JP3942356B2 - リバース式圧延機における板厚制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置に係り、特に最先端部から良好な板厚精度を実現し、これにより製品のオフゲージ長を短くすると共に操業自体を安定化できるようにしたリバース式圧延機における板厚制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、板材等の被圧延材をリバース方式により圧延するリバース式圧延機において、先尾端の板厚を所定の精度に収めることは、製品の歩留まりの点からも重要であり、さらに歩留まりの向上という経済的な効果のみならず、板切れ等の突発的な事故を防いで、安定した操業を実現するためにも不可欠な要素である。
【0003】
一方、リバース方式のリバース式圧延機でも、特に20段のゼンジミアミル等の場合には、圧延機そのものの機械特性であるヒステリシスの影響が大きいことから、一般的なロールギャップをプリセットする方法ではなく、圧下装置の油圧シリンダーに所定の圧力基準を与える方法が用いられている。
【0004】
この場合、各パスの最先端部分の板厚を精度よく的中させるためには、各パスの圧延開始直後の油圧シリンダーの圧力基準を高精度に予測して、それを油圧制御装置に設定し、定圧力制御を行なう必要がある。
【0005】
これは、一般的なロールギャップ、あるいは圧下位置をプリセットする方法と基本的な考え方は同じであるが、与えるべき基準が油圧シリンダーの圧力基準であるか、油圧シリンダーに設置された位置検出器を用いた圧下位置基準であるかが異なる。
【0006】
しかしながら、いずれの方法によっても、圧力基準や圧下位置基準を正確に与えなければ、各パス出側の先端部板厚を所定の目標板厚に精度良く的中させることは困難である。
【0007】
さらに、先端部の圧力基準や圧下位置基準を正確に予測して与えることには、以下のように技術的に難しい点がある。
【0008】
すなわち、各パスの最先端部分は、前パスの最終圧延点で圧延を完了した位置であるため、通常は出側板厚を実測することができない。
【0009】
また、前パスの最終圧延点から逆方向に、次パスの圧延を開始する時、圧延開始直後は、クーラント潤滑や板の履歴等の影響が極めて不安定であり、これまでのように、定常的な圧延理論を用いた予測計算では、十分な精度で圧力基準や圧下位置基準を与えられないという問題がある。
【0010】
従って、これらの問題を解決すべく、先端部圧延時のロールギャップ、あるいは圧力基準の設定精度および制御精度を向上させるために、これまでも種々の方法が提案されてきている。
【0011】
例えば、“特開平9−295019号公報”の「可逆式圧延機の板厚制御装置」においては、被圧延材の先端部および尾端部の塑性が一様でないことを考慮するため、温度変化に応じてロールギャップを修正し、先端部および尾端部の板厚精度を向上させる試みが述べられているが、この板厚制御装置では、先尾端部の入側および出側板厚が実測できることを仮定しており、したがって最終圧延点は前パスの圧延を停止する点であり、なお出側の板厚計まで到達できる余裕代がなければならず、さらに先尾端の板厚制御が不安定になる要因を塑性、すなわち前工程での温度の不均一による素材の金属学的な変形特性の変化のみを想定しており、その他の例えば摩擦係数等の力学的な条件は考慮していない、という重大な問題がある。
【0012】
また、“特開平8−99110号公報”の「圧延機による板厚制御方法」においてもほぼ同様に、リバース方式で被圧延材を圧延する場合に、噛み込まれる端部の温度を正確に予測し、それに基づいて圧延荷重を予測し、当該圧延荷重に基づいてロール開度を決める方法が示されている。
【0013】
しかしながら、この板厚制御方法においても、各パスの最初に噛み込まれる端部の温度を正確に予測して、圧延荷重の予測精度を改善する効果はあるにも拘わらず、温度以外の要因、例えば摩擦係数の変化やその他の圧延状況の変化は考慮していないため、圧延荷重の予測精度には限界があると言わざるを得ず、したがって与えられるロール開度の精度は十分ではないという問題がある。
【0014】
以上述べたように、これまでの板厚制御方法あるいは板厚制御装置においては、最先端部の圧下位置基準あるいは圧力基準の誤差(実績値と予測値との差)を許容範囲に収めることは困難であり、そのために製品の板材の先端部の板厚精度が十分ではないばかりでなく、時に操業上の不安定を誘発するという重大な問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、最先端部において、板厚精度が十分でなく、あるいは操業上の不安定を引き起こす直接的な要因は、次パスの圧延開始時の圧下位置基準、あるいは圧力基準の予測計算精度が十分でないためであり、これは、基本的に次パスの圧延開始時の被圧延材の変形抵抗、圧延温度、および摩擦係数等を用いた圧延荷重の予測精度が十分でないためであると言える。
【0016】
さらに、これらのパラメータを精度良く計算し、それらを用いて十分な精度で圧延荷重を予測することが困難である理由の一つには、次パスの圧延開始時の現象を理論的な数式モデルのみを用いて予測しているため、前パスの実績値等の情報を正しく次パスの圧延に反映できないことがある。
【0017】
すなわち、板材等を圧延するリバース圧延機において、最先端部の板厚精度を良好に保持して操業を継続するために必要な、次パス圧延時の圧下位置基準、あるいは圧力基準の計算精度を得るためには、圧延開始時の現象を理論的な数式モデルのみを用いて予測し、数式モデル演算に適切な学習方法を組み合わせて精度を改善したとしても、根元的には、その現象自体の不安定さが残るために、必ずしも必要な圧下位置基準や圧力基準の精度を得ることができない。
【0018】
従って、次パスの圧延開始時には、最先端部の板厚精度が十分ではなく、ひいてはそれによって圧延操業そのものが不安定になるという重大な問題がある。
【0019】
以上のような問題が生じる基本的な要因の現象面での理解については、これまでも種々議論があり、さらには改善方法として引用したように、幾つかの提案がなされている。
【0020】
しかしながら、最先端部において精度の良好な板厚精度を実現するためには、理論的な数式モデルのみを用いた予測計算および予測制御とその学習手段だけでは、十分に精度良く現象を記述できるとは言えず、何らかの改善方法が不可欠であると認識されている。
【0021】
本発明の目的は、最先端部から良好な板厚精度を実現し、これにより製品のオフゲージ長を短くすると共に操業自体を安定化することが可能なリバース式圧延機における板厚制御装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に対応する発明は、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、前記修正量giを考慮して、前記メモリ圧力piに基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、前記修正演算手段により演算された圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
上記の目的を達成するために請求項2に対応する発明は、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力として出力する圧力メモリ手段と、前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p ( i + 1 ) を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、前記圧延条件を考慮する場合に、左右端を区別し、前記圧力基準の実績計算値およびメモリ圧力の偏差を個々の端部に対して反映させて、前記修正量を補償する左右端学習手段と、前記修正量を考慮して、前記メモリ圧力に基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
上記の目的を達成するために請求項3に対応する発明は、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧 シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p ( i + 1 ) を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、前記修正量giを考慮して、前記メモリ圧力piに基づいて圧力基準を演算する修正演算手段と、前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、前記次パス(i+1パス)の圧延開始時の圧下位置基準を演算する圧下位置演算手段とを備え、前記圧下位置演算手段により演算された圧下位置基準に基づいて、圧下位置設定手段により前記油圧シリンダーの圧下位置を所定の圧下位置基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
