JP3940865B2 - 三爪開閉チャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用ロボットのアーム等に取り付けてワーク等の対象物の搬送に使用する三爪の開閉チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ワーク等の対象物を把持、搬送に使用する開閉チャックとして、図3に示すように、チャックボディ21に、対象物を把持する3つのジョー部材22をほぼ等角度で放射状に配設し、これらのジョー部材22を、該ボディ21の内部に形成したエア駆動するピストン23によって動作させるようにした三爪開閉チャックは公知である。
この従来の三爪開閉チャックは、上記ピストン23の先端に設けたカム24と、各ジョー部材22に設けたカム受け溝25とが相互に摺動可能に連結された構成を有していて、ピストン23がその軸方向に作動してそれらのカム24とカム受け溝25とを相互に摺動させることにより、ジョー部材22が把持動作及び復帰動作を行うようになっている。
【0003】
しかしながら、この種の三爪開閉チャックは、ピストン23の作用力によってのみジョー部材22の把持動作及び復帰動作の両方を行わせるため、上記カム24及びカム受け溝25は非常に複雑な構成であり、このため、この三爪開閉チャックの製作やメンテナンスに手数がかかるなどの問題を生じていた。
また、このような三爪開閉チャックは、その構成上、チャックボディ21内部に複雑な構成の上記カム24及びカム受け溝25を収容するスペースを確保しなければならなかったり、あるいはメンテナンス性の問題からチャック全体をコンパクト化することが難しいという欠点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、ジョー部材の把持動作と復帰動作とを簡単な構成で行うことができると共に、チャックの製作及びメンテナンスが容易である三爪開閉チャックを提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、チャック全体をコンパクト化することが可能な三爪開閉チャックを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、チャックボディと、該チャックボディ内部に設けられ、先端にカム部を備えたエア駆動のピストンと、上記チャックボディに放射方向にガイドされ、上記カム部と係合するカム受け部を備えた3つのジョー部材とを有し、エア駆動されるピストンの作動により、上記カム部とカム受け部とが相互に摺動して、上記ジョー部材が対象物の把持動作を行う三爪開閉チャックにおいて、上記チャックボディの先端に、上記ピストンのストローク調整用のアジャスタボルトを備えたプレートを取付け、上記各ジョー部材における上記プレート側の端面に、全体として環状をなす凹溝を設けて、該凹溝内に上記ジョー部材を復帰動作させるための1つの環状のスプリングを、各ジョー部材に掛け渡すように嵌装したことを特徴とするものである。
【0006】
上記構成を有する三爪開閉チャックは、工作機械のワーク把持部や産業用ロボットのアーム等に取付けて使用するもので、ピストンをエア駆動によりチャックボディの先端方向に移動させて、該ピストン先端のカム部と各ジョー部材のカム受け部とを相互に摺動させることにより、それらのジョー部材がチャックボディの半径方向に動かされて対象物の把持動作を行うものである。そして、ジョー部材の把持動作終了後、ピストンを基端方向に移動させることにより、各ジョー部材に係合させた1つの環状のスプリングの弾性力でそれらのジョー部材が復帰動作を行い、元の位置に戻る。
このとき、ジョー部材の把持動作は上記カムとカム受け部との圧接摺動によって行い、一方、復帰動作は環状のスプリングによって行い、これらの動作がそれぞれ別の構成で行われるので、両方の動作を単一のカムで行わせる従来の複雑な構成のカムとカム受け溝を設ける必要がなく、これにより、チャックの構成を簡単にすることができ、製作やメンテナンスが非常に容易である。
【0007】
本発明の具体的な構成態様においては、上記カム部を、上記ピストンの先端を先細りのテーパー状とすることにより該ピストンと一体に形成し、ジョー部材には、上記テーパー状のカム部に接して把持方向に押圧されるカム受け部を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の三爪開閉チャックの一実施例を示すもので、この実施例の三爪開閉チャックは、基端側に工作機械のワーク把持部や産業用ロボットのアーム等に連結するための継手部1aを備えたチャックボディ1と、該チャックボディ1内部に設けられた、エア駆動のピストン2と、上記チャックボディ1に放射方向にガイドされた3つのジョー部材3とを有している。
【0009】
