JP3941190B2 - 浄水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水の流入口と取出口を有する弁本体と、受け入れた原水を濾過する濾過部とを備えた浄水器に関し、さらに詳しくは、それら弁本体と濾過部との接続に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭の水道蛇口に取り付けられる浄水器は、一般に流入口と複数個の流出口を有する弁本体と、濾材が収納された濾過部とで構成されている。濾過部に濾材を大量に収納すると大型化して食器洗い等の作業の邪魔になるため、濾材を少量収納した小型カ−トリッジを弁本体に接続し、濾過性能が低下したらカ−トリッジを交換する方式が広く用いられている。
【0003】
カ−トリッジの弁本体への接続は、作業が容易で、しかも水漏れが生じない確実な方法が好ましい。特開平7−116656号公報、特開平7−204636号公報に記載されているような、弁本体に形成された凹部にカ−トリッジに形成された凸部を差し込み、凹部内周面の張出部と凸部外周面の張出部を係合して接続するバヨネット式接続は、作業が容易で手間がかからない。しかも、接続部において弁本体とカ−トリッジがリング状シ−ル部材を介して密着しているため、外部に水漏れが起こりにくい。
【0004】
しかしながら、これらの浄水器は、弁本体に形成された凹部にリング状シ−ル部材が単純に挿入されただけで、抜け止めが無い構造では、使用者がカ−トリッジ接続前に誤って水を出すと、水と共にリング状シ−ル部材が抜け飛んでしまう。その後、使用者がリング状シ−ル部材の脱落に気が付かずにカ−トリッジを接続して使用すると、接続部から水が漏れてしまうという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、弁本体へのカ−トリッジの接続を容易かつ確実に行うことができ、かつ、使用者が誤ってカ−トリッジ接続前に水を出した際にもシ−ル部材が抜け飛びにくい浄水器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、原水流入口と原水取出口を有する弁本体と、この弁本体から原水を受け入れて濾過する、原水受入口を有する濾過部とを備えた浄水器であって、前記弁本体の原水取出口に濾過部の原水受入口が着脱自在に接続され、その接続のために、前記弁本体の原水取出口または濾過部の原水受入口のいずれか一方に形成された円筒状の凸部と、他方に形成された、その凸部が嵌着される凹部とからなるバヨネット機構が形成され、前記凸部には、周方向に延びている第1の張出部が先端側外周面の部分的に形成され、前記凹部には、前記凸部の第1の張出部の侵入を許容する切欠部と、周方向に延びている第2の張出部とが形成され、かつ、弁本体の原水取出口または濾過部の原水受入口の少なくとも一方に、シ−ル部材が配備されるとともに、前記第2の張出部がシ−ル部材の抜止部を兼ねることを特徴とする浄水器である。
【0007】
ここで、シ−ル部材が、シ−ル部材抜止部に係止可能な張出部を有していることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の浄水器は、図1に示すように、水道蛇口に取り付けられる。この浄水器1は、その内部に3方弁構造を内蔵した弁本体2と、濾材が収納されたカ−トリッジ(濾過部)3とから構成されており、弁本体2の上部が水道蛇口4に取り付けられる。弁本体2とカ−トリッジ3は着脱自在に接続されている。
【0009】
弁本体2は、図2に示すように、上部に水道蛇口から原水を受け入れる原水流入口10を、下部に原水をそのままシャワ−水として吐出するシャワ−吐出口11を有する。そして、弁本体2の側部は、受け入れた原水をカ−トリッジ3へ供給するための原水取出口12を有する。すなわち、弁本体2は、水道蛇口4からシャワ−吐出口11への流路と、水道蛇口4から原水取出口12への流路とを備えている。この弁本体2は、原水流入口10から受け入れた原水を、2つの流出口のいずれか一方に導く3方弁を有するが、原水シャワ−口・原水取出口以外に原水ストレ−ト口を有する4方弁であっても、また、4つ以上の流出口を有する多方弁であってもよい。
カ−トリッジ3は、その容器21の側部に、弁本体2の原水取出口12に接続される原水受入口22を有し、また、その容器21の下部には原水受入口22から受け入れた原水を濾過して吐出する、複数のシャワ−孔のある濾過水供給口23を有する。そして、容器21の内部底面に形成された円筒状突起21aには円筒体24の下端がOリング25を介して嵌入立設され、この円筒体24の上下端外周面が、リング状フィルタ−26、27で容器21の内壁面に固定されている。
【0010】
円筒体24の内部には、複数本の中空糸膜を束ねて逆U字状に折り曲げた中空糸膜束28が装填されている。中空糸膜の両端末は、円筒体24の下部に接着剤29を充填して封止固定(ポッティング)し、容器21へ嵌入する前にポッティング部を一部切断除去している。その結果、各中空糸膜の端末は濾過水供給口23に向かって開口している状態が保たれる。
【0011】
円筒体24と容器21の間には、抗菌活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、キレ−ト樹脂などからなる吸着剤30が装填されている。
