JP3941046B2 - フラッシュ溶接における部材送り方法および装置 - Google Patents

フラッシュ溶接における部材送り方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの被溶接部材間に電圧を印加し、これら部材間の部分接触、通電ジュール加熱、溶融飛散を繰り返すフラッシュ工程(大断面積の場合、短絡と開放を繰り返す予熱方法が用いられる場合があるがこれも含まれる)と、充分端面を加熱した後、部村相互を急速に押しつけるアプセット工程とからなるフラッシュ溶接において、そのフラッシュ工程(予熱工程を含む)における部材送り(プラテン送り)方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラッシュ溶接におけるフラッシュ工程は、溶接部材端面で短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークを繰り返すプロセス(フラッシュ)であり、従来技術では短絡からアークまでを1サイクルとするフラッシュ発生回数は溶接機の性能で出しうる最大回数程度で、部材送り速度が初期設定(プリセット)あるいは電力等によるフィードバックされていた。この細かなフラッシュを数多く出す条件が入熱効率の高いアークの発生回数が最大であるため、効率的で短時間であり最適であると考えられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術において、溶接時間を短縮するには、2次電流の立ち上がり速度を上げてフラッシュ回数を増やすしか考えられなかった。このためには、2次電圧を上げるか、もしくは溶接回路のインピーダンスか、そのリアクタンス分を下げるかのどちらかの方法となる。前者の方法では、2次電圧を上げることによってアーク時間が長くなり、品質を悪化させる。よって、一般的にはタップ切替器を設けてフラッシュ工程前期の電圧を高くし、後期の電圧は低くする方法が採用されるが、高価な装置となる。
【0004】
後者の方法は、溶接装置の機械的制約上とコスト面から元々最適値に設計されるため困難である。また、大断面部材の溶接に用いられる予熱方法(短絡と開放を繰り返しジュール熱によって加熱する方法)では、電圧を上げインピーダンスを下げて出力を上げることで短縮化しなければならないが、これも電源設備、容量が非常に大型化し、予熱時に発生するクレータが大きくなり、品質が悪化する。よって、従来技術においては安定した高品質かつ溶接時間の短縮化は実現が困難であった。
【0005】
本発明の技術的課題は、安定した高品質かつ溶接時間の短縮化を実現できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
同じ溶接条件(溶接機、二次電圧、インピーダンス等)において部材送り速度あるいは平均送り速度と、単位時間当たりのフラッシュ回数及び品質(端面のクレータ深さ)の関係は図1のようになる。フラッシュ回数と部材送り速度との関係は、送り速度に対しフラッシュ回数はある速度でピークを持つ山形曲線の特性となる。フラッシュ回数が最大点Aとなるときの送り速度より遅い送り速度では、フラッシュが連続的に発生せず、開放時間があるためフラッシュ回数が減少している。A点では連続したフラッシュが発生した状態であり、装置の条件、特性(2次電圧、溶接回路インピーダンスZ、リアクタンスX等)によりそのフラッシュ回数は定まる。A点を超えると、短絡状態の時間が増加し、除々にフラッシュ回数が減少する。B点以上では完全短絡に近い状態となり、速度は逆に低下してくる。一方、溶接品質(クレータ深さ)の関係は、フラッシュ回数最大値のA点付近で最も悪い(ピークとなる)山形曲線の特性となっている。従来はこのA点付近あるいはそれ以下の送り速度にて溶接が行われており、品質を良くするためには電圧を溶接後期で低電圧に切り替えたり、送り速度を遅くしたりする方法が採られていた。しかし本発明者等の実験によれば、送り速度が最大フラッシュ回数を超える領域において高品質な溶接が可能な領域が存在することが分かった。
【0007】
以上のことから、フラッシュ回数が最大付近で行っていた従来の部材送り方法に対し、請求項1のフラッシュ溶接における部材送り方法のように2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で溶接することにより、短時間(送り速度が従来に比し速くかつ入熱が高い)かつ高品質の溶接を実現することができる。
【0008】
