非作動状態であり、このとき弁体部66は開口部63を全閉にして、開口部63を流体67は通過出来ない。圧電/電歪素子37の変位量を変えて圧電/電歪素子37a〜圧電/電歪素子37cの間の任意の状態にすることが出来、その結果、開口部63の通過断面積が自在に調節され、開口部63を通過する流体67等の流量も調節される。図6(b)中における真中の圧電/電歪素子37bの状態は、その一例である。従って、マイクロバルブ65は、ON−OFF弁のみならず調節弁として機能し得る。
【0058】
尚、開口部63及び弁体部66の形状は本例に限定されるものではなく、圧電/電歪素子37の変位量と流体67等の通過流量との関係をリニアにするか2次曲線的にするか、等の検討を行い、一般の弁と同様に開口部63及び弁体部66の形状を決定することが出来る。
【0059】
マイクロバルブは、開口部を通過する流体等の流量が自在に変えられるため、流体、例えば空気が、開口部から吹き出るときの圧力を自在に変えることも可能である。従って、マイクロバルブは、その圧力を利用して開口部上面の圧力を波打つように変えること等の手段により、開口部上面に載った被搬送体を、所定の一の場所から所定の他の場所へ位置決めしながら移送する、といった搬送装置として用いることが可能である。紙のような軽量被搬送体であれば、浮かせながら非接触で搬送することも出来、このような搬送装置は、印刷面を掴み代にすることが好ましくない印刷物等の搬送には好適である。
【0060】
図7(a)、図7(b)は、本発明のマトリクス型アクチュエータを光干渉計と組み合わせ、光変調器とした例を示す図であり、図7(a)は光干渉計の上面図であり、図7(b)は図7(a)のAA断面を示す図である。光干渉計74は、2つの方向性結合器73と、それらを2本のアーム光導波路コア部77a,77bで接続したものであり、光変調器75は、その光干渉計74に光導波路コア部77a,77bの何れか片方の少なくとも一部分に応力を印加するためのアクチュエータ部71を備える。
【0061】
具体的には、例えば図7(b)のように、基板72(例えばシリコン)上のクラッド部77cと光導波路コア部77a,77bからなる光導波路77(例えば石英導波路、ポリイミド等のポリマー導波路)に対して、片側の光導波路コア部77aに対向してアクチュエータ部71が配設されている。アクチュエータ部71と光導波路77との間に空隙をもたせ、必要なときに接触して応力がかかるような構成であっても、空隙をもたずに常に接触した状態で、その状態から応力を印加する構成でもよい。前者の場合、更に、電圧印加によって、それら空隙をなくすとともに応力が印加されるものであっても、逆に、初期の状態で応力が印加されており、電圧印加によって応力が低減され空隙を形成するものであってもよいのである。
【0062】
そして光の変調は、光導波路コア部77aへ応力を印加すると、そのコアの屈折率が変わり、その結果、2本のアーム光導波路コア部77a,77bを伝送するそれぞれの光に位相差が生じ、その位相差に応じた強度の光を出力出来る。特定の位相差にすれば、伝送する光の消灯(OFF)、点灯(ON)の2値を出力可能である。
【0063】
従って、この光変調器を二次元的に配置すれば、上記したON−OFF機能を利用して、伝送経路のスイッチングを行わせることが出来る。本発明に係るマトリクス型アクチュエータは基体部を有し、面として構成されているので、このような二次元に配列した光干渉計と対向して配置させるのに好適であり、又、本発明に係るのマトリクス型アクチュエータの大きな発生変位をもってすれば、対向させる場合の空隙精度もそれほど必要としない。更に、光導波路コアの屈折率変化には比較的大きな応力を要するが、これも本発明に係るマトリクス型アクチュエータの高い発生力をもってすれば容易に実現出来る。
【0064】
又、通常、このような屈折率変化には光導波路材料の熱光学効果を利用するものが一般的であるが、そのような熱を用いるものは、クロストークを低減させたり、応答性を高めるための除熱機構が必須であり、更に、スイッチ自体の昇温による誤動作を防止するために、冷却等の空調下で使用するなどの制約を強いられる場合がある。応力による屈折率制御を用いれば、そのような制約は排除出来、熱源を要さないので消費電力的にも有利なスイッチが実現出来る。
【0065】
本発明のマトリクス型アクチュエータは、先に図2(a)、図2(b)に示した光スイッチ200においても、図示されたアクチュエータ部211の代わりに、アクチュエータ部として採用することが出来る。
図2(a)、図2(b)に示される光スイッチ200は、光伝達部201と光路変更部208とアクチュエータ部211とからなり、光伝達部201は、光路変更部208に対向する面の一部に設けられる光反射面101、及び、光反射面101を起点に3方向に向けて設けられる光伝達経路202,204,205を有し、又、光路変更部208は、光伝達部201の光反射面101に移動可能な状態で近接され、透光性の材質からなる光導入部材209、及び、光を全反射する光反射部材210を有し、更には、アクチュエータ部211は、外部信号により変位し、変位を光路変更部208に伝達する機構を有するものであり、アクチュエータ部211の作動により、光伝達部201の光反射面101に、光路変更部208を接触又は離隔させて、光伝達経路202に入力した光221を、光伝達部201の光反射面101で全反射させて出力側の特定の光伝達経路204に伝達させたり、光導入部材209に取り出し光反射部材210の光反射面102で全反射させて出力側の特定の光伝達経路205に伝達させたりすることが出来る。このような光スイッチ200において、屈曲変位を発するアクチュエータ部211に代えて、本発明のマトリクス型アクチュエータを採用することにより、コントラストの高い、低損失な光スイッチにすることが可能である。
【0066】
続いて、本発明に係るマトリクス型アクチュエータをアクチュエータ部として適用した光スイッチの他の実施形態について説明する。
図29に示される光スイッチ290は、2001年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会予稿集P182に公表されているものである。光スイッチ290は、光導波路部材177に光導波路コア部177a〜177dが互いに交差するように形成され、且つ、その交差部分である光路変更部298a〜298dに切込みが形成されてなる。光スイッチ290は、アクチュエータ部等の駆動機構の動作を用いて、その切込みを変形させることによって、光学的に不連続な部分を形成し、何れかの光導波路コア部177a〜177dに入力された光の伝送経路を、光路変更部298a〜298dにおいて変え得るマトリクススイッチである。尚、図29においては、光導波路コア部177aに入力された光223の伝送経路を、光路変更部298bにおいて、光導波路コア部177bに変える様子を表している。
【0067】
光スイッチ290では、クロストークを小さくするために、光路変更部298a〜298dの切込みを、より大きく開かせることが重要である。そのためには、アクチュエータ部(駆動機構)に大変位が要求される。
又、光路変更部298a〜298dが、光学的不連続状態と連続状態とを、良好に再現し得ることが重要である。そのためには、比較的、高ヤング率な材料を光導波路部材177の材料として適用し、光路変更部298a〜298dの切込みの復元動作が有利に行われるようにすることが好ましい。従って、高ヤング率な材料を歪ませるためには、アクチュエータ部として、大きな発生力が要求される。
更に、通常、光導波路コア部177a〜177dは、高精度且つ高集積なパターン形成が可能なフォトリソグラフィー法によって形成されるため、アクチュエータ部には、高い位置精度と高密度化が要求される。
【0068】