上記ピストン2は、上記チャックボディ1内に供給された圧縮空気を直接受け止めるヘッド部2aと、該ヘッド2aに連結された、ヘッド2aより小径のロッド部2bとを一体に備えていて、ヘッド部2aに設けた溝内にピストンパッキン12が取付けられている。
【0010】
上記チャックボディ1は、全体として略円筒状に形成されており、その内部に、該チャックボディ1の基端側に設けられた、上記ヘッド部2aが挿通されるシリンダ孔10と、チャックボディ1の先端側にシリンダ孔10と連通した状態に設けられた、上記ロッド部2bが挿通される小径のロッド孔11とを備えていて、上記ピストン2が、これらシリンダ孔10及びロッド孔11の位置関係に対応して摺動可能に挿入されている。
このチャックボディ1は、基端側をシール部材18を介して工作機械のワーク把持部や産業用ロボットのアーム等に連結することにより、上記シリンダ孔10と一体化された圧力室が形成され、この圧力室への圧縮空気の給排気によりピストン2を作動させるものである。
【0011】
また、上記シリンダ孔10におけるピストン2が閉塞する空間内には、ピストン2をチャックボディ1の基端側の方向に付勢するコイルばね13が、シリンダ孔10とロッド孔11との間の段部とヘッド部2aとの間において、ロッド部2bに外装した状態で縮設されており、また、シリンダ孔10における、ピストン2のストロークエンドにあたる部分には、ピストン2が抜脱するのを防ぐ止め輪15が取付けられている。
【0012】
上記ピストン2のロッド部2bの先端部の外周には、カム部4が形成されている。
このカム部4は、エア駆動によりピストン2が作動して、チャックボディ1の先端側に移動した際に、その作用力を上記各ジョー部材3に伝導して、それらジョー部材3を押し広げるものであり、ロッド部2bの先端を次第に先細りするテーパー状とすることによりピストン2と一体に形成されている。
【0013】
上記各ジョー部材3は、チャックボディ1の先端部分の外周に等間隔に形成されたガイド溝14と、チャックボディ1の先端に取付けたプレート16との間に、チャックボディ1の半径方向に移動自在なるように嵌合されていて、全体として放射状に配設された形態となっている。
これらの各ジョー部材3は、それぞれの内端部に、上記カム部4の傾斜に対応した勾配が付与されたカム受け部5が形成されている。該カム受け部5は、上記カム部4に直接押圧される部分であり、該カム部4と摺動可能に接している。
【0014】
なお、上記プレート16は、上記ピストン2のストローク調整用のアジャスタボルト17を中央に備えていて、ピストン2のストロークエンドを調整することにより、上記各ジョー部材3の拡開位置を調整することができるようになっている。
【0015】
上記各ジョー部材3及びチャックボディ1には、それぞれのプレート16側の端面に凹溝7a,7bが設けられていて、これら凹溝7a,7bは、全体として環状を描くように形成されている。
【0016】
上記凹溝7a,7b内には、1つの環状のスプリング6が、各ジョー部材3に掛け渡すように嵌装されていて、ジョー部材3を閉じる方向に常に付勢している。なお、チャックボディ1に設けた凹溝7bは、スプリング6の撓みしろに応じた溝幅を有するものである。
上記スプリング6は、上記ピストン2がチャックボディ1の基端側に移動した際に、開いた状態の各ジョー部材3を、その弾性によって閉じた状態に押し戻すことにより、各ジョー部材3に復帰動作を行わせるものである。
【0017】
上記構成を有する三爪開閉チャックは、チャックボディ1の継手1aを工作機械の把持部や産業用ロボットのアーム等の給排気口等に直接取付けて、シリンダ孔10内におけるピストンのヘッド部2a側の部分を密閉して使用する。
そして、圧縮空気をシリンダ孔10内に供給し、ピストン2のヘッド部2aに圧力を作用させてピストン2をチャックボディ1の先端方向に移動させ、ピストン2のロッド部2b先端のカム部4と、各ジョー部材3のカム受け部5とを相互に摺動させることにより、それらのジョー部材3はチャックボディ1の半径方向外側に押し広げられ、ワークディスクWを穴の内周縁で把持する把持動作を行う。
ジョー部材3の把持動作終了後は、シリンダ孔10内の圧縮エアを排気することにより、ピストン2がコイルばね13の付勢力によりチャックボディ1の基端方向へ、止め輪15に当たって停止するまで移動すると共に、各ジョー部材3に嵌装させたスプリング6の弾性力によりそれらジョー部材3が復帰動作を行って元の位置に戻り、把持した対象物を解放する。
【0018】
このとき、ジョー部材3の把持動作は、上記カム部4とカム受け部5との圧接摺動によって行い、一方、復帰動作は、1つの環状のスプリング6によって行い、これらの動作がそれぞれ別の構成で行われるので、両方の動作を単一のカムで行わせる従来の複雑な構成のカムとカム受け溝を設ける必要がなく、これにより、チャックの構成を簡単にすることができ、製作が非常に容易になる。