また、請求項2のフラッシュ溶接における部材送り方法のように2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で、所定のフラッシュ回数となるように部材送り速度をフイードバック制御することにより、短時間(送り速度が従来に比し速くかつ入熱が高い)かつ高品質の溶接の安定化、最適化を実現することができる。
【0009】
また、請求項1の方法に用いられる装置は、請求項3のように2つの突合せ部材をフラッシュ溶接する装置において、溶接時の印加電圧を検出する電圧検出器により電圧変化から、あるいは電流を検出する電流検出器により電流変化から、短絡、抵抗加熱、溶融飛散、およびアークからなるフラッシュ発生の1サイクルを検出し、カウントするフラッシュ発生回数測定手段と、測定されたフラッシュ発生回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域となるように部材送り速度あるいはその平均速度を増減させる溶接制御装置とを備えたものである。
また、請求項2の方法に用いられる装置は、請求項4のように2つの突合せ部材をフラッシュ溶接する装置において、溶接時の印加電圧を検出する電圧検出器により電圧変化から、あるいは電流を検出する電流検出器により電流変化から、短絡、抵抗加熱、溶融飛散、およびアークからなるフラッシュ発生の1サイクルを検出し、カウントするフラッシュ発生回数測定手段と、測定されたフラッシュ発生回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で、所定のフラッシュ回数となるように部材送り速度あるいはその平均速度をフイードバック制御する溶接制御装置とを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るフラッシュ溶接における部材送り方法およびこの方法に用いられる装置を図2乃至図7に基づき説明する。図2は本実施形態に係るフラッシュ溶接装置の全体構成を示すブロック図、図3はそのフラッシュ発生回数測定部の構成を示すブロック図、図4は本発明を実現する部材送り方法を説明する図、図5はそのフラッシュ発生回数による部材送り制御部の構成を示すブロック図、図6はフラッシュ工程時の2次電圧波形と電流波形によりフラッシュ発生回数をカウントする方法を説明する図、図7はフラッシュ発生回数の測定とこれに基づく部材送り制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0011】
本発明のフラッシュ溶接における部材送り方法としては、単調な送りとするプリセット方式でも実施可能であるが、この場合は、大断面部材、高送り速度となるとフリージングを起こすため、小断面部材、低速度領域に限られる。よって、ここでは部材送り方法として、単調な送り速度ではなく、高速で押し引き可能なものとし、プリセットもしくはフィードバック制御により強制的に部材を押し引きし、短絡とフラッシュを繰り返す方式とする。
【0012】
本実施形態のフラッシュ溶接における部材送り装置は、図2のようにクランプ装置1A,1Bが設置され、クランプ装置1A,1Bにより、2つの被溶接部材2a,2bをクランプして付き合わせ、これら部材2a,2bを近接・離反させることができるようになっている。すなわち、クランプ装置1A,1Bは、一方(図2中の右側のクランプ装置1A)が可動側(プラテン)、他方(図2中の左側のクランプ装置1B)が固定側として構成され、可動側のクランプ装置1Aが固定側のクランプ装置1Bに対して溶接中、押し引きされ、フラッシュ溶接が行われるようになっている。
【0013】
すなわち、クランプ装置1A,1Bは、油圧シリンダ3を介して連結され、シリンダ3のボトム3aが固定側のクランプ装置1Bに、またシリンダ3のピストンロッド3bが可動側のクランプ装置1Aに、それぞれ固定されているとともに、シリンダ3のボトム3aに、比例弁4が一体化して取り付けられ、油圧ユニット5に接続されている。なお、本システムによる部材送り(押し引き)の応答性としては、最低5Hz以上、10〜20Hzの能力を有することが望ましい。
【0014】
また、クランプ装置1A,1Bには、それぞれクランパ6a,6bの先に部材2a,2bと接触可能な給電用のジョー7a,7bが設けられ、電源装置より給電されるようになっている。
【0015】