本発明に係るマトリクス型アクチュエータは、圧電/電歪体の電界誘起歪みを直接利用するものであることから、発生力が大きい。且つ、本発明に係るマトリクス型アクチュエータは、圧電/電歪素子を高アスペクト比にすることが容易であることから、発生変位も大きく出来る。尚且つ、各圧電/電歪素子は、それぞれセラミック基体に対して貼り付けられたものではなく、マトリクス状に一体的に構成されたものであることから、接着に係る寸法ずれ、傾きが小さく、高密度な構成も容易に実現出来る。従って、本発明に係るマトリクス型アクチュエータは、光スイッチ290のアクチュエータ部として好適である。
【0069】
図30は、図29に示す光スイッチ290のCC断面を表し、光導波路コア部177aを有する光伝達部281と、圧電/電歪素子292を有するアクチュエータ部291と、を示す断面図である。アクチュエータ部291として、例えば図1に示されるマトリクス型アクチュエータ1が採用されており、光路変更部298a〜298d(切込み)に対応して配設されている。
尚、以下において、光スイッチ290のアクチュエータ部291に適用するマトリクス型アクチュエータの態様を例示して説明するが、本発明に係るマトリクス型アクチュエータの何れの態様もアクチュエータ部291としての適用が可能である。
【0070】
図30に示される状態において、光スイッチ290は、光路変更部298aにおけるアクチュエータ部291の圧電/電歪素子292は非作動状態であり、光導波路コア部177aへの作用はない。従って、光路変更部298aの切込みは閉じ、光学的に光導波路コア部177aは連続な状態を維持している。このとき、導入された光223は、光路変更部298aを直進する。
【0071】
光路変更部298bにおけるアクチュエータ部291の圧電/電歪素子292は作動状態であり、変位並びに応力を光導波路コア部177aに作用させ、光路変更部298bの切込みを開いている。即ち、光路変更部298bにおいて光導波路コア部177aは光学的に不連続となり、導入された光223は、光路変更部298bで全反射し、光導波路コア部177bへ伝送される。
【0072】
アクチュエータ部(圧電/電歪素子)の作動状態若しくは非作動状態と、光導波路コア部への作用の有無とは、上記した場合とは逆であっても、勿論よい。即ち、アクチュエータ部の作動状態が作用なく(図30中で光路変更部298aの状態)、一方、非作動状態が作用有り(図30中で光路変更部298bの状態)の場合であってもよい。又、光路変更部に作用を与える圧電/電歪素子の寸法M(図30中に示す)は、光路変更部の切込みの開閉動作に支障がない範囲において、より小さい方が、圧電/電歪素子に要求される変位量も小さくなるため、好ましい。
【0073】
図31は、光スイッチのアクチュエータ部として、図21に示されるマトリクス型アクチュエータ210を適用した例である。マトリクス型アクチュエータ210の壁部8を光導波路支持部294とすることにより、光路変更部298a〜298dの切込みを開閉させるために必要な変位量を小さくすることが出来る。即ち、光導波路支持部294を設けることにより、光路変更部298a〜298dの切込みを開かせるための曲率半径が小さくなるため、アクチュエータ部291の圧電/電歪素子292の変位が小さくても、切込みを開かせることが可能である。更に、この利点により、切込みの開口動作に余裕が生じるため、スイッチングにかかる信号の漏洩、損失の低減が図られ、より好ましい。
【0074】
図32は、光導波路部材の両面(上下)にアクチュエータ部を設けた例である。アクチュエータ部291に適用可能なマトリクス型アクチュエータの態様は、上記したように、本発明に係る全てのマトリクス型アクチュエータの態様が該当するが、例えば、好ましくは図21に示されるマトリクス型アクチュエータ210を用いることが出来る。このように光導波路部材177の上下にアクチュエータ部291を設けることにより、光路変更部の切込みの閉口精度を向上させることが出来るとともに、スイッチングにかかる応答速度を高めることが可能である。
【0075】
図30及び図31に示されるような光導波路部材の片面にのみアクチュエータ部を設けた場合には、光路変更部の切込みの開口から閉口への状態変化は、光導波路部材に用いられる材料の弾性的復元力に従うため、光導波路部材として柔らかい材料を用いた場合は、この復元(上記状態変化)に比較的長い時間を要してしまう。このことは、次のスイッチ動作に移るまでの時間に影響するため、復元は速ければ速いだけ好ましい。又、復元とは光学的に連続な状態に戻ることを意味しているが、材料劣化等で、特に、長期間動作させた場合に復元精度が低下し、信号の漏洩、損失増大を招くおそれがある。
【0076】
しかしながら、図32に示すように、光導波路部材の両面にアクチュエータ部を設けた場合には、光路変更部の切込みに対し、上下両方向に配設されたアクチュエータ部291の圧電/電歪素子292の作用によって、強制的に光路変更部の切込みを挟み込めば、このような問題は解決出来る。即ち、光導波路部材177を両面から押圧することにより、閉口精度が保てるとともに、アクチュエータ部291(圧電/電歪素子292)の応答速度で、開口から閉口への状態変化を実施出来る。従って、光導波路部材の両面にアクチュエータ部を設ける構成は、低損失、低漏洩で、高速なスイッチの実現に有利である。
【0077】
図33に示す光スイッチは、図32に示す例と概ね同様な光スイッチであるが、アクチュエータ部291と光導波路部材177との接合において、アクチュエータ部291を構成する壁部8と、光導波路部材177との間に、より剛性の高い光導波路固定板286を介して接合したところにおいて異なる例である。本構造によれば、光導波路コア部の平坦性が向上し、アクチュエータ部291の圧電/電歪素子292上面(作用面)と光導波路部材177との間隔を、高精度に保つことが出来、スイッチ動作の精度を高めることが出来る。
尚、図32、図33において、光導波路部材177の上下に配設されるアクチュエータ部291は、互いに同じ態様である必要はない。例えば、上側には図1に示すマトリクス型アクチュエータ1を、下側には図21に示すマトリクス型アクチュエータ210を、配設することが可能である。
【0078】
続いて、本発明のマトリクス型アクチュエータを適用した光反射機構について説明する。
図34は、光反射機構の一実施形態を示す斜視図であり、図35及び図36は、図34に示す光反射機構340のDD断面の一部を表した図であり、それぞれある動作状態を示している。光反射機構340は、プロジェクタ、光スイッチ等に用いられ、そのアクチュエータ部291として、本発明に係るマトリクス型アクチュエータを好適に用いることが出来る。
【0079】
光反射機構340は、マイクロミラー等の光反射板311がマトリクス状に並ぶ光反射部313とアクチュエータ部391とからなり、各光反射板311に相対する位置に圧電/電歪素子392が配設されている。例えば図21に示されるマトリクス型アクチュエータ210を代表的形態とする壁部を有する本発明に係るマトリクス型アクチュエータをアクチュエータ部391として用い、その壁部たる光反射板支持部312により光反射板311の一端を支持する。そして、アクチュエータ部391(圧電/電歪素子392)の作動により、光反射板311は光反射板支持部312との間に傾斜角を形成し、進入してきた光224の反射角を変化させる。この反射角の有無により、プロジェクタであれば各画素の色形成を行い、又、光スイッチであれば信号の伝送経路を切り替える。
【0080】
図34〜図36に示す態様のように、本発明に係るマトリクス型アクチュエータを採用したアクチュエータ部は、隣り合う圧電/電歪素子392どうしのピッチ、及び、光反射板支持部312を構成する壁部どうしのピッチ、は同じであるが、圧電/電歪素子392と隣接する壁部とは、図示されるように、異なるピッチで並ぶような構成であってもよい。勿論、圧電/電歪素子392が、必ずしも同じピッチで並んでいる必要はない。
【0081】
アクチュエータ部に適用される本発明のマトリクス型アクチュエータは、発生力が大きくとれるので、剛性の高い光反射板を適用し平坦度に優れた光反射面が構成出来、光反射機構として、より好ましいものとなり得る。更に、この発生力の利点は、壁部(光反射板支持部)と圧電/電歪素子との距離を小さく出来るので、反射角の大きな反射機構を容易に実現出来る。