上記の目的を達成するために請求項4に対応する発明は、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p ( i + 1 ) を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、前記修正量に基づいて、当該圧延条件における層別テーブルを用いて前記修正量の前回値との偏差を保存し、かつ前回値に対して今回値を平滑処理して、前記修正量の学習演算値を演算する修正量学習手段と、前記修正量の学習演算値を考慮して、前記メモリ圧力に基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、
前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
【0023】
上記の目的を達成するため請求項5に対応する発明は、前記請求項1に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記上位計算機により演算された修正量に対して上下限チェックを行ない、当該修正量がそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を前記修正量に置き換えて前記修正演算手段に出力し、その時の下限値の裕度を上限値の裕度よりも狭くするようにしている。
【0024】
上記の目的を達成するため請求項6に対応する発明は、前記請求項1に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における入側および出側の被圧延材の速度を検出する入側および出側板速検出手段を付加し、前記GM板厚演算手段に代えて、前記入側および出側板速検出手段による出側材速および入側材速に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のマスフロー板厚を演算するMF板厚演算手段を備えると共に、前記上位計算機に代えて、前記MF板厚演算手段により演算されたマスフロー板厚、および前記入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前記メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算する上位計算機を備えている。
【0025】
上記の目的を達成するため請求項7に対応する発明は、前記請求項6に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記MF板厚演算手段により演算されたマスフロー板厚、前記入側板厚計による入側板厚検出値、および前記メモリ圧力に基づいて、ゲージメータ板厚を演算し、かつ前記マスフロー板厚およびゲージメータ板厚を加重平均して修正ゲージメータ板厚を演算するGM板厚修正演算手段を付加し、前記上位計算機に代えて、前記GM板厚修正演算手段により演算された修正ゲージメータ板厚、および前記入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前記メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算する上位計算機を備えている。
【0026】
従って、請求項1〜4のいずれかに対応する発明のリバース式圧延機における板厚制御装置においては、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機が停止する直前の油圧シリンダーの圧力実績値を圧力検出手段にて検出し、さらに油圧シリンダーの圧下位置に基づき、圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値に対してフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力として出力することにより、圧力検出手段を用いた圧力検出では不可避的に混入する振動によるノイズを軽減することができると共に、油圧シリンダーの圧下位置が開放方向の圧力検出値のみを用いることにより、リバース圧延機の機械構造に起因するヒステリシスの影響を除くことができる。これにより、最終圧延点における正確な圧力実績値を得ることができる。
【0027】
また、請求項1〜4のいずれかに対応する発明においては、圧下位置検出手段にて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーの圧下位置を検出し、別途、メモリ圧力、さらに出側板厚計による出側板厚検出値、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚を演算することにより、前パス(iパス)の最終圧延点のゲージメータ板厚、すなわち最終圧延点の出側板厚を演算によって求めることができる。すなわち、実際には、最終圧延点の出側板厚は出側板厚計にて計測することができないため、それに代わる実績に基づいた最終圧延点の出側板厚を求めることができる。これにより、最終圧延点の精度のよい実績出側板厚を演算することができる。
【0028】
さらに、請求項1〜4のいずれかに対応する発明においては、演算した最終圧延点のゲージメータ板厚と入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、上位計算機にてメモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算することにより、前パス(iパス)の実績値に基づく演算が可能となるため、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準の精度を格段に向上することができる。
【0029】
さらにまた、請求項1〜4のいずれかに対応する発明においては、修正量を考慮した圧力基準に基づいて、圧力設定手段にて油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、次パス(i+1パス)の圧延を開始することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することができる。
【0030】
一方、請求項5に対応する発明においては、上位計算機にて演算された修正量に対して上下限チェックを行ない、当該修正量がそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を修正量に置き換えて修正演算手段に出力し、その時の下限値の裕度を上限値の裕度よりも狭くすることにより、先端部の板厚精度が向上し、安定した操業を行なうことができる。
【0031】
また、請求項6に対応する発明においては、リバース式圧延機における入側および出側の被圧延材の速度を入側および出側板速検出手段にて検出し、上位計算機にて入側および出側板速検出手段による出側材速および入側材速に基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のマスフロー板厚を演算し、当該演算されたマスフロー板厚、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することができる。
【0032】
さらに、請求項7に対応する発明においては、GM板厚修正演算手段にてMF板厚演算手段で演算したマスフロー板厚、入側板厚計による入側板厚検出値、およびメモリ圧力に基づいて、ゲージメータ板厚を演算し、かつマスフロー板厚およびゲージメータ板厚を加重平均して修正ゲージメータ板厚を演算し、上位計算機にてGM板厚修正演算手段で演算した修正ゲージメータ板厚、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明では、複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機において、前パス(iパス)の最終圧延点における圧延荷重、あるいは油圧シリンダー圧力の実績値を採取し、その実績値に対して次パス(i+1パス)の圧延条件である板厚、張力、速度等の影響を考慮するために、圧延理論に基づく数式モデルを用いて修正係数を算出して、前パス(iパス)の最終圧延点において採取した実績圧延荷重、あるいは油圧シリンダー圧力の実績値を補正し、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧延荷重、あるいは油圧シリンダーの圧力基準を演算する。また、圧延荷重に基づいて所定の圧下位置基準を演算し、これら基準(油圧シリンダーの圧力基準あるいは圧下位置基準)に基づいて次パス(i+1パス)の圧延を開始することにより、最先端部の板厚精度を良好に保持して次パス(i+1パス)の圧延を開始し、これによって安定して操業を行なうことを可能とし、さらに製品の品質精度も向上させるものである。
【0034】
以下、上記のような考え方に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図である。
【0036】
図1において、リバース式圧延機ZRMは、通常、複数パス(Nパスとする)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に(図では左右に)圧延する。
【0037】
なお、図1では、当該パス(前パス)をiパス(i=1〜N−1)と表記し、その次のパス(次パス)を(i+1パス)と表記する。
【0038】
また、図1では、説明の簡単のため、前パス(iパス)は図示右から左の方向に圧延を行ない、次パス(i+1パス)は逆に図示左から右の方向に圧延を行なう状況を示している。
【0039】