電源としては、インバータを用いた矩形波交流電源、三相整流式直流電源、商用交流電源等、フラッシュ溶接に用いられる電源であれば何でもよいが、ここでは説明を簡略化するため、インバータ電源を用いた直流電源より給電する方式のものを例に挙げて説明する。この直流電源のほうが短絡時の電流が高く、かつ加熱効率が良いため適している。すなわち、電源装置は、図2のように3相交流電源8からの交流電圧を矩形波交流電圧に変換するIGBT(Insulated Gate Bi-polar Transistor)インバータ11と、インバ−タ11が出力する矩形波交流電圧を降圧して低電圧に変換する溶接トランス12と、溶接トランス12の2次側に配置されて溶接トランス12で低電圧に変換された矩形波交流電圧を直流電圧に変換して部材2a,2bに印加するダイオード整流器13と、フラッシュ工程時の溶接トランス12の2次側の出力電圧(ここでは最も検出し易いジョー7a,7b間の電圧)を検出する電圧検出器14と、インバータ11と溶接トランス12間でフラッシュ工程時の電流を検出する電流検出器15と、電圧検出器14の検出結果と電流検出器15の検出結果に基づいてフラッシュ発生回数を測定しシリンダ3による被溶接部材2a,2bの押し引き速度を制御するフラッシュ送り制御システム20とから構成されている。
【0016】
これを更に詳述すると、フラッシュ送り制御システム20は、電圧検出器14の検出結果と電流検出器15の検出結果に基づいてフラッシュが発生したか否かを判定してカウントすることでフラッシュ発生回数を測定するフラッシュ発生回数測定手段16と、フラッシュ発生回数測定手段16の測定結果に基づいて比例弁4のドライバ18に対して被溶接部材2a,2bの押し引き速度を指令する送り速度制御手段17とから構成されている。
【0017】
ところで、1秒間平均の最大フラッシュ回数値は、溶接機の特性(溶接回路インピーダンスZ、リアクタンスX、2次電圧等)により変化するが、通常700〜1200回/秒程度である。この最大値を超える速度領域(図1のA〜B点の間)において高品質かつ短時間化が図れるが、フラッシュ回数としては最大値の10〜60%(最大値700回とした場合70〜420回/秒)が望ましい。領域に幅があるのは、溶接機の特性によって最もクレータが浅い(高品質)回数が異なるためである。高出力、押し引きの応答性等の高性能な溶接機であれば図1のB点が最適値である。ただし、溶接機性能や制御特性あるいは酸化性の強い材料等ではフラッシュ回数が多い方が良い場合があるため上記範囲において高いフラッシュ回数が選定される。
【0018】
具体的な送り方法は種々考えられるが、例えば図4(a)の方式1に示すように押し速度Sf と引き速度Sb を設定し、押し引きの時間比率をTf =Tb からTf >Tb となるように変化させることにより、所定フラッシュ回数となる最適条件を設定する方法や、図4(b)(c)の方式2、方式3に示すように押し引き時間比率は一定(Tf =Tb )のまま、強制振動としてその押し速度Sf と引き速度Sb の値、比率、オフセット速度を変更(ここではSf >Sb となるように変更)させることにより、所定フラッシュ回数となる最適条件を設定する方法がある。また、これら(a)(b)(c)を組み合わせた方法でもよい。
【0019】
さらに、この送りを制御する方法としては、1次2次溶接電力、電流、短絡時間、フラッシュ回数等により、最適状態となるよう前述の比率、オフセット速度等を変化させるフィードバック制御によるものが考えられる。
【0020】
このフイードバックによる送り制御において最適な方法は、フラッシュ回数をモニタし、所定の回数となるように送り速度を制御する方法である。既述したように従来法では、フラッシュ回数最大となるA点の領域(図1の山形曲線の頂部分の領域)での送り速度付近が最適であると考えられてきたため、フラッシュ回数による制御は困難であったが、本発明においてはA点を超える領域であるため、部材送り速度とフラッシュ回数の関係は単調(1対1)の関数となり、フイードバック制御することが可能である。制御論理は単純には下式となる。すなわち、設定された最適フラッシュ回数N(1秒間当たり)と、測定された1秒当たりのフラッシュ回数nΔ t/△tとの差をとり、フラッシュ回数が設定値より小さい場合には速度を減じ、逆に大きい場合には速度を増加させることにより、フラッシュ回数を一定に保つように制御する。
【0021】
【数1】
Figure 0003941046
ここで、△t:制御のインターバル時間
t:部材送り速度指令値
t- Δ t:前回の速度指令値
α:最適化された制御定数
N:設定フラッシュ発生回数(/秒)
Δ t:フラッシュ発生回数カウント値
f():制御関数
なお、制御関数f()については、ある一定値に保つ最も一般的な制御であり、よく知られたPID制御、ファジー制御等の式が適用可能である。
【0022】