【0082】
尚、光反射機構は、図34〜図36に示す光反射機構340の態様に限定されない。アクチュエータ部と光反射部とを接合せず、光反射板の一部を圧電/電歪素子の作動により変位させ、反射角を変化させるようなものであってもよい。加えて、圧電/電歪素子のタイプとしては、電圧印加により収縮するものでも伸長するものでも利用可能である。
【0083】
本発明のマトリクス型アクチュエータは、上記具体例に加え、その変位、振動に基づく作用を用いて、液体と液体、液体と固体、液体と気体との混合、撹拌及び反応、等を、極微小なエリアで、且つ、微小量で行う装置に利用することも出来る。
【0084】
次に、本発明のマトリクス型アクチュエータの製造方法について、説明する。製造にあたっては、セラミックグリーンシート積層法、ワイヤーソー、ダイシング等の機械加工法、等、種々の方法を採用することが可能であるが、以下に述べるセラミックグリーンシート積層法であって、且つ、ダイとパンチからなる金型を用いた打ち抜き加工を、併せて用いて製造することが好ましい。本発明の第1のマトリクス型アクチュエータの製造方法の概略工程の一例を、図14(a)〜図14(f)に示す。ここで、例えば図12に示したマトリクス型アクチュエータ120を作製する方法として説明する。
先ず、後述する圧電/電歪材料を主成分とする所定枚数のセラミックグリーンシート16(以下、単にシートともいう)を用意する。シート16は、従来知られたセラミックス製造方法により作製出来る。例えば、後述する圧電/電歪材料粉末を用意し、これにバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を望む組成に調合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、ドクターブレード法、リバースロールコーター法等のシート成形法によって、セラミックグリーンシートを形成することが出来る。
【0085】
図14(a)で、セラミックグリーンシート16をパンチとダイにより各々打ち抜き加工して、各グリーンシート16にスリット孔15を開け、これらを所定枚数、積層・圧着し、図14(b)に示される所定の厚さを有するスリット5が形成された圧電/電歪材料を主成分とするセラミックグリーン積層体301を形成する。一方、セラミック基体となる部分は、外形のみ所定の大きさに加工された同様の圧電/電歪材料を含有する平板状のセラミックグリーンシートを用意し、これも同様に所定枚数、積層・圧着し、セラミックグリーン基体302として形成する。そして、これらセラミックグリーン積層体301、セラミックグリーン基体302とを、位置合わせして積層・圧着し、その後、焼成一体化して積層焼成体303を得る(図14(c))。
【0086】
次いで、図14(d)に示すように、電極18,19を形成する。そして、図14(e)に示される切断線350、切込み線351に沿って、ダイシング加工、スライシング加工、ワイヤーソー加工等の手段によって不要部分を切除し、図14(f)の通り、個割の圧電/電歪体4を得る。尚、上記した加工法のうち、加工品質(脱粒、クラック等の有無)の点で、ワイヤーソー加工法を用いることが好ましい。後述する実施例についても、同様である。その後、必要に応じて分極処理を行い、マトリクス型アクチュエータ120を完成する。尚切込及び切除加工の際には、事前に、スリット5に、後で除去可能な樹脂等を充填し、加工時の破損防止を図ることが好ましい。
【0087】
セラミックグリーンシート16の積層時の位置合わせ方法は、例えば、セラミックグリーンシート16の外形と、概ね同一の内形を有する枠内に、セラミックグリーンシート16を順次重ねるか、若しくは、ガイドピンを立てて、セラミックグリーンシート16に予め開けられたガイド孔を通し順次重ねるか、若しくは、スリットと同じ形状の所定数のガイドピンを所定ピッチで並べ、スリット孔自体をガイド孔として、そのガイドピンに通して順次重ねることにより位置合わせし、その後、加熱圧着してセラミックグリーン積層体301の形成を行うことが出来る。尚、この際に、図9、11に示される平板も同材料で形成し、積層・圧着して、焼成一体化してもよい。又、上記方法では、セラミックグリーン積層体301とセラミックグリーン基体302とを、別々に積層形成した後、それらを更に積層しているが、それぞれのセラミックグリーンシート16を一括して積層してもよい。これらは、後述される製造法においても、その変形例として適用可能である。
【0088】
更には、セラミックグリーンシート16の積層及び位置合わせ方法として、打抜同時積層を行うことが、より好ましい。打抜同時積層とは、図14(a)で、セラミックグリーンシート16にスリット孔15を形成するとともに、積層を後述する方法により同時に行い、シート16を積層してスリット孔15を形成し、打ち抜きの終了とともに積層も完了させ、所定の厚さを有するスリット5が形成された圧電/電歪材料を含有するセラミックグリーン積層体301を形成する方法である。
【0089】
図18(a)〜図18(e)は、打抜同時積層の具体的方法を示す図であり、周囲にシート16の積層操作をするストリッパ11を配置したパンチ10とダイ12からなる金型を用いている。図18(a)は、ダイ12上に最初のシート16aを載せた打ち抜き前の状態を示し、図18(b)で、パンチ10及びストリッパ11を下降させて、シート16にスリット孔を打ち抜く(第一の工程)。
【0090】
次に、2枚目のシート16bの打ち抜き準備に入るが、このとき図18(c)に示すように、最初のシート16aは、ストリッパ11に密着させて上方に移動させてダイ12から離す(第二の工程)。ストリッパ11にシート16を密着させる方法は、例えば、ストリッパ11に吸引孔を形成して真空吸引すること等で実施出来る。
【0091】
又、2枚目のシート16bの打ち抜き準備に入るために、ダイ12からパンチ10及びストリッパ11を引き上げるが、この引き上げている途中は、パンチ10の先端部を、一緒に引き上げた最初のシート16aのスリット孔の中まで戻さないことが望ましく、又、止める際には、一緒に引き上げた最初のシート16aの最下部より僅かに引き込んだところで止めることが肝要である(第三の工程)。パンチ10を最初のシート16aの孔まで戻したり、完全にストリッパ11の中へ格納してしまうと、シート16は軟質であるため形成した孔が変形してしまい、シート16を積層して得られるスリット5を形成した際に、その側面の平坦性が低下してしまう。
【0092】
図18(d)は、2枚目のシート16bの打ち抜き工程を示し、最初のシート16aをストリッパ11に密着させることで、ダイ12上に、2枚目のシート16bを容易に載置出来、図18(b)の工程のように打ち抜き出来、同時に最初のシート16aに重ね合わせられる(第四の工程)。
【0093】
そして、図18(c)、図18(d)の工程を繰り返して、打ち抜かれた最初のシート16aと2枚目のシート16bとを重ね合わせて、ストリッパ11により引き上げ(第五の工程)、3枚目のシート16cの打ち抜き準備に入る。但し、このときも一緒に引き上げたシート16の最下部より僅かに引き込んだところで止めることが肝要である(第六の工程)。その後、第四の工程から第六の工程を繰り返して必要積層数のシート16の打ち抜き及び積層を繰り返す。
【0094】
図18(e)は、打ち抜きを終了した状態を示している。必要な枚数のシート16の打ち抜き及び積層が終了したら、ストリッパ11によるシート16の保持を解除し、打ち抜き積層したシート16をストリッパ11から引き離して取り出し可能としている。ストリッパ11からの引き離しは、図示するように、ストリッパ11下面に引離治具17を設けることで確実に行うことが出来る。
以上述べた操作は、特願2000−280573に記載の製造方法を適用したものであり、この操作により所定の厚さを有しスリットが形成されたセラミックグリーン積層体を得ることが出来る。