一方、本実施の形態によるリバース式圧延機ZRMにおける板厚制御装置は、次のように構成している。
【0040】
すなわち、リバース式圧延機ZRMにおける前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機ZRMが停止する直前の油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、さらに油圧シリンダーHPの圧下位置siを圧下位置検出器MGにて検出する。
【0041】
一方、油圧シリンダーHPの圧力実績値pmi、および油圧シリンダーHPの圧下位置siに基づいて、油圧シリンダーHPの圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値pmiに対してフィルタリング処理を行ない、圧力メモリ装置1にてメモリ圧力piとして出力する。
【0042】
また、圧下位置検出器MGにて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーHPの圧下位置siを検出し、別途、上記メモリ圧力pi、左側(出側)板厚計LXによる出側板厚検出値hi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを、GM板厚演算器2にて演算する。
【0043】
さらに、GM板厚演算器2にて演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、上記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、上位計算機(P/C)3にて修正量giを演算する。
【0044】
さらにまた、上記修正量giを考慮して、メモリ圧力piに基づいて、修正演算装置4にて圧力基準p(i+1)を演算する。
【0045】
そして、上記修正演算装置4にて演算した圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
【0046】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について、図2乃至図6を用いて説明する。
【0047】
図1において、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延され、リバース式圧延機ZRMが停止する直前の油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、この検出した油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiと、圧下位置検出器MGにより検出した油圧シリンダーHPの圧下位置siとを、圧力メモリ装置1に入力し、油圧シリンダーHPの圧下位置siが開放方向となる時の圧力実績値pmiに対してフィルタリング処理を行ない、圧力メモリ装置1はメモリ圧力piとして出力する。
【0048】
この時、ゼンジミアミルの機械構造に基づくヒステリシスの影響を除くために、圧力メモリ装置1は、例えば図2のブロック図に示すように、データサンプリング回路11と、フィルタ回路12と、データ保存 ( 平均処理 ) 回路13と、ギャップ開方向信号回路14とから構成されている。
【0049】
データサンプリング回路11は、例えば油圧シリンダーHPの圧力検出器PTからの圧力実績値pmiをサンプリングするものであり、油圧シリンダーHPの圧力の実測値を、定ピッチ、例えば20msec毎にサンプリングする。ただし、ミルヒステリシスの影響を除くため、このデータサンプリング回路11はギャップが開方向信号回路14からの信号が入力された場合にのみ行ない、ギャップが閉方向に移動している場合には、サンプリングをスキップすることが必要である。
【0050】
フィルタ回路12は圧力検出器PTを用いた圧力検出では不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するようにフィルタリング処理を行なう。
【0051】
データ保存回路13は、フィルタリング処理された値に基づいて、1回のデータサンプリング毎に、過去数10点(図中では20点として表記)の移動平均処理した値を保存し、その保存した値をメモリ圧力piとして出力する。
【0052】
図1のGM板厚演算器2は、図2のブロック図に示すように、GM板厚演算回路21と、フィルタ回路22と、データメモリ23と、タイミング ( ミル停止直前 ) 信号回路24とから構成されている。
【0053】
GM板厚演算回路21は、例えば、下記のような演算式により、油圧シリンダーHPの圧力に基づいて刻々変化するゲージメータ板厚hgiを演算する。
【0054】
【数1】
【0055】
ここで、hgiはゲージメータ板厚、Siは圧下位置、PDiは圧力piに基づき、油圧シリンダーHPの内面積Aを乗じて換算した圧延荷重、Mはミル定数である。
【0056】
因みに、一般的に、ミルヒステリシスが大きいことは、上記式の上では、ミル定数Mが圧下位置の開方向と閉方向で大きく異なる現象と理解される。
【0057】
従って、開方向の圧力のみをデータサンプリングする場合には、当然、ミル定数Mも開方向について実測された数値を用いなければならない。
【0058】
図2においては、GM板厚演算回路21によりゲージメータ板厚hgiを演算した後に、そのゲージメータ板厚hgiを再度、フィルタ回路22により前述のフィルタ回路12と同様にフィルタリング処理を行ってミル停止直前になったときにタイミング信号回路24は、信号を発信し、そのタイミングでの値をゲージメータ板厚hgiとしてデータメモリ23に保存する。
【0059】
この場合、ミル停止直前とは、実際にはミルの主機モータの速度を刻々監視し、例えば1m/min等の最低速度を切った瞬間のことを指す。
【0060】
このようにメモリされたゲージメータ板厚hgiは、前パス(iパス)における最終圧延点のGM板厚hgiであり、実際には、前パス(iパス)の最終圧延点は左側(出側)板厚計LXにより計測することができないため、それに代わる実績に基づいた最終圧延点の出側板厚であると言える。
【0061】
さて、次に、演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgiと、右側(入側)板厚計RXによる最終圧延点の入側板厚検出値Hiに基づいて、上位計算機(P/C)3にて前記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮する。
【0062】
この時、以下に述べるように、実際には、最終圧延点のゲージメータ板厚hgiの絶対値精度を補償するために、左側(出側)板厚計LXによって出側板厚を実測できる最終実測可能点での条件と併せて、ゲージメータ演算を行なう必要がある。
【0063】
以下に、詳細に説明する。
【0064】
いま、前パス(iパス)の最終圧延点をZ点、前パス(iパス)の出側板厚の最終実測可能点をY点と記する。
【0065】
Y点は、リバース式圧延機ZRMと右側(入側)板厚計RXとの正味の距離に余裕代を加えた距離だけ、Z点より上流にある。
【0066】
図3は、Y点に関するデータサンプリングの一例を示す模式図である。
【0067】
図3の例では、圧延方向は図示右から左であり、iパス(現パス)のY点のリバース式圧延機ZRM入側の板厚Hi(Y)を右側(入側)板厚計RXにて測定し、Y点がリバース式圧延機ZRM直下に搬送されて、圧延される時の油圧シリンダーHPの圧力実績値pi(Y)および圧下位置si(Y)を測定し、さらにY点が圧延された後、左側(出側)板厚計LX直下に達した時の出側板厚hi(Y)を測定する。
【0068】
これにより、Y点に関して、以下のような実績値が得られる。
【0069】
ただし、圧力実績値pi(Y)については、圧延荷重PDi(Y)に換算しておく。
【0070】
1)入側板厚:Hi(Y)
2)PD荷重:PDi(Y)
3)出側板厚:hi(Y)
4)圧下位置:si(Y)
次に、前パス(iパス)の最終圧延点であるZ点においても同様に、例えば図4の模式図に示すようにデータサンプリングする。
【0071】
前パス(iパス)のZ点のリバース式圧延機ZRM入側の板厚Hi(Z)を右側(入側)板厚計RXにて測定し、さらにリバース式圧延機Z点がZRM直下に搬送されて、圧延される時の油圧シリンダーHPの圧力実績値pi(Z)および圧下位置si(Z)を測定する。
【0072】
これらのデータサンプリングにおいて、入側板厚および出側板厚の測定は、通常のサンプリングピッチに従ってデータ採取するが、油圧シリンダーHPの圧力実績値pi、およびそれに伴なう圧下位置siのデータサンプリングについては、上記図2に示したブロック図に基づき、フィルタリング処理およびミルヒステリシスの影響を除く処置が必要である。
【0073】
さて、これによりZ点に関して、以下のような実績値が得られる。
【0074】
1)入側板厚:Hi(Z)
2)PD荷重:PDi(Z)
3)圧下位置:si(Z)
ここで、PD荷重については、Y点と同様に、圧延荷重PDi(Z)に換算しておく。
【0075】
また、Z点ではY点とは異なり、出側板厚は実測できないことに注意する。
【0076】
これらの採取データを用いて、以下のように、最終圧延点Z点の出側板厚、すなわちゲージメータ板厚hgiを求める。
【0077】
Y点、および、Z点におけるゲージメータ演算式は、下記のようである。