さらに、図1の送り速度とフラッシュ回数の特性曲線は、ピーク値はほとんど変化しないが、被溶接部材の断面積、温度、溶接開始からの経過時間等により横軸の送り速度値は変化し、特性曲線はスライドする。例えば断面積が大きくなるほど図左方向(速度が遅くなる方向)へ変化し、経過時間と共に右方向(速度が速くなる方向)へ変化し、一定ではない。しかしながら、本実施形態のようにフラッシュ回数が一定となるように制御することで、溶接中、常に最適な送り速度となるように制御することができる。
【0023】
フラッシュ発生回数測定方法としては、電圧変化あるいは電流変化により測定することができ、どちらの測定方法でもよいが、電圧変化のほうが細かなフラッシュまで正確に測定できる。よって、ここでは電圧変化による測定方法としている。フラッシュ発生回数測定手段16の構成は図3のようになっており、予め設定された電圧しきい値Vrefに対する電圧検出器14が検出した印加電圧(実測値)Vの立ち上がりe(図6)、立ち下がりf(図6)を判定する立ち上がり・立ち下がり判定手段21と、予め低い値に設定された電流しきい値Io と電流検出器15が検出した電流値(実測値)Iとの比較から負荷、無負荷(開放)を判定する開放判定手段22と、電圧の立ち上がり・立ち下がり判定手段21と電流の開放判定手段22の各判定結果に基づいてフラッシュが発生したか否かを判定するフラッシュ判定手段23と、フラッシュ判定手段23にてフラッシュ発生と判定される度にカウントするカウンタ24と、インターバル時間設定手段26にて設定される時間(例えば100ms)とカウンタ24の出力に基づいて、単位時間(例えば1秒)当たりのフラッシュ発生回数に換算するフラッシュ発生回数演算手段25とからなり、フラッシュ判定手段23は、電流値がしきい値Io よりも小さい場合は、電圧のしきい値Vrefに対する立ち上がり、立ち下がりに関係無く、無負荷g(図6)すなわち開放状態と判定し、カウントしないように構成されている。
すなわち、しきい値は最も正確に回数をカウントできる無負荷電圧(開放時)と短絡時電圧の中間に設定されるため、無負荷時のミスカウントを防ぐため電流をモニタし低い値に設定されたしきい値電流以下の場合はカウントしないようにする。
【0024】
フラッシュ回数による送り制御システム20の構成は図5のようになっている。すなわち電圧検出器14にて検出される2次側出力電圧は大きいため、絶縁増幅器(ISA)31にて絶縁増幅され、出力調整器(アンプ)32により出力調整された後、アナログ・ディジタル変換器(ADコンバータ)33によりディジタル信号に変換され、フラッシュ発生回数測定機能を有する例えばマイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などの演算器34に入力されるようになっている。また、電流検出器15にて検出される電流値も大きいため、絶縁増幅器(ISA)35にて絶縁増幅され、更に直流電圧との対応関係をみれるように全波整流36され、ローパスフィルタ(LPF)37にてノイズ成分が除去されてから出力調整器(アンプ)38により出力調整された後、ADコンバータ33によりディジタル信号に変換され、演算器34に入力されるようになっている。そして、演算器34で、ADコンバータ33の出力としきい値とが比較され、その比較結果に基づいてフラッシュ発生回数がカウントされ、インターバル時間(100ms)内のフラッシュ発生回数から単位時間(1秒)当たりのフラッシュ発生回数が求められ、この1秒当たりのフラッシュ発生回数と最適フラッシュ発生回数との差から部材送り速度の増減値、つまり最適送り速度が求められ、ディジタル・アナログ変換器(DAコンバータ)42を介して比例弁4のドライバ18へ出力される。なお、この部材送り制御は、溶接開始からアプセット開始までのフラッシュ工程時の制御であり、アプセット工程の制御や異常処理、手動操作等の他、溶接装置全般の制御は上位の全体制御装置41により行われる。
【0025】
次に、本実施形態のフラッシュ溶接における部材送り方法について説明する。まず、2つの部材2a,2bが所定位置に到達すると、クランプ装置1A,1Bのクランパ6a,6bが部材2a,2bを把持する。次いで、3相交流電源8よりインバータ11を介して電力を出力し、溶接トランス12、ダイオード整流器13を介して部材2a,2bに電力を供給し、部材2a,2bに直流電圧を印加して、フラッシュ溶接を開始する。
【0026】
