JP3922489B2 - 通気水切り構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外装材として使用する乾式壁材の、第1段目を張り始める際の通気水切り構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、乾式壁材を用いて通気構造に形成した水切り構造としては、図14に示すように躯体D(木造下地、鉄骨下地、等)上に防風透湿シートよりなる防水シートEを施工し、その上に通気胴縁Fを形成した壁下地αの、通気胴縁Fと基礎γ間に固定具βを介して水切りHを施工し、その後、スタータBを固定具βで施工し、このスタータBに乾式壁材Cの下端部を挿入し施工するものであった。勿論、この場合には基礎γと水切りH間には空隙aを形成し、この空隙aを介して、通気を行うものであった。また、水切りHの固定部から通気胴縁F上に、さらにアスファルトフェルト等の防水シートEを形成したり、空隙aを覆うようにステンレスメッシュ等よりなる防虫網を形成することもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような通気水切り構造では寸法取りをする必要があり、空隙aを形成する作業が面倒で、施工に時間がかかるものであった。また、空隙aの寸法は通気量を決めるのに重要であるために、確実な寸法で施工しなければならなかった。勿論、空隙aの形成が不十分だと、通気路の性能が十分に発揮できず、湿気が躯体内部に残留し、躯体の腐食、カビ、ダニの発生源になるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、通気胴縁を形成した通気水切り構造において、垂直平面状の固定部と、固定部の下端近傍を外側方に突出した底面と、底面の先端を内方に屈曲した垂下面と、底面の先端を外側方に傾斜して突出した水切り面と、底面および垂下面に一定ピッチで形成した通気空隙とからなる長尺状の通気水切りと、垂直平面状の固定片と、固定片の下端を外側方に突出した底片と、底片の先端を外方に突出した係止片とから形成したスタータと、雄雌連結構造で係合溝を有する乾式壁材とからなり、通気水切りを躯体の下端に固定し、躯体上に防水シートを敷設し、通気水切りの固定部と底面上に下端を当接して縦に複数本形成した通気胴縁と、通気胴縁の下端にスタータを固定し、スタータの係止片に乾式壁材の係合溝を固定することにより、上記欠点を排除した通気水切り構造を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明に係る通気水切り構造の一実施例について詳細に説明する。図1は本発明に係る通気水切り構造を示す断面図、図2(a)〜(f)は上記通気水切りAを示す説明図であり、(a)、(b)図は断面図(正面図)、(c)図は(b)図の底面図、(d)図は(b)図のa−a部断面図、(e)図は(b)図のb−b部端面図、(f)図は(b)図のc−c部端面図、図3はスタータBを示す断面図、図4は乾式壁材Cを示す断面図、図5は乾式壁材Cの施工状態を示す断面図である。また、Dは躯体、Eは防水シート、Fは通気胴縁、αは壁下地、βは固定具、γは基礎である。また、通気水切りAの固定部1上から通気胴縁F上に、さらにアスファルトフェルト等の防水シートEを形成することもできるものである。
【0006】
通気水切りAは図2(a)〜(f)に示すように垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端近傍を外側方に突出した底面2と、底面2に一定ピッチで形成した通気空隙2aと、底面2の先端を内方に屈曲した垂下面3と、垂下面3に一定ピッチで形成した通気空隙3aと、底面2の先端を外側方に傾斜して突出した水切り面4と、水切り面4の先端を下方に垂下した化粧面5と、化粧面5の先端を内方に傾斜して突出した側面化粧面6とから形成した長尺状のものである。
【0007】
その素材としては、金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0008】
固定部1は通気水切りAを躯体Dに固定具βにより固定する部分である。
【0009】
底面2は通気胴縁Fを載置すると共に、通気空隙2aを形成する部分である。
【0010】
通気空隙2aは底面2に図2(a)〜(f)に示すように形成するものであり、図1に示すように基礎γ部分から、後記する通気空隙3aを通って入ってきたエアを通気胴縁F間の通気路Gに入れるための空隙aである。
【0011】
垂下面3は図1に示すように、基礎γ上に当接して形成し、基礎γに水平に通気水切りAを固定するのに有効なものであると共に、後記する通気空隙3aを形成するための部分である。
【0012】
