JP3941847B2 - 通気水切り構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は外装材として使用する乾式壁材の、第1段目を張り始める際の通気水切り構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、乾式壁材を用いて通気構造に形成する方法としては、図17に示すように躯体C(木造下地、鉄骨下地、等)上に防風透湿シートよりなる防水シートDを施工し、その上に通気胴縁Eを形成した壁下地αの、通気胴縁Eと基礎γ間に固定具βを介して水切りGを施工し、その後、スタータHを固定具βで施工し、このスタータHに乾式壁材Bの下端部を挿入し施工するものであった。勿論、この場合には基礎γと水切りG間には空隙aを形成し、この空隙aを介して、通気を行うものであった。また、水切りGの固定部から通気胴縁E上に、さらにアスファルトフェルト等の防水シートDを形成したり、空隙aを覆うようにステンレスメッシュ等よりなる防虫シートを形成することもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような通気水切りでは寸法取りをする必要があり、空隙aを形成する作業が面倒で、施工に時間がかかるものであった。また、空隙aの寸法は通気量を決めるのに重要であるために、確実な寸法で施工しなければならなかった。さらに、空隙aの寸法が大きすぎると、この空隙aから虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入し、通気路を閉塞したり、躯体を破壊してしまう危険性があった。勿論、空隙aの形成が不十分だと、通気路の性能が十分に発揮できず、湿気が躯体内部に残留し、躯体の腐食、カビ、ダニの発生源になるものであった。その上、雪対策のために基礎が高い部分に形成される北海道等の住宅では、下から通気水切りの裏面が丸見えになるために、美感性に大きな問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、通気胴縁の下端に形成する通気水切り構造において、下端に凹部を形成した通気胴縁と、垂直平面状の固定部と、固定部の下端を外側方へ下方に傾斜して屈曲した水切り面と、水切り面の先端あるいは固定部の下端をさらに延長した垂下面の先端を内側方に突出し固定部よりも突出した突出面と、突出面あるいは垂下面に一定ピッチで形成した通気孔とからなる通気水切りと、幅方向の端縁に雄雌連結構造を形成した乾式壁材とからなり、通気胴縁の凹部を屋外方向に向けると共に、基礎の上面に通気胴縁の下端を当接して縦に、壁下地上に複数本一定ピッチで固定され、通気水切りの突出面が基礎の上面に当接され、固定部が固定具により壁下地に固定され、乾式壁材が通気水切り上に施工されていることにより、上記欠点を排除した通気水切り構造を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明に係る通気水切り構造の一実施例について詳細に説明する。図1は本発明に係る通気水切り構造を施工した状態を示す断面図、図2(a)〜(c)は上記通気水切りAを示す説明図であり、(a)、(b)図は断面図、(c)図は(b)図のa−a部端面図、図3(a)は防虫シートbを示す斜視図、図3(b)は通気胴縁Eを示す斜視図、図4は乾式壁材Bを示す断面図、図5は乾式壁材Bの施工状態を示す断面図である。また、Cは躯体、Dは防水シート、Eは通気胴縁、Fは通気路、αは躯体C、防水シートD、通気胴縁E、通気路Fよりなる壁下地、βは固定具、γは基礎である。また、通気水切りAの固定部1から通気胴縁E上に、さらにアスファルトフェルト等の防水シートDを形成した壁下地αとすることもできるものである。
【0006】
通気水切りAは図2(a)〜(c)に示すように、垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端近傍を外側方へ屈曲した底面2と、底面2の先端を上方に突出した係止片3と、固定部1の下端をさらに下方に垂下した垂下面4と、垂下面4の下端を外側方へ下方に傾斜して屈曲した水切り面5と、水切り面5の先端を下方に垂下した化粧面6と、化粧面6の下端を内側方に突出した突出面7と、突出面7に形成した嵌合片8と、突出面7に形成した通気孔9と、固定部1に形成した突起1aとから形成した長尺状のものである。
【0007】
固定部1は通気水切りAを壁下地αに固定具βにより固定する部分である。
【0008】
係止片3は後記する乾式壁材Bの係合溝15を係止するものであり、乾式壁材Bを張り始める際のスタート材として機能する部分である。
【0009】
垂下面4は通気胴縁Eの下端部分に突出して形成したものである。
【0010】
水切り面5は乾式壁材B上を流れてきた雨水等を速やかに地面に流下させる機能、乾式壁材Bの下端部を水平に保つための機能、下端部を綺麗に納める機能、等を有するものである。
【0011】
化粧面6は乾式壁材Bの下端部分を綺麗に納めるための部分である。
【0012】
突出面7は図1に示すように、基礎γ上に当接して形成し、壁下地αを外部に露出しないようにすると共に、通気孔9を形成するために形成したものである。また、基礎γに水平に通気水切りAを固定するのに有効なものである。さらに、突出面7の長さは基礎γと通気水切りA間に隙間が形成されないような長さであれば良いものである。