フラッシュ溶接におけるフラッシュ発生回数の測定とこれに基づくフラッシュ工程時の部材送り制御は、図7のフローに従って行われる。まず、初期設定として、インターバル時間Δt(例えば100ms)と、単位時間(例えば1秒)当たりの最適フラッシュ発生回数N(発生可能な最大値の10〜60%)と、電圧しきい値Vref及び電流しきい値Io と、初期部材送り速度So と、押しすなわち前進速度の限界値S+limt と、引きすなわち後進速度の限界値S-limt と、が設定され(ステップ1)、次いで溶接電源が投入されてフラッシュ工程が開始されるとともに(ステップ2)、部材送り速度St が初期部材送り速度So に設定されて(ステップ3)、送り動作が開始される。なお、最適フラッシュ発生回数Nは、発生可能なフラッシュ発生回数の最大値が既述したように通常700〜1200回/秒程度であるため、その10〜60%(最大値700回とした場合70〜420回/秒)に設定されており、この最適フラッシュ発生回数N(最大値700回とした場合70〜420回/秒)となるように送り速度がフィードバック制御される。
【0027】
通電後、アークが発生する。フラッシュ発生回数測定手段16では常に出力電圧(実測値)Vと電流値(実測値)Iをみており、出力電圧Vがしきい値Vrefより高いか否かをみて(ステップ4)、出力電圧Vがしきい値Vrefより高いと判定されれば、次に電流値Iがしきい値Ioより高いか否かをみて(ステップ5)、電流値Iがしきい値Ioより低いと判定されれば、無負荷と判定し(ステップ6)、カウントせず、ステップ10に飛ぶ。また、ステップ5にて電流値Iがしきい値Ioより高いと判定された後、出力電圧Vがしきい値Vrefより低いと判定されれば(ステップ7)、フラッシュ発生と判定し(ステップ8)、カウントする(ステップ9)。次いで、インターバル時間Δt(100ms)が経過したか否かをみて(ステップ10)、インターバル時間(100ms)が経過していなければステップ4に戻り、インターバル時間(100ms)が経過していれば、1秒当たりのフラッシュ発生回数nk に換算し(ステップ11)、この1秒当たりのフラッシュ発生回数nk と初期設定されている最適フラッシュ発生回数Nとの差から部材送り速度の加減値すなわち瞬間値ΔS1 と平均値ΔS2 が求められる(ステップ12,13)。単純には設定フラッシュ回数より高い場合には速度を増加させ、逆に低い場合には減少させている。ここでは単純な比例制御と積分制御の場合を例に挙げており、比例制御において瞬時の送り速度を変化させ、積分制御では平均送り速度を変化させて、最適な送り速度となるよう制御する。
【0028】
また、フラッシュ発生回数のカウントのみでは長期開放と長期短絡を判別できずに短絡とみなしたり、図1に示すA点の右か左か判断できないため、電流値Iがしきい値Ioより高いか否かをみて(ステップ14)、電流値Iがしきい値Ioより低ければ開放側(A点の左)と判断し、部材送り速度St を前進速度の限界値S+limt とし(ステップ15)、比例弁4のドライバ18へ出力する(ステップ16)。次いで、フラッシュ工程が終了かをみて(ステップ17)、終了でなければステップ4に戻り、終了であればフラッシュ工程を処理し、アプセット工程へ移行する。ちなみに、アプセット工程は、予め定められた押し付け距離(アプセット量)移動後、または予め定められた時間経過後、もしくは予め定められた押し付け力(アプセットカ)付与後、終了される。
【0029】
また、ステップ14にて電流値Iがしきい値Ioより高いと判定されれば、ステップ12,13にて求めた部材送り速度の増減値を現在の部材送り速度に加算し(ステップ18)する。次いで、増減値が加算された部材送り速度St は、前進速度であるのか、その場合には前進速度の限界値S+limt を超えているか否かが判断され(ステップ19)、前進速度であると判断されかつその限界値S+limt を超えていればステップ15に移行し、部材送り速度St を前進速度の限界値S+limt となるように修正する。また、ステップ19にて部材送り速度St は前進速度でないと判定されれば、次に部材送り速度St は後進速度であるのか、その場合には後進速度の限界値S-limt を超えているか否かが判断され(ステップ20)、後進速度であると判断されかつその限界値S-limt を超えていなければステップ16に移行し、後進速度の限界値S-limt を超えていれば、部材送り速度St を後進速度の限界値S-limt となるように修正してから(ステップ21)、ステップ16に移行する。すなわち、ステップ19,15、ステップ20,21では、過剰な前進後退速度とならないように制限する処理を行う。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で溶接するようにしたので、従来技術に対して、条件変更あるいは若干の溶接制御改良により、従来に比して短時間かつ高品質な溶接が可能となった。