【0095】
図19(a)は、パンチとダイによる打抜同時積層を適用して積層体を作製した場合において、図14(c)の工程で形成される積層焼成体303をB点から見た垂直断面図を示し、図19(b)は、図19(a)に示すスリット5壁面のM部を拡大した断面拡大模式図を示している。図20(a)は、圧電/電歪材料を主成分とするセラミックグリーン積層体を焼成一体化した後に、ダイサーでスリット加工した場合において、加工された積層焼成体172を側面方向から見た垂直断面図であり、図20(b)は、図20(a)のN部の断面拡大模式図である。
【0096】
圧電/電歪材料を主成分とする積層体を焼成した後にダイサーでスリット加工した場合には、例えばスリットの壁面に、図20(b)に示されるようなマイクロクラックや粒内破壊が生じる(図20(b)にマイクロクラック191及び粒内破壊セラミック結晶粒子192を示す)が、打抜同時積層を適用し、積層体を焼成する前にスリットを形成してマトリクス型アクチュエータを製造すれば、後に圧電/電歪体4の側壁面になるスリット5の壁面は焼成面で形成され、図19(b)に示されるように、マイクロクラックや粒内破壊が生じず、後に圧電/電歪体4の電極を形成する機能面たる側壁面になる側壁6の面のセラミック結晶粒子193の状態は、粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下となり、実質上なしに等しく、特性劣化が生じず、耐久性・信頼性を向上させることが出来る。
【0097】
尚、本発明においては、個割の圧電/電歪体4を得るため、例えば、焼成後に切除加工を行う場合があるが、実際の被切除加工面は電極を形成する面ではなく、第1のマトリクス型アクチュエータからわかるように、その加工面は、圧電/電歪素子を機能させるための主面となる面ではないために、このような切除面があってもほとんど影響は受けない。焼成前に切除加工を行えば、このような心配はない。
【0098】
又、打抜同時積層を適用してマトリクス型アクチュエータを製造すれば、積層ズレが生じないため、圧電/電歪体4の面の輪郭度を、概ね8μm以下とすることが出来る。従って、変位や発生力を意図する方向に意図する量で作用させることが容易であり、圧電/電歪素子の特性を効率よく利用出来るという利点がある。又、高い輪郭度であるために、圧電/電歪素子を作動させ、ある対象を、押す、叩く等の作用から受ける反作用に対して、高い耐性を示し、高アスペクト比な細く背の高い圧電/電歪素子であっても、折れ、割れ等の破損が生じ難いという特徴を有する。更には、圧電/電歪体4の壁面の表面粗さRtを、概ね10μm以下とすることが出来る。駆動部たる圧電/電歪体4の壁面が平滑であるので、駆動時に電界集中や応力集中が生じ難く、長期にわたり、より安定した駆動動作を実現することが可能となる。
【0099】
尚、面の輪郭度は、日本工業規格B0621「幾何偏差の定義及び表示」に示されている。面の輪郭とは機能上定められた形状をもつように指定した表面であって、面の輪郭度とは理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう。
【0100】
打抜同時積層によるセラミックグリーンシートの重ね合わせ精度の一例を掲げれば、シート厚が50μm、ヤング率が39N/mm2のセラミックグリーンシートを、スリット幅50μm、圧電/電歪体の厚さ(図1のT)30μmとなるように打ち抜きし、10枚積層した場合に、焼成後の各層間のズレ量は、最大で4μm、表面粗さRtは概ね7μmであり、圧電/電歪体の側面を凹凸なく滑らかなものに出来る。尚、焼成後のスリット幅は、焼成収縮により約40μmであった。
【0101】
以上記したように、打抜同時積層を行えば、パンチとダイを用いてセラミックグリーンシートにスリット孔を形成すると同時にセラミックグリーンシートの積層を行い、パンチ自体をセラミックグリーンシートの積層位置合わせ軸として使用して、パンチにより打ち抜いたスリット孔の変形を防止するため、スリット孔の変形が発生せず、セラミックグリーンシート積層間のズレ量を5μm未満に抑えることが出来、高い精度で積層体を得ることが出来、得られた積層体に凹凸の少ないスリット壁面を形成することが可能である。圧電/電歪体の主側面に、マイクロクラックや粒内破壊粒子が実質上ないので、圧縮残留応力による特性劣化が生じることもない。そのため、1つの基体上に、マトリクス状に多くの圧電/電歪体を配置していながら、優れた特性のアクチュエータを得ることが出来る。
【0102】
尚、図28に示されるようなアスペクト比の大きな圧電/電歪素子を構成する場合には、製造過程でのハンドリングにおいて、乃至、焼成過程において、スリット間の壁(最終的に圧電/電歪素子若しくは壁部となる部分)が変形したり破損しないように、工夫することが好ましい。例えば、図14(b)、図14(c)においては、セラミックグリーン積層体301に対して、一方のスリット開口のみを塞いでいるが、スリットを閉塞するように、セラミックグリーン基体302が積層される側とは反対側にも、セラミックグリーンシートを積層して焼成することも好ましい。
【0103】
このとき、閉塞されたスリットが密閉状態とならないように注意することが必要である。何故ならば、密閉状態で焼成を行った場合、グリーンシート中の有機分の分解、乃至、燃焼にともなうガスがスリットから排出されず、セラミックグリーン積層体にクラック等が生じ易くなるためである。従って、スリットを閉塞するためのセラミックグリーンシートには、ガス抜きのための孔を開けておくことが好ましい。尚、圧電/電歪素子駆動のための配線を行うのに伴い、セラミックグリーン基体にスルーホールを形成している場合には、そのスルーホールを通じて脱ガス出来るので、上記したスリットを閉塞させるためのセラミックグリーンシートへの孔加工は必ずしも行う必要はない。そして、焼成した後に、閉塞部分(スリットを閉塞させるためのセラミックグリーンシート相当部分)を研磨等により除去し、スリットを開口させればよい。
【0104】
マトリクス型アクチュエータの製造方法の概略工程の他の一例を、図15(a)〜図15(f)に示す。ここで、例えば図10に示したマトリクス型アクチュエータ100を作製する方法として説明する。
先ず、圧電/電歪材料を主成分とする所定枚数のセラミックグリーンシート16を用意する。図15(a)で、セラミックグリーンシート16をパンチとダイにより各々打ち抜き加工して、各セラミックグリーンシート16に方形孔25を開け、これらを積層・圧着し、図15(b)に示される所定の厚さを有する方形開口156が形成された圧電/電歪材料を主成分とするセラミックグリーン積層体401を形成する。一方、セラミック基体となる部分は、外形のみ所定の大きさに加工された同様の圧電/電歪材料を含有する平板状のセラミックグリーンシートを用意し、これも同様に所定枚数積層・圧着し、セラミックグリーン基体402として形成する。
【0105】
そして、これらセラミックグリーン積層体401、セラミックグリーン基体402とを位置合わせして積層・圧着し、その後、焼成一体化して積層焼成体403を得る(図15(c))。次いで、図15(d)に示すように、電極18,19を形成する。そして、図15(e)に示される切断線350、切込み線351に沿ってダイシング加工、スライシング加工、ワイヤーソー加工等の手段によって不要部分を切除し、図14(f)に示される個割の圧電/電歪体4を得る。その後、必要に応じて分極処理を行い、マトリクス型アクチュエータ100を完成する。切込及び切除加工の際には、方形開口156に後で除去可能な樹脂等を充填し、加工時の破損防止を図ることが好ましい。セラミックグリーンシート16の位置合わせ及び積層方法として、上記した打抜同時積層法を用いることが好ましいのはいうまでもない。
【0106】
次に、第2のマトリクス型アクチュエータの製造方法の概略工程の一例を、図16(a)〜図16(g)に示す。