通気空隙3aは垂下面3に図2(a)〜(f)に示すように形成するものであり、図1に示すように基礎γ部分から入ってきたエアを通気胴縁F間の通気路Gに入れるための空隙aである。
【0013】
なお、図では通気空隙3aを垂下面3を切り欠いて形成しているが、垂下面3を打ち抜いて形成してもよいものである。また、通気空隙2a、通気空隙3aを図示するように一定ピッチで、虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入しないような大きさに形成するものである。
【0014】
通気空隙2a、通気空隙3aを形成することにより、外気が通気路Gを通過し、図示しないが軒天に形成した通気空隙(軒天との境界部分、軒天に形成した通気空隙、あるいは棟換気口、等)より屋外に放出される。このために、屋内より排出された湿気が躯体D部分で結露せず、躯体Dを腐食させるのを防止し、カビ、ダニの発生も抑制するのものである。勿論、防水シートEは防風透湿シート(湿気は通すが空気は通さないシート)で形成し、湿気だけを通気路Gに放出することにより湿気を屋外に放出するものである。
【0015】
水切り面4は乾式壁材C上を流れてきた雨水等を速やかに地面に流下させる機能、乾式壁材Cの下端部を水平に保つための機能、下端部を綺麗に納める機能、等を有するものである。
【0016】
スタータBは図3に断面を示すように、垂直平面状の固定片7と、固定片7の下端を外側方へ屈曲した底片8と、底片8の先端を上方に屈曲した係止片9とから形成したものである。
【0017】
その素材としては、金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、押出成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0018】
固定片7はスタータBを通気胴縁Fに固定具βにより固定する部分である。
【0019】
係止片9は後記する乾式壁材Cの係合溝15を係止するものであり、乾式壁材Cを張り始める際のスタート材として機能する部分である。勿論、スタータBは長尺状、短尺状のどちらでもよいものである。
【0020】
乾式壁材Cは図4に示すように表面材10と裏面材11間に芯材12を形成し、両端に雄型連結部13と雌型連結部14を形成したものであり、図5に示すように、固定具βの打設と、雄型連結部13と雌型連結部14を嵌合することにより乾式壁材Cを連結するものである。また、雄型連結部14にはスタータBと係合するためと、乾式壁材C同士を連結するための係合溝15、係合片16を有するものである。
【0021】
表面材10、裏面材11は金属製薄板材、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生−乾燥、乾燥−焼成、等して各種任意形状に形成したものである。
【0022】
芯材12は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材10、もしくは裏面材11の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材12中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0023】
さらに詳説すると、芯材12は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材12として石膏ボード、セメント板、ロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用してもよいものである。勿論、上記した金属系サイディング材の他に、金属系パネル、窯業系サイディング材、ALCパネル、タイル(セラミック系)、等を乾式壁材Cとして使用することができるものである。
【0024】
躯体Dは木造下地、鉄骨下地、等よりなるものであり、その空間にグラスウール等の断熱材を充填した高断熱・高気密構造のものである。
【0025】
防水シートEは防風透湿シートを使用するものであり、雨、風、エア、等は通さないが湿気は通すシートである。
【0026】
通気胴縁Fは木材、鋼材、等よりなり、通気胴縁Fを縦に一定ピッチで形成することにより、通気胴縁F間に土台から軒天まで連通した空間である通気路Gを形成するものである。勿論、一定間隔をおいて横に形成し、通気路Gが連続するように形成することもできるものである。
【0027】
次に、本発明に係る通気水切り構造の施工方法について簡単に説明する。そこで、図2(a)〜(f)に示すような通気水切りAを躯体Dに水平に固定具βを介して固定する。次に、防風透湿シートよりなる防水シートEを通気水切りAの固定部1上から躯体D上全面に敷設する。次に、通気胴縁Fを縦に一定ピッチで複数本下端を底面2上に当接して躯体Dに固定具βを介して固定する。次に、図3に示すようなスタータBを固定部1上に固定し、図4に示すような乾式壁材Cの係合溝15をスタータBの係止片9に挿入し、順次図5に示すように乾式壁材Cを連結固定して施工を完了するものである。