【0078】
【数2】
【0079】
従って、Y点とZ点における板厚の差Δhgi(Z−Y)は、以下のようになる。
【0080】
【数3】
【0081】
これより、Z点におけるゲージメータ板厚hgi(Z)は、
【数4】
により求めることができる。
【0082】
ここで、Y点については、左側(出側)板厚計LXによる出側板厚の実測値hi(Y)があるので、ゲージメータ板厚hgi(Y)を、それに置き換えることが可能である。
【0083】
また、Δsi(Z−Y)は、Z点とY点における圧下位置の差で、一般的には、圧下位置の移動量としてメモリされる。
【0084】
次に、次パス(i+1パス)の圧延開始点(物理的には、前パスの最終圧延点と同じ位置の点である)における油圧シリンダーHPの圧力基準を求める。
【0085】
この時、上位計算機(P/C)3により、修正量giを演算する必要がある。
【0086】
これは、以下のように行なう。
【0087】
いま、Z点については、以下のような諸量が分かっている。
【0088】
1)入側板厚:Hi(Z)
2)出側板厚:hi(Z)
3)PD荷重:PDi(Z)
入側板厚Hi(Z)は、右側(入側)板厚計RXにより実測したデータ、出側板厚hi(Z)は、上記(5)式により演算されたデータ、PD荷重PDi(Z)は、前記フィルタリング処理およびミルヒステリシスを除去する処置を行なった油圧シリンダーHPからの実績値である。
【0089】
さらに、次パス(i+1パス)の目標板厚を、h(i+1)(A)とする。
【0090】
これは、通常、上位計算機(P/C)3が保有するパススケジュール計算機能により与えられた設定板厚である。
【0091】
また、次パス(i+1パス)の入側張力tb(A)、および出側張力tf(A)も、おのおの設定値を用いる。
【0092】
従って、次パス(i+1パス)の圧延開始点(A点)については、下記のような条件となる。
【0093】
1)入側板厚:H(i+1)(A)=hi(Z)
2)出側板厚:h(i+1)(A)=設定値
3)PD荷重:PD(i+1)(A)←これを予測演算する。
【0094】
Z点について、荷重モデルは、例えば下記のように書ける。
【0095】
【数5】
【0096】
ここで、kmi(z)はZ点における平均変形抵抗、Rはワークロール半径、Bは板幅、QPDi(Z)は圧延条件によって決まる圧下力関数である。
【0097】
また、αおよびβは、張力の影響係数を表わす。
【0098】
展開すると、
【数6】
【0099】
同様に、A点について、
【数7】
【0100】
いま、変形抵抗と張力項、および圧下力関数の前パス/現パスの変化を、上位計算機(P/C)3で計算し、それをgiとして出力する。
【0101】
上記(7)式と(8)式との比をとると、
【数8】
【0102】
となり、この右辺を上位計算機(P/C)3が計算し、幅Bを分母分子から除いてgiとおくと、
【数9】
【0103】
従って、
【数10】
を得る。
【0104】
扁平ロール半径は変化しないと仮定して展開すると、下記を得る。
【0105】
【数11】
【0106】
ここで得られた次パス(i+1パス)の圧延開始点(A点)に対する圧延荷重目標値PD(i+1)(A)を、油圧シリンダーHPの内面積で除算して、圧力基準p(i+1)を求める。
【0107】
上記修正量giを考慮した圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するため、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に操業自体が安定することになる。
【0108】
図5および図6は、実際の板厚偏差の実績値の一例をそれぞれ示す特性図である。
【0109】
図5は、本実施の形態を適用しない場合の板厚偏差の実績値の一例を示している。
【0110】
横軸は各パスの規格化した長手方向位置を示し、左端が最先端、すなわち各パスの最終圧延点および次パスの圧延開始点である。
【0111】
また、縦軸は各パスの目標板厚に対して、板厚実績値の偏差であり、これが0の場合には板厚実績値が完全に目標値に一致しており、良好な板厚精度が実現できていることを示す。
【0112】
図6は、本実施の形態に基づいて圧延された板厚偏差の実績値のデータの一例を示している。
【0113】
図5及び図6において、X0、X1、…、X12は、次のような板厚を示している。
X0は最初のパスの入側板厚。
X1は1パス出側の実測された板厚。
X2は2パス出側の実測された板厚。
X3は3パス出側の実測された板厚。
X4は4パス出側の実測された板厚
X5は5パス出側の実測された板厚。
X6は6パス出側の実測された板厚。
X7は7パス出側の実測された板厚。
X8は8パス出側の実測された板厚。
X9は9パス出側の実測された板厚。
X10は10パス出側の実測された板厚。
X11は11パス出側の実測された板厚。
X12は12パス出側の実測された板厚。
図5および図6を比較すると、明らかに図6の方が図5に比べて、先端部のオフゲージ長さ、すなわち板厚精度の悪い部分の長さが短くなっていることが分かる。
【0114】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、さらに油圧シリンダーHPの圧下位置siに基づき、圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値pmiをサンプリングしているので、リバース圧延機ZRMの機械構造に起因するヒステリシスの影響を除くことができる。また、サンプリング結果を、フィルタリング処理しているので、圧力検出器PTを用いた圧力検出では不可避的に混入する振動によるノイズを軽減することができる。これにより、最終圧延点における正確な圧力実績値を得ることが可能となる。
【0115】
また、圧下位置検出器MGにて最終圧延点が圧延される時の圧下位置siを検出し、別途、前記メモリ圧力pi、さらに左側(出側)板厚計LXによる出側板厚検出値hi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するようにしているので、前パス(iパス)の最終圧延点のゲージメータ板厚、すなわち最終圧延点の出側板厚を演算によって求めることができる。
【0116】
すなわち、実際には、最終圧延点の出側板厚は左側(出側)板厚計LXにて計測することができないため、それに代わる実績に基づいた最終圧延点の出側板厚を求めることができる。これにより、最終圧延点の精度のよい実績出側板厚を演算することが可能となる。
【0117】
さらに、演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgiと右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、上位計算機(P/C)3にてメモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、修正量giを演算するようにしているので、前パス(iパス)の実績値に基づく演算が可能となるため、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準の精度を格段に向上することが可能となる。
【0118】
さらにまた、上記修正量giを考慮した圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしているので、次パス(i+1パス)の最先端部から板厚精度の良好な製品を得ることができ、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することが可能となる。
【0119】
(第2の実施の形態)
図7は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1と同一要素には同一符号を付して示している。
【0120】
本実施の形態によるリバース式圧延機ZRMにおける板厚制御装置は、次のように構成している。
【0121】
すなわち、リバース式圧延機ZRMにおける前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機ZRMが停止する直前の油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、さらに油圧シリンダーHPの圧下位置siを圧下位置検出器MGにて検出する。
【0122】
一方、油圧シリンダーHPの圧力実績値pmi、および油圧シリンダーHPの圧下位置siに基づいて、油圧シリンダーHPの圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値pmiに対してフィルタリング処理を行ない、圧力メモリ装置1にてメモリ圧力piとして出力する。
【0123】
また、圧下位置検出器MGにて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーHPの圧下位置siを検出し、別途、上記メモリ圧力pi、左側(出側)板厚計LXによる出側板厚検出値hi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを、GM板厚演算器2にて演算する。
【0124】