先ず、図16(a)に示すように、圧電/電歪材料を主成分とする所定枚数のセラミックグリーンシート16を用意する。そして、天板となる1枚を除いて、残りの半数に内部電極48となる導体材料をスクリーン印刷等で塗布し、層状の電極が形成されたセラミックグリーンシート116を得て、更に残りの半数には内部電極49となる導体材料をスクリーン印刷等で塗布し、層状の電極が形成されたセラミックグリーンシート117を得る。図16(b)で、セラミックグリーンシート16,116,117をパンチとダイにより各々打ち抜き加工して、各グリーンシート16,116,117にそれぞれスリット孔15を開け、図16(c)に示されるように、セラミックグリーンシート116,117を交互に積層し、圧着して所定の厚さを有するスリット5が形成されたセラミックグリーン積層体501を形成する。一方、セラミック基体となる部分は、外形のみ所定の大きさに加工された同様の圧電/電歪材料を主成分とする平板状のセラミックグリーンシートを用意し、これも同様に、所定枚数積層・圧着し、セラミックグリーン基体502として形成する。
【0107】
そして、これらセラミックグリーン積層体501、セラミックグリーン基体502とを、位置合わせして積層・圧着し、その後、焼成一体化して積層焼成体503を得る(図16(d))。次いで、図16(e)に示すように、共通電極28,29を形成する。そして、図16(f)に示される切断線350、切込み線351に沿ってダイシング加工、スライシング加工、ワイヤーソー加工等の手段によって不要部分を切除し、図16(g)に示される個割の圧電/電歪体4を得る。その後、必要に応じて分極処理を行い、マトリクス型アクチュエータを完成する。切込及び切除加工の際には、スリット5に後で除去可能な樹脂等を充填し、加工時の破損防止を図ることが好ましい。セラミックグリーンシート16,116,117の位置合わせ及び積層方法として、上記した打抜同時積層法を用いることが好ましいのはいうまでもない。
【0108】
続いて、第2のマトリクス型アクチュエータの製造方法の概略工程の他の一例を、図17(a)〜図17(g)に示す。
先ず、図17(a)に示すように、圧電/電歪材料を主成分とする所定枚数のセラミックグリーンシート16を用意する。そして、天板となる1枚を除いて、残りのグリーンシート16にビアホール112を、所定間隔で形成したセラミックグリーンシート113を所望数得る。そして、図17(b)で、セラミックグリーンシート113の半数に内部電極48となる導体材料をスクリーン印刷等の手法で塗布するとともに、ビアホール112に導体材料を充填し、セラミックグリーンシート114を得て、更に残りの半数には内部電極49となる導体材料をスクリーン印刷等の手法で塗布するとともに、ビアホール112に導体材料を充填し、セラミックグリーンシート115を得る。図17(c)で、セラミックグリーンシート16,114,115をパンチとダイにより各々打ち抜き加工して、各グリーンシート16,114,115にそれぞれスリット孔15を開け、図17(d)で、セラミックグリーンシート16と、セラミックグリーンシート116,117を交互に積層し、圧着して所定の厚さを有するスリット5が形成されたセラミックグリーン積層体601を形成する。
【0109】
一方、セラミック基体となる部分は、別途用意した好ましくはセラミックグリーンシート16と同じ材料からなり導体材料が充填されたビアホール118が形成された所望数のセラミックグリーンシートを準備し、それらを順次、積層・圧着してセラミックグリーン基体602を形成する。そして、それらセラミックグリーン積層体601とセラミックグリーン基体602とを位置合わせして積層・圧着し、焼成一体化して焼成積層体603を得る(図17(e))。次いで、図17(f)に示される切断線350、切込み線351に沿って、ダイシング加工、スライシング加工、ワイヤーソー加工等の手段によって不要部分を切除し、図17(g)に示される個割の圧電/電歪体4を得る。その後、必要に応じて分極処理を行い、マトリクス型アクチュエータを完成する。切込及び切除加工の際には、スリット5に後で除去可能な樹脂等を充填し、加工時の破損防止を図ることが好ましい。セラミックグリーンシート16,114,115等の位置合わせ及び積層方法として、上記した打抜同時積層法を用いることが好ましいのはいうまでもない。
【0110】
又、上記した図14、図15、図16に示される製造方法で、圧電/電歪体側面への電極形成の方法としては、スパッタリング、真空蒸着、CVD、メッキ、塗布、スプレー等で行うことが出来、この際、一対の電極が短絡しないようにマスキングを施したのち、実施することがよい。更に、各圧電/電歪素子の初期高さを厳密に一定とする場合、作用面の平坦度を上げ、対象に対して効果的に作用出来るようにする、更に勿論作用面を鏡面とする、等の目的で、図示されている切除工程の前、若しくは、後に、研磨を実施することも好ましい。この研磨工程を実施する場合、上記した電極形成の際のマスキング処理は必ずしも必要としない場合がある。例えば全面に電極を形成しておいて、研磨によってそれらを断線させれば、一対の電極が出来あがる。従ってマスキングは必要なく、作用面の形成と一対の電極の形成とが同時に出来、好ましい。
【0111】
尚、研磨においては、この一対の電極を形成する目的の他、図22及び図23に示されるマトリクス型アクチュエータのように、壁部と圧電/電歪素子との高さが異なる態様を形成するためにも採用出来る。即ち、一対の電極を形成した後、この一対の電極に電圧を印加し圧電/電歪素子を作動させた状態で研磨をすることにより、例えば、作動状態で収縮するタイプである第1のマトリクス型アクチュエータに適用すれば、図22に示されるマトリクス型アクチュエータのような態様が実現出来、一方、作動状態で伸長するタイプである第2のマトリクス型アクチュエータに適用すれば、図23に示されるマトリクス型アクチュエータのような態様が実現出来る。
【0112】
加えて、図14、図15に従う第1のマトリクス型アクチュエータでは、第2のマトリクス型アクチュエータとは異なり、そのセラミックグリーンシートの厚みと印加電圧とは無関係なので、作業性と打ち抜き時の断面形状が満足する範囲で、厚肉なセラミックグリーンシートを用いることが出来る。従って、積層数が削減出来、製造工数的にも有利なアクチュエータ構造である。
【0113】
以上、マトリクス型アクチュエータの実施形態、製造方法について説明してきたが、二次元の配列については、それぞれ直交した配列に限らず、その交差角は30°であっても、45°であってもよく、目的、用途によって決定されるものである。セラミック基体の厚みは、その上に形成される圧電/電歪素子が発生した応力を受けても変形しない程度であればよい。加えて、セラミック基体の強度、アクチュエータのハンドリング性、等を改善する目的で、他の部材をセラミック基体に接合することも好ましい。又、圧電/電歪素子の作用面は、圧電/電歪体表面をそのまま利用することでもよいが、作用対象の硬さ、使用頻度等に応じ、別体からなる部材を接合して作用面としてもよい。加えて、各圧電/電歪素子駆動用の電極端子について、セラミック基体の背面に形成することを主に説明してきたが、勿論、圧電/電歪素子形成面に設けてもよい。更に、セラミック基体背面に電極端子を形成している場合には、圧電/電歪素子駆動用ドライバIC等を実装したプリント板を、その電極端子に実装することも好ましい。
【0114】
以下に、本発明のマトリクス型アクチュエータに用いられる材料について説明する。
先ず、駆動部である圧電/電歪体の材料、即ち、圧電/電歪材料について説明する。
【0115】