【0013】
嵌合片8は、防虫シートbを固定するために形成したものである。
【0014】
通気孔9は突出面7に図2(a)、(c)に示すように形成するものであり、図1に示すように基礎γ部分から入ってきたエアを通気胴縁E間の通気路Fに入れるための空隙aである。
【0015】
また、通気孔9は図示するように一定ピッチで複数個、虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入しないような大きさに形成するものである。
【0016】
通気孔9を形成することにより、外気が通気路Fを通過し、図示しないが軒天に形成した通気孔(軒天との境界部分、軒天に形成した通気孔、あるいは棟換気口、等)より屋外に放出される。このために、屋内より排出された湿気が躯体C部分で結露せず、躯体Cを腐食させるのを防止し、カビ、ダニの発生も抑制するのものである。勿論、防水シートDは防風透湿シート(湿気は通すが空気は通さないシート)で形成し、湿気だけを通気路Fに放出することにより湿気を屋外に放出するものである。
【0017】
突起1aは防水性強化のために形成したものである。
【0018】
その素材としては、金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0019】
防虫シートbは、虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等の侵入を防ぐために密に張る網で、鉄、銅、ステンレス等の金属製、あるいはプラスチック製、もしくはこれらの複合製品である。勿論、網(メッシュ)状、極小孔形成板、等でその形態は自由である。
【0020】
乾式壁材Bは金属系サイディング材、窯業系サイディング材、ALC、中空セメント板、タイル、等よりなり、その一例としては図4に示すように、表面材10と裏面材11間に芯材12を形成し、両端に雄型連結部13と雌型連結部14を形成したものであり、図5に示すように、固定具βの打設と、雄型連結部13と雌型連結部14を嵌合することにより乾式壁材Bを連結するものである。また、雄型連結部13には通気水切りAあるいは乾式壁材Bと係合するための係合溝15、雌型連結部14には乾式壁材B同士を連結するための係合片16を有するものである。
【0021】
表面材10、裏面材11は金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形、乾燥−焼成等して各種任意形状に形成したものである。
【0022】
芯材12は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材10、もしくは裏面材11の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材12中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0023】
さらに詳説すると、芯材12は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材12として石膏ボード、セメント板、ロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0024】
躯体Cは木造下地、鉄骨下地、等よりなるものであり、その空間にグラスウール等の断熱材を充填した高断熱・高気密構造のものである。
【0025】
防水シートDは防風透湿シートを使用するものであり、雨、風、エア、等は通さないが湿気は通すシートである。
【0026】
通気胴縁Eは木材、鋼材、等よりなり、通気胴縁Eを縦に一定ピッチで形成することにより、通気胴縁E間に土台から軒天まで連通した空間である通気路Fを形成するものである。勿論、通気胴縁Eを一定間隔をおいて横に形成し、通気路Fが連続するように形成することにより、縦張りの乾式壁材Bに対応することもできるものである。
【0027】
通気胴縁Eには図3(b)に示すように、通気胴縁Eの下端にを切り欠いて凹部E1 を形成し、通気水切りAの突出面7が基礎γ上に確実に当接できるように形成したものである。
【0028】
次に、本発明に係る通気水切り構造の施工方法について簡単に説明する。そこで、図3(b)に示すような通気胴縁Eを、下端に凹部E1 が来るように、かつ、開口を屋外方向に向けて固定具βにより縦に複数本固定する。次に、図2(a)〜(c)に示すような通気水切りAを壁下地αの通気胴縁Eの下端(基礎γ上)に水平に固定具βを介して固定する。次に、図4に示すような乾式壁材Bの係合溝15を通気水切りAの係止片3に挿入し、順次図5に示すように乾式壁材Bを固定して施工を完了するものである。
【0029】
以上説明したのは本発明に係る通気水切り構造の一実施例にすぎず、通気水切りAを図6(a)〜(e)、図7(a)〜(c)、図8(a)〜(h)、通気胴縁Eを図9(a)〜(e)、乾式壁材Bを図10(a)〜(g)に示すように形成することもできる。
【0030】
すなわち、図6(a)〜(e)、図7(a)〜(c)は通気水切りAのその他の実施例を示す断面図である。特に、図6(c)、図7(a)、(b)は底面2を傾斜して形成し、底面2に流水孔2aを一定ピッチ(100〜300mm位)で形成した通気水切りA、図7(a)〜(c)は2部材により形成した通気水切りAである。