また、従来大断面部材溶接機に用いられてきた電圧タップ切替器を廃止することが可能となるとともに、溶接電源部、特に溶接回路インピーダンスZやリアクタンスXの設計裕度も増し、溶接機の装置コストを下げることが可能となった。
さらに、本発明は、被溶接部材の材質、温度、断面積に関わらず効果があり、特に大断面積部材ほど効果が顕著となる。例えば大断面部材に用いられている予熱工程(強制的な短絡と開放によるジュール加熱工程)が不要となった。
【0031】
また、2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で、所定のフラッシュ回数となるように部材送り速度をフイードバック制御するようにしたので、供給電源、温度、端面形状等の外部条件変動に適応して最適な溶接状態に保持することができて、最短かつ安定した最高品質の溶接が可能となった。
さらに、そのフラッシュ回数の最適値は2次電圧、溶接回路インピーダンス、アプセットシリンダ応答特性等の溶接機性能に対し、変化はするが、鋼種、部材断面積等によっては殆ど変化せず、煩雑な溶接条件出しも不要となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】部材送り速度とフラッシュ発生回数と品質(端面のクレータ深さ)の関係示すグラフである。
【図2】本発明の一実施形態に係るフラッシュ溶接における部材送り装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るフラッシュ発生回数測定部の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る部材送り方法を説明する図である。
【図5】本実施形態に係るフラッシュ発生回数による部材送り制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係るフラッシュ溶接装置のフラッシュ工程時の2次電圧波形と電流波形によりフラッシュ発生回数をカウントする方法を説明する図である。
【図7】本実施形態に係るフラッシュ発生回数の測定とこれに基づく部材送り制御方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2a,2b 部材
14 電圧検出器
15 電流検出器
16 フラッシュ発生回数測定手段
17 送り速度制御手段
20 フラッシュ送り制御システム

Claims (4)

  1. 2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、
    溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で溶接することを特徴とするフラッシュ溶接における部材送り方法。
  2. 2つの突合せ部材をフラッシュ溶接するに際し、
    溶接時の短絡、抵抗加熱、溶融飛散、アークをフラッシュ発生の1サイクルとし、その単位時間当たりの平均サイクル回数をフラッシュ回数とし、そのフラッシュ回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で、所定のフラッシュ回数となるように部材送り速度をフイードバック制御することを特徴とするフラッシュ溶接における部材送り方法。
  3. 2つの突合せ部材をフラッシュ溶接する装置において、
    溶接時の印加電圧を検出する電圧検出器により電圧変化から、あるいは電流を検出する電流検出器により電流変化から、短絡、抵抗加熱、溶融飛散、およびアークからなるフラッシュ発生の1サイクルを検出し、カウントするフラッシュ発生回数測定手段と、
    測定されたフラッシュ発生回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域となるように部材送り速度あるいはその平均速度を増減させる溶接制御装置とを備えたことを特徴とするフラッシュ溶接における部材送り装置。
  4. 2つの突合せ部材をフラッシュ溶接する装置において、
    溶接時の印加電圧を検出する電圧検出器により電圧変化から、あるいは電流を検出する電流検出器により電流変化から、短絡、抵抗加熱、溶融飛散、およびアークからなるフラッシュ発生の1サイクルを検出し、カウントするフラッシュ発生回数測定手段と、
    測定されたフラッシュ発生回数が最大値となる部材送り速度を超える送り速度領域で、所定のフラッシュ回数となるように部材送り速度あるいはその平均速度をフイードバック制御する溶接制御装置とを備えたことを特徴とするフラッシュ溶接における部材送り装置。
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