圧電/電歪材料としては、圧電効果若しくは電歪効果等の電界誘起歪みを起こす材料であれば、問われるものではない。結晶質でも非晶質でもよく、又、半導体セラミックスや強誘電体セラミックス、あるいは反強誘電体セラミックスを用いることも可能である。用途に応じて適宜選択し採用すればよい。又、分極処理が必要な材料であっても必要がない材料であってもよい。更には、セラミックスに限定されず、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の高分子からなる圧電材料、又は、これら高分子とセラミックスの複合体であってもよい。但し、この場合は、高分子材料の耐熱性の点から、焼成して素子を形成するというものではなく、高分子材料の熱硬化程度の熱処理を施すことにより素子を形成する。しかしながら、材料強度面に優れるセラミックスとすることにより、本発明の特徴である高アスペクト比な構成を有利に実施出来るとともに、発生変位並びに発生応力を効果的に作用させることが出来る。更に、材料特性に優れるセラミックスは、高アスペクト比な構成と相まって、低電圧駆動で高特性な圧電/電歪素子とする上で好ましい。
【0116】
具体的なセラミックス材料としては、圧電セラミックス若しくは電歪セラミックスとして、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸ビスマスネオジウム(BNT系)、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス等を単独、混合物あるいは固溶体として含有するセラミックスが挙げられる。
【0117】
これらのセラミックスは、圧電/電歪体を構成するセラミックス成分中に50重量%以上を占める主成分であることが好ましく、特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を有し、焼成工程を経ても安定した材料組成のものが得られ易い点において、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)を主成分とする材料、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)を主成分とする材料、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛の混合物あるいは固溶体を主成分とする材料、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛とニッケルニオブ酸鉛の混合物あるいは固溶体を主成分とする材料若しくは、チタン酸ナトリウムビスマスを主成分とする材料が好適に用いられる。
【0118】
更に、上記材料に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸化物等を、単独で若しくは混合して、添加したセラミックスを用いてもよい。例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛にランタンやストロンチウムを含有させることにより、抗電界や圧電特性を調整可能となる等の利点を得られる場合がある。
【0119】
反強誘電体セラミックスとしては、ジルコン酸鉛を主成分とするセラミックス、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛の混合物あるいは固溶体からなる成分を主成分とするセラミックス、ジルコン酸鉛を主成分とし酸化ランタンを添加したセラミックス、又はジルコン酸鉛とスズ酸鉛の混合物あるいは固溶体を主成分とし、ニオブ酸鉛を添加したセラミックス等が挙げられる。又、セラミック基体の材料としては、圧電/電歪体と熱処理乃至焼成により一体化出来るものであればよいが、好ましくは一体化する圧電/電歪体と成分が同等なもの、より好ましくは成分並びに組成ともに同一な材料であることが望ましい。
【0120】
尚、セラミックス結晶粒の平均粒径は、駆動部たる圧電/電歪体の機械的強度を重視する設計においては、0.05〜2μmであることが好ましい。駆動部たる圧電/電歪体の機械的強度が高められるからである。駆動部たる圧電/電歪体の伸縮特性を重視する設計においては、結晶粒の平均粒径は、1〜7μmであることが好ましい。高い圧電/電歪特性を得られるからである。
【0121】
圧電/電歪素子に付帯する部分の材料(蓋板、弁体部等)については、圧電/電歪体の材料と熱膨張率が近いことが好ましく、特にセラミックスからなり、積層焼成により圧電/電歪体と一体化することが好ましいが、圧電/電歪体の材料と同一のセラミックスでもよいし、異なっていてもよい。又、その役割によって求められる硬度等の好ましい性質が変わるため、セラミックスでなくてもかまわない。例えば、ゴム、有機樹脂、有機接着フイルム、ガラス、金属等でもよい。更に、これらにフィラーを混ぜて硬化収縮を抑制したものも有効である。セラミックスを採用する場合には、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を用いることが出来る。
【0122】
電極の材料としては、その形成工程により好適な範囲は変わるが、圧電/電歪材料と同時に焼成される場合には、高温酸化雰囲気に耐えられる導体であることが必要であり、それを満足すれば特に規制されるものではなく、例えば金属単体であっても、合金であってもよく、又、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化セリウム等の絶縁性セラミックスと金属単体、若しくはその合金との混合物であっても、何ら差し支えない。より好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム等の高融点貴金属類、あるいは銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とする電極材料、あるいは白金と基体材料や例えば圧電/電歪材料との混合物並びにそのサーメット材料が好適に用いられる。特に、本発明におけるセラミック基体のビアホールを埋める導体の材料としては、セラミック基体と一括して焼成した場合でも断線が生じ難く、又、セラミック基体との接合力が得られるが故に、基体材料と高融点貴金属類との混合物並びにそのサーメット材料が好適に用いられる。
【0123】
一方、圧電/電歪体焼成後に形成可能な電極、例えば、第1のマトリクス型アクチュエータにおける圧電/電歪体の側面に形成される電極、については、常温で固体であればよく、上記した電極材料に加え、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、金、鉛等の金属単体、あるいは、これらの合金も採用出来る。
【0124】
そして、これらの材料を用いて、スパッタリング、真空蒸着、CVD、メッキ、等により、電極を形成することが出来る。又、材料の元素を含む有機金属化合物(レジネート)を用いて、塗布乃至スプレーにより塗膜を形成し、その後、熱処理を施すことによって目的の材料からなる電極を得ることも可能である。
【0125】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、従来の課題が解決され、より低電圧で大変位が得られ、応答速度が高く、且つ、発生力が大きく、又、実装性に優れ、高集積化が可能であるマトリクス型の圧電/電歪アクチュエータ、並びに、その製造方法が提供される。そして、このマトリクス型アクチュエータは、光変調器、光スイッチ、電気スイッチ、マイクロリレー、マイクロバルブ、搬送装置、ディスプレイ及びプロジェクタ等の画像表示装置、画像描画装置、マイクロポンプ、液滴吐出装置、更には、微小混合装置、微小撹拌装置、微小反応装置、等に好ましく適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】 従来の圧電/電歪アクチュエータの適用例を示す垂直断面図であり、図2(a)は適用例である光スイッチにおいてアクチュエータ部作動状態を表し、図2(b)は適用例である光スイッチにおいてアクチュエータ部非作動状態を表す。
【図3】 圧電/電歪アクチュエータの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】 圧電/電歪アクチュエータの一実施形態を示す垂直断面図である。
【図5】 圧電/電歪アクチュエータの他の実施形態を示す垂直断面図である。