【0031】
図8(a)〜(h)は通気孔9のその他の実施例を示す説明図である。
【0032】
図9(a)〜(e)は通気胴縁Eのその他の実施例を示す斜視図であり、特に(e)図は通常の胴縁(凹部E1 を形成しない通気胴縁E)の下端に形成するように短尺状に形成した通気胴縁Eである。
【0033】
図10(a)〜(g)は乾式壁材Bのその他の実施例を示す説明図である。
【0034】
図11は通常の胴縁(凹部E1 を形成しない通気胴縁E)を下端に空間が形成されるように取り付けた構造である。
【0035】
図12は通気胴縁Eの下端に防虫シートbを形成した構造である。
【0036】
図13は通気胴縁E上にも防水シートDを形成した構造である。
【0037】
図14は縦張りの乾式壁材Bを形成した構造である。
【0038】
図15はスタータHを形成した構造である。
【0039】
図16は下端に短尺状の通気胴縁Eを形成した構造である。
【0040】
勿論、本発明に係る通気水切り構造はサッシ上の窓上構造、乾式壁材Bを上下方向でつなぐ時の中間水切り構造にも使用できるものである。
【0041】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る通気水切り構造によれば、▲1▼通気胴縁の下端に凹部を形成したために、通気水切りの突出面が通気胴縁よりも内部に突出でき、基礎と通気水切り間の空隙が完全に閉塞できる。▲2▼突出面の形成により、通気孔(空隙)の形成が確実、かつ簡単である。▲3▼躯体内に湿気が残留しないために、躯体を腐食させず、カビ、ダニの発生を抑制し、健康で快適な住まいを提供できる。▲4▼夏季に遮熱効果がある。▲5▼突出面の形成により、水切り面の裏面より内部に虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入しない。▲6▼防虫シートの形成により、通気孔から、虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入しない。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通気水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りの代表例を示す説明図である。
【図3】本発明で使用する防虫シートと通気胴縁を示す斜視図である。
【図4】本発明で使用する乾式壁材を示す断面図である。
【図5】本発明で使用する乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る通気水切り構造に使用する通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る通気水切り構造に使用する通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る通気水切り構造に使用する通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る通気水切り構造に使用する通気胴縁のその他の実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る通気水切り構造に使用する乾式壁材のその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図12】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図15】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図16】本発明に係る通気水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図17】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
a 空隙
b 防虫シート
A 通気水切り
B 乾式壁材
C 躯体
D 防水シート
E 通気胴縁
E1 空間
F 通気路
G 水切り
H スタータ
α 壁下地
β 固定具
γ 基礎
1 固定部
1a 突起
2 底面
2a 流水孔
3 係止片
4 垂下面
5 水切り面
6 化粧面
7 突出面
8 嵌合片
9 通気孔
10 表面材
11 裏面材
12 芯材
13 雄型連結部
14 雌型連結部
15 係合溝
16 係合片
Claims (1)
- 通気胴縁の下端に形成する通気水切り構造において、下端に凹部を形成した通気胴縁と、垂直平面状の固定部と、固定部の下端を外側方へ下方に傾斜して屈曲した水切り面と、該水切り面の先端あるいは固定部の下端をさらに延長した垂下面の先端を内側方に突出し固定部よりも突出した突出面と、該突出面あるいは垂下面に一定ピッチで形成した通気孔とからなる通気水切りと、幅方向の端縁に雄雌連結構造を形成した乾式壁材とからなり、通気胴縁の凹部を屋外方向に向けると共に、基礎の上面に通気胴縁の下端を当接して縦に、壁下地上に複数本一定ピッチで固定され、通気水切りの突出面が基礎の上面に当接され、固定部が固定具により壁下地に固定され、乾式壁材が通気水切り上に施工されていることを特徴とする通気水切り構造。
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