さらに、GM板厚演算器2にて演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgi、右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hi、およびメモリ圧力piに基づいて、上記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、上位計算機(P/C)3にて修正量giを演算する。
【0125】
また、上記圧延条件を考慮するに当たっては、左右端を区別し、圧力基準の実績計算値およびメモリ圧力piの偏差を個々の端部に対して反映させて、左右端学習装置3aにて修正量giを補償する。
【0126】
さらに、上記修正量giを考慮して、メモリ圧力piに基づいて、修正演算装置4にて圧力基準p(i+1)を演算する。
【0127】
そして、上記修正演算装置4にて演算した圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
【0128】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について、図8を用いて説明する。
【0129】
なお、前述した第1の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0130】
図7において、本実施の形態の取り扱うリバース式圧延機ZRMでは、必然的に、圧延方向が図示右から左、あるいは図示左から右の2方向となるに伴なって、圧延開始点は左端、あるいは右端となる。
【0131】
上位計算機(P/C)3に対して付加した左右端学習装置3aにおいては、図8の模式図に示すように作用する。
【0132】
なお、図8では、1パスにおいて、図示左から右方向に圧延され、順次、2パス以降に進んでいく場合を例にとつている。
【0133】
実績値については、最初に得られるのが、パスの先端、すなわち右端の圧延荷重実績値PDACT および圧延荷重実績計算値PDCAL の比率ZPD(CH)=PDACT /PDCAL が得られ(ここで、CHは先端部:Headの現在値:Current値の意味)、続いて1パスの尾端、すなわち左端のZPD(CT)が得られる。
【0134】
次に、2パスの先端(左端)のZPD(CH)が得られ、2パスの終了時に2パスの尾端(右端)のZPD(CT)が得られる。
【0135】
すなわち、順次、iパスにおいては、得られる時間的順序は前後入れ替わるが、左端と右端のZPD(CH)、あるいは、ZPD(CT)が得られることになる。
【0136】
そして、このようにして得られたZPD(CH)、およびZPD(CT)に基づいて、該当するパスの修正量giを補正する。
【0137】
この時の演算方法は、左端、右端をおのおの考慮した学習計算方法であり、以下に例示する。
【0138】
ここでは、圧延方向が図示左→右で始まる場合を例にとる。なお、逆についても、添え字符号は同じとする。学習する端部が、左端と右端で入れ替わるだけである。
【0139】
NHは、次パスの先端部(Head)に適用する学習項(New値)であり、例えば3パスの左端学習に式に現われるZPD(NH:1)は、3パスの時点では既に完了した1パスに適用した学習項を示す。
【0140】
また、αおよびβは、指数平滑と重みゲインであり、通常、0.1〜0.5程度で、学習が発散せず、最適な速度で学習可能である適切な数値に調整される。
【0141】
1パス:左端学習
ZPD(NH:1)=(1−β)・ZPD(初期値)+β・{(1−α)・ZPD(CH:1)+α・ZPD(CT:1)−ZPD(初期値)}
2パス:右端学習
ZPD(NH:2)=(1−β)・ZPD(初期値)+β・{(1−α)・ZPD(CH:2)+α・ZPD(CT:2)−ZPD(初期値)}
3パス:左端学習
ZPD(NH:3)=(1−β)・ZPD(NH:1)+β・{(1−α)・ZPD(CH:3)+α・ZPD(CT:3)−ZPD(NH:1)}
4パス:右端学習
ZPD(NH:4)=(1−β)・ZPD(NH:2)+β・{(1−α)・ZPD(CH:4)+α・ZPD(CT:4)−ZPD(NH:2)}
……
iパス:左端学習
ZPD(NH:i)=(1−β)・ZPD(NH:i-2)+β・{(1−α)・ZPD(CH:i)+α・ZPD(CT:i)−ZPD(NH:i-2)}
i+1パス:右端学習
ZPD(NH:i+1)=(1−β)・ZPD(NH:i-1)+β・{(1−α)・ZPD(CH:i+1)+α・ZPD(CT:i+1)−ZPD(NH:i-1)}
以上のように、おのおのの同じ端部に対して、奇数パス、偶数パスで、おのおの学習項を更新していく。
【0142】
そして、これに基づいて補正された修正量giを考慮して次パスの圧力基準p(i+1)を計算することにより、モデルの予測誤差に依存する圧力基準の誤差の操業に及ぼす影響を除くことができ、ひいては先端部の板厚精度の向上、および操業の安定化を実現することができる。
【0143】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、先端部の板厚精度の向上、および操業の安定化を実現することが可能となる。
【0144】
(第3の実施の形態)
図9は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1および図7と同一要素には同一符号を付して示している。
【0145】
本実施の形態によるリバース式圧延機ZRMにおける板厚制御装置は、次のように構成している。
【0146】
すなわち、リバース式圧延機ZRMにおける前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機ZRMが停止する直前の油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、さらに油圧シリンダーHPの圧下位置siを圧下位置検出器MGにて検出する。
【0147】
一方、油圧シリンダーHPの圧力実績値pmi、および油圧シリンダーHPの圧下位置siに基づいて、油圧シリンダーHPの圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値pmiに対してフィルタリング処理を行ない、圧力メモリ装置1にてメモリ圧力piとして出力する。
【0148】
また、圧下位置検出器MGにて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーHPの圧下位置siを検出し、別途、上記メモリ圧力pi、左側(出側)板厚計LXによる出側板厚検出値hi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを、GM板厚演算器2にて演算する。
【0149】
さらに、GM板厚演算器2にて演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、上記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、上位計算機(P/C)3にて修正量giを演算する。
【0150】
また、上記修正量giを考慮して、メモリ圧力piに基づいて、修正演算装置4にて圧力基準p(i+1)を演算する。
【0151】
さらに、上記圧力基準p(i+1)に基づいて、圧下位置演算装置5にて次パス(i+1パス)の圧延開始時の圧下位置基準s(i+1)を演算する。
【0152】
そして、上記圧下位置演算装置5にて演算した圧下位置基準s(i+1)に基づいて、圧下位置設定器SSにより油圧シリンダーHPの圧下位置を所定の圧下位置基準s(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
【0153】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について説明する。
【0154】
なお、前述した第1の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0155】
図9において、次パス(i+1パス)の圧延開始点に対して、油圧シリンダーHPの圧力基準p(i+1)を与えるのではなく、圧下位置基準s(i+1)を与える。
【0156】
すなわち、前述した第1の実施の形態に対して、演算された次パス(i+1パス)の圧力基準p(i+1)に基づいて発生する圧延荷重PD(i+1)を演算し、その圧延荷重に基づいて、圧下位置演算装置5により、圧下位置基準s(i+1)を演算する。
【0157】
この時、圧下位置演算装置5には、例えばミルカーブがΔs=f(P,M)等の関数として保存されており、
s(i+1)=h(i+1)−Δs=h(i+1)−f(p(i+1),M)
のように演算する。
【0158】
ここで、f(P,M)はミルカーブを表す関数であり、その変数は例えば荷重:P、およびミル定数:Mである。
【0159】
さらに、圧下位置基準s(i+1)を受けて、圧下位置設定器SSにより、油圧シリンダーHPのシリンダーを所定の位置まで圧下させて、次パス(i+1パス)の圧延が開始される。
【0160】
これにより、先端部の板厚精度が向上し、安定した操業を実現することができる。
【0161】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、先端部の板厚精度の向上、および操業の安定化を実現することが可能となる。
【0162】
(第4の実施の形態)