【図6】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例を示す図であり、図6(a)は適用例であるマイクロバルブにおけるアクチュエータ部分の斜視図を示し、図6(b)は適用例であるマイクロバルブの作動状態を模式的に示す垂直断面図である。
【図7】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例を示す図であり、図7(a)は適用例である光スイッチの平面図であり、図7(b)は図7(a)のAA断面を示す図である。
【図8】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】 図13(a)、(b)は本発明に係るマトリクス型アクチュエータの一実施形態を示す垂直断面図である。
【図14】 図14(a)〜図14(f)は本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法の一例を示す説明図である。
【図15】 図15(a)〜図15(f)は本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法の他の一例を示す説明図である。
【図16】 図16(a)〜図16(g)は本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法の更に他の一例を示す説明図である。
【図17】 図17(a)〜図17(g)は本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法の更に他の一例を示す説明図である。
【図18】 本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法において、セラミックグリーンシートの打抜同時積層を行う方法の一実施形態を示す工程説明図であり、
図18(a)は、ダイに最初のセラミックグリーンシートを載せた1枚目準備工程を示し、
図18(b)は、最初のセラミックグリーンシートの打ち抜き工程を示し、
図18(c)は、2枚目のセラミックグリーンシートを載せた2枚目準備工程を示し、
図18(d)は、2枚目のセラミックグリーンシートの打ち抜き工程を示し、
図18(e)は、全シートの打ち抜き、積層を終えてストリッパにより積層したセラミックグリーンシートを離す打抜完了工程を示す図である。
【図19】 図14(a)〜図14(f)に示す本発明のマトリクス型アクチュエータに係る製造方法において、図19(a)は図14(c)のB点方向から見た垂直断面図であり、図19(b)は図19(a)のM部の断面拡大模式図である。
【図20】 焼成後にスリット加工する従来の圧電/電歪アクチュエータの製造方法において、図20(a)は被加工体を側面から見た断面図であり、図20(b)は図20(a)のN部の断面拡大模式図である。
【図21】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図22】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図23】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図24】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図25】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図26】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図27】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図28】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図29】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光スイッチの他の実施形態を示す斜視図である。
【図30】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光スイッチの実施形態を示す断面図であり、図29のCC断面を表す図である。
【図31】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光スイッチの更に他の実施形態を示す断面図である。
【図32】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光スイッチの更に他の実施形態を示す断面図である。
【図33】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光スイッチの更に他の実施形態を示す断面図である。
【図34】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光反射機構の一実施形態を示す斜視図である。
【図35】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光反射機構の実施形態を示す断面図であり、図34のDD断面の一部を表す図である。
【図36】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの適用例である光反射機構の実施形態を示す断面図であり、図34のDD断面の一部を表す図である。
【図37】 本発明に係るマトリクス型アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,80,90,100,110,120,210,220,230,240,250,260,270,280,370…マトリクス型アクチュエータ、2,272,372、472…セラミック基体、3…セル、4,14…圧電/電歪体、5…スリット、6…側壁、7…平板、8…壁部、9…溝部、10…パンチ、11…ストリッパ、12…ダイ、15…スリット孔、16,16a,16b,16c,111,113,114,115,116,117…グリーンシート、17…引離治具、18,19…電極、20,21,321…電極端子、22,23,24,112…ビアホール、25…方形孔、28,29…共通電極、31,32,33,34,35,36,37,37a,37b,37c,38,39,40,41,42,43,44,45,46,292,392…圧電/電歪素子、48,49…内部電極、58,59…配線、61,71,211,291,391…アクチュエータ部、62…弁座板、63…開口部、64…弁座部、65…マイクロバルブ、66…弁体部、67…流体、68…中継部材、69…電極、72…基板、73…方向性結合器、74…光干渉計、75…光変調器、77…光導波路、77a,77b,177a,177b…光導波路コア部、77c…光導波路クラッド部、101…光反射面、102…反射面、118,119…ビアホール(導電材料が充填されたもの)、128,129…スルーホール、143…隔壁、144…基体、145,155…圧電/電歪アクチュエータ、156…方形開口、172…積層焼成体、177…光導波路部材、178…圧電/電歪素子、191…マイクロクラック、192…粒内破壊セラミック結晶粒子、193…セラミック結晶粒子、200,290…光スイッチ、201,281…光伝達部、202,204,205…光伝達経路、208,298a,298b,298c,298d…光路変更部、209…光導入部材、210…光反射部材、218…振動板、219…側壁、221,222,223,224…光、276,286…光導波路固定部、294…光導波路支持部、301,401,501,601…セラミックグリーン積層体、302,402,502,602…セラミックグリーン基体、303,403,503,603…積層焼成体、311…光反射板、312…光反射板支持部、313…光反射部、340…光反射機構、350…切断線、351…切込み線、371…配線基板、P…分極電界方向、E…駆動電界方向、S…変位方向。