【0012】
容器21の上部は、中空糸膜束28と吸着剤30を容器21内に容易に装填できるよう広く開口し、中空糸の汚れ具合が外部からよく見えるように透明カバ−31を嵌入して超音波溶着されている。そして透明カバ−31の上部には、容器21と着脱自在な蓋32が取り付けられている。
【0013】
以下、弁本体とカ−トリッジとの接続において好ましいバヨネット機構について説明する。
【0014】
図3、図4に示すように、バヨネット機構40の一端として、弁本体2側部の原水取出口12に円筒状の凹部41が形成されている。この凹部41における内周面の開口端部側には、切欠部42と、周方向に延びた凹部側張出部43がそれぞれ一対ずつ形成されている。なお、この凹部側張出部43が本発明における第2の張出部に相当する。また、バヨネット機構の他端として、図3、図5に示すように、カ−トリッジ3の原水受入口22に、前述の凹部41に差し込める円筒状の凸部45が形成されている。この凸部45は、凹部41における一対の凹部側張出部43の先端部分で形成される内径よりも、若干小径になっている。そして、凸部45の先端側外周面には、凹部41の内周面に形成された一対の切欠部42それぞれに進入可能な一対の凸部側張出部46が形成されている。なお、この凸部側張出部46は本発明における第1の張出部に相当する。
【0015】
弁本体2とカ−トリッジ3は、図6に示すように、凸部45が凹部41に差し込まれて両者が軸芯周りに相対変位されることにより、凹部側張出部43と凸部側張出部46との対向する面が係合して結合した状態となる。また、その逆方向に相対変位されることにより、凹部側張出部43と凸部側張出部46とが離間して弁本体2とカ−トリッジ3とが取り外し可能な状態となる。
【0016】
また、図3に示すように、凸部側張出部46における凹部側張出部43と係合する面46aは、軸方向に傾斜しており、両者の軸方向への相対変位がスム−ズになるとともに、互いの係合密着度が向上するようになっている。そして、凸部側張出部46の端部には凸部45と凹部41との軸芯周りの相対変位を規制するストッパ47が設けられている。このストッパ47に凹部側張出部43の端部が係止したときに、両張出部43、46が係合するとともに、凸部45の先端面がシ−ル部材44に圧接して、凸部45と凹部41とが液密状態に係合するようになっている。
【0017】
図6(参考例)においては、凹部41における内周面にシ−ル部材抜止部51が形成されている。シール部材抜止部51の開口端部側がシ−ル部材44の最大外径以上で、かつ、シール部材抜止部51のシ−ル部材側がシ−ル部材44の最大外径よりも小さくなっている。
【0018】
シ−ル部材44には、容易に装着でき、かつ、良好なシール性が得られるように、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、シリコ−ンゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどの弾性部材を用いることが好ましい。
【0019】
シ−ル部材44の外周には段部52が設けられ、この段部52がシ−ル部材抜止部51に係止されて抜け落ちが防止される。すなわち、使用者がカ−トリッジ3を弁本体2に取り付ける前に誤って水道蛇口4を開栓し、弁本体2の原水取出口12から水が飛び出したとしても、シ−ル部材44がシール部材抜止部51に係止されるため、抜け落ちを防止することができる。また、その後、誤りに気が付いて水道蛇口を閉栓しカ−トリッジ3を取り付ければ、外部に水が漏れれないよう、弁本体2とカ−トリッジ3とをシ−ル部材44を介して密着できる。
【0020】
次に、図7,図8を用いて、バヨネット機構40の接続動作を説明する。
【0021】
直立姿勢の固定状態にある弁本体2にカ−トリッジ3を結合するには、第1ステップとして、図7に示すように、カ−トリッジ3をほぼ水平にする。この状態で、凸部45の凸部側張出部46を凹部41の切欠部42内に挿入する。第2ステップとして、弁本体2側から見てカ−トリッジ3を反時計方向に90゜程度回転する。これにより、凹部側張出部43が、カ−トリッジ3の凸部基面48と凸部側張出部46との間に侵入する(図3、図4参照)。カ−トリッジ3が回転変位するにつれて、凸部側張出部46の傾斜面46aに凹部側張出部43が係合していき、凹部側張出部43の端部がストッパ47に当接したところで、弁本体2とカ−トリッジ3とが液密状態に結合される。このときカ−トリッジ3は直立状態になる。このように、本発明の浄水器は、カ−トリッジと弁本体を2ステップで容易に接続することができる。
【0022】
そして、図6に示す態様では、凹部41に形成したシ−ル部材抜止部51に、シ−ル部材44の段部52が係止するように構成されているが、図9(参考例)に示す態様では、シール部材54の外周に鍔状の張出部55を設け、その張出部55が凹部内周面に形成した抜け止め溝56に係止するように構成している。
【0023】