【0028】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係る通気水切り構造の一実施例にすぎず、通気水切りAを図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)、図8(a)〜(c)、図9(a)〜(h)、図10(a)〜(f)、図11(a)〜(e)、乾式壁材Cを図12(a)〜(f)、図13(a)〜(f)に示すように形成することもできる。
【0029】
すなわち、図6(a)〜(c)〜図8(a)〜(c)は通気空隙2a、通気空隙3aの形成状態を示す図2(b)のa−a部断面図である。
【0030】
図9(a)〜(h)、図10(a)〜(f)は通気空隙2a、通気空隙3aの形状のその他の実施例を示す説明図である。
【0031】
図11(a)〜(e)において、特に、(b)、(e)図は固定部1の下端をL字状に屈曲し、底面にパッキング材cを形成した通気水切りA、(c)図は通気水切りAにスタータBの機能を付加した構造、(e)図はステンレスメッシュ等の防虫網bを形成した通気水切りAである。
【0032】
勿論、本発明に係る通気水切り構造はサッシ上の窓上構造、乾式壁材Cを上下方向でつなぐ時の中間水切り構造にも使用できるものである。
【0033】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る通気水切り構造によれば、▲1▼垂下面の形成により水平出しが楽で、施工が簡単である。▲2▼垂下面の形成により、通気空隙(空隙)の形成が確実、かつ簡単である。▲3▼通気空隙(空隙)の形成により、躯体内に湿気が残留しないために、躯体を腐食させず、カビ、ダニの発生を抑制し、健康で快適な住まいを提供できる。▲4▼通気空隙が化粧面により被覆されるために、外部より見えない。▲5▼通気空隙が化粧面により被覆されるために、雨水等が浸入しない。▲6▼通気空隙から虫(蟻、蜂、等)、小鳥、ゴミ、等が侵入しない。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通気水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りの代表例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る通気水切り構造の部材であるスタータの代表例を示す説明図である。
【図4】本発明で使用する乾式壁材を示す断面図である。
【図5】本発明で使用する乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る通気水切り構造の部材である通気水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図12】本発明で使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図13】本発明で使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図14】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
a 空隙
b 防虫網
c パッキング材
A 通気水切り
B スタータ
C 乾式壁材
D 躯体
E 防水シート
F 通気胴縁
G 通気路
H 水切り
α 壁下地
β 固定具
γ 基礎
1 固定部
2 底面
2a 通気空隙
3 垂下面
3a 通気空隙
4 水切り面
5 化粧面
6 側面化粧面
7 固定片
8 底片
9 係止片
10 表面材
11 裏面材
12 芯材
13 雄型連結部
14 雌型連結部
15 係合溝
16 係合片

Claims (1)

  1. 通気胴縁を形成した通気水切り構造において、垂直平面状の固定部と、該固定部の下端近傍を外側方に突出した底面と、該底面の先端を内方に屈曲した垂下面と、底面の先端を外側方に傾斜して突出した水切り面と、底面および垂下面に一定ピッチで形成した通気空隙とからなる長尺状の通気水切りと、垂直平面状の固定片と、該固定片の下端を外側方に突出した底片と、該底片の先端を外方に突出した係止片とから形成したスタータと、雄雌連結構造で係合溝を有する乾式壁材とからなり、通気水切りを躯体の下端に固定し、躯体上に防水シートを敷設し、通気水切りの固定部と底面上に下端を当接して縦に複数本形成した通気胴縁と、該通気胴縁の下端にスタータを固定し、スタータの係止片に乾式壁材の係合溝を固定することを特徴とする通気水切り構造。
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