【0019】
また、この場合、把持動作のための構成として、上記カム部4をテーパー状にすると共に、カム受け部5を単にカム部4の傾斜に対応した勾配を付与したものとし、また、復帰動作の構成も1つの環状のスプリング6だけで行うため、各動作を行うための各々の構成がきわめて簡単且つ単純であり、メンテナンス性に勝れる。
さらに、上記カム部4及びカム受け部5は、構成上大きな収容スペース必要としていた従来のカム及びカム受け溝に比べて、必要とする収容スペースが非常に小さくて済むため、チャック全体をコンパクト化することが可能である。
【0020】
上記実施例では、ピストン2がチャックボディ1の先端側に移動することにより、各ジョー部材3が該チャックボディ1の半径方向外側に押し広げられてワークディスク等の穴の内径把持を行う構成となっているが、上記カム部4及びカム受け部5の変形により、各ジョー部材3を中心側に引き寄せて、それらジョー部材3が対象物の外周縁を把持する構成とすることができる。この場合、復帰動作をさせる上記スプリング6は、常に各ジョー部材3を開く方向に付勢させる必要がある。
【0021】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明の三爪開閉チャックによれば、ジョー部材の把持動作は上記カムとカム受け部との圧接摺動によって行い、一方、復帰動作は環状のスプリングによって行い、これらの動作をそれぞれ別の構成で行うようにしているので、両方の動作を単一のカムで行わせる従来の複雑な構成のカムとカム受け溝を設ける必要がなく、これにより、チャックの構成を簡単にすることができ、製作やメンテナンスが非常に容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三爪開閉チャックの一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】従来の三爪開閉チャックを示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 チャックボディ
2 ピストン
3 ジョー部材
4 カム部
5 カム受け部
6 スプリング
7 凹溝
Claims (2)
- チャックボディと、該チャックボディ内部に設けられ、先端にカム部を備えたエア駆動のピストンと、上記チャックボディに放射方向にガイドされ、上記カム部と係合するカム受け部を備えた3つのジョー部材とを有し、エア駆動されるピストンの作動により、上記カム部とカム受け部とが相互に摺動して、上記ジョー部材が対象物の把持動作を行う三爪開閉チャックにおいて、
上記チャックボディの先端に、上記ピストンのストローク調整用のアジャスタボルトを備えたプレートを取付け、
上記各ジョー部材における上記プレート側の端面に、全体として環状をなす凹溝を設けて、該凹溝内に上記ジョー部材を復帰動作させるための1つの環状のスプリングを、各ジョー部材に掛け渡すように嵌装した、
ことを特徴とする三爪開閉チャック。 - 請求項1に記載の三爪開閉チャックにおいて、
上記カム部を、上記ピストンの先端を先細りのテーパー状とすることにより、該ピストンと一体に形成し、ジョー部材には、上記テーパー状のカム部に接して把持方向に押圧されるカム受け部を形成したもの。
Priority Applications (1)
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JP08025998A JP3940865B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | 三爪開閉チャック |
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Family Applications (1)
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JP08025998A Expired - Lifetime JP3940865B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | 三爪開閉チャック |
Country Status (1)
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1998
- 1998-03-12 JP JP08025998A patent/JP3940865B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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