図10は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1、図7、および図9と同一要素には同一符号を付して示している。
【0163】
本実施の形態によるリバース式圧延機ZRMにおける板厚制御装置は、次のように構成している。
【0164】
すなわち、リバース式圧延機ZRMにおける前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機ZRMが停止する直前の油圧シリンダーHPの圧力実績値pmiを圧力検出器PTにて検出し、さらに油圧シリンダーHPの圧下位置siを圧下位置検出器MGにて検出する。
【0165】
一方、油圧シリンダーHPの圧力実績値pmi、および油圧シリンダーHPの圧下位置siに基づいて、油圧シリンダーHPの圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値pmiに対してフィルタリング処理を行ない、圧力メモリ装置1にてメモリ圧力piとして出力する。
【0166】
また、圧下位置検出器MGにて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーHPの圧下位置siを検出し、別途、上記メモリ圧力pi、左側(出側)板厚計LXによる出側板厚検出値hi、および右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを、GM板厚演算器2にて演算する。
【0167】
さらに、GM板厚演算器2にて演算した最終圧延点のゲージメータ板厚hgi、右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、上記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、上位計算機(P/C)3にて修正量giを演算する。
【0168】
また、上記修正量giに基づいて、当該圧延条件における層別テーブルを用いて、上記修正量giの前回値との偏差を保存し、かつ前回値に対して今回値を平滑処理して、修正量学習装置4aにて修正量giの学習演算値gi* を演算する。
【0169】
さらに、上記修正量の学習演算値gi* を考慮して、メモリ圧力piに基づいて、修正演算装置4にて圧力基準p(i+1)を演算する。
【0170】
そして、上記修正演算装置4にて演算した圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしている。
【0171】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について説明する。
【0172】
なお、前述した第1の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0173】
図10において、上位計算機(P/C)3により演算された修正量giを受けて、修正量学習装置4aにて修正量giの短期的および長期的学習計算を行なう。
【0174】
当該学習計算の結果、学習項により補正された修正量gi* を用いて、修正演算装置4にてメモリ圧力piの修正演算を行ない、次パス(i+1パス)の圧力基準p(i+1)を求める。
【0175】
ここで、修正量giの学習は、以下のようにして行なう。
【0176】
修正量giは、その時の実績値を用いて演算したパス圧下率、累積圧下率、および上位計算機(P/C)3が受ける鋼種等の製品情報により、層別テーブルを設けておく。
【0177】
修正量giの初期値を、例えば1.0としておき、それに対して、一つのパスの圧延完了時に得られた修正量giを用いて、その偏差を平滑処理する。
【0178】
この処理は、初期値だけではなく、前回保存値に対して、順次以下のようにして行なう。
【0179】
【数12】
【0180】
ここで、gi* は学習項により補正された修正量、giは上位計算機(P/C)3が演算した修正量、gi(保存値)は修正量学習装置4aの層別テーブルにあらかじめ保存されていた修正量の該当層の数値である。
【0181】
また、αは平滑ゲインを表わす。
【0182】
さて、このようにして演算された圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体が安定する。
【0183】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定することが可能となる。
【0184】
(第5の実施の形態)
本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置は、前述した第1の実施の形態のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記上位計算機(P/C)3により演算された修正量giに対して上下限チェックを行ない、当該修正量giがそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を上記修正量giに置き換えて、前記修正演算装置4に出力し、その時の下限値の裕度を上限値の裕度よりも狭くする構成としている。
【0185】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について説明する。
【0186】
なお、前述した第1の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0187】
本実施の形態の板厚制御装置においては、上位計算機(P/C)3により演算された修正量giに対して、上下限チェックを実施し、当該修正量giがそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を当該修正量giに置き換えて、修正演算装置4に出力する。
【0188】
この時、ミルヒステリシスの影響によって、修正量giは真の数値よりも低めに演算される場合があり、しかも低めに演算された場合には、先端部の板厚の目標値への復帰が遅くなるという問題があるため、これをどうしても避ける方が好ましい。
【0189】
従って、上下限値の設定においては、中央値(=1.0)から下限値までの範囲を狭く、上限値までの範囲を広くすることが有効である。
【0190】
例えば、下限値までの裕度を3%、上限値までの裕度を10%という具合である。
【0191】
これにより、先端部の板厚精度が向上し、安定した操業ができる。
【0192】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、先端部の板厚精度が向上し、安定した操業をすることが可能となる。
【0193】
(第6の実施の形態)
図11は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0194】
すなわち、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置は、図11に示すように、前記リバース式圧延機ZRMにおける入側および出側の被圧延材の速度を検出する左側(出側)板速検出器VLおよび右側(入側)板速検出器VRを付加している。
【0195】
また、前記GM板厚演算器2に代えて、左側(出側)板速検出器VLおよび右側(入側)板速検出器VRによる出側材速VXiおよび入側材速VEiに基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のマスフロー板厚hfiを演算するMF板厚演算器2aを備えている。
【0196】
さらに、前記上位計算機(P/C)3に代えて、前記MF板厚演算器2aにより演算されたマスフロー板厚hfi、および前記右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、修正量giを演算する上位計算機(P/C)3を備えた構成としている。
【0197】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について説明する。
【0198】
なお、前述した第1の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0199】
図11において、リバースミルの入側および出側におのおの左側(出側)板速検出器VLおよび右側(入側)板速検出器VRを備え、ゲージメータ板厚を演算する代わりに、マスフロー板厚hfiをマスフロー(MF)板厚演算器2aにて演算する。
【0200】
最終圧延点のロールバイト出側直後のマスフロー板厚hfiは、例えば以下のようにして演算することができる。
【0201】
【数13】
【0202】
ここで、VEi,VXiはおのおの入側および出側の左側(出側)板速検出器VLおよび右側(入側)板速検出器VRにて検出した板の速度、Viはロール周速、hREF は出側の板厚基準、ΔHiは入側の板厚偏差の実績値、Qは塑性定数、
【数14】
【0203】
は後方張力の圧延荷重に及ぼす影響係数、ΔhMFは左側(出側)板厚計LXにて測定したマスフロー板厚と実測板厚の偏差の補正値である。
【0204】
以上のような式を用いて演算されたマスフロー板厚hfiを、ゲージメータ板厚hgiの代わりに用いて、前パス(iパス)における最終圧延点の出側板厚を求め、それに基づいてメモリ圧力piの修正演算を行なうことにより、次パス(i+1パス)の圧力基準p(i+1)を演算し、さらにそれに基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体が安定する。