図10に示すように、シ−ル部材64の外周に鍔状の張出部65を設け、これが凹部内周面の開口端部に形成した凹部側張出部43に係止するように構成してもよい。かかる態様のものは、凹部側張出部(第2の張出部)43がシ−ル部材抜止部機能を兼用しているものである。すなわち、従来の弁本体に、鍔状の張出部65を有するシ−ル部材64を装着することにより、シ−ル部材の抜け止めを達成することができる。シ−ル部材64には、鍔状の張出部65が変形し凹部側張出部43の奥への挿入が可能なように、前述のとおりゴムなどの弾性部材を用い、かつ、鍔状の張出部65を0.3〜3mmと薄く形成することが好ましい。
【0024】
また、図11に示すように、一対の凹部側張出部43の先端部分で形成される内径よりも、シ−ル部材の外径を大きくし、シ−ル部材74が凹部側張出部43に係止するように構成してもよい。かかる態様のものも凹部張側出部43がシ−ル部材抜止部機能を兼用しているものである。凹部側張出部43の奥へシ−ル部材74を挿入するには、シ−ル部材74全体を内径方向に大きく変形させればよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の浄水器は、原水取出口または原水受入口の少なくとも一方にシ−ル部材が配備されるとともに、シ−ル部材抜止部が形成されているので、使用者が誤ってカ−トリッジ接続前に水を出した時にも、シ−ル部材が抜け飛びにくい。そして、カ−トリッジ接続後は、弁本体とカ−トリッジがシ−ル部材を介して密着しているため、外部への水漏れを防ぐことができる。
【0026】
また、弁本体の原水取出口または濾過部の原水受入口のいずれか一方に形成された円筒状の凸部と、その凸部を嵌着する他方に形成された凹部とからなるバヨネット機構が形成され、凸部先端側外周面の第1張出部と、凹部開口側内周面の第2張出部が形成されるので、カ−トリッジの弁本体への接続を容易かつ確実に行うことができる。
【0027】
そして、シ−ル部材に、シ−ル部材抜止部に係止可能な張出部が形成されている場合には、シ−ル部材の抜け止めを、より確実に行うことができる。
【0028】
さらに、本発明では、凹部に形成された第2の張出部が、シ−ル部材抜止機能を兼ね、抜け止めが無い従来の凸部側(弁本体)をそのまま用いて、抜け止め機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様に係る浄水器を水道蛇口に取り付けた状態を示す概略正面図である。
【図2】 図1における概略縦断面図である。
【図3】 図1に示した浄水器の接続の様子を示す、弁本体からカ−トリッジを取り外した状態の概略斜視図である。
【図4】 図3における弁本体の原水取出口の概略正面図である。
【図5】 図3におけるカ−トリッジの原水受入口の概略正面図である。
【図6】 弁本体とカートリッジの接続状態(参考例)を示す拡大縦断面図である。
【図7】 図1において弁本体側からカートリッジ側を見た概略縦断面図である。
【図8】 図7のカートリッジを立てた状態を示す概略縦断面図である。
【図9】 弁本体とカートリッジの接続状態(参考例)を示す拡大縦断面図である。
【図10】 本発明に係る浄水器の、弁本体とカートリッジの接続状態を示す拡大縦断面図である。
【図11】 本発明のさらに別の実施態様に係る浄水器の、弁本体とカートリッジの接続状態を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 : 浄水器
2 : 弁本体
3 : カ−トリッジ(濾過部)
4 : 水道蛇口
10 : 原水流入口
11 : シャワー吐出口
12 : 原水取出口
21 : 容器
21a:円筒状突起
22 : 原水受入口
23 : 濾過水供給口
24 : 円筒体
25 : Oリング
26 : リング状フィルタ
27 : リング状フィルタ
28 : 中空糸膜束
29 : 接着剤
30 : 吸着剤層
31 : 透明カバー
32 : 蓋
40 : 接続部
41 : 凹部
42 : 切欠部
43 : 凹部側張出部(第2の張出部)
44 : シ−ル部材
45 : 凸部
46 : 凸部側張出部(第1の張出部)
46a:係合面
47 : ストッパ
48 : 凸部基面
51 : シ−ル部材抜止部
52 : 段部
54 : シ−ル部材
55 : 張出部
56 : 抜け止め溝
64 : シ−ル部材
65 : 張出部
74 : シ−ル部材
Claims (2)
- 原水流入口と原水取出口を有する弁本体と、この弁本体から原水を受け入れて濾過する、原水受入口を有する濾過部とを備えた浄水器であって、前記弁本体の原水取出口に濾過部の原水受入口が着脱自在に接続され、その接続のために、前記弁本体の原水取出口または濾過部の原水受入口のいずれか一方に形成された円筒状の凸部と、他方に形成された、その凸部が嵌着される凹部とからなるバヨネット機構が形成され、前記凸部には、周方向に延びている第1の張出部が先端側外周面の部分的に形成され、前記凹部には、前記凸部の第1の張出部の侵入を許容する切欠部と、周方向に延びている第2の張出部とが形成され、かつ、弁本体の原水取出口または濾過部の原水受入口の少なくとも一方に、シ−ル部材が配備されるとともに、前記第2の張出部がシ−ル部材抜止部を兼ねることを特徴とする浄水器。
- 請求項1に記載の浄水器において、シ−ル部材が、シ−ル部材抜止部に係止可能な張出部を有している浄水器。
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