Claims (15)

  1. 厚肉のセラミック基体上に、圧電/電歪体と少なくとも一対の電極とからなる複数の圧電/電歪素子が形成されてなり、前記圧電/電歪体の変位により駆動する圧電/電歪アクチュエータであって、以下の(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とするマトリクス型アクチュエータ。
    (1)前記セラミック基体と前記圧電/電歪素子を構成する圧電/電歪体とが同じ材料からなるものである。
    (2)前記複数の圧電/電歪素子が、前記セラミック基体とそれぞれ一体的に接合され、且つ、互いに独立して二次元に整列配置されてなるものである。
    (3)前記圧電/電歪素子の圧電/電歪体のうち、前記電極が形成される壁面の結晶粒子状態は、粒内破壊を受けている結晶粒子が1%以下である。
    (4)前記セラミック基体上に、互いに独立した複数の圧電/電歪体を形成する過程が、以下の工程A1〜工程Dを含むものである。
    工程A1:圧電/電歪材料を主成分とする複数のセラミックグリーンシートを用意し、打ち抜き加工用の金型を用いて、パンチにより、第一のセラミックグリーンシートに第一の孔を開ける第一の工程と、前記第一の孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第一のセラミックグリーンシートをストリッパに密着させて引き上げる第二の工程と、前記パンチにより、第二のセラミックグリーンシートに第二の孔を開ける第三の工程と、前記第二の孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第二のグリーンシートを前記第一のセラミックグリーンシートとともに引き上げる第四の工程と、以降、複数のセラミックグリーンシートを第三の工程から第四の工程を繰り返して積層し、孔が重なってなる貫通孔が形成されたセラミックグリーン積層体を得る。
    工程B:後にセラミック基体を構成するセラミックグリーン基体を準備する。
    工程C:前記セラミックグリーン積層体と前記セラミックグリーン基体とを積層した後に焼成一体化し、積層焼成体を得る。
    工程D:前記積層焼成体のうち少なくとも前記工程A1で得たセラミックグリーン積層体相当部分に切込みを入れる。
  2. 前記圧電/電歪素子が、前記セラミック基体上に立設された前記圧電/電歪体の側面に前記電極を形成してなる請求項1に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  3. 前記圧電/電歪素子は、
    前記圧電/電歪体の断面が、前記セラミック基体と平行方向の断面において平行四辺形であり、前記電極が、前記圧電/電歪体の断面の長辺を含む側面に形成されてなる請求項2に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  4. 前記圧電/電歪体の電界誘起歪みの横効果による変位に基づき、前記圧電/電歪素子が前記セラミック基体主面に対して垂直方向に伸縮する請求項1〜3の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  5. 前記圧電/電歪素子の圧電/電歪体の面の輪郭度が、8μm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  6. 前記圧電/電歪素子の圧電/電歪体の壁面の表面粗さRtが、10μm以下である請求項1〜5の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  7. 前記圧電/電歪素子が、前記セラミック基体上に層状の圧電/電歪体と層状の前記電極とが交互に複数層積層されてなる請求項1に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  8. 前記圧電/電歪体の電界誘起歪みの縦効果による変位に基づき、前記圧電/電歪素子が前記セラミック基体主面に対して垂直方向に伸縮する請求項1又は7に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  9. 前記圧電/電歪素子の前記圧電/電歪体からなる層の1層当たりの厚さが、100μm以下である請求項7又は8に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  10. 前記圧電/電歪素子の前記圧電/電歪体からなる層が、10乃至200層備わる請求項7〜9の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  11. 隣接する前記圧電/電歪素子の間に壁部が形成されてなる請求項1〜10の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  12. 前記圧電/電歪体が、圧電セラミックス、電歪セラミックス、反強誘電体セラミックスのうちの何れかの材料、若しくは、これらと高分子圧電材料との複合材料からなる請求項1〜11の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  13. 前記セラミック基体における前記圧電/電歪素子が配置される面とは反対側の面に、電極端子が形成されてなり、前記電極と前記電極端子とが、前記セラミック基体に形成されたスルーホール乃至ビアホールを経由して配線されている請求項1〜12の何れか一項に記載のマトリクス型アクチュエータ。
  14. 厚肉のセラミック基体上に、圧電/電歪体と少なくとも一対の電極とからなる複数の圧電/電歪素子が、二次元に整列配置されてなるマトリクス型アクチュエータの製造方法であって、
    圧電/電歪材料を主成分とする複数のセラミックグリーンシートを用意し、打ち抜き加工用の金型を用いて、パンチにより、第一のセラミックグリーンシートに第一の孔を開ける第一の工程と、前記第一の孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第一のセラミックグリーンシートをストリッパに密着させて引き上げる第二の工程と、前記パンチの先端部が引き上げた前記第一のグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、前記パンチを引き上げる第三の工程と、前記パンチにより、第二のセラミックグリーンシートに第二の孔を開ける第四の工程と、前記第二の孔から前記パンチを抜き取らない状態で、前記第二のグリーンシートを前記第一のセラミックグリーンシートとともに引き上げる第五の工程と、前記パンチ先端部が引き上げた前記第二のセラミックグリーンシートの最下部より僅かに引き込む程度に、前記パンチを引き上げる第六の工程と、以降、複数枚のセラミックグリーンシートを第四の工程から第六の工程を繰り返して積層し、孔が重なってなる貫通孔が形成されたセラミックグリーン積層体を得る工程Aと、
    後にセラミック基体を構成するセラミックグリーン基体を準備する工程Bと、
    前記セラミックグリーン積層体と前記セラミックグリーン基体とを積層した後に焼成一体化し、積層焼成体を得る工程Cと、
    前記積層焼成体のうち少なくとも前記工程Aで得たセラミックグリーン積層体相当部分に切込みを入れる工程Dと、を有してなり、
    セラミック基体上に、互いに独立した複数の圧電/電歪体を形成する過程を含むことを特徴とするマトリクス型アクチュエータの製造方法。
  15. 前記工程Cの後であって前記工程Dの前に、
    前記積層焼成体の前記セラミックグリーン積層体相当部分の貫通孔に、充填材を詰める工程を有する請求項14に記載のマトリクス型アクチュエータの製造方法。
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