【0205】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定することが可能となる。
【0206】
(第7の実施の形態)
図12は、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の全体構成例を示すブロック図であり、図11と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0207】
すなわち、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置は、図12に示すように、前記MF板厚演算器2aにより演算されたマスフロー板厚hfi、前記右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hi、および前記メモリ圧力piに基づいて、ゲージメータ板厚hgiを演算し、かつマスフロー板厚hfiおよびゲージメータ板厚hgiを加重平均して修正ゲージメータ板厚hgi*を演算するGM板厚修正演算器2bを付加している。
【0208】
また、前記上位計算機(P/C)3に代えて、前記GM板厚修正演算器2bにより演算された修正ゲージメータ板厚hgi*、および前記右側(入側)板厚計RXによる入側板厚検出値Hiに基づいて、前記メモリ圧力piを検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく、修正量giを演算する上位計算機(P/C)3を備えた構成としている。
【0209】
次に、以上のように構成した本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置の作用について説明する。
【0210】
なお、前述した第6の実施の形態と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。
【0211】
図12において、本実施の形態の板厚制御装置においては、前述した第6の実施の形態の場合と同様に、マスフロー板厚hfiを演算した後、さらに前述した第1の実施の形態の場合と同じ方法を用いて、ゲージメータ板厚hgiを演算する。
【0212】
この時、演算されたゲージメータ板厚hgiの精度をさらに向上すべく、ゲージメータ板厚hgiに対して、所定の重み係数を用いて、マスフロー板厚hfiを考慮して、修正ゲージメータ板厚hgi* をGM板厚修正演算器2bにて演算する。
【0213】
これは、例えば下記のようにして演算する。
【0214】
【数15】
【0215】
ここで、βは重み係数であり、ゲージメータ板厚hgiの精度が高い場合には、0.8〜0.9以上の数値に設定される。
【0216】
この修正ゲージメータ板厚hgi* を用いて、前パス(iパス)における最終圧延点の出側板厚を求め、それに基づいてメモリ圧力piの修正演算を行なうことにより、次パス(i+1パス)の圧力基準p(i+1)を演算し、さらにそれに基づいて、圧力設定器PSにより油圧シリンダーHPの圧力を所定の圧力基準p(i+1)として、次パス(i+1パス)の圧延を開始することにより、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体が安定する。
【0217】
上述したように、本実施の形態によるリバース式圧延機における板厚制御装置では、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定することが可能となる。
【0218】
(その他の実施の形態)
前記各実施の形態では、説明の簡単のため、前パス(iパス)は図示右から左の方向に圧延され、次パス(i+1パス)パスは逆に図示左から右の方向に圧延される状況について示したが、これに限らず、いま前パス(iパス)が図示左から右方向に圧延される場合には、左側に設置された左側(出側)板厚計LX、右側に設置された右側(入側)板厚計RX等を全て左右に入れ替えて構成することにより、前述の場合と全く同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【0219】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリバース式圧延機における板厚制御装置によれば、前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されてリバース式圧延機が停止する直前の油圧シリンダーの圧力実績値を圧力検出手段にて検出し、さらに油圧シリンダーの圧下位置に基づき、圧下位置が開放方向となる時の圧力実績値に対してフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力として出力するようにしているので、圧力検出手段を用いた圧力検出では不可避的に混入する振動によるノイズを軽減することが可能となると共に、油圧シリンダーの圧下位置が開放方向の圧力検出値のみを用いるようにしているので、リバース圧延機の機械構造に起因するヒステリシスの影響を除くことが可能となる。これにより、最終圧延点における正確な圧力実績値を得ることができる。
【0220】
また、圧下位置検出手段にて最終圧延点が圧延される時の油圧シリンダーの圧下位置を検出し、別途、メモリ圧力、さらに出側板厚計による出側板厚検出値、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚を演算するようにしているので、前パス(iパス)の最終圧延点のゲージメータ板厚、すなわち最終圧延点の出側板厚を演算によって求めることが可能となる。すなわち、実際には、最終圧延点の出側板厚は出側板厚計にて計測することができないため、それに代わる実績に基づいた最終圧延点の出側板厚を求めることが可能となる。これにより、最終圧延点の精度のよい実績出側板厚を演算することができる。
【0221】
さらに、演算した最終圧延点のゲージメータ板厚と入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、上位計算機にてメモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算するようにしているので、前パス(iパス)の実績値に基づく演算が可能となるため、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準の精度を格段に向上することが可能となる。
【0222】
さらにまた、修正量を考慮した圧力基準に基づいて、圧力設定手段にて油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしているので、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することが可能となる。
【0223】
一方、上位計算機にて演算された修正量に対して上下限チェックを行ない、当該修正量がそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を修正量に置き換えて修正演算手段に出力し、その時の下限値の裕度を上限値の裕度よりも狭くするようにしているので、先端部の板厚精度が向上し、安定した操業を行なうことが可能となる。
【0224】
また、リバース式圧延機における入側および出側の被圧延材の速度を入側および出側板速検出手段にて検出し、上位計算機にて入側および出側板速検出手段による出側材速および入側材速に基づいて、前パス(iパス)における最終圧延点のマスフロー板厚を演算し、当該演算されたマスフロー板厚、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算するようにしているので、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することが可能となる。
【0225】
さらに、GM板厚修正演算手段にてMF板厚演算手段で演算したマスフロー板厚、入側板厚計による入側板厚検出値、およびメモリ圧力に基づいて、ゲージメータ板厚を演算し、かつマスフロー板厚およびゲージメータ板厚を加重平均して修正ゲージメータ板厚を演算し、上位計算機にてGM板厚修正演算手段で演算した修正ゲージメータ板厚、および入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算するようにしているので、次パス(i+1パス)の板厚精度は最先端から良好であり、製品のオフゲージ長が短くなると同時に、操業自体を安定化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】同第1の実施の形態の板厚制御装置における油圧シリンダーHPの実績圧力に対するフィルタリング処理および平均化処理の詳細を示すブロック図。
【図3】同第1の実施の形態の板厚制御装置における前パス(iパス)のY点(出側板厚実績採取可能最終点)の位置とデータ採取タイミングを示す模式図。
【図4】同第1の実施の形態の板厚制御装置における前パス(iパス)のZ点(最終圧延点)の位置とデータ採取タイミングを示す模式図。
【図5】従来の板厚制御方法による各パスの板厚実績の一例を示す図。
【図6】同第1の実施の形態の板厚制御装置における各パスの板厚実績の一例を示す図。
【図7】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図8】同第2の実施の形態の板厚制御装置における左右端学習の手順の一例を示す模式図。
【図9】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第3の実施の形態を示すブロック図。
【図10】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第4の実施の形態を示すブロック図。
【図11】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第6の実施の形態を示すブロック図。
【図12】本発明によるリバース式圧延機における板厚制御装置の第7の実施の形態を示すブロック図。
【符号の説明】
ZRM…リバース式圧延機、
R−TR…右テンションリール、
L−TR…左テンションリール、
RX…右側(入側)板厚計、
LX…左側(出側)板厚計、
HP…油圧シリンダー、
PT…圧力検出器、
MG…圧下位置検出器、
1…圧力メモリ装置、
2…GM板厚演算器、
2a…MF板厚演算器、
2b…GM板厚修正演算器、
3…上位計算機(P/C)、
3a…左右端学習装置、
4…修正演算装置、
4a…修正量学習装置、
5…圧下位置演算装置、
PS…圧力設定器、
SS…圧下位置設定器、
VR…右側(入側)板速検出器、
VL…左側(出側)板速検出器。
Claims (7)
- 複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、
前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、
前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、
前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、
前記修正量giを考慮して、前記メモリ圧力piに基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、前記修正演算手段により演算された圧力基準p(i+1)に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。 - 複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、
前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力として出力する圧力メモリ手段と、
前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、
前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、
前記圧延条件を考慮する場合に、左右端を区別し、前記圧力基準の実績計算値およびメモリ圧力の偏差を個々の端部に対して反映させて、前記修正量を補償する左右端学習手段と、
前記修正量を考慮して、前記メモリ圧力に基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、
前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。 - 複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、
前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、
前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、
前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、
前記修正量giを考慮して、前記メモリ圧力piに基づいて圧力基準を演算する修正演算手段と、
前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、前記次パス(i+1パス)の圧延開始時の圧下位置基準を演算する圧下位置演算手段とを備え、
前記圧下位置演算手段により演算された圧下位置基準に基づいて、圧下位置設定手段により前記油圧シリンダーの圧下位置を所定の圧下位置基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。 - 複数パス(Nパス)のパススケジュールに従って、板材等の被圧延材を往復的に圧延するリバース式圧延機における板厚制御装置において、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧力実績値pmiを検出する圧力検出手段と、
前記リバース式圧延機における油圧シリンダーの圧下位置siを検出する圧下位置検出手段と、
前パス(iパス)の最終圧延点が圧延されて前記リバース式圧延機が停止する直前の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmi、および前記油圧シリンダーの圧下位置siに基づいて、前記油圧シリンダーの圧下位置siが開放方向となる時の前記油圧シリンダーの圧力実績値pmiに対して前記圧力実績値pmiを検出する際に不可避的に混入する振動によるノイズを軽減するためのフィルタリング処理を行ない、メモリ圧力piとして出力する圧力メモリ手段と、
前記最終圧延点が圧延される時の前記油圧シリンダーの圧下位置siと、前記メモリ圧力piに前記油圧シリンダーの内面積を乗じて得られる圧延荷重PDをミル定数で除算して得られる値とを加算することで、出側板厚計による出側板厚検出値に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のゲージメータ板厚hgiを演算するGM板厚演算手段と、
前記GM板厚演算手段により演算された最終圧延点のゲージメータ板厚と前記入側板厚計による入側板厚検出値Hiとに基づいて、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準p(i+1)を演算すべく修正量giを演算する上位計算機と、
前記修正量に基づいて、当該圧延条件における層別テーブルを用いて前記修正量の前回値との偏差を保存し、かつ前回値に対して今回値を平滑処理して、前記修正量の学習演算値を演算する修正量学習手段と、
前記修正量の学習演算値を考慮して、前記メモリ圧力に基づいて圧力基準を演算する修正演算手段とを備え、
前記修正演算手段により演算された圧力基準に基づいて、圧力設定手段により前記油圧シリンダーの圧力を所定の圧力基準として、前記次パス(i+1パス)の圧延を開始するようにしたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。 - 前記請求項1に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記上位計算機により演算された修正量に対して上下限チェックを行ない、当該修正量がそのリミットを越えた場合には、下限値あるいは上限値を前記修正量に置き換えて前記修正演算手段に出力し、その時の下限値の裕度を上限値の裕度よりも狭くするようにしたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。
- 前記請求項1に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記リバース式圧延機における入側および出側の被圧延材の速度を検出する入側および出側板速検出手段を付加し、前記GM板厚演算手段に代えて、前記入側および出側板速検出手段による出側材速および入側材速に基づいて、前記前パス(iパス)における最終圧延点のマスフロー板厚を演算するMF板厚演算手段を備えると共に、前記上位計算機に代えて、前記MF板厚演算手段により演算されたマスフロー板厚、および前記入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前記メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算する上位計算機を備えたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。
- 前記請求項6に記載のリバース式圧延機における板厚制御装置において、前記MF板厚演算手段により演算されたマスフロー板厚、前記入側板厚計による入側板厚検出値、および前記メモリ圧力に基づいて、ゲージメータ板厚を演算し、かつ前記マスフロー板厚およびゲージメータ板厚を加重平均して修正ゲージメータ板厚を演算するGM板厚修正演算手段を付加し、前記上位計算機に代えて、前記GM板厚修正演算手段により演算された修正ゲージメータ板厚、および前記入側板厚計による入側板厚検出値に基づいて、前記メモリ圧力を検出した瞬間の圧延条件を考慮して、次パス(i+1パス)の圧延開始点における圧力基準を演算すべく修正量を演算する上位計算機を備えたことを特徴とするリバース式圧延機における板厚制